JP5469804B2 - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、各種工業用品やスポーツ・レジャー用品等に使用される熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
一般に、ナイロン6、ナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドは、優れた機械的強度、耐薬品性、耐熱性などの特徴を有することから、自動車、電気・電子・機械部品等の工業用品、スポーツ・レジャー用品等多くの用途に使用されている。しかし、脂肪族ポリアミドは、耐衝撃性が劣るという欠点があり、また、その化学構造に起因して吸水し易く、水分率が過度に高い環境では寸法変化が大きく、更には剛性が低下するという実用上の問題があった。そのため、これらの欠点を改良するため、過去に多くの研究がなされてきた。
例えば、ポリアミドとABS樹脂を混合する方法(特許文献1参照)、ポリアミドとABS樹脂とを配合した上に、不飽和カルボン酸とスチレンやアクリロニトリルとを共重合してなるカルボン酸基含有共重合体を相溶化剤として配合する方法(特許文献2参照)、相溶化剤として、限られた範囲の還元粘度を有するカルボン酸基含有共重合体を用いる方法(特許文献3参照)などが提案されている。
特公昭38−23476号公報 特公平7−84549号公報 特開2000−17170号公報
これら特許文献記載の技術により、耐衝撃性についてはある程度改善されている。しかし、ABS樹脂またはABSグラフト共重合体を配合した場合には、ポリアミドの利点である耐薬品性および耐熱性が低下することがあった。
また、通常、熱可塑性樹脂においては成形時の流動性に優れて、得られる成形品の外観が良好になるものが求められる。
よって、本発明の目的は、流動性に優れる上に、得られる成形品の耐衝撃性、耐薬品性および耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。また、外観、耐衝撃性、耐薬品性および耐熱性に優れた成形品を提供することにある。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] ポリアミド(A)5〜95質量部と、
ゴム状重合体(b−1)に、該ゴム状重合体100質量部に対して10〜1000質量部の単量体成分(b−2)を重合させてなるグラフト共重合体(B)4.9〜80質量部と、
不飽和カルボン酸単量体0.05〜20質量%、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%およびシアン化ビニル系単量体9.95〜45質量%を共重合してなる数平均分子量20000〜70000のカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部とを含有する(但し、上記(A)、(B)および(C)の合計は100質量部である)熱可塑性樹脂組成物であって、
ゴム状重合体(b−1)は、1,3−ブタジエン25〜100質量%、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル系単量体0〜75質量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜10質量%が重合されて得られ、質量平均粒子径が0.1〜0.4μmであり、
単量体成分(b−2)は、メタクリル酸メチル50〜100質量%、アクリル酸アルキルエステル0〜50質量%を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2] メタクリル酸アルキルエステル系単量体、アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれら単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体成分を重合してなる他の重合体(D)を、0質量部を超えて60質量部以下含有する(但し、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計は100質量部である)ことを特徴とする[1]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] [1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されたことを特徴とする成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性に優れる上に、耐衝撃性、耐薬品性および耐熱性に優れた成形品が得られるものである。
本発明の成形品は、外観、耐衝撃性、耐薬品性および耐熱性に優れたものである。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド(A)と、グラフト共重合体(B)と、カルボン酸基含有共重合体(C)とを必須成分として含有し、他の重合体(D)を任意成分として含有するものである。
[ポリアミド(A)]
ポリアミド(A)としては、例えば、ジアミンとジカルボン酸とから得られるポリアミドが挙げられる。ここで、ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族ジアミンが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、ポリアミドとしては、例えば、ξ−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムなどのラクタム類の開環重合によって得られるポリアミド、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから得られるポリアミドおよびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド、さらにはポリアミドをハードセグメントとし、かつポリエーテルをソフトセグメントとするポリアミドエラストマーなどが挙げられる。
