明 細 書
ゴム質重合体含有材料、この製造方法、これを配合してなる熱可塑性樹 脂
技術分野
[0001] 本発明は、熱可塑性樹脂の特性を改善するために配合する用途において有用な ゴム質重合体含有材料およびこの製造方法ならびにこれを熱可塑性樹脂に配合し てなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
背景技術
[0002] 従来より、熱可塑性樹脂に耐衝撃性を付与する方法として、ゴム状弾性体を配合 する方法が知られている。例えば、ポリ塩ィ匕ビニル系樹脂は、機械的性質、化学的性 質が優れている樹脂であるため、広く各分野に用いられている力 耐衝撃性が低いと レ、う短所を改良するために数多くの研究が行われてきた。
[0003] これまでに、 ABS樹脂、 MBS樹脂およびポリアクリル酸アルキルエステルゴム重合 体に、メチルメタタリレート、スチレンおよびアクリロニトリル等の単量体をグラフト重合 させたもの等の耐衝撃性改質樹脂を、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合して、耐衝撃性 を付与する方法が提案されてレ、る。
[0004] 一方、熱可塑性樹脂の成型に際して、加工性改良のために各種添加剤を使用す る場合があるが、溶融挙動や流動挙動の改良のために (メタ)アタリレート系重合体を 用いることができることが知られている。また、滑性調整のために、各種の滑剤を使用 する場合がある力 滑剤の種類によっては、成型中にプレートアウトを生じ、成型物の 外観の悪化が生じることがある。
[0005] さらに、ゴム質重合体は粉体として製造されることがあるが、粉体の取り扱い性が問 題となる場合がある。具体的には、貯蔵中に粉体が固まるブロッキング現象や、粉体 の流動性の不足によるホッパーや輸送ラインの詰まりなどが生じる事例がある。粉体 特性を改良するために、種々の方法が検討され、例えば、特許文献 1では、ゴム質重 合体、特定のビニル系重合体および滑剤からなる粉体組成物が提案されている。し かし、粉体特性の改良効果は、いまだ不十分な水準である。
[0006] 特許文献 1 :特許第 3132040号公報
[0007] また、特許文献 2には、ガラス転移温度が一 40°C以上の重合体ェマルジヨン(固形 分) 100重量部に対して、平均粒子径が 50 μ m以下の金属または金属化合物 1一 3 00重量部を混合した混合物を噴霧乾燥することを特徴とする、帯電防止剤、塗料、 電磁波シールド剤等の用途に適した粉末粒子の製造方法が開示されている。さらに 特許文献 3には、ゴム含有グラフト共重合体粉末 100質量部と、脂肪酸により表面処 理が施され、平均粒径が 5.0 z m以下、見掛け密度が 0.35gZml以下であり、 Mg、 Ca、 Ba、 Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末 0.01 5.0質量部とを含 有することを特徴とする、樹脂の耐衝撃性の改良に有効なグラフト共重合体混合粉 体であって粉体輸送時の閉塞、ブロッキング等を回避することのできるグラフト共重合 体混合粉体が開示されている。
[0008] 特許文献 2 :特開平 5— 295123号公報
特許文献 3:特開 2002 - 265743号公報
[0009] これまで、上記の各課題に対して、種々の改良方法が提案されてきた力 全ての課 題に対して十分な水準の効果が得られるゴム質重合体含有材料は、見出されていな かった。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 上記の状況に鑑み、本発明の目的は、熱可塑性樹脂の特性を改善するために配 合する用途において有用な、ゴム質重合体含有材料およびこれを熱可塑性樹脂に 配合してなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行い、本発明を完成する に至った。すなわち、本発明は、ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体と、スノレ ホン酸系もしくは硫酸系アルカリ金属塩と、 Si系化合物および Ti系化合物ならびに Mg、 Al、 Ca、 Baおよび Znの塩化物、炭酸塩および硫酸塩よりなる群から選ばれた 化合物からなる 1種または 2種以上の無機微粉末、および/またはガラス転移温度が 40°C— 85°Cの硬質共重合体とを含むことを特徴とするゴム質重合体含有材料であ
る。
[0012] 上記本発明のゴム質重合体含有材料は、前記スルホン酸系もしくは硫酸系アル力 リ金属塩の含有量が、ゴム質重合体 100質量部に対し 1一 10質量部であることが好 ましい。
さらに、上記本発明のゴム質重合体含有材料は、前記無機微粉末の含有量が、ゴ ム質重合体 100質量部に対し 0.05— 8質量部であることが好ましい。
さらに、上記本発明のゴム質重合体含有材料は、前記硬質共重合体の含有量が、 ゴム質重合体 100質量部に対し 0.5— 10質量部であることが好ましレ、。
さらに、上記本発明のゴム質重合体含有材料は、前記硬質共重合体が、 20万一 5 00万の重量平均分子量を有する硬質共重合体であることが好ましい。
[0013] また、本発明は、前記本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合して なる熱可塑性樹脂組成物である。
[0014] また、本発明は、ゴム質重合体ラテックスを乾燥機中で噴霧乾燥することによって得 られるゴム質重合体含有材料の製造方法であって、
スルホン酸系または硫酸系アルカリ金属塩を含むジェン系ゴムを主成分とするゴム 質重合体ラテックスを連続して噴霧装置で噴霧している乾燥機内に、該噴霧装置と は独立した噴霧装置で 40°C— 85°Cのガラス転移温度を有する硬質共重合体のラテ ックスを連続的に噴霧すること、および/または、
Si系化合物および Ti系化合物ならびに Mg、 Al、 Ca、 Baおよび Znの塩化物、炭酸 塩および硫酸塩よりなる群から選ばれた化合物からなる 1種または 2種以上の無機微 粉末を、前記ラテックスとは独立に、連続的に投入すること、を特徴とするゴム質重合 体含有材料の製造方法である。
[0015] なお、本発明において、 (メタ)アタリレートのような記載は、アタリレートまたはメタタリ レートを表す。
発明の効果
[0016] 本発明のゴム質重合体含有材料は、粉体特性が優れており、また熱可塑性樹脂の 特性を改善するために配合する用途において有用である。また、本発明のゴム質重 合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物は、成型時の滑
性、熱安定性等が優れており、優れた表面外観および耐衝撃性を有し、各種成型品 の製造に用いることができる。
発明を実施するための最良の形態
[0017] 以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるゴム質重合体は、ジェン系ゴムを主成分とする。
[0018] [ゴム質重合体]
(ジ工ン系ゴム)
ジェン系ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン ブタジエン共重合 体、アクリロニトリル ブタジエン共重合体、ポリクロ口プレンなどを挙げることができる 好ましくは、ゴム重合に用いる単量体は、単量体全量を 100質量%とした場合、 1 , 3_ブタジエン(Bdと表すことがある)、イソプレン、クロ口プレン等のジェン系単量体を 60質量%以上、より好ましくは 65質量%以上、残余が前記ジェン系単量体と共重合 しうる一種または二種以上のビニル系単量体とからなる。
[0019] ジェン系単量体と共重合しうるビエル系単量体としては、スチレン(Stと表すことが ある)、 ひーメチルスチレン等の芳香族ビュル、メチルメタタリレート、ェチルメタクリレ ート等のメタクリル酸アルキルエステル、ェチルアタリレート、 n ブチルアタリレート等 のアクリル酸アルキルエステル、アタリロニトリノレ、メタタリロニトリル等の不飽和二トリル 、メチルビュルエーテル、ブチルビュルエーテル等のビュルエーテル、塩化ビュル、 臭化ビュル等のハロゲン化ビュル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化 ビニリデン、グリシジルアタリレート、グリシジルメタタリレート、ァリルグリシジルエーテ ノレ、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビュル系単量 体、ジビニノレベンゼン、エチレングリコーノレジメタクリレート、 1, 3—ブチレングリコーノレ ジメタタリレート等の多官能性単量体等を用いることができる。また、これらのビュル系 単量体は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
[0020] ジェン系ゴムの重合方法としては、乳化重合法が通常用いられる。
本発明におけるジェン系ゴムの乳化重合においては、不均化ロジン酸、ォレイン酸 、ステアリン酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩といった公知の乳化剤、及び/又
はスルホン酸系、硫酸系アルカリ金属塩から選ばれた乳化剤を使用することができる 。これらの中では、スルホン酸系、硫酸系アルカリ金属塩を用いることが好ましい。
[0021] スルホン酸系または硫酸系アルカリ金属塩の具体例としては、例えばドデシルペン ゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、アルキ ノレジフエ二ルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアルキルジフエニルエーテルジス ルホン酸アルカリ金属塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸第一アルキルアルカリ金 属塩ゃ硫酸第二アルキルアルカリ金属塩等を挙げることができる。これらの乳化剤は 、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。前記乳化剤を使用 することにより、本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合してなる熱 可塑性樹脂組成物の成型時に、滑性が良好となり、またプレートアウトなどを生じるこ となく長期生産安定性を確保することができる。
