JP2002265743A - グラフト共重合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方法 - Google Patents

グラフト共重合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方法

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JP2002265743A
JP2002265743A JP2001074533A JP2001074533A JP2002265743A JP 2002265743 A JP2002265743 A JP 2002265743A JP 2001074533 A JP2001074533 A JP 2001074533A JP 2001074533 A JP2001074533 A JP 2001074533A JP 2002265743 A JP2002265743 A JP 2002265743A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の粘着性を高効率で改質し、流動性など
の粉体特性に優れ、製造工程における製造装置への粉体
付着が防止されたグラフト共重合体混合粉体およにグラ
フト共重合体の粉体特性改良方法を提供する。 【解決手段】 グラフト共重合体混合粉体が、ゴム含有
グラフト共重合体粉末100質量部と、脂肪酸により表
面処理が施され、平均粒径が5.0μm以下、見掛け密
度が0.35g/ml以下であり、Mg、Ca、Ba、
Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末0.
01〜5.0質量部とを含有する。また、前記無機微粉
末がカルシウム塩であることが好ましい。また、前記脂
肪酸がステアリン酸であることが好ましい。また、さら
に二酸化珪素微粉末を含有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機微粉末によっ
て表面改質されたゴム含有グラフト共重合体粉末に関す
るものであり、ゴム含有グラフト共重合体粉末表面の粘
着性が改良され、優れた粉体特性を有するグラフト共重
合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメ
チルメタクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重
合体等の硬質樹脂や、ポリカーボネート、PET、PB
T、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチック
と呼ばれる樹脂にはその耐衝撃性を改質するために、ゴ
ム含有グラフト共重合体粉末をブレンドすることがあ
る。ゴム含有グラフト共重合体粉末は、乳化重合により
製造されたラテックスを直接熱風中に噴霧する方法、ラ
テックスを酸や塩等の凝固剤と接触させて凝固する方法
などによって、ラテックスから回収される。
【0003】ところが、このようにして製造されたゴム
含有グラフト共重合体粉末は、粘着性を有しているた
め、貯蔵中にブロッキングを起こす場合があった。ま
た、粘着性により流動性が悪く、輸送ラインでの閉塞等
の問題を起こしやすかった。特に、耐衝撃性改質効果を
大きくするためにグラフト共重合体中のゴム状重合体の
含量を増加させた場合には、ブロッキングや輸送ライン
の閉塞が生じる傾向が高くなる。近年ではゴム含有グラ
フト共重合体粉末の自動計量機や輸送ラインが大型化さ
れており、粉末がブロッキングしやすく流動性が劣る場
合には、生産効率低下の影響が大きくなることがあるの
で、粉体特性改良の要望はますます強くなっている。
【0004】また、ゴム含有グラフト共重合体粉末は粘
着性を有するため、ゴム含有グラフト共重合体ラテック
スからゴム含有グラフト共重合体粉末を回収する工程に
おいて、その製造設備内の様々な場所に、ゴム含有グラ
フト共重合体が付着する場合がある。ゴム含有グラフト
共重合体が付着すると、コンタミの増加、歩留まり低
下、頻繁な洗浄による生産性の低下等を引き起こすおそ
れがある。特に、粉体を回収する方法として、噴霧乾燥
を行った場合は、噴霧乾燥機内の内壁に粉が付着、堆積
し、様々な問題を招くことがある。
【0005】そこで、ゴム含有グラフト重合体の粉体特
性および装置内への壁面付着を改良するために、無機微
粉末を粉末に添加、混合して粉体表面の粘着性を改質す
る方法が行われている。無機微粉末としては、種々の金
属酸化物、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等が挙げ
られるが、その中でも安価で容易に入手できるカルシウ
ム塩を用いた表面改質が行われる場合がある。このよう
な方法として、例えば、特開昭64−26663号公報
には、平均粒径が10μm以下の微粉末をゴム含有グラ
フト共重合体に添加する方法が提案されていて、その実
施例には、微粉末として炭酸カルシウムを使用した例が
記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
64−26663号公報のように平均粒径が10μm以
