JP2009067325A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ロードハザード耐性に優れ、しかも軽量化をも実現することができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】左右一対のビード部1と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部1に延びるカーカスプライ4と、を備えた空気入りタイヤにおいて、タイヤ偏平率が30〜65%であり、カーカスプライ4のカーカスプライコードが、ポリケトン繊維を少なくとも65質量%以上含み、タイヤから取り出したコードとしての引っ張り強度が8cN/dtex以上であり、カーカスプライ4が略ラジアル方向に配列したコードと交差する緯糸を含み、かつ、該緯糸がタイヤ周方向の複数箇所でほぼ一定間隔にて切断されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロードハザード耐性に優れ、しかも軽量化を実現することができる空気入りタイヤに関する。
ポリケトン繊維は、ナイロン繊維やポリエステル繊維、レーヨン繊維に比べて、高強度・高弾性率である上に、高い耐熱性や良好な接着性を有することから、各種の産業用資材用途として使用することが期待されている。
このようなポリケトン繊維の優れた特性に着目して、このポリケトン繊維をタイヤコードにも使用する試みが多数検討され、提案されている(特許文献1〜4など)。
特開平11−334313号公報 特開2002−309442号公報 特開2002−307908号公報 特開2006−123649号公報
しかしながら、ポリケトン繊維を使用する従来提案のタイヤ技術では、必ずしもポリケトン繊維本来の優れた特性が十分に活かされているとはいえず、特にタイヤのロードハザード耐性の向上や軽量化という観点において十分な性能を発揮するに至っていないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、ロードハザード耐性に優れ、しかも軽量化をも実現することができる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリケトン繊維コードをタイヤ補強用としてのカーカスプライコードとして使用した場合、タイヤ内部におけるカーカスコード間隔が不均一となり、これによりタイヤ周方向の強度や剛性も不均一なものとなり、その結果、ポリケトン繊維の優れた特性が十分に活かされないことが分かった。また、特定の偏平率のタイヤにおいて、この傾向が顕著であることも分かった。そこで、本発明者らは、かかる知見に基づき更に鋭意検討した結果、カーカスの補強コードとして特定の引張強度を有するポリケトン繊維コードを用い、前記カーカス補強コードと交差する緯糸をタイヤ周方向の複数箇所で、特定の切断ピッチにて切断することで、余分なゴムシートなどを追加してタイヤ重量を増加させることなく、タイヤ内面の凹凸発生が抑制され、その結果として、タイヤ周方向の均一性が高まり、ロードハザード耐性を高めることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカスプライと、を備えた空気入りタイヤにおいて、
タイヤ偏平率が30〜65%であり、
前記カーカスプライのカーカスプライコードが、ポリケトン繊維を少なくとも65質量%以上含み、タイヤから取り出したコードとしての引っ張り強度が8cN/dtex以上であり、
前記カーカスプライが略ラジアル方向に配列したコードと交差する緯糸を含み、かつ、該緯糸がタイヤ周方向の複数箇所でほぼ一定間隔にて切断されている、
ことを特徴とするものである。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記カーカスプライを形成する繊維コードの公称総繊度が1650〜4500dtexの範囲にあり、かつ前記緯糸の公称総繊度が200〜500dtexの範囲にあることが好ましい。また、前記緯糸の切断ピッチAは、好ましくは5〜15mmの範囲内である。さらに、前記カーカスプライコードは、ディップ処理済みコードとして、最大熱収縮応力1.2cN/dtex以下を有し、かつ、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜3%の範囲にあることが好ましい。さらにまた、前記緯糸が切断伸度5〜20%、および切断強力300〜1200gを有することが好ましい。さらにまた、前記緯糸は、セルロース系繊維またはビニロン系繊維からなることが好ましく、また、紡績糸であることが好ましい。さらにまた、本発明は、前記カーカスプライの内面に沿って、両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備えるランフラットタイヤに好適に適用することができる。
ここで、コードの最大熱収縮応力とは、一般的なディップ処理を施した加硫前のカーカスプライコードの、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する最大応力(単位:cN/dtex)である。また、カーカスプライコードのディップ処理済みコードとしての乾熱処理時熱収縮率は、オーブン中で150℃、30分の乾熱処理を行ない、熱処理前後の繊維長を、1/30(cN/dtex)の荷重をかけて計測して下式により求められる値である。
乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100
但し、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。また、ポリケトン繊維における引張強度および引張弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
本発明によれば、タイヤ重量を増加させることなく、タイヤ内面の凹凸発生が抑制され、タイヤ周方向の均一性が高まり、これによりロードハザード耐性に優れ、しかもタイヤの軽量化を実現することが可能となる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一例の部分断面図である。図1に示すタイヤは、ビードコア5が埋設された左右一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する2枚のコード層からなるカーカスプライ4を備える。本発明においては、タイヤ偏平率が30〜65%の範囲内である。この偏平率が30%未満の場合は、ポリケトン繊維の優れた特性を十分に活かすことができなくなる。一方、65%を超えると、ロードハザードに対する耐性において、十分な効果を確認し得なくなる。
また、本発明は、図示はしないが、本発明においては、カーカスプライ4の内面に沿って両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備えたランフラットタイヤにおいて、所望の効果を良好に得ることができる。
