JP5028873B2 - 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、高熱伝導性と良好な成形加工性とを併せ持ち、かつ衝撃強度などの良好な実用物性をも兼ね備えた、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物に関する。
ポリアミド系樹脂は、耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性等のバランスに優れた熱可塑性樹脂であり、これらの特徴を生かして機械、自動車、電気、電子分野における部品等に広く用いられている。しかしながら、吸水性であり吸水によって物性値が変化しやすいという欠点がある。一方、スチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂に代表される樹脂は、機械的特性、電気的特性、耐薬品性、成形流動性等に優れている。そこで両者の長所を併せ持ち、かつ欠点を保管しあう目的で、スチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂などと、ポリアミド系樹脂とをアロイ化する技術が種々提案されている。
一方で、樹脂組成物をパソコンやディスプレーの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装、など種々の用途に使用する際、プラスチックは金属材料など無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がしづらいことが問題になるので、このような課題を解決するため、高熱伝導性無機物を大量に樹脂中に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。
上記のように無機物を配合して高熱伝導性樹脂組成物を得る際には、通常は炭素繊維等の導電性物質を添加する方法が用いられるが、このような方法では樹脂組成物が導電性を示してしまうため、電子デバイス材料等の電気絶縁性が要求される用途では利用が制限される。一方で電気絶縁性かつ高熱伝導性の無機物を添加するような方法で高熱伝導性樹脂組成物を得ようとすると、通常高熱伝導性無機物を50体積%以上もの高含有量で樹脂中に配合する必要がある。
しかしながら、これほど大量に高熱伝導性無機物を熱可塑性樹脂中に配合すると、熱可塑性樹脂の成形加工性が急激に低下してしまい、複雑な形状へ射出成形することが困難となる場合がある。また、大量の無機物が樹脂の衝撃強度などの実用物性を極端に低下させ非常に脆い材料となってしまうため、大型成形品などへの適用が困難となり、用途が限られてしまうという問題があった。
このような課題を解決するために、例えば特許文献1では、ポリアミド樹脂を海構造とし、ポリフェニレンエーテル樹脂を島構造とした複合樹脂組成物の、海相であるポリアミド樹脂中により多く熱伝導性充填材粒子を分散されることで分散密度が高くなり、より熱伝導性に優れた樹脂組成物が得られることが示されている。また特許文献2では、柔軟相を有するブロック共重合ポリマーの柔軟ブロック相に熱伝導性粉体を選択的に分散させた高熱伝導性材料が報告されている。
特開平9−59511号公報 特開2004−71385号公報
上記のような特定の場所にのみ高熱伝導性無機物を配置し高熱伝導性樹脂組成物を得る方法をポリアミド系樹脂やスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等で実現できれば、高価な熱伝導性無機物の使用量を少なくしながら良好な熱伝導性を有する高熱伝導性材料を得ることができ、熱伝導性無機物の使用量を低減できることにより材料コストが低く抑えられ、熱伝導性無機物の混合を低濃度にできることで材料の成形加工性も維持でき、しかも複雑な形状の成形が可能な電気絶縁性高熱伝導性材料を得ることができ非常に有用である。
本発明は上記現状に鑑み、ポリアミド系樹脂や、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂が本来有する機械的特性や成形加工性などの優れた諸特性をほとんど低下させずに維持したまま、熱伝導性に優れた電気絶縁性無機物含有熱可塑性樹脂組成物の提供を目的とするものである。
本発明者は、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂、及びポリアミド系樹脂からなるポリマーアロイにおいて、高熱伝導性無機化合物をスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂以外の相内に優先的に配置することにより、高熱伝導性無機化合物を少量使用するだけで樹脂組成物の熱伝導率を大幅に向上させうること、また高熱伝導性無機化合物の添加量を少なくできる結果、得られた組成物の機械的物性や成形加工性をほとんど犠牲にすることが無いこと、などを見出し本発明にいたった。
すなわち本発明は、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、メタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メタクリレート−ブタジエン樹脂、イミド化ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンの一部を不飽和カルボン酸単量体で置換したもの含んだABS樹脂、スチレンの一部を不飽和カルボン酸単量体で置換したものを含んだポリスチレン、ブタジエンで変性されたメチルメタクリレート樹脂、不飽和カルボン酸変性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ電気絶縁性を示す高熱伝導性無機化合物(C)(ただし、一次粒子の短軸長さが1〜10nm、長軸長さが20〜700nm、アスペクト比が5〜200であるものを除く)よりなり、1)(A)/(B)の体積比が20/80〜60/40の割合であり、2)(C)/{(A)+(B)}の体積比が10/90〜75/25であり、3)(C)が(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積分率×0.4以下であり、4)少なくとも(B)が連続相構造を形成していることを特徴とする高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物に関する。
(C)が、電気絶縁性を示す高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項2)。
(C)が、体積平均粒子径が1nm以上12μm以下の金属酸化物微粒子及び/又は金属窒化物微粒子であることを特徴とする、請求項1あるいは2いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項3)。
(C)が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項4)である。
(A)/(B)の体積比が20/80〜55/45であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項5)である。
