JP2002249956A - 炭素繊維織物およびこれを用いたプリプレグ - Google Patents
炭素繊維織物およびこれを用いたプリプレグInfo
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Abstract
がなく、低開口率で、樹脂含浸性に優れ、織物の外観品
位も良好な炭素繊維織物を提供する。 【解決手段】 複数の炭素繊維の単繊維が集束した炭素
繊維束からなる縦糸と横糸が製織された炭素繊維織物で
あり、縦糸および横糸それぞれの任意のn箇所で糸幅を
測定し、得られた糸幅の測定値a1、…、anと、これら
測定値の平均値xとから下記式(1)を用いて算出した
縦糸および横糸の糸幅変動率(%)が、いずれも10%
以下である炭素繊維織物。 【数1】
Description
の強化材として使用される炭素繊維織物に関する。
繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が使用されている。
中でも、炭素繊維は、比強度、比弾性率、耐熱性、耐薬
品性等に優れ、航空機用途、ゴルフシャフト、釣り竿等
のスポーツ用途、一般産業用途の繊維強化複合材料に使
用されている。また、炭素繊維は強化材として用いられ
る場合、炭素繊維を縦糸および横糸に用いた織物の形態
で利用されることが多い。炭素繊維織物を用いた繊維強
化複合材料は、例えば、以下のようにして製造される。
繊維を数千から数万本束ねた前駆体繊維束を、耐炎化工
程(焼成工程)にて空気などの酸化性気体中、200〜
300℃の温度で焼成して耐炎繊維束を得る。次いで、
炭素化工程(焼成工程)にて、不活性雰囲気中、300
〜2000℃の温度で耐炎繊維束を炭素化して炭素繊維
束を得る。そして、この炭素繊維束を縦糸および横糸と
して製織し、織物とした後、これに合成樹脂を含浸さ
せ、所定形状に成形することにより繊維強化複合材料を
得る。
いられる前駆体繊維束には、焼成工程において繊維束が
ばらけて、繊維束を構成する単繊維が隣接する繊維束に
絡まったり、ローラに巻き付いたりしないように、高い
集束性が要求される。しかし、集束性の高い前駆体繊維
束から得られる炭素繊維束は、同様に集束性が高い。そ
のため、このような炭素繊維束を製織して得られた炭素
繊維織物においては、炭素繊維束の集束性が高いため単
繊維が均一にばらけにくく、縦糸および横糸である炭素
繊維束の幅にむらが生じやすかった。炭素繊維束の幅に
むらがあると、織物の外観が劣るとともに開口率が大き
くなり、樹脂が均一に含浸しにくくボイドを発生しやす
いという問題、すなわち樹脂含浸性に劣るという問題が
あった。
である炭素繊維束の幅にむらがなく、低開口率で、樹脂
含浸性に優れ、織物の外観品位も良好な炭素繊維織物を
提供することにある。
は、複数の炭素繊維の単繊維が集束した炭素繊維束から
なる縦糸と横糸が製織された炭素繊維織物であり、縦糸
および横糸それぞれの任意のn箇所で糸幅を測定し、得
られた糸幅の測定値a1、…、anと、これら測定値の平
均値xとから下記式(1)を用いて算出した縦糸および
横糸の糸幅変動率CV(%)が、いずれも10%以下で
あることを特徴とする。
は、1.05〜1.6であることが好ましい。炭素繊維
束は、単繊維束の表面に単繊維の長手方向に延びる複数
の皺を有し、単繊維の円周長さ2μmの範囲で最高部と
最低部の高低差が、80nm以上であることが好まし
い。また、炭素繊維束のSi量は500ppm以下が好
ましい。また、JIS−L1013に準拠して測定され
る炭素繊維束の引掛強さにおいて、断面積1mm2 とし
て換算した強さが450N以上であることが好ましい。
また、炭素繊維束のフィラメント数は1000〜120
00本であることが好ましい。また、開口率は10%以
下であることが好ましい。本発明のプリプレグは、上記
の炭素繊維織物に対して、30〜60重量%の樹脂が含
浸されていることを特徴とする。
本発明の炭素繊維織物は、炭素繊維束からなる縦糸と横
糸が製織された、平織、朱子織、綾織等の織物である。
炭素繊維束は複数の炭素繊維の単繊維が集束したもので
あり、通常、アクリロニトリル系重合体、ピッチ等の単
繊維を束ねた前駆体繊維束(トウ)を焼成して製造され
る。そして、本発明の炭素繊維織物においては、下記式
(1)で表される縦糸および横糸の糸幅変動率CV
