JP4961078B2 - グラフト共重合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方法 - Google Patents

グラフト共重合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機微粉末によって表面改質されたゴム含有グラフト共重合体粉末に関するものであり、ゴム含有グラフト共重合体粉末表面の粘着性が改良され、優れた粉体特性を有するグラフト共重合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体等の硬質樹脂や、ポリカーボネート、PET、PBT、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂にはその耐衝撃性を改質するために、ゴム含有グラフト共重合体粉末をブレンドすることがある。ゴム含有グラフト共重合体粉末は、乳化重合により製造されたラテックスを直接熱風中に噴霧する方法、ラテックスを酸や塩等の凝固剤と接触させて凝固する方法などによって、ラテックスから回収される。
【0003】
ところが、このようにして製造されたゴム含有グラフト共重合体粉末は、粘着性を有しているため、貯蔵中にブロッキングを起こす場合があった。また、粘着性により流動性が悪く、輸送ラインでの閉塞等の問題を起こしやすかった。特に、耐衝撃性改質効果を大きくするためにグラフト共重合体中のゴム状重合体の含量を増加させた場合には、ブロッキングや輸送ラインの閉塞が生じる傾向が高くなる。
近年ではゴム含有グラフト共重合体粉末の自動計量機や輸送ラインが大型化されており、粉末がブロッキングしやすく流動性が劣る場合には、生産効率低下の影響が大きくなることがあるので、粉体特性改良の要望はますます強くなっている。
【0004】
また、ゴム含有グラフト共重合体粉末は粘着性を有するため、ゴム含有グラフト共重合体ラテックスからゴム含有グラフト共重合体粉末を回収する工程において、その製造設備内の様々な場所に、ゴム含有グラフト共重合体が付着する場合がある。ゴム含有グラフト共重合体が付着すると、コンタミの増加、歩留まり低下、頻繁な洗浄による生産性の低下等を引き起こすおそれがある。特に、粉体を回収する方法として、噴霧乾燥を行った場合は、噴霧乾燥機内の内壁に粉が付着、堆積し、様々な問題を招くことがある。
【0005】
そこで、ゴム含有グラフト重合体の粉体特性および装置内への壁面付着を改良するために、無機微粉末を粉末に添加、混合して粉体表面の粘着性を改質する方法が行われている。無機微粉末としては、種々の金属酸化物、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられるが、その中でも安価で容易に入手できるカルシウム塩を用いた表面改質が行われる場合がある。
このような方法として、例えば、特開昭64−26663号公報には、平均粒径が10μm以下の微粉末をゴム含有グラフト共重合体に添加する方法が提案されていて、その実施例には、微粉末として炭酸カルシウムを使用した例が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭64−26663号公報のように平均粒径が10μm以下の微粉末を添加する場合には、微粉末の添加量を多くしなければならず、粉体表面の改質を高効率で行うことができない。また、微粉末の添加量が多くなると、最終的に製造される熱可塑性樹脂の性能を低下させる。その上、粉体特性を十分に改良できないので、製造工程における製造装置内への粉体付着も防止できない。従って、粉体特性及び最終的に製造される熱可塑性樹脂製品性能が高度に要求される近年の現状を満足することができない。
本発明は、表面の粘着性が改質され、流動性などの粉体特性に優れ、製造工程における製造装置への粉体付着が防止されたグラフト共重合体混合粉体およびグラフト共重合体の粉体特性改良方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のグラフト共重合体混合粉体は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のゴム状重合体を幹ポリマーとし、これに重合可能な単量体をグラフト重合して得たゴム状重合体含有率が40重量%以上のゴム含有グラフト共重合体粉末100質量部と、脂肪酸により表面処理が施され、電子顕微鏡により求めた数平均粒径が0.08μm以上1.0μm以下、見掛け密度が0.23g/ml以上0.3g/ml以下であり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部とを含有するものである。
また、本発明のグラフト共重合体混合粉体では、前記無機微粉末がカルシウム塩であることが好ましい。
また、本発明のグラフト共重合体混合粉体では、前記脂肪酸がステアリン酸であることが好ましい。
また、本発明のグラフト共重合体混合粉体では、さらに二酸化珪素微粉末を含有することが好ましい。
【0008】
また、本発明のグラフト共重合体の粉体特性改良方法は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のゴム状重合体を幹ポリマーとし、これに重合可能な単量体をグラフト重合して得たゴム状重合体含有率が40重量%以上のゴム含有グラフト共重合体粉末100質量部に、脂肪酸により表面処理が施され、電子顕微鏡により求めた数平均粒径が0.08μm以上1.0μm以下、見掛け密度が0.23g/ml以上0.3g/ml以下であり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部を添加することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるゴム含有グラフト重合体は、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のゴム状重合体を幹ポリマーとし、これに重合可能な単量体をグラフト重合したものである。このようなものであれば特に制限されないが、ゴム含有グラフト共重合体中のゴム状重合体の含有率は、好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上である。ゴム含有グラフト共重合体中のゴム状重合体含有率が50重量%以上になると、無機微粉末による表面改質の効果がより顕著に現れる。