下の微粉末を添加する場合には、微粉末の添加量を多く
しなければならず、粉体表面の改質を高効率で行うこと
ができない。また、微粉末の添加量が多くなると、最終
的に製造される熱可塑性樹脂の性能を低下させる。その
上、粉体特性を十分に改良できないので、製造工程にお
ける製造装置内への粉体付着も防止できない。従って、
粉体特性及び最終的に製造される熱可塑性樹脂製品性能
が高度に要求される近年の現状を満足することができな
い。本発明は、表面の粘着性が改質され、流動性などの
粉体特性に優れ、製造工程における製造装置への粉体付
着が防止されたグラフト共重合体混合粉体およびグラフ
ト共重合体の粉体特性改良方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のグラフト共重合
体混合粉体は、ゴム含有グラフト共重合体粉末100質
量部と、脂肪酸により表面処理が施され、平均粒径が
5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下で
あり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた
元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部とを含有
するものである。また、本発明のグラフト共重合体混合
粉体では、前記無機微粉末がカルシウム塩であることが
好ましい。また、本発明のグラフト共重合体混合粉体で
は、前記脂肪酸がステアリン酸であることが好ましい。
また、本発明のグラフト共重合体混合粉体では、さらに
二酸化珪素微粉末を含有することが好ましい。
【0008】また、本発明のグラフト共重合体の粉体特
性改良方法は、ゴム含有グラフト共重合体粉末100質
量部に、脂肪酸により表面処理が施され、平均粒径が
5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下で
あり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた
元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部を添加す
ることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるゴム含有グラフト重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が20℃以下のゴム状重合体を幹ポリマー
とし、これに重合可能な単量体をグラフト重合したもの
である。このようなものであれば特に制限されないが、
ゴム含有グラフト共重合体中のゴム状重合体の含有率
は、好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは
50重量%以上である。ゴム含有グラフト共重合体中の
ゴム状重合体含有率が50重量%以上になると、無機微
粉末による表面改質の効果がより顕著に現れる。
【0010】ゴム状重合体としては、例えば、n-ブチ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなど
を主成分としたアクリル系ゴム状重合体、オルガノシロ
キサンなどを主成分としたシリコーン系ゴム状重合体、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどを主成分と
したジエン系ゴム状重合体が挙げられる。また、これら
ゴム状重合体を2種類以上組み合わせた複合ゴムを用い
てもよい。また、ガラス状重合体を芯に含有したゴム状
重合体であってもよい。
【0011】グラフト重合に用いるゴム状重合体に重合
可能な単量体としては、芳香族ビニル系単量体、シアン
化ビニル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量
体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、ハロ
ゲン化ビニル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げら
れ、これらのうち1種もしくは2種以上を組み合わせて
用いる。前述した芳香族ビニル系単量体としては、特に
制限はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、メチル−α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジ
ビニルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、特に
スチレンが好ましい。また、これら芳香族ビニル系単量
体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0012】前述したシアン化ビニル系単量体として
は、特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メ
タアクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α