(%)が、いずれも10%以下である。
それぞれについて、任意のn箇所で糸幅を測定し、得ら
れた糸幅の測定値a1、…、anと、これら測定値の平均
値xとから上記式(1)を用いて算出した値であり、縦
糸および横糸それぞれについて求められる。ここで、糸
幅を測定する場合、通常、織物の中央部の縦糸および横
糸を100本ずつ選択し、1本の糸について1箇所の糸
幅を測定する。つまり、縦糸および横糸それぞれについ
て100箇所の糸幅を測定し、得られたa1〜a100の1
00個のデータから平均値xを求め、縦糸および横糸そ
れぞれの糸幅変動率CV(%)を算出する。
れ算出された糸幅変動率CV(%)の少なくとも一方が
10%を超えると、開口率が増加し、炭素繊維織物の外
観が劣るとともに、プリプレグ製造時の樹脂含浸性が低
下し、繊維強化複合材料の強化材として適さない。糸幅
変動率CV(%)のより好ましい範囲は7%以下であ
る。
繊維束は、複数の炭素繊維の単繊維が集束したものであ
る。この単繊維の繊維断面の形状には特に制限はない
が、繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が、
1.05〜1.6であることが好ましく、さらに好まし
くは、1.10〜1.4であり、より好ましくは1.1
5〜1.30である。長径/短径比がこの範囲内にあれ
ば、炭素繊維束の集束性が優れ、炭素繊維織物の外観も
優れるとともに樹脂含浸性がさらに向上し、かつ強度も
高くなる。長径/短径比が1.05未満では、単繊維間
の空隙が減少し、炭素繊維織物の樹脂含浸性が低下する
場合がある。長径/短径比が1.6を超えると、繊維束
の集束性が低下し、炭素繊維束を製造する際の焼成工程
通過性が悪化し、炭素繊維束が安定に得られない場合が
ある、また、繊維断面が不均一化するため、炭素繊維束
のストランド強度および引掛強さが低下し、炭素繊維織
物の強度が不十分となる場合がある。さらに、毛羽など
が多発し、その結果炭素繊維織物の外観も劣る場合があ
る。
の比(長径/短径)は、以下のようにして決定される。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の
炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試
料を準備する。ついで、該試料を繊維断面が上を向くよ
うにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10n
mの厚さにスパッタリングしてから、PHILIPS社
製XL20走査型電子顕微鏡により、加速電圧7.00
kV、作動距離31mmの条件で繊維断面を観察し、単
繊維の繊維断面の長径および短径を測定し、長径÷短径
で長径/短径比率が決定される。
00ppm以下であることが好ましく、さらに好ましく
は300ppm以下であり、より好ましくは200pp
m以下である。Si量がこの範囲内にあれば、炭素繊維
織物の樹脂含浸性がさらに優れ、かつ外観品位が高い炭
素繊維織物となる。Si量が500ppmより多くなり
すぎると、得られる炭素繊維束がばらけにくくなり、炭
素繊維織物のドレープ性等の織物品位が悪くなる傾向に
ある。また、炭素繊維束製造工程における焼成時にシリ
カが多く飛散して焼成安定性が悪くなり、炭素繊維束を
安定して得ることができなくなるおそれがある。
に使用されるシリコン系油剤に由来するものである。こ
こで、Si量は、ICP発光分析装置によって測定する
ことができる。測定は以下のように実施される。試料を
風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル
炉で灰化し、その重量を測定して灰分を求める。次に炭
酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水
で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。
本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
素繊維束を構成している単繊維は、その表面に単繊維の
長手方向に延びる複数の皺を有していることが好まし
い。このような皺の存在により、炭素繊維束の集束性が
