JP2002255255A - 簡易塗布具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】温度変化等により容器内の圧力が上昇した際の
ペン先等から塗布液が漏出すること、及び塗布液を注入
する際の塗布液が漏出することを防止する。 【解決手段】本発明の簡易塗布具１は、ペン先２と、内
部に塗布液６を直接収容可能な容器４とからなる。容器
４の前端に、容器４内部へ塗布液６を注入するための注
入孔５を開口する。注入孔５にペン先２を着脱自在に構
成する。注入孔５にペン先２を取り付けた際、ペン先２
外面と注入孔５内面との間に、容器４外部から容器４内
部に空気流入可能な軸方向に延びる隙間７を設ける。隙
間７が塗布液６を保持可能な毛細管力を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、簡易塗布具に関す
る。詳細には、容器内部に塗布液を補給することによ
り、繰り返し使用可能な簡易塗布具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、水像シート（即ち、塗布層の水で
濡れた箇所のみが透明化して下層の着色層の色相が現出
し、一定時間後に水分が蒸発または吸収されて発色が消
色して塗布前の状態に戻る性質を有する繰り返し塗布可
能なシート、いわゆる水筆紙）に適用される簡易塗布具
として、例えば、実開昭６０−２６８９５号公報には、
容器の前端にペン先を設けるとともに、容器の後端に水
（本発明の塗布液）が注入可能な開口部を設けた水筆
（本発明の簡易塗布具）が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の簡易塗布具
は、温度変化等により容器内の圧力が上昇した際、容器
内の圧力を調節する機能が不十分であるため、塗布液
が、容器内からペン先に過剰供給され、外部に漏出する
おそれがある。また、前記従来の簡易塗布具は、容器の
後端開口部から塗布液を注入する際、ペン先を下向きに
し、前記容器の後端開口部からキャップを外し、該後端
開口部を開口した状態で注入されるため、容器内が大気
圧となり重力によって塗布液がペン先より漏出しやす
い。

【０００４】本発明は、前記従来の問題点を解決するも
のであって、温度変化等により容器内の圧力が上昇した
際に、ペン先等から塗布液が漏出することを十分に抑止
できる安価な簡易塗布具を提供すること、さらには、塗
布液を容器内に補充注入可能な場合、塗布液を注入する
際にペン先等から塗布液が漏出するおそれがない簡易塗
布具を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】〔１〕本発明の簡易塗布
具１は、ペン先２と、内部に塗布液６を直接収容可能な
容器４とからなり、前記容器４の前端に、容器４内部へ
塗布液６を注入するための注入孔５を開口させ、前記注
入孔５に前記ペン先２を着脱自在に構成し、前記注入孔
５に前記ペン先２を取り付けた際、前記ペン先２外面と
前記注入孔５内面との間に、容器４外部から容器４内部
に空気流入可能な軸方向に延びる隙間７を設け、前記隙
間７が塗布液６を保持可能な毛細管力を有すること（請
求項１）を要件とする。

【０００６】（作用）塗布液６を容器４内に注入する際
には、ペン先２を容器４の注入孔５から取り外し、前記
注入孔５を上向き状態にさせ、前記注入孔５から塗布液
６を注入する。その後、前記注入孔５にペン先２を挿着
することにより、前記注入孔５を塞ぐ。それにより、塗
布液６を容器４内に注入する過程において、塗布液６が
外部に漏出するおそれがない。また、前記ペン先２が容
器４の蓋としての機能を兼ねるため、塗布具全体の部品
点数が減少し、簡易な構造とすることができる。

【０００７】また、前記隙間７は、温度変化等により容
器４の内圧が増加した際、容器４内より溢出した塗布液
６をその毛細管力により一時的に保持する。さらに、前
記隙間９は、塗布液６を保持すること（液シール）によ
り外部からの空気流入を抑制し、塗布液６の消費に伴う
容器４の内圧が減少した体積分だけ容器４内に空気流入
を許容する。

