JP2002243366A - 乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
き、しかも品質の良い塗装面が得られる車両用乾燥装置
を提供する。 【解決手段】一端面に開口部を有する筐体と、この筐体
内に設けられ塗装面に対して赤外線を放射する赤外線ラ
ンプと、筐体内の空気を塗装面に対して送風する電動フ
ァンと、電動ファンにて塗装面に送風された空気のう
ち、その少なくとも一部を、再度、筐体内に流入させる
循環路と、筐体内に外気を導く外気導入口と、塗装面か
ら循環路を経て筐体内に再流入する空気の流量を調節す
る流量調節機構と、を備えることを特徴とする。
Description
り詳細には、車体に塗布された塗料を乾燥させる際に好
的に使用される乾燥装置に関する。
体に塗布された塗料を乾燥させる工程がある。通常、こ
の工程では、塗装面に赤外線を放射して塗装面を乾燥さ
せる赤外線式乾燥装置、及び塗装面に温風を送風して塗
装面を乾燥させる温風式乾燥装置などが使用され、塗装
面を強制的に乾燥させることにより作業時間の短縮を図
っている。
料面を効率良く乾燥させるには、以下の条件が必要とさ
れることが分かった。すなわち、第1の条件として、塗
料内に含まれる溶剤を速やかにその内部から揮発させる
こと。また、第2の条件として、塗料内から揮発した溶
剤をその塗装面表面上から速やかに拡散させること。第
3の条件として、塗料の主成分たる顔料を速やかに重合
させること、などの各種条件を満たすことによって乾燥
時間の大幅な短縮を図れることが見いだされた。また、
これら各種条件を満たすことによって、乾燥不良のない
良好な塗装面をも同時に得られることが分かった。
抜気にて生じるピンホール及びブリスターなどの不良を
例示できる。尚、ピンホールとは、溶剤の抜気が不十分
な状態において塗装面上に塗膜が形成されたとき、その
塗料内に残留した溶剤がその塗膜を破って揮発すること
により塗装面表面上に形成される空孔を意味する。ま
た、ブリスターとは、塗膜内に残留した溶剤と空気中の
水分とが塗装面乾燥後において結合することにより塗装
面が局所的に膨張する現象をいう。
乾燥装置は、上記した各種条件を十分に満たすものでは
なかった。即ち、赤外線式乾燥装置においては、その装
置から発せられる赤外線によって塗装面内部側から乾燥
(加熱)が開始されるものの、塗料内から揮発した溶剤
は無風状態の塗装面表面上に滞留する。従って、次なる
溶剤の揮発がこの滞留した溶剤によって阻害される。
置から送風される温風によって、塗装面表面側から乾燥
(硬化)が始まる。このため塗料内に含まれる溶剤の揮
発に先立ち塗装面上には塗膜(乾燥膜)が形成される。
従って、塗料内の溶剤は、その溶剤の揮発に先立ち形成
された塗膜(乾燥膜)によって、その揮発を阻害され
る。
り出す際に赤外線を発するものもあるが、その赤外線が
塗装面の乾燥に寄与する割合は、温風に対して微々たる
ものである。従って、赤外線による塗装面内部側からの
乾燥は期待できるものではなかった。
間を大幅に短縮でき、しかも品質の良い塗装面が得られ
る乾燥装置を提供することを課題とする。
術的課題を解決するために以下のように構成した。すな
わち、本発明に係る乾燥装置は、一端面に開口部を有す
る筐体と、この筐体内に設けられ前記開口部より塗装面
に対して赤外線を放射する赤外線放射装置と、前記筐体
内の空気を、前記開口部を介して塗装面に送風する送風
機と、前記送風機によって塗装面に送風された空気のう
ち、その少なくとも一部を、再度、筐体内に流入させる
循環路と、前記筐体内に外気を導く外気導入口と、前記
循環路を経て筐体内に再流入する空気の流量を調節する
流量調節機構と、を備えることを特徴とする。
よれば、乾燥対象となる塗装面全体を筐体が包み込み、
赤外線放射装置から放射された赤外線は、筐体内壁面及
び塗装面との間で乱反射を繰り返しながら塗装面全体に
対して均一な強度で放射・吸収される。また、その赤外
線は、塗装面内部に作用して塗装面をその内部側から加
熱させる。その結果、塗料内に含まれる顔料の重合が促
進され、また同時に、溶剤の揮発を阻害する不必要な塗
膜(乾燥膜)の形成を抑制しながら塗料内に含まれる溶
剤の揮発を促進させることが可能となる。
