JP2002242025A - ポリケトン繊維及びその製造方法 - Google Patents
ポリケトン繊維及びその製造方法Info
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Abstract
(1)で示されるポリケトンと金属塩水溶液からなるポ
リケトン溶液を用いて湿式紡糸して得られるポリケトン
繊維において、単糸膠着率が30%以下であるポリケト
ン繊維である。この繊維は、紡糸後、乾燥工程で水分率
が0〜40質量%にある繊維に単糸間のずれを生ずる外
力を加えることによって製造される。 【化1】 【効果】 撚糸後の強力保持率が高いため、タイヤコー
ド、ベルトなどのゴム補強材における耐疲労性が特に必
要な分野への展開が可能となる。
Description
低いポリケトン繊維及びその製造方法に関する。更に詳
しくは、高強度・高弾性率であり、撚糸したときの強力
利用率が高いポリケトン繊維及びその製造方法に関する
ものである。
ようなオレフィンとをパラジウムやニッケル等といった
遷移金属錯体を触媒として用いて重合させることによ
り、一酸化炭素とオレフィンが実質完全に交互共重合し
たポリケトンが得られることが知られている(工業材
料、12月号、第5ページ、1997年)。ポリケトン
を産業資材用繊維として応用する検討が多くの研究者に
よってなされ、高強度、高弾性率、高温での寸法安定
性、接着性、耐クリープ特性を生かしてタイヤコード、
ベルト等の補強繊維、コンクリート補強用繊維といった
複合材料用繊維への応用が期待されている。
位からなるポリケトン(以下、ECO、という)は結晶
性や融点も高いために、高強度・高弾性率の繊維やフィ
ルムが最も得やすく、高温下での物性変化や収縮率が小
さい等、熱安定性が最も優れている。このECO繊維の
製造方法としては、溶融紡糸が困難であるため、溶剤に
ECOを溶解して乾式または湿式紡糸法により繊維化が
行われている。湿式紡糸に使用する溶剤として、例え
ば、特開平2−112413号公報、特開平4−228
613号公報、特表平4−505344号公報、特表平
7−508317号公報等に記載の溶剤、例えば、ヘキ
サフルオロイソプロパノール、m−クレゾール、クロロ
フェノール、レゾルシン/水、フェノール/アセトン、
プロピレンカーボネート/ヒドロキノン、ピロール、レ
ゾルシン/プロピレンカーボネート、ピリジン、ギ酸等
の有機溶剤を用いることもできるが、これらの溶剤は高
価又は毒性が高い、ポリケトンの変性をもたらす、可燃
性が高い等、工業的に使用するには問題がある。
第99/18143号、国際特許出願第00/0961
1号、特願平11−293928号等で、例えば、亜鉛
塩、カルシウム塩、鉄塩等の金属塩水溶液がポリケトン
の溶剤として使用できることを提案した。これらは低毒
性、不燃、安価で、紡糸安定性、溶剤回収性に優れ、工
業用溶剤として優れている。しかし、金属塩水溶液を溶
剤として用いてマルチフィラメントの湿式紡糸を行った
場合、乾燥時に単糸膠着を起こしやすいことが明らかに
なった。このような単糸膠着は熱延伸後も残り、可燃時
の強力利用率を低下させたり、単糸切れの原因となり、
タイヤコード等の産業資材用繊維として使用する場合に
は、更なる改良が望まれる。
−508317号公報には、レゾルシン/水の溶剤とメ
タノール凝固浴を用いて、凝固の後に室温で予備延伸す
ることが開示されているが、前記のような金属塩水溶液
を用いた場合には、この方法では解決することができな
い。
の課題を達成ことである。 (1)高い強度、弾性率を維持し、撚糸後の強力保持率
の高いポリケトン繊維及びその製造法を提供すること。 (2)低毒性、不燃、安価で、溶剤回収性に優れた溶剤