(A)/(B)の体積比が20/80〜50/50であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項6)である。
本発明の方法を用いることにより、従来では大量の高熱伝導性無機化合物が必要であった高熱伝導樹脂組成物分野で、無機化合物の使用量を大幅に低減できるため、良成形性でかつ樹脂が本来持つ特性をほとんど犠牲にすることなく、安価に高熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
このようにして得られた複合材料は、樹脂フィルム、樹脂成形品、樹脂発泡体、塗料やコーティング剤、などさまざまな形態で、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。本発明で得られた高分子材料は、現在広く用いられている射出成形機や押出成形機等の一般的なプラスチック用成形機が使用可能であるため、複雑な形状を有する製品への成形も容易である。特に成形加工性、耐衝撃性、耐薬品性、熱伝導性、などの重要な諸特性のバランスに優れていることから、発熱源を内部に有するディスプレーやコンピューターなどの筐体用樹脂として、非常に有用である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)及び高熱伝導性無機化合物(C)の三成分を必須とするものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合するスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)はスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成されればよく特に限定されるものではないない。スチレン系単量体としては例えば、スチレンの他、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレン等が用いることができる。
また、本発明における(メタ)アクリル系単量体とは、メタアクリル系単量体とアクリル系単量体の双方を意味する。これらは多くの単量体が知られているが、それらを本発明に用いることができる。その中であえて具体的に例示すれば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、等が例示でき好適に用いることができる。
スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)はこれら単量体を用いて合成されたものであればよく、例えばポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS樹脂)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。また、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエン−スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン)樹脂、ACS(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン)樹脂、等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用することもできる。
さらに、これらのスチレンの一部、及び/又はアクリロニトリルの一部又は全部が、得られる樹脂が熱可塑性の特性を示す範囲において上記しているスチレンを除くスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体で置換されていてもよい。置換されるスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体としてはα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体等の、スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体で置換されているものが、得られる樹脂が熱可塑性の特性を示す範囲において好ましく用いることができる。これらは、1種でも2種以上でも用いることができる。
好ましくは、ABS樹脂、ポリスチレン、HIPS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS(メタクリレート−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、MB(メタクリレート−ブタジエン)樹脂、イミド化ポリメチルメタクリレート樹脂、等である。
より好ましくは、スチレンの一部を不飽和カルボン酸単量体で置換したものを含んでもいなくてもよいABS樹脂あるいはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート樹脂あるいはMB(メタクリレート−ブタジエン)樹脂である。中でもメタクリル酸で置換したものを含んでもいてもいなくてもよいABS樹脂あるいはポリスチレン、ブタジエンで変性されていてもいなくてもよいメチルメタクリレート樹脂が好ましい。これら樹脂を用いるとポリアミド系樹脂(B)とのアロイ化が容易になる傾向がある。
スチレン系樹脂の製造法としては、特に制限はなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁重合法等の通常の方法を用いることができる。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではないが、本発明で得られるポリアミド樹脂組成物の物性バランスとポリアミドとの相溶性、経済的観点から、特に好ましく用いられる不飽和カルボン酸変性ABS樹脂としての例は、芳香族ビニル化合物40〜80重量%、シアン化ビニル化合物15〜50重量%、不飽和カルボン酸化合物0.1〜20重量%、他の共重合可能なビニル系化合物0〜30重量%からなる不飽和カルボン酸含有共重合体と、平均粒子径0.01〜5.0μmのジエン系ゴム30〜95重量%の存在下に、グラフト共重合可能なビニル系化合物70〜5重量%をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体とからなる不飽和カルボン酸変性ABS樹脂が挙げられる。
不飽和カルボン酸変性ABS樹脂に用いられる不飽和カルボン酸含有共重合体の芳香族ビニル化合物が80重量%を越えると、耐薬品性、耐衝撃性が低下する場合があり、40重量%未満では成形加工性が低下する場合がある。シアン化ビニル化合物が50重量%を越えると成形加工時の熱安定性が低下したり、あるいは加熱による着色がある場合があり、15重量%未満では耐薬品性、耐衝撃性が低下する場合がある。また不飽和カルボン酸化合物が20重量%を越えると成形加工時の熱安定性が低下したり、あるいは加熱による着色がある場合があり、0.1重量%未満ではポリアミドとの相溶性が得られにくくなり、成形品表面に層状剥離等を生ずる場合がある。他の共重合可能なビニル系化合物が30重量%を越えると、耐熱性と耐衝撃性とのバランスが不十分となる場合がある。