出す循環路及び送風機を備えるため、塗料内から揮発し
た溶剤は、この循環流によって速やかに拡散される。ま
た、筐体内にて循環する空気は、塗装面からの輻射熱な
どを吸収して次第に昇温するが、流量調節機構によって
その空気の循環率を低下せしめると、その分、外気導入
口から筐体内へと導かれる空気の流量が増し、筐体内の
温度は低下する。よって、循環流による塗装面の不必要
な加熱が抑制され理想的な乾燥条件が得られる。
循環路の通路断面を拡大及び収縮させて、この循環路内
を流れる空気の流量調節を行うようにしてもよい。
射装置を内方して赤外線の放射部を形成する内部筐体
と、この内部筐体表面との間に所定の隙間を保ちつつ、
その内部筐体をその外方側から包み込む外部筐体と、前
記所定の隙間および前記内部筐体内方に形成される空間
とを互いに連通させる連通路と、を備え、前記所定の隙
間は、前記循環路の一部を構成するようにしてもよい。
一部が筐体内に確保される。従って循環路の通路長を必
要最小限にでき装置の小型・軽量化を図れる。また、外
気温の変化による循環路内の温度変化が少なくなり、流
量調節機構による筐体内の温度管理が容易になる。
前記内部筐体と前記外部筐体とを互いに連結する伸縮自
在のアジャスタを備え、このアジャスタの全長を可変さ
せることにより前記循環路の通路断面を拡大及び収縮さ
せるように構成してもよい。
アジャスタの全長を所望に応じて可変させることによ
り、前記内部筐体と外部筐体との間に形成される循環路
の通路断面積が変更される。即ち、アジャスタを伸張さ
せると循環路の通路断面が拡大し、アジャスタを収縮さ
せると循環路の通路断面が収縮する。以て、筐体内にて
循環する空気の循環率を任意に調節することが可能とな
る。
は、前記外気導入口を、前記循環路の経路中に設け、前
記流量調節機構は、その外気導入口の開口面積を拡大及
び収縮させて前記循環路を経て前記筐体内に再流入する
空気の流量調節を行う構成としてもよい。
循環路中に外気(新規)を導入し、筐体内にて循環する
空気の総量を減らしている。すなわち、本発明で筐体内
に再流入する空気とは、循環路を経て筐体内に流入する
空気の総量を示すものではなく、その空気中に含まれる
既存の空気すなわち塗装面に送風された後に循環路を経
て筐体内に再流入する空気量によって定義付けされるも
のである。
塗装面に送風される空気の温度を検出する温度検出セン
サと、この温度検出センサにて検出される空気の温度に
基づき前記送風機の風量調節を行う制御装置と、を備
え、前記制御装置は、前記温度センサにて検出される温
度が目標空気温度より高いとき前記送風機の出力を増大
させ、前記温度センサにて検出される温度が目標空気温
度より低いとき前記送風機の出力を低下させるようにし
てもよい。
温度を温度検出センサにて監視すると共に、その出力値
を送風機の風量調節にフィードバックして塗装面に送風
される空気の温度を正確に管理する。尚、循環路を経て
筐体内に再流入する空気の流量は上記の如く前記流量調
節機構によってその流量を制限されている。従って、送
風機の出力を増大させると外気導入口から取り込まれる
空気(新規)の流量が増加し、筐体内にて循環する空気
の温度は低下する。一方、送風機の風量を低下せしめる
と外気導入口から取り込まれる空気の流量が減少し、以
て、筐体内にて循環する空気の温度は上昇する。従っ
て、このように風量調節を実施すると、筐体内の空気温
度を略一定の値に維持することが可能となる。
し、その赤外線放射装置にて放射する赤外線は、2.5
μm〜14.0μmを含む波長域の赤外線とするのが望
ましい。さらに、赤外線放射装置にて放射される赤外線
は、3.0μm〜4.0μmの波長域に放射エネルギー
のピークを有するようにするとよい。また、5.5μm
〜10.0μmの波長域に放射エネルギーのピークを有
するようにしてもよい。尚、放射エネルギーのピークと
は、所定出力で赤外線を放射したとき、その赤外線の放
射エネルギー(放射率)が出力50%、より好ましくは
出力70%を超える領域で定義するのが望ましい。
長域とは、通常の塗装作業において広く採用される塗料
(顔料)、例えば、メタクリル酸メチル樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂など