これらのうち、工業的に安価かつ大量に製造されていることから、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、およびこれらの共重合体、例えばナイロン6/66(”/”印は共重合体であることを意味する。)、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン66/12、ナイロン6/66/610/12、およびこれらの混合体などが好ましい。また、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン/テレフタル酸/イソフタル酸系のポリアミドも好ましい。
ポリアミドの数平均分子量としては特に制限はないが、10000〜40000であることが好ましい。
ポリアミドの分子構造としては、線状ポリアミド、分岐ポリアミドなどのいずれであってもよい。
ポリアミドの重合方法としては、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合およびこれらの方法を組み合わせた方法が適用され、中でも、溶融重合が好ましい。また、ポリアミド原料がラクタム類である場合にはアニオン重合によって重合体を得ることもできる。
熱可塑性樹脂組成物におけるポリアミド(A)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の5〜95質量部であり、好ましくは15〜90質量部であり、より好ましくは35〜80質量部である。ポリアミド(A)が5質量部以上であることにより、得られる成形品の耐薬品性、耐熱性が向上し、ポリアミド(A)が95質量部以下であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上する上に、寸法安定性も良好になる。
[グラフト共重合体(B)]
グラフト共重合体(B)は、ゴム状重合体(b−1)に単量体成分(b−2)を重合させてなるものである。
ゴム状重合体(b−1)は、1,3−ブタジエン25〜100質量%、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル系単量体0〜75質量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜10質量%が重合されて得られたものである。ここで、1,3−ブタジエンは必須成分であり、アクリル酸アルキルエステル系単量体および他のビニル系単量体は任意成分である。
さらには、ゴム状重合体(b−1)は、1,3−ブタジエン単量体40〜60質量%、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル系単量体60〜40質量%であることが、耐衝撃性と耐薬品性のバランスの観点から、より好ましい。
なお、ゴム状重合体(b−1)を構成する単量体単位の組成は、前記単量体単位の組成と略同等になる。
アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、容易に入手可能であることや、1,3−ブタジエンとの重合反応性、さらに、成形品の耐薬品性や耐衝撃性のバランスの観点から、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが好ましい。
他のビニル系単量体としては、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸アルキルエステルやアクリロニトリル等の単官能性単量体、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。
ゴム状重合体(b−1)の質量平均粒子径は0.1〜0.4μmであり、0.12〜0.35μmであることが好ましい。ゴム状重合体(b−1)ラテックスの質量平均粒子径が前記下限値未満であっても、上限値を超えても、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
ゴム状重合体(b−1)は、公知の乳化重合法によりラテックス状で得ることができる。乳化重合の際には、メルカプタン等の連鎖移動剤などを添加してもよい。
また、ゴム状重合体(b−1)の製造では、質量平均粒子径0.06〜0.08μmの小粒径ゴム状重合体(b−1a)を製造し、この小粒径ゴム状重合体(b−1a)を肥大化させる方法を適用することができる。
肥大化方法としては、例えば、重合時間を延長させ、小粒径ゴム状重合体(b−1a)同士を衝突させる方法、機械的に凝集させる方法(ホモジナイザーを適用する方法)、化学的に凝集させる方法、酸基含有ラテックスにより肥大化する方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性の点から、機械的に凝集させる方法、化学的に凝集させる方法、酸基含有ラテックスにより肥大化する方法が好ましく、化学的に凝集させる方法、酸基含有ラテックスにより肥大化する方法がより好ましい。
化学的に凝集させる方法は、具体的には、小粒径ゴム状重合体(b−1a)のラテックスに酸素酸塩を添加して凝集させる方法である。
酸素酸塩の具体例としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸等と、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ニッケル、アルミニウムとの塩が挙げられる。中でも、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムが好ましい。
酸素酸塩の添加量は、小粒径ゴム状重合体(b−1a)100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.1〜4質量部であることがより好ましい。酸素酸塩の添加量が前記範囲であれば、小粒径ゴム状重合体(b−1a)の肥大化がより効率的に行われ、得られるゴム状重合体(b−1)のラテックスの安定性が向上する。
酸基含有ラテックスにより肥大化させる方法は、具体的には、小粒径ゴム状重合体ラテックス(b−1a)に酸基含有共重合体(b−1b)のラテックスを添加する方法である。
ここで、酸基含有共重合体(b−1b)は、不飽和カルボン酸単量体、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステル系単量体およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を共重合した共重合体である。