−エチルアクリロニトリル等が挙げられる。これらの中
でも、特にアクリロニトリルが好ましい。また、これら
シアン化ビニル系単量体は、1種又は2種以上を組み合
わせて使用することができる。前述したエチレン系不飽
和カルボン酸系単量体としては、特に制限はないが、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸などのモノ、ジカルボン酸が挙げられる。これらエ
チレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種又は2種以上
を組み合わせて使用できる。
【0013】前述した不飽和カルボン酸アルキルエステ
ル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エ
チルヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、
グリシジルメタクリレートが挙げられる。これら不飽和
カルボン酸アルキルエステル系単量体は、1種又は2種
以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】ハロゲン化ビニル系単量体としては、特に
制限はないが、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等
が挙げられる。これらハロゲン化ビニル系単量体は、1
種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
マレイミド系単量体としては、特に制限はないが、例え
ば、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等が挙げら
れる。これらマレイミド系単量体は、1種又は2種以上
を組み合わせて使用することができる。さらに、上記単
量体以外に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニ
ルピリジン等の乳化重合可能な単量体を使用することも
できる。
【0015】ゴム状重合体およびグラフト重合体を製造
する際の重合方法は特に制限されないが、通常乳化重合
で製造される。また、重合時における単量体、重合開始
剤、乳化剤の添加は、一括添加、連続添加、分割添加、
多段階添加等で行うことができる。また、これらを組み
合わせて行ってもよい。また、ゴム状重合体の重合とゴ
ム状重合体への単量体のグラフト重合とはそれぞれ個別
に行ってもよいが、2つ以上の攪拌装置を使用して、ゴ
ム状重合体の製造とグラフト重合体の製造とを、連続し
て同一攪拌装置で行ってもよい。
【0016】重合開始剤については、特に限定はない
が、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫
酸アンモニウムなどの水溶性過硫酸、ジイソピロピルベ
ンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロ
パーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、メチルシクロヘキシ
ルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−
テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−
3,5,5−トリ−メチルヘキサノエートなどの有機過
酸化物を一成分としたレドックス系開始剤を使用でき
る。乳化剤は特に制限されないが、例えば、不均化ロジ
ン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸のア
ルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスル
ホン酸アルカリ金属塩を1種又は2種以上を組み合わせ
て使用することができる。
【0017】また、必要に応じて、上述した成分以外
に、ジビニルベンゼン、1−3ブチレンジメタクリレー
ト、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート
などの架橋剤、メルカプタン類、テレペン類といった連
鎖移動剤を併用してもよい。
【0018】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体
は、凝固法又は噴霧乾燥法により回収された粉体である
ことが好ましい。ここで、凝固法とは、ラテックスに凝
固剤を接触させて、ラテックス中の重合体を凝固させる
方法である。ゴム含有グラフト共重合体ラテックスに接
触させる凝固剤としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機
酸、ぎ酸、酢酸等の有機酸、塩化カルシウム、硫酸マグ
ネシウム、硫酸アルミニウム等の無機塩、酢酸カルシウ
ム、酢酸アルミニウム等の有機酸塩等が挙げられる。一
般的には、これら凝固剤は水溶液化して使用される。ま
た、凝固されるゴム含有グラフト共重合体ラテックスは
単独でもよいが、複数の種類の重合体ラテックスの混合
物であってもよい。また、凝固するラテックスに適当な