が、最も好んで吸収する波長に相当する。即ち、これら
各種樹脂が好む波長の赤外線を赤外線放射装置にて積極
的に放射すると塗料の加熱時間すなわち乾燥時間が大幅
に短縮される。
〜4.0μmの波長域、及び5.5μm〜10.0μm
の波長域に吸収スペクトルのピークを有する。このた
め、この波長域に放射エネルギーのピークを設定する
と、赤外線放射装置にて放射された赤外線は、さらに効
率良く吸収され、より短時間に塗料の乾燥(加熱)が行
える。なお、赤外線放射装置にて2.5μm〜14.0
μm以外の波長を有する赤外線を放射した場合には、そ
の赤外線が各種樹脂にほとんど吸収されず、不必要に赤
外線の放射時間(加熱時間)を延ばすこととなる。ま
た、上記した各種顔料は、あくまでも具体例であり、
2.5μm〜14.0μmの波長を好む顔料は上記した
顔料に限られることはない。
を支持する支持ラックを備え、前記支持ラックは縦フレ
ームと、縦フレームにスライド可能に保持された横フレ
ームと、を有し、前記筐体は前記横フレームに揺動自在
に保持される構成としてもよい。この構成では、乾燥装
置の主たる部分を構成する筐体を所望の位置にて容易に
支持することが可能となる。
車両用乾燥装置として適用した例について図面を参照し
て説明する。
る。本実施の形態に示される乾燥装置1(以下、車両用
乾燥装置と称す)は、赤外線ランプ2、電動ファン3な
ど内方し車両用乾燥装置1の主要部分を構成する筐体8
と、この赤外線ランプ2及び電動ファン3等の制御を司
る制御系と、この筐体8を移動自在に支持する支持ラッ
ク1Bと、を備える。
からなる2重構造をなし、その内部筐体20内には塗装
面Pに対して赤外線を放射する赤外線ランプ2、及び筐
体8内の空気を循環させて塗装面Pの乾燥を促進させる
電動ファン3などが設けられている。即ち、筐体8は赤
外線の放射を主体として塗装面Pを乾燥させる赤外線式
乾燥装置としての機能を備えている。
4、及び流量調節機構が設けられている。空気の循環路
4は、電動ファン3の作動に伴い形成される循環流をそ
の筐体8内に反復して再現できるようするためのもので
ある。また、流量調節機構は、筐体8内にて循環する空
気の流量を制限し、赤外線の放射時間に比例して昇温す
る空気の過剰な温度上昇を防止するための機構である。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
動ファン3等を含む筐体一式を略して乾燥装置本体1A
と称することもある。
や電動ファン3など乾燥に係る主要構成部品が組み込ま
れる内部筐体20と、この内部筐体表面との間に所定の
隙間を保ちつつその内部筐体20をその外方側から包み
込む外部筐体40と、を有し、先に記載した空気の循環
路4の一部は、この内部筐体20と外部筐体40との間
に形成された隙間によって形成されている(図5及び図
6参照)。
うに長方形をなす天板21と、この天板21の周縁から
延出された側壁板22とを有し、一端面が開口した箱状
をなしている。また、その内方には、天板21と平行な
同一面内において3本の赤外線ランプ2が平行且つ等間
隔に配置されている。
設けられ、赤外線ランプ2にて発せられる赤外線は内部
筐体20における開口側(図5中矢印A方向)に効率良
く反射されるようになっている。なお、各反射板23の
両端は、側壁板22に固定されており、筐体8内におけ
る赤外線ランプ2の位置決めはこの反射板23によりな
されている。
14.0μmの波長域を含む赤外線を積極的を放射する
赤外線ランプ2を使用している。より好ましくは、図1
2の点線に示されるように3.0μm〜4.0μm、及
び5.5μm〜10.0μmの波長域に放射エネルギー
のピークを有する赤外線ランプを採用し、そのピーク時
には、その赤外線ランプ2の出力が出力50%、より好
ましくは出力70%を超える赤外線ランプ2を使用して
いる。
波長とは、通常の塗装作業において広く採用される塗料
(顔料)、例えば、メタクリル酸メチル樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの
吸収スペクトルに一致し、この範囲にて赤外線を積極的
に放射すると、赤外線の吸収が効率よく行われる。