[0022] また、重合安定性を向上させる目的で、乳化分散剤を使用することができる。乳化 分散剤の具体例としては、例えば β -ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリ ゥム塩などを挙げることができる。
[0023] ジェン系ゴムの重合方法としては、一段または二段以上の多段重合法を採用する こと力 Sできる。多段重合の際は、重合に用いる単量体の一部を予め反応系内に仕込 み、重合開始後、残りの単量体を一括もしくは分割して添加する方式または連続的 に添加する方式とすることが好ましい。このような重合方式をとることにより、重合安定 性が向上し、所望の粒径および粒径分布を有するジェン系ゴムラテックスを安定して 調製すること力 Sできる。
[0024] ジェン系ゴムラテックスの平均粒子径は、一般的には、重量平均粒子径(dw)で 50 一 400nm、好ましくは 70 300nmである。重量平均粒子径(dw)を 50nm以上とす ると、本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹 脂組成物の耐衝撃性が充分向上し、重量平均粒子径を 400nm以下とすると、表面 外観が良好な成型品が得られ、また耐衝撃性とポリ塩ィ匕ビュル系樹脂に添加した場 合の透明性とのバランスを両立できる。
[0025] (ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体の調製)
本発明におけるジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体は、このようなジェン系
ゴムに、ビュル系単量体をグラフト共重合することにより調製することができる。
[0026] 例えば、前記ジェン系ゴムラテックスの存在下に、メタクリル酸アルキルエステルを 主成分とする単量体、例えば一種または二種以上のメタクリル酸アルキルエステルと 、所望の場合には、これと共重合可能なビニル系単量体とからなる単量体混合物を 一段または二段以上の多段グラフト重合することによりゴム質重合体を調製すること ができる。
[0027] グラフト重合は、三段グラフト重合とするのが好ましい。グラフト重合の第一段目にメ タクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を用いると、本発明のゴム質重合 体含有材料を熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が向 上し、またゴム質重合体含有材料と熱可塑性樹脂との相溶性が向上する。グラフト重 合の第二段目に芳香族ビニル化合物を主成分とする単量体を用いると、ゴム質重合 体の流動性が向上するので好ましい。グラフト重合の第三段目に、メタクリル酸ァノレ キルエステルを主成分とする単量体を用いると、本発明のゴム質重合体含有材料を 熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物の表面の艷を向上させることが できる。
[0028] メタクリル酸アルキルエステルと共重合可能なビュル系単量体の具体例としては、 例えば、スチレン、 α—メチルスチレンならびにこれらのハロゲン置換体およびアルキ ル置換スチレン等の芳香族ビニル、ェチルアタリレート、 η—ブチルアタリレート等のァ クリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタタリロニトリル等の不飽和二トリル、グ リシジルアタリレート、グリシジルメタタリレート、ァリルグリシジルエーテル、エチレング リコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体等を挙げるこ とができる。これらの単量体は、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用すること ができる。
[0029] ゴム質重合体のジェン系ゴム成分の含有量は、通常 50 90質量0 が好ましぐさ らに好ましくは 55 85質量%である。ジェン系ゴム成分の含有量を 50質量%以上と すると、本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性 樹脂組成物の耐衝撃性が向上し、ジェン系ゴム成分の含有量を 90質量%以下とす ると、本発明のゴム質重合体含有材料の熱可塑性樹脂への分散性が向上し、熱可
塑性樹脂が有する優れた特性を保持したまま耐衝撃性等の物性を向上させることが できる。
[0030] グラフト重合の方法としては、ゴム重合と同様に、通常乳化重合法が用いられる。本 発明においては、ゴム重合の場合と同様に、不均化ロジン酸、ォレイン酸、ステアリン 酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩といった公知の乳化剤および Zまたは、スル ホン酸系、硫酸系アルカリ金属塩から選ばれた乳化剤を用いることができる。これら 乳化剤は、それぞれ一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。こ れらの中では、スルホン酸系、硫酸系アルカリ金属塩が好ましい。スルホン酸系また は硫酸系アルカリ金属塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(
DBSNaと表すことがある)などのアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、アル キルジフエニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアルキルジフエニルエーテル ジスルホン酸アルカリ金属塩、ラウリル硫酸ナトリウム(SLSと表すことがある)などの 硫酸第一アルキルアルカリ金属塩や硫酸第二アルキルアルカリ金属塩等を挙げるこ とができる。
[0031] また、重合安定性を向上させる目的で、乳化分散剤を使用することができる。乳化 分散剤の具体例としては、 β -ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩 等を挙げることができる。これら乳化剤または乳化分散剤は、単独でまたは二種以上 を組み合わせて使用することができる。
[0032] スルホン酸系または硫酸系アルカリ金属塩は、最終的に得られるゴム質重合体 10 0質量部に対して、好ましくは 1質量部一 10質量部、より好ましくは 1質量部一 8質量 部含有されるように、ジェン系ゴムの重合時、もしくはジェン系ゴムを主成分とするゴ ム質重合体の調製時の使用量を決定する。
なお、スルホン酸系または硫酸系アルカリ金属塩は、前述した如ぐジェン系ゴムの 重合時、ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体の調製時にすることができ、場合 によってはこれら両方で使用してもよレ、が、ジェン系ゴムの重合時に、スルホン酸系 または硫酸系アルカリ金属塩の添カ卩量が所定量となるように添加しておくことが好ま しい。
乳化剤の使用量は、 1質量部以上とすると重合中に凝集物が生成することがなぐ
また本発明のゴム質重合体含有材料の粉体特性が向上し、さらに本発明のゴム質重 合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物の成型時に滑 性が良好になり十分な長期成型安定性を有するものとすることができ、金型力もの離 型性も向上する。一方、乳化剤の使用量を 10質量部以下とすると重合中の泡立ちが なぐこれにより生産性が向上し、表面外観が良好な成型品が得られるので好ましレ、
[0033] 本発明のゴム質重合体含有材料に用いる無機微粉末としては、 Si系化合物および Ti系化合物ならびに Mg、 Al、 Ca、 Baおよび Znの塩化物、炭酸塩および硫酸塩より なる群から選ばれた化合物からなる無機微粉末を用いる。
Si系化合物の例としては、例えば、二酸化珪素、けいそう土等を、 Ti系化合物の例 としては、酸化チタンなどを挙げることができる。また、 Mg、 Al、 Ca、 Baおよび Znの 塩化物、炭酸塩および硫酸塩の例としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ ゥム、硫酸バリウム、クレー、タルク、メタ珪酸カルシウムなどを用いることができる。 これらの化合物は天然物であっても合成物であってもよい。無機微粉末は、一種ま たは二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、二酸化珪素 およびカルシウム塩が好ましい。二酸化珪素としては特に制限されないが、疎水性シ リカ、親水性シリカなどあらゆる種類の二酸化珪素を使用することができる。カルシゥ ム塩としては特に制限されなレ、が、その中でも炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カル シゥムは安価であり、大幅にコストを高めることなぐ効果的にゴム質重合体含有材料 の粉体特性の改良を行うことができる。
[0034] これらの無機微粉末は、ゴム質重合体 100質量部に対し、 0. 05-8. 0質量部混 合するのが好ましい。 0. 05質量部以上とすると、粉体特性の改良効果が十分となり 、 8. 0質量部以下とすると本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑性樹脂に配合 してなる熱可塑性樹脂組成物の成型品の表面外観などの物性が向上する。