酸化防止剤や添加剤等を加えた後に、凝固させることも
できる。この凝固方法においては、凝固設備、方法、条
件などに特に制限はなく、1槽で凝固させるバッチ法や
2槽以上の連続した槽で凝固を連続的に行う連続法等、
いずれの方法で行うことができる。
【0019】噴霧乾燥法は、熱風中に直接ラテックスを
噴霧し、乾燥させる方法である。この噴霧乾燥法におい
て、噴霧乾燥装置、方法、条件などは、ラテックス中の
ゴム含有グラフト共重合体を粉末化できれば特に制限さ
れるものではない。例えば、ラテックス液滴を発生させ
る方法としては、回転円盤型式、圧力ノズル式、2流体
ノズル式、加圧2流体ノズル式などいずれの方法でもよ
い。また、噴霧乾燥されるラテックスは単独でもよい
が、複数のラテックスの混合物であってもよい。また、
噴霧するラテックスに適当な酸化防止剤や添加剤等を加
えた後に、噴霧乾燥させることもできる。また、噴霧乾
燥に用いられる乾燥機容量は特に制限がなく、実験室で
使用するような小規模なスケールから、工業的に使用す
るような大規模なスケールまでいずれの容量の乾燥機を
使用することができる。
【0020】無機微粉末は、Mg、Ca、Ba、Znよ
りなる群より選ばれた元素を含むものである。例えば、
MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、CaCO
3、BaSO4、ZnO、タルクなどが挙げられるが、カ
ルシウム塩が好ましい。カルシウム塩であれば特に制限
されないが、その中でも炭酸カルシウムが好ましい。炭
酸カルシウムは安価であるため、大幅にコストを高める
ことなく、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を改質
することができる。
【0021】また、無機微粉末は、平均粒径が5μm以
下であることが必要である。また、平均粒径は小さけれ
ば小さいほど、粒子の表面改質には好ましく、平均粒径
は1.0μm以下であることが好ましい。なお、本発明
における平均粒径とは、数平均粒径のことである。平均
粒径が5μmより大きいと、ゴム含有グラフト共重合体
粉末の表面改質を十分満足できる程度までにするには、
無機微粉末を多量に添加する必要がある。そのため、コ
ストが高くなり、ゴム含有グラフト共重合体の物性にも
影響を与えることがある。
【0022】また、無機微粉末は、見掛け密度が0.3
5g/ml以下であることが必要である。より好ましく
は、見掛け密度が0.3g/ml以下である。無機微粉
末の見掛け密度が0.35g/ml以下であることによ
り、無機微粉末中の粗大粒子の比率が減少するので、ゴ
ム含有グラフト重合体粉末の表面を高効率で改質するこ
とができる。見掛け密度が0.35g/mlを超える
と、たとえ平均粒径が5μmより小さくても、ゴム含有
グラフト共重合体粉末の表面を高効率で改質することが
できない。なお、本発明における無機微粉末の見掛け密
度とは、JIS K5101顔料試験法で定められてい
る見掛け密度(静置法)のことであり、下記(1)式に
より求められる。 E=F/V ・・・(1) E:見掛け密度(g/ml) F:受器内の処理した試料の質量(g) V:受器の容量(ml)
【0023】また、無機微粉末としては、脂肪酸により
表面処理が施されたものを使用する。表面処理が施され
ていない無機微粉末を使用した場合には、無機微粉末同
士が、その表面エネルギーにより凝集し、粗大粒子の発
生を招く。粗大粒子になると、ゴム含有グラフト共重合
体表面を覆うことができないので、ゴム含有グラフト共
重合体粉体の表面改質が低効率となる場合がある。ま
た、脂肪酸により表面処理が施されたカルシウム塩を無
機微粉末として用いた場合には、ゴム含有グラフト共重
合体粉末の表面改質を特に高効率で行うことができる。
無機微粉末の表面処理に用いられる脂肪酸としては、カ
ルボン酸を有する脂肪族であれば特に制限されないが、
例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノ
レン酸、エレオステアリン酸などが挙げられる。これら
の中でも、ステアリン酸が好ましい。ステアリン酸を用
いることにより、無機微粉末の凝集をさらに防止するこ
とができる。
【0024】無機微粉末の添加量は、ゴム含有グラフト
共重合体粉末100質量部に対し、0.01〜5.0質
量部である。好ましくは、ゴム含有グラフト共重合体樹
脂粉末100質量部に対し、0.04〜4.0質量部で
ある。無機微粉末の添加量が0.01質量部未満では、
十分に表面改質できずゴム含有グラフト共重合体粉末の
粉体特性改良、製造装置内への付着防止ができない。ま
た、5.0質量部を超えると、コスト面、及びゴム含有
グラフト重合体の物性に影響を与えるため好ましくな
い。
【0025】また、無機微粉末に二酸化珪素微粉末を併
用することも可能である。二酸化珪素微粉末と無機微粉
末とを併用することにより、より表面改質効果を高くす
ることができる。特に、カルシウム塩微粉末と二酸化珪
素微粉末を併用することは、非常に表面改質効果が高
く、特に乾燥機内の粉体付着防止に効果がある。二酸化
珪素微粉末としては、粒径が1μm以下であれば、疎水
性、親水性のどちらでも使用できる。ただし、粒径は
0.5μm以下であることが好ましい。二酸化珪素微粉