を用いた湿式紡糸法により、上記(1)の目的を達成す
るポリケトン繊維を製造する方法を提供すること。
を解決するために、ポリケトンの溶剤組成及びポリケト
ン繊維の製造方法を詳細に検討した結果、乾燥工程で水
分率が0〜40質量%である繊維に単糸間のずれを生ず
る外力を加えることにより単糸膠着率が30%以下とな
ることを見出し、本発明に到達した。
(1)で示されるポリケトンと金属塩水溶液とからなる
ポリケトン溶液を用いて湿式紡糸して得られるポリケト
ン繊維において、単糸膠着率が30%以下であることを
特徴とするポリケトン繊維。 単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸
数)]×100 (見かけの単糸数は、ポリケトン繊維を10cmの長さ
に切断し、膠着して分繊ができない単糸の組を1本とし
て数えたときの単糸の本数。単糸数は、前記ポリケトン
繊維の製造に用いた紡口口金の孔数に一対一で対応した
値)
ることを特徴とする請求項1記載のポリケトン繊維。 (請求項3)繰り返し単位の95モル%以上が下記式
(1)で示されるポリケトンを金属塩水溶液に溶解し、
その溶液を紡口口金から凝固浴へ押し出し、得られた繊
維状物を水洗して前記の金属塩を実質的に除去した後、
乾燥工程を経た繊維を熱延伸するポリケトン繊維の製造
法において、乾燥工程で水分率が0〜40質量%にある
繊維に単糸間のずれを生ずる外力を加えることを特徴と
するポリケトン繊維の製造方法。
質量%にある繊維に気体を吹きつけて単糸間のずれを生
ずる外力を加えることを特徴とする請求項3記載のポリ
ケトン繊維の製造方法。 (請求項5)ポリケトンの溶剤が、塩化カルシウム/塩
化亜鉛(質量比は68/32〜61/39)からなる塩
を59〜64質量%含んだ水溶液であり、紡口口金から
押し出すときのポリケトン溶液の温度が60〜150
℃、凝固浴の温度が−50〜20℃であることを特徴と
する請求項3又は4記載のポリケトン繊維の製造方法。
の95モル%以上が上記の式(1)で示されるポリケト
ンである。5モル%未満の範囲で上記の式(1)以外の
繰り返し単位、例えば、下記式(2)に示したもの等を
含有していてもよい。
の有機基で、プロピレン、ブチレン、1−フェニルエチ
レン等が例示される。これらの水素原子の一部又は全部
が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エー
テル基で置換されていてもよい。もちろん、Rは2種以
上であってもよく、例えば、プロピレンと1−フェニル
エチレンが混在していてもよい。高強度、高弾性率が達
成可能で、高温での強度、弾性率の保持性が優れる、と
いう観点から、繰り返し単位の97モル%以上が上記の
式(1)で示されるポリケトンであることが好ましく、
より好ましくは100モル%である。
着率が30%以下である必要がある。単糸膠着率は、 単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸
数)]×100 で定義される値である。式中、見かけの単糸数は、ポリ
ケトン繊維を10cmの長さに切断し、膠着して分繊が
できない単糸の組を1本として数えたときの単糸の本数
である。さらに詳細に述べると、単糸膠着率を測定しよ
うとする長さ5mのポリケトン繊維の任意の部分を10
cm単位の長さに切断して5本のサンプルを採取し、そ
れぞれのサンプルから単糸をピンセットで1本1本取り
出して前述したように単糸数を数えたときの平均値であ
る。単糸数は、前記のポリケトン繊維の製造に用いた紡
口口金の孔数と同じ値であり、通常、繊維銘柄表示で示
されるフィラメント本数である。