吸収スペクトル(図中実線)と、赤外線ランプ2の放射
スペクトル(図中波線)との相関関係を示すグラフを示
す図である。また、赤外線吸収スペクトルに関し、グラ
フ縦軸は赤外線の吸収率に相当する。また、赤外線放射
スペクトルに関し、グラフ縦軸は赤外線の放射エネルギ
ー(放射量)に相当する。即ち、図中点線と図中実線と
の差(開き)が大きくなるほど、塗料における赤外線の
吸収量が増えるといえる。
れるように3.0μm〜4.0μmの赤外線(図12中
矢印A間)、及び5.5μm〜10.0μm(図12中
矢印B間)の赤外線を最も効率良く吸収するということ
が各種実験において把握されている。そこで本実施の形
態においては、上記した各種塗料が好む3.0μm〜
4.0μmの波長域、及び5.5μm〜10.0μmの
波長域に放射スペクトルのピークを設定することによっ
て、さらなる乾燥時間の短縮を図っている。
筐体20外方の空気をその内方側に導き入れる空気導入
口25(連通路)が形成されている。さらに、各空気導
入口25には、先に記載した電動ファン3(送風機)が
取り付けられている。また、上記した各反射板23の間
には、電動モータ(図示略)及びこの電動モータにて可
動される整流板27が取り付けられている。
様に天板41及び側壁板42にて形成される箱状をな
し、その一端面は内部筐体20に形成された開口部24
と同一方向において大きく開口している(図4参照)。
側壁板22よりも十分に長く形成されており、図5に示
されるように、内部筐体20に形成される開口部24
は、外部筐体40に形成された開口部43に対して若干
その奥行き方向に下がって開口することとなる。
成されている。外気導入口44は、必要に応じて筐体8
外部の空気(外気)を筐体8内に取り入れるための開口
である。また、外気導入口44には、流入空気中の塵や
埃を除去するための集塵フィルタ45、及び外気導入口
44に流入する外気の流量を調節せしめる流量調節板4
6が取り付けられている。
の内方に向かってスライド自在に設けられており、外気
導入口44は、その流量調節板46をその内方側にスラ
イドさせることにより、その開口面積を任意に調節でき
る構造となっている。
は、伸縮自在なアジャスタ70によって連結されてい
る。このアジャスタ70は、外部筐体40と内部筐体2
0との位置決めをなす連結部材としての機能を備える
他、上記した内部筐体20及び外部筐体40にて形成さ
れる循環路4の通路幅T(通路断面)を可変させる機能
をも備えている。すなわち、本発明に係る流量調節機構
としての役割を備える。以下、図7及び図8を参照して
この流量調節機構(アジャスタ70)について説明す
る。
に、外部筐体40の天板41上にステー75を介して溶
接されたボス71と、そのボス71に螺入されたボルト
72と、このボルト72を回転させるための操作ハンド
ル73と、を有し、ボルト72の先端部分は、前記内部
筐体20の天板21に回転自在に連結されている。
体40の側壁板42にて支持された断面L字型のガイド
レール74が設けられている。そして、アジャスタ70
の操作時には、このガイドレール74に沿って内部筐体
2がその奥行き方向に移動する機構となっている。
対的な位置関係は、操作ハンドル73の回転方向に応じ
て決定される。即ち、図8中矢印R方向に操作ハンドル
73を回転させると内部筐体20が外部筐体40より離
反する(図8中矢印R1方向)、一方、図8中矢印L方
向に操作ハンドル73を回転させると内部筐体20が外
部筐体40側(図中矢印R1方向)に接近(図中矢印L
1方向)する。このように外部筐体40と内部筐体20
との間に伸縮自在なアジャスタ70を設けることによっ
て、外部筐体40と内部筐体20との間に形成される循
環路4の通路幅T(通路断面)を任意に変更することが
可能となる。
は、インバータ(DC/ACコンバータ)、タイマー、
CPU(マイクロプロセッサ)、ROM(リード・オン
リ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモ
リ)、温度センサ6(熱伝対)などを備え、時間経過に
基づく赤外線ランプ2及び電動ファン3のシーケンス制
御、並びに電動ファン3の風量調節に係るフィードバッ
ク制御を実施している。なお、制御系を構成するインバ
