JP2002241389A - 炭素クラスターアニオン及び共役系有機配位子を有する金属錯体並びにその製造方法 - Google Patents

炭素クラスターアニオン及び共役系有機配位子を有する金属錯体並びにその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】フラーレン骨格の炭素クラスターがη5型で結
合し、且つ共役系骨格を有する有機配位子も結合した遷
移金属錯体を提供する。 【解決手段】すなわち、本発明の要旨は、少なくともフ
ラーレン、例えば下記式(I)で表される骨格を有する
フラーレンC60から誘導される炭素クラスターアニオン
並びに共役系骨格を有する有機配位子を含有する周期律
表第3〜10族に属する遷移金属錯体。 【化1】 (式(I)中、Rは互いに独立して同一であっても異な
っていてもよく、水素原子或いは有機基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は少なくともフラーレ
ンから誘導される炭素クラスターアニオン及び共役系骨
格を有する有機配位子を含有する周期律表第3〜10族
に属する金属錯体、並びにその製造方法に関するもので
ある。更に詳しくは、本発明は、シクロペンタジエニル
配位子のような共役系骨格を有する有機配位子を含み、
且つフラレーン骨格を有する炭素クラスターがη5様式
で金属に結合した周期律表第3〜10族に属する金属の
錯体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なシクロペンタジエニル錯体は、
シクロペンタジエニル骨格を有する有機配位子が、シク
ロペンタジエニル部でη5型、すなわちシクロペンタジ
エニル部の5個の炭素が金属原子と結合する様式で結合
した遷移金属錯体(以下、シクロペンタジエニル錯体と
略記する。)であり、その結合様式により金属錯体の対
称性、電子状態が変わり、有機化合物との反応において
特異的な反応性を示すことが明らかにされている。その
ような理由から、これまでに種々のシクロペンタジエニ
ル錯体誘導体が合成され、それらは、金属錯体を用いた
有機合成反応において重要な役割を果たしてきた。特
に、これらの中で、工業触媒として最も重要な金属錯体
は、シクロペンタジエニルが2個金属に結合したメタロ
セン錯体である。このメタロセン錯体は特定のAl化合
物、B化合物あるいは粘土鉱物等と組み合わせることに
より、チーグラーナッタ触媒に代わるエチレンやプロピ
レン等のオレフィン重合触媒として注目され、実用化さ
れてきた。また、これらのメタロセン錯体は、共役系有
機配位子が金属に2個結合した錯体であるため、電子伝
導等のネットワークを構築するのに優れ、電子伝導材料
や光機能材料としても幅広く利用されている。
【0003】ところで、1990年になってC60の大量
合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が世
界中で精力的に展開されてきた。その結果、数多くのフ
ラーレン誘導体が合成され、その多様な反応性、物性が
見出されている。現在では、これらのフラーレン誘導体
を用いた電子伝導材料、半導体、医薬などの開発が多面
的に進められている(例えば、総説として、現代化学、
1992年、4月号、p12、2000年,6月号,p46;Acc.Chem.Re
s.1998,31,593;Chem.Rev.1998, 98,2527)。また、フ
ラーレンが、5員環部と6員環部の共役系炭素骨格から
構成されている為、フラーレンが金属に対し上記のシク
ロペンタジエニル配位子のようにη5型で、或いはベン
ゼン配位子のようにη6型で結合した金属錯体は、フラ
ーレン骨格の電気化学的並びに光化学的特性の双方を兼
ね備えた新規な材料や触媒になるものとしての期待がか
けられた。そのような背景から、フラーレンが金属に結
合した金属錯体の合成に関する研究も同時に精力的にな
されてきたが、これらの殆どは、一般に、フラーレンが
芳香族化合物というよりは電子欠乏性のポリエンとして
の反応性を示すことから、フラーレンのオレフィン部の
二重結合が低原子価で電子が豊富な中心金属にη2様式
で配位した錯体であった。(例えば、総説として、Che
m.Rev.1998, 98,2123)。
【0004】本発明者らは、先に、フラーレンの5員環
部がシクロペンタジエニル配位子としてη5型で金属に
配位した錯体を見出し報告した(J.Am.Chem.Soc.1996,1
18,12850;特開平10-167994;特開平11-255508;特開平
11-255509)。しかしながら、これらの錯体は、フラー
レン骨格の炭素クラスターがη5型で結合した興味深い
錯体ではあるが、金属に配位するそれ以外の配位子は、
ホスフィンやCO等の配位子であるため、例えば、優れ
た電子伝導ネットワークを構築するには限界がある等、
新規な触媒、機能性分子としての用途は、特定のものに
限られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、フラーレン骨格の炭素クラスターがη5型で結合
し、且つ共役系環状骨格を有する有機配位子も結合した