また、図示例のタイヤにおいては、カーカスプライ4のクラウン部のタイヤ半径方向外側には2枚のベルト層からなるベルト6が配置されている。なお、図示例のベルト6は、2枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト6を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。また、図示はしないが、ベルト6のタイヤ半径方向外側に、ベルト6の全体を覆うように、あるいはベルト6の両端部のみを覆うようにベルト補強層が配置されていてもよい。ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成する。また、ベルト補強層は、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。
本発明においては、カーカスプライ4のカーカスプライコードとして、ポリケトン繊維を少なくとも65質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%含む。65質量%未満だと、十分なタイヤ強度を得るのが困難となる。
また、カーカスプライ4から取り出したコードの引っ張り強度は8cN/dtex以上であることが必要であり、好ましくは10cN/dtex以上、より好ましくは12cN/dtex以上である。この値が8cN/dtex未満の場合、十分なタイヤ強度を得るのが困難となる。
さらに、図2に示すように、カーカスプライ4は略ラジアル方向に配列したカーカスプライコード10と交差する緯糸11を含み、かつ、この緯糸11はタイヤ周方向の複数箇所で切断されている。この緯糸11を切断する手段としては、特開平5−208458号公報等に記載の既知のピックブレーカー処理により行うことができるが、それ以外の方法を用いて緯糸を切断することができるのは勿論である。
緯糸11が意図的に切断されていない場合、タイヤ製造時の拡張変形により、緯糸11が不均一に破断してしまい、結果的にタイヤ内面の凹凸を低減することができない。
さらにまた、カーカスプライ4を形成する繊維コードの総繊度は1650〜4500dtexの範囲にあることが望ましい。この総繊度が1650dtexを下回る場合、十分なタイヤ強度を得るのが困難となる。一方、総繊度が4500dtexを上回る場合、カーカスコード層の厚みが課題となり、タイヤ転がり抵抗の悪化が問題となる。
さらにまた、緯糸11の繊度が200〜500dtexの範囲にあることが望ましい。この繊度が200dtexを下回る場合、ディップ処理工程、及びゴムトッピング工程において、不均一な緯糸切れが発生するおそれがある。一方、この繊度が500dtexを上回る場合、製織後の簾性状が良好ではなくなる。
カーカスプライ4を形成するカーカスプライコードは、ディップ処理済みコードとして、最大熱収縮応力が好ましくは1.2cN/dtex以下、より好ましくは1.0cN/dtex以下である。この最大熱収縮応力が1.2cN/dtexを超える場合には、タイヤ製造時の加熱によりコードが著しく収縮するため、出来上がりのタイヤに内面凹凸が発生する懸念がある。
さらにまた、図2に示すように、緯糸11の切断ピッチAは5〜15mmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは7〜15mmの範囲である。切断ピッチAが5mm未満の場合、切断工程においてカーカスコードに損傷を与える懸念がある。一方、15mmを超える場合、タイヤ周方向の均一性を十分に改良できなくなる。
さらに、カーカスプライ4のカーカスプライコードは、ディップ処理済みコードとして、好ましくは150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜3%の範囲、より好ましくは1.5%〜2.5%の範囲にあることが望ましい。150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%未満の場合には、タイヤ製造時の加熱による引き揃え効率が著しく低下し、タイヤとしての強度が不十分となる。一方、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が3%を超える場合には、タイヤ製造時の加熱によりコードが著しく収縮するため、出来上がりのタイヤ形状が悪化する懸念がある。
さらにまた、緯糸11は、切断伸度が5〜20%でかつ切断強度が300〜1200gの範囲にあることが好ましい。切断伸度が5%未満あるいは切断強度が300g以下の場合、ゴムをトッピングする工程以前において予期しない緯糸11の切断が生じ、すだれ織物としての形態を保持できなくなる。一方、切断伸度が20%より大きいか、あるいは切断強度が1200gを超える場合、切断工程において緯糸11を切断することが困難になり、タイヤ周方向の均一性を十分に改良できなくなる。
さらにまた、緯糸11がセルロース系繊維またはビニロン系繊維からなることが望ましく、さらには紡績糸であることが好ましい。かかる繊維は上記の切断伸度と切断強度を満足するように設計することが可能である。
次に、本発明に使用し得る、ポリケトン繊維(以下「PK繊維」と略記する)を少なくとも65質量%以上含むカーカスプライコードについて詳述する。
本発明に使用し得るPK繊維以外の繊維は、ナイロン、エステル、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、ビニロン等を挙げることができる。
また、上記コードは、さらに、下記式(I)、
Figure 2009067325
(式中、Tは撚り数(回/100mm)、Dはコードの総繊度(dtex)、ρはコードに使用される繊維素材の密度(g/cm)である)で定義される撚り係数αが0.25〜1.25の範囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚り係数αが0.25未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、1.25を超えると、弾性率が十分に確保できず、補強能が小さくなる。
上記PK繊維の原料のポリケトンとしては、下記一般式(II)、
Figure 2009067325
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH−CH−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
かかるポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基とが交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(II)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよび塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
さらに、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(III)、
Figure 2009067325
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
