JP2002265631A - 電気部品用樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

電気部品用樹脂成形品及びその製造方法

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JP2002265631A
JP2002265631A JP2001073531A JP2001073531A JP2002265631A JP 2002265631 A JP2002265631 A JP 2002265631A JP 2001073531 A JP2001073531 A JP 2001073531A JP 2001073531 A JP2001073531 A JP 2001073531A JP 2002265631 A JP2002265631 A JP 2002265631A
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polyamide
parts
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silane coupling
mass
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JP2001073531A
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Toshiyuki Kanno
敏之 管野
Kazuyuki Ishikawa
和幸 石川
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、難燃性、寸法安定性に優れ、かつ通
常の射出成形が可能な電気部品用の樹脂成形品およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリアミドを主体とするポリマーと、無
機充填剤と、シランカップリング剤とを含有する樹脂組
成物を成形固化する。成形は、樹脂組成物を混練する工
程と、前記混練された樹脂組成物を射出成形する工程
と、前記射出工程後に金型中又は金型から取り出して加
熱し、架橋硬化させる工程とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、耐熱性、難燃性、寸法
安定性に優れる電気部品用の樹脂成形品及びその製造方
法に関し、更に詳しくは、電磁開閉器等の接点支持用の
部材やハウジング等として好適に用いることができる樹
脂成形品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電気部品等に用いられる樹脂成
形品は汎用のプラスチックに比べて、高度の強度、耐熱
性、難燃性、更には寸法安定性等の物性が要求される。
また、特に電気及び電子部品の分野では火災に対する安
全性の要求が高く、米国UL規格に代表される難燃化に
関する各種規制をクリアする必要がある。
【0003】上記電気部品の一例である電磁開閉器は制
御システムの重要な構成部品として、PLCやインバー
タなど電子応用装置の使用回路やコンデンサ負荷開閉な
ど幅広い分野で使用されている。そして、これらの開閉
機器には接点を支持するための樹脂成形品が使用されて
おり、この成形品は、接点で発生する熱及び接点の繰返
し運動による負荷に耐える必要があることから上記のよ
うな機械的強度、耐熱性、難燃性、寸法安定性等に関し
て高度の物性が要求される部品の一つである。
【0004】また、成形品は寸法精度が要求されるため
に射出成形等の成形法により製造されることが多く、こ
のため、生産性やコストの点からも汎用の熱可塑性樹脂
が使用できることが好ましい。
【0005】従来、上記の物性を満たす成形品として、
耐熱性を有するいわゆる熱可塑性エンジニアリングプラ
スチックが多く用いられており、また、物性向上のため
の添加剤として、難燃剤、充填剤、繊維強化等の手段を
併用しての物性を向上することが検討されている。
【0006】例えば上記の電磁開閉器においても、接点
支持部材等には樹脂成形品として、ポリブチレンテレフ
タレート(PBT)樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリエ
ポキシ樹脂、ポリフェニルサルファイド(PPS)、液
晶ポリマー等が従来より使用されており、また前記の樹
脂に従来公知の難燃剤等を添加することも広く知られて
いる。しかし、熱可塑性樹脂を使用する以上、樹脂単独
では耐熱性、難燃性に限界があり、コストを含めてすべ
ての要求特性を満たすことはできていない。
【0007】一方、耐熱性の熱可塑性のエンジニアリン
グプラスチックの代表的一種としてポリアミドが広く知
られており、6ナイロン、66ナイロンなどに代表され
る熱可塑性ポリアミド樹脂は、成形加工性、機械特性な
どの優れた諸特性を利用して機械機構部品、電気部品及
び自動車部品などに近年広く用いられており、上記の電
磁開閉器においても、接点支持部材等にポリアミドが用
いられている。
【0008】そして、このポリアミドにおいても、やは
り上記同様の難燃性を付与するべく各種の検討が行われ
ており、例えば特公昭47−41745号公報や特公昭
63−56902号公報には、難燃材としてメラミン誘
