JP2000096354A - 炭素繊維束、およびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維束、およびその製造方法

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JP2000096354A JP10275035A JP27503598A JP2000096354A JP 2000096354 A JP2000096354 A JP 2000096354A JP 10275035 A JP10275035 A JP 10275035A JP 27503598 A JP27503598 A JP 27503598A JP 2000096354 A JP2000096354 A JP 2000096354A
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充利 尾▲ざき▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プリプレグや織物製造時に求められる製造安定
性に優れ、高い強度特性を有する複合材料の製造が可能
である炭素繊維束を提供する。 【解決手段】構成単繊維の横方向圧縮強度PT(単位:
mN)と樹脂含浸ストランド引張弾性率ET(単位:G
Pa)が、次式を満足することを特徴とする炭素繊維
束。 PT≧1150−2.1×ET

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維束とその
製造方法に関する。詳しくは、高い圧縮強度や曲げ強度
を有した高品位な繊維強化複合材料の製造を可能とし、
プリプレグや織物などを従来になく安定に製造し得る炭
素繊維束に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維束は、比強度や比弾性率に優れ
るため、複合材料における補強材として特に好適に用い
られる素材であり、炭素繊維束を補強材とした複合材料
は、その特徴により、航空、宇宙分野、自動車用途、ス
ポーツ・レジャー用途、エネルギー、一般産業用途、建
築用途などあらゆる分野において不可欠の素材となって
いる。
【0003】また、これら分野においては使用する素材
に年々高いレベルの品質特性が要望されるようになって
来ている。
【0004】なかでも、近年多彩な構造物や構造部材の
提案がみられる航空、宇宙分野においては、使用する素
材に高レベルの強度特性が要求されているため、従来の
炭素繊維束を補強材とした複合材料では、これら用途に
適用する際に制限を受ける場合がある。
【0005】一方、従来の炭素繊維束では、それを一方
向に引き揃えて樹脂を含浸せしめてプリプレグを製造し
たり、製織して織物を製造するなど、炭素繊維束を用い
てさらに川下の製品を製造する工程(以下、高次加工工
程と称する)では炭素繊維束をその繊維方向に走行させ
る必要があるが、特に高次加工工程における生産効率を
向上させるため、その走行速度を高めて生産する場合
に、その速度に比例して繊維軸に対して垂直の方向から
一定強度以上の荷重が繰り返しかかったりすることによ
り、炭素繊維束の切断や毛羽が頻発し、工程の生産効率
を低下させたり、得られる高次加工製品の品位を損なう
といった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プリ
プレグや織物などの高次加工製品の生産効率を向上させ
ることができ、高品位な高次加工製品を製造し得る炭素
繊維束を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、高い圧縮強度
や曲げ強度を有する高品位な繊維強化複合材料を製造し
得る炭素繊維束を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の炭素繊維束は、
前記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわ
ち、構成単繊維の横方向圧縮強度PT(単位:mN)と
樹脂含浸ストランド引張弾性率ET(単位:GPa)
が、次式(1)を満足することを特徴とする炭素繊維束
である。
【0009】 PT≧1150−2.1×ET・・・・・・・・・・・・・(1) また、本発明の炭素繊維束の製造方法は、前記課題を解
決するため、次の構成を有する。すなわち、アクリロニ
トリル系重合体を含む溶液を、凝固浴の温度を−10〜
10℃として乾湿式紡糸して前駆体繊維を得た後、該前
駆体繊維を耐炎化処理し、引き続いて低温炭化炉で予備
炭化処理して後、高温炭化炉で炭化処理して炭素繊維束
を製造するにあたり、前記低温炉における昇温速度を、