[0035] 本発明のゴム質重合体含有材料に使用する硬質共重合体は、ガラス転移温度が 4 0— 85°Cの硬質共重合体である。ガラス転移温度が 85°C以下の硬質共重合体を含 む構成とすることにより、ゴム質重合体含有材料の粉体特性を改良することができる。 硬質共重合体を、ガラス転移温度が 85°C以下のものとすると、ゴム質重合体含有材
料の粉体特性が優れたものとなり、微粉が発生することもない。また、本発明で用いる 硬質共重合体は、ガラス転移温度が 40°C以上であるものを用いる。硬質共重合体を 、ガラス転移温度が 40°C以上のものとすると、ゴム質重合体含有材料の粉体特性が 向上する。また、硬質共重合体の重量平均分子量 (Mwと表すことがある)は通常、 2 00, 000 5, 000, 000とするの力 S好ましレヽ、 Mwを 200, 000以上とすると、十分な 粉体特性改良効果が得られ、 5, 000, 000以下とすると成型品にフィッシュアイが生 じない。
[0036] 本発明における硬質共重合体のガラス転移温度は、硬質共重合体の合成に使用 する各単量体の単独重合体のガラス転移温度と硬質共重合体における各単量体単 位の重量分率から Foxの式などの計算式を用いて算出してもよいし、各種測定装置 を使用して測定してもよい。
[0037] 本発明のゴム質重合体含有材料の製造に用いることのできる硬質共重合体の量は 、ゴム質重合体を 100質量部とした場合、 0. 5— 10質量部の範囲が好ましい。硬質 共重合体の量を 10質量部以下とすると、本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑 性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が向上し、硬質共重合体の 量を 0. 5質量部以上とするとゴム質重合体含有材料の粉体特性が向上し好ましい。 硬質共重合体の量は、さらに好ましくは 0. 5— 5質量部の範囲である。
[0038] 本発明に用いる硬質共重合体の製造方法は、特に制限されるものではないが、通 常、乳化重合で製造され、重合時における単量体、重合開始剤、乳化剤の添加は、 一括添加、連続添加、分割添加、多段階添加等で行うことができる。また、これらの 組み合わせにより添加してもよレ、。
[0039] 硬質共重合体の乳化重合においては、通常の乳化重合に使用できる単量体を用 レ、ることができる。例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、ェチ レン系不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、 ハロゲンィ匕ビュル系単量体、マレイミド系単量体等を挙げることができる。
[0040] 芳香族ビュル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、 ひ—メチノレ スチレン、ビュルトルエン等を挙げることができる。これらのなかでは、特にスチレンが 好ましレ、。また、これらの芳香族ビニル系単量体は、それぞれ単独でまたは二種以上
を組み合わせて使用することができる。また、他の単量体の一種または二種以上と組 み合わせて使用してもよい。
[0041] シアン化ビエル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メ タアクリロニトリル、 ひ一クロロアタリロニトリノレ、 ひ一ェチルアクリロニトリル等が挙げられ る。これらのなかでは、特にアクリロニトリルが好ましレ、。また、これらのシアン化ビュル 系単量体は、それぞれ単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる 。また、他の単量体の一種または二種以上と組み合わせて使用してもよい。
[0042] エチレン系不飽和カルボン酸系単量体としては、特に制限はなレ、が、例えば、ァク リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ィタコン酸などのモノカルボン酸およびジカルボン 酸が挙げられる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸系単量体は、それぞれ単独 でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。また、他の単量体の一種ま たは二種以上と組み合わせて使用してもよい。
[0043] 不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、特に制限はないが、例え ば、メチルアタリレート、ェチルアタリレート、ブチルアタリレート、プロピルアタリレート、 2_ェチルへキシルアタリレート、ァリルアタリレート、グリシジルアタリレート、メチノレメタ タリレート、ェチルメタタリレート、ブチルメタタリレート、プロピルメタタリレート、 2—ェチ ルへキシルメタタリレート、ァリルメタタリレート、グリシジルメタタリレート等が挙げられ る。これらの不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体は、それぞれ単独でまた は二種以上を組み合わせて使用することができる。また、他の単量体の一種または 二種以上と組み合わせて使用してもょレ、。
[0044] ハロゲン化ビュル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、塩化ビュル、塩 化ビニリデン等を挙げることができる。これらのハロゲン化ビュル系単量体は、それぞ れ単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。また、他の単量体 の一種または二種以上と組み合わせて使用してもよい。
[0045] マレイミド系単量体としては、特に制限はないが、例えば、マレイミド、 N—フエニル マレイミド、 N—シクロへキシルマレイミド、 N_メチルマレイミド等が挙げられる。これら のマレイミド系単量体は、それぞれ単独でまたは二種以上を組み合わせて使用する こと力 Sできる。また、他の単量体の一種または二種以上と組み合わせて使用してもよ
レ、。
[0046] さらに、上記の単量体以外に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビエルピリジン等 の乳化重合可能な単量体を使用することもできる。
[0047] また、必要に応じて、上述した成分以外に、ジビュルベンゼン、 1, 3—プチレンジメ タクリレート、ァリルメタタリレート、グリシジルメタタリレートなどの架橋斉 lj、メルカプタン 類といった連鎖移動剤を併用してもよい。
[0048] 重合開始剤としては、特に限定はないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ ム、過硫酸アンモニゥムなどの水溶性過硫酸塩、ジイソピロピルベンゼンヒドロペルォ キシド、 p—メンタンヒドロペルォキシド、タメンヒドロペルォキシド、 t—ブチルヒドロペル ォキシド、メチルシクロへキシルヒドロペルォキシド、 1, 1, 3, 3—テトラメチルブチルヒ ドロぺノレォキシド、 1, 1 , 3, 3—テトラメチルブチルペルォキシ _2_ェチルへキサノエ ート、 1, 1 , 3, 3—テトラメチルブチルペルォキシ _2_ェチルへキサノエート、 t—ブチ ルペルォキシ -3, 5, 5-トリメチルへキサノエートなどの有機過酸化物を一成分とす るレドックス系開始剤を使用することができる。
[0049] 乳化剤としては、特に制限されないが、例えば、不均化ロジン酸、ォレイン酸、ステ アリン酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸などのス ルホン酸のアルカリ金属塩の、それぞれ一種をまたは二種以上を組み合わせて使用 すること力 Sできる。
[0050] 本発明のゴム質重合体含有材料の製造方法は、スルホン酸系または硫酸系アル力 リ金属塩を含むジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体ラテックスを連続して噴霧 装置で噴霧している乾燥機内に、この噴霧装置とは独立した噴霧装置で 40°C— 85 °Cのガラス転移温度を有する硬質共重合体のラテックスを連続的に噴霧して、および /または、 Si系化合物および Ti系化合物ならびに Mg、 Al、 Ca、 Baおよび Znの塩化 物、炭酸塩および硫酸塩よりなる群から選ばれた化合物からなる 1種または 2種以上 の無機微粉末を、前記ラテックスとは独立に、連続的に投入することにより、ゴム質重 合体含有材料を得るものである。また、本発明の製造方法においては、上記硬質共 重合体ラテックスの噴霧と無機微粉末の投入とを同時に行う構成とすることが好まし レ、。
[0051] 本発明における噴霧乾燥は、乾燥ガス (熱風)中に重合後のラテックスを噴霧 (微細 ィ匕)して乾燥粉末として回収する方法であり、乾燥機形状、噴霧装置などは公知の噴 霧乾燥機、噴霧装置を使用することができる。また、噴霧乾燥機の容量も特に制限が なぐ小試験的な小規模なスケールから、工業的に使用するような大規模なスケール までいずれの容量の乾燥機も使用することができる。
[0052] ゴム質重合体ラテックスを噴霧する装置は、乾燥機上部に 1個以上設置され、噴霧 方式は回転円盤式、圧力ノズル式、 2流体ノズル式、加圧 2流体ノズル式などいずれ の方式でもよい。
[0053] 硬質共重合体ラテックスは、上記ゴム質重合体ラテックスとは独立した噴霧装置を 用いて噴霧される。硬質共重合体ラテックスを噴霧する装置は、乾燥機上部または 側壁に 1個以上設置され、噴霧方式は、圧力ノズル式、 2流体ノズル式、加圧 2流体 ノズノレ式などのノズル方式が好ましレ、。
[0054] また、本発明においては、乾燥機内に無機微粉末をラテックスとは独立に連続的に 投入する以外は、重合体混合粉末と無機微粉末を混合する方法については特に制 限されない。乾燥機内で混合することで、乾燥機内などの各工程で粉末の付着をより 効果的に防止でき、粉体特性もさらに向上させること力 Sできる。無機微粉末を乾燥機 内に連続的に投入する方法としては、乾燥機天井部、側面部から各種のパウダーフ ィーダ一により乾燥機内に直接に投入してもよいし、乾燥機内を負圧にして吸い込ま せてもよい。