導体を配合して難燃性を付与することが開示されてお
り、また、特開昭51−39750号公報にはシアヌル
酸、イソシアヌル酸を配合することによって難燃性を改
善できる技術が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のうち、難燃剤としてメラミン誘導体を配合する
技術においては、やはり難燃性が不十分であり、また、
メラミン誘導体を単に添加するだけでは、成形時に難燃
化剤がブリードアウトしたり、偏在して均一に分散しな
いという問題点がある。
【0010】また、シアヌル酸やイソシアヌル酸を用い
る従来技術においても、上記と同様の成形上の問題点が
あり、更に成形中の温度でシアヌル酸やイソシアヌル酸
が発泡してしまうという問題点も生じていた。
【0011】したがって、本発明の目的は、耐熱性、難
燃性、寸法安定性に優れ、特に電磁開閉器等の接点支持
用部材やハウジング等として好適に用いることができ、
しかも熱可塑性樹脂を使用して射出成形に適する電気部
品用の樹脂成形品及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の電気部品用樹脂成形品は、ポリアミドを主
体とするポリマーと、無機充填剤と、シランカップリン
グ剤とを含有する樹脂組成物を成形固化してなることを
特徴とする。
【0013】本発明の電気部品用樹脂成形品によれば、
ポリアミドの主鎖間でのシランカップリング剤を介した
架橋が進行するとともに、無機充填剤とポリアミドとの
間でもシランカップリング剤を介した架橋が進行し、両
者の相乗効果によって強度と難燃性を向上させることが
できる。
【0014】一方、本発明の電気部品用樹脂成形品の製
造方法は、ポリアミドを主体とするポリマーと、シラン
カップリング剤で処理した無機充填剤とを含有する樹脂
組成物を混練する工程と、前記混練された樹脂組成物を
射出成形する工程と、前記射出工程後に金型中又は金型
から取り出して加熱する工程とを含むことを特徴とす
る。
【0015】この製造方法によれば、射出成形機を使用
して通常の熱可塑性樹脂と同様な成形が可能であり、更
に射出後に加熱することにより、シランカップリング剤
の架橋反応を促進させて硬化を進行させるので、機械的
強度、耐熱性、難燃性に優れた樹脂成形品を生産性よく
製造できる。また、シランカップリング剤で処理した無
機充填剤を添加することにより、無機充填剤と樹脂との
接着性が向上するので、無機充填剤による補強効果を高
めることができる。
【0016】本発明の樹脂成形品の好ましい態様によれ
ば、前記ポリマー100質量部に対して前記シランカッ
プリング剤を0.01〜5質量部含有させる。これによ
り、射出成形等が可能な範囲でシランカップリング剤に
よる架橋反応等が効果的に進行するので、成形性を損な
うことなく機械的強度、耐熱性、難燃効果を付与でき
る。
【0017】また、本発明の更に好ましい態様によれ
ば、前記ポリマー100質量部に対して、前記無機充填
剤を1〜20質量部含有させる。これにより、無機充填
剤の配合量が最適範囲に規定されるので、成形品の機械
的強度が維持できるとともに、寸法安定性が向上する。
【0018】また、本発明の更に好ましい態様によれ
ば、前記シランカップリング剤が、少なくともイソシア
ネート官能性シランを含有する。これにより、シランカ
ップリング剤とポリアミドとの反応性が向上するので架
橋が促進され、機械的強度、耐熱性、難燃性が更に向上
する。また、イソシアネート官能性シランと他のシラン
カップリング剤と併用することによっても、ポリアミド
との反応性をコントロールすることができ、機械的強
度、耐熱性、難燃性を向上させることができる。
【0019】また、本発明の更に好ましい態様によれ
ば、前記ポリアミドが変性ポリアミド共重合体である。
これにより、カルボン酸やアミノ基等により変性された
部位においてもシランカップリング剤との反応が起こる
ので、ポリアミドとシランカップリング剤との架橋反応
速度を調節することができ、射出成形時に架橋が進んで
硬化してしまうことを有効に防止することができる。
【0020】また、本発明の更に好ましい態様によれ
ば、前記樹脂組成物が、難燃剤及び/又は強化繊維を含
有する。難燃剤の添加により更に難燃性が向上でき、ま
た、強化繊維の配合により引張り、圧縮、曲げ、衝撃等
の機械的強度を向上させることができ、更に水分や温度
に対する物性低下を防止することができる。
【0021】また、本発明の更に好ましい態様によれ
ば、前記電気部品が電磁開閉器に用いられるものであ
る。電磁開閉器においては、例えば接点を支持するため
に樹脂成形品が使用されており、接点で発生する熱及び
接点の繰返し運動に耐える高度の強度、耐熱性、難燃
性、更には寸法安定性等が要求され、火災に対する安全
性の要求が高いので、本発明の樹脂成形品が特に効果的
である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の電気部品用樹脂成形品はポリアミドを主
体とするポリマーと、無機充填剤と、シランカップリン
グ剤とを含有する樹脂組成物を成形固化してなる。
【0023】まず、本発明の組成物を構成するポリアミ
ドについて説明する。本発明において用いるポリアミド
としては、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミ
