JP4587445B2 - 熱可塑性樹脂成形品および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、軽量性および衝撃強度が必要な樹脂成形品および樹脂組成物に関する。
近年、金属部品の樹脂化は様々な分野で行われてきており、特に競技用自転車の分野においては、グラム単位の軽量化が要求されるようになってきている。自転車用途においては、特に強度、弾性率等が要求されるため、繊維状の補強材を樹脂に配合した繊維強化樹脂が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
一般に、熱可塑性樹脂に繊維補強材を配合すると弾性率が向上するため、成形品の弾性率を高める目的のためだけであれば、熱可塑性樹脂に繊維補強材を配合すればよい。しかしながら、繊維補強材の配合量が少ない領域では、弾性率は向上するものの、衝撃強度はかえって樹脂自身のそれに比べて低下する。従って、必要な衝撃強度を発現させるためには、繊維補強材を多量に配合する必要がある。
特許文献1には、熱可塑性樹脂にガラス繊維を配合した樹脂組成物を成形して得られた自転車用ホイールが記載されているが、必要な強度を発現させるためにガラス繊維を多量に使用している。従って、このガラス繊維補強熱可塑性樹脂成形品は、金属に比較すれば軽量であるものの、ガラス繊維の比重が樹脂に比べてかなり大きいことから、軽量化という観点からはまだ不十分であった。このように、高弾性化、高衝撃化、および軽量化の全てを満足させることには、限界があった。
特開平8−309780号公報
本発明の目的は、軽量で衝撃強度および弾性率の高い熱可塑性樹脂成形品並びに熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明はナイロン6及び下記(i)〜(iii)を満足する炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる、曲げ弾性率が5000MPa以上、シャルピー衝撃試験によるノッチなし衝撃強度が90kJ/m以上、比重が1.4以下である熱可塑性樹脂成形品に関するものである。
(i)単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる皺の深さが90nm以下であり
(ii)ストランド弾性率が230〜370GPaであり、
(iii)単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.00〜1.02である。
本発明の熱可塑性樹脂成形品は低比重であるために軽量であり、さらに高い衝撃強度および弾性率を有する。従って、これらの特性が要求される車両用途に好適に用いることができ、特に競技用などの自転車用部品に好適な材料である。
本発明の熱可塑性樹脂成形品は、曲げ弾性率が5000MPa以上である。なお、本発明において、曲げ弾性率とは、ISO178により測定したものである。
曲げ弾性率が、5000MPa以上の場合に、剛性が十分となり、車両用構造部品、例えば、自転車用部品、特に競技用自転車用部品として好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形品の曲げ弾性率の下限値は、10000MPa以上が好ましく、20000MPa以上が特に好ましい。
また、この曲げ弾性率の上限値は、特に制限されないが、50000MPa以下が好ましく、40000MPaであることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形品は、ノッチなしシャルピー衝撃試験による衝撃強度が、90kJ/m以上である。なお、本発明において、シャルピー衝撃強度とは、ISO179により測定したものである。
シャルピー衝撃強度が90kJ/m以上の場合に、衝撃強度が十分となり、自転車用部品、特に競技用自転車用部品として好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形品のシャルピー衝撃強度の下限値は、95kJ/m以上が好ましく、100kJ/m以上が特に好ましい。
また、このシャルピー衝撃強度の上限値は、特に制限されないが、500kJ/m以下が好ましく、300kJ/m以下がより好ましく、150kJ/m以下が特に好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂成形品の比重は、1.4以下である。比重が1.4以下の場合に、軽量化が十分となる傾向にあり、自転車用部品、特に競技用自転車用部品として好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形品の比重の上限値は、1.38以下が好ましく、1.35以下が特に好ましい。また、この比重の下限値は、特に制限されないが、1.2以上が好ましく、1.25以上が特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形品の比衝撃強度は、70kJ/m以上である。ここで、比衝撃強度とは、シャルピー衝撃強度を比重で除した値である。熱可塑性樹脂成形品の比衝撃強度が70kJ/m以上の場合に、軽量で高い衝撃強度を発現する傾向にあり、自転車用部品、特に競技用自転車用部品として好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形品の比衝撃強度の下限値は、75kJ/m以上が好ましく、80kJ/m以上が特に好ましい。
また、この比衝撃強度の上限値は、特に制限されないが、400kJ/m以下が好ましく、200kJ/m以下が好ましく、100kJ/m以下が特に好ましい。
このような物性を有する熱可塑性樹脂成形品は、ナイロン6を含有する熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、炭素繊維(B)が、下記(i)〜(iii)を満足する熱可塑性樹脂組成物を成形することによって製造することができる。