ータ、タイマー、CPU等の各種部品は、支持ラック1
Bに固定された制御ボックス10内に収容されている。
また、温度センサ6は外部筐体40の開口部43(縁
部)に取り付けられている。
方法を踏まえつつ、制御系にて実施されるシーケンス制
御(自動制御)、並びに、筐体8内に形成される空気の
流れについて詳細に説明する。尚、電動ファン3のフィ
ードバック制御については後に詳述する。また、図10
は、制御系にて実施されるシーケンス制御のフローチャ
ートである。
図9に示されるように筐体8に形成された開口43を塗
装面Pに対して近接させた状態にて使用する。そして、
塗装面Pを乾燥させるに際して、まず始めに行うことと
しては、外気導入口44に設けられた流量調節板46を
操作して、外気導入口44から筐体8内に取り込まれる
空気の流量調節を行う。
室内温度を考慮して外気導入口44の開口面積を定め
る。すなわち、夏季など室内温度が高い時には外気の流
入量を増大させるべく流量調節板46を開き、冬季など
室内温度が低い時には外気の流入量を減少させるべく流
量調節板46を閉じて、筐体8内の温度調節を行う。
て循環路4の通路幅Tを調節する。即ち、この工程で
は、アジャスタ70を操作して筐体8内における空気の
循環率を所望の値に設定する。
れた塗料の性質を考慮して行う。例えば、溶剤の含有量
が少なく、比較的短時間に塗料内の溶剤が揮発しきる塗
料においては通路幅Tを大きくして循環流の温度を高め
に設定する。また、溶剤の含有量が多く、その溶剤の揮
発に時間が掛かる塗料を塗布した場合においては、通路
幅Tを狭くして循環流の温度を低めに設定する、など各
塗料の特性に見合った循環率に設定する。
予備実験などにて概ね把握することができる。従って、
作業者はこの予備実験の結果を踏まえて通路幅Tの設定
を行なえば、本実施の形態に示す車両用乾燥装置1の操
作に不慣れな作業者においても適切な循環率が得られ
る。
まず、赤外線ランプ2の点灯時間を設定すべくタイマー
の操作を行う。すなわち、塗装面Pに対する赤外線の放
射時間をタイマーによって定める(ステップ101)。
次いで、赤外線ランプ2の点灯スイッチ10dを操作し
て、赤外線ランプ2を点灯させるとタイマーのカウント
が開始される(ステップ102、ステップ103)。
れる赤外線は、開口部24を介して塗装面Pに放射され
る。その際、赤外線ランプ2から放射される赤外線は、
内部筐体20内にて乱反射され、塗装面P全体に均一な
強度にて放射されることとなる。また、赤外線の放射を
受けた塗装面Pでは、赤外線の放射エネルギーを吸収し
て、まず塗装面P内部側から加熱が開始される。
射強度が所定強度に達したか否かを赤外線放射時(赤外
線ランプの点灯時)からの経過時間に基づき判断する
(ステップ104)。すなわち、CPUでは、タイマー
のカウントが所定時間に達したことを受け、赤外線ラン
プ2が所定強度に達したとみなし、電動ファン3を作動
させるべくステップ105に移行する。また、ステップ
104において、未だ所定時間に満たない時には、赤外
線ランプ2の放射強度が所定強度に達していないとみな
し、赤外線ランプ2の予熱(暖気)を継続して行う。
に電力供給を行い、内部筐体20背後の空気を空気導入
口25を介して塗装面Pに送風する。なお、ステップ1
05では、塗装面P近傍に支持された温度センサ6の出
力値に基づいて電動ファン3の風量調節を実施する。な
お、電動ファン3の風量調節に伴うフィードバック制御
については後に詳述する。
の放射エネルギーを吸収して気化した溶剤が、この電動
ファン3の作り出す風によって直ちにその塗装面P上か
ら拡散される。その結果、塗装面Pにおいて、次なる溶
剤の揮発が促される。
の作動と略同時に、整流板27をスイング(回動)させ
るべく電動モータに電力供給を行い、整流板27をスイ
ングさせる。このため電動ファン3にて塗装面Pに送風
される空気は、塗装面P全体に均一に送風されることと
なる。
Pに沿って移動し、塗装面Pと筐体8との間を通過して
筐体8外部に排出されるが、上記の如く外部筐体40と
内部筐体20との間には循環路4(所定の隙間)が形成
されている。このため筐体8外部に排出されようとする
内部筐体20内の空気は、一部、この循環路4に流入し