酸基含有共重合体(b−1b)を構成する不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイヒ酸、ソルビン酸、p−スチレンスルホン酸などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸アルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体およびアクリロニトリル等が挙げられる。
酸基含有共重合体(b−1b)における不飽和カルボン酸単量体の割合は、アクリル酸アルキルエステル系単量体の種類に応じて適宜選択される。例えば、アクリル酸アルキルエステル系単量体が、親水性の高いアクリル酸メチルやアクリル酸エチルである場合には、不飽和カルボン酸単量体の量が5〜10質量%であることが好ましく、アルキル基の炭素数が4以上で疎水性が高いアクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルである場合には、不飽和カルボン酸単量体の量が13〜20質量%であることが好ましい。
不飽和カルボン酸単量体の量が前記下限値未満であると、小粒径ゴム状重合体(b−1a)を肥大化できないことがあり、上限値を超えると、過大粒子を生成して乳化状態が不安定になる傾向にある。
酸基含有共重合体(b−1b)ラテックスは、不飽和カルボン酸単量体、アクリル酸アルキルエステル系単量体、他のビニル系単量体を反応器に一括で仕込んで重合してもよいし、各単量体を反応器に連続的に添加して重合してもよい。
また、単量体のうちの一部(例えば、5〜90質量%でかつ不飽和カルボン酸単量体を含まない成分)を一段目で重合させた後、単量体の残部(例えば、95〜10質量%でかつ不飽和カルボン酸単量体を含む成分)を二段目以降で重合させて、2層以上の多層構造を形成させてもよい。
酸基含有共重合体(b−1b)ラテックス(固形分換算)の添加量は、ゴム状重合体(b−1a)100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。酸基含有共重合体(b−1b)ラテックスの添加量が0.1〜5質量部であれば、所望の粒子径に容易に肥大化できる。
酸基含有共重合体(b−1b)を添加する場合には、小粒径ゴム状重合体(b−1a)ラテックスのpHが7以上であることが好ましい。小粒径ゴム状重合体(b−1a)ラテックスのpHが7未満であると、小粒径ゴム状重合体(b−1a)ラテックスの肥大化効率が低下する傾向にある。
また、酸基含有共重合体(b−1b)により肥大化する場合には、上記酸素酸塩も添加してもよい。
上記ゴム状重合体(b−1)に単量体成分(b−2)を重合することにより、グラフト共重合体(B)が得られる。例えば、グラフト共重合体(B)は、以下の製造方法により製造される。
まず、ゴム状重合体(b−1)のラテックスに単量体成分(b−2)を添加し、重合することにより、グラフト共重合体(B)のラテックスを調製し、必要に応じて酸化防止剤を添加する。その後、得られたグラフト共重合体(B)ラテックスに凝固剤を添加し、加熱し、撹拌した後、得られた樹脂固形分を分離し、これを水洗、脱水、乾燥することによりグラフト共重合体(B)を得る。
また、グラフト重合は、重合する単量体成分を複数の段階に分けて重合してもよい。その際、各段階の単量体組成が異なってもよい。
単量体成分(b−2)は、メタクリル酸メチルおよび/またはスチレン50〜100質量%を必須成分として含み、これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%を任意成分として含むものである。他のビニル系単量体としてはゴム状重合体(b−1)を形成する他のビニル系単量体と同様のものが使用される。
単量体成分(b−2)の具体例としては、スチレン単独、メタクリル酸メチル単独、スチレン−アクリロニトリルの混合物、スチレン−アクリル酸アルキルエステルの混合物、メタクリル酸メチル−アクリロニトリルの混合物、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキルエステルの混合物、アクリロニトリル−アクリル酸アルキルエステルの混合物などが挙げられる。また、これらの単量体を3種以上混合した単量体混合物であってもよい。これらの中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が良好であることから、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキルエステルの混合物が好ましい。
また、単量体成分(b−2)には、公知の多官能性単量体(ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレートなど)が含まれてもよい。
単量体成分(b−2)の添加量は、ゴム状重合体(b−1)100質量部に対して10〜1000質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは30〜100質量部である。単量体成分(b−2)の添加量が10質量部未満であっても、1000質量部を超えても、耐衝撃性が低下する。
グラフト重合に際には、乳化剤、重合開始剤を添加することができる。
乳化剤としては、サルコシン酸誘導体、コハク酸誘導体、ロジン酸類、脂肪酸類のアルカリ金属塩およびアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられ、中でも、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムが好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の熱分解型開始剤、またはクメンハイドロパーオキサイド、三級ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と鉄化合物、ピロリン酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとの組み合わせであるレドツクス型開始剤が用いられる。また、ピロリン酸ナトリウムの代わりにエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの代わりにデキストロースを用いることもできる。