金属錯体を合成できれば、それらの錯体は、メタロセン
錯体と同様にオレフィン等の重合触媒として、或いは電
気伝導性等に優れた機能性分子として有用であるだけで
はなくフラーレン骨格の電気化学的、光化学的特性を生
かした刺激応答性触媒や材料等の従来にない機能性分子
に成り得ると考えた。そして、その金属錯体に使用する
炭素クラスターには、種々の有機置換基を導入すること
が出来るので、これらの置換基を適当に選択することに
より、低い溶解度等のフラーレン特有の製造工程上の問
題を解決できるばかりでなく、金属上の電子密度を自在
に制御することが出来る為、触媒や材料設計における有
用な錯体として、より広範な用途が展開出来るものと期
待した。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはC
60のη5型のシクロペンタジエニル配位子に関する研究
を進めた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明の要旨は、少なくともフラーレンから誘導される
炭素クラスターアニオン並びに共役系骨格を有する有機
配位子を含有する周期律表第3〜10族に属する遷移金
属錯体に存し、本発明の他の要旨は、該金属錯体の製造
方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の周期律表第3〜10族に属する遷移金属の錯体
は、少なくともフラーレンから誘導される炭素クラスタ
ーアニオン及び共役系骨格を有する有機配位子を含有す
るものである。ここで、炭素クラスターとしては、
60,C70,C76,C78、C84等の誘導体であれば良
く、下記の式(I)で表される骨格を有するフラーレン
60から誘導される炭素クラスターであることが好まし
い。
【0008】
【化3】 (式(I)中、Rは、互いに独立して同一であっても異
なっていてもよく、水素原子或いは有機基を表す。) また、この炭素クラスターの金属に対する結合様式は、
下記の式(II)に示すようなη5型であることが好まし
い。
【0009】
【化4】 (式(II)中、Rは、互いに独立して同一であっても異
なっていてもよく、水素原子或いは有機基を表し、ML
mnは、上記式(I)で表される炭素クラスターアニオ
ンを含めた共役系骨格を有する有機配位子を含む金属フ
ラグメントを表す。Mは周期律表第3〜10族に属する
遷移金属から選ばれる金属原子を表し、Lは共役系骨格
を有する有機配位子を表し、Xは金属に結合した該有機
配位子以外の配位子或いは対イオンを表す。ここで、m
≧1、n≧0である。)
【0010】上記式(I)及び(II)におけるRは、水
素原子または有機基である。通常、これらの置換基は、
グリニャール試薬[RMgX(X=ハロゲン)]または
有機リチウム試薬(RLi)から調製される有機銅試薬
との反応によりフラーレン骨格に導入されるが、本発明
においては、Rは、特に上記試薬調製可能なRに限定さ
れず、グリニャール試薬または有機リチウム試薬の調製
が困難なもの(R)であっても良い。即ち、グリニャー
ル試薬または有機リチウム試薬の調製が困難なもの
(R)をフラーレン骨格に導入したい場合は、グリニャ
ール試薬または有機リチウム試薬から調製される有機銅
試薬との反応により一旦フラーレン骨格に有機基を導入
後、公知の任意の有機反応により置換基を所望の置換基
に誘導することもできる。これらのRとしては、合成の
容易性から、特に置換基を有していても良いアリール
基、アルキル基、又はアルケニル基が好ましい。また、
R同士は同一であっても異なっていてもよく、異なる置
換基を導入する場合には、公知の、例えばOrganic Lett
ers,2000,2,1919に記載の方法が有用である。
【0011】以下、有機金属試薬[(RMgX)、(R
Li)]のRについて説明する。Rで定義されるアリー
ル基としては、フェニル基やナフチル基等の炭素数6〜
20のアリール基が例示され、このアリール基が有し得
る置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル
基等のアルキル基;ベンジル基、CF3,C 25等の置
換アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキ
シ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert-ブト
キシ基等のアルコキシ基;フッ素原子等のハロゲン原
子;メチレンジオキシ基等が挙げられ、これらの置換基
を1個又は2個以上有していても良い。これらの置換基
中、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、CF3,C25等の炭素数1〜3の低級アルキル
基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ
プロポキシ基等の炭素数1〜3の低級アルコキシ基、フ
ッ素原子等のハロゲン原子が好ましい。
【0012】また、アルキル基としては、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の
