JP2002234929A - 熱可塑性ポリウレタン - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン

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JP2002234929A JP2001032349A JP2001032349A JP2002234929A JP 2002234929 A JP2002234929 A JP 2002234929A JP 2001032349 A JP2001032349 A JP 2001032349A JP 2001032349 A JP2001032349 A JP 2001032349A JP 2002234929 A JP2002234929 A JP 2002234929A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、低温特性に優れていると共に、柔
軟性や伸縮性(伸長性、変形回復性)も良好な熱可塑性
ポリウレタンを提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明の課題は、液状ポリエーテルカー
ボネートジオール、ジイソシアネート、及び鎖延長剤を
反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンであって、液
状ポリエーテルカーボネートジオールが、特定のポリエ
ーテルジオールとカーボネート化合物を反応させて得ら
れる液状ポリエーテルカーボネートジオールであること
を特徴とする熱可塑性ポリウレタンにより達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエーテルカー
ボネートジオール、ジイソシアネート、及び鎖延長剤を
反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンに関する。熱
可塑性ポリウレタンは、熱可塑性エラストマー、弾性繊
維、人工皮革などとして使用することができる。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、ポリオール、
ジイソシアネート、及び鎖延長剤を反応させて得られる
もので、いわゆる硬質セグメント部分と軟質セグメント
部分を分子内に有するブロックポリマー構造の線状ポリ
ウレタンである。
【0003】前記ポリオールとしては、従来、ポリエー
テルジオールやポリエステルジオールが主体であった
が、最近は、耐熱性、耐加水分解性、耐候性などに優れ
た熱可塑性ポリウレタンが得られることから、ポリカー
ボネートジオールが注目されてきている。しかし、反
面、ポリカーボネート系の熱可塑性ポリウレタンは剛性
が高く、従来の樹脂(特にポリエーテル系)に比べて柔
軟性に欠け、また、伸びが小さいことが指摘されてい
た。また、ガラス転移温度が高く、低温特性に劣ること
も問題であった。このため、ポリオールとして、エーテ
ル基を分子内に挿入したポリカーボネートジオール(即
ち、ポリエーテルカーボネートジオール)が問題解決に
当たって提案されている。
【0004】ポリエーテルカーボネートジオールのジオ
ール成分としては、例えば、ポリカーボネート連鎖を主
体とするジオール(特に1,6−ヘキサンジオールポリ
カーボネートグリコール)とエチレンオキシド構造単位
を含む混合ジオールであるか、或いは同一分子中にポリ
カーボネート連鎖とエチレンオキシド構造単位を主成分
として有するブロック共重合体であるかいずれかの高分
子ジオール(特開昭59−66577号公報)や、
【0005】1,6−ヘキサンジオールをエーテル化し
て得られるポリエーテルジオール(特開昭63−305
127号公報)、ポリエーテルポリオール(ジエチレン
グリコール、トリエチレングルコール、テトラエチレン
グリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)と多
価アルコール(エチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール等)の混合物(特開平2−255822号公
報)などが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの方法
によっても、低温特性、柔軟性、及び伸縮性(伸長性、
変形回復性)に優れた熱可塑性ポリウレタンを得ること
は困難である。本発明は、前記のような従来技術が有す
る問題を解決できる、即ち、低温特性に優れていると共
に、柔軟性や伸縮性(伸長性、変形回復性)も良好な熱
可塑性ポリウレタンを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、液状ポ
リエーテルカーボネートジオール、ジイソシアネート、
及び鎖延長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタ
ンであって、液状ポリエーテルカーボネートジオール
が、構造単位(a)と構造単位(b)及び/又は(c)
とを含んでなるポリエーテルジオール(但し、構造単位
(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モ
ル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞ
れ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に
満たす数値である。)と、カーボネート化合物を反応さ
せて得られる液状ポリエーテルカーボネートジオールで
あることを特徴とする熱可塑性ポリウレタンにより達成
される。
【0008】(a) −(CH26O− (b) −(CH22O− (c) −CH2CH(CH3)O−
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用される液状ポリカー