不飽和カルボン酸含有共重合体で使用される芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、メチルスチレン等が例示される。特に耐熱性を向上させる観点から、α−メチルスチレンの使用が好ましい。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が例示される。不飽和カルボン酸化合物としてはアクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。他の共重合可能なビニル系化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のメタアクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド系化合物等が例示される。上記芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸化合物、他の共重合可能なビニル系化合物は、それぞれ単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。
不飽和カルボン酸含有共重合体は、例えば次のようにして製造することができる。即ち、α−メチルスチレンを水、乳化剤とともに先に仕込み、十分に乳化状態にしたのち、アクリロニトリル及びその他の単量体を極少量ずつ連続的に滴下し、重合系内ではα−メチルスチレンが常に80重量%以上、好ましくは90重量%以上のα−メチルスチレン大過剰量にしておくことにより、目的とする共重合体を得ることができる。この場合、不飽和カルボン酸化合物は、α−メチルスチレンとともに先に仕込んでも、アクリロニトリルと混合して追加してもよい。また先仕込みした後、追加で分割して仕込むことも可能である。またα−メチルスチレンの一部を追加することもできる。この場合、先に仕込むα−メチルスチレンの量は、耐薬品性、耐衝撃性や耐熱変形性の観点から、全モノマー100重量%のうち50重量%以上、90重量%以下が好ましい。
グラフト共重合体は、平均粒子径0.01〜5.0μmのゴム状重合体30〜95重量%の存在下に、グラフト共重合可能なビニル系化合物70〜5重量%をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体が好ましく用いられる。
グラフト共重合可能なビニル系化合物としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸化合物、他の共重合可能なビニル系化合物を用いることができ、これらは、上記不飽和カルボン酸含有共重合体で用いられるものと同じものが例示される。これらは、いずれも単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。
ジエン系ゴムが95重量%を越えると耐衝撃性、耐油性が低下する場合があり、30重量%未満では耐衝撃性が低下する場合がある。ジエン系ゴムとしては、例えば、ブタジエン等が挙げられる。
グラフト共重合体で使用されるゴム状重合体には、ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性や成形体外観の観点から、平均粒子径0.01〜5.0μmのものが好ましく用いられる。平均粒子径0.02〜2.0μmのものが特に好ましい。さらに、衝撃強度を向上する目的で、小粒子ゴム状重合体ラテックスを凝集肥大化させたゴム状重合体ラテックスを使用することができる。小粒子ゴム状重合体ラテックスを凝集肥大化する方法としては、従来公知の方法、例えば酸性物質を添加する方法(特公昭42−3112号公報、特公昭55−19246号公報、特公平2−9601号公報、特開昭63−117005号公報、特開昭63−132903号公報、特開平7−157501号公報、特開平8−259777号公報)、酸基含有ラテックスを添加する方法(特開昭56−166201号公報、特開昭59−93701号公報、特開平1−126301号公報、特開平8−59704号公報、特開9−217005号公報)等を採用することができ、特に制限はない。
不飽和カルボン酸含有共重合体及びグラフト共重合体は、好ましくは乳化重合によって得られるが、必ずしも乳化重合に限定されない。例えば塊状重合、懸濁重合、溶液重合及びそれらの組合せ、即ち乳化−懸濁重合、乳化−塊状重合が挙げられる。乳化重合は通常の方法が適用可能である。即ち、前記化合物を水性媒体中、ラジカル開始剤の存在下に反応させればよい。その際、前記化合物を混合物として使用しても、また必要に応じ、分割して使用してもよい。さらに、前記化合物の添加方法としては一度に全量仕込んでも、また逐次添加してもよく、特に制限されるものではない。ラジカル開始剤としては、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、キュメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の水溶性又は油溶性の過酸化物を例示することができる。
これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。その他、重合促進剤、重合度調節剤、乳化剤も、公知の乳化重合法で使用されているものを適宜選択して使用してもよい。
得られたラテックスから乾燥樹脂を得る方法は公知の方法でよい。その際、不飽和カルボン酸含有共重合体及びグラフト共重合体のラテックスを混合した後、乾燥樹脂を得てもよく、別々に樹脂を得て粉末状態で混合してもよい。ラテックスから樹脂を得る方法としては、例えばラテックスに塩酸、硫酸、酢酸等の酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩を加え、ラテックスを凝固したのち、脱水、乾燥する方法が用いられる。以上のようにして製造された不飽和カルボン酸含有共重合体とグラフト共重合体の混合樹脂はABS樹脂の特性を保持しながら、なおかつポリアミド樹脂との高い相溶性を発現できるものである。
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂(A)は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。例えば、モノマー単位が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、分子量が異なるもの等を任意に組み合わせることができる。
本発明の(B)成分であるポリアミド系樹脂は、本発明で用いられるポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を含み加熱溶融できる重合体である。
具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン61)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/61)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド等が挙げられる。