【0010】
ゴム状重合体としては、例えば、n-ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどを主成分としたアクリル系ゴム状重合体、オルガノシロキサンなどを主成分としたシリコーン系ゴム状重合体、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどを主成分としたジエン系ゴム状重合体が挙げられる。また、これらゴム状重合体を2種類以上組み合わせた複合ゴムを用いてもよい。また、ガラス状重合体を芯に含有したゴム状重合体であってもよい。
【0011】
グラフト重合に用いるゴム状重合体に重合可能な単量体としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、ハロゲン化ビニル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げられ、これらのうち1種もしくは2種以上を組み合わせて用いる。
前述した芳香族ビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、特にスチレンが好ましい。また、これら芳香族ビニル系単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0012】
前述したシアン化ビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、特にアクリロニトリルが好ましい。また、これらシアン化ビニル系単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前述したエチレン系不飽和カルボン酸系単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノ、ジカルボン酸が挙げられる。これらエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
前述した不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。これら不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
ハロゲン化ビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。これらハロゲン化ビニル系単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
マレイミド系単量体としては、特に制限はないが、例えば、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等が挙げられる。これらマレイミド系単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、上記単量体以外に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン等の乳化重合可能な単量体を使用することもできる。
【0015】
ゴム状重合体およびグラフト重合体を製造する際の重合方法は特に制限されないが、通常乳化重合で製造される。また、重合時における単量体、重合開始剤、乳化剤の添加は、一括添加、連続添加、分割添加、多段階添加等で行うことができる。また、これらを組み合わせて行ってもよい。
また、ゴム状重合体の重合とゴム状重合体への単量体のグラフト重合とはそれぞれ個別に行ってもよいが、2つ以上の攪拌装置を使用して、ゴム状重合体の製造とグラフト重合体の製造とを、連続して同一攪拌装置で行ってもよい。
【0016】
重合開始剤については、特に限定はないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性過硫酸、ジイソピロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、メチルシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリ−メチルヘキサノエートなどの有機過酸化物を一成分としたレドックス系開始剤を使用できる。
乳化剤は特に制限されないが、例えば、不均化ロジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸アルカリ金属塩を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
また、必要に応じて、上述した成分以外に、ジビニルベンゼン、1−3ブチレンジメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどの架橋剤、メルカプタン類、テレペン類といった連鎖移動剤を併用してもよい。
【0018】
本発明におけるゴム含有グラフト共重合体は、凝固法又は噴霧乾燥法により回収された粉体であることが好ましい。
ここで、凝固法とは、ラテックスに凝固剤を接触させて、ラテックス中の重合体を凝固させる方法である。ゴム含有グラフト共重合体ラテックスに接触させる凝固剤としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ぎ酸、酢酸等の有機酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の無機塩、酢酸カルシウム、酢酸アルミニウム等の有機酸塩等が挙げられる。一般的には、これら凝固剤は水溶液化して使用される。