ボネートジオールは、前記のように、構造単位(a)と
構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエ
ーテルジオール(但し、n、mは、それぞれ、構造単位
(a)1モルに対する、構造単位(b)、(c)の平均
モル数を表し、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦
5を同時に満たす数値である。)と、カーボネート化合
物を反応させて得られるものである。なお、「液状」と
は常温で流動性を有する状態をいう。
【0010】前記ポリエーテルジオールとしては、例え
ば、構造単位(a)と構造単位(b)又は(c)とを含
んでなるものとして、一般式(I)〜(VII)で表され
るものなどが挙げられる。また、構造単位(a)と構造
単位(b)及び(c)とを含んでなるものとして、これ
ら一般式において構造単位(b)又は(c)の部分に、
構造単位(b)及び(c)を含むものなどが挙げられ
る。
【0011】 HO−(b)n−(a)−(c)m−OH (I) HO−(b)n1−(a)−(b)n2−OH (II) HO−(c)m1−(a)−(c)m2−OH (III) HO−(a)−(b)n−(c)m−OH (IV) HO−(a)−(c)m−(b)n−OH (V) HO−(a)−(b)n−OH (VI) HO−(a)−(c)m−OH (VII) (式中、a、b、c、n、mは前記と同様で、n1、n
2、m1、m2は、n=n1+n2、m=m1+m2を
満たす数値である。)
【0012】このようなポリエーテルジオールは公知の
方法(例えば、1,6−ヘキサンジールにエチレンオキ
シド及び/又はプロピレンオキシドを付加反応させる方
法)により製造できるが、市販品を使用することもでき
る。この製造方法としては、例えば、特開平10−36
499号公報や特開平10−204171号公報に記載
の方法が挙げられる。即ち、1,6−ヘキサンジオール
と塩基性アルカリ金属化合物触媒(アルカリ金属水酸化
物等)を入れた反応器に、エチレンオキシド及び/又は
プロピレンオキシドを連続的に送入しながら、80〜1
50℃、0.5〜5kg/cm2(49〜490kP
a)で、所定の(n、mに対応する)分子量が得られる
まで反応させ、次いで、中和、脱水、乾燥、濾過などの
後処理を行って製造することができる。この後処理は、
場合により、水洗、乾燥のみでもよく、触媒除去のため
に吸着や蒸留を組合わせて行っても差し支えない。
【0013】また、前記ポリエーテルジオールは、1,
6−ヘキサンジオールの一部(50モル%以下)が単独
又は複数の他のジオールで置換されていてもよい。この
ようなジオールとしては、1,4−ブタンジール、1,
5−ペンタンジオール、1.7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオールが挙げ
られる。
【0014】前記ポリエーテルジオールの数平均分子量
は150〜450、更には170〜410であることが
好ましい。また、前記ポリエーテルジオールの中では、
構造単位(a)と構造単位(b)とを含んでなる(構造
単位(c)を含有しない;m=0、1<n≦5である)
ポリエーテルジオール(例えば、前記一般式(II)又は
(VI)で表されるもの)が更に好ましい。即ち、前記ポ
リエーテルジオールとしては、構造単位(a)と構造単
位(b)とを含んでなる(構造単位(c)を含有しな
い;m=0、1<n≦5である)ポリエーテルジオール
(例えば、前記一般式(II)又は(VI)で表されるも
の)で、数平均分子量が150〜450、更には170
〜410であるものが特に好ましい。
【0015】前記カーボネート化合物としては、ジアル
キルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレ
ンカーボネート、アルキルアリールカーボネートなどの
脂肪族又は芳香族のカーボネート(炭酸エステル)が挙
げられる。具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソ
ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチル
フェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネートなどが挙げられる。
【0016】ポリエーテルジオールとカーボネート化合
物の反応は、ポリカーボネートジオールを製造する公知
の方法に従って行うことができる。即ち、前記のポリエ
ーテルジオールとカーボネート化合物を、エステル交換
触媒の存在下、副生する脂肪族又は芳香族アルコールを
連続的に系外に抜き出しながらエステル交換反応させる
ことにより、本発明で使用される液状ポリエーテルカー
ボネートジオールを製造することができる。
【0017】このとき、ポリエーテルジオールの使用量
は、目的物を生成させることができるなら特に制限され
ないが、得られる液状ポリエーテルカーボネートジオー
ル分子主鎖の両末端が実質的に水酸基となるように、カ
ーボネート化合物に対して0.8〜3.0倍モル、更に
は0.85〜2.0倍モル、特に0.9〜1.5倍モル
であることが好ましい。また、エステル交換触媒の使用
量は、ポリエーテルジオールに対して重量基準で1〜5
000ppm、更には10〜1000ppmであること
が好ましい。なお、カーボネート化合物は単独又は複数
で使用できる。
【0018】前記エステル交換反応の条件は、目的物を
生成させることができるなら特に制限されないが、目的
物を効率よく生成させることができるように、常圧下に
110〜200℃で1〜24時間程度、次いで減圧下に
110〜240℃(特に140〜240℃)で0.1〜
20時間程度反応させ、更に同温度で徐々に真空度を高
めながら最終的に20mmHg以下となる減圧下で0.