炉内雰囲気温度300〜500℃において50〜500
℃/分とすることを特徴とする炭素繊維束の製造方法で
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0011】本発明の炭素繊維束は、繊維軸に垂直な方
向における圧縮強度(以下、横方向圧縮強度と称する)
PT(単位:mN)と繊維軸に平行な方向における樹脂
含浸ストランド引張弾性率(以下、引張弾性率と称す
る)ET(単位:GPa)が、次式(1)を満足するも
のである。
【0012】 PT≧1150−2.1×ET・・・・・・・・・・・・・(1) 炭素繊維束の横方向圧縮強度は、一般には引張弾性率の
向上に伴い低下する傾向にあるという、引張弾性率と所
謂トレードオフの関係にある。
【0013】すなわち、本発明の炭素繊維束は、相反す
る特性である引張弾性率と横方向圧縮強度とを両立させ
ているという顕著な特性を有した炭素繊維束である。
【0014】本発明の炭素繊維束は、炭素繊維束よりプ
リプレグを製造する際に、炭素繊維束を拡幅したり、樹
脂を含浸せしめる際に複数のローラー間で炭素繊維束を
プレスするような場合や、織物を製造する際に、縦糸と
横糸を交差させて、強い圧縮応力をかけるような場合に
頻発する脆性破壊に対して強い耐性を発現し、繊維の切
断や毛羽の発生が僅少であるという特徴をもつ。
【0015】また、この炭素繊維束を材料として得られ
る複合材料は、その強度特性が従来になく優れたものに
なり、通常、複合材料の適用が困難である航空機の2次
構造材などに幅広く使用できる。
【0016】さらに、これら良好な諸特性をより優れた
ものとするために、炭素繊維束は、その横方向圧縮強度
PT(単位:mN)と引張弾性率ET(単位:GPa)
が、次式(5)を満足することが好ましい。
【0017】 PT≧1190−1.85×ET・・・・・・・・・・・・(5) なお、本発明の炭素繊維束において、構成単繊維の横方
向圧縮強度は、1000mN程度以下であれば、本発明
の効果を奏する上で充分であることが多い。
【0018】さらにまた、炭素繊維束の高次加工性と、
得られる複合材料の強度特性をより向上させるには、本
発明の炭素繊維束は、繊維軸に垂直な方向における圧縮
弾性率(以下、横方向圧縮弾性率と称する)Ec(単
位:GPa)と引張弾性率ET(単位:GPa)とが、
次式(6)を満足することが好ましい。
【0019】 Ec≧11.5−0.015×ET・・・・・・・・・・・(6) なお、本発明の炭素繊維束において、構成単繊維の横方
向圧縮弾性率は、10GPa程度以下であれば、本発明
の効果を奏する上で充分であることが多い。
【0020】また、上記した、横方向圧縮強度や横方向
圧縮弾性率などの諸特性は、炭素繊維束の引張弾性率
が、200〜400GPaの場合に、通常、効果を発揮
することが多い。
【0021】本発明の炭素繊維束は、その引張弾性率E
T(単位:GPa)と、広角X線回折により求めた炭素
網面の結晶サイズ(以下、結晶サイズと称する)Lc
(単位:nm)が、該引張弾性率ETが300GPa以
下の場合は次式(3)を、該引張弾性率ETが300G
Paを超える場合は、次式(4)をそれぞれ満足するこ
とが好ましい。
【0022】 Lc≦3.5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) Lc≦(ET+50)/100・・・・・・・・・・・・・(4) ここで、上式(3)が適用される場合は、結晶サイズが
大き過ぎると、炭素繊維束に急激な圧縮応力がかかった
場合に、引張強度が小さいために高次加工工程において
脆性破壊され易くなるので、その結晶サイズは3.5n
m以下が好ましく、3nm以下がより好ましく、2.5
nm以下がさらに好ましい。
【0023】ただし、結晶サイズと引張弾性率には正の
相関関係があるため、結晶サイズが小さいと、引張弾性
率が低くなることがあるので、結晶サイズとしては1n
m以上とするのが好ましい。
【0024】一方、前記(4)式が適用される場合も、
結晶サイズは可能な限り小さい方が良いことから、引張
弾性率ETと結晶サイズLcとが、次式(7)を満足する
ことが好ましく、次式(8)を満足することがより好ま
しい。
【0025】 Lc≦ET/100・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7) Lc≦(ET−50)/100・・・・・・・・・・・・・(8) 本発明でいう、炭素繊維束における単繊維の断面形状の
長径、短径および単繊維径は、光学顕微鏡または走査型
電子顕微鏡(以下、SEMと称する)により炭素繊維束
の単繊維の横断面を観察し、そこで観察される断面形状