ンとジカルボン酸等を主たる原料としたアミド結合を有
するポリマーであればよく特に限定されない。例えば、
ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリ
アミド4−6、ポリアミド6−6、ポリアミド6−1
0、ポリアミド6−12のような脂肪族ポリアミドでも
よく、またポリアミドMXD6のような芳香族を含むポ
リアミドでもよい。更に、これらの群から選択される2
種のポリアミドを適宜ブレンド又はアロイとして用いる
ことも可能であり適宜限定されない。
【0024】また、上記のホモポリマーには限定され
ず、例えばポリアミド6とポリアミド66(ポリアミド
6/6)や、ポリアミド6とポリアミド12(ポリアミ
ド6/12)のような、上記のホモポリマーの少なくと
も2種からなる共重合体であってもよい。
【0025】更に、本発明においてはポリアミドが変性
ポリアミド共重合体であることが好ましい。これによ
り、変性された部位においてもシランカップリング剤の
反応が起こるので、ポリアミドとシランカップリング剤
との架橋反応速度を遅らせることができるので、射出成
形時に架橋が進んで硬化してしまうことを有効に防止す
ることができる。ここで、変性ポリアミド共重合体とし
ては例えば、フェノール誘導体、メラミン誘導体、グリ
シジール誘導体、ビニル基含有化合物等により変性され
たポリアミド、ポリエステル系の変性ポリマーをグラフ
ト重合したポリアミド、テレフタール酸等のフタル酸変
性されたポリアミド等が挙げられるがこれらに特に限定
されない。
【0026】本発明の樹脂組成物には、その目的を阻害
しない範囲で他の熱可塑性樹脂を併用することができ
る。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウ
レタン、ポリスチレン、AS、ABS、ポリアセター
ル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリブタジエン、ポリオレフィンなどを目的に応
じて任意の割合で配合することが可能である。
【0027】次に、本発明に用いるシランカップリング
剤について説明する。本発明におけるシランカップリン
グ剤は、メトキシ基及びエトキシ基よりなる群から選択
される少なくとも1種のアルコキシ基と、アミノ基、ビ
ニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メル
カプト基、ハロゲン原子、イソシアネート基よりなる群
から選択される少なくとも一種の反応性官能基を有する
シランカップリング剤が例示できる。
【0028】本発明においてはシランカップリング剤
は、無機充填剤とポリアミドの間を架橋して強度を増加
させるとともに、ポリアミド主鎖間でも架橋を起こし、
アミド結合部又は、主鎖末端のアミノ基又はカルボン酸
と反応して硬化することにより、その強度、難燃性を増
すものと考えられる。
【0029】ここで、使用可能なシランカップリング剤
の具体例としては、たとえばN−β(アミノエチル)−
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フ
ェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,
4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピル
トリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシ
シラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシ
ラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなど
が挙げられ、上記を単独で用いてもよく、また2種以上
を併用して用いることも可能である。
【0030】本発明においては、特にシランカップリン
グ剤のもつイソシアネート反応性官能基がポリアミド骨
格中のアミド基との反応性が高いという点から、イソシ
アネート基を有するシランカップリング剤が好ましい。
これにより、更に樹脂成形品の難燃性を向上させること
ができる。
【0031】また、シランカップリング剤は、上記の1
種を単独で用いてもよく、上記2種以上を併用してもよ
い。本発明においては、反応性官能基としてイソシアネ
ート基を有するシランカップリング剤と、アミノ基又は
ビニル基等を有するシランカップリング剤を併用するこ
とが特に好ましい。
【0032】次に、本発明に用いる無機充填剤について
説明する。無機充填剤としては、従来公知のものが使用
可能であり、代表的なものとしては、銅、鉄、ニッケ
ル、亜鉛、錫、ステンレス鋼、アルミニウム、金、銀等
の金属粉末、ヒュームドシリカ、珪酸アルミニウム、珪
酸カルシウム、珪酸、含水珪酸カルシウム、含水珪酸ア
ルミニウム、ガラスビーズ、カーボンブラック、石英粉
末、雲母、タルク、マイカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化
亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネ
シウム、酸化カルシウム、硫酸マグネシウム、チタン酸