1〜20時間程度反応させることが好ましい。また、副
生アルコールを抜き出すためには、反応器に蒸留塔を設
けることが好ましく、更に不活性ガス(窒素、ヘリウ
ム、アルゴン等)流通下で反応させてもよい。
【0019】なお、エステル交換触媒は前記エステル交
換反応を触媒する化合物であれば特に制限されない。例
えば、四塩化チタン、テトラアルコキシチタン(テトラ
−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン
等)などのチタン化合物や、金属スズ、水酸化スズ、塩
化スズ、ジブチルチンラウレート、ジブチルチンオキシ
ド、ブチルチントリス(エチルヘキサノエート)などの
スズ化合物が好ましく挙げられる。これらの中では、テ
トラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、
テトライソプロポキシチタン等)、ジブチルチンラウレ
ート、ジブチルチンオキシド、ブチルチントリス(エチ
ルヘキサノエート)が好ましいが、中でもテトラアルコ
キシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソ
プロポキシチタン等)が特に好ましい。
【0020】本発明で使用される液状ポリエーテルカー
ボネートジオールは、数平均分子量が500〜500
0、更には500〜3000程度であるものが好まし
い。このため、反応生成物の水酸基価(分子量)が目標
範囲から外れる場合、即ち、分子量が小さい場合は減圧
下で更にポリエーテルジオールを留出させながら反応さ
せ、分子量が大きい場合はポリエーテルジオールを添加
して更にエステル交換反応させるなど、公知の方法によ
って分子量を調整することが好ましい。また、必要であ
れば、分子量調整後、液状ポリエーテルカーボネートジ
オール中に残存するエステル交換触媒をリン系化合物
(リン酸、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等)で不活性
化しておくことが好ましい。
【0021】以上のようにして、本発明で使用される液
状ポリエーテルカーボネートジオールを得ることができ
る。この液状ポリエーテルカーボネートジオールの数平
均分子量は500〜5000、更には500〜3000
であることが好ましい。また、本発明で使用される液状
ポリエーテルカーボネートジオールの中では、構造単位
(a)と構造単位(b)とを含んでなる(構造単位
(c)を含有しない;m=0、1<n≦5である)ポリ
エーテルジオールと、カーボネート化合物を反応させて
得られる液状ポリエーテルカーボネートジオールが更に
好ましい。即ち、本発明では、構造単位(a)と構造単
位(b)とを含んでなる(構造単位(c)を含有しな
い;m=0、1<n≦5である)ポリエーテルジオール
と、カーボネート化合物を反応させて得られる液状ポリ
エーテルカーボネートジオールで、数平均分子量が50
0〜5000、更には500〜3000であるものが特
に好ましい。なお、ポリエーテルジオールには、前記の
ように好適な数平均分子量のものがそれぞれ使用され
る。
【0022】本発明の熱可塑性ポリウレタンは、前記液
状ポリエーテルカーボネートジオール、ジイソシアネー
ト、及び鎖延長剤を反応させて(ポリウレタン化反応に
よって)得られるものである。
【0023】本発明で使用されるジイソシアネートとし
ては、脂肪族(脂環族を含む)又は芳香族の各種ジイソ
シアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとし
ては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネー
ト、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリ
メチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−
ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレ
ンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジ
エチルエーテルジイソシアネート、水添化キシリレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート−ビ
ウレット体等が挙げられる。
【0024】また、芳香族ジイソシアネートとしては、
例えば、p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレ
ンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)、3,3’−メチレンジトリレ
ン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジソシアネ
ートトリメチロールプロパンアダクト、トリフェニルメ
タントリイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテ
ルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシ
アネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、トリイソシアネートフェニル
チオホスフェート等が挙げられる。
【0025】ジイソシアネートの中では、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが
好ましいが、中でも4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネートが最も好ましい。ジイソシソシアネートは単
独で使用しても複数で使用してもよい。
【0026】本発明で使用される鎖延長剤としては、イ
ソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも2個有
する低分子化合物が挙げられる。このような化合物に
は、ポリオール、ポリアミン等があり、具体的には、エ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1.6−ヘキサンジオー
ル、1.8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−
ジメチロールヘプタン、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール1,4−ジヒ
ドロキシエチルシクロヘキサン等の脂肪族ジオール(脂
環族を含む)や、
【0027】エチレンジアミン、1,2−プロピレンジ
アミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロン
ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、
ピペラジン、メタ(又はパラ)キシリレンジアミン等の
脂肪族又は芳香族ジアミンが挙げられる。
【0028】更に、2−エタノールアミン、N−メチル
ジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミ
ン等の脂肪族又は芳香族アミノアルコールや、ヒドロキ
シエチルスルファミド、ヒドロキシエチルアミノエチル
スルファミド等のヒドロキシアルキルスルファミドや、
尿素、水なども鎖延長剤として挙げられる。これら鎖延
長剤の中では、1,4−ブタンジオール、2−エタノー
ルアミン、1,2−プロピレンジアミンが特に好まし
い。鎖延長剤は単独でも複数でも使用できる。
【0029】また、前記液状ポリエーテルカーボネート
ジオールは、その一部が、脂肪族ジオール(脂環族を含
む)とカーボネート化合物から製造される脂肪族ポリカ
ーボネートジオールで置換されていてもよい。脂肪族ポ
リカーボネートジオールは単独でも複数でも使用でき、
その使用量は、液状ポリエーテルカーボネートジオール
と脂肪族ポリカーボネートジオールの合計量の50重量
%以下である。
【0030】前記脂肪族ジオール(脂環族を含む)とし
ては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1.6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジ
オール、1.8−オクタンジオール、1,9−ノナンジ
オール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,
3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,
8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールと反応さ
せるカーボネート化合物には、前記と同様のものが挙げ
られる。
【0031】ポリウレタン化反応は無溶剤下で行うこと
ができ、また、イソシアネート基に対して不活性な溶剤
の存在下でも行うことができる。無溶剤下の反応の場
合、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールと鎖延
長剤を混合し、これにジイソシアネートを混合して全量
を一度に反応させるか、或いは、前記液状ポリエーテル
カーボネートジオールとジイソシアナートを反応させて
イソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、これ
に鎖延長剤を混合・反応させるか、或いは、前記液状ポ
リエーテルカーボネートジオールと鎖延長剤を混合し、
これにジイソシアネートの一部を混合・反応させて水酸
基を有するプレポリマーを得た後、更に残余のジイソシ
アネートを混合・反応させることによって、ポリウレタ
ン化反応を行うことができる。無溶剤下の場合の好まし
い反応温度は、80〜150℃である。プレポリマーを
経由する場合、低分子量のプレポリマーが得られるの
で、加熱して高分子量のものとする。