直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜10程度のアルキ
ル基;ベンジル基、CF3,C25等の置換アルキル基
が挙げられる。これらの中、好ましいアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基、C
3,C25等が挙げられる。アルケニル基としては、
ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−ブテニル基,
3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、スチレ
ニル基等の炭素数2〜20程度のアルケニル基が挙げら
れ、それらの中では、合成のし易さから1−アルケニル
基が好ましい。
【0013】本発明の金属錯体において、上記式(I)
で表されるフラーレンから誘導される炭素クラスターア
ニオンは、好ましくは上記式(II)で表されるη5様式
で金属に結合している。式(II)中、MLmnは、上記
式(I)で表される炭素クラスターアニオンを含めた共
役系骨格を有する有機配位子を含む金属フラグメントを
表し、Mは周期律表第3〜10族に属する遷移金属であ
り、Lは該有機配位子を表し、Xは金属に結合した該有
機配位子以外の配位子或いはカウンターイオンを表す。
ここで、m≧1、n≧0である。
【0014】周期律表第3〜10族に属する遷移金属と
しては、錯体製造の簡便さから、Sc、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Zr、Mo、Ru、Rh、P
d、Hf、Ta、W、Re、Pt及びSmが好ましく、
中でも、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Zr、Ru、
Rh、Pd、Ta、W及びPtが合成のし易さから好ま
しい。これらの中でも、特に、周期律表第5〜8族に属
する遷移金属が好ましく、第8族金属がより好ましい。
【0015】Lで定義される共役系骨格を有する有機配
位子としては、具体的には、シクロペンタジエニル、イ
ンデニル、アズレニル、ピロール、チオフェン、ピリジ
ン、ベンゼン、ボラタベンゼン、シクロヘキサジエン或
いは式(I)で表される炭素クラスター等の構造単位を
有する公知の5員環又は6員環共役系有機化合物、フェ
ニルアセチリド、フェニルブタジイニド、トリメチルシ
リルブタジイニド等のアセチリド、あるいは置換基を有
しても良いピロール、アニリン、ベンゼン(フェニレ
ン)、アセチレン等のπ共役重合体又は共重合体が例示
される。これらの中では、Lは、炭素クラスターアニオ
ンに導入される置換基にも依るが、錯体の安定性から共
役系環状骨格を有する有機配位子が好ましく、中でも炭
素クラスターアニオンの5員環部が立体的に込み入って
いるため、立体障害の少ないシクロペンタジエニル、イ
ンデニル、アズレニル、ベンゼン、ビピリジン、シクロ
ヘキサジエン構造単位を有する共役系環状有機化合物が
好ましいが、特には限定されない。
【0016】Xは、金属に結合した上記有機配位子以外
の配位子或いは対イオンを示し、錯体が安定化されるた
めに存在する配位子或いはハロゲン原子、対アニオンえ
ある。炭素クラスターアニオンならびに共役系骨格を有
する有機配位子のみからなる遷移金属錯体が安定である
場合は、Xは存在しなくてもよい(n=0)。具体的に
は、THFやジメトキシエタン等のエーテル類、トリメ
チルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィ
ン類、アセトニトリル等のニトリル類、CO等の中性配位
子、Cl、Br等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキ
シ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ
基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ基、ネオペントキ
シ基等のアルコキシ基、ジメチルアミド、ジエチルアミ
ド等のアミド基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基等のアルキル基、メタンスルホネート、トシレー
ト等のスルホネート、BF4、B(C6F5)4等のボレート、PF6
等のホスフェート等のアニオンが挙げられる。このよう
な配位子やアニオンの個数、すなわち、LやXの個数
(m及びn)は使用する金属原子の性質によって決定さ
れることは当業者に容易に理解されよう。また、これら
の配位子やアニオン(L及びX)がそれぞれ複数個存在
する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよ
い。
【0017】MLmnフラグメントは、金属1個の単核
錯体フラグメントの形式で表現されているが、本発明に
おいては、シクロペンタジエニルとの結合が可能なフラ
グメントであれば、複数個からなる2核錯体フラグメン