て内部筐体20背後に導かれる。
44から流入する空気と共に電動ファン3に再び吸引さ
れ、塗装面P側に送風される。すなわち、電動ファン3
の作動に伴い電動ファン3→塗装面P→循環路4→内部
筐体20背後→電動ファン3→塗装面Pの経路を辿る循
環流が筐体8内に形成されることとなる。
装面Pからの輻射熱や、赤外線ランプから放熱された熱
エネルギーを吸収して次第に昇温するが、循環路4を経
て再度塗装面Pに送風される空気は、外気導入口44よ
り吸気された空気(外気)と混ざり合うためその温度は
低下する。その結果、塗装面Pに再送風される空気の温
度は、前回に送風された空気の温度と略同じ温度に保た
れることとなり、塗装面Pの過剰な温度上昇に起因した
不必要な塗膜の形成を回避することできる。
て電動ファン3に供される空気の流量は、上記の如くア
ジャスタ70の調節によって制限されている。即ち、ア
ジャスタ70を縮めると、外気導入口44を経て供され
る空気量が増え、塗装面Pに送風される空気の温度も自
ずと低くなる。このように本実施の形態に示す車両用乾
燥装置1では、アジャスタ70を操作して空気の循環率
を調節せしめることにより、筐体8内の温度を略一定に
保つことが可能なる。
を大きくすると、筐体2内の空気の循環率は高くなり、
その結果、循環路4を経て電動ファン3に供される空気
量が多くなる。よって、循環路4を経て電動ファン3に
供される空気量と、外気導入口44を経て供される空気
量との比率が変化し、以て塗装面Pに送風される空気の
温度が高くなる。
トされる経過時間が所定時間に達したか否かを判断し
(ステップ107)、タイマーのカウントが所定時間に
達していると判断したときには、塗装面Pが乾燥したと
みなし赤外線ランプ2を消灯する(ステップ108)。
また、ステップ107において未だ所定時間に達してい
ないと判断された時には、引き続き塗装面Pに対する赤
外線を放射を行う。すなわち、ステップ107では、タ
イマーのカウントをトリガーとして塗装面Pの乾燥具合
を把握している。
後、その赤外線ランプ2を冷却すべく電動ファン3を所
定時間継続して作動させた後(ステップ109)、電動
ファン3に供給する電力を遮断する(ステップ11
0)。
装置1では、赤外線ランプ2から放射された赤外線が、
筐体8内にて乱反射しながら塗装面P全体に対して均一
に作用する。また、その赤外線は、塗装面Pをその内部
側から加熱し、その結果、塗装面P内部にて顔料の結合
が促進され、同時に、塗料内に含まれた溶剤も速やかに
塗装面P外部へと揮発する。
剤は、電動ファン3が作り出す循環流によって速やかに
拡散される。また、筐体8内を循環する空気は塗装面の
輻射熱などを吸収して次第に昇温するが、アジャスタ7
0を操作して筐体2内における空気の循環率を適切な値
に調節することにより、塗装面Pに送風される空気の過
剰な温度上昇が回避される。よって塗装面の不必要な加
熱(乾燥)が防止され、理想的な乾燥条件が得られる。
気の循環率を変更するに際して、アジャスタ70の操作
を主にその循環率の調節を行っているが、外気導入口4
4を経て流入する空気の流量を積極的に調節することに
よっても、循環率の調節をなし得る。すなわち、その外
気導入口44の開口面積を拡大若しくは収縮させて電動
ファン3に供される空気の比率を変更してもよい。
る空気の温度が高いときには外気導入口44の開口面積
を拡大して電動ファン3に供される外気の量を増やし、
塗装面に送風される空気の温度が低いときには外気導入
口44の開口面積を収縮して電動ファン3に供される外
気の量を減らすことにより、筐体8内における空気の循
環率を変更できる。すなわち、外気導入口44に設けら
れた流量調節板46も本発明に係る流量調節機構として
の機能を有する。
ィードバック制御について説明する。なお、図11は、
電動ファン3の風量調節に係るフィードバック制御のフ
ローチャートであり、本処理ルーチンは、本ステップ1
05が処理が終了するまでの間、継続してなされる。
センサ6にて検出される温度は、塗装面Pに送風された
空気の温度であるが、塗装面Pの表面温度は、その温度
センサ6の出力値に略比例して変動する。従って、温度
センサ6の出力値を略一定に保つと塗装面Pの表面温度
も自ずと略一定に保たれることとなる。以下、図11に