【0032】溶剤存在下の反応の場合、前記液状ポリエ
ーテルカーボネートジオールを溶剤に溶解し、更に鎖延
長剤を混合した後、これにジイソシアネートを混合して
全量を一度に反応させるか、或いは、前記液状ポリエー
テルカーボネートジオールを溶剤に溶解し、これにジイ
ソシアナートを混合・反応させてイソシアネート基を有
するプレポリマーを得た後、これに鎖延長剤を混合・反
応させるか、或いは、前記液状ポリエーテルカーボネー
トジオールを溶剤に溶解し、これに鎖延長剤とジイソシ
アナートの一部を混合・反応させて水酸基を有するプレ
ポリマーを得た後、更に残余のジイソシアネートを混合
・反応させることによって、ポリウレタン化反応を行う
ことができる。溶剤存在下の場合の好ましい反応温度
は、20〜100℃である。溶剤としては、メチルエチ
ルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジオキサン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが代表的な
ものである。
【0033】ポリウレタン化反応において、液状ポリエ
ーテルカーボネートジオールと鎖延長剤の使用割合は、
一般的には、前者1モルに対して後者が0.1〜10モ
ルの範囲であることが好ましい。これらの使用量は目的
とする熱可塑性ポリウレタンの物性により適宜決定され
る。また、ジイソシアネートの使用量は、液状ポリエー
テルカーボネートジオールと鎖延長剤の合計量とほぼ等
モルであることが好ましい。具体的には、液状ポリエー
テルカーボネートジオール及び鎖延長剤に含まれる活性
水素の合計量:イソシアネート基が、当量比で1:0.
8〜1:1.2、更には1:0.95〜1:1.05に
なるようにジイソシアネートを使用することが好まし
い。なお、ポリウレタン化反応においては、反応促進の
ため、公知のアミン系又はスズ系の触媒を使用してもよ
い。
【0034】このようにして得られる本発明の熱可塑性
ポリウレタンは、分子末端が水酸基又はイソシアネート
基のどちらでもよい。そして、本発明の熱可塑性ポリウ
レタンは、イソシアネート基と反応する水素原子を少な
くとも2個有する化合物、或いはイソシアネート基を少
なくとも2個有する化合物と更に反応させることによっ
て、高分子量化又は網状化することができる。また、ウ
レタン結合及び/又はウレア結合を有する化合物、或い
はイソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも3
個有する化合物と反応させることによって、架橋構造を
導入することもできる。更に、本発明の熱可塑性ポリウ
レタンには、本発明の効果を損なわない範囲で公知の各
種添加剤を添加・混合しても差し支えない。
【0035】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、ポリエーテルジオール及び液
状ポリエーテルカーボネートジオールの物性は、下記の
方法によって測定した。
【0036】1.水酸基価(OH価(mgKOH/
g)):JIS−K1557に準拠して分析し、次式に
より算出した。但し、式中、Sは試料採取量(g)、A
は試料の滴定に要した0.5N水酸化ナトリウム溶液の
量(ml)、Bは空試験に要した0.5N水酸化ナトリ
ウム溶液の量(ml)、fは0.5N水酸化ナトリウム
溶液のファクターを表す。 OH価(mgKOH/g)=28.05(B−A)f/
【0037】2.数平均分子量(Mn):次式により算
出した。 Mn=112200/OH価
【0038】3.平均付加モル数(n、m):次式によ
り、エチレンオキシドの平均付加モル数n及びプロピレ
ンオキシドの平均付加モル数mを算出した。但し、式
中、Mnは数平均分子量を表す。 Mn=44n+58m+118
【0039】4.酸価(mgKOH/g):次式により
算出した。但し、式中、S’は試料採取量(g)、Cは
試料の滴定に要した0.1N水酸化ナトリウム溶液の量
(ml)、Dは空試験に要した0.1N水酸化ナトリウ
ム溶液の量(ml)、f’は0.1N水酸化ナトリウム
溶液のファクターを表す。 酸価(mgKOH/g)=5.61(C−D)f’/
S’
【0040】5.ガラス転移温度(Tg(℃)):示差
走査熱量計(島津製作所製;DSC−50)を用いて、
窒素ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で測定し
た。 6.粘度(Pa・sec):E型回転粘度計(東京計器
製)を用いて75℃で測定した。
【0041】また、熱可塑性ポリウレタンの物性は下記
の方法によって測定した。 1.引張特性:JIS−K7311に従い、引張試験機
(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用い
て、23℃、50%RHにおいて測定し、初期弾性率、
引張応力(100%、200%、300%伸びでの
値)、引張強さ、及び破断伸びを求めた。
【0042】2.ガラス転移温度(Tg):動的粘弾性