ト、3個以上の金属クラスターフラグメントであっても
よい。金属が複数個からなる場合は、金属は同一でも異
なっていてもよい。
【0018】本発明の金属錯体の製造方法としては、特
に限定はされないが、先ず炭素クラスター誘導体と種々
の金属錯体(塩)とを反応させた後、共役系骨格を有す
る有機配位子を金属に結合させる方法或いは炭素クラス
ターアニオンと共役系骨格を有する有機配位子を含む金
属錯体とを反応させる方法が採用される。
【0019】本発明の金属錯体の好ましい製造方法を、
工程を挙げてより具体的に説明するが、その製造方法に
限定されるものではない。本発明の上記式(II)で表さ
れるフラーレンから誘導される炭素クラスターアニオン
がη5様式で金属に結合している遷移金属錯体の製造方
法の一態様は、以下の工程(a)〜(d)を含むもので
ある。 (a)フラーレンC60と、グリニャール試薬(RMg
X)又は有機リチウム試薬(RLi)[但し、Rは上記
と同義である]から調製される有機銅試薬との反応を経
由して炭素クラスター誘導体を形成させる工程 (b)工程(a)で得られる炭素クラスター誘導体に金
属アルコキシド又は金属アミドを反応させ、次いで臭化
剤を反応させフラーレン誘導体の臭化物[C605−B
r]を合成する工程 (c)工程(b)で得られた臭化フラーレン誘導体の低
原子価遷移金属錯体への酸化的付加反応により炭素クラ
スターアニオンがη5様式で金属に結合している低原子
価臭化遷移金属錯体を合成する工程 (d)工程(c)で得た遷移金属錯体に共役系骨格を有
する有機配位子を有する金属錯体(塩)を反応させる工
程。
【0020】本発明製造方法の別の態様としては、下記
工程〜を含む方法が挙げられる。 フラーレンC60と、グリニャール試薬(RMgX)
又は有機リチウム試薬(RLi)[但し、Rは上記と同
義である]から調製される有機銅試薬との反応を経由し
て炭素クラスター誘導体を形成させる工程 工程で得られる炭素クラスター誘導体と金属アル
コキシド又は金属アミドを反応させ上記式(I)で表さ
れる炭素クラスターアニオンがη5様式で結合した金属
錯体(塩)を合成する工程 工程で得られる炭素クラスターアニオンの金属錯
体(塩)と共役系骨格を有する有機配位子を有する臭化
遷移金属錯体とを反応させる工程。
【0021】上記工程(a)及びにおいて、フラーレ
ンC60と、グリニャール試薬(RMgX)又は有機リチ
ウム試薬(RLi)[但し、Rは上記と同義である]か
ら調製される有機銅試薬との反応を経由して炭素クラス
ター誘導体を形成させることは、公知の方法に準じて行
うことができる。反応に使用する有機銅試薬は、グリニ
ャール試薬とハロゲン化銅との反応或いは有機リチウム
試薬とハロゲン化銅との反応から調製される。グリニャ
ール試薬としては、RMgCl、RMgBr、RMgI
(Rは上記に定義したのと同義である)などが挙げら
れ、ハロゲン化銅の具体的な例としては、CuBr・S
Me2 (Me:メチル)などが挙げられる。グリニャー
ル試薬又は有機リチウム試薬とハロゲン化銅をテトラヒ
ドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル
系溶媒中で混合することにより有機銅試薬は調製するこ
とができる。反応は、フラーレンC60をトルエン、クロ
ロベンゼン等の芳香族系溶媒に溶解した溶液に、有機銅
試薬の溶液を加え、必要に応じ塩化トリメチルシラン
(TMSCl)やヘキサメチルホスホリックトリアミド
(HMPA)又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン(C5102O;DMI)を加えて反応させる。反
応温度−78〜40℃で3〜50時間反応させた後、反
応液に塩化アンモニウム水溶液等を加えて反応を停止す
る。反応生成液から、常法により目的物を単離できる
が、生成するC605Hは、不安定な化合物であるの
で、これらの反応精製工程は、アルゴン雰囲気下、又は
窒素雰囲気下で行うのが好ましい。
【0022】上記工程(b)又はにおいて炭素クラス
ター誘導体と反応させる金属アルコキシド又は金属アミ
ドの金属としては、Li、K、等のアルカリ金属、Tl
が好ましく、又アルコキシ基としては、メトキシ基、エ
トキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブト
キシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の低級ア
ルコシキ基、アミド基としてはN(SiMe32、N
(i−Pr)2等が挙げられる。具体的には、リチウムt
ert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、タリウム
エトキシド又はK(N(SiMe32)等が挙げられ
る。入手のし易さ、取り扱いのし易さから、これらの中
ではリチウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシ
ド、タリウムエトキシドが好ましい。反応は、炭素クラ
スター誘導体に対し、金属アルコキシド又は金属アミド
を0.5〜1.5当量程度用い、一般的には、−78℃〜室温