[0055] 本発明においては、噴霧乾燥した乾燥粉末を乾燥ガスから分離、回収する装置を 有していることが好ましい。乾燥ガスから乾燥粉末を回収する方法は特に制限されな レ、。一般的には、遠心方式によるサイクロンや濾過方式によるバグフィルターなどが 好ましい。
[0056] [熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明のゴム質重合体含有材料を熱可塑性樹 脂に配合して得る。本発明のゴム質重合体含有材料は、粉体、顆粒またはペレット状 であってもよい。本発明のゴム質重合体含有材料は、熱可塑性樹脂 100質量部に対 して、 0. 1 80質量部配合することが好ましぐ 0. 2— 50質量部を配合するのがより
好ましい。ゴム質重合体含有材料の配合量を 0. 1質量部以上とすると本発明の熱可 塑性樹脂組成物の成型物の耐衝撃性が高くなり、 80質量部以下とすると本発明の 熱可塑性樹脂組成物の成型物の外観が良好となりまたコストを低減することができ好 ましい。
本発明における熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル (PVCと表すこと がある)、ポリ塩素化塩ィ匕ビュル(CPVCと表すことがある)等のポリ塩ィ匕ビュル系樹 脂(PVC系樹脂と表すことがある)、ポリプロピレン (PPと表すことがある)、ポリエチレ ン (PEと表すことがある)等のォレフィン系樹脂、ポリスチレン (PSと表すことがある)、 ハイインパクトポリスチレン(HIPSと表すことがある)、(メタ)アクリル酸エステル—スチ レン共重合体(MSと表すことがある)、スチレン一アクリロニトリル共重合体(SANと表 すことがある)、スチレン一無水マレイン酸共重合体(SMAと表すことがある)、アタリ口 二トリル—ブタジエン—スチレン共重合体 (ABSと表すことがある)、アクリロニトリル—ス チレン共重合体 (ASと表すことがある)、アクリロニトリル スチレン アクリロニトリル共 重合体 (ASAと表すことがある)、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体 (AE Sと表すことがある)等のスチレン系樹脂(St系樹脂と表すことがある)、ポリメタクリル 酸メチル (PMMAと表すことがある)等のアクリル系樹脂 (Ac系樹脂と表すことがある )、ポリカーボネート(PCと表すことがある)等のポリカーボネート系樹脂 (PC系樹脂と 表すことがある)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂と表すことがある)、ポリエチレンテレフ タレート(PETと表すことがある)、ポリブチレンテレフタレート(PBTと表すことがある) 等のポリエステル系樹脂(PEs系樹脂と表すことがある)、(変性)ポリフエ二レンエー テル系樹脂(PPE系樹脂と表すことがある)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系榭 脂と表すことがある)、ポリスルフォン系樹脂(PS〇系樹脂と表すことがある)、ポリアリ レート系樹脂(PAr系樹脂と表すことがある)、ポリフエ二レンスルフイド系樹脂(PPS 系樹脂と表すことがある)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂 (PU系樹脂と表すことがある )等のエンジニアリングプラスチックス、スチレン系エラストマ一、ォレフィン系エラスト マー、塩化ビュル系エラストマ一、ウレタン系エラストマ一、ポリエステル系エラストマ 一、ポリアミド系エラストマ一、フッ素系エラストマ一、 1, 2_ポリブタジエン、トランス— 1 , 4一ポリイソプレン等の熱可塑性エラストマ一 (TPEと表すことがある)が挙げ
られる。これらは、一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
[0058] 本発明のゴム質重合体含有材料の添カ卩による耐衝撃性の改善効果が顕著である ところ力 、上記熱可塑性樹脂として、 PVC系樹脂が好ましく用いられる。本発明に おける PVC系樹脂としては、具体的には、ポリ塩化ビュル、ポリ塩素化塩ィ匕ビュル等 の塩素基含有樹脂、または 70質量%以上の塩化ビュルと、これと共重合可能な他の 単量体 30質量%未満との共重合体が挙げられる。共重合可能な他の単量体として は、臭化ビュル、塩化ビニリデン、酢酸ビュル、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン等 が挙げられる。
[0059] 本発明のゴム質重合体含有材料と、熱可塑性樹脂との混合は、特に限定されず、 公知の混合方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂の混練に通常使用 される混練機によって行うことができる。具体的には、例えば、ミキシングロール、カレ ンダーロール、バンバリ一ミキサー、押出機等を用いて行うことができる。 また本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、染料、顔料、安定剤、補 強材、充填剤、難燃剤等の各種の添加剤を配合することができる。
[0060] 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これを成型することにより、耐衝撃性、表面外観 などの物性が改良された成型物を得ることができる。成型方法は、特に限定されず、 例えば、公知の成型方法のな力から本発明の熱可塑性樹脂組成物に適した方法を 選択すればよい。例えば、押出機、射出成型機、ブロー成型機、インフレーション成 型機等の各種成型機を用いて成型する方法を挙げることができる。
実施例
[0061] 以下実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例においては、特記 しないかぎり、「部」は「質量部」を表す。また、本実施例においては、ゴム質重合体含 有材料を配合して熱可塑性樹脂組成物からなるサンプル試験片を作製するために、 以下の熱可塑性樹脂を用いた。
PVC:信越化学 (株)製、 TK-700 (商品名)
PC :日本ジーィ一プラスチック (株)製、レキサン 141 (商品名)
PBT:三菱レイヨン (株)製、タフペット N1000 (商品名)
ABS :宇部サイコン (株)製、 UX050 (商品名)
AS :宇部サイコン (株)製、 SR05B (商品名)
[0062] また、各実施例、比較例での諸物性の測定は次の方法による。
(1)重量平均粒子径 (dw)
キヤピラリー式粒度分布計 (米国 MATEC社製、 CHDF2000型粒度分布計;商品 名)を用い、 MATEC社が推奨する標準条件、すなわち、専用の粒子分離用キヤピ ラリー式カートリッジおよびキャリア液を用レ、、液性はほぼ中性、流速 1. 4ml/min、 圧力を約 4000psi、温度 35°Cに保ち、蒸留水で濃度約 3%となるよう希釈したラテツ タス試料 0. 1mlを試料として測定した。なお、標準粒子径物質として米国 DUKE社 製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを 0. 02 111カ、ら0. 8 z mの範囲内で合計 12 点用いた。
[0063] (2)ガラス転移温度
共重合体の組成より、下記 Foxの式(T.G.Fox, Bull. Am. Phys. So , vol.1, 123(1956))にて計算した。
)
上記式において、 Tgは、共重合体のガラス転移温度(K)を、 Tg— Tgは共重合体
1 n を構成する各単量体の単独重合体のガラス転移温度(K)を、 nは、共重合体を構成 する単量体種の数を、 w
1一 wは、共重合体を構成する各単量体の共重合体におけ n
る重量分率を表す。
なお、本発明においては、ポリメチルメタタリレートの Tgとして 378K、ポリブチルァ タリレートの Tgとして 219Κ、ポリブチルメタタリレートの Tgとして 293Κの値を用レ、、 共重合体を構成する各単量体の重量分率として、各単量体の仕込み組成 (重量分 率)を用いてガラス転移温度を求めた。
[0064] (3)重量平均分子量
GPC (東ソ一(株)製、 GPC—8020 ;商品名)を用レ、、溶離液としてテトラヒドロフラン 、カラムとして TSK—GEL SUPER HM—H (東ソ一(株)製;商品名) 6. Omm φ X 150mmを二本使用し、流速 0. 5ml/min、温度 40°Cに保った状態で、 THFで濃 度約 2. 4mg/mlとなるよう希釈した試料 10 μ 1を注入して測定した。
[0065] (4)粉体特性
(4 - 1)粉体流動性
JIS K 6741に記載の嵩比重測定装置にゴム質重合体含有材料の粉体 50gを入 れ、 10秒当たりに粉体が落下する質量を測定した(単位は g/10秒)。この数値が大 きいほど粉体流動性が良好である。
(4-2)耐ブロッキング性
円筒容器にゴム質重合体含有材料の粉体を 20g入れ、 50°Cで 17. 5kPaの圧力 下で 6時間静置した。得られたブロックを 12メッシュのふるい上に載せ、ミクロ型電磁 振動ふるレ、機 (筒井理化製)で振動を与え、ブロックが 60%破砕する時間を測定した 。この時間が短いほど、耐ブロッキング性が良好である。
[0066] (5)アイゾット衝撃強さ
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビュルの場合は、 6インチロールにて、 185°Cでゴム質重 合体含有材料を配合して得た組成物を 3分間溶融混練後、 4. 9MPa、 185°Cでプレ ス成型して、サンプル試験片を得た。
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビュル以外の場合は、ゴム質重合体含有材料を配合して 得た組成物を 30mm二軸押出機にて 260°Cでペレット化し、その後 90°Cでペレット を 12時間乾燥し、成型温度 260°Cで射出成型してサンプル試験片を得た。アイゾッ ト衝撃強さは、 ASTM D256に準じて測定した。