の孔数を持った紡口口金を用いて製造された繊維におい
て、2本の単糸が膠着しているものが2組あるとすれ
ば、単糸数は10で、見かけの単糸本数は8となり、単
糸膠着率は20%となる。単糸膠着率が30%を越える
場合、可燃時の強力利用率の低下が大きい、単糸切れが
多く発生する、等の問題が生じ、タイヤコード等の産業
資材用繊維として使用するときに性能を十分に発揮させ
ることができない。単糸膠着率は、好ましくは20%以
下、より好ましくは10%以下である。
て説明する。本発明で使用するポリケトンの極限粘度
[η]は特に制限はないが、高強度のポリケトン繊維が
得られるという点で、好ましくは2dl/g以上であ
る。ただし、[η]が大きすぎると溶解性や紡糸性が悪
くなる傾向が見られることから、20dl/g以下であ
ることが好ましい。より好ましい[η]の範囲として
は、3〜15dl/gであり、最も好ましくは4〜10
dl/gである。
リケトンを金属塩水溶液に溶解する。金属塩水溶液は、
ポリケトンを溶解する能力のある、亜鉛塩、カルシウム
塩、チオシアン酸塩、リチウム塩、鉄塩等の中から選ば
れた少なくとも1種の水溶液である。亜鉛塩としては、
塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等、カルシウム塩とし
ては、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化カルシ
ウム等、チオシアン酸塩としては、チオシアン酸カリウ
ム、チオシアン酸ナトリウム等、リチウム塩としては、
チオシアン酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム
等、鉄塩としては、臭化鉄、ヨウ化鉄、塩化鉄等があ
る。
及びポリケトン溶液の安定性を目的として、上記の塩を
複数混合してもかまわない。また、上記の金属塩以外で
水に溶解する金属塩を本発明の目的を阻害しない範囲で
混合してもよい。ハロゲン化亜鉛を使用する場合、ハロ
ゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属
塩を混合すると、高温で溶解するときのポリマーの着色
を低減させ、溶解時の安定性を向上させるので好まし
い。ハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土
類金属塩として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩
化リチウム、塩化バリウム、臭化ナトリウム、臭化カル
シウム、臭化リチウム、臭化バリウム、ヨウ化ナトリウ
ム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化バリウ
ム等が挙げられるが、特に、塩化ナトリウム、塩化カル
シウムが好ましい。
であることが好ましい。50質量%未満の場合、又は8
0質量%を越える高い塩濃度では、紡糸が不安定になる
傾向がある。塩濃度は、以下の式で定義される値であ
る。 塩濃度(質量%)=[塩の質量/(塩の質量+水の質
量)]×100 金属塩水溶液に溶解するポリケトンのポリマー濃度は
0.1〜40質量%であることが好ましい。ポリマー濃
度が0.1質量%未満では濃度が低すぎて、凝固浴中で
繊維状に形成することが困難になる傾向があり、また、
繊維の製造コストが高くなる傾向がある。ポリマー濃度
が40質量%を越えると、ポリケトンの塩水溶液に対す
る溶解性が低下する。
である。 ポリマー濃度(質量%)=[ポリマー質量/(ポリマー
質量+金属塩水溶液の質量)]×100 得られたポリケトン溶液を、必要に応じて、フィルター
で濾過した後、紡口口金から凝固浴へ押し出し、繊維状