程度の温度下、THF等の不活性溶媒中で行われる。溶媒
の種類は、反応に不活性であれば特に限定されず、例え
ば、テトラヒドロフラン、トルエン等が用いられ、好ま
しくはこれらの混合溶媒が使用される。反応で得られる
金属錯体は、炭素クラスターがη5様式で金属に結合す
るもの、例えば、Tl(η5−C605)、K(η5−C60
5)等である。
【0023】工程(b)では、この金属錯体に、臭化
剤、例えばN−ブロモコハク酸イミド(NBS) を不活性溶
媒中で反応させ、炭素クラスターの臭化物(C605
r)を生成させる。反応は、室温下、不活性溶媒中で両
者を略当量混合することによりおこなわれるが、金属ア
ルコキシド又は金属アミドを反応させた反応液に、臭化
剤を加え引き続き反応させることもできる。次いで、工
程(c)において、この炭素クラスター臭化物を低原子
価遷移金属錯体へ酸化的付加反応させると、炭素クラス
ターアニオンがη5様式で金属に結合した臭化遷移金属
錯体が生成する(例えば、[M(η5−C605)(CO)
2Br])。本発明では、一般に炭素クラスターがη5
様式で金属に結合するため、反応で用いる金属錯体
(塩)としては、配位不飽和錯体(塩)や空の配位座が
生成しやすい低原子価錯体を用いるのが好ましい。この
ような理由から、金属錯体の中では、低原子価状態が安
定なV、Cr、Mn、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、
Pd、Ta、W及びRe金属が好ましい。例えば、その
様な低原子価錯体を遷移金属カルボニル化合物を例に例
示すると、Fe(CO)5 、Co2(CO)8、Na[Co
(CO)4]、V(CO)6,Cr(CO)6、Mo(CO)6、R
u(CO)5、W(CO)6、[RhCl(CO)22 等が挙
げられる。
【0024】工程(c)で得られる臭化遷移金属錯体
に、共役系骨格を有する有機配位子を有する金属錯体
(塩)、例えば金属シクロペンタジエニド(例えば、T
lCp:Cp=シクロペンタジエニドイオン)を反応さ
せ、金属交換によりシクロペンタジエニドイオンを共役
系骨格を有する有機配位子として結合した本発明の金属
錯体が製造される。反応は、金属シクロペンタジエニド
を原料に対し、当量乃至若干多めに用い、不活性溶媒
中、温度約−78℃〜200℃、好ましくは室温〜15
0℃で反応させる。生成した錯体は、常法により反応液
に貧溶媒を加える方法、反応液を濃縮又は乾固する方
法、反応液を冷却する方法等の公知の方法で分離精製さ
れる。また、錯体の精製には、必要に応じてクロマトグ
ラフィーを用いる。
【0025】別法における工程で製造された炭素クラ
スターアニオンがη5様式で結合した金属錯体に、工程
において、共役系骨格を有する有機配位子、例えばシ
クロペンタジエニドイオンを有する臭化遷移金属錯体を
反応させることにより、本発明の金属錯体が製造でき
る。この工程で使用するシクロペンタジエニドイオン
を有する臭化遷移金属錯体は、公知の種々の錯体を用い
ることができる。反応は、上記工程(c)とほぼ同様な
反応条件下で行われる。
【0026】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によ
り限定されるものではない。 実施例1 C60Me5 Hの製造(Me:メチル基) 50mlの2径フラスコにC60(101mg,0.14
mmol)を秤り取り、減圧下ヒートガンで加熱して乾
燥を行ない、その後減圧のまま放冷した。この操作を2
回くりかえした後、アルゴンを導入してオルトジクロロ
ベンゼン(40ml)に溶解した。この溶液を減圧下、
室温で20分間放置することにより脱気した。CuBr
・Me2 S(921mg,4.48mmol)のTHF
(5ml)懸濁液をアルゴン雰囲気下、−78℃に冷却
し、ここにMeMgBrのTHF溶液(1.03M,
4.40mL,4.53mmol)を一度に加えた。こ
の混合物を−78℃で25分間撹拌すると黄色い懸濁液
となった。
【0027】これに上記のC60のオルトジクロロベンゼ
ン溶液をカニュラーで移し、さらに素早くHMPA
(0.39ml,2.24mmol)とTMSCl(塩
化トリメチルシラン)(35μl,0.28mmol)
を加え、攪拌しながら水浴を用いて10分間で室温まで
昇温した。室温で16時間攪拌した後、HPLCでC60
が完全に消費されたことを確認し、系中に脱気した水
(1.5ml)を加え攪拌した。混合物を10分間攪拌
した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、アルゴン雰囲気下シ
リカゲルのカラムに通した。濾液を減圧下濃縮し、HM
PAを除くため残渣を減圧下100℃で12時間加熱し
た。その後、わずかに混入した沈殿物を除去するため
に、残った固体を脱気したトルエンに溶かしアルゴン雰
囲気下短いシリカゲルのカラムで濾過した。濾液を減圧
下濃縮し目的物が赤褐色のアモルファス状の固体として
106mg(収率95%)得られた。1H NMR(C
DCl3 ,δ):4.46(s,1H),2.42
(s,3H),2.32(s,6H),2.30(s,
6H).