測定装置(レオメトリクス製;RSAII)を用い、周波
数1Hz、歪み量0.05%、−100〜200℃の温
度範囲で引張モードにより動的弾性を測定した。損失弾
性率のピーク温度を求め、Tgとした。
【0043】3.永久伸び:JIS−K7311に従
い、引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT
−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて、試験
片を破断伸びの1/2に伸長させて10分間保持した。
次に、跳ね返させることなく急激に収縮させた後(リタ
ーン速度500mm/分)、試験片をチャックから取り
外して10分間放置し、標線間の長さL(但し、伸長前
の長さをL0とする)を測定して次式から算出した。こ
こでは、L0を20mmとした。 永久伸び(%)=(L−L0)×100/L0
【0044】4.ヒステリシス損失率:引張試験機(オ
リエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、
23℃、50%RHにおいて、5mm×100mmの短
冊型試験片をチャック間距離40mmとして引張速度1
0mm/分で150%まで伸長させ、直ちに同速度で収
縮させて測定し、次式から算出した。 ヒステリシス損失率(%)=(伸長〜収縮曲線によって
囲まれた部分の面積)×100/(最初の応力〜歪み曲
線によって囲まれた部分の面積)
【0045】実施例1 〔ポリエーテルジオールの製造〕ポリエーテルジオール
(ライオン(株)製;1,6−ヘキサンジオール1モル
に対して平均2.03モルのエチレンオキシドを付加さ
せたもの)を3.5〜2.0mmHgの減圧下で蒸留し
て、148〜195℃の留出分をポリエーテルジオール
(I)として得た。ポリエーテルジオール(I)の物性
を表1に示す。
【0046】〔液状ポリエーテルカーボネートジオール
の製造〕攪拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッ
ド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積
1L(リットル)のガラス製反応器に、前記ポリエーテ
ルジオール(I)2.30モル、ジメチルカーボネート
(宇部興産(株)製)2.06モル、及びテトラ−n−
ブトキシチタン(触媒)0.507ミリモルを仕込み、
還流下、170℃で2時間保持した。次いで、メタノー
ルとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、
6.5時間かけて190℃まで徐々に昇温し、その後、
温度を190℃に保ったまま、100mmHgで3時間
かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留
出させた。引き続き、5.2〜0.7mmHgで9時間
かけてポリエーテルジオールを留出させながら反応させ
て、水酸基価49.8mgKOH/gの液状ポリエーテ
ルカーボネートジオールを得た。
【0047】このポリエーテルカーボネートジオールに
ポリエーテルジオール(I)0.024モルを加え、2
00mmHg、185℃で2時間攪拌して分子量調整し
た。得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール
は、更に、前記触媒と等モルのリン酸ジブチルを加え、
100mmHg、130℃で2時間攪拌して触媒を不活
性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボ
ネートジオール(A)の物性を表2に示す。
【0048】〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕攪拌機、
温度計、冷却管を装着した内容積1Lのガラス製反応器
中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)6
0g(0.0295モル)と1,4−ブタンジオール
5.33g(0.0592モル)をジメチルホルムアミ
ド204gに60℃で完全に溶解させた。
【0049】次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し
て、カールフィッシャー水分測定装置で水分含有量を測
定し、液状ポリエーテルカーボネートジオール、1,4
−ブタンジオール、及び水分のモル数の合計量に等しく
なるように、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート24.37g(0.0974モル;NCO/OH
(モル比)=1.01)を該溶液に加えた。続いて、温
度を80℃に設定して、加熱・反応を開始した。反応の
進行と共に溶液粘度が上昇するので、E型粘度計を用い
て1時間毎に粘度を測定し、粘度上昇がほぼ見られなく
なった9時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は4