カリウム、ケイソウ土等が挙げられるが、これらの中で
も特に炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0033】尚、これらの充填剤は、単独でも、2種以
上を併用して用いてもよく、また、公知の表面処理剤で
処理されたものでもよい。これにより、成形品の機械的
強度が向上するとともに、寸法安定性を向上させること
ができる。
【0034】次に、本発明の樹脂組成物の各成分の配合
割合について説明する。まず、ポリアミドを主体とする
ポリマーとシランカップリング剤の配合割合としては、
ポリアミドとシランカップリング剤との反応性という点
から、ポリマー100質量部に対して前記シランカップ
リング剤を0.01〜5質量部含有することが好まし
く、より好ましくは0.05〜4質量部、更に好ましく
は1〜3質量部である。添加量が0.01より少ないと
架橋が不十分であり難燃効果が不十分で好ましくなく、
また、5質量部を超えるとシランカップリング剤が過剰
となり、成形品が脆くなりクラック等が発生し、更に、
射出成形時に硬化が進んでシリンダ等に樹脂が付着して
しまい成形性を損なうので好ましくない。
【0035】一方、ポリアミドを主体とするポリマーと
無機充填剤の配合割合としては、ポリアミドを主体とす
るポリマー100質量部に対して無機充填剤を1〜20
質量部含有することが好ましい。添加量が1質量部より
少ないと、充填剤としての効果が得られずに寸法安定性
や耐熱性が不十分であり、また、20質量部を超えると
流動性が悪くなり、射出成形性時の成形性が低下し、更
に樹脂成形品の機械的特性も低下するので好ましくな
い。
【0036】更に、本発明の樹脂組成物には、難燃剤及
び/又は強化繊維を含有していることが好ましい。難燃
剤としては、臭素等のハロゲン元素を分子内に有するハ
ロゲン系難燃剤、リン元素を分子内に有するリン系難燃
剤、シアヌール酸又はイソシアヌール酸の誘導体、メラ
ミン誘導体等が好ましく使用できる。ハロゲン系難燃剤
としては臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエ
ーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシなど
が挙げられる。一方、リン系難燃剤としては、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモ
ノリン酸エステル、ビスフェノールAビス(ジフェニ
ル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)
ホスフェートなどの縮合リン酸エステル、ポリリン酸ア
ンモニウム、ポリリン酸アミド、赤リン、リン酸グアニ
ジンなどが挙げられる。これらの難燃剤は単独で用いて
もよく、また2種類以上併用することも可能である。難
燃剤の配合量は、ポリアミドを主体とするポリマー10
0質量部に対して難燃剤を5〜20質量部含有すること
が好ましい。
【0037】また、本発明においては強化繊維を含むこ
とも好ましく行われる。強化繊維はガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維のいずれも用いることができるが、強度及
びポリアミドや無機充填剤との密着性の点からガラス繊
維を用いることが好ましい。強化繊維の配合量は、ポリ
アミドを主体とするポリマー100質量部に対して強化
繊維を10〜30質量部含有することが好ましい。
【0038】尚、本発明の樹脂組成物には、本発明の目
的である耐熱性、耐候性、耐衝撃性を著しく損わない範
囲で、常用の各種添加成分、例えば結晶核剤、着色防止
剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫
外線防止剤、などの添加剤を添加することができる。
【0039】次に、本発明の製造方法について説明す
る。まず、本発明に用いるポリアミドを主体とするポリ
マーと、無機充填剤と、シランカップリング剤とを含有
する樹脂組成物を溶融混練する。混練は、従来公知の混
練方法により調整可能であり特に限定されない。この
際、シランカップリング剤の添加方法としては、あらか
じめ樹脂と練り込む前に、無機充填剤をシランカップリ
ング剤で処理しておいて、その後ポリマーに練り込む方
法でもよく、また、ポリマーと無機充填剤を溶融混錬す
る際にシランカップリング剤を同時に練り込む方法でも
よいが、特に前者が好ましい。それによって、無機充填
剤と樹脂との接着性を向上できる。
【0040】混合は、通常の混合に使用される従来公知
のミキサー、ブレンダーなどによって行うことができ
る。又、溶融混練は、単軸或いは二軸押出機、バンバリ
ーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの通常の
溶融混練加工機を使用して行うことができる。
【0041】そして、成形においても、従来公知の射出
成形法を用いることができ、通常の熱可塑性樹脂の射出
条件を用いることができる。射出条件としては、用いる
ポリアミドの種類によって適宜選択可能であるが、シリ
ンダ温度260〜330℃、金型温度60〜130℃が
好ましい。
【0042】次に、本発明の製造方法においては、射出
工程後に金型中又は金型から取り出して加熱し、架橋硬