優れるとともに炭素繊維織物の樹脂含浸性がさらに向上
する。このような皺の深さは、単繊維の円周長さ2μm
の範囲で最高部と最低部の高低差によって規定される。
高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)や走査型ト
ンネル顕微鏡(STM)を用いて単繊維の表面を走査し
て表面形状を測定することができる。具体的には以下の
通りである。
両端を固定し、さらに周囲にドータイトを塗り測定サン
プルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメン
ツ製、SPI3700/SPA−300)によりシリコ
ンナイトライド製のカンチレバーを使用してAFMモー
ドにて測定を行う。単繊維の2〜7μmの範囲を走査し
て得られた測定画像を二次元フーリエ変換にて低周波成
分をカットしたのち逆変換を行い繊維の曲率を除去す
る。このようにして得られた平面画像の断面より、皺の
深さを定量する。
の皺の深さは、好ましくは80nm以上であり、より好
ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは15
0nm以上である。皺の深さが80nm未満では、単繊
維間の空隙が減少し、樹脂含浸性が悪くなる。また、単
繊維が均一にばらけにくくなり、織布の外観品位が悪化
する。一方、皺の深さが深くなりすぎると繊維束の集束
性が低下し、炭素繊維束を製造する際の焼成工程通過性
が悪化し、炭素繊維束を安定して得ることができなくな
る。また、炭素繊維束の表面欠陥が増え、ストランド強
度が低下する。さらに、単繊維間の摩擦が増加して、引
掛強さが低下する傾向にある。
1mm2 として換算した強さが450N以上であること
が望ましい。より好ましくは500N以上であり、さら
に好ましくは550N以上である。引掛強さが450N
未満では、糸切れしやすくなるため、炭素繊維束を製造
する際の焼成工程通過性が悪化し、炭素繊維束を安定し
て得ることができなくなる。
3に記載された試験法に準拠して測定される。以下の測
定方法について詳しく説明する。図1のように、U字状
の炭素繊維束1に、炭素繊維束2を引っ掛け、これをU
字状にし、これら炭素繊維束1,2の交差部分から10
0mmの位置に、長さ25mmの掴み部3,4を取り付
けて、試験体とする。試験体の作製の際、0.1×10
-3N/デニールの荷重を掛けて炭素繊維束の引き揃えを
行う。引張時のクロスヘッド速度は100mm/min
で実施する。
束は、フィラメント数が1000〜12000本である
ことが好ましい。フィラメント数が1000本未満で
は、織布にする際に必要な炭素繊維本数が多くになりコ
スト高となる。また,フィラメント数12000本以上
では開口率10%以下の炭素繊維織物を得るには開繊処
理が必須となり、しかも取扱い性が極めて悪い織物とな
る場合がある。好ましくは、1000〜9000本であ
る。
トランド強度は、好ましくは380kgf/mm2 以上
であり、より好ましくは400kgf/mm2 以上であ
り、さらに好ましくは420kgf/mm2 以上であ
る。ストランド強度が380kgf/mm2 未満では、
糸切れしやすくなるため、炭素繊維束を製造する際の焼
成工程通過性が悪化し、炭素繊維束を安定して得られな
い場合がある。また、この炭素繊維束からなる炭素繊維
織物を用いた繊維強化複合材料のコンポジット特性、例
えば、繊維の直角方向の曲げ強度(FS0゜)などが低
下する場合がある。ここで、ストランド強度強度は、J
IS R 7601に記載された試験法に準拠して測定
される。
ことが好ましい。開口率が10%を超えると織物外観が
劣るとともに、樹脂含浸性が低下したり、強化材として
使用した場合に炭素繊維の有する強度等の機械的特性が
十分に発現しない場合がある。ここでいう開口率とは、
織物において、100mm×100mmの単位面積にお
ける、縦糸または横糸のいずれもが存在しない開口部の
合計面積の比率である。開口部の面積測定は、(株)キ
ーエンス製、CV−100等の市販の画像処理センサー
を使用し、下記の計算式により求めることができる。開
口率(%)=開口部の面積の和(mm2)×100/1
0000(mm2)また、本発明の炭素繊維織物は、織
物密度(1インチあたりの炭素繊維束の本数)が5〜4