グラフト共重合体(B)ラテックスを凝固する際に添加する凝固剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これら凝固剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、凝固剤は水溶液の状態で添加してもよい。
熱可塑性樹脂組成物におけるグラフト共重合体(B)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の4.9〜80質量部であり、好ましくは15〜90質量部である。グラフト共重合体(B)の含有量が4.9質量部以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、80質量部以下であることにより、流動性が向上する。
[カルボン酸基含有共重合体(C)]
カルボン酸基含有共重合体(C)は、不飽和カルボン酸単量体と、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体とを共重合してなる共重合体である。
カルボン酸基含有共重合体(C)を形成する不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらのうち、重合時における他のビニル系単量体への溶解性の点で、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸基含有共重合体(C)を形成する芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。芳香族ビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。シアン化ビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸基含有共重合体(C)における不飽和カルボン酸単量体単位の割合は0.05〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。不飽和カルボン酸単量体単位の割合が0.05質量%以上であることにより、この共重合体(C)がポリアミド(A)に相溶しやすくなるため、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、20質量%以下であれば、流動性を向上させて、成形品の外観を良好にすることができる。
カルボン酸基含有共重合体(C)における芳香族ビニル系単量体単位の割合は90〜50質量%であり、85〜55質量%であることが好ましい。シアン化ビニル系単量体単位の割合は9.95〜45質量%であり、10〜40質量%であることが好ましい。芳香族ビニル系単量体単位が前記下限より少なく、シアン化ビニル系単量体単位が前記上限より多いと、流動性が低下し、芳香族ビニル系単量体単位が前記上限より多く、シアン化ビニル系単量体単位が前記下限より少ないと、成形品の耐衝撃性が低くなる。
カルボン酸基含有共重合体(C)においては、芳香族ビニル系単量体単位とシアン化ビニル系単量体単位の一部を、これらと共重合可能な他のビニル系単量体単位、例えば、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル系単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物等に置き換えてもよい。
このような共重合可能な他のビニル系単量体単位は、カルボン酸基含有共重合体(C)中に0〜40質量%であることが好ましい。
カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量は20000〜70000であり、好ましくは25000〜60000である。カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が20000以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、70000以下であることにより、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が向上するため、成形品の外観が良好になる。
ここで、カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量は、該共重合体(C)をテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液を測定試料としてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製HLC−8020)により測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した値である。
カルボン酸基含有共重合体(C)は、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法により製造される。
熱可塑性樹脂組成物におけるカルボン酸基含有共重合体(C)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の0.1〜20質量部であり、好ましくは0.5〜15質量部である。カルボン酸基含有共重合体(C)の含有量が0.1質量部以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、20質量部以下であることにより、流動性が向上するため、成形品表面の外観が良好になる。
[他の重合体(D)]
他の重合体(D)は、メタクリル酸アルキルエステル系単量体、アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれら単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体成分を重合してなるものである。他の重合体(D)が熱可塑性樹脂組成物を含有すれば、流動性をより向上させると共に、寸法安定性を向上させることができる。