中でも、入手のし易さ、取扱性等の点から、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン9T、ナイロンMXD6、及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドが好ましい。また、強度、弾性率、コスト等の点から、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロンMXD6がより好ましい。
上記ポリアミド樹脂の分子量は、特に制限はないが、通常、25℃の濃硫酸中で測定した相対粘度が0.5〜5.0の範囲のものが好ましく用いられる。
上記ポリアミド樹脂は、単独で、又は、組成あるいは成分の異なるもの及び/又は相対粘度の異なるものを2種以上組み合わせて使用し得る。
上記ポリアミド樹脂は、例えば、一般的なポリアミドの重合法等により製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリアミド系樹脂(B)は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されず、任意に組み合わせることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)との比率[(A)/(B)]は、体積比で、15/85〜75/25である。15/85未満の場合は、寸法安定性や耐衝撃性等が低下する傾向があり、75/25を超えると、得られる成形品の熱安定性や耐溶剤性等が低下する傾向がある。
スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂樹脂(B)との混合比[(A)/(B)]は、樹脂組成物中のミクロ相分離構造において、少なくともポリアミド系樹脂(B)が連続相構造を形成していることが必要である。そして他の樹脂成分であるスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)が島構造又は実質的に連続相構造を形成する様にそれぞれの比率を決めればよい。
このような相構造を有することにより、ポリアミド系樹脂中に多く分散した高熱伝導性無機化合物が、相互に接触しあって熱を伝えることにより、組成物全体の熱伝導性が向上することとなる。このような構造を実現するのに必要となる体積比率の上限は75/25であり、好ましくは70/30であり、より好ましくは65/35であり、さらに好ましくは60/40であり、最も好ましくは55/45である。
一方体積比率の下限は15/85であるが、寸法安定性や耐衝撃性等の観点から、より好ましくは20/80であり、さらに好ましくは25/75であり、最も好ましくは30/70である。なお30/70〜49/51の様にAとB成分を比べた際、B成分の割合が多い方が熱伝導率の向上効果が良好で好ましい。
なお高熱伝導性無機化合物(C)は、大部分がポリアミド系樹脂(B)の相中に存在している。従って得られた組成物の電子顕微鏡などで観察すると、得られた写真ではポリアミド系樹脂(B)は混合比よりも多くの割合を占めているように見える。例えば体積比で(A)/(B)/(C)=35/35/30にて混合し、(C)成分が全て(B)成分中に存在していると、見た目の体積比は(A)/{(B)+(C)}=35/65に見える。
しかしながら本特許で言うスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)との比率[(A)/(B)]は、(C)成分を除いた体積比率であるので、このような例の場合でも、[(A)/(B)]=50/50であると定義する。従って[(A)/(B)]の体積比は、両樹脂の混合比とほぼ同じ値となる。
好ましくは、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)も連続相構造を形成し、ポリアミド系樹脂(B)と共に相互連続相構造を形成していることである。このような相構造を形成することにより、得られた樹脂組成物の衝撃強度が向上する効果が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合する高熱伝導性無機化合物(C)は、単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上のものを用いることができる。1.5W/m・K未満では、組成物の熱伝導率を向上させる効果に劣るため好ましくない。単体での熱伝導率は、好ましくは4W/m・K以上、さらに好ましくは9W/m・K以上、最も好ましくは20W/m・K以上、特に好ましくは30W/m・K以上のものが用いられる。高熱伝導性無機化合物(C)単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には2000W/m・K以下、さらには1500W/m・K以下のものが好ましく用いられる。
高熱伝導性無機化合物(C)としてはよく知られた種々の無機化合物を用いることが可能である。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム、ニッケル、等の金属およびこれら金属の合金、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、カーボン、グラファイト、ダイヤモンド、等の炭素材料、等を例示することができる。
しかしながらこれら例示した各種高熱伝導性無機化合物のうち、ポリアミド系樹脂(B)中により多く分散し、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)中には分散しにくいものを選択して用いる必要がある。これら無機化合物は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。
一方、これら高熱伝導性樹脂組成物を電子デバイス用途に使用する際には、電気絶縁性を要求されることが多い。このような用途に本発明の樹脂組成物を用いるためには、高熱伝導性無機化合物(C)としては電気絶縁性を示す化合物を用いる。電気絶縁性とは具体的には、電気抵抗率1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは105Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の電気絶縁性も上記範囲にあることが好ましい。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、を好ましく用いることができる。中でも電気絶縁性に優れることから、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、をより好ましく用いることができる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。なおこれら金属酸化物や金属窒化物の中でも金属の種類によっては半導体としての特性を示す場合があるが、その場合でもできるだけ電気伝導度の低いものを選択するのが好ましい。