さらにまた、PK繊維は、結晶化度が50〜90%、結晶配向度が95%以上の結晶構造を有することが好ましい。結晶化度が50%未満の場合、繊維の構造形成が不十分であって十分な強度が得られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法安定性も不安定となるおそれがある。このため、結晶化度としては50〜90%が好ましく、より好ましくは60〜85%である。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載されているようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載されているような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲内が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍以上とする。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
また、PK繊維コードの高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であることが望ましい。具体的には、必要に応じて行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰り返し使用や高速回転によってタイヤ材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなることなどから、最大熱収縮温度は、好ましくは100〜250℃の範囲内、より好ましくは150〜240℃範囲内である。
本発明に係るカーカスプライコードを被覆するコーティングゴムは、種々の形状からなることができる。代表的には、被膜、シート等である。また、コーティングゴムは、既知のゴム組成物を適宜採用することができ、特に制限されるべきものではない。
本発明の空気入りタイヤは、カーカスプライ4として上述のカーカスプライを適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
(PK繊維の調製例)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2重量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃以上にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。なお、この乾燥温度を適宜コントロールすることで熱収縮率の調整が可能である。
仕上剤は以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
得られた未延伸糸を1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は17.1倍であった。この繊維原糸は強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347cN/dtexと高物性を有していた。また、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率は1.9%であった。このようにして得られたPK繊維を下記の条件下でコードとして使用した。
(実施例1〜9、比較例1〜3、従来例)
下記の表1および2に示すカーカス構造、材質・太さ、引張り強度、熱収縮応力、繊維の乾熱処理時熱収縮率、打込み数およびコード径を有する繊維コードを平行に配列しコーティングゴムで被覆後に緯糸を切断する等してコード/ゴム複合体を作製し、該コード/ゴム複合体をカーカスプライに用いて、図1に示す構造のサイズ225/60ZR17の空気入りタイヤを試作した。また、得られたタイヤの内面凹凸およびロードハザード耐性を下記の方法で評価し、表2に示す結果を得た。
(1)タイヤ内面凹凸
加硫後のタイヤ内面を目視にて評価し、発生ほぼなし、やや発生、発生顕著の3段階に評価した。
(2)ロードハザード耐性
供試タイヤに内圧を充填し、特開平6-273299号公報記載の装置(一定方向に回転自在に支持されたア−ムと、ア−ムの先端に取付けられた衝撃片と、ア−ムの振り上げ角度を規定する角度調整器と、前記ア−ムに荷重付加機構を設けたタイヤのサイド部試験装置)を用いる評価方法を実施し、エア漏れにいたるまでのインパクト回数を測定した。
Figure 2009067325
Figure 2009067325
本発明の空気入りタイヤの一例の右半分の断面図である。 カーカスプライにおいて、カーカスコードとそれと交差する緯糸を含む部分の断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカスプライ
5 ビードコア
6 ベルト
10 カーカスプライコード
11 緯糸
A 緯糸の切断ピッチ

Claims (8)

  1. 左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカスプライと、を備えた空気入りタイヤにおいて、
    タイヤ偏平率が30〜65%であり、
    前記カーカスプライのカーカスプライコードが、ポリケトン繊維を少なくとも65質量%以上含み、タイヤから取り出したコードとしての引っ張り強度が8cN/dtex以上であり、
    前記カーカスプライが略ラジアル方向に配列したコードと交差する緯糸を含み、かつ、該緯糸がタイヤ周方向の複数箇所でほぼ一定間隔にて切断されている、
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記カーカスプライを形成する繊維コードの公称総繊度が1650〜4500dtexの範囲にあり、かつ、前記緯糸の公称総繊度が200〜500dtexの範囲にある請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記緯糸の切断ピッチAが5〜15mmの範囲にある請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記カーカスプライコードが、ディップ処理済みコードとして、最大熱収縮応力1.2cN/dtex以下を有し、かつ、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜3%の範囲にある請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記緯糸が切断伸度5〜20%、および切断強力300〜1200gを有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記緯糸がセルロース系繊維またはビニロン系繊維からなる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記緯糸が紡績糸である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記カーカスプライの内面に沿って、両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備える請求項1〜7のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011111004A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りラジアルタイヤ

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