他の重合体(D)を形成するメタクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどが挙げられる。
アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどが挙げられる。
芳香族ビニル系単量体としては、カルボン酸基含有共重合体(C)の製造に用いられるものと同様のものを用いることができ、中でも、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体についても、カルボン酸基含有共重合体(C)の製造に用いられるものと同様のものを用いることができ、中でも、アクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体に共重合可能な他のビニル系単量体についても、カルボン酸基含有共重合体(C)の製造に用いられるものとして例示した他のビニル系単量体(ただし、不飽和カルボン酸単量体を除く)を用いることができる。
他の重合体(D)の製造方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が適用される。
熱可塑性樹脂組成物における他の重合体(D)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の0質量部を超え60質量部以下であることが好ましく、0質量部を超え50質量部以下であることがより好ましい。他の重合体(D)が60質量部以下であれば、得られる成形品の耐衝撃性の低下を防止しつつ、他の重合体(D)を配合したことによる効果も発揮する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等の飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどが含まれてもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤等の添加剤が含まれてもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(A),(B),(C)および(D)成分と、必要に応じて添加される成分とを混合し、例えば、押出機、バンバリーミキサー、混練ロール等にて混練し、ペレット化する方法などが挙げられる。
上述した熱可塑性樹脂組成物は、成形時の流動性に優れ、しかも得られる成形品の耐衝撃性、耐薬品性および耐熱性に優れる。これは、ポリアミド(A)とグラフト共重合体(B)とが、分子量が特定されたカルボン酸基含有共重合体(C)によって高い相溶性で相溶しているためと推定される。
<成形品>
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものであるため、耐薬品性、耐熱性および耐衝撃性に優れる。このような成形品は、自動車、電気・電子・機械部品等の工業用品、スポーツ・レジャー用品等多くの用途に好適である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は質量基準である。
また、以下の例における平均粒子径は、マイクロトラックUPA−150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法より測定した。
また、数平均分子量は、測定するポリマーをテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液を測定試料としてGPC(東ソー(株)製)により測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
[ポリアミド(A)]
ポリアミド(A)としては、ナイロン−6(1013B、宇部興産(株)製 数平均分子量13000)を用いた。
[小粒径ゴム状重合体(b−1a−1〜b−1a−4)の製造]
表1に示す組成で、1,3−ブタジエンを除く物質について、その中に含まれる酸素を窒素で置換して、重合反応を阻害しない状態とした。その後、全ての成分をオートクレーブに仕込み、50℃で9時間かけて重合を行って、小粒径ゴム状重合体(b−1a−1〜b−1a−4)を得た。重合率はいずれも約97%であった。各小粒径ゴム状重合体の質量平均粒子径を表1に示す。
Figure 0005469804
[酸基含有共重合体(b−1b)ラテックスの製造]
アクリル酸ブチル25部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、クメンヒドロパーオキシド0.1部および純水200部からなる混合物をガラス製丸底フラスコに仕込み、フラスコ内を窒素で置換した後、70℃で1.5時間重合を行った。これに、窒素置換したアクリル酸ブチル60部、メタクリル酸15部およびクメンヒドロパーオキシド0.3部からなる混合物を、1時間にわたって連続的に滴下した。更に、70℃で、1時間撹拌を続けることにより、重合率98%で酸基含有共重合体(b−1b)ラテックスを得た。
[ゴム状重合体(b−1−1〜b−1−6)の製造]
各小粒径ゴム状重合体(b−1a−1〜b−1a−4)ラテックス(ポリマー固形分で100部)を、オートクレーブ中にて50℃で撹拌しながら、表2に示す量の10%硫酸ナトリウム水溶液を添加し、15分間保持した。次いで、酸基含有共重合体(b−1b)ラテックスを表2に示す量で添加し、30分間保持することによって、ゴム状重合体(b−1−1〜b−1−6)ラテックスを得た。ゴム状重合体(b−1−1〜b−1−6)の質量平均粒子径を表2に示す。
Figure 0005469804
[グラフト共重合体(B−1〜B−6)の製造]
ゴム状重合体(b−1−1〜b−1−4)ラテックス(ポリマー固形分で100部)を仕込んだ反応容器に、純水30部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部およびN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.5部を添加した。次いで、反応容器内の温度を75℃に昇温した後、メタクリル酸メチル45部、アクリル酸エチル5部、N−オクチルメルカプタン0.07部およびクメンヒドロパーオキシド0.16部からなる混合物を1.5時間にわたり連続的に滴下して重合させた。更に、1時間撹拌を続けることにより、反応を完結した。なお、滴下した単量体の重合率はそれぞれ約99.5%であった。