【0028】実施例2 C60Me5Br の製造 C60Me5 H(499.0 mg, 0.626 mmol)のベンゼン( 2
2.0 ml)懸濁液に、カリウムtert-ブトキシド(0.50 M)
のTHF溶液(1.5 ml)を加えた。80分撹拌した後、N-ブ
ロムコハク酸イミド (167.0 mg, 0.939 mmol)を加え、
混合物を10分間撹拌した。混合物をトルエンで希釈
後、水で洗浄した。有機層を減圧下濃縮し、HPLCで精製
した。 [Bucky Prep. (Nacalai Tesque Co., 20 mm x 2
50 mm), トルエン/i-フ゜ロヒ゜ルアルコール = 7/3, 流速 = 18 ml/mi
n, 滞留時間 = 約7.5 min])]。C60Me5Br (203.4 m
g, 収率37 % )を、空気下で安定な赤橙色の固体として
得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0029】1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.31 (s, 6
H), 2.43 (s, 6H), 2.67 (s, 3H);13 C NMR (100 MHz, CDCl3) 24.68 (2C, Me), 26.37 (2
C, Me), 37.73 (1C, Me), 50.60 (2C), 52.73 (2C), 5
4.10 (1C), 69.54 (1C), 141.91 (2C), 142.76 (2C), 1
43.05 (2C), 143.52 (2C), 143.82 (2C), 143.87 (2C),
144.19 (4C), 144.35 (2C), 144.42 (2C), 145.16 (4
C), 146.71 (2C), 146.76 (2C), 147.64 (2C), 147.87
(2C), 147.95 (1C), 148.06 (2C), 148.28 (6C), 148.5
1 (2C), 148.58 (2C), 152.00 (2C), 153.34 (2C), 15
5.18 (2C), 157.15 (2C) FAB-MS (+) m/z = 874 (M+); APCI-MS (+) m/z = 874 (M+).
【0030】実施例3 Fe(η5−C60Me5)(CO)2
Br の製造 C60Me5Br (184.74 mg、0.211 mmol) のオルトジク
ロロベンゼン (3ml)溶液中にFe(CO)5 (0.27 ml 、
2.05 mmol)を加え、反応液を25 ℃で24時間撹拌させる
と暗橙色の沈殿が生成した。この懸濁液に脱気したヘキ
サン(15 ml)を加え、沈殿物を濾別した。得られた粉末
をヘキサンで洗浄後、真空乾燥して Fe(η5−C60
5)(CO)2Br(176.5 mg, 収率85 % ) を得た。生成
物の物性は以下の通りである。
【0031】1H NMR (400 MHz, C6D6) d 2.23 (s, 15
H);13 C NMR (100 MHz, C6D6) d 28.70 (5C, C(Me)), 51.11
(5C, C(a)), 105.89(5C, C(Cp)), 143.62 (10C), 144.
10 (10C), 147.38 (5C), 148.59 (10C), 148.86 (5C),
152.33 (10C), 214.06 (2C, C(CO)): IR (KBr, n/cm-1) 2037, 1996.