の直径のうち、最も長いものを長径とし、最も短いもの
を短径とし、それら長径と短径の相加平均を単繊維径と
することにより求める。さらに、これら長径と短径の比
(以下、円形度と称する)を長径を短径で除して求め
る。
【0026】本発明の炭素繊維束は、その単繊維の断面
形状の円形度を1〜1.05とするのが良く、好ましく
は1〜1.03、より好ましくは1〜1.02とするの
が良い。
【0027】この円形度が1.05を超えると、横方向
圧縮強度が極端に低くなる傾向があり、プリプレグの製
造や炭素繊維束の製織などの高次加工工程において、特
に生産速度を高めると、繊維が切断されたり、また、毛
羽が発生することもある。
【0028】また、本発明の炭素繊維束の単繊維径は3
〜10μmが良く、好ましくは4〜9μm、より好まし
くは5〜8μmが良い。炭素繊維束の単繊維径が3μm
未満であると、高次加工工程において繊維が切断された
り、毛羽が発生し易くなり、炭素繊維束の単繊維径が1
0μmを超えると、炭素繊維束に転換する焼成工程にお
いて、前駆体繊維に焼けムラが生じる傾向があり、繊維
内にボイドが発生することにより、得られる炭素繊維束
が脆性破壊され易くなる。
【0029】炭素繊維束の比重が低すぎると、繊維内に
ボイドが存在することが多く、このボイドが、炭素繊維
束の脆性破壊の原因となるため、炭素繊維束の比重は
1.78以上が良く、好ましくは1.79以上、より好
ましくは1.8以上が良い。また炭素繊維束の比重は高
すぎると、その軽量特性が損なわれるので、2.1以下
が良い。
【0030】また、本発明の炭素繊維束に含まれるアル
カリ金属と遷移金属の含有率は、0〜500ppmが良
く、好ましくは0〜300ppm、より好ましくは0〜
200ppmが良い。それら金属の含有量の総和が50
0ppmを越えると、アルカリ金属や遷移金属の微粒子
が、炭素繊維束の脆性破壊の開始点となることがある。
【0031】さらにまた、炭素繊維束に含まれるケイ素
の含有率は、20〜400ppmが良く、好ましくは2
0〜300ppm、より好ましくは20〜200ppm
が良い。ケイ素の含有量が20ppm未満であると、炭
素繊維束に転換する焼成工程で繊維間で融着が起こり、
結果的に複合材料の引張強度を低下させることになり、
ケイ素の含有量が400ppmを超えると、炭素繊維束
の表面に生成する酸化ケイ素微粒子が、炭素繊維束の脆
性破壊の開始点となることがある。
【0032】本発明の炭素繊維束は、次に示す方法によ
って好適に製造することができる。
【0033】アクリロニトリル(以下、ANと称する)
を主成分とするAN系重合体と溶剤より構成されるポリ
マー原液(以下、紡糸原液と称する)を得る。このAN
系重合体中のANの含有率は、90モル%以上が良く、
好ましくは95モル%以上、より好ましくは98%モル
以上が良い。紡糸原液におけるANの含有率が90モル
%未満であると、充分な強度特性を持った炭素繊維束が
得られないばかりでなく、炭素繊維束に転換する焼成工
程で揮発分がタールとして炉内に付着し、均一な炭化処
理の妨げとなることがある。
【0034】一方溶剤としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、硝
酸水溶液、ロダンソーダ水溶液、塩化亜鉛の水溶液など
を使用することができる。
【0035】またこの際、紡糸原液中にゲル成分が発生
することによる紡糸口金の詰まりを防止するため、紡糸
原液中の重合体の濃度を10〜30重量%に調整するの
が好ましい。
【0036】本発明では、炭素繊維束を構成する単繊維
の断面形状の円形度を容易に制御でき、かつ炭素繊維束
の表層部分における緻密性と、表面の平滑性を高める観
点から、紡糸原液を紡糸口金から一旦空気中に吐出させ
た後、凝固浴中に導入しするいわゆる乾湿式紡糸法を好
ましく使用する。湿式紡糸法では、炭素繊維束の断面形
状を円形状とすることが困難になるばかりか、炭素繊維
束の表層部分の緻密性と表面の平滑性が損なわれ易い。
【0037】凝固浴に用いる溶液(以下、凝固浴液と称
する)には、通常、前記紡糸原液における溶剤を溶存さ
せた水溶液を用いる。
【0038】有機系の溶剤の場合、前駆体繊維の断面形
状を円形状とし、かつ表面を平滑とするために、凝固浴
の溶剤濃度は、好ましくは20〜50重量%または70
〜85重量%が良く、より好ましくは25〜40重量%
または75〜80重量%が良い。
【0039】本発明に用いる乾湿式紡糸法においては、
紡糸原液が吐出される口金面と凝固浴液面との間隔は1
〜10mmが良く、好ましくは2〜7mm、より好まし
くは2〜5mmが良い。この間隔が1mm未満である
と、凝固浴液面の揺らぎの影響によって、凝固浴液が口