に成形する。押し出し時のポリケトン溶液の温度と凝固
浴の温度の差が大きいときは、紡口を空気中に置いて、
紡口口金から出た繊維状物が空気相を経て浴に入る方
法、いわゆる、エアギャップ法が好ましい。凝固浴の組
成及び温度について特に限定はないが、溶剤の回収コス
トを下げる点で、溶剤に用いた塩の水溶液であることが
好ましい。
し、必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸等を含んだpH
が4以下の水溶液を用いて塩を実質的に除去する。特
に、金属塩水溶液が、塩化カルシウム/塩化亜鉛(質量
比は68/32〜61/39)からなる塩を59〜64
質量%含んだ水溶液であり、紡口口金から押し出すとき
のポリケトン溶液の温度が60〜150℃、凝固浴の温
度が−50〜20℃で、後述の乾燥工程での単糸膠着率
を下げる方法と組み合わせた場合、単糸膠着率を下げる
効果が大きくなることに加え、強度を高める効果もあ
り、好ましい。これらの効果をさらに高める点で、塩カ
ルシウム/塩化亜鉛の質量比は65/35〜63/3
7、塩濃度は61〜63質量%、ポリケトン溶液の温度
は75〜100℃であることがより好ましい。凝固浴の
温度は低いほど効果は大きいが、−50℃未満では効果
の増加は小さく、冷却コストを考慮に入れると−20〜
10℃がより好ましい。
乾燥を行う。乾燥方法には、特に限定はなく、トンネル
型乾燥機、ロール加熱機やネットプロセス型乾燥機等、
公知の設備を用い、延伸しながら、定長で、又は収縮さ
せながら乾燥を行うことができる。この乾燥工程で水分
率が0〜40質量%である繊維に単糸間のずれを生ずる
外力を加えることにより、単糸膠着率が30%以下のポ
リケトン繊維を製造することが可能となる。乾燥工程で
水分率が0〜40質量%である繊維とは、乾燥機中で水
分を除去していく過程で、水分率が0〜40質量%に到
達した繊維のことであり、水分率は次式で定義される。 水分率(質量%)=[(残水繊維質量−乾燥後の繊維質
量)/残水繊維質量]×100
外力を加える時点の繊維を5mサンプリングしたときの
繊維質量であり、乾燥工程で除去しきれなかった水分を
含んだ繊維質量である。乾燥後の繊維質量とは、前記の
サンプリングした繊維を105℃で5時間乾燥し、実質
的に水分を完全に除去したときの繊維質量である。水分
率が40質量%を越える場合、単糸間のずれを生ずる外
力を加えたときに、単糸断面が変形したり、繊維に傷が
付いたり、たるみが起こる等、高強度化に悪影響を及ぼ
す原因がつくられ易くなる。この観点から、水分率は低
い方が好ましいが、水分率が低くなると単糸膠着が進行
して接着力が大きくなるため、単糸間のずれを生ずる外
力が大きい方が好ましい。外力を加える方法によって外
力の大きさが異なるため、外力を加える方法に依存して
好ましい水分率の範囲は異なる。
離れたり、単糸間の側面に沿って滑ることであり、これ
により単糸間の膠着を防いだり、一旦できた膠着を取り
除くことができ、単糸膠着率の低いポリケトン繊維とな
る。単糸間のずれを生ずる外力としては、繊維をしごく
ことや繊維に振動を与えることが有効である。具体的に
は、例えば、走行する繊維を実施例1で図1により具体
的に説明するように、繊維をピンガイドやロールに通す
ことによってしごき、単糸間のずれを生じさせることが
可能である。しごく力の大きさは、ピンガイドの数や繊
維角をピンガイドの位置で調節することにより設定する
ことができる。この方法による場合の好ましい水分率は
5〜20質量%である。
て、繊維を振動させることで単糸間のずれを生じさせる
ことも可能である。この方法による場合の好ましい水分
率は10〜30質量%である。更に、走行している繊維