0本/吋であることが好ましい。5本/吋未満では、織物
密度が粗すぎて開口率が増大し、繊維強化複合材料とし
ての機能が薄れ、40本/吋を超えると高密度になりす
ぎて製織性不良となり、樹脂含浸性が悪く,強度発現性
が低下する場合がある。
ついて説明する。本発明の炭素繊維束は、例えば前駆体
繊維束としてアクリロニトリル系重合体の繊維束を用い
た場合、以下のようにして製造することができる。ま
ず、湿式紡糸などによってアクリロニトリル系重合体の
単繊維からなる前駆体繊維束を紡糸する。ついで、複数
の前駆体繊維束を平行に揃えた状態で耐炎化炉に導入
し、200〜300℃に加熱された空気などの酸化性気
体を前駆体繊維束に吹き付けることによって、前駆体繊
維束を耐炎化して耐炎繊維束を得る。ついで、この耐炎
繊維束を炭素化炉に導入し、不活性雰囲気中、1200
〜2000℃の温度で炭素化して炭素繊維束を得る。さ
らに、2000〜2800℃の温度で黒鉛化して高弾性
炭素繊維束を得る。
との親和性を向上させる目的で表面酸化処理を施す。表
面酸化処理法は、特に制限はなく気相酸化処理、溶剤酸
化処理、あるいは電解酸化処理などにより実施される。
続いて、繊維の保護およびマトリックス樹脂との親和性
向上の目的でサイジング処理を施す。サイジング処理
は、ローラー浸漬法、ローラー接触法など一般に工業的
に用いられている方法などによって行われる。サイジン
グ剤を付着した炭素繊維は、続いて乾燥処理され、サイ
ジング剤を付着させる際に同時に付着したサイジング剤
溶液に含まれていた水、あるいは有機溶媒などの除去が
行われる。ここでの乾燥処理は、熱風、熱板、ローラ
ー、各種赤外線ヒーターなどを熱媒として利用した方法
などによって行われる。
糸として、レピア織機、シャトル織機、グリッパ織機、
ジェット織機等の織機を用いて、平織、朱子織、綾織等
の炭素繊維織物を製織する。
は、樹脂が溶解している樹脂溶液に浸漬されるラッカー
法(溶剤法)や、樹脂フィルムを熱圧着させるホットメ
ルト法等の公知の方法でプリプレグとされ、繊維強化複
合材料の強化材として使用される。この場合、必要に応
じて、炭素繊維織物の開繊処理を行ってもよい。プリプ
レグに使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬
化性樹脂の他、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げら
れる。プリプレグ中においては炭素繊維織物の重量を1
00重量%とした場合、この炭素繊維織物に対して30
〜60重量%の樹脂が含浸されていることが好ましい。
含浸量が30重量%未満では、ボイドが発生しやすく、
強度低下を招く場合があり、60重量%を超えると樹脂
フローが起こり所定の厚みが得られない場合がある。
維の単繊維が集束した炭素繊維束からなる縦糸と横糸が
製織された炭素繊維織物であり、縦糸および横糸それぞ
れの任意のn箇所で糸幅を測定し、得られた糸幅の測定
値a1、…、anと、これら測定値の平均値xとから上記
式(1)を用いて算出した縦糸および横糸の糸幅変動率
(%)が、いずれも10%以下であるので、縦糸および
横糸の糸幅にむらがなく均一で、低開口率で、樹脂含浸
性に優れ、織物の外観品位も良好である。このような炭
素繊維織物はプリプレグとして、繊維強化複合材料とす
るのに最適である。
る。炭素繊維前駆体繊維束は、アクリルニトリル系重合
体をジメチルアセトアミドに溶解し紡糸原液を調製し、
湿式紡糸にて作製した。紡糸原液は、濃度50〜70重
量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液
からなる第一凝固浴中に吐出させて凝固糸とした。次い
で該凝固糸を濃度50〜70重量%、温度30〜50℃
のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中に
て所定量の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行
い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維
束の断面の長径と短径との比、皺の深さは、凝固浴濃度
および温度、さらに延伸条件を変更することにより調整
した。