金に付着して糸切れが発生し易くなり好ましくない。ま
た、この間隔が10mmを超えると、繊維間の融着が誘
起され易くなる。
【0040】また、得られる炭素繊維束の横方向圧縮強
度と横方向圧縮弾性率を高めるために、炭素繊維束の表
層部分の緻密性を高くする必要がある。そのために前駆
体繊維の表層部分の緻密性を高くする必要があるため、
凝固浴液の温度は低く設定するのが良い。具体的には−
10〜10℃が良く、好ましくは−10〜5℃、より好
ましくは−10〜0℃が良い。
【0041】次の水洗工程で、凝固浴液で繊維に付着し
た凝固剤を水洗により除去する。ここで繊維が、水洗用
水に含まれるアルカリ金属と遷移金属を吸着すること
で、最終的に炭素繊維束とした後も、これら微量金属成
分が炭素繊維束の表層部分に残存するようになる。これ
を防止するため、洗浄効果を促進させるため、アルカリ
金属と遷移金属の溶存量の総和が20ppm以下になる
ように調整された、蒸留水またはイオン交換水を水洗に
用いるのが好ましい。
【0042】水洗後に温水中で繊維を延伸せしめる。こ
こでの温水は、繊維間で融着が生じ難い温度に設定する
のが良く、具体的には50〜100℃が良く、好ましく
は60〜95℃が良い。
【0043】さらに続いて次の耐炎化工程での繊維間の
融着を避けるため、前駆体繊維に油剤を付着させる。こ
の油剤は、シリコーンを主成分とするものが良く、なか
でもアミノ変性シリコーンやエポキシ変性シリコーンが
耐熱性の観点から好ましく使用される。
【0044】前駆体繊維に付着させる油剤は、繊維の乾
燥重量に対し、0.1〜2.0重量%付着させるのが良
く、好ましくは0.2〜1.5重量%、より好ましくは
0.2〜1.0重量%付着させるのが良い。油剤の付着
量が0.1重量%未満であると、繊維間で融着が生じる
ことがあり、2.0重量%を超えると、焼成工程で酸化
ケイ素微粒子が生成し、繊維の脆性破壊の原因となるた
め好ましくない。
【0045】こうして油剤を繊維に付着せしめた後、乾
燥工程を経て、必要に応じて加圧スチーム中で延伸(以
下、スチーム延伸と称する)せしめて、前駆体繊維を得
る。
【0046】こうして延伸された前駆体繊維の、その表
面から横方向に単繊維径の1/6程度の深さ部(以下、
表層近傍部と称する)にかけての緻密性は高いことが好
ましい。緻密性が充分でないと、繊維内にボイドが存在
することが多く、前述したように、得られる炭素繊維束
の脆性破壊の原因となることがある。
【0047】得られた前駆体繊維に、空気中、耐炎化炉
にて炭化処理の前安定化処理として耐炎化処理する。耐
炎化炉における雰囲気温度については200〜300℃
が良く、好ましくは240〜280℃が良い。ここで雰
囲気温度が200℃未満であると、耐炎化に要する時間
が長くなり生産効率の点から好ましくない。300℃を
超えると、繊維の分解が始まるため好ましくない。耐炎
化処理における延伸倍率は、0.8〜1.1に設定する
のが良い。延伸倍率が0.8未満であると、繊維の配向
度が低くなり、得られる炭素繊維束の強度が不足してし
まう。また、延伸倍率が1.1を超えると、耐炎化処理
の間に繊維が切断され易くなる。
【0048】こうして得た耐炎化繊維を、不活性雰囲気
中、炭化処理して炭素繊維束とする。炭化処理は、低温
炭化炉で予備炭化して後、高温炭化炉でさらに炭化を進
める方法が好ましく採用される。
【0049】炭化処理工程の各炉における雰囲気温度
は、低温炭化炉については、500〜1000℃が良
く、好ましくは500〜900℃が良い。また高温炭化
炉については、1000〜2000℃が良く、好ましく
は1200〜1800℃が良い。
【0050】ここで、低温炭化炉における雰囲気温度が
500℃未満であると、繊維全体の炭化が進まず、得ら
れる炭素繊維束に充分な引張強度や引張弾性率が得られ
ないことがあり、1000℃を超えると、分解ガスの揮
発速度が過大となり、繊維の内部にボイドが生じ易くな
り好ましくない。
【0051】また、高温炭化炉における最高雰囲気温度
が1000℃未満であると、繊維全体の炭化が進まず、
得られる炭素繊維束に充分な引張強度や引張弾性率が得
られないことがある。
【0052】さらに、炭素繊維束に、より高度な引張弾
性率を持たせるために、黒鉛化処理しても良い。黒鉛化
処理工程における、黒鉛化炉における雰囲気温度は、2
000〜3000℃が良く、好ましくは2000〜26
00℃が良い。黒鉛化炉における雰囲気温度が2000
℃未満であると、黒鉛化が進行せず、得られる黒鉛化繊
維に充分な引張弾性率が得られないことがあり、300
0℃を超えると、炉の消耗が大きくなる。
【0053】これら炭化処理または黒鉛化処理工程にお
ける、各炉内における繊維の延伸倍率は、0.9〜1.