に気体を吹きつけることにより単糸間のずれを生じさせ
ることも可能である。圧縮空気、圧縮窒素等を用いて、
細孔あるいはスリットから繊維に吹き付けることにより
単糸が振動し、単糸間のずれが起こる。振動力の大きさ
は、細孔又はスリットの数や気体の吹き出し圧力を調整
することにより設定することができる。吹き付ける方法
として、細孔又はスリットの前後に繊維の振動を固定す
るためのガイドを設けるか、リングや筒の内側に細孔あ
るいはスリットを設けるの方法により、気体の吹き付け
に伴う繊維の逃げを回避して、気体が繊維に効率的に当
たるようにすることが好ましい。この方法の場合の好ま
しい水分率は0〜20質量%である。この方法が、単糸
断面の変形や単糸側面の傷ができにくく、単糸膠着率を
下げる効果が高いという観点で、最も好ましい。
度は100〜300℃であることが好ましい。100℃
より低い温度では高強度・高弾性率のポリケトン繊維を
得ることが困難であり、300℃を越える温度では延伸
時に糸が溶融して糸の切断が起りやすい。延伸のしやす
さから150℃以上が好ましく、更に好ましくは180
〜280℃である。延伸は1段で行っても、延伸温度を
徐々に高くして多段延伸で行ってもかまわないが、延伸
倍率を高くできる点及び延伸速度を早くできる点で多段
延伸が好ましい。
制し延伸を円滑にするために、乾燥から延伸の任意の段
階で繊維に仕上げ剤を付与することが好ましい。仕上げ
剤としては、公知のものが使用できる。熱延伸装置とし
ては、加熱ロール又はプレート上あるいは加熱気体中を
走行させる方法や、走行糸にレーザーやマイクロ波、赤
外線を照射する等の従来公知の装置をそのまま又は改良
して採用することができる。
説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方法
は、次の通りである。 (1)極限粘度 極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求める。 式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサイソプロパ
ノール及びヘキサフルオロイソプロパノールに溶解した
ポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間で
ある。Cは上記100ml中のグラム単位による溶質質
量値である。 (2)繊維の強度、伸度、弾性率 繊維の強伸度は、JIS−L−1013に準じ、サンプ
ル長=20cm、引張り速度=20cm/分で測定し、
10回測定したときの平均値とした。
量)/残水繊維質量]×100 残水繊維質量とは、単糸間のずれを生ずる外力を加える
時点の繊維を5mサンプリングしたときの繊維質量であ
り、乾燥工程で除去しきれなかった水分を含んだ繊維質
量である。乾燥後の繊維質量とは、前記のサンプリング
した繊維を105℃で5時間乾燥し、実質的に水分を完
全に除去したときの繊維質量である。 (4)単糸膠着率 単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸
数)]×100 見かけの単糸数は、長さ5mのポリケトン繊維の任意の
部分を10cm単位の長さに切断して5本のサンプルを
採取し、それぞれのサンプルから単糸をピンセットで1
本1本取り出して、膠着して分繊ができない単糸の組は
1本として数えたときの平均値である。単糸数は、ポリ
ケトン溶液を凝固浴へ押し出して前記の繊維を製造する
のに用いた紡口口金の孔数である。 (5)撚糸強力利用率 撚糸強力利用率(%)=(撚糸後の強力/撚糸前の強
力)×100 撚糸後の強度は、張力=0.44cN/dtex(0.