【０００８】即ち、前記隙間７によって、温度変化等に
より容器４の内圧が増加しても、ペン先２や空気孔から
塗布液６が漏出することを十分に抑止でき、また、塗布
液６の消費等によって容器４の内圧が減少しても、常に
過不足のない空気流入が維持されているため、塗布液６
のペン先２への供給過剰または供給不足がなく、安定し
た連続的塗布が可能となる。したがって、塗布液６の流
出及び空気の流入を制御するための弁機構等の複雑な構
造が不要となり、塗布具全体を簡易な構造にして、製造
コストを低く抑え、安価に提供することができる。

【０００９】〔２〕前記請求項１の簡易塗布具１におい
て、前記隙間７の径方向の幅寸法Ｓを後方に向かうに従
い小さく設定すること（請求項２）が好ましい。

【００１０】（作用）前記隙間７の径方向の幅寸法Ｓ
を、後方に向かうに従い小さく設定したことによって、
前記隙間７の毛細管力が、後方に向かうに従い次第に強
く設定される。それにより、容器４内の圧力が増加した
際には、前記隙間７の後端部分から順に前方へ、容器４
内からの溢出した塗布液６が一時的に保持されていく。
一方、容器４内の圧力が減少した際には、前記隙間７に
一時的に保持された塗布液６が、前記隙間７の前端部分
の塗布液６から順に、容器４内に途切れることなくスム
ーズに戻される。

【００１１】さらに、前記隙間７の後部は、前記隙間７
の前部よりも毛細管力が強く設定されるため、そこに、
常に塗布液６が保持され、容器４内への空気流入を調節
する液シール部が形成される。

【００１２】即ち、前記隙間７の径方向の幅寸法Ｓを、
後方に向かうに従い小さく設定したことにより、容器４
内の圧力調節機能（即ち、容器４内への空気流入調節機
能、及び塗布液６の一時的保持機能）が有効に発揮され
るため、より一層、請求項１の隙間７の作用が確実とな
る。

【００１３】〔３〕前記請求項１または２の簡易塗布具
１において、前記注入孔５の内面に軸方向に延びるリブ
３４を設け、前記リブ３４により、前記ペン先２外面を
圧入保持し且つ前記ペン先２外面と前記注入孔５内面と
の間に前記隙間７を設けること（請求項３）が好まし
い。

【００１４】（作用）前記リブ３４によってペン先２外
面が圧入保持され、それにより、ペン先２の径方向のぐ
らつきが抑えられ、安定した塗布が可能となる。しか
も、前記リブ３４の径方向突出量により、隙間７の径方
向の幅寸法Ｓを容易に設定することができる。その上、
ペン先２外面にリブを設ける場合に比べ、リブや溝のな
いペン先２が適用できるため、製造コストを抑えること
ができる。さらに、ペン先２が圧入保持されるリブが軸
方向に延びる構成のため、ペン先２のスムーズな着脱が
可能となり、繰り返しの着脱によってもペン先２の損傷
や変形を防ぐことができる。

【００１５】〔４〕前記請求項１乃至３の簡易塗布具１
において、容器４の前端開口部内面に直接、注入孔５を
設けてもよいが、容器４の前端開口部内面にペン先２外
周面が圧入保持可能な筒状部材３を固着し、前記筒状部
材３の内側に前記注入孔５を設けること（請求項４）が
好ましい。

【００１６】（作用）それにより、容器４の前端開口部
内面に、直接に注入孔５を形成する場合に比べ、ペン先
２との間に適正な隙間７を形成するための注入孔５の内
面形状が容易に得られ、製造が容易となる。

【００１７】〔５〕前記請求項１乃至４の簡易塗布具１
において、前記塗布液６が水であること（請求項５）が
好ましい。

【００１８】（作用）それにより、長期間、塗布具を使
用しないとき、注入孔５からペン先２を外して、該注入
孔５より容器４外部へ水を容易に排出できるので、容器
４内に水を収容した状態で放置させることによる水の漏
出事故が未然に防止される。その上、水像シートに筆記
することができるとともに、ペン先２に触れたとして
も、手や衣類を汚すことがなく、幼児が扱うのに最適と
なる。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
に従って説明する。