【0032】実施例4 Fe(η5−Cp)(η5−C60
5) の製造 (Cp = C5H5) i) Fe(η5−C60Me5)(CO)2Br を出発原料とし
た方法 Fe(η5−C60Me5)(CO)2Br (171.5 mg, 0.174 m
mol) と TlCp (52.6 mg, 0.195 mmol) とのオルト
ジクロロベンゼン(5.7ml)懸濁液を50℃で28時
間、更に120℃で6時間加熱させた後、反応液に飽和
NH4Cl水溶液(2.0ml)を加えて反応を停止した。トルエ
ン(25ml) で反応液を希釈した後、無水 MgSO4 を加えて
希釈液の乾燥を行った( 30 分間)。希釈液を濾過後、
濾液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製は、HPLC
を用いて行った[Bucky Prep. (Nacalai Tesque Co., 2
0 mm x 250 mm), トルエン/i-フ゜ロヒ゜ルアルコール = 7/3, 流速 = 1
2ml/min、滞留時間 = 約9.5 min]。 分取した液から橙
色の空気下で安定な微結晶としてFe(η5−Cp)(η5
−C60Me5)が得られた(37.7 mg, 収率24 % )。生成物
の物性は以下の通りである。
【0033】1H NMR (400 MHz, C6D6) d 2.12 (s, 15
H), 4.42 (s, 5H);1 H NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.46 (s, 15H), 4.91 (s,
5H);13 C NMR (100 MHz, CDCl3) d 29.33 (5C, Me), 50.39
(5C, C(a)), 77.54 (5C, C(Cp)), 91.86 (5C, C(fuller
eneCp)), 143.04 (10C), 144.11 (10C), 146.87 (5C),
147.87 (10C), 148.09 (5C), 154.76 (10C); APCI-MS (+): m/z = 916 (M+).
【0034】ii) Tl(η5−C60Me5)を用いた方法 C60Me5 H(498.70 mg, 0.626 mmol) のオルトジクロ
ロベンゼン (5ml) 溶液にTlOEt (50.0 mL、0.706 mmo
l)を加え、反応液を 25 ℃で 50 分間撹拌させた。反応
液から減圧下で溶媒を留去するとTl(η5−C60Me5)
が暗褐色粉末として得られた。 得られたTl(η5−C
60Me5) と FeCp(CO)2Br (177.2 mg, 0.690
mmol) のオルトジクロロベンゼン(5ml)の懸濁液を1
20℃で24時間加熱させた後、反応液に飽和NH4Cl水
溶液(2.0 ml)を加えて反応を停止した。トルエン(20m
l) で反応液を希釈した後、無水 MgSO4 を加えて希釈液
の乾燥を行った( 30 分間)。濾過後、濾液から溶媒を
減圧下で留去した。錯体の精製は、HPLC を用いて行っ
た[Bucky Prep. (Nacalai Tesque Co., 20 mm x 250m
m), トルエン/i-フ゜ロヒ゜ルアルコール = 7/3, 流速 = 12 ml/min, 滞
留時間 = 約9.5 min]。分取した液から橙色の空気下で
安定な微結晶としてFe(η5−Cp)(η5−C 60Me5)
が得られた(56.1 mg, 収率10 % )。生成物の物性は以下
の通りである。
【0035】1H NMR (400 MHz, C6D6) d 2.12 (s, 15
H), 4.42 (s, 5H);1 H NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.46 (s, 15H), 4.91 (s,
5H);13 C NMR (100 MHz, CDCl3) d 29.33 (5C, Me), 50.39
(5C, C(a)), 77.54 (5C, C(Cp)), 91.86 (5C, C(fuller
eneCp)), 143.04 (10C), 144.11 (10C), 146.87 (5C),
147.87 (10C), 148.09 (5C), 154.76 (10C); APCI-MS (+): m/z = 916 (M+). Fe(η5−Cp)(η5−C60Me5)のX線結晶構造図を
図1に示す。Fe(η5−Cp)(η5−C60Me5)の結晶
化は、CS2/EtOH混合溶媒で行った。得られた赤色結晶
をDIP2030(Mac Science,Japan)で解析した。結晶デー
タ及び解析データを表1に示した。また、結晶中の原子
座標及び等方性温度因子を表2に示した。作図及び計算
はmaXus(Mac Science,Japan)により行った。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【発明の効果】本発明の遷移金属錯体は、フラーレン骨
格の炭素クラスターがη5型で結合し、且つ共役系骨格
を有する有機配位子も結合しているので、電気伝導性等
に優れ、またフラーレン骨格の電気化学的、光化学的特
性を有する機能性分子として触媒や機能材料への用途が
期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の炭素クラスターがη5型で
Feに結合し、且つシクロペンタジエニル基を配位した
金属錯体のX線結晶構造図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともフラーレンから誘導される炭素
    クラスターアニオン及び共役系骨格を有する有機配位子