3に設定するのが良く、好ましくは0.95〜1.2に
設定するのが良い。この延伸倍率が0.95未満である
と、繊維の配向度が低くなり、得られる炭素繊維束の引
張弾性率が不足気味となる傾向があり、また延伸倍率が
1.3を超えると、炭化処理または黒鉛化処理工程で繊
維が切断されたり、毛羽が発生し易くなる。
【0054】ここで各炉における昇温速度は、低温炭化
炉における雰囲気温度が300〜500℃では、50〜
500℃/分が良く、好ましくは50〜300℃/分が
良い。低温炭化炉における昇温速度が、50℃/分未満
であると、工程での繊維の搬送速度を落とす必要が生じ
るため、生産効率の点から不利となる。また、500℃
/分を超えると、望ましい炭素骨格構造の形成が妨げら
れ、得られる炭素繊維束に充分な横方向圧縮強度や横方
向弾性率などの強度特性を得ることができなくなり、好
ましくない。
【0055】また、高温炭化炉における雰囲気温度10
00〜1200℃では、昇温速度は、100〜1000
℃/分が良く、好ましくは100〜700℃/分が良
い。高温炭化炉における昇温速度が100℃/分未満で
あると、工程での繊維の搬送速度を落とす必要が生じる
ため、生産効率の点から不利となり、1000℃/分を
超えると、繊維表層が極端な温度変化に晒され、繊維内
にボイドが発生し易くなり、高い横方向圧縮強度および
横方向圧縮弾性率を有する炭素繊維束が得られないこと
がある。
【0056】炭素繊維束を黒鉛化する場合は、黒鉛化炉
における雰囲気温度2000〜2400℃での昇温速度
は、2000〜4000℃/分が良く、好ましくは20
00〜3000℃/分が良い。黒鉛化炉における昇温速
度が2000℃/分未満であると、工程での繊維の搬送
速度を落とす必要が生じるため、生産効率の点から不利
となり、4000℃/分を超えると、繊維表層が極端な
温度変化に晒され、繊維内にボイドが発生し易くなり、
高い横方向圧縮強度および横方向圧縮弾性率を有する黒
鉛化繊維が得られないことがある。
【0057】本発明における物性値はそれぞれ下記の方
法で測定することができる。
【0058】(1)横方向圧縮強度 次の(A)〜(D)の操作で5回測定して得た値を相加
平均して炭素繊維束の横方向圧縮強度とする。
【0059】(A)炭素繊維束から単繊維を数本抜き取
り、これを1〜1.5cm長に切断する。
【0060】(B)内1本を測定サンプルとして、ジル
コニアセラミックス製の水平なステージ上に繊維軸が水
平になるようにしっかりと固定する。
【0061】(C)直径50μmのダイヤモンド製平面
圧子を使用して、サンプルの横方向から圧縮荷重を徐々
に加える。ここで負荷を加える速度は、繊維の引張弾性
率とその断面形状により異なり、1〜50mN/sの範
囲で変化させて設定する。
【0062】(D)このとき得られる変位−荷重曲線
(図1参照)から、最大荷重(図の降伏点での荷重)を
読み取り、この値をもって横方向圧縮強度とする。
【0063】(2)横方向圧縮弾性率 上(1)項で得られた変位−荷重曲線(図1参照)か
ら、次式(9)および式(10)に従って横方向圧縮強
度を計算し、5回分の値を相加平均して炭素繊維束の横
方向圧縮弾性率Ec(単位:GPa)とする。
【0064】 ε=4F×(0.19+sinh-1(R/b))/(πLEc) ・・(9) b2=4F/(πLEc)・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10) ここで、ε:変位量(単位:μm)、F:圧縮荷重(F
=100mN)、L:圧縮後の単繊維の長さ(圧子の
径、50μmと等しい)、R:圧縮前の単繊維径(単
位:μm)である。
【0065】なお、後述する実施例においては、上
(1)、(2)項の測定に、微小圧縮試験機(島津製作
所製、MCTE−500)を使用した。
【0066】(3)引張強度と引張弾性率 炭素繊維束に、ベークライトERL−4221(登録商
標)/三フッ化ホウ素/アセトン=100/3/4(重
量比)を含浸させることで得られるストランドを、13
5℃で30分間加熱して硬化せしめた後、このストラン
ド材5〜10本をサンプルとして、JIS R7601
に従い、定法とおり引張強度と引張弾性率を求める。
【0067】(4)結晶サイズ 炭素繊維束約20mgを採取し、各々繊維の軸が平行
に、巾が1mmになるように形を整えたものをサンプル
台に固定した後、広角X線回折測定の試料台にサンプル
台ごと移す。
【0068】これにX線発生装置を使用してX線を照射
し、35kV×15mA出力のCuKα線(Niフィル
ター使用)を用い、ゴニオメーターにて、透過法により
グラファイトの面指数(002)に対して2θ=26°
付近の回折ピークをシンチレーションカウンターで検出
する。得られる回折ピークにおける半価巾から次式(1
1)により、結晶サイズLcを計算する。
【0069】 Lc=λ/(β0×cosθ)・・・・・・・・・・・・・・(11) ここで、λ:X線の波長(λ=0.15418nm)、