次いで、得られた重合体ラテックスに、0.25%硫酸水溶液(ラテックスの2倍量)を添加し、85℃で5分間加熱して凝固させ、得られた樹脂固形物を洗浄・脱水後、70℃で24時間乾燥させることにより、白色粉末のグラフト共重合体(B−1〜B−6)を得た。
なお、グラフト共重合体の重合率は次のようにして測定した。
反応器から少量の反応混合物を採取し、この質量を測定後、赤外線ランプで加熱乾燥し、残存した不揮発分の質量を測定し、次の計算式により求めた。
重合率[%]=(α×A÷B−(β+γ))/ε×100
α:反応混合物採取時に容器内に存在する反応混合物[部]
A:採取した反応混合物の加熱乾燥後の質量
B:採取した反応混合物の加熱乾燥前の質量
β:反応混合物採取時に容器内に存在するゴム質重合体(a)(固形分)[部]
γ:反応混合物採取時に容器内に存在する副原料[部]
ε:反応混合物採取時に容器内に存在する単量体混合物[部]
[カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造]
ステンレス容器に純水200部、過硫酸カリウム0.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これにスチレン71部、アクリロニトリル24部、メタクリル酸5部およびt−ドデシルメルカプタン0.4部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に添加した。その後、容器内の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間保持し、重合を完結させて重合体ラテックスを得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−1)の重合率は99.5%であった。
次いで、この重合体ラテックスを酢酸カルシウムにて凝固した後、脱水、乾燥して、カルボン酸基含有共重合体(C−1)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−1)の数平均分子量は45000であった。
[カルボン酸基含有共重合体(C−2)の製造]
前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、t−ドデシルメルカプタンを0.1部に変更した以外は、前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造と同様にして、カルボン酸基含有共重合体(C−2)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−2)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−2)の数平均分子量は81000であった。
[カルボン酸基含有共重合体(C−3)の製造]
前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、t−ドデシルメルカプタン1.5部に変更した以外は、前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造と同様にしてカルボン酸基含有共重合体(C−3)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−3)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−3)の数平均分子量は19000であった。
[カルボン酸基含有共重合体(C−4)の製造]
前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、スチレンの量を74.25部、アクリロニトリルの量を24.75部、メタクリル酸の量を1部に変更した以外は、前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造と同様にしてカルボン酸基含有共重合体(C−4)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−4)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−4)の数平均分子量は49000であった。
[カルボン酸基含有共重合体(C−5)の製造]
前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、スチレンの量を67.5部、アクリロニトリルの量を22.5部、メタクリル酸の量を10部に変更した以外は、前記カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造と同様にしてカルボン酸基含有共重合体(C−5)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−5)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−5)の数平均分子量は42000であった。
[他の重合体(D)]
他の重合体(D−1)として、アクリル樹脂(アクリペット VHS、三菱レイヨン(株)製)を用いた。
他の重合体(D−2)として、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン共重合体)樹脂(UMG AXS レジン S900N、ユーエムジー・エービーエス(株)製)を用いた。
共重合体(D−3)として、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)樹脂(UMG AXS レジン S100N、ユーエムジー・エービーエス(株)製)を用いた。
[実施例1〜11、比較例1〜10]
ポリアミド(A)、グラフト共重合体(B−1〜B−6)、カルボン酸基含有共重合体(C−1〜C−5)および他の重合体(D−1〜D−3)を表3、表4に示す割合で混合し、30mm二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」)を用いて260℃で溶融混合し、ペレット化した。その後、得られたペレットを75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)により成形温度260℃、金型温度80℃の条件で各種試験片を成形した。成形品の物性を下記方法で評価した。結果を表3および表4に示す。