示されるフローチャートを参照して、電動ファン3の風
量調節に伴うフィードバック制御を説明する。
をRAM上に読み込む(ステップ201)。続いて、R
OM上に予め記録された目標空気温度を読み出し(ステ
ップ202)、RAM上に記録された温度センサ6の出
力値とその目標空気温度とを照らし合わせて、温度セン
サ6の出力値が目標空気温度に対して高いか否かを判定
する(ステップ203)。なお、目標空気温度とは、塗
装面Pの表面温度に対して十分小さい値であり、予め任
意に設定可能な値である。
ンサ6の出力値が目標空気温度よりも高いと判断された
ときには、電動ファン3の風量を増量すべくインバータ
の出力周波数を高くする(ステップ204)。一方、温
度センサ6の出力値が目標空気温度よりも低いと判断さ
れたときには、電動ファン3の風量を減量すべくインバ
ータの出力周波数を低くする(ステップ205)。
には、多量の外気が外気導入口44を経て筐体2内へと
流入することとなり、塗装面に送風される空気の温度は
低下する。よって、塗装面Pの過剰な温度上昇が抑制さ
れる。一方、電動ファン3の風量が減量されると、筐体
2内へと流入する外気の流量も減り、塗装面に送風され
る空気の温度は上昇する。よって、塗装面Pの過剰な冷
却が抑制される。
は、上記したアジャスタ70にて決定されるものであ
り、本フィードバック制御は、あくまでもより正確な温
度管理を実施するため一制御である。
装置1では、塗装面Pに送風される空気の温度を温度セ
ンサ6にて監視すると共に、その出力値を電動ファン3
の風量調節にフィードバック制御させることにより、塗
装面Pの温度管理をより正確に行えるようにしている。
なお、上記したシーケンス制御及びフィードバック制御
は、一実施例であり、その詳細は、任意に変更可能であ
る。
ック1Bについて説明する。支持ラック1Bは、塗装面
Pに対する赤外線の放射を容易にするものであり、筐体
8(乾燥装置本体1A)を任意の高さや方向にて支持す
るものである。
と、この縦フレーム101の上下方向にスライド自在に
設けられたブラケット102と、このブラケット102
の水平方向にスライド自在に保持された横フレーム10
3と、横フレーム103から延出されて筐体8を揺動自
在に支持する支持アーム106と、を備える。
ンスウェイト107が設けられ筐体8の上下移動に要す
る力を軽減している。より詳しくは、図1に示されるよ
うに一端が縦フレーム101の頭頂部に固定され他端が
ブラケット102に連結されたチェーン108と、縦フ
レーム101内にて昇降自在に設けられたバランスウェ
イト107と、このバランスウェイト107に取り付け
られた可動プーリ107aと、縦フレーム101の頭頂
部に設けられた固定プーリ101aと、を備え、前記チ
ェーン108は、図1に示されるように可動プーリ10
7aと固定プーリ101aとを介してブラケット102
から縦フレーム101の頭頂部に架けて張架されてい
る。
式を含む横フレーム103との間には、各プーリ107
a、101aの配列によって倍力作用が生じる。このた
めバランスウェイトの重量を、筐体8一式を含む横フレ
ームの総重量に対して1/2に設定すると、バランスウ
ェイト107と筐体8一式を含む横フレーム103が重
量において均衡状態となり、筐体8の上下移動が容易に
なる。
フレーム109が連結されており、このボトムフレーム
109の四隅には、キャスタ110が設けられている。
このため本装置1を修理工場内にて自由に移動させるこ
とができる。
て本発明を説明したが、本発明の乾燥装置は、勿論、他
の用途においても有用である。また、上記した乾燥装置
本体1Aの構造や、支持ラック1Bの構造は、あくまで
も本発明の一実施例にすぎず、その詳細は、任意に変更
しても構わない。
アジャスタ70を使用して筐体8内における空気の循環
率を設定しているが、内部筐体20と外部筐体40との
間に脱着自在なスペーサを介在させ、そのスペーサの厚
みを所望に応じて適時変更することによっても筐体8内
における空気の循環率を変化させることができる。ま
た、内部筐体20と外部筐体40との間に形成される隙
間に、短冊状の弁体を設け、この弁体を操作して循環路
4を流れる空気の流量を調節せしめるようにしてもよ
い。