θ:Bragg回折角(単位:rad)、β0:半価巾
(β0=√(βE−β1))、(βE:見かけの半価巾(単
位:nm)、β1:装置定数(β1=1.05×10-2
ad)である。
【0070】なお、後述する実施例においては、X線発
生装置とゴニオメーターとして、理学電気社製CN21
55D型を使用した。
【0071】(5)比重 炭素繊維束約2gを採取し、その乾燥重量W1(単位:
g)と、o−ジクロロベンゼン(比重ρ=1.31)中
における重量W2(単位:g)とから、次式(12)よ
り繊維比重ρfを求める。
【0072】 ρf=W1×ρ/(W1−W2)・・・・・・・・・・・・(12) (6)微量金属の含有量 炭素繊維束約1gを採取し、炭酸ナトリウム/炭酸カリ
ウム/水酸化ナトリウムの1/1/1(重量比)の混合
溶液10ccに加熱融解させ、次いでこれに1Nの硝酸
水溶液50ccを添加して、充分に溶解させた後、誘導
プラズマ高周波結合分光分析法(以下、ICP発光分析
法と称する)にて、この硝酸溶液中のケイ素含有量を測
定する。
【0073】また、別に採取した炭素繊維束約1gを低
温灰化装置で灰化処理後、硝酸とフッ化水素酸1/1
(重量比)の混合液20ccを添加し、さらにこれを1
Nの硝酸水溶液50ccに溶解させた後、フレーム原子
吸光法で、Na、Kの含有量を、ICP発光分析法で、
他のアルカリ金属と遷移金属の含有量をそれぞれ測定す
る。
【0074】(7)前駆体繊維の緻密性 耐炎化処理前の前駆体繊維を10cm程度の長さに切
り、その繊維を数本束ねたものをハンドガードで開繊し
た後に重量を測定し、これをW0(単位:g)とする。
【0075】一方、200ccのジメチルスルホキシド
(以下、DMSOと称する)を入れた共栓付き三角フラ
スコを、温度を60℃±0.2℃に調節した振蕩式恒温
槽中に設置する。
【0076】次に、前記前駆体繊維を先程の三角フラス
コに入れて所定時間放置後、手早くこの繊維束を取り出
し、86重量%、55重量%、30重量%の、室温に保
ったDMSO水溶液にて各々1分ずつ溶解せしめ、次い
で室温の流水にて、繊維束から充分にDMSOを洗浄除
去する。さらに、洗浄後の繊維束を100℃に温度設定
した乾燥機にて充分乾燥し、その重量を測定し、これを
1(単位:g)とする。
【0077】また、溶液処理時間を変更して同様の手順
により前駆体繊維を溶解させる。それぞれの時間で繊維
を溶液処理した溶解重量分率Wを、次式(13)より求
める。
【0078】 W=(W0−W1)/W0 ・・・・・・・・・・・・・・(13) ここで前駆体繊維の比重をρとし、この繊維の単繊維繊
度d(単位:デニール)から、前駆体繊維の単繊維径の
1/2に相当する長さr0(単位:μm)を次式(1
4)より求める。
【0079】 r0=√(d/(9000×ρ×π))×1000・・・(14) 次にDMSO水溶液による溶解深さr(単位:μm)
を、前記溶解重量分率Wとr0(単位:μm)から、次
式(15)より求める。
【0080】 r =(1−√W)×r0 ・・・・・・・・・・・・・・(15) さらに、溶解率Rを、r(単位:μm)とr0(単位:
μm)から、次式(16)より求める。
【0081】 R=r/r0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(16) 上式(16)によって得た溶解処理時間と溶解率の関係
をグラフ化したものを図2に示す。
【0082】図2より、本処理による溶解深さが、溶解
前の前駆体繊維における単繊維径の1/6に相当する深
さになるときの溶解所要時間を内挿して求め、前駆体繊
維の緻密性を次のような基準で評価する。
【0083】すなわち、溶解所要時間が30分を超える
場合は、緻密性が特に高く充分であるといい、20分以
上30分未満の場合は、緻密性が高く充分であるとい
い、20分未満の場合は、緻密性が低く充分でないとい
う。
【0084】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0085】(実施例1)DMSOを溶媒とし、AN系
成分98モル%、アクリル酸2モル%を均一に混合し、
溶液内で重合せしめた。この紡糸原液を、紡糸口金と凝
固浴液面との間隔を5mmとして、紡糸口金から一旦空
気中に吐出させ紡出糸条とし、続いてこの糸条を0℃に
保った30重量%のDMSO水溶液に導入し、凝固せし
めながら、凝固浴から引き取った。
【0086】この後、アルカリ金属と遷移金属の溶存量
の総和が18ppmである蒸留水を用いて水洗後、浴内
延伸、油剤浴におけるシリコーン系油剤の付与、乾燥、
スチーム延伸を施し、全延伸倍率12倍、単繊維径11
μmの前駆体繊維を得た。
【0087】この前駆体繊維は、油剤の付着量が0.5
重量%であり、毛羽もなく品位は極めて良好であった。
またその表層近傍部の、60℃のDMSO溶液への溶解
所要時間が33分であり、緻密性も充分であった。
【0088】この前駆体繊維を、炉内雰囲気温度が24
0〜270℃の熱風循環炉で、空気中、延伸倍率が0.