また、凝固されるゴム含有グラフト共重合体ラテックスは単独でもよいが、複数の種類の重合体ラテックスの混合物であってもよい。また、凝固するラテックスに適当な酸化防止剤や添加剤等を加えた後に、凝固させることもできる。
この凝固方法においては、凝固設備、方法、条件などに特に制限はなく、1槽で凝固させるバッチ法や2槽以上の連続した槽で凝固を連続的に行う連続法等、いずれの方法で行うことができる。
【0019】
噴霧乾燥法は、熱風中に直接ラテックスを噴霧し、乾燥させる方法である。この噴霧乾燥法において、噴霧乾燥装置、方法、条件などは、ラテックス中のゴム含有グラフト共重合体を粉末化できれば特に制限されるものではない。例えば、ラテックス液滴を発生させる方法としては、回転円盤型式、圧力ノズル式、2流体ノズル式、加圧2流体ノズル式などいずれの方法でもよい。
また、噴霧乾燥されるラテックスは単独でもよいが、複数のラテックスの混合物であってもよい。また、噴霧するラテックスに適当な酸化防止剤や添加剤等を加えた後に、噴霧乾燥させることもできる。
また、噴霧乾燥に用いられる乾燥機容量は特に制限がなく、実験室で使用するような小規模なスケールから、工業的に使用するような大規模なスケールまでいずれの容量の乾燥機を使用することができる。
【0020】
無機微粉末は、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた元素を含むものである。例えば、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、CaCO3、BaSO4、ZnO、タルクなどが挙げられるが、カルシウム塩が好ましい。カルシウム塩であれば特に制限されないが、その中でも炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムは安価であるため、大幅にコストを高めることなく、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を改質することができる。
【0021】
また、無機微粉末は、平均粒径が5μm以下であることが必要である。また、平均粒径は小さければ小さいほど、粒子の表面改質には好ましく、平均粒径は1.0μm以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒径とは、数平均粒径のことである。
平均粒径が5μmより大きいと、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面改質を十分満足できる程度までにするには、無機微粉末を多量に添加する必要がある。そのため、コストが高くなり、ゴム含有グラフト共重合体の物性にも影響を与えることがある。
【0022】
また、無機微粉末は、見掛け密度が0.35g/ml以下であることが必要である。より好ましくは、見掛け密度が0.3g/ml以下である。無機微粉末の見掛け密度が0.35g/ml以下であることにより、無機微粉末中の粗大粒子の比率が減少するので、ゴム含有グラフト重合体粉末の表面を高効率で改質することができる。見掛け密度が0.35g/mlを超えると、たとえ平均粒径が5μmより小さくても、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を高効率で改質することができない。
なお、本発明における無機微粉末の見掛け密度とは、JIS K5101顔料試験法で定められている見掛け密度(静置法)のことであり、下記(1)式により求められる。
E=F/V ・・・(1)
E:見掛け密度(g/ml)
F:受器内の処理した試料の質量(g)
V:受器の容量(ml)
【0023】
また、無機微粉末としては、脂肪酸により表面処理が施されたものを使用する。表面処理が施されていない無機微粉末を使用した場合には、無機微粉末同士が、その表面エネルギーにより凝集し、粗大粒子の発生を招く。粗大粒子になると、ゴム含有グラフト共重合体表面を覆うことができないので、ゴム含有グラフト共重合体粉体の表面改質が低効率となる場合がある。
また、脂肪酸により表面処理が施されたカルシウム塩を無機微粉末として用いた場合には、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面改質を特に高効率で行うことができる。
無機微粉末の表面処理に用いられる脂肪酸としては、カルボン酸を有する脂肪族であれば特に制限されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。ステアリン酸を用いることにより、無機微粉末の凝集をさらに防止することができる。
【0024】
無機微粉末の添加量は、ゴム含有グラフト共重合体粉末100質量部に対し、0.01〜5.0質量部である。好ましくは、ゴム含有グラフト共重合体樹脂粉末100質量部に対し、0.04〜4.0質量部である。
無機微粉末の添加量が0.01質量部未満では、十分に表面改質できずゴム含有グラフト共重合体粉末の粉体特性改良、製造装置内への付着防止ができない。また、5.0質量部を超えると、コスト面、及びゴム含有グラフト重合体の物性に影響を与えるため好ましくない。
【0025】
また、無機微粉末に二酸化珪素微粉末を併用することも可能である。二酸化珪素微粉末と無機微粉末とを併用することにより、より表面改質効果を高くすることができる。特に、カルシウム塩微粉末と二酸化珪素微粉末を併用することは、非常に表面改質効果が高く、特に乾燥機内の粉体付着防止に効果がある。