(シャルピー衝撃強度)
ISO 179に準拠し、測定温度23℃および−30℃で測定した。
(ビカット軟化温度)
ISO 306に準拠し、荷重10N、昇温速度120℃/時間で測定した。
(耐薬品性)
射出成形により作製した短冊状試験片(150×10×2mm)を、曲率が漸次変化する表面を有するベンディングフォーム法試験冶具に沿わして固定した。次いで、試験片に薬液を塗布し、23℃の環境下で48時間放置した。そして、試験片におけるクレーズおよびクラックの発生有無を確認し、試験冶具の曲率から限界歪み[%]を求めた。薬液としては、可塑剤:フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP)、汎用ブレーキオイル:DOT−4(本田技研工業(株))、トイレ用洗剤:トイレパワーズ(エステー化学(株))を使用した。
(成形品外観)
射出成形にて作製した平板試験片(100×100×2mm)の表面を肉眼観察し、下記判定基準で評価を行った。
○ : フローマーク、光沢ムラが目立たない。
× : フローマーク、光沢ムラが目立つ。
Figure 0005469804
Figure 0005469804
表3に示すように、ポリアミド(A)とグラフト共重合体(B)とカルボン酸基含有共重合体(C)とを必須成分として含有する実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性および耐薬品性に優れた成形品を得ることができた。また、これらの熱可塑性樹脂組成物は流動性に優れていたため、成形品の外観が良好であった。
これに対し、ポリアミド(A)からなる比較例1の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性が低かった。
ポリアミド(A)およびカルボン酸基含有共重合体(C)を含有しなかった比較例2の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性、耐熱性および耐薬品性が低かった。
カルボン酸基含有共重合体(C)を含有しなかった比較例3の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性および耐薬品性が低く、外観不良が見られた。
カルボン酸基含有共重合体(C)の含有量が20部を超えていた比較例4の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は外観不良が見られた。
グラフト共重合体(C)を構成するゴム状重合体におけるブタジエン単位が25%未満であった比較例5,6の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性が低かった。
グラフト共重合体(C)を構成するゴム状重合体の質量平均粒子径が0.12μm未満であった比較例7の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性が低かった。
グラフト共重合体(C)を構成するゴム状重合体の質量平均粒子径が0.40μmを超えていた比較例8の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性が低かった。
カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が70000を超えていた比較例9の熱可塑性樹脂組成物は流動性が低く、得られた成形品の表面に外観不良が見られた。
カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が20000未満であった比較例10の熱可塑性樹脂組成物により得た成形品は耐衝撃性が低かった。

Claims (3)

  1. ポリアミド(A)5〜95質量部と、
    ゴム状重合体(b−1)に、該ゴム状重合体100質量部に対して10〜1000質量部の単量体成分(b−2)を重合させてなるグラフト共重合体(B)4.9〜80質量部と、
    不飽和カルボン酸単量体0.05〜20質量%、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%およびシアン化ビニル系単量体9.95〜45質量%を共重合してなる数平均分子量20000〜70000のカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部とを含有する(但し、上記(A)、(B)および(C)の合計は100質量部である)熱可塑性樹脂組成物であって、
    ゴム状重合体(b−1)は、1,3−ブタジエン25〜100質量%、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル系単量体0〜75質量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜10質量%が重合されて得られ、質量平均粒子径が0.1〜0.4μmであり、
    単量体成分(b−2)は、メタクリル酸メチル50〜100質量%、アクリル酸アルキルエステル0〜50質量%を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. メタクリル酸アルキルエステル系単量体、アクリル酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれら単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体成分を重合してなる他の重合体(D)を、0質量部を超えて60質量部以下含有する(但し、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計は100質量部である)ことを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されたことを特徴とする成形品。
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