化を進行させる。この際、加熱は射出金型内で行っても
よく、また、金型から一旦成形品を取り出した後、別工
程で加熱してもよい。加熱温度としては、260〜35
0℃が好ましく、より好ましくは270〜330℃であ
る。
【0043】本発明においては、この加熱工程により耐
熱性及び難燃性が向上するが、これはシランカップリン
グ剤とポリアミドとの反応が更に進み、ポリアミドのポ
リマー主鎖間での架橋が進み、3次元の架橋反応が進行
するためと推定される。
【0044】このようにして得られた本発明の電気部品
用成形品は、従来の単独の熱可塑性樹脂成形品に比べて
耐熱性、難燃性に優れるので、高度な耐熱性、難燃性が
要求される電気部品、例えば電磁開閉器等の接点支持用
の部材やハウジング等として好適に用いることができ
る。
【0045】更に、シランカップリング剤の配合量を特
定の範囲にすることにより、通常の熱可塑性樹脂と同様
に射出成形でき、射出後に金型中又は金型から取り出し
て加熱することにより、シランカップリング剤の反応に
よる硬化を促進させて、耐熱性、難燃性を向上させるこ
とができる。
【0046】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
い。
【0047】
【実施例】実施例1 平均粒径1.4μmの炭酸カルシウム7質量部に、あら
かじめシランカップリング剤としてイソシアネート官能
性シラン(信越化学製、KBE−9007)1.5質量
部を処理して吸着させた。次に、これを66ナイロン樹
脂(旭化成製、レオナFG172X61)100質量部
に添加して、265℃に設定した2軸押し出し機を用い
て10分間溶融混錬してペレットを得た後、80℃で4
時間乾燥させた。更に上記ペレットを射出成形機(FU
NUC製、α50C)を用い、シリンダ温度280℃、
金型温度80℃、射出圧力80MPa、射出速度45c
3/秒、冷却時間10秒の条件で本発明の電気部品用
成形品を得た。
【0048】実施例2 シランカップリング剤としてイソシアネート官能性シラ
ン(信越化学製、KBE−9007)0.8質量部とア
ミノ官能性シラン(信越化学製、KBE−903)0.
7質量部を処理して吸着させた以外は実施例1と同条件
で本発明の電気部品用成形品を得た。
【0049】実施例3 シランカップリング剤としてイソシアネート官能性シラ
ン(信越化学製、KBE−9007)0.8質量部とビ
ニール基官能性シラン(東レダウコーニングシリコーン
製、KBM503)0.9質量部を処理して吸着させた
以外は実施例1と同条件で成形し、その後、成形品を金
型から取り出した後に290℃で5分間熱処理をして本
発明の電気部品用成形品を得た。
【0050】実施例4 シランカップリング剤としてイソシアネート官能性シラ
ン(信越化学製、KBE−9007)0.5質量部と複
合反応性アミノシラン(信越化学製、X−12−56
5)1.0質量部を用い、これにN系難燃性助剤(四国
化成STI−300)8質量部を添加し、更に66ナイ
ロン樹脂として宇部興産製、2015SFを用いた以外
は実施例1と同条件で本発明の電気部品用成形品を得
た。
【0051】実施例5 平均粒径1.4μmの炭酸カルシウム7質量部に、あら
かじめシランカップリング剤としてイソシアネート官能
性シラン(信越化学製、KBE−9007)0.5質量
部とアミノ官能性シラン(信越化学製、KBE−60
2)1.0質量部を処理して吸着させた。次に、これを
6ナイロン/テレフタル酸変性6ナイロンの共重合樹脂
(BASF製、KR4365G5B)100質量部に添
加して、265℃に設定した2軸押し出し機を用いて1
0分間溶融混錬してペレットを得た後、80℃で4時間
乾燥させた。更に上記ペレットを射出成形機(FUNU
C製、α50C)を用い、シリンダ温度320℃、金型
温度130℃、射出圧力120MPa、射出速度80c
3/秒、冷却時間10秒の条件で本発明の電気部品用
成形品を得た。
【0052】比較例1 シランカップリング剤を添加しない以外は実施例1と同
条件で比較例の電気部品用成形品を得た。
【0053】試験例 実施例1〜5及び比較例1、2のサンプルについて、熱
分析(DTA)による熱分解温度(窒素中、昇温10℃
/分)、ASTM−D648による荷重たわみ温度、A
STM−D256によるアイゾット衝撃、ASTM−D
1044によるテーパー磨耗、UL−94による難燃性
を測定した。また、6×6×6mmの試験片を350℃
の半田槽に10秒浸漬後、浸漬後の寸法を測定し、前後
の寸法差を浸漬前の寸法で除した値に100を掛けて、
火ぶくれ試験の数値(%)とした。上記の試験結果をま
とめて表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1より、比較例1においては、シランカ
ップリング剤が未添加であるため、熱分解温度が34
8.6℃と低く、実施例に比べて耐熱性に劣ることが分
かる。また、火ぶくれ試験の結果も−2.5%と寸法変
化が大きく寸法安定性にも劣ることが分かる。これに対
して実施例1〜5においては、各試験結果はいずれも良
好であり、シランカップリング剤の添加によって熱分解
温度、アイゾット衝撃、火ぶくれ試験の結果が比較例1
に比べて向上していることから、耐熱性、機械的強度、