二酸化珪素微粉末としては、粒径が1μm以下であれば、疎水性、親水性のどちらでも使用できる。ただし、粒径は0.5μm以下であることが好ましい。二酸化珪素微粉末の添加量は、ゴム含有グラフト共重合体樹脂粉末100質量部に対して、0.005〜1.0質量部であることが好ましい。0.005質量部未満では、十分に表面改質ができず、二酸化珪素微粉末を併用する効果が十分に現れない場合があり、1.0質量部を超えると、成型品の透明性などの物性に影響を与える場合がある。
【0026】
グラフト共重合体混合粉体は、上述したゴム含有グラフト共重合体粉末と無機微粉末とを含有するものである。ゴム含有グラフト共重合体粉末に無機微粉末を添加し、グラフト共重合体混合粉体を製造する方法は、特に制限されない。例えば、乾燥後のゴム含有グラフト共重合体粉体に添加してもよいし、乾燥途中に添加してもよい。
また、凝固法によりゴム含有グラフト共重合体の粉末化を行う場合には、凝固後のゴム含有グラフト共重合体スラリー中に無機微粉末を添加し、ゴム含有グラフト共重合体粉体と混合させることもできる。
【0027】
噴霧乾燥法によってラテックスからゴム含有グラフト共重合体粉体を回収する場合には、無機微粉末を噴霧乾燥機の乾燥塔内に連続投入して、ゴム含有グラフト共重合体に無機微粉末を添加する方法が挙げられる。噴霧乾燥時に無機微粉末を連続投入すると、最終的に得られるゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を改質できるだけでなく、乾燥途中のゴム含有グラフト共重合体の表面をも改質でき、ゴム含有グラフト共重合体の乾燥塔内壁面への付着を抑制できる。
無機微粉末を乾燥塔内に連続投入する方法は、特に制限されないが、例えば、乾燥塔天井部、側面部から各種のパウダーフィーダにより乾燥塔内に添加してもよいし、乾燥塔内を負圧にして吸い込ませてもよい。さらには、乾燥ガス、2流体ノズルまたは加圧2流体ノズルなどのノズルから噴霧される液を微粒化するためのガス、または、ディスクアトマイザを冷却するためのガスに混合して乾燥塔内に連続投入してもよい。
【0028】
このように、本発明のグラフト共重合体混合粉体にあっては、ゴム含有グラフト共重合体粉末100質量部と、脂肪酸により表面処理が施され、平均粒径が5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下であり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部とを含有するので、無機微粉末が凝集することなく、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を効率的に覆うことができる。そのため、高効率でゴム含有グラフト共重合体粉末の表面を改質し、その粘着性を低下させ、保管時などのブロッキングを防止することができる。また、ゴム含有グラフト共重合体粉末の流動性も向上し、輸送時の閉塞を防止することができる。
【0029】
さらに、本発明のグラフト共重合体混合粉体は、粉体製造工程における製造装置内への付着を抑制することができる。特に、噴霧乾燥でグラフト共重合体混合粉体を回収する場合には、乾燥塔内にゴム含有グラフト共重合体ラテックスと同時に、上述した無機微粉末を乾燥塔内に連続投入することにより、乾燥途中の粉体粒子の表面改質を行い乾燥塔内壁面への付着を防止することができる。従って、コンタミを減少させることができ、品質を向上させることができる。また、歩留まりが向上し、頻繁な洗浄の必要もなくなるため、生産性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明のグラフト共重合体混合粉体にあっては、大幅に製造コストを増加させることなく、ゴム含有グラフト共重合体粉末の表面改質が可能である。
また、前記脂肪酸にステアリン酸を使用することにより、表面改質をさらに効率的に行うことができる。
また、上述したグラフト共重合体混合粉体が、さらに二酸化珪素微粉末を含有することにより、無機微粉末による表面改質効果をさらに高めることができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を説明する。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は特にことわりがない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表すものである。
また、実施例及び比較例における各種の評価は以下に示す方法で行った。
(1)炭酸カルシウム粉末物性
平均粒径:電子顕微鏡により求めた。
見掛け密度:JIS5101に基づき測定した。
(2)ブロッキング測定
円筒の容器にゴム含有グラフト共重合体粉末を20g入れ、50℃で17.5kPaの圧力を5時間かける。得られたブロックをミクロ型電磁振動ふるい器(筒井理化製)で振動を与え、ブロックが60%破砕する時間(秒)を測定した。この時間が短いほど、耐ブロッキング性が良好である。
(3)粉体流動性
JIS−K−6721に記載されている嵩比重測定器に、ダンパーを装着した状態でゴム含有グラフト共重合体粉末50gを入れ、次いで、ダンパーを外して、単位時間当たりに粉体が流出する粉体流出量(単位:g/s)を測定した。この粉体流出量が多い程、粉体の流動性が良好である。
【0032】
[実施例1]
(1)ゴム状重合体(A−1)の製造
攪拌装置付き反応装置に、脱イオン水190部、牛脂肪酸カリウム石鹸2.5部、硫酸ナトリウム0.2部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.5部、1,3−ブタジエン80部、およびスチレン20部を仕込み、攪拌を開始し、57℃に昇温した。
次いで、昇温途中に脱イオン水10部、含水結晶ブドウ糖0.3部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄七水塩0.003部の混合物を添加して重合を開始させた。8時間保持した後、攪拌槽内よりゴム状重合体ラテックス(A−1)を取り出した。