(i)単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる皺の深さが90nm以下であり
(ii)ストランド弾性率が230〜370GPaであり、
(iii)単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.00〜1.02である。
ナイロン6を含有する熱可塑性樹脂(A)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物全量中40〜80質量%である。この(A)成分の含有量が40質量%以上の場合に、熱可塑性樹脂組成物を押出す際に、安定してストランドを押出すことができる傾向にあるため、好ましい。また、(A)成分の含有量が80質量%以下の場合に、十分な衝撃強度が得られる傾向にあるため、好ましい。
(A)成分の含有量の下限値は、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上が特に好ましい。また、(A)成分の含有量の上限値は、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
ナイロン6の含有量は、特に制限されないが、主成分であること、すなわち、(A)成分全量中50質量%以上であることが好ましい。ナイロン6の含有量が50質量%以上の場合に、衝撃強度が十分となる傾向にある。ナイロン6の含有量の下限値は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。また、ナイロン6の含有量の上限値は、特に制限されず、(A)成分全量がナイロン6であってもよい。
ナイロン6の製造法については、特に制限されず、通常用いられるカプロラクタムを原料とする重合(固相重合を含む)により製造することができる。
(A)成分は、ナイロン6を必須成分として含有するものであるが、ナイロン6以外の熱可塑性樹脂を含有してもよい。
(A)成分に含有されるナイロン6以外の熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、ポリドデカノアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン6,12)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6,T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6,I)、ポリフェニレンフタラミド、ナイロン12系エラストマー等のポリアミド樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
炭素繊維(B)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物全量中20〜60質量%である。この(B)成分の含有量が、20質量%以上の場合に十分な衝撃強度が得られる傾向にあるため、好ましい。また、(B)成分の含有量が60質量%以下の場合に、熱可塑性樹脂を押出す際に安定してストランドを押出すことができる傾向にあるため、好ましい。
(B)成分の含有量の下限値は、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。また、(B)成分の含有量の上限値は、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
炭素繊維(B)は、下記(i)〜(iii)を満足するものである。
(i)単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる皺の深さが90nm以下であり
(ii)ストランド弾性率が230〜370GPaであり、
(iii)単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.00〜1.02である。
炭素繊維(B)が上記(i)〜(ii)を満足する場合に、得られる炭素繊維強化熱可塑性樹脂の衝撃強度が十分となる。
ここで、単繊維表面の皺は、電子顕微鏡で単繊維表面を観察し、繊維方向に溝があるか無いかを判定したものであり、単繊維の繊維断面の長径と短径との比は、電子顕微鏡度で単繊維の断面を観察して評価したものである。
単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる皺が実質的に無い場合に、特にマトリックス樹脂としてナイロン6を組み合わせることにより、高い耐衝撃性が発現する。
ここで、単繊維の円周長さ2μmの範囲における最高部と最低部の高低差(皺深さ)としては、特に制限されないが、90nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、50nm以下が特に好ましい。
単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)は、1.00〜1.02である。
単繊維の繊維径としては、特に制限されないが、6.5μm以下が好ましく、6.3μm以下が特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中の単繊維の平均繊維長としては、特に制限されないが、3mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。熱可塑性樹脂組成物中の単繊維の平均繊維長が3mm以下の場合に、熱可塑性樹脂組成物の成形時の流動性が良好となる傾向にあり、車両用部品等の複雑な形状の成形品を成形することができる傾向にある。
炭素繊維(B)のストランド弾性率は、230〜370GPaである。ストランド弾性率が230GPa以上の場合に、熱可塑性樹脂成形品の弾性率が高くなる傾向にあり、370GPa以下の場合に、熱可塑性樹脂成形品の衝撃強度が高くなる傾向にある。