末の添加量は、ゴム含有グラフト共重合体樹脂粉末10
0質量部に対して、0.005〜1.0質量部であるこ
とが好ましい。0.005質量部未満では、十分に表面
改質ができず、二酸化珪素微粉末を併用する効果が十分
に現れない場合があり、1.0質量部を超えると、成型
品の透明性などの物性に影響を与える場合がある。
【0026】グラフト共重合体混合粉体は、上述したゴ
ム含有グラフト共重合体粉末と無機微粉末とを含有する
ものである。ゴム含有グラフト共重合体粉末に無機微粉
末を添加し、グラフト共重合体混合粉体を製造する方法
は、特に制限されない。例えば、乾燥後のゴム含有グラ
フト共重合体粉体に添加してもよいし、乾燥途中に添加
してもよい。また、凝固法によりゴム含有グラフト共重
合体の粉末化を行う場合には、凝固後のゴム含有グラフ
ト共重合体スラリー中に無機微粉末を添加し、ゴム含有
グラフト共重合体粉体と混合させることもできる。
【0027】噴霧乾燥法によってラテックスからゴム含
有グラフト共重合体粉体を回収する場合には、無機微粉
末を噴霧乾燥機の乾燥塔内に連続投入して、ゴム含有グ
ラフト共重合体に無機微粉末を添加する方法が挙げられ
る。噴霧乾燥時に無機微粉末を連続投入すると、最終的
に得られるゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を改質
できるだけでなく、乾燥途中のゴム含有グラフト共重合
体の表面をも改質でき、ゴム含有グラフト共重合体の乾
燥塔内壁面への付着を抑制できる。無機微粉末を乾燥塔
内に連続投入する方法は、特に制限されないが、例え
ば、乾燥塔天井部、側面部から各種のパウダーフィーダ
により乾燥塔内に添加してもよいし、乾燥塔内を負圧に
して吸い込ませてもよい。さらには、乾燥ガス、2流体
ノズルまたは加圧2流体ノズルなどのノズルから噴霧さ
れる液を微粒化するためのガス、または、ディスクアト
マイザを冷却するためのガスに混合して乾燥塔内に連続
投入してもよい。
【0028】このように、本発明のグラフト共重合体混
合粉体にあっては、ゴム含有グラフト共重合体粉末10
0質量部と、脂肪酸により表面処理が施され、平均粒径
が5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下
であり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれ
た元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部とを含
有するので、無機微粉末が凝集することなく、ゴム含有
グラフト共重合体粉末の表面を効率的に覆うことができ
る。そのため、高効率でゴム含有グラフト共重合体粉末
の表面を改質し、その粘着性を低下させ、保管時などの
ブロッキングを防止することができる。また、ゴム含有
グラフト共重合体粉末の流動性も向上し、輸送時の閉塞
を防止することができる。
【0029】さらに、本発明のグラフト共重合体混合粉
体は、粉体製造工程における製造装置内への付着を抑制
することができる。特に、噴霧乾燥でグラフト共重合体
混合粉体を回収する場合には、乾燥塔内にゴム含有グラ
フト共重合体ラテックスと同時に、上述した無機微粉末
を乾燥塔内に連続投入することにより、乾燥途中の粉体
粒子の表面改質を行い乾燥塔内壁面への付着を防止する
ことができる。従って、コンタミを減少させることがで
き、品質を向上させることができる。また、歩留まりが
向上し、頻繁な洗浄の必要もなくなるため、生産性を向
上させることができる。
【0030】また、本発明のグラフト共重合体混合粉体
にあっては、大幅に製造コストを増加させることなく、
ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面改質が可能であ
る。また、前記脂肪酸にステアリン酸を使用することに
より、表面改質をさらに効率的に行うことができる。ま
た、上述したグラフト共重合体混合粉体が、さらに二酸
化珪素微粉末を含有することにより、無機微粉末による
表面改質効果をさらに高めることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、実施例、比較例中の「部」および「%」は特にこと
わりがない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」
を表すものである。また、実施例及び比較例における各
種の評価は以下に示す方法で行った。 (1)炭酸カルシウム粉末物性 平均粒径:電子顕微鏡により求めた。 見掛け密度:JIS5101に基づき測定した。 (2)ブロッキング測定 円筒の容器にゴム含有グラフト共重合体粉末を20g入
れ、50℃で17.5kPaの圧力を5時間かける。得
られたブロックをミクロ型電磁振動ふるい器(筒井理化
製)で振動を与え、ブロックが60%破砕する時間
(秒)を測定した。この時間が短いほど、耐ブロッキン
グ性が良好である。 (3)粉体流動性 JIS−K−6721に記載されている嵩比重測定器
に、ダンパーを装着した状態でゴム含有グラフト共重合
体粉末50gを入れ、次いで、ダンパーを外して、単位
時間当たりに粉体が流出する粉体流出量(単位:g/