(繊度1980dtex)の炭素繊維を縦糸および横糸
として使用して、レピア織機で平織し、織物目付けが2
00g/m2 の炭素繊維織物を製造した。なお、使用し
た炭素繊維束は、単繊維の繊維断面の長径と短径との比
(長径/短径)が1.20で、皺の深さが210μm
で、Si量は160ppm、ストランド強度は4680
MPa、引掛強さは760Nであった。得られた織物の
縦糸および横糸の糸幅変動率(%)、開口率(%)を測
定し、織物外観品位を下記の方法で評価した結果を表1
に示す。また、得られた炭素繊維織物にホットメルト法
でエポキシ樹脂を含浸させたところ、樹脂含浸性が優れ
ていた。
選択し、1本の糸について1箇所の糸幅を測定した。そ
して得られた測定値a1〜a100から平均値xを求め、上
記式(1)を使用して糸幅変動率CV(%)を算出し
た。 (2)開口率(%) 100mm×100mmの単位面積における、縦糸また
は横糸のいずれもが存在しない開口部の合計面積の比率
である。開口部の面積測定は、(株)キーエンス製、C
V−100等の市販の画像処理センサーを使用し、下記
の計算式により求めた。 開口率(%)=開口部の面積の和(mm2)×100/
10000(mm2) (3)織物外観品位 目視で評価した。
(繊度1980dtex)の炭素繊維を縦糸および横糸
として使用して、レピア織機で平織し、織物目付けが2
00g/m2 の炭素繊維織物を製造した。なお、使用し
た炭素繊維束は、単繊維の繊維断面の長径と短径との比
(長径/短径)が1.0で、皺の深さが50μmで、S
i量は250ppm、ストランド強度は4800MP
a、引掛強さは950Nであった。実施例1と同様にし
て、得られた織物の糸幅変動率(%)、開口率(%)を
測定し、織物外観品位を評価した結果を表1に示す。ま
た、得られた炭素繊維織物にホットメルト法でエポキシ
樹脂を含浸させたところ、ピンホールが多発し樹脂含浸
性が劣っていた。
物は、縦糸および横糸の糸幅にむらがなく均一で、低開
口率で、樹脂含浸性に優れ、織物の外観品位も良好であ
る。このような炭素繊維織物は、プリプレグとして繊維
強化複合材料を製造するのに最適であり、炭素繊維の有
する強度等の機械的特性が発現した繊維強化複合材料を
製造できる。
Claims (8)
- 【請求項1】 複数の炭素繊維の単繊維が集束した炭素
繊維束からなる縦糸と横糸が製織された炭素繊維織物で
あり、 縦糸および横糸それぞれの任意のn箇所で糸幅を測定
し、得られた糸幅の測定値a1、…、anと、これら測定
値の平均値xとから下記式(1)を用いて算出した縦糸
および横糸の糸幅変動率CV(%)が、いずれも10%
以下であることを特徴とする炭素繊維織物。 【数1】 - 【請求項2】 単繊維の繊維断面の長径と短径との比
(長径/短径)が、1.05〜1.6であることを特徴
とする請求項1に記載の炭素繊維織物。 - 【請求項3】 炭素繊維束は、単繊維の表面に単繊維の
長手方向に延びる複数の皺を有し、単繊維の円周長さ2
μmの範囲で最高部と最低部の高低差が、80nm以上
であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素
繊維織物。 - 【請求項4】 ICP発光分析法によって測定される炭
素繊維束のSi量が500ppm以下であることを特徴
とする請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素繊維織
物。 - 【請求項5】 JIS L 1013に準拠して測定さ
れる炭素繊維束の引掛強さにおいて、断面積1mm2 と
して換算した強さが450N以上であることを特徴とす
る請求項1ないし4のいずれかに記載の炭素繊維織物。 - 【請求項6】 炭素繊維束のフィラメント数が1000
〜12000本であることを特徴とする請求項1ないし
5のいずれかに記載の炭素繊維織物。 - 【請求項7】 開口率が10%以下であることを特徴と
する請求項1ないし6のいずれかに記載の炭素繊維織
物。 - 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の炭
素繊維織物に対して、30〜60重量%の樹脂が含浸さ
れていることを特徴とするプリプレグ。
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