ここで、ストランド弾性率およびストランド強度とは、炭素繊維単繊維3000〜90000本よりなる連続繊維束にエポキシ樹脂を含浸硬化させて作製されたストランドの弾性率および強度をいい、ストランド試験片をJIS R7601に準拠して引張り試験に供して得られた値である。
ストランド弾性率の下限値は、250GPa以上が好ましく、270GPa以上が特に好ましい。また、ストランド弾性率の上限値は、350GPa以下が好ましく、330GPa以下が特に好ましい。
ストランド強度の下限値は、特に制限されないが、4100MPa以上が好ましく、4200MPa以上がより好ましく、4300MPa以上が特に好ましい。また、ストランド強度の上限値は、特に制限されないが、5000MPa以下が好ましく、4900MPa以下がより好ましく、4700MPa以下が特に好ましい。
炭素繊維(B)は、PAN系またはピッチ系の炭素繊維であり、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
また、炭素繊維(B)と熱可塑性樹脂との接着性を向上するために、炭素繊維(B)に表面酸化処理を行ってもよく、その場合、通電処理による表面酸化、オゾンなどの酸化性ガス雰囲気中での酸化処理をしても良い。さらに一般的に使用されるエポキシ系、ポリアミド系、ウレタン系、ポリエステル系等のサイジング剤を用いた表面付着処理を用いることも出来る。
炭素繊維(B)の形態は、特に制限されないが、数千から数十万本の炭素繊維の束、あるいは粉砕したミルド状の形態で用いられる。炭素繊維束については、連続繊維を直接使用するロービング法、あるいは所定長さにカットしたチョップドストランドを使用する方法を適用し、用いることが可能である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述の(A)成分および(B)成分を基本構成成分とするものであるが、必要に応じて、各種フィラー、エラストマー(ゴム)、カーボンブラック、金属酸化物及びセラミックス等の粒状物、難燃剤、流動改質剤、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤等の添加剤を加えることができる。これらの添加剤の含有量は、特に制限されないが、本発明の熱可塑性樹脂組成物全量中30質量%以下の範囲であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、従来の熱可塑性樹脂組成物の製造方法として一般に用いられる設備と方法により製造することができる。その内でも、溶融混練法が好ましい。溶融混練に用いる装置としては、特に制限されず、例えば、押出し機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。
押出機については、単軸押出機、二軸押出機があるが、短時間で混練を行うために二軸押出機であることが好ましい。
また炭素繊維の投入方法としては、特に制限されないが、混練による繊維長の低下を抑制することができることから、スクリューの中間から添加するサイドフィード法が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の成形方法は、特に制限されない。例えば、射出成形、押出成形による棒状、中空状、シート状への成形、真空成形、ブロー成形などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(1)炭素繊維の評価方法
炭素繊維の評価については、次に述べる方法にしたがって測定した。
(1−1)表面の皺
本発明の炭素繊維表面の皺は、試料をSEM試料台に接着し、さらに金(Au)を約10nmの厚さにスパッタリングしてから、PHILIPS社製XL20走査型電子顕微鏡により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で電子顕微鏡で表面を観察し、繊維方向に溝があるか無いかを判定した。
(1−2)断面形状の評価
炭素繊維の単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)は、以下のようにして決定した。内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料を準備する。ついで、該試料を繊維断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらに金(Au)を約10nmの厚さにスパッタリングしてから、PHILIPS社製XL20走査型電子顕微鏡により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で繊維断面を観察し、単繊維の繊維断面の長径および短径を測定し、長径÷短径で長径/短径の比率を求めた。
(1−3)ストランド物性評価
炭素繊維束のストランド強度および弾性率は、JIS R7601に準拠して測定した。
(2)熱可塑性樹脂成形品の評価方法
熱可塑性樹脂成形品の評価については、次に述べる方法にしたがって測定した。
(2−1)比重
ISO1183に準拠して水中置換法により、成形品の比重を測定した。
(2−2)シャルピー衝撃強度
ISO179に準拠して、ノッチなしのシャルピー衝撃強度を求めた。
(2−3)曲げ弾性率
ISO178に準拠して曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
実施例1
2軸押出機(池貝製作所製PCM−30)を用いて、ナイロン6(東洋紡績(株)製ハイサイクル成形用ナイロン6、商品名「T−802」)70質量部を樹脂フィーダーから供給し、炭素繊維MR06NE(三菱レイヨン(株)製チョップド炭素繊維:原糸として三菱レイヨン(株)製MR40−12M(繊維径6μm、集束本数12000本、NEサイズ処理品、ストランド弾性率295GPa)を使用し、繊維長さ6mmにチョップしたもの)30質量部をサイドフィーダーから供給して、樹脂温度280℃の温度で溶融混練してペレットとした。ここで、押出機の中間に設けられたベント口より減圧し水分を除去した。