[0067] (6)ステイツキング時間
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビュルの場合における、加工時における滑性維持性の指 標として、本試験を実施した。 6インチロールにて、 195°Cでゴム質重合体含有材料 を配合して得た組成物を溶融混練し、 1分間隔でロールからの剥れやすさを確認し、 ロールから剥れなくなるまでの時間を評価した。この時間が長いほど、滑性が良好で ある。
[0068] (7)押出し時のトノレク
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル以外の場合における、加工時における滑性の指標 として、本試験を実施した。ゴム質重合体含有材料を配合して得た組成物を 30mm 二軸押出機にて 260°Cでペレツトイ匕する際の、トルクを測定した。このトノレク値が小さ レ、ほど、滑性が良好である。
[0069] (8)成型品熱安定性
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビエルの場合は、 6インチロールにて、 185°Cでゴム質重 合体含有材料を配合して得た組成物を溶融混練(3分間および 10分間)し、得られ たサンプルの YIを比較し、 YIの差が 10以下であれば A、 10を越え 15以下であれば
B、 15を越えれば Cとした。
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル以外の場合は、ゴム質重合体含有材料を配合して 得た組成物を 30mm二軸押出機にて 260°Cでペレット化し、この操作を三回繰り返 した。その後 90°Cでペレットを 12時間乾燥し、成型温度 260°Cで射出成型してサン プル試験片を得た。このサンプルとアイゾット衝撃強さ試験用試験片との YIを比較し 、 YIの差が 5以下であれば A、 5を越えて 10以下であれば B、 10を越えれば Cとした
[0070] (9)成型品表面外観
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビュルの場合は、ゴム質重合体含有材料を配合して得た 組成物から、スクリュー径 30mmの一軸押出機により、樹脂温度 190°Cで厚さ 0. 2m mのシートを成型し、このシートの表面の艷、フィッシュアイ等の表面外観を、 A、 B、
C、 D、 E、 Fの六段階で目視評価した。基準を以下に示した。また、熱可塑性樹脂が ポリ塩化ビニル以外の場合は、アイゾット衝撃試験用の試験片について、その表面 外観を上記と同様にして評価した。なお、 C以上を合格とした。
A;成型品表面に艷があり、フィッシュアイやフローマークなどの表面外観異常がほ とんど認められない。
B ;成型品表面に艷があり、ごく少数のフィッシュアイが認められる力 他の表面外 観異常がほとんど認められない。
C ;成型品表面に艷があり、少数のフィッシュアイが認められる力 他の表面外観異 常がほとんど認められない。
D ;成型品表面の艷が低下し、少数のフィッシュアイが認められる。
E ;成型品表面の艷が低下し、やや多めのフィッシュアイが認められる。
F ;成型品表面の艷が非常に低下し、多数のフィッシュアイが認められる。
[0071] (製造例 1)硬質共重合体 (P— 1)ラテックスの製造
攪拌装置付き反応装置に、脱イオン水 250質量部、アルケニルコハク酸カリウム 1. 0質量部、メチルメタクリレー HMMAと表すことがある) 68質量部、ブチルメタクリレ ート(BMAと表すことがある) 30質量部、ブチルアタリレート(BAと表すことがある) 2 質量部を仕込み、攪拌を開始し、 50°Cに昇温した。ついで、脱イオン水 30質量部お よび過硫酸カリウム 0. 15質量部の混合物を反応装置内に添加して重合を開始し、 5 時間保持して、硬質共重合体 (P— 1)のラテックスを得た。硬質共重合体 (P— 1)の重 量平均分子量は 240万、ガラス転移温度は 70°Cであった。得られた結果を纏めて表 1に示した。
[0072] (製造例 2)硬質共重合体 (P— 2)ラテックスの製造
メチルメタタリレート 92. 5質量部、ブチルアタリレート 7. 5質量部および n—ォクチル メルカブタン 0. 001質量部を仕込んだこと以外は製造例 1と同様にして、硬質共重 合体 (P— 2)のラテックスを得た。硬質共重合体 (P— 2)の重量平均分子量は 240万、 ガラス転移温度は 85°Cであった。得られた結果を纏めて表 1に示した。
[0073] (製造例 3)硬質共重合体 (P— 3)ラテックスの製造
メチルメタタリレート 68質量部、ブチルメタタリレート 6質量部、ブチルアタリレート 26 質量部を仕込んだこと以外は製造例 1と同様にして、硬質共重合体 (P— 3)のラテック スを得た。硬質共重合体 (P— 3)の重量平均分子量は 240万、ガラス転移温度は 40 °Cであった。得られた結果を纏めて表 1に示した。
[0074] (製造例 4)硬質共重合体 (P— 4)ラテックスの製造
メチルメタタリレート 86質量部、ブチルアタリレート 14質量部を仕込んだこと以外は 製造例 1と同様にして、硬質共重合体 (P— 4)のラテックスを得た。硬質共重合体 (P— 4)の重量平均分子量は 500万、ガラス転移温度は 70°Cであった。得られた結果を 纏めて表 1に示した。
[0075] (製造例 5)硬質共重合体 (P— 5)ラテックスの製造
メチルメタタリレート 68質量部、ブチルメタタリレート 30質量部、ブチルアタリレート 2 質量部および n—ォクチルメルカブタン 0. 07質量部を仕込んだこと以外は製造例 1と 同様にして、硬質共重合体 (P_5)のラテックスを得た。硬質共重合体 (P— 5)の重量 平均分子量は 20万、ガラス転移温度は 70°Cであった。得られた結果を纏めて表 1に
示した。
[0076] (製造例 6)硬質共重合体 (P— 6)ラテックスの製造
メチルメタタリレート 98質量部、ブチルアタリレート 2質量部および η—ォクチルメル力 ブタン 0. 001質量部を仕込んだこと以外は製造例 1と同様にして、硬質共重合体 (Ρ _6)のラテックスを得た。硬質共重合体(Ρ— 6)の重量平均分子量は 240万、ガラス 転移温度は 100°Cであった。得られた結果を纏めて表 1に示した。
[0077] (製造例 7)硬質共重合体 (P— 7)ラテックスの製造
メチルメタタリレート 60質量部、ブチルアタリレート 40質量部および n—ォクチルカレ カブタン 0. 001質量部を仕込んだこと以外は製造例 1と同様にして、硬質共重合体 ( P— 7)のラテックスを得た。硬質共重合体 (P— 7)の重量平均分子量は 240万、ガラス 転移温度は 20°Cであった。得られた結果を纏めて表 1に示した。
[0078] [表 1]
[0079] (実施例 1)ゴム質重合体含有材料 (B— 1)の製造
(ジェン系ゴム重合体の調製)
第一単量体として以下の物質を 70Lオートクレーブに仕込み、昇温して 43°Cにな つたときレドックス系開始剤を反応機内に添加し、反応を開始し、さらに 65°Cまで昇 温した。
第一単量体
1 , 3—ブタジエン 23. 4質量部
スチレン 6. 6質量部
p—メンタンヒドロペルォキシド 0. 1質量部
ピロリン酸ナトリウム 0. 5質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 0. 1質量部
(花王 (株)製、エマール 2F ;商品名)
脱イオン水 質量部
レドックス系開始斉 IJ
エチレンジァミン四酢酸 ナトリウム 0. 0009質量部
0. 3質量部
脱イオン水 5 質量部
重合開始力 2時間後に下記の開始剤を反応機内に添加し、その直後より下記の 第二単量体、乳化剤、脱イオン水を 2時間に渡り連続滴下した。
開始剤
p—メンタンヒドロペルォキシド 0. 2質量部
第二単量体
1 , 3—ブタジエン 54. 6質量部
スチレン 15. 4質量部
乳化剤、脱イオン水
ラウリル硫酸ナトリウム 1. 9質量部
(花王 (株)製、エマール 2F ;商品名)
脱イオン水 75 質量部
重合開始から 15時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体のラテックスを得た。得 られたブタジエン系ゴム重合体のラテックスの重量平均粒子径は 200nmであった。
(ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体ラテックスの調製)
上記重合で得られたブタジエン系ゴム重合体ラテックスを固形分として 70質量部、 ラウリル硫酸ナトリウム(花王 (株)製、エマール 2F ;商品名) 0. 6質量部、ロンガリット 0. 6質量部を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を 70°Cに保持して、メチルメタ タリレート 7. 5質量部、ェチルアタリレート 1. 5質量部及びタメンヒドロペルォキシドを 上記単量体混合物を 100質量部とした場合に 0. 3質量部含有する混合物を 1時間
力けて滴下した後 1時間保持した。その後、前段階で得られた重合体の存在下で、 第 2段目としてスチレン 15質量部及びタメンヒドロペルォキシドをスチレンを 100質量 部とした場合に 0. 3質量部含有する混合物を 1時間かけて滴下した後 3時間保持し た。
しかる後に、第 1段目および第 2段目で得られた重合体の存在下で、第 3段目とし てメチルメタタリレート 6質量部およびタメンヒドロペルォキシドをメチルメタタリレートを 100質量部とした場合に 0. 3質量部含有する混合物を 0. 5時間かけて滴下した後 1 時間保持してから重合を終了してジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体のラテツ タスを得た。得られたジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体 (G— 1)ラテックスに ブチル化ハイドロキシトルエン 0. 5質量部を添加した。