    を含有する周期律表第3〜10族に属する遷移金属錯
    体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の炭素クラスターアニオン
    が下記の式(I)で表される骨格を有するフラーレンC
    60から誘導される炭素クラスターアニオンであることを
    特徴とする請求項1記載の遷移金属錯体。 【化1】 (式(I)中、Rは、互いに独立して同一であっても異
    なっていてもよく、水素原子或いは有機基を表す。)
  3. 【請求項3】フラーレンから誘導される炭素クラスター
    アニオンが下記式(II)で表されるη5様式で金属に結
    合していることを特徴とする請求項1又は2のいずれか
    に記載の遷移金属錯体。 【化2】 (式(II)中、Rは、互いに独立して同一であっても異
    なっていてもよく、水素原子或いは有機基を表し、ML
    mnは、上記式(I)で表される炭素クラスターアニオ
    ンを含めた共役系骨格を有する有機配位子を含む金属フ
    ラグメントを表す。Mは周期律表第3〜10族に属する
    遷移金属から選ばれる金属原子を表し、Lは共役系骨格
    を有する有機配位子を表し、Xは金属に結合した該有機
    配位子以外の配位子或いは対イオンを表す。ここで、m
    ≧1、n≧0である。)
  4. 【請求項4】上記式(I)又は(II)において、Rで示さ
    れる有機基が置換基を有していても良いアリール基、ア
    ルキル基又はアルケニル基であることを特徴とする請求
    項2又は3のいずれかに記載の遷移金属錯体。
  5. 【請求項5】上記式(I)又は(II)において、Rで示さ
    れる置換基を有していても良いアリール基が置換基を有
    していても良いフェニル基又はナフチル基であり、置換
    基を有していても良いアルケニル基が置換基を有してい
    ても良い1−アルケニル基であることを特徴とする請求
    項2〜4のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
  6. 【請求項6】金属原子が、Sc、Ti、V、Cr、M
    n、Fe、Co、Zr、Mo、Ru、Rh、Pd、H
    f、Ta、W、Re、Pt及びSmからなる群から選ば
    れることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記
    載の遷移金属錯体。
  7. 【請求項7】共役系骨格を有する有機配位子が、上記式
    (I)で表される炭素クラスターアニオンを含めた共役
    系環状骨格を有する有機配位子であることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
  8. 【請求項8】共役系環状骨格を有する有機配位子が金属
    に環状骨格の面で結合していることを特徴とする請求項
    7に記載の遷移金属錯体。
  9. 【請求項9】共役系環状骨格を有する有機配位子がシク
    ロペンタジエニル環構造単位を有する配位子であること
    を特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の遷移金
    属錯体。
  10. 【請求項10】上記式(II)で表されるフラーレンから
    誘導される炭素クラスターアニオンがη5様式で金属に
    結合している遷移金属錯体の製造方法であって、下記工
    程(a)〜(d)を含むことを特徴とする方法。 工程; (a)フラーレンC60と、グリニャール試薬(RMg
    X)又は有機リチウム試薬(RLi)[但し、Rは上記
    と同義である]から調製される有機銅試薬との反応を経
    由して炭素クラスター誘導体を形成させる工程 (b)工程(a)で得られる炭素クラスター誘導体に金
    属アルコキシド又は金属アミドを反応させ、次いで臭化
    剤を反応させフラーレン誘導体の臭化物[C605−B
    r]を合成する工程 (c)工程(b)で得られた臭化フラーレン誘導体の低
    原子価遷移金属錯体への酸化的付加反応により炭素クラ
    スターアニオンがη5様式で金属に結合している低原子
    価臭化遷移金属錯体を合成する工程 (d)工程(c)で得た遷移金属錯体に共役系骨格を有
    する有機配位子を有する金属錯体(塩)を反応させる工
    程。
  11. 【請求項11】上記式(II)で表されるフラーレンから
    誘導される炭素クラスターアニオンがη5様式で金属に
    結合している遷移金属錯体の製造方法であって、下記工
    程〜を含むことを特徴とする方法。 工程: フラーレンC60と、グリニャール試薬(RMgX)
    又は有機リチウム試薬(RLi)[但し、Rは上記と同
    義である]から調製される有機銅試薬との反応を経由し
    て炭素クラスター誘導体を形成させる工程 工程で得られる炭素クラスター誘導体と金属アル
    コキシド又は金属アミドを反応させ上記式(I)で表さ
    れる炭素クラスターアニオンがη5様式で結合した金属
    錯体(塩)を合成する工程 工程で得られる炭素クラスターアニオンの金属錯
    体(塩)と共役系骨格を有する有機配位子を有する臭化
    遷移金属錯体とを反応させる工程。
  12. 【請求項12】共役系骨格を有する有機配位子がシクロ
    ペンタジエニル基であることを特徴とする請求項10又
    は11に記載の製造方法。
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