0℃において43.0Pa・secであった。
【0050】得られた溶液(熱可塑性ポリウレタン溶
液)を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス版にキ
ャストし、70℃で1時間、次いで120℃で2時間熱
処理して約200μmのフィルムを得た。このフィルム
の物性を表3に示す。
【0051】実施例2 〔ポリエーテルジオールの製造〕ポリエーテルジオール
(ライオン(株)製;1,6−ヘキサンジオール1モル
に対して平均2.07モルのプロピレンオキシドを付加
させたもの)を5.0〜0.5mmHgの減圧下で蒸留
して、170〜175℃の留出分をポリエーテルジオー
ル(IV)として得た。ポリエーテルジオール(IV)の物
性を表1に示す。
【0052】〔液状ポリエーテルカーボネートジオール
の製造〕実施例1と同様の反応器に、前記ポリエーテル
ジオール(IV)2.00モル、ジメチルカーボネート
(宇部興産(株)製)2.06モル、及びテトラ−n−
ブトキシチタン(触媒)0.259ミリモルを仕込み、
還流下、160℃で3時間保持した。次いで、メタノー
ルとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、1
3時間かけて190℃まで徐々に昇温し(途中10時間
の時点で触媒0.259ミリモルを追加し)、その後、
温度を190℃に保ったまま、100mmHgで3時間
かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留
出させた。引き続き、4.4〜3.7mmHgで11時
間かけてポリエーテルジオールを留出させながら反応さ
せて、水酸基価56.6mgKOH/gの液状ポリエー
テルカーボネートジオールを得た。
【0053】得られた液状ポリエーテルカーボネートジ
オールは、実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最
終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール
(B)の物性を表2に示す。
【0054】〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1
と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジ
オール(B)60g(0.0297モル)、1,4−ブ
タンジオール5.35g(0.0594モル)、テトラ
−n−ブチルチタネート0.017g(280ppm)
をジメチルホルムアミド204gに60℃で完全に溶解
させた。
【0055】次に、実施例1と同様にして、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート25.43g(0.
1016モル;NCO/OH(モル比)=1.06)を
該溶液に加えた。続いて、実施例1と同様に反応を行っ
て、粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応を
停止した。溶液の最終粘度は40℃において4.4Pa
・secであった。そして、実施例1と同様にして熱可
塑性ポリウレタンフィルムの物性を測定した。結果を表
3に示す。
【0056】比較例1 〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕実施
例1と同様の内容積2Lのガラス製反応器に、ジエチレ
ングリコール0.85モル、ジメチルカーボネート(宇
部興産(株)製)0.81モル、及びジエチレングリコ
ールに対して100ppm(重量基準)のテトラ−n−
ブトキシチタン(触媒)を仕込み、還流下、130℃で
3時間保持した。次いで、メタノールとジメチルカーボ
ネートの混合物を留去しながら、5時間かけて190℃
まで徐々に昇温し、その後、温度を190℃に保ったま
ま、20mmHgで2時間かけてメタノールとジメチル
カーボネートの混合物を留出させた。なお、20mmH
gまでは4時間かけて減圧した。
【0057】得られた液状ポリエーテルカーボネートジ
オールは、前記触媒と等モルのリン酸ジブチルを加え、
110℃で2時間攪拌して触媒を不活性化させた。最終
的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール
(C)の物性を表2に示す。
【0058】〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1
と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジ
オール(C)60g(0.0297モル)と1,4−ブ
タンジオール4.79g(0.0532モル)をジメチ
ルホルムアミド198gに60℃で完全に溶解させた。
【0059】次に、実施例1と同様にして、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート21.42g(0.