【００２０】図１〜図４に本発明の一実施例を示す。

【００２１】本実施例の簡易塗布具１は、ペン先２と、
該ペン先２が着脱自在に取り付けられる筒状部材３と、
該筒状部材３が固着される容器４とからなる。

【００２２】前記ペン先２は、繊維束の棒状の樹脂加工
体（例えば、ポリエステル繊維またはポリアミド繊維の
樹脂加工体）である。また、前記ペン先２は、塗布部と
して丸み形状を有する前端部２１と、縮径された後端部
２２と、該前端部２１と後端部２２との間に形成される
肩部２３とを備える。

【００２３】前記容器４は、前端が開口され且つ後端が
閉塞された有底筒体であり、合成樹脂（例えばポリプロ
ピレン樹脂）のブロー成形により得られる。前記容器４
内には、塗布液６（ここでは水）が、多孔質材料等に塗
布液６を含浸させず、直接収容されている。前記容器４
は、側壁が可撓性を備えてもよく、その場合、容器４の
側壁を外部から内方へ押圧変形させ、容器４内を加圧
し、塗布液６をペン先２２に迅速に供給することができ
る。

【００２４】前記筒状部材３は、大径部３１と小径部３
２とからなり、合成樹脂（例えばポリエチレン樹脂）の
射出成形により得られる。前記大径部３１の外面は、容
器４の前端開口部内面に圧入固着されるととにも、前記
大径部３１の前端には、鍔部３３が形成され、それが容
器４の前端と当接している。

【００２５】前記筒状部材３は、内部に注入孔５が軸方
向に貫設される。前記注入孔５の内面には、軸方向に延
びる複数本のリブ３４（具体的には６本のリブ）が等間
隔に一体に形成されている。前記リブ３４によってペン
先２外面が圧入保持され、それにより、ペン先２の径方
向のぐらつきが抑えられ、安定した塗布が可能となる。
さらに、前記リブ３４によってペン先２外面が圧入保持
されることにより、隣接する前記リブ３４相互間のペン
先２外面と筒状部材３内面（即ち注入孔５内面）との間
に、毛細管力を有する軸方向の隙間７が形成される。

【００２６】前記筒状部材３内面より突出するリブ３４
の径方向突出量は、後方に向かうに従い小さく設定され
ている。それにより、前記隙間７の径方向の幅寸法Ｓ
は、後方に向かうに従い次第に小さく設定され、その結
果、前記隙間７の毛細管力が、後方に向かうに従い次第
に強く設定される。尚、前記隙間７の径方向の幅寸法Ｓ
は、任意の横断面において周方向に略均一であり、具体
的には、隙間７の前端部（図２）において、０．４ｍｍ
に設定され、隙間７の後端部（図３）において、０．１
５ｍｍに設定されている。

【００２７】前記注入孔５の中間部内面（即ち大径部３
１と前記小径部３２との接続部内面）には、段部３６が
形成され、ペン先２を注入孔５に圧入すると、前記段部
３６にペン先２の肩部２３が当接されるとともに、前記
小径部３２内にペン先２の後端部２２が挿入される。

【００２８】また、前記筒状部材３の側壁には、複数個
（具体的には３個）の連通孔３５が設けられる。それに
より、前記隙間７の後端部と容器４内部とが連通され
る。

【００２９】図４に示すように、塗布液６を容器４内に
補給（注入）する際、または塗布液６を容器４内から排
出する際、ペン先２を注入孔５から取り外すことによ
り、前記注入孔５が開口する。一方、図１に示すよう
に、前記ペン先２を前記容器４の注入孔５に圧入する
と、前記注入孔５が塞がれ、それにより、塗布液６の外
部への漏出が防止されるとともに、塗布液６をペン先２
より外部に塗布することができる。

【００３０】尚、前記実施例において、前記容器４内に
は、塗布液６として水が収容され、水像シートに筆記可
能な簡易塗布具１として適用される。この他にも、塗布
液６として、インキ、化粧液、または薬液等を採用する
こともできる。