s)を測定した。この粉体流出量が多い程、粉体の流動
性が良好である。
【0032】[実施例1] (1)ゴム状重合体(A−1)の製造 攪拌装置付き反応装置に、脱イオン水190部、牛脂肪
酸カリウム石鹸2.5部、硫酸ナトリウム0.2部、パ
ラメンタンハイドロパーオキサイド0.5部、1,3−
ブタジエン80部、およびスチレン20部を仕込み、攪
拌を開始し、57℃に昇温した。次いで、昇温途中に脱
イオン水10部、含水結晶ブドウ糖0.3部、ピロリン
酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄七水塩0.003部
の混合物を添加して重合を開始させた。8時間保持した
後、攪拌槽内よりゴム状重合体ラテックス(A−1)を
取り出した。
【0033】(2)ゴム含有グラフト共重合体のラテッ
クス(A−2)の製造 攪拌装置付き反応装置に、ゴム状重合体ラテックス(A
−1)699部(固形分として233部)、水85部、
牛脂脂肪酸カリウム3.0部を反応器に仕込み、窒素置
換した後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレー
ト二水和物0.3部を添加し、内温を70℃に昇温し
た。次いで、メチルメタクリレート28部、エチルアク
リレート7部、キュメンハイドロパーオキサイド0.1
5部の混合物を30分かけて連続添加し、100分保持
した。次いで、スチレン55部、キュメンハイドロパー
オキサイド0.20部の混合物を100分かけて連続添
加し、120分保持した。次いで、メチルメタクリレー
ト10部、キュメンハイドロパーオキサイド0.05部
の混合物を30分かけて連続添加し、120分保持し重
合を終了した。このようにして得られたグラフト共重合
体(ゴム含量65%)ラテックスに、乳化分散させたト
リエチレングリコ−ル−ビス[3−(3−タ−シャリ−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネ−ト]をグラフト共重合体100部に対して0.2
1部、および乳化分散させたジラウリル−3,3’−チ
オジプロピオネ−トをグラフト共重合体100部に対し
て0.63部添加して、ゴム含有グラフト共重合体ラテ
ックス(A−2)を得た。
【0034】(3)重合体粉体粒子の回収(噴霧乾燥) ゴム含有グラフト共重合体ラテックス(A−2)を、ノ
ズル式噴霧乾燥装置(大川原化工機製)を使用し、入口
温度135℃、出口温度65℃の条件で噴霧乾燥して粉
体粒子(P−1)を得た。 (4)無機微粉末添加、粉体特性評価 得られた粉体粒子(P−1)100部に、ステアリン酸
によって表面処理が施された見掛け密度0.24g/m
l、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白
石工業(株)製、商品名CCR−B)を0.6部添加、
混合してグラフト共重合体混合粉体を得た。このグラフ
ト共重合体混合粉体の特性の評価を行った。その結果を
表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】[実施例2]実施例1における平均粒径0.
08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わ
りに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け
密度0.23g/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カル
シウム微粉末(白石工業(株)製、商品名Vigot−
15)を粉体粒子(P−1)に混合してグラフト共重合
体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行った。この
グラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1
に示す。
【0037】[実施例3]二酸化珪素微粉末(日本アエロ
ジル(株)製、商品名アエロジル200FAD)0.0
4部を、炭酸カルシウム微粉末と同時に添加してグラフ
ト共重合体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行っ
た。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結
果を表1に示す。
【0038】[比較例1]実施例1における平均粒径0.
08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わ
りに、表面処理が施されていない見掛け密度0.17g
/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粉末
(白石工業(株)製、商品名BRT−1500)を粉体
粒子(P−1)に混合してグラフト共重合体混合粉体を
得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共重
合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0039】[比較例2]実施例1における平均粒径0.