高熱伝導性無機化合物(C)の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体、など種々の形状を例示することができる。
しかしながら、これら高熱伝導性無機化合物を効率よく樹脂と混合するためには、球状に近い形状を有する微粒子、あるいは液体状化合物を用いるのが好ましい。中でも体積平均粒子径が1nm以上12μm以下の金属酸化物微粒子及び/又は金属窒化物微粒子を用いたときに、高熱伝導性無機化合物(C)がポリアミド系樹脂(B)の相構造のサイズに比べて小さくなるため、高熱伝導性無機化合物(C)をポリアミド系樹脂(B)の相内に優先的に存在させることができ好ましい。またこのようなサイズとすることで樹脂組成物と高熱伝導性無機化合物との溶融混練作業が容易に実施できることとなる。
体積平均粒子径が12μmを超えると、得られる成形品の外観が損なわれたり、樹脂組成物の衝撃強度が低下したりする傾向が見られるほか、粒子サイズがポリアミド系樹脂(B)の相構造のサイズと比べて大きくなるため、粒子をポリアミド系樹脂(B)中に選択的に存在させることが困難となる傾向がある。また体積平均粒子径が1nm未満では、無機化合物の表面積が莫大となるため、無機化合物の表面における熱抵抗が増大し、熱伝導性が低下する傾向が見られる。
体積平均粒子径は好ましくは5nm〜11μmであり、より好ましくは20nm〜10μmであり、特に好ましくは40nm〜8μmであり、最も好ましくは100nm〜6μmである。なお、本発明における体積平均粒子径とは、粉体の外観を電子顕微鏡や光学顕微鏡などで観察し、観察される外観が円形で無い場合には同面積の円形に換算した後、円の直径を計測し体積平均を算出する方法により計測した値で定義されるものである。
これら高熱伝導性無機化合物(C)を添加する際には、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、等従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
これら高熱伝導性無機化合物(C)は、1種類のみを単独で用いてもよいし、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における高熱伝導性無機化合物(C)の使用量はスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)及びポリアミド系樹脂(B)の二成分の合計に対して、(C)/{(A)+(B)}の体積比が10/90〜75/25となるよう含有する必要がある。体積比が10/90より少ないと、熱伝導性改善効果が劣るため好ましくない。体積比の下限は好ましくは15/85以上、より好ましくは20/80以上、最も好ましくは23/77以上である。また体積比が75/25より多いと、得られる成形品の耐衝撃性、表面性、成形加工性が低下するうえ、溶融混練時の樹脂との混練が困難となる傾向がある。体積比の上限は好ましくは72/28以下、より好ましくは69/31以下、さらに好ましくは67/33以下、最も好ましくは65/35以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、高熱伝導性無機化合物(C)の全体積のうち、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積/{(A)の体積+(B)の体積}×0.4以下であることが必要である。このことにより、得られた熱可塑性樹脂組成物の熱伝導性が効率よく高められる結果、少量の高熱伝導性無機化合物を添加するだけで組成物全体の熱伝導率が高められ、かつ機械的特性や成形加工性などの諸特性をほとんど低下させずに維持することができる。
なかでも、無機化合物(C)の全体積のうち、(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積/{(A)の体積+(B)の体積}×0.3以下であることが好ましい。
より好ましくは、無機化合物(C)の全体積のうち、(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積/{(A)の体積+(B)の体積}×0.25以下である。
さらに好ましくは、無機化合物(C)の全体積のうち(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積/{(A)の体積+(B)の体積}×0.2、最も好ましくは、無機化合物(C)の全体積のうち(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積/{(A)の体積+(B)の体積}×0.1以下である。無機化合物(C)がスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂相に存在する割合が小さいほど、少量の高熱伝導性無機物で効率よく組成物の熱伝導性を向上させることができる。
高熱伝導性無機化合物(C)存在比率の測定は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を切削した切削物を透過型電子顕微鏡により観察し、その視野内に見られる無機化合物(C)の総体積、及びスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂相内に存在する高熱伝導性無機化合物(C)の体積、をそれぞれ計測することによって測定可能である(ここで、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂相と、これ以外の相とは、電子顕微鏡で識別が可能である)。
このときスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とその他の樹脂との界面付近で、両者にまたがって高熱伝導性無機化合物(C)が存在しているものがある場合には、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とその他の樹脂との界面を、高熱伝導性無機化合物(C)が存在する箇所までなめらかに延長することで、見かけ上の両者の界面を設定することにより、高熱伝導性無機化合物(C)が存在する比率を算出するものとする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度をより高めるため、本発明の特徴を損なわない範囲で高熱伝導性無機化合物(C)以外の無機化合物を更に添加することができる。このような強化充填剤としては特に限定ない。但しこれら無機化合物を添加すると、熱伝導率や絶縁性に影響をおよぼす場合があるため、添加量などには注意が必要である。