9になるように延伸しながら耐炎化して耐炎化繊維を得
た。続く炭化処理工程においては、最高雰囲気温度が8
00℃の低温炭化炉で、不活性雰囲気中、延伸倍率が
0.97になるように延伸しながら予備炭化し、次いで
最高雰囲気温度が1400℃の高温炭化炉で、不活性雰
囲気中、延伸倍率が0.95になるように延伸しながら
炭化処理し、炭素繊維束を得た。
【0089】低温炭化炉の昇温速度は、炉内雰囲気温度
300〜500℃では200℃/分であった。
【0090】(実施例2)実施例1と同組成の紡糸原液
を用い、単繊維径を変えるため紡糸原液の吐出量を変更
した以外は、実施例1と同条件で単繊維径が9μmの前
駆体繊維を得た。
【0091】この前駆体繊維は、油剤の付着量が0.4
重量%であり、毛羽もなく品位は良好であった。また表
層近傍部の、60℃のDMSO溶液への溶解所要時間が
24分であり、緻密性も充分であった。
【0092】この前駆体繊維を、実施例1と同条件で耐
炎化処理後、最高雰囲気温度が800℃の低温炭化炉
で、不活性雰囲気中、延伸倍率が1.03になるように
延伸しながら予備炭化し、次いで最高雰囲気温度が15
00℃の高温炭化炉で、不活性雰囲気中、延伸倍率が
0.97になるように延伸しながら炭化処理し、炭素繊
維束を得た。
【0093】低温炭化炉における昇温速度は、炉内雰囲
気温度300〜500℃では300℃/分であった。
【0094】(実施例3)実施例2と同条件で得た耐炎
化繊維に、不活性雰囲気中、最高雰囲気温度が900℃
の低温炭化炉で、延伸倍率が0.98になるように延伸
しながら予備炭化し、次いで最高雰囲気温度が1700
℃の高温炭化炉で、不活性雰囲気中、延伸倍率が0.9
5になるように延伸しながら炭化処理し、炭素繊維束を
得た。
【0095】低温炭化炉における昇温速度は、炉内雰囲
気温度300〜500℃では250℃/分であった。
【0096】(実施例4)実施例2と同条件で得た炭素
繊維束を、不活性雰囲気中、最高雰囲気温度2250
℃、昇温速度3000℃/分の黒鉛化炉で、延伸倍率が
1.02になるように延伸しながら黒鉛化処理し、黒鉛
繊維とした。
【0097】(比較例1)実施例1と同組成の紡糸原液
を用い、60℃に保った50重量%DMSO水溶液を凝
固浴液として用い、湿式紡糸法にて紡糸して単繊維径が
11μmの前駆体繊維を得た。
【0098】この前駆体繊維は、油剤の付着量が0.6
重量%であり、毛羽もなく外観上品位は良好であった
が、表層近傍部の、60℃のDMSO溶液への溶解所要
時間が7分であり、緻密性が充分でなかった。
【0099】この前駆体繊維に、実施例1と同条件で耐
炎化処理と炭化処理を施し、炭素繊維束を得た。
【0100】(比較例2)実施例1と同組成の紡糸原液
を用い、10℃に保った55重量%DMSO水溶液を凝
固浴液として用いた以外は、実施例1と同条件で紡糸し
て単繊維径が11μmの前駆体繊維を得た。
【0101】この前駆体繊維は、油剤の付着量が0.8
重量%であり、毛羽もなく外観上品位は良好であった
が、表層近傍部の、60℃のDMSO溶液への溶解所要
時間が14分であり、緻密性が充分でなかった。
【0102】この前駆体繊維に、実施例1と同条件で耐
炎化処理と炭化処理を施し、炭素繊維束を得た。
【0103】(比較例3)実施例1と同組成の紡糸原液
を用い、紡糸原液の吐出量を変更した以外は、比較例2
と同条件で紡糸して単繊維径が9μmの前駆体繊維を得
た。
【0104】この前駆体繊維は、油剤の付着量が0.7
重量%であり、毛羽もなく外観上品位は良好であった
が、表層近傍部の、60℃のDMSO溶液への溶解所要
時間が17分であり、緻密性が充分でなかった。
【0105】この前駆体繊維を、実施例3と同条件で耐
炎化処理と炭化処理を施し、炭素繊維束を得た。
【0106】(比較例4)実施例2と同条件で得た耐炎
化繊維に、最高雰囲気温度が900℃の低温炭化炉で、
空気中、延伸倍率が1になるように延伸しながら予備炭
化し、次いで最高雰囲気温度が1800℃の高温炭化炉
で、不活性雰囲気中、延伸倍率が0.92になるように
延伸しながら炭化処理し、炭素繊維束を得た。
【0107】低温炭化炉における昇温速度は、炉内雰囲
気温度300〜500℃では900℃/分であった。
【0108】(比較例5)実施例2と同条件で得た耐炎
化繊維に、低温炭化炉における雰囲気温度が300〜5
00℃の範囲での昇温速度を600℃/分、延伸倍率を
1.06、黒鉛化炉における昇温速度を6000℃/分
とする以外は、実施例4と同条件で紡糸、耐炎化処理、
炭化処理、および黒鉛化処理し、黒鉛繊維を得た。
【0109】以上、実施例の結果については表1に、比
較例の結果については表2に示す。
【0110】さらに、これら実施例と比較例について、
炭素繊維束の引張弾性率と横方向圧縮強度との関係のグ
ラフを図3に、炭素繊維束の引張弾性率と横方向圧縮弾
性率との関係のグラフを図4に示す。