寸法安定性のいずれも優れていることが分かる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、ポリアミドを主体とするポリマーと、無機充填剤
と、シランカップリング剤とを含有する樹脂組成物を成
形固化させたので、シランカップリング剤によりポリア
ミドと無機充填剤との結合が強化されるとともに、ポリ
アミド自身の架橋も促進して硬化させることができ、耐
熱性、難燃性、寸法安定性に優れた電気部品用の樹脂成
形品を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/00 B29K 77:00 // B29K 77:00 105:16 105:16 B29L 31:00 B29L 31:00 C08K 5/54 Fターム(参考) 4F071 AA54 AC16 AE17 AF13 AF54 AH12 BA01 BB05 BC03 4F072 AA08 AB09 AB10 AB11 AD44 AF01 AF02 AF04 AF06 AF21 AL11 4F206 AA29 AB11 AB16 AH33 JA07 JF01 JF21 JW06 4J002 CL001 CL011 CL031 DA036 DA066 DE236 DJ006 DJ016 DJ046 DJ056 DL006 EX007 EX077 FA049 FB096 FD016 FD019 FD138 GQ00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドを主体とするポリマーと、無
    機充填剤と、シランカップリング剤とを含有する樹脂組
    成物を成形固化してなることを特徴とする電気部品用樹
    脂成形品。
  2. 【請求項2】 前記ポリマー100質量部に対して前記
    シランカップリング剤を0.01〜5質量部含有する請
    求項1記載の電気部品用樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 前記ポリマー100質量部に対して前記
    無機充填剤を1〜20質量部含有する請求項1記載の電
    気部品用樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 前記シランカップリング剤が、少なくと
    もイソシアネート官能性シランを含有する請求項1〜3
    のいずれか一つに記載の電気部品用樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 前記ポリアミドが変性ポリアミド共重合
    体である請求項1〜4のいずれか一つに記載の電気部品
    用樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 前記樹脂組成物が、難燃剤及び/又は強
    化繊維を含有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の
    電気部品用樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 前記電気部品が電磁開閉器に用いられる
    ものである請求項1〜6のいずれか一つに記載の電気部
    品用樹脂成形品。
  8. 【請求項8】 ポリアミドを主体とするポリマーと、シ
    ランカップリング剤で処理した無機充填剤とを含有する
    樹脂組成物を混練する工程と、前記混練された樹脂組成
    物を射出成形する工程と、前記射出工程後に金型中又は
    金型から取り出して加熱する工程とを含むことを特徴と
    する電気部品用樹脂成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ポリマー100質量部に対して前記
    シランカップリング剤を0.01〜5質量部含有させる
    請求項8記載の電気部品用樹脂成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ポリマー100質量部に対して前
    記無機充填剤を1〜20質量部含有させる請求項8記載
    の電気部品用樹脂成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記シランカップリング剤が、少なく
    ともイソシアネート官能性シランを含有する請求項8〜
    10のいずれか一つに記載の電気部品用樹脂成形品の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記ポリアミドが変性ポリアミド共重
    合体である請求項8〜11のいずれか一つに記載の電気
    部品用樹脂成形品の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記樹脂組成物が、難燃剤及び/又は
    強化繊維を含有する請求項8〜12のいずれか一つに記
    載の電気部品用樹脂成形品の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記電気部品が電磁開閉器に用いられ
    るものである請求項8〜13のいずれか一つに記載の電
    気部品用樹脂成形品。
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