これら無機化合物も表面処理がなされていてもよい。これら強化充填剤を使用する場合、その添加量は、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)の合計100重量部に対して、100重量以下である。添加量が100重量部を超えると、耐衝撃性が低下するうえ、成形加工性や難燃性が低下する場合もある。好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これら強化充填剤の添加量が増加するとともに、成形品の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、強化充填剤の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、(A)成分や(B)成分以外の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を更に添加してもよい。このような任意成分の樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら任意成分の樹脂を添加した場合には、上記無機化合物(C)は本発明の熱可塑性樹脂組成物において、これら任意成分の樹脂中に存在していてもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をより高性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤;リン系安定剤等の熱安定剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて添加することが好ましい。更に必要に応じて、一般に良く知られている、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、リン系以外の難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
好ましい製造方法としては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を混練装置にて製造するにあたって、混練装置根元に設けた第一供給口、上記第一供給口の下流に設けた第二供給口、及び、上記第一供給口と上記第二供給口との間で上記第二供給口により近い位置に設けられ大気圧に開放されたベント口を少なくとも備えた混練装置を使用して、上記組成物の原料のうち高熱伝導性無機化合物(C)の添加量の30重量%以上は上記第二供給口より供給し、一方、残りの原料は上記第一供給口より供給することからなる製造方法である。
本発明の製造方法は、典型的には、例えば図1に示す装置を用いて行うことができる。図1中、第一供給口1に、(A)成分、(B)成分及び70重量%以下の(C)成分を投入する。投入された原料は、混練装置の中を下流方向に運搬、混練されて移動する。第二供給口3から、30重量%以上の(C)成分を供給する。第一供給口1と第二供給口3との間で、第二供給口3に近い位置にベント口2を設け、これを大気圧に開放する。原料は混練されつつ下流に運搬されて、取り出し口5から取り出される。
このような製造方法を用いることにより、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)との混練を充分に行いつつも、高熱伝導性無機化合物(C)はスチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂相内には進入しにくくなるため、上述のような高熱伝導性無機化合物(C)の分散状態を有する熱可塑性樹脂組成物を容易に製造することができる。特に、高熱伝導性無機化合物(C)を(A)成分及び(B)成分と共通の供給口より全量一括して供給する場合や、高熱伝導性無機化合物(C)を第二供給口より供給しても大気圧に解放されたベント口を用いない場合に比べて、高熱伝導性無機化合物(C)の樹脂相内での分散制御を容易に行うことができる。
この製造方法では、第二供給口より供給する高熱伝導性無機化合物(C)の量は、好ましくは高熱伝導性無機化合物(C)の全添加量のうち30重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上である。無機化合物(C)の全添加量を第二供給口より供給することもできる。
上記混練装置において、大気圧に開放されたベント口2の位置は、第一供給口1と第二供給口3との間で、第二供給口3により近い位置であることが好ましい。また、第二供給口3より下流に、減圧されたベント口4を更に設けることもできる。
本発明の製造方法で用いられる混練装置としては特に限定されず、公知の混練装置を使用することができ、具体的には、例えば、同方向噛み合い型二軸押出機等が挙げられる。なかでも、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)との混練を充分に行うために、二軸押出機が好ましい。二軸押出機としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。スクリューの回転は同一方向のものでもよいし、反対方向のものでもよい。この二軸押出機は、第一供給口1と第二供給口3との間に、ニーディングディスク又は逆ネジ構造、スクリューと壁面との間隔を狭くする、等の、樹脂を滞留させる構造を有しているものがより好ましい。このような樹脂を滞留させる構造のすぐ下流部に、大気圧に開放されたベント口2を設けてもよい。
本発明の製造方法において、混練装置のスクリュー回転数は、一般に、20〜2000rpmである。また、設定温度は、一般に、第一供給口から第二供給口までの区間では常温〜300℃の範囲で適宜設定し、第二供給口以降では250〜300℃である。混練装置中の樹脂の滞留時間は特に制限は無いが、0.5〜15分程度でよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形等が利用できる。
本願発明の組成物は、実施例でも示すとおり良好な熱伝導性を示し、1W/m・K以上、さらには1.3W/m・K以上の成形体を得ることが可能である。
本発明は、特定の相構造を有するポリマーアロイの一方の相内に優先的に高熱伝導性無機化合物を配置することにより、高熱伝導性無機化合物の添加量が少量であっても組成物全体の熱伝導率を効率よく向上させることができたものである。本技術により、これまで成形加工性や耐衝撃性に劣りかつ高価であるため利用分野が限られていた高熱伝導性樹脂組成物が、これまでの常識を覆しさまざまな分野に応用できるものとなった。
また本発明で得られる樹脂組成物は、高熱伝導性でありまた絶縁性も有している。これまでの高熱伝導性材料は導電性を有するので電子材料用途では使用範囲が限定されていたが、本発明ではこのような課題をも同時に解決することに成功した。
本発明の高熱伝導性樹脂組成物は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、等の射出成形品等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料として好適に用いることができる。
さらには発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材として好適に用いられる。これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコンなどの携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類の筐体、ハウジング、外装材用樹脂として非常に有用である。