08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わ
りに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け
密度0.4g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カル
シウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR)を粉
体粒子(P−1)に混合してグラフト共重合体混合粉体
を得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共
重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0040】[比較例3]実施例2で使用した炭酸カルシ
ウム微粉末(白石工業(株)製、商品名Vigot−1
5)を分級し、見掛け密度0.45g/ml、平均粒径
5.5μmの炭酸カルシウム微粉末を得て、これを実施
例1における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム
(CCR−B)微粉末の代わりに粉体粒子(P−1)に
混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例
1と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特
性を評価した結果を表1に示す。
【0041】実施例1および実施例2では、ステアリン
酸により表面処理が施され、平均粒径が5.0μm以
下、見掛け密度が0.35g/ml以下である炭酸カル
シウムが用いられたので、ゴム含有グラフト共重合体粉
末は、ブロッキングし難く、粉体流動性が高かった。ま
た、実施例3では、さらに二酸化珪素微粉末が用いられ
たので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、さらにブロ
ッキングし難かった。一方、比較例1では、炭酸カルシ
ウムがステアリン酸により表面処理が施されていないの
で、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングし
やすく、粉体流動性が低かった。また、比較例2では、
炭酸カルシウムの見掛け密度が、0.35g/ml以上
なので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキン
グしやすく、粉体流動性が低かった。また、比較例3で
は、炭酸カルシウムの見掛け密度が、0.35g/ml
以上、平均粒径が5.0μm以上なので、ゴム含有グラ
フト共重合体粉末は、さらにブロッキングしやすく、粉
体流動性が低かった。
【0042】[実施例4] (1)重合体粉体粒子の回収(凝固) ゴム含有グラフト重合体(A−1)固形分100部に対
して、硫酸3.0部となるように調整した1.2%硫酸
水溶液を攪拌装置付き容器内に仕込んだ。次いで、攪拌
した状態で40℃に保ちながら、ゴム含有グラフト共重
合体ラテックス(A−1)を固形分として100部添加
し、同時にメチルメタクリレート/ブチルアクリレート
共重合体ラテックスを固形分として2.0部を攪拌装置
内に添加した。そして、5分保持した後、凝固したスラ
リーを85℃まで徐々に昇温し、得られたスラリーを脱
水、乾燥し粉体粒子(P−2)を得た。
【0043】得られた凝固法で粉体粒子(P−2)10
0部に、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛
け密度0.24g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸
カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR−
B)を0.6部混合してグラフト共重合体混合粉体を得
た。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結
果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】[実施例5]実施例4における平均粒径0.
08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わ
りに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け
密度0.23g/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カル
シウム微粉末(白石工業(株)製、商品名Vigot−
15)を粉体粒子(P−2)に混合してグラフト共重合
体混合粉体を得た以外は実施例4と同様に行った。この
グラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2
に示す。
【0046】[実施例6]粉体粒子(P−2)に添加する
炭酸カルシウム微粉末を、粉体粒子(P−2)100部
に対し0.3部としてグラフト共重合体混合粉体を得た
以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共重合体
混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0047】[比較例4]実施例4における平均粒径0.
08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わ
りに、表面処理が施されていない見掛け密度0.17g
/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粉末
(白石工業(株)製、商品名BRT−1500)を粉体
粒子(P−2)に混合してグラフト共重合体混合粉体を
得た以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共重
合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0048】[比較例5]実施例4における平均粒径0.
08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わ
りに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け
密度0.4g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カル
シウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR)を粉
体粒子(P−2)に混合してグラフト共重合体混合粉体
を得た以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共
重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0049】実施例4〜6では、ステアリン酸により表
面処理が施され、平均粒径が5.0μm以下、見掛け密
度が0.35g/ml以下の炭酸カルシウムが用いられ
ているので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッ
キングし難く、粉体流動性が高かった。一方、比較例4
では、炭酸カルシウムがステアリン酸により表面処理が
施されていないので、ゴム含有グラフト共重合体粉末
は、ブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。ま
た、比較例5では、炭酸カルシウムの見掛け密度が0.