放射装置として赤外線ランプ2を採用しているが、赤外
線ランプ2に替えて赤外線ヒータなどを使用してもよ
い。また、赤外線ランプ2は、上記したように天板21
と平行な面内に配設しているが、例えば、面状赤外線ヒ
ータなどを内部筐体20の内壁面に配置して赤外線の放
射部を形成してもよい。また、内部筐体20の内壁面に
エンボス加工を施し、赤外線の反射効率を高めるように
してもよい。
の乾燥に掛かる時間を大幅に短縮でき、しかも品質の良
い塗装面が得られる車両用乾燥装置を提供できる。
図。
図。
図。
側から見た斜視図。
図。
面図。
図。
態を示す図。
明するためのフローチャート。
に伴い実施されるフィードバック制御を説明するための
フローチャート。
ペクトルと代表的な塗料の吸収スペクトルとの相関関係
を示した図。
Claims (10)
- 【請求項1】一端面に開口部を有する筐体と、 この筐体内に設けられ前記開口部より塗装面に対して赤
外線を放射する赤外線放射装置と、 前記筐体内の空気を、前記開口部を介して塗装面に送風
する送風機と、 前記送風機によって塗装面に送風された空気のうち、そ
の少なくとも一部を、再度、筐体内に流入させる循環路
と、 前記筐体内に外気を導く外気導入口と、 前記循環路を経て筐体内に再流入する空気の流量を調節
する流量調節機構と、 を備えることを特徴とする乾燥装置。 - 【請求項2】前記流量調節機構は、前記循環路の通路断
面を拡大及び収縮させて、この循環路内を流れる空気の
流量調節を行うことを特徴とする請求項1に記載の乾燥
装置。 - 【請求項3】前記筐体は、 前記赤外線放射装置を内方して赤外線の放射部を形成す
る内部筐体と、 この内部筐体表面との間に所定の隙間を保ちつつ、その
内部筐体をその外方側から包み込む外部筐体と、 前記所定の隙間および前記内部筐体内方に形成される空
間とを互いに連通させる連通路と、を備え、 前記所定の隙間は、前記循環路の一部を構成しているこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。 - 【請求項4】前記流量調節機構は、前記内部筐体と前記
外部筐体とを互いに連結する伸縮自在のアジャスタを備
え、このアジャスタの全長を可変させることにより前記
循環路の通路断面を拡大及び収縮させることを特徴とす
る請求項3に記載の乾燥装置。 - 【請求項5】前記外気導入口は、前記循環路の経路中に
設けられ、 前記流量調節機構は、その外気導入口の開口面積を拡大
及び収縮させて前記循環路を経て前記筐体内に再流入す
る空気の流量調節を行うことを特徴とする請求項1から
4の何れかに記載の乾燥装置。 - 【請求項6】前記流量調節機構は、前記塗装面に送風さ
れる空気の温度を検出する温度検出センサと、この温度
検出センサにて検出される空気の温度に基づき前記送風
機の風量調節を行う制御装置と、を備え、 前記制御装置は、前記温度センサにて検出される温度が
目標空気温度より高いとき前記送風機の出力を増大さ
せ、前記温度センサにて検出される温度が目標空気温度
より低いとき前記送風機の出力を低下させることを特徴
とする請求項1から5の何れかに記載の乾燥装置。 - 【請求項7】前記赤外線放射装置にて放射される赤外線
は、2.5μm〜14.0μmの波長を含む赤外線であ
ることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の乾
燥装置。 - 【請求項8】前記赤外線放射装置にて放射される赤外線
は、3.0μm〜4.0μmの波長域に放射エネルギー
のピークを有することを特徴とする請求項1から7の何
れかに記載の乾燥装置。 - 【請求項9】前記赤外線放射装置にて放射される赤外線
は、5.5μm〜10.0μmの波長域に放射エネルギ
ーのピークを有することを特徴とする請求項1から8の
何れかに記載の乾燥装置。 - 【請求項10】前記筐体を支持する支持ラックを備え、 前記支持ラックは、縦フレームと、この縦フレームにス
ライド可能に保持された横フレームとを有し、前記筐体
は、前記横フレームに揺動自在に保持されることを特徴
とする請求項1から9の何れかに記載の乾燥装置。
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