【００３１】尚、本発明のペン先２としては、繊維束の
樹脂加工体、合成樹脂等よりなる多孔質体、繊維束の熱
融着多孔体、フェルト加工体等の多孔質体が、圧入が容
易な点で好ましいが、これら以外にも、毛筆ペン体、ボ
ールペンチップ、押出成形よりなるプラスチックペン
体、パイプ状ペン体、前端にスリットを有する板状ペン
体等を挙げることができる。

【００３２】

【発明の効果】請求項１により、塗布液を注入する際
や、注入後に温度変化等により容器内の圧力が上昇した
際に、ペン先等から塗布液が外部に漏出することを十分
に抑止できる。また、簡易な構造により、製造コストを
低く抑え、安価に提供することができる。

【００３３】請求項２により、容器内の圧力調節機能が
有効に発揮されるため、より一層、請求項１の隙間の作
用が確実となる。

【００３４】請求項３により、リブによって、ペン先の
径方向のぐらつきが抑えられ、安定した塗布が可能とな
る。しかも、リブの径方向突出量により、隙間の径方向
の幅寸法Ｓを容易に設定することができる。その上、ペ
ン先外面にリブを設ける場合に比べ、リブや溝のないペ
ン先が適用できるため、製造コストを抑えることができ
る。さらに、ペン先が圧入保持されるリブが軸方向に延
びる構成のため、ペン先のスムーズな着脱が可能とな
り、繰り返しの着脱によってもペン先の損傷や変形を防
ぐことができる。

【００３５】請求項４により、容器の前端開口部内面
に、直接に注入孔を形成する場合に比べ、ペン先との間
に適正な隙間を形成するための注入孔の内面形状が容易
に得られ、製造が容易となる。

【００３６】請求項５により、長期間、塗布具を使用し
ないとき、容器外部へ塗布液の水を容易に排出できるの
で、塗布液（水）の漏出事故が未然に防止される。その
上、水像シートに筆記することができるとともに、ペン
先に触れたとしても、手や衣類を汚すことがなく、幼児
が扱うのに最適となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線拡大断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線拡大断面図である。

【図４】図１のペン先を外した状態の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 簡易塗布具 ２ ペン先 ２１ 前端部 ２２ 後端部 ２３ 肩部 ３ 筒状部材 ３１ 大径部 ３２ 小径部 ３３ 鍔部 ３４ リブ ３５ 連通孔 ３６ 段部 ４ 容器 ５ 注入孔 ６ 塗布液 ７ 隙間 Ｓ 隙間の径方向の幅寸法

フロントページの続き Ｆターム(参考） 2C350 GA02 GA03 GA04 GA05 HA14 HA15 HA17 HC03 HC04 HC05 KA07 KA09 KA10 KC02 KD04 KD09 KD10 NA08 NA10 NA11 NC02 NC30 NC33 NC39 3E014 PA01 PB03 PC03 PD30 PE25 PF01 4F042 AA01 FA25 FA30 FA43

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ペン先と、内部に塗布液を直接収容可能な
   容器とからなり、前記容器の前端に、容器内部へ塗布液
   を注入するための注入孔を開口させ、前記注入孔に前記
   ペン先を着脱自在に構成し、前記注入孔に前記ペン先を
   取り付けた際、前記ペン先外面と前記注入孔内面との間
   に、容器外部から容器内部に空気流入可能な軸方向に延
   びる隙間を設け、前記隙間が塗布液を保持可能な毛細管
   力を有することを特徴とする簡易塗布具。
2. 【請求項２】前記隙間の径方向の幅寸法を後方に向かう
   に従い小さく設定した請求項１記載の簡易塗布具。
3. 【請求項３】前記注入孔の内面に軸方向に延びるリブを
   設け、前記リブにより、前記ペン先外面を圧入保持し且
   つ前記ペン先外面と前記注入孔内面との間に前記隙間を
   設けた請求項１または２記載の簡易塗布具。
4. 【請求項４】容器の前端開口部内面にペン先外周面が圧
   入保持可能な筒状部材を固着し、前記筒状部材の内側に
   前記注入孔を設けた請求項１乃至３のいずれかに記載の
   簡易塗布具。
5. 【請求項５】前記塗布液が水である請求項１乃至４のい
   ずれかに記載の簡易塗布具。