[0081] (ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製)
上記ゴム質重合体 (G_l )ラテックスの固形分 100質量部に対し、製造例 1の硬質 共重合体 (P— 1)ラテックスの固形分が 2質量部の割合となるように、製造例 1の硬質 共重合体 (P— 1)ラテックスを圧力ノズルから、上記ゴム質重合体ラテックスを硬質共 重合体 (P— 1)ラテックスとは別の加圧 2流体ノズルから同時に、各々、スプレードライ ヤー内に噴霧してゴム質重合体含有材料 (B— 1)を得た。得られたゴム質重合体含 有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0082] (実施例 2)ゴム質重合体含有材料 (B - 2)の製造
ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製において、製造例 1の 硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて製造例 2の硬質共重合体 (P— 2)ラテックスと した以外は実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (B— 2)を得た。得られたゴ ム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-1に示した。
[0083] (実施例 3)ゴム質重合体含有材料 (B— 3)の製造
ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製において、製造例 1の 硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて製造例 3の硬質共重合体 (P— 3)ラテックスと した以外は実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (B— 3)を得た。得られたゴ ム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-1に示した。
[0084] (実施例 4)ゴム質重合体含有材料 (B - 4)の製造
ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製において、製造例 1の 硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて製造例 4の硬質共重合体 (P— 4)ラテックスと した以外は、実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (B— 4)を得た。得られた ゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-1に示し た。
[0085] (実施例 5)ゴム質重合体含有材料 (B— 5)の製造
ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製において、製造例 1の 硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて製造例 5の硬質共重合体 (P— 5)ラテックスと した以外は、実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (B— 5)を得た。得られた ゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-1に示し た。
[0086] (実施例 6)ゴム質重合体含有材料 (B— 6)の製造
硬質共重合体 (P— 1)ラテックスの固形分が 0.5質量部の割合となるように、硬質共 重合体 (P— 1)ラテックスを噴霧した以外は、実施例 1と同様にしてゴム質重合体含有 材料 (B— 6)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。 結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0087] (実施例 7)ゴム質重合体含有材料 (B— 7)の製造
硬質共重合体 (P— 1)ラテックスの固形分が 5質量部の割合となるように、硬質共重 合体 (P— 1)ラテックスを噴霧した以外は、実施例 1と同様にしてゴム質重合体含有材 料 (B— 7)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結 果を纏めて表 2— 1に示した。
[0088] (実施例 8)ゴム質重合体含有材料 (B— 8)の製造
硬質共重合体 (P— 1)ラテックスの固形分が 10質量部の割合となるように、硬質共 重合体 (P— 1)ラテックスを噴霧した以外は、実施例 1と同様にしてゴム質重合体含有 材料 (B— 8)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。 結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0089] (実施例 9)ゴム質重合体含有材料 (B— 9)の製造
ゴム質重合体 (G— 1)ラテックスに代えて、ジェン系ゴム質重合体の調製において、
第一単量体における 1, 3—ブタジエンの使用量 23.4質量部に代えて 30. 0質量部と し、スチレンの使用量 6.6質量部に代えて 0質量部とし、第二単量体における 1 , 3- ブタジエンの使用量 54.6質量部に代えて 70. 0質量部とし、スチレンの使用量 15.4 質量部に代えて 0質量部とした以外は実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材 料 (B— 9)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結 果を纏めて表 2— 1に示した。
なお、ブタジエンゴム重合体ラテックスの重量平均粒子径は 190nmであった。
[0090] (実施例 10)ゴム質重合体含有材料 (B— 10)の製造
ゴム質重合体(G—1)ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル R972 (ァ エロジルと表すことがある)(日本ァエロジル (株)製;商品名)を 0. 3質量部の割合と なるように、ァエロジノレを自動計量しェジヱクタ一に吸引させ、気流が流れている配 管に導入し、その気流にのせてスプレードライヤーに導入し、上記ゴム質重合体ラテ ックスは加圧 2流体ノズルから同時に、各々、スプレードライヤーに導入 ·噴霧した以 外は実施例 1と同様にしてゴム質重合体含有材料 (B— 10)を得た。得られたゴム質 重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0091] (実施例 11)ゴム質重合体含有材料 (B - 11)の製造
第二単量体を連続滴下する際に用いるラウリル硫酸ナトリウム量 1.9質量部に代え てこの量を 1 · 33質量部とし、ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体を調製する 際に使用するラウリル硫酸ナトリウムの量 0.6質量部に代えてこの量を 0質量部とした 以外は実施例 10と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (B— 11)を得た。得られたゴ ム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0092] (実施例 12)ゴム質重合体含有材料 (B— 12)の製造
ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体を調製する際に使用するラウリル硫酸ナ トリウムの量 0.6質量部に代えてこの量を 3. 6質量部とした以外は実施例 10と同様に してゴム質重合体含有材料 (B— 12)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、 て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0093] (実施例 13)ゴム質重合体含有材料 (B— 13)の製造
ジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体を調製する際に使用するラウリル硫酸ナ
トリウムの量 0.6質量部に代えてこの量を 8. 6質量部とした以外は実施例 10と同様に してゴム質重合体含有材料 (B—:[ 3)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、 て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0094] (実施例 14)ゴム質重合体含有材料 (B - 14)の製造
ラウリル硫酸ナトリウムに代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王 (株) 製、ネオペレックス F25;商品名)を使用した以外は実施例 10と同様にしてゴム質重 合体含有材料 (B - 14)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性 を評価した。結果を纏めて表 2_1に示した。
[0095] (実施例 15)ゴム質重合体含有材料 (B— 15)の製造