【0033】
(2)ゴム含有グラフト共重合体のラテックス(A−2)の製造
攪拌装置付き反応装置に、ゴム状重合体ラテックス(A−1)699部(固形分として233部)、水85部、牛脂脂肪酸カリウム3.0部を反応器に仕込み、窒素置換した後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.3部を添加し、内温を70℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート28部、エチルアクリレート7部、キュメンハイドロパーオキサイド0.15部の混合物を30分かけて連続添加し、100分保持した。次いで、スチレン55部、キュメンハイドロパーオキサイド0.20部の混合物を100分かけて連続添加し、120分保持した。次いで、メチルメタクリレート10部、キュメンハイドロパーオキサイド0.05部の混合物を30分かけて連続添加し、120分保持し重合を終了した。
このようにして得られたグラフト共重合体(ゴム含量70%)ラテックスに、乳化分散させたトリエチレングリコ−ル−ビス[3−(3−タ−シャリ−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]をグラフト共重合体100部に対して0.21部、および乳化分散させたジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−トをグラフト共重合体100部に対して0.63部添加して、ゴム含有グラフト共重合体ラテックス(A−2)を得た。
【0034】
(3)重合体粉体粒子の回収(噴霧乾燥)
ゴム含有グラフト共重合体ラテックス(A−2)を、ノズル式噴霧乾燥装置(大川原化工機製)を使用し、入口温度135℃、出口温度65℃の条件で噴霧乾燥して粉体粒子(P−1)を得た。
(4)無機微粉末添加、粉体特性評価
得られた粉体粒子(P−1)100部に、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.24g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR−B)を0.6部添加、混合してグラフト共重合体混合粉体を得た。このグラフト共重合体混合粉体の特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004961078
【0036】
[実施例2]
実施例1における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わりに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.23g/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名Vigot−15)を粉体粒子(P−1)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0037】
[実施例3]
二酸化珪素微粉末(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジル200FAD)0.04部を、炭酸カルシウム微粉末と同時に添加してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0038】
[比較例1]
実施例1における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わりに、表面処理が施されていない見掛け密度0.17g/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名BRT−1500)を粉体粒子(P−1)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0039】
[比較例2]
実施例1における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わりに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.4g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR)を粉体粒子(P−1)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0040】
[比較例3]
実施例2で使用した炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名Vigot−15)を分級し、見掛け密度0.45g/ml、平均粒径5.5μmの炭酸カルシウム微粉末を得て、これを実施例1における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム(CCR−B)微粉末の代わりに粉体粒子(P−1)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例1と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0041】
実施例1および実施例2では、ステアリン酸により表面処理が施され、平均粒径が5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下である炭酸カルシウムが用いられたので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングし難く、粉体流動性が高かった。