また絶縁性と熱伝導性とを併せ持った樹脂の特性を生かし、自動車や電車等におけるバッテリー周辺用樹脂、家電機器の携帯バッテリー用樹脂、ブレーカー等の配電部品用樹脂としても非常に有用に用いることができる。
また、本発明の高熱伝導性樹脂組成物は従来の無機物配合組成物に比べて、成形加工性、耐衝撃性、さらには得られる成形体の表面性が良好であり、上記の用途における部品あるいは筐体用として有用な特性を有するものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(参考製造例1):スチレン系樹脂(ST−1)の製造
攪拌機及び還流冷却器の設置された反応缶に、窒素気流中で下記の物質を仕込んだ。水250部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム2.0部を60℃に加熱攪拌後、α−メチルスチレン75重量部、アクリロニトリル20重量部、メタクリル酸5重量部を、開始剤のキュメンハイドロパーオキサイド0.3重量部、重合度調節剤のt−ドデシルメルカプタン0.5重量部とともに6時間かけて連続的に滴下添加した。滴下終了後、さらに60℃で1時間攪拌を続け、重合を終了させ、不飽和カルボン酸含有共重合体(い)を得た。
次に、攪拌機及び還流冷却器の設置された反応缶に、窒素気流中で下記の物質を仕込んだ。水250部、過硫酸カリウム0.5部、ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、不均化ロジン酸ナトリウム3.0部を、重合温度60℃で重合し、ブタジエンの重合率が80%になった時点で重合を停止して未反応ブタジエンを除去し、ゴム状重合体であるポリブタジエンのラテックス(X)を得た。この時ポリブタジエンゴムの平均粒子径は0.30μmであった。
さらに、攪拌機及び還流冷却器の設置された反応缶に、窒素気流中で下記の物質を仕込んだ。水250部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホンキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部、ポリブタジエン70重量部%〔上記で得られた(X)〕を60℃に加熱攪拌後、スチレン10重量部、メチルメタクリレート20重量部を、開始剤のキュメンハイドロパーオキサイド0.3重量部、重合度調節剤のt−ドデシルメルカプタン0.2重量部とともに5時間かけて連続的に滴下添加した。滴下終了後、さらに60℃で1時間攪拌を続け、重合を終了させ、グラフト共重合体(ろ)を得た。
上記で得られた不飽和カルボン酸含有共重合体(い)のラテックス64重量%、グラフト共重合体(ろ)のラテックス36重量%を均一に混合し、フェノール系抗酸化剤を加え、塩化マグネシウム水溶液で凝固した後、水洗、脱水、乾燥し、ABS樹脂を得た。
(実施例1)
スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)として、参考製造例1記載の方法で得られたABS系樹脂(ST−1)を、ポリアミド系樹脂(B)としてナイロン6樹脂であるユニチカナイロン6 A1030BRL(ユニチカ(株)社製)(PA―1)を用い、両者を体積比で(A)/(B)=50/50となるよう混合した。両者の合計100重量部に対して、安定剤としてアデカスタブAO−80(旭電化製商品名)0.2重量部をスーパーフローターにて混合した(原料1)。
別途高熱伝導性無機化合物(C)として酸化アルミニウム粉末(電気化学工業(株)製ASFP―20、単体での熱伝導率35W/m・K、体積平均粒子径200nm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)(FIL−1)100重量部、信越化学製エポキシシランであるKBM−303を5重量部、エタノール10重量部、をスーパーフローターにて混合し、5分間撹拌した後、80℃にて4時間乾燥した(原料2)。
原料1を、日本製鋼所製TEX44同方向噛み合い型二軸押出機のスクリュー根本付近に設けられた第一供給口であるホッパーより投入した。第二供給口の手前位置に、スクリューに角度90℃のニーディングディスクを挿入し、ニーディングディスク部が終了した位置に、大気圧に開放されたベント口を設けた。ベント口のすぐ隣にサイドフィーダーを設置し、サイドフィーダーにて第二供給口より原料2を強制圧入した。スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)との合計に対する、高熱伝導性無機化合物(C)の比率は、(C)/{(A)+(B)}の体積比=40/60となるよう設定した。
第二供給口とスクリュー先端との中間部に、減圧ポンプに接続された減圧ベント口を設けた。スクリュー回転数150rpm、時間あたり吐出量を20kg/hrに設定した。設定温度は第一供給口近傍が100℃で、順次設定温度を上昇させ、ニーディングディスク部手前を245℃に設定した。ニーディングディスク部からスクリュー先端部までを240℃に設定した。本条件にて評価用サンプルペレットを得た。
(実施例2〜10、比較例1〜5)
使用する樹脂の種類や量、使用する高熱伝導性無機化合物の種類や量、押出時のスクリュー先端部の設定温度、を表1、表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルペレットを得た。なお比較例5では第二供給口からの原料投入は行っていない。実施例及び比較例に用いた原料は、下記の通りである。
スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)
(ST−1)(ABS系樹脂):参考製造例1記載の方法で得られた樹脂
(ST−2)(汎用ポリスチレン樹脂):G−9305(PSジャパン(株)社製)
(ST−3)(スチレン−メタクリル酸共重合体):G−9001(PSジャパン(株)社製)
(ST−4)(ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体):パラロイドEXL−2602(ロームアンドハースジャパン(株)社製)
(ST−5)(PMMA樹脂):アクリペットVH5−000(三菱レイヨン(株)社製)。
ポリアミド系樹脂(B)
(PA―1)(ナイロン6):ユニチカナイロン6 A1030BRL(ユニチカ(株)社製)
(PA―2)(ナイロン66):ユニチカナイロン66 A125N(ユニチカ(株)社製)
(PA―3)(ナイロンMXD6):レニー6002(旭化成(株)社製)
(PA―4)(ナイロン46):Stanyl TS300(DSM−JSR社製)。
高熱伝導性無機化合物(C)
(FIL−1):酸化アルミニウム粉末(電気化学工業(株)製ASFP―20、単体での熱伝導率35W/m・K、体積平均粒子径200nm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)100重量部
(FIL−2):酸化アルミニウム粉末(電気化学工業(株)製DAW−03、単体での熱伝導率が36W/m・K、体積平均粒子径3.0μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)