ゴム質重合体 (G— 1)ラテックスに代えて、ジェン系ゴム質重合体の調製において、 第一単量体における 1, 3_ブタジエンの使用量 23.4質量部に代えて 30. 0質量部と し、スチレンの使用量 6.6質量部に代えて 0質量部とし、第二単量体における 1 , 3- ブタジエンの使用量 54.6質量部に代えて 70. 0質量部とし、スチレンの使用量 15.4 質量部に代えて 0質量部とした以外は実施例 10と同様にしてゴム質重合体含有材 料 (B— 15)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。 結
果を纏めて表 2— 1に示した。
なお、ブタジエンゴム重合体ラテックスの重量平均粒子径は 190nmであった。
[0096] (実施例 16)ゴム質重合体含有材料 (B - 16)の製造
ゴム質重合体(G-1)ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル R972 (日 本ァエロジル (株)製;商品名) 0. 3質量部の導入に代えて 0. 05質量部の導入とし た以外は実施例 10と同様にしてゴム質重合体含有材料 (B— 16)を得た。得られたゴ ム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-1に示した。
[0097] (実施例 17)ゴム質重合体含有材料 (B— 17)の製造
ゴム質重合体ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル R972 (日本ァエロ ジル (株)製;商品名) 0. 3質量部の導入に代えて 0. 8質量部の導入とした以外、他 は実施例 10と同様にしてゴム質重合体含有材料 (B— 17)を得た。得られたゴム質重 合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0098] (実施例 18)ゴム質重合体含有材料 (B - 18)の製造
ゴム質重合体(G-1)ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル R972 (日 本ァエロジル (株)製;商品名) 0· 3質量部の導入に代えて、炭酸カルシウム (炭カル と略記することがある) 0. 5質量部の導入とした以外は実施例 10と同様にしてゴム質 重合体含有材料 (B— 18)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特 性を評価した。結果を纏めて表 2_1に示した。
[0099] (実施例 19)ゴム質重合体含有材料 (B— 19)の製造
ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製において、さらに、ゴム 質重合体(G—1)ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル R972 (日本ァェ ロジノレ (株)製;商品名)を 0. 3質量部の割合で実施例 10と同様にしてスプレードライ ヤーに導入した以外は実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (B— 19)を得 た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2_1に示した。
[0100] (実施例 20)ゴム質重合体含有材料 (B - 20)の製造
ゴム質重合体 (G-1)ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル(日本ァェ ロジノレ (株)製;商品名) 0.3質量部に代えて 0· 8質量部の割合となるように導入し、 製造例 1の硬質共重合体 (P— 1 )ラテックスの固形分 2質量部に代えて 0. 5質量部の 割合となるように噴霧した以外は実施例 19と同様にしてゴム質重合体含有材料 (B- 20)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結果を 纏めて表 2— 1に示した。
[0101] (実施例 21)ゴム質重合体含有材料 (B - 21)の製造
ゴム質重合体(G—1)ラテックスの固形分 100質量部に対し、ァエロジル(日本ァェ ロジノレ (株)製;商品名) 0.3質量部に代えて 0. 05質量部の割合となるように導入し、 製造例 1の硬質共重合体 (P— 1 )ラテックスの固形分 2質量部に代えて 10質量部の 割合となるように噴霧した以外は、実施例 19と同様にしてゴム質重合体含有材料 (B 一 21)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結果 を纏めて表 2—1に示した。
[0102] (実施例 22)ゴム質重合体含有材料 (B— 22)の製造
ジェン系ゴム質重合体を含むゴム質重合体含有材料の調製にぉレ、て、ァエロジル
R972 (日本ァエロジノレ (株)製;商品名)を 0· 3質量部の割合で導入したのに代えて 、炭酸カルシウムを 0.5質量部の割合で導入した以外は、実施例 19と同様にしてゴ ム質重合体含有材料 (B— 22)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉 体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0103] (実施例 23)ゴム質重合体含有材料 (B— 23)の製造
ゴム質重合体 (G— 1)ラテックスに代えて、ジェン系ゴム質重合体の調製において、 第一単量体における 1, 3_ブタジエンの使用量 23.4質量部に代えて 30. 0質量部と し、スチレンの使用量 6.6質量部に代えて 0質量部とし、第二単量体における 1 , 3- ブタジエンの使用量 54.6質量部に代えて 70. 0質量部とし、スチレンの使用量 15.4 質量部に代えて 0質量部とした以外は、実施例 19と同様にして、ゴム質重合体含有 材料 (B-23)を得た。得られたゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した 。結果を纏めて表 2— 1に示した。
[0104] (比較例 1)ゴム質重合体含有材料 (C - 1)の製造
製造例 1の硬質共重合体 (P— 1)ラテックスを使用しないこと以外は、実施例 1と同 様にして、ゴム質重合体含有材料 (C 1)を得た。得られたゴム質重合体含有材料に ついて粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 2に示した。
[0105] (比較例 2)ゴム質重合体含有材料 (C - 2)の製造
ァエロジル R972 (日本ァエロジル (株)製;商品名)に代えて、ニッケル金属粉 (金 属 Niと表すことがある)とした以外は、実施例 10と同様にして、ゴム質重合体含有材 料 (C 2)を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結 果を纏めて表 2_2に示した。
[0106] (比較例 3)ゴム質重合体含有材料 (C一 3)の製造
硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて硬質共重合体 (P— 6)ラテックスとした以外 は、実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C一 3)を得た。得られたゴム質重 合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2—2に示した。
[0107] (比較例 4)ゴム質重合体含有材料 (C一 4)の製造
硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて硬質共重合体 (P— 7)ラテックスとした以外
は、実施例 1と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C 4)を得た。得られたゴム質重 合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-2に示した。
[0108] (比較例 5)ゴム質重合体含有材料 (C - 5)の製造
ァエロジル R972 (日本ァエロジル (株)製;商品名)に代えて、ニッケル金属粉とし た以外は、実施例 19と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C一 5)を得た。得られた ゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 2に示し た。
[0109] (比較例 6)ゴム質重合体含有材料 (C一 6)の製造
製造例 1の硬質共重合体 (P— 1)ラテックスに代えて、製造例 6の硬質共重合体 (P —6)ラテックスとした以外は、実施例 19と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C-6) を得た。得られたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結果を纏め て表 2—2に示した。
[0110] (比較例 7)ゴム質重合体含有材料 (C 7)の製造
製造例 1の硬質共重合体 (P - 1)に代えて、製造例 7の硬質共重合体 (P - 7)ラテツ タスとした以外は、実施例 19と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C-7)を得た。 得られたゴム質重合体含有材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 2に示した。
[0111] (比較例 8)ゴム質重合体含有材料 (C - 8)の製造
ジェン系ゴム重合体の調製およびジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体ラテツ タスの調製において、ラウリル硫酸ナトリウム(花王 (株)製、エマール 2F ;商品名)に 代えてォレイン酸カリウム(OAKと表すことがある)(花王 (株)製、 OSソープ;商品名 )とした以外は、実施例 10と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C-8)を得た。得ら れたゴム質重合体含有材料について粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2— 2に 示した。
