JP2007283897A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カーカスプライのコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあるコードを使用し、かつ、該ベルトプライコードと略直交するかたちでタイヤ内部に配置される緯糸コードとして、繊度が200dtex〜1000dtex、切断伸度が60%以上、引張強力が200g以上であるコードを使用し、互いに略平行な前記緯糸コード間の距離が5〜50mmの間にある空気入りタイヤである。
【選択図】図1
Description
(イ)高強度および高弾性率を有するポリケトン繊維からなるコードは熱収縮応力が高く、簾織物に製織後の熱収縮によって簾織物が歪んで、平坦性が損なわれる。
(ロ)高強度および高弾性率を有するポリケトン繊維からなるコードは、簾織物としてゴム引きされたあとタイヤ製造時の加熱により、ポリケトン繊維の収縮に起因したコード配列の乱れが生じ、タイヤのユニフォミティを悪化させる。このため高耐久性を要求される高性能系タイヤ、超扁平系タイヤ、重荷重系タイヤにおいては、タイヤ耐久性が低下する懸念があった。
前記カーカス層の少なくとも1枚のカーカスプライコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあるコードを使用し、かつ、該カーカスプライコードと略直交するかたちでタイヤ内部に配置される緯糸コードとして、繊度が60dtex〜600dtex、切断伸度が60%以上であり、かつ引張強力が200g以上であるコードを使用し、互いに略平行な前記緯糸コード間の距離が5〜50mmの間にあることを特徴とするものである。
前記ベルト層の少なくとも1枚のベルトプライコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあるコードを使用し、かつ、該ベルトプライコードと略直交するかたちでタイヤ内部に配置される緯糸コードとして、繊度が200dtex〜1000dtex、切断伸度が60%以上、引張強力が200g以上であるコードを使用し、互いに略平行な前記緯糸コード間の距離が5〜50mmの間にあることを特徴とするものである。
(本第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤの一例の概略断面図を示す。図示する本発明のタイヤ10は、トレッド部1と、その両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部2と、その内方端に位置する一対のビード部3とを備え、少なくとも1枚のカーカスプライ(図示例では1枚)からなるカーカス層5をビード部3に埋設された一対のビードコア4間にトロイド状に延在させて有する。ここで、符号8はビードフィラーである。また、タイヤ10は、カーカス層5のクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライ(図示例では2枚)からなるベルト層6と、該ベルト層6のタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚(図示例では1枚)のベルト保護層7とを有する。
なお、図示するタイヤにおいてはベルト保護層7が配置されているが、本実施形態ではベルト保護層7は必要に応じて適宜配置すればよく、なくともよい。
本第2実施形態においては、図示するタイヤ10におけるベルト層6の少なくとも1枚のベルトプライコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあるコードを使用し、かつ、該ベルトプライコードと略直交するかたちでタイヤ内部に配置される緯糸コードとして、繊度が200dtex〜1000dtex、切断伸度が60%以上、引張強力が500g以上であるコードを使用し、互いに略平行な前記緯糸コード間の距離が5〜50mmの間にあることが肝要である。これにより、ベルト層6の補強コードとして高性能で高品位の簾織物となり、この簾織物をカーカス層に適用した空気入りタイヤは、優れたユニフォミティを示す。
なお、第2実施形態においてもベルト保護層7は必要に応じて適宜配置すればよく、なくともよい。
乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100
但し、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。また、PK繊維における引張強度および引張弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
α=T×D1/2 (I)
(式中、Tは撚り数(回/100mm)であり、Dはコードの総繊度(dtex)である)で定義される撚り係数αが850〜4000の範囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚り係数αが850未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、4000を超えると、弾性率が十分に確保できず、補強能が小さくなる。
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65質量%/塩化ナトリウム10質量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8質量%のドープを得た。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(質量%比)。
下記の表1〜3に示すコード物性を有するカーカスコードと、同表に示す緯糸を用いて各供試タイヤ(サイズ:305/30ZR19)を試作し、水圧破壊による強度テスト及びユニフォミティ測定機によるユニフォミティ測定を実施した。また、タイヤ製造時の緯糸切れ、カーカスコード乱れについても評価し、良好な場合を○、不良の場合を×とした。得られた結果を下記の表1〜3に示す。
2枚のベルトプライからなるベルト層(第1ベルトプライ:スチールコード、第2ベルトプライ:下記の表4,5に示す第2ベルトコード)で構成し、さらに1層のベルト保護層で補強した供試タイヤ(サイズ:225/45R17)を試作し、内圧時の外周成長テスト、およびユニフォミティ測定機によるユニフォミティ測定およびドラム試験機によるタイヤ耐久性テスト(ドラム条件:内圧250kPa、荷重1125kg、速度180km/時)を実施した。また、製造時の緯糸切れおよび第2ベルトコード乱れについても評価し、極めて良好な場合を◎、良好な場合を○、不良の場合を×とした。得られた結果を下記の表4,5に示す。
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス層
6 ベルト層
7 ベルト保護層
8 ビードフィラー
10 空気入りタイヤ
Claims (7)
- トレッド部と、その両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部の内方端に位置する一対のビード部とを備え、該ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層とを有する空気入りタイヤにおいて、
前記カーカス層の少なくとも1枚のカーカスプライコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあるコードを使用し、かつ、該カーカスプライコードと略直交するかたちでタイヤ内部に配置される緯糸コードとして、繊度が60dtex〜600dtex、切断伸度が60%以上であり、かつ引張強力が200g以上であるコードを使用し、互いに略平行な前記緯糸コード間の距離が5〜50mmの間にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - トレッド部と、その両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部の内方端に位置する一対のビード部とを備え、該ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層とを有する空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト層の少なくとも1枚のベルトプライコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあるコードを使用し、かつ、該ベルトプライコードと略直交するかたちでタイヤ内部に配置される緯糸コードとして、繊度が200dtex〜1000dtex、切断伸度が60%以上、引張強力が200g以上であるコードを使用し、互いに略平行な前記緯糸コード間の距離が5〜50mmの間にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記緯糸コードが、25℃時の初期弾性率が2.5cN/dtex以上で、かつ、150℃時の初期弾性率が0.8cN/dtex以上である請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
- 前記ポリケトン繊維として、引っ張り強度が10cN/dtex以上、弾性率が200cN/dtex以上、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲にあるものを用いる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記緯糸コードが、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、若しくは紡績糸からなるコード、またはこれらを混撚りしたコードである請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記緯糸コードが、ポリアミドの未延伸糸、半延伸糸または部分配向糸(POY)、若しくはポリエステルの未延伸糸、半延伸糸または部分配向糸のマルチフィラメント糸、モノフィラメント糸または混撚りコード、あるいはこれらコードと、ポリノジック、レーヨン、綿、ポリエステル、ナイロンまたはリヨセルとを混撚りしたコードである請求項5記載の空気入りタイヤ。
- 前記緯糸コードが、60%以上の破断伸度を有するポリアミドまたはポリエステルのマルチフィラメントとセルロース系マルチフィラメントとを交絡させ、その表面に多数のループ状毛羽が付与されたコードである請求項5記載の空気入りタイヤ。
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