35g/ml以上なので、ゴム含有グラフト共重合体粉
末は、ブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。
【0050】[実施例7] (1)ゴム含有グラフト共重合体のラテックス(A−
3)の製造 テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシ
プロピルジメトキシメチルシラン0.5部、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキ
サン混合物100部を得た。次いで、このシロキサン混
合物100部を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムおよびドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1部溶
解させた脱イオン水200部に加えた。そして、ホモミ
キサによって10,000rpmで予備撹拌した後、ホ
モジナイザにより30MPaの圧力で乳化、分散させ、
オルガノシロキサンラテックスを得た。このオルガノシ
ロキサンラテックスを攪拌槽に仕込み、攪拌を開始し、
80℃で5時間保持した後、20℃で48時間放置し
た。その後、水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックス
のpHを7.4に中和し、重合を完結させて、ポリオル
ガノシロキサンゴム状重合体ラテックスを攪拌槽内から
取り出した。
【0051】得られたポリオルガノシロキサンゴム状重
合体ラテックス33部(ゴム状重合体として10部)
を、攪拌装置付き反応装置に仕込み、これにポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート(花王
(株)製、エマールNC−35)1.4部、脱イオン水
271部を加えた。そして、窒素置換をした後、50℃
に昇温し、n−ブチルアクリレート78.4部、アリル
メタクリレート1.6部およびt−ブチルハイドロパー
キサイド0.40部の混合液を仕込み、30分間撹拌し
た。次いで、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミ
ン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.26部およ
び脱イオン水5部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開
始させた。その後、内温70℃で2時間保持し、次い
で、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部とメ
チルメタクリレート10部との混合液を70℃にて15
分間にわたり滴下した。その後、70℃で4時間保持し
た後、攪拌槽内から取り出しゴム含有グラフト共重合体
ラテックス(A−3)を得た。
【0052】(2)重合体粉体粒子の回収 実施例1で用いた噴霧乾燥機でゴム含有グラフト共重合
体ラテックス(A−3)を固形分として30Kg/hr
の条件で噴霧乾燥し、同時にステアリン酸によって表面
処理が施された見掛け密度0.24g/ml、平均粒径
0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)
製、商品名CCR−B)を0.3kg/hrの条件で噴
霧乾燥機の直胴部の投入口より乾燥塔内に連続添加し
た。1時間連続運転し、乾燥機内壁面への付着状況を確
認して、粉体乾燥機内への壁面付着状況を下記のように
評価した。その評価結果を表3に示す。 ◎ 極めて付着が少ない ○ 付着が少ない ×× 極めて付着が多い
【0053】
【表3】
【0054】[実施例8]噴霧乾燥する際、二酸化珪素微
粉末(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR9
72)を0.015kg/hrの条件で炭酸カルシウム
微粉末と同時に乾燥塔内に添加した以外は実施例7と同
様に行った。粉体乾燥機内への壁面付着状況を表3に示
す。
【0055】[比較例6]乾燥塔内に炭酸カルシウム微粉
末を添加せずに実施例7と同様に行った。結果を表3に
示す。
【0056】実施例7では、同時にステアリン酸によっ
て表面処理が施された見掛け密度0.24g/ml、平
均粒径0.08μmの炭酸カルシウムを用いたので、ゴ
ム含有グラフト共重合体の乾燥機内への付着が少なかっ
た。実施例8では、さらに二酸化珪素微粉末を用いたの
で、ゴム含有グラフト共重合体の乾燥機内への付着は極
めて少なかった。一方、比較例6では、炭酸カルシウム
微粉末を添加しなかったので、ゴム含有グラフト共重合
体の乾燥機内への付着が極めて多かった。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特定の安価な無機微粉末を用いてゴム含有グラフト共重
合体粉末を表面改質できる。そのため、大幅にコストア
ップすることなく、粉体輸送時の閉塞、自動計量時のブ
ロッキングを回避でき、製造装置の大型化にも対応でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA04 AA32 AA60 AB08 AC13 AC14 AC16 AC23 AD06 AE09 FA01 FA05 FB06 4J002 BN121 BN141 BN171 CP171 DE076 DE086 DE106 DE236 DG046 DJ017 DJ046 FB236

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム含有グラフト共重合体粉末100質
    量部と、脂肪酸により表面処理が施され、平均粒径が
    5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下で
    あり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた
    元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部とを含有
    することを特徴とするグラフト共重合体混合粉体。
  2. 【請求項2】 前記無機微粉末はカルシウム塩であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体混合
    粉体。
  3. 【請求項3】 前記脂肪酸はステアリン酸であることを
    特徴とする請求項1または2に記載のグラフト共重合体
    混合粉体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のグラフ
    ト共重合体混合粉体において、さらに二酸化珪素微粉末
    を含有することを特徴とするグラフト共重合体混合粉
    体。
  5. 【請求項5】 ゴム含有グラフト共重合体粉末100質
    量部に、脂肪酸により表面処理が施され、平均粒径が
    5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下で
    あり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた
    元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部を添加す
    ることを特徴とするグラフト共重合体の粉体特性改良方
    法。
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