5g/d)、撚り数1200回/mの条件で撚糸したも
のを(2)の方法で測定した。
混合塩(塩化亜鉛/塩化ナトリウムの質量比は87/1
3)水溶液に、極限粘度が6.0で、実質的に繰り返し
単位の100モル%が式(1)で示されるポリケトンを
8質量%となるように50℃で混合し、1.33kPa
まで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密
閉し、これを80℃で3時間攪拌することにより均一で
透明なポリケトン溶液を得た。
ルターを通過させた後、直径0.15mmの孔が50個
ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、80
℃、5m/minの速度で押し出した。エアギャップ長
10mmを通過させ、そのまま40℃の水からなる凝固
浴中を通した後、5m/minの速度でネルソンロール
を用いて引き上げた。次いで、そのネルソンロール上で
水を吹きかけて洗浄し、さらに2%の硫酸浴を通してネ
ルソンロールで引き上げた後、ネルソンロール上で水を
吹きかけて洗浄した。
した後、図1に示すピンガイドにより繊維をしごく装置
に通した。繊維1をピンガイド2、3、4を順次経由し
て矢印の方向に通し、そのときの繊維のなす角度θを6
0℃に設定した。繊維1がこれらのピンガイドを通過す
る際に繊維にしごきが加えられる。この繊維を、さらに
220℃ホットプレート上を通して巻き取った。最初の
ホットプレート通過後の繊維の水分率は15質量%であ
り、2回目のホットプレート通過後の繊維の水分率は0
質量%であった。この繊維をホットプレート上を通過さ
せながら、225℃で7倍、240℃で1.5倍、25
0℃で1.4倍、257℃で1.4倍の延伸を行い、ポ
リケトン繊維を製造した。
tex、強度=14.2cN/dtex、伸度=4.4
%、弾性率=362cN/dtexであり、単糸膠着率
は22%であった。撚糸強力利用率は68%で良好であ
った。
変更した以外は、実施例1と同じ条件でポリケトン繊維
を製造した。図2は、細孔により繊維に圧縮空気を吹き
付ける装置の平面図、図3は図2の装置のAーB線にお
ける断面図である。繊維1をガイド5、導糸口7、ガイ
ド6を順次通し、矢印の方向に繊維1が通過する際に、
圧縮空気9を細孔8から繊維1に吹き付けることにより
単糸を振動させ、単糸間のずれを起こさせた。
tex、強度=14.9cN/dtex、伸度=4.6
%、弾性率=353cN/dtexであり、単糸膠着率
は14%であった。撚糸強力利用率は71%で良好であ
った。
混合塩(塩化カルシウム/塩化亜鉛の質量比は64.5
/35.5)水溶液に、極限粘度が5.7で、実質的に
繰り返し単位の100モル%が式(1)で示されるポリ
ケトンを7質量%となるように30℃で混合し、1.3
3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧
のまま密閉し、これを90℃で2時間攪拌することによ
り均一で透明なポリケトン溶液を得た。
ルターを通過させた後、直径0.15mmの孔が50個
ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、80
℃、5m/minの速度で押し出し、エアギャップ長1
0mmを通過させ、そのまま2℃の水である凝固浴中を
通した後、5m/minの速度でネルソンロールを用い
て引き上げた。次いで、そのネルソンロール上で水を吹
きかけて洗浄し、さらに、2%の硫酸浴を通してネルソ
ンロールで引き上げた後、ネルソンロール上で水を吹き
かけて洗浄した。
した後、実施例1と同様に図1に示す装置に繊維を通し
てしごき、220℃ホットプレート上を通して巻き取っ
た。最初のホットプレート通過後の繊維の水分率は10
質量%であり、2回目のホットプレート通過後の繊維の
水分率は0質量%であった。この繊維をホットプレート
上を通過させながら、225℃で7倍、240℃で1.
5倍、250℃で1.4倍、257℃で1.3倍の延伸
を行い、ポリケトン繊維を製造した。
tex、強度=17.8cN/dtex、伸度=4.9
%、弾性率=459cN/dtexであり、単糸膠着率
は10%であった。撚糸強力利用率は76%で良好であ
った。
に変更した以外は、実施例3と同じ条件でポリケトン繊
維を製造した。得られた繊維の物性は、繊度=68.9
dtex、強度=17.7cN/dtex、伸度=5.