また、実施例3では、さらに二酸化珪素微粉末が用いられたので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、さらにブロッキングし難かった。
一方、比較例1では、炭酸カルシウムがステアリン酸により表面処理が施されていないので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。
また、比較例2では、炭酸カルシウムの見掛け密度が、0.35g/ml以上なので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。
また、比較例3では、炭酸カルシウムの見掛け密度が、0.35g/ml以上、平均粒径が5.0μm以上なので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、さらにブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。
【0042】
[実施例4]
(1)重合体粉体粒子の回収(凝固)
ゴム含有グラフト重合体(A−1)固形分100部に対して、硫酸3.0部となるように調整した1.2%硫酸水溶液を攪拌装置付き容器内に仕込んだ。次いで、攪拌した状態で40℃に保ちながら、ゴム含有グラフト共重合体ラテックス(A−1)を固形分として100部添加し、同時にメチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体ラテックスを固形分として2.0部を攪拌装置内に添加した。そして、5分保持した後、凝固したスラリーを85℃まで徐々に昇温し、得られたスラリーを脱水、乾燥し粉体粒子(P−2)を得た。
【0043】
得られた凝固法で粉体粒子(P−2)100部に、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.24g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR−B)を0.6部混合してグラフト共重合体混合粉体を得た。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004961078
【0045】
[実施例5]
実施例4における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わりに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.23g/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名Vigot−15)を粉体粒子(P−2)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0046】
[実施例6]
粉体粒子(P−2)に添加する炭酸カルシウム微粉末を、粉体粒子(P−2)100部に対し0.3部としてグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0047】
[比較例4]
実施例4における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わりに、表面処理が施されていない見掛け密度0.17g/ml、平均粒径0.2μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名BRT−1500)を粉体粒子(P−2)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0048】
[比較例5]
実施例4における平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(CCR−B)の代わりに、ステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.4g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR)を粉体粒子(P−2)に混合してグラフト共重合体混合粉体を得た以外は実施例4と同様に行った。このグラフト共重合体混合粉体の特性を評価した結果を表2に示す。
【0049】
実施例4〜6では、ステアリン酸により表面処理が施され、平均粒径が5.0μm以下、見掛け密度が0.35g/ml以下の炭酸カルシウムが用いられているので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングし難く、粉体流動性が高かった。
一方、比較例4では、炭酸カルシウムがステアリン酸により表面処理が施されていないので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。
また、比較例5では、炭酸カルシウムの見掛け密度が0.35g/ml以上なので、ゴム含有グラフト共重合体粉末は、ブロッキングしやすく、粉体流動性が低かった。
【0050】
[実施例7]
(1)ゴム含有グラフト共重合体のラテックス(A−3)の製造
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部、オクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキサン混合物100部を得た。
次いで、このシロキサン混合物100部を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1部溶解させた脱イオン水200部に加えた。そして、ホモミキサによって10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザにより30MPaの圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。このオルガノシロキサンラテックスを攪拌槽に仕込み、攪拌を開始し、80℃で5時間保持した後、20℃で48時間放置した。その後、水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に中和し、重合を完結させて、ポリオルガノシロキサンゴム状重合体ラテックスを攪拌槽内から取り出した。