なお、ここで用いた炭素繊維MR06NEの単繊維を電子顕微鏡により観察した結果、長径/短径比は1.00であり、繊維方向に皺は見られなかった。
次いでこのペレットを150℃で2時間の熱風による乾燥をし、射出成形機(日本製鋼所(JSW)製75T射出成形機J75SSII)を用いて、樹脂温度260℃、金型温度80℃の温度条件で試験片を成形した。成形品の評価結果を表1に示す。
実施例2
ナイロン6と炭素繊維の添加量を表1のように変更すること以外は、実施例1と同様の方法でペレットおよび成形品を得た。評価結果を表1に示す。
比較例1
炭素繊維として、MR06NEの代わりに炭素繊維TR06NE(三菱レイヨン(株)製チョップド炭素繊維:原糸として三菱レイヨン(株)製TR50S−12L(繊維径7μm、集束本数12000本、NEサイズ処理品、ストランド弾性率240GPa)を使用し、繊維長さ6mmにチョップしたもの)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でペレットおよび成形品を得た。評価結果を表1に示す。
なお、ここで用いた炭素繊維TR06NEの単繊維を電子顕微鏡により観察した結果、長径/短径比は1.08であり、繊維方向に皺が見られた。また、その皺の深さ(単繊維の円周長さ2μmの範囲における最高部と最低部の高低差)は、100nmであった。
比較例2
炭素繊維として、MR06NEの代わりに炭素繊維CF−1(原糸として三菱レイヨン(株)製HR40−12M(繊維径7μm、集束本数12000本、NEサイズ処理品、ストランド弾性率390GPa)を使用し、繊維長さ6mmにチョップしたもの)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でペレットおよび成形品を得た。評価結果を表1に示す。
なお、ここで用いた炭素繊維CF−1の単繊維を電子顕微鏡により観察した結果、長径/短径比は1.00であり、繊維方向に皺は見られなかった。
比較例3
炭素繊維の代わりに、ガラス繊維(日本電気硝子(株)製ガラス繊維チョップ、商品名「ECS03T−187/PS」、繊維径13μm、繊維長3mm)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でペレットおよび成形品を得た。評価結果を表1に示す。
比較例4
ナイロン6とガラス繊維の添加量を表1のように変更すること以外は、比較例3と同様の方法でペレットおよび成形品を得た。評価結果を表1に示す。
比較例5
ナイロン6の代わりにナイロン66(東レ(株)製、商品名「CM3001N」)を用い、樹脂温度を300℃とすること以外は、実施例1と同様の方法でペレットを得た。また、得られたペレットを用いて、樹脂温度を290℃とする以外は、実施例1と同様の方法で成形品を得た。評価結果を表1に示す。
比較例6
ナイロン6の代わりにポリカーボネート(出光石油化学(株)製、商品名「タフロンA1700」)を用い、樹脂温度を300℃とすること以外は、実施例1と同様の方法でペレットを得た。また、得られたペレットを用いて、樹脂温度を300℃とする以外は、実施例1と同様の方法で成形品を得た。評価結果を表1に示す。
比較例7
ナイロン6と炭素繊維の添加量を表1のように変更すること以外は、実施例1と同様の方法でペレットおよび成形品を得た。評価結果を表1に示す。
比較例8
ナイロン6と炭素繊維の添加量を表1のように変更すること以外は、実施例1と同様の方法で溶融混練したが、押出しが不能であったため、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得ることができなかった。
比較例9
ナイロン6のペレットを用いて、実施例1と同様の方法で成形品を得た。評価結果を表1に示す。
Figure 0004587445
本発明の成形品は、軽量性と高衝撃強度が要求される自転車、自動車、鉄道車両等の車両、船舶、飛行機等の輸送機用部品、パソコン、液晶プロジェクター、テレビ、オーディオ機器、携帯電話などの電気機器用部品、車椅子や松葉杖などの介護用品、ラジコンのシャーシなどのホビー用品、電動工具、登山用品などに使用することが可能であり、中でも自転車用部品、特に競技用自転車用部品として好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. ナイロン6及び下記(i)〜(iii)を満足する炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる、曲げ弾性率が5000MPa以上、シャルピー衝撃試験によるノッチなし衝撃強度が90kJ/m以上、比重が1.4以下である熱可塑性樹脂成形品。
    (i)単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる皺の深さが90nm以下であり
    (ii)ストランド弾性率が230〜370GPaであり、
    (iii)単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.00〜1.02である。
  2. 熱可塑性樹脂に含まれる炭素繊維の含有量が熱可塑性樹脂組成物中25〜60質量%である請求項1記載の熱可塑性樹脂成形品
  3. 比衝撃強度が70kJ/m以上である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂成形品。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形品を用いた自転車用部品。
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