【0111】
【表1】
【表2】 表1、2において、○印は緻密性が特に高く充分なもの
であり、△印は緻密性が高く充分なものであり、×印は
緻密性が低く充分でないものを示す。
【0112】実施例1〜4に示した炭素繊維束は、横方
向圧縮強度PT(単位:mN)と引張弾性率ET(単位:
GPa)が、いずれも次式を満足するものであるが、プ
リプレグの製造が安定していた。
【0113】PT≧1150−2.1×ET 一方、比較例1〜5に示した炭素繊維束は、横方向圧縮
強度PT(単位:mN)と引張弾性率ET(単位:GP
a)が、いずれも上式を満足しないもので、プリプレグ
の製造が不安定であった。
【0114】
【発明の効果】本発明の炭素繊維束を使用することで、
製造工程において繊維が切断されたり、毛羽が発生した
りすることがなく、プリプレグや織物を安定して製造で
きるようになる。
【0115】また、本発明の炭素繊維束の製造方法によ
って、上記にような品位の優れた炭素繊維束を安定かつ
容易に得ることができる。
【0116】さらに、本発明の炭素繊維束によって、引
張強度だけでなく、特に圧縮強度や曲げ強度に優れた複
合材料が製造できる。
【0117】さらにまた、この複合材料は、航空、宇宙
分野において、従来は適用が不可能であった部材用途に
も適用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】構成単繊維の横方向圧縮試験で得られる変位−
荷重線図である。
【図2】前駆体繊維の溶解処理時間と溶解深さとの関係
のグラフである。
【図3】炭素繊維束の引張弾性率と横方向圧縮強度との
関係のグラフである。
【図4】炭素繊維束の引張弾性率と横方向圧縮弾性率と
の関係のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB02 BB15 BB61 BB72 BB89 CC06 CC20 EE08 EE20 FF01 JJ04 JJ05 MB03 4L037 CS03 CT10 FA03 FA04 FA05 FA06 FA07 FA09 FA12 PA55 PA65 PA67 PC08 PC13 PF18 PF29 PF44 PG07 PS02 PS17 PS20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構成単繊維の横方向圧縮強度PT(単位:
    mN)と樹脂含浸ストランド引張弾性率ET(単位:G
    Pa)が、次式(1)を満足することを特徴とする炭素
    繊維束。 PT≧1150−2.1×ET ・・・・・・・・・・・・・(1)
  2. 【請求項2】構成単繊維の横方向圧縮弾性率Ec(単
    位:GPa)と樹脂含浸ストランド引張弾性率ET(単
    位:GPa)が、次式(2)を満足することを特徴とす
    る請求項1に記載の炭素繊維束。 Ec≧10−0.015×ET ・・・・・・・・・・・・・(2)
  3. 【請求項3】炭素網面の結晶サイズLc(単位:nm)
    と樹脂含浸ストランド引張弾性率ET(単位:GPa)
    が、該引張弾性率ETが300GPa以下の場合は、次
    式(3)を、該引張弾性率ETが300GPaを超える
    場合は、次式(4)を満足することを特徴とする請求項
    1または2に記載の炭素繊維束。 Lc≦3.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) Lc≦(ET+50)/100 ・・・・・・・・・・・・・(4)
  4. 【請求項4】構成単繊維は、その断面形状における長径
    と短径の比が1〜1.05であり、その繊維径が3〜1
    0μmであり、かつ比重が1.78以上、ケイ素の含有
    量が20〜400ppmおよびアルカリ金属と遷移金属
    の含有量の総和が0〜500ppmであることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束。
  5. 【請求項5】アクリロニトリル系重合体を含む溶液を、
    凝固浴の温度を−10〜10℃として乾湿式紡糸して前
    駆体繊維を得た後、該前駆体繊維を耐炎化処理し、引き
    続いて低温炭化炉で予備炭化処理して後、高温炭化炉で
    炭化処理して炭素繊維束を製造するにあたり、前記低温
    炉における昇温速度を、炉内雰囲気温度300〜500
    ℃において50〜500℃/分とすることを特徴とする
    炭素繊維束の製造方法。
  6. 【請求項6】前記前駆体繊維は、その表層近傍部の、6
    0℃のジメチルスルホキシドへの溶解所要時間が20分
    以上であることを特徴とする請求項5に記載の炭素繊維
    束の製造方法。
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