【0051】
得られたポリオルガノシロキサンゴム状重合体ラテックス33部(ゴム状重合体として10部)を、攪拌装置付き反応装置に仕込み、これにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート(花王(株)製、エマールNC−35)1.4部、脱イオン水271部を加えた。そして、窒素置換をした後、50℃に昇温し、n−ブチルアクリレート78.4部、アリルメタクリレート1.6部およびt−ブチルハイドロパーキサイド0.40部の混合液を仕込み、30分間撹拌した。次いで、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.26部および脱イオン水5部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させた。その後、内温70℃で2時間保持し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部とメチルメタクリレート10部との混合液を70℃にて15分間にわたり滴下した。その後、70℃で4時間保持した後、攪拌槽内から取り出しゴム含有グラフト共重合体ラテックス(A−3)を得た。
【0052】
(2)重合体粉体粒子の回収
実施例1で用いた噴霧乾燥機でゴム含有グラフト共重合体ラテックス(A−3)を固形分として30Kg/hrの条件で噴霧乾燥し、同時にステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.24g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウム微粉末(白石工業(株)製、商品名CCR−B)を0.3kg/hrの条件で噴霧乾燥機の直胴部の投入口より乾燥塔内に連続添加した。
1時間連続運転し、乾燥機内壁面への付着状況を確認して、粉体乾燥機内への壁面付着状況を下記のように評価した。その評価結果を表3に示す。
◎ 極めて付着が少ない
○ 付着が少ない
×× 極めて付着が多い
【0053】
【表3】
Figure 0004961078
【0054】
[実施例8]
噴霧乾燥する際、二酸化珪素微粉末(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR972)を0.015kg/hrの条件で炭酸カルシウム微粉末と同時に乾燥塔内に添加した以外は実施例7と同様に行った。粉体乾燥機内への壁面付着状況を表3に示す。
【0055】
[比較例6]
乾燥塔内に炭酸カルシウム微粉末を添加せずに実施例7と同様に行った。結果を表3に示す。
【0056】
実施例7では、同時にステアリン酸によって表面処理が施された見掛け密度0.24g/ml、平均粒径0.08μmの炭酸カルシウムを用いたので、ゴム含有グラフト共重合体の乾燥機内への付着が少なかった。
実施例8では、さらに二酸化珪素微粉末を用いたので、ゴム含有グラフト共重合体の乾燥機内への付着は極めて少なかった。
一方、比較例6では、炭酸カルシウム微粉末を添加しなかったので、ゴム含有グラフト共重合体の乾燥機内への付着が極めて多かった。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特定の安価な無機微粉末を用いてゴム含有グラフト共重合体粉末を表面改質できる。そのため、大幅にコストアップすることなく、粉体輸送時の閉塞、自動計量時のブロッキングを回避でき、製造装置の大型化にも対応できる。

Claims (5)

  1. ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のゴム状重合体を幹ポリマーとし、これに重合可能な単量体をグラフト重合して得たゴム状重合体含有率が40重量%以上のゴム含有グラフト共重合体粉末100質量部と、脂肪酸により表面処理が施され、電子顕微鏡により求めた数平均粒径が0.08μm以上1.0μm以下、見掛け密度が0.23g/ml以上0.3g/ml以下であり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部とを含有することを特徴とするグラフト共重合体混合粉体。
  2. 前記無機微粉末はカルシウム塩であることを特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体混合粉体。
  3. 前記脂肪酸はステアリン酸であることを特徴とする請求項1または2に記載のグラフト共重合体混合粉体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のグラフト共重合体混合粉体において、さらに二酸化珪素微粉末を含有することを特徴とするグラフト共重合体混合粉体。
  5. ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のゴム状重合体を幹ポリマーとし、これに重合可能な単量体をグラフト重合して得たゴム状重合体含有率が40重量%以上のゴム含有グラフト共重合体粉末100質量部に、脂肪酸により表面処理が施され、電子顕微鏡により求めた数平均粒径が0.08μm以上1.0μm以下、見掛け密度が0.23g/ml以上0.3g/ml以下であり、Mg、Ca、Ba、Znよりなる群より選ばれた元素を含む無機微粉末0.01〜5.0質量部を添加することを特徴とするグラフト共重合体の粉体特性改良方法。
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