(FIL−3):窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製HP−P1、単体での熱伝導率60W/m・K、体積平均粒子径2.0μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)
(FIL−4):窒化アルミニウム粉末(トクヤマ(株)製Hグレード、単体での熱伝導率170W/m・K、体積平均粒子径1.1μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1012Ω・cm)。
(FIL−5):窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)製SN−E10、単体での熱伝導率50W/m・K、体積平均粒子径500nm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)。
[成形加工性]
得られたペレットを用い、東洋精機製キャピラリーレオメーターを用い、押出時温度と同一の設定温度にて、予熱時間5分、ピャピラリーサイズ1mmφ×10mm、剪断速度608sec-1の条件にて溶融粘度を測定した。
[高熱伝導性無機化合物(C)の存在比測定、連続相構造の確認]
得られた直径約3.6mmのペレットを中央部で切断し、ペレット中心部で超薄切片を作成し、ルテニウム染色を行った後透過型電子顕微鏡による観察を行った。ペレット中心部切片の電子顕微鏡写真を元に染色されている箇所とされていない箇所とでそれぞれの相構造を観察する方法により、ポリアミド系樹脂が連続相をなしているかどうかを確認した。スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂相内に存在する無機粒子の面積、及び、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂相以外に存在する無機粒子の面積を計測し、面積比から体積に換算することによって、スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された熱可塑性樹脂(A)の相内に存在する高熱伝導性無機化合物(C)の存在比を体積比から算出した。
[試験片の成形]得られた各サンプルペレットを乾燥した後、射出成形機にて127mm×12.7mm×厚み1.0mmの試験片、127mm×12.7mm×厚み3.2mmの試験片、及び120mm×120mm×厚み3mmの平板を成形した。
[耐衝撃性]
厚み3.2mm試験片を中央部分で切断したサンプルを作成後、23℃50%湿度条件下にて1週間静置した後、ASTM D256に従いノッチ無しアイゾッド衝撃強度を測定した。
[熱伝導率]
厚み1.0mm試験片を用いて、試料両面にグラファイトスプレー塗布した後、アルバック理工製レーザーフラッシュ法熱定数測定装置を用い、室温大気中におけるサンプルの比熱及び熱拡散率を測定した。別途測定した試験片の密度を元に計算することにより、組成物の熱伝導率を算出した。
[電気絶縁性]120×120×厚み3mmの平板を用いて、ASTM D−257に従い体積固有抵抗値を測定した。
それぞれの配合および結果を表1、表2に示す。
Figure 0005028873
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比較例1は(A)/(B)の体積比が本発明の範囲外であるため、熱伝導率の改善効果が劣っている。比較例2では熱伝導率をさらに向上させるため(A)/(B)の体積比はそのままで(C)の体積比を増やしたものの、成形加工性や耐衝撃性が大幅に悪化している。比較例3は(C)の体積比が本発明の範囲外であるため、成形加工が困難であった。比較例4は(A)/(B)の体積比が本発明の範囲外であるため、耐衝撃性などが低下する上熱伝導率は期待したほど向上しなかった。比較例5では(C)の体積比が本発明の範囲外(用いていない)であるため、熱伝導率が低い。
以上から本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これまでの知られた組成物と比べて少量の高熱伝導性無機化合物を添加するだけで効率良く組成物の熱伝導率を向上させることができ、諸物性と熱伝導率とのバランスに優れた、低コストでかつ電気絶縁性の組成物が得られることが分かる。

本発明の製造方法に使用可能な混練装置の一例を示す側面図である。
符号の説明
1;第一供給口
2;大気圧に開放されたベント口
3;第二供給口
4;減圧されたベント口
5;取り出し口
6;駆動モーター

Claims (6)

  1. スチレン系単量体および又は(メタ)アクリル系単量体を用いて合成された、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、メタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メタクリレート−ブタジエン樹脂、イミド化ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンの一部を不飽和カルボン酸単量体で置換したもの含んだABS樹脂、スチレンの一部を不飽和カルボン酸単量体で置換したものを含んだポリスチレン、ブタジエンで変性されたメチルメタクリレート樹脂、不飽和カルボン酸変性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ電気絶縁性を示す高熱伝導性無機化合物(C)(ただし、一次粒子の短軸長さが1〜10nm、長軸長さが20〜700nm、アスペクト比が5〜200であるものを除く)よりなり、
    1)(A)/(B)の体積比が20/80〜60/40の割合であり、
    2)(C)/{(A)+(B)}の体積比が10/90〜75/25であり、
    3)(C)が(A)の相中に存在している比率が、(A)の体積分率×0.4以下であり、
    4)少なくとも(B)が連続相構造を形成していることを特徴とする高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  2. (C)が、電気絶縁性を示す高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  3. (C)が、体積平均粒子径が1nm以上12μm以下の金属酸化物微粒子及び/又は金属窒化物微粒子であることを特徴とする、請求項1あるいは2いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  4. (C)が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  5. (A)/(B)の体積比が20/80〜55/45であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  6. (A)/(B)の体積比が20/80〜50/50であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
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