[0112] (比較例 9)ゴム質重合体含有材料 (C一 9)の製造
ジェン系ゴム重合体の調製およびジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体ラテツ タスの調製において、ラウリル硫酸ナトリウム(花王 (株)製、エマール 2F ;商品名)に 代えてォレイン酸カリウム(花王 (株)製、 OSソープ;商品名)とした以外は、実施例 1
と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C 9)を得た。得られたゴム質重合体含有材 料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2-2に示した。
[0113] (比較例 10)ゴム質重合体含有材料 (C - 10)の製造
ジェン系ゴム重合体の調製およびジェン系ゴムを主成分とするゴム質重合体ラテツ タスの調製において、ラウリル硫酸ナトリウム(花王 (株)製、エマール 2F ;商品名)に 代えてォレイン酸カリウム(花王 (株)製、 OSソープ;商品名)とした以外は、実施例 1 9と同様にして、ゴム質重合体含有材料 (C一 10)を得た。得られたゴム質重合体含有 材料にっレ、て粉体特性を評価した。結果を纏めて表 2—2に示した。
[0114] (実施例 24 58、比較例 11一 24)
前記熱可塑性樹脂および上記実施例および比較例で得たゴム質重合体含有材料 を用レ、、上記アイゾット衝撃強さ、ステイツキング時間、押出しトルク、成型品熱安定性 および成型品表面外観の評価に関する項において説明した方法に基づき、熱可塑 性樹脂組成物を調製し試験片を作製し評価した。得られた結果を表 3 - 1および表 3 2に示した。
[0115] [表 2-1]
ゴム質重合体
乳化剤 ゴム質重合体 無機微粉末 硬質重合体 粉体特性 含有材料
粉体 耐プロッ 量 量 量 Tg h iw
種類 種類 ゴム組成 種類 種類 流動性 キング性 部 都 部 X 万 g/10秒 秒 実施例 1 B-1 Sし S 2 Bd/St=78/22 P - 1 2 70 240 18 32 実施例 2 B-2 Sし S 2 Bd/St=78/22 P 2 2 85 240 17 33 実施例 3 B-3 Sし S 2 Bd/St=78/22 P-3 2 40 240 17 34 実施例 4 B-4 SLS 2 Bd/St=78/22 P-4 2 70 500 18 33 実施例 5 B - 5 SLS 2 Bd/St=78/22 P-5 2 70 20 16 33 実施例 6 B-6 SLS 2 Bd/St=78/22 P- 1 0.5 70 240 16 33 実施例 7 B-7 SIS 2 Bd/St=78/22 P- 1 5 70 240 19 32 実施例 8 B-8 SLS 2 Bd/St=78/22 P- 1 10 70 240 20 32 実施例 9 B-9 SLS 2 B d= 100 P - 1 2 70 240 15 35 実施例 10 B-10 SLS 2 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.3 25 27 実施例 1 1 B-11 SLS 1 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.3 23 30 実施例 12 B-12 SLS 5 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.3 27 26 実施例 13 B- 13 SLS 10 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.3 29 25 実施例 14 B- 14 DBSNa 2 Bd/St=78/22 ァエロジル 0.3 24 28 実施例 15 B- 15 SLS 2 Bd=100 ァエロジル 0.3 23 29 実施例 16 B- 16 Sし S 2 Bd/St=78/22 ァエロジル 0.05 23 30 実施例 17 B-17 SLS 2 Bd/St=78/22 ァエロジル 0.8 27 25 実施例 18 B-18 SIS 2 Bd/St=78/22 炭カル 0.5 25 27 実施例 19 B-19 SLS 2 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.3 P - 1 2 70 240 35 22 実施例 20 B - 20 SIS 2 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.8 P-1 0.5 70 240 36 21 実施例 21 B-21 SLS 2 Bd/St=78/22 ァエロジル 0.05 P - 1 10 70 240 33 23 実施例 22 B-22 SLS 2 Bd/St=78/22 炭カル 0.5 P-1 2 70 240 34 22 実施例 23 B-23 SLS 2 Bd=100 ァェロジル 0.3 P-1 2 70 240 30 25
[0116] [表 2-2]
ゴム質重合体
乳化剤 ゴム質重合体 無機微粉末 硬質重合体 粉体特性 含有材料
粉体 耐ブロッ 量 量 量 Tg Mw
種類 種類 ゴム組成 種類 種類 流動性 キング性 部 部 部 "C 万 g/ 10秒 秒 比較例 1 C - 1 Sし S 2 Bd/St=78/22 7 268 比較例 2 C-2 SLS 2 Bd/St=78/22 金属 Ni 0.3 8 257 比較例 3 C-3 SIS 2 Bd/St=78/22 Ρ-6 2 100 240 12 122 比較例 4 C-4 S S 2 Bd/St=78/22 Ρ-7 2 20 240 11 139 比較例 5 C-5 SLS 2 Bd/St=78/22 金属 Νί 0.3 P- 1 2 70 240 11 136 比較例 6 C - 6 SLS 2 Bd/St=78/22 ァェロジル 0.3 Ρ - 6 2 100 240 12 113 比較例 7 C-7 SIS 2 Bd/St=78/22 ァエロジル 0.3 Ρ-7 2 20 240 1 1 135 比較例 8 C-8 OAK 2 Bd/St=78/22 ァ工ロジル 0.3 13 68 比較例 9 C - 9 OAK 2 Bd/St=78/22 Ρ - 1 2 70 240 14 58 比較例 10 C-10 OAK 2 Bd/St=78/22 ァエロジル 0.3 Ρ - 1 2 70 240 16 57
ゴム質重合体 アイゾット スティツキ トルク 成形品 成形品
熱可塑性樹脂
含有材料 衡 強さ ング時間 熱安定性 表面外観 種類;質量部 種類 質量部 kj/m2 分 A
実施例 24 B-1; 10 PVC 100 115 18 A B
実施例 25 B-1; 10 PC 100 108 16 A B
実施例 26 B-1; 10 PC/PBT 50/50 107 18 A B
実施例 27 B-1; 10 PC/ABS 80/20 110 16 A B
実施例 28 B - 1; 10 PC/AS 80/20 104 16 A B
実施例 29 B-2; 10 PVC 100 114 18 A B
実施例 30 B- 3; 10 PVC 100 112 17 A B
実施例 31 B-4; 10 PVC 100 111 17 A B
実施例 32 B - 5; 10 PVC 100 111 18 A B
実施例 33 B-6; 10 PVC 100 110 17 A B
実施例 34 B - 7; 10 PVC 100 112 17 A B
実施例 35 B-8; 10 PVC 100 113 17 A B
実施例 36 B - 9; 10 PVC 100 119 16 A B
実施例 37 B - 10 ;10 PVC 100 113 18 A C
実施例 38 B-10 ;10 PC 100 108 18 A C
実施例 39 B-10 ;10 PC/PBT 50/50 106 18 A C
実施例 40 B - 10 ;10 PC/ABS 80/20 109 17 A C
実施例 41 B - 10 ;10 PC/AS 80/20 102 17 A C
実施例 42 B-11 ;10 PVC 100 114 18 A c
実施例 43 B-12 ;10 PVC 100 112 19 A c
実施例 44 B-13 ;10 PVC 100 111 20 A c
実施例 45 B-14 ;10 PVC 100 112 17 A c
実施例 46 B-15 ;10 PVC 100 118 17 A c
SU^1173
[表 3-2]
表 2 - 1および表 2-2に示したように、実施例のゴム質重合体含有材料は、粉体流 動性および耐ブロッキング性とも、比較例のゴム質重合体含有材料に比較して優れ
ている。また、無機微粉末として炭酸カルシウムおよびァエロジルを用いた実施例の ゴム質重合体含有材料は、ニッケノレ金属粉を用いた比較例のものに比べ、粉体特性 が優れている。
また、表 3-1および表 3-2に示したように、実施例の熱可塑性樹脂組成物からなる 試験片は、いずれも、比較例の熱可塑性樹脂組成物からなる試験片よりもアイゾット 衝撃強さが大きく耐衝撃性に優れている。また、実施例の熱可塑性樹脂組成物は、 比較例の熱可塑性樹脂組成物に比較してステイツキング時間が長ぐトノレクも小さく、 滑性に優れており、かつ、成型時の熱安定性にも優れ、得られた成型品の表面外観 も優れている。
産業上の利用可能性
本発明のゴム質重合体含有材料は、粉体特性が優れており、また熱可塑性樹脂の 特性を改善するために配合され、これにより得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物 は、成型時の滑性、熱安定性等が優れており、優れた表面外観および耐衝撃性を有 し、各種成型品の製造に用いられる。