0%、弾性率=441cN/dtexであり、単糸膠着
率は0%であった。撚糸強力利用率は80%で良好であ
った。
プレート通過後に設置した(すなわち繊維の水分率は0
質量%)以外は、実施例4と同じ条件でポリケトン繊維
を製造した。得られた繊維の物性は、繊度=67.8d
tex、強度=18.4cN/dtex、伸度=5.0
%、弾性率=444cN/dtexであり、単糸膠着率
は0%であった。撚糸強力利用率は82%で良好であっ
た。
じ方法で行い、ポリケトン繊維を製造した。得られた繊
維の物性は、繊度=73.3dtex、強度=14.3
cN/dtex、伸度=4.3%、弾性率=379cN
/dtexであり、単糸膠着率は70%であった。撚糸
強力利用率は52%と、低い値であった。
じ方法で行い、ポリケトン繊維を製造した。得られた繊
維の物性は、繊度=68.9dtex、強度=17.8
cN/dtex、伸度=4.8%、弾性率=450cN
/dtexであり、単糸膠着率は50%であった。撚糸
強力利用率は61%と、低い値であった。
温度を150℃としたところ、水分率は48%ととなっ
た。これ以外は実施例1と同じ方法でポリケトン繊維を
製造した。得られた繊維の物性は、繊度=72.2dt
ex、強度=13.4cN/dtex、伸度=4.2
%、弾性率=379cN/dtexであり、単糸膠着率
は44%であった。撚糸強力利用率は55%と、低い値
であった。
及び得られた繊維の性能を表1及び2にまとめて示す。
し、撚糸後の強力保持率が高いポリケトン繊維が提供さ
れる。この繊維は、本発明の方法により、低毒性、不
燃、安価で、溶剤回収性、紡糸安定性に優れた溶剤を用
いて製造することが可能である。本発明によって得られ
たポリケトン繊維は、撚糸時後の強力保持率が高いた
め、タイヤコード、ベルトなどのゴム補強材における耐
疲労性が特に必要な分野への展開が可能となる。
ガイドにより繊維をしごく装置の断面図
により繊維に圧縮空気を吹き付ける装置の平面図
の装置のAーB線における断面図
Claims (5)
- 【請求項1】 繰り返し単位の95モル%以上が下記式
(1)で示されるポリケトンと金属塩水溶液とからなる
ポリケトン溶液を用いて湿式紡糸して得られるポリケト
ン繊維において、単糸膠着率が30%以下であることを
特徴とするポリケトン繊維。 単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸
数)]×100 (見かけの単糸数は、ポリケトン繊維を10cmの長さ
に切断し、膠着して分繊ができない単糸の組を1本とし
て数えたときの単糸の本数。単糸数は、前記のポリケト
ン繊維の製造に用いた紡口口金の孔数と同じ値) 【化1】 - 【請求項2】 単糸膠着率が10%以下であることを特
徴とする請求項1記載のポリケトン繊維。 - 【請求項3】 繰り返し単位の95モル%以上が下記式
(1)で示されるポリケトンを金属塩水溶液に溶解し、
その溶液を紡口口金から凝固浴へ押し出し、得られた繊
維状物を水洗して前記の金属塩を実質的に除去した後、
乾燥工程を経た繊維を熱延伸するポリケトン繊維の製造
法において、乾燥工程で水分率が0〜40質量%にある
繊維に単糸間のずれを生ずる外力を加えることを特徴と
するポリケトン繊維の製造方法。 【化2】 - 【請求項4】 乾燥工程で水分率が0〜40質量%にあ
る繊維に気体を吹きつけて単糸間のずれを生ずる外力を
加えることを特徴とする請求項3記載のポリケトン繊維
の製造方法。 - 【請求項5】 ポリケトンの溶剤が、塩化カルシウム/
塩化亜鉛(質量比は68/32〜61/39)からなる
塩を59〜64質量%含んだ水溶液であり、紡口口金か
ら押し出すときのポリケトン溶液の温度が60〜150
℃、凝固浴の温度が−50〜20℃であることを特徴と
する請求項3又は4記載のポリケトン繊維の製造方法。
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---|---|---|---|---|
JPH0226911A (ja) * | 1988-07-11 | 1990-01-29 | Kanebo Ltd | 湿式紡糸による繊維の製造方法 |
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WO2000009611A1 (fr) * | 1998-08-10 | 2000-02-24 | Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha | Solution de polycetone |
-
2001
- 2001-02-15 JP JP2001038750A patent/JP4566422B2/ja not_active Expired - Lifetime
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