0857モル;NCO/OH(モル比)=1.015)
を該溶液に加えた。続いて、実施例1と同様に反応を行
って、粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応
を停止した。溶液の最終粘度は40℃において2.92
Pa・secであった。そして、実施例1と同様にして
熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測定した。結果
を表3に示す。
【0060】比較例2 〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕ジエ
チレングリコールをトリエチレングリコール0.85モ
ルに代えたほかは、比較例1と同様にして液状ポリエー
テルカーボネートジオールを得た。最終的に得られた液
状ポリエーテルカーボネートジオール(D)の物性を表
2に示す。
【0061】〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1
と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジ
オール(D)60g(0.0289モル)と1,4−ブ
タンジオール5.20g(0.0578モル)をジメチ
ルホルムアミド206gに60℃で完全に溶解させた。
【0062】次に、実施例1と同様にして、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート23.27g(0.
0931モル;NCO/OH(モル比)=1.015)
を該溶液に加えた。続いて、実施例1と同様に反応を行
って、粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応
を停止した。溶液の最終粘度は40℃において3.60
Pa・secであった。そして、実施例1と同様にして
熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測定した。結果
を表3に示す。
【0063】実施例3 〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1と同様の反応
器中で、液状ポリカエーテルカーボネートジオール
(A)50g(0.0246モル)と4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート12.3g(0.0491
モル)をジメチルホルムアミド147gに60℃で完全
に溶解させ、80℃で2時間反応させた。次に、この溶
液に2−エタノールアミン3g(0.0492モル)と
ジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1時間反応
させて両末端に水酸基を有するプレポリマーを得た。
【0064】次に、実施例1と同様に水分含有量を測定
し、プレポリマー及び水分のモル数の合計量に等しくな
るように、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト7.65g(0.0306モル;NCO/OH(モル
比)=0.98)を該溶液に加えた。室温で40分放置
した後、実施例1と同様に反応を行って、粘度上昇がほ
ぼ見られなくなった6時間後に反応を停止した。溶液の
最終粘度は40℃において65.7Pa・secであっ
た。そして、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタ
ンフィルムの物性を測定した。結果を表3に示す。
【0065】実施例4 〔ポリエーテルジオールの製造〕ポリエーテルジオール
(ライオン(株)製;1,6−ヘキサンジオール1モル
に対して平均1.04モルのエチレンオキシドを付加さ
せたもの)を4.0〜0.5mmHgの減圧下で蒸留し
て、150〜185℃の留出分をポリエーテルジオール
(II)として得た。ポリエーテルジオール(II)の物性
を表1に示す。
【0066】〔液状ポリエーテルカーボネートジオール
の製造〕実施例1と同様の反応器に、前記ポリエーテル
ジオール(II)2.30モル、ジメチルカーボネート
(宇部興産(株)製)2.51モル、及びテトラ−n−
ブトキシチタン(触媒)0.232ミリモルを仕込み、
還流下、160℃で2時間保持した。次いで、メタノー
ルとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、
6.5時間かけて190℃まで徐々に昇温し、その後、
温度を190℃に保ったまま、300mmHgで0.5
時間、更に100mmHgで3時間かけてメタノールと
ジメチルカーボネートの混合物を留出させた。引き続
き、1.9〜0.2mmHgで4.5時間かけてポリエ
ーテルジオールを留出させながら反応させて、水酸基価
47.2mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネー
トジオールを得た。
【0067】このポリエーテルカーボネートジオールに
ポリエーテルジオール(II)0.023モルを加えて、
実施例1と同様に分子量調整した。得られた液状ポリエ
ーテルカーボネートジオールは、更に、実施例1と同様
に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエ
ーテルカーボネートジオール(E)の物性を表2に示
す。
【0068】〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1
と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジ
オール(E)50g(0.0251モル)と4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート12.3g(0.0
491モル)をジメチルホルムアミド148gに60℃
で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。次に、
この溶液に2−エタノールアミン3.08g(0.05
03モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温
で1.45時間反応させて両末端に水酸基を有するプレ
ポリマーを得た。
【0069】次に、実施例3と同様にして、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート7.74g(0.0
310モル;NCO/OH(モル比)=0.98)を該
溶液に加えた。室温で20分放置した後、実施例1と同
様に反応を行って、粘度上昇がほぼ見られなくなった7
時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃にお
いて53.3Pa・secであった。そして、実施例1
と同様にして熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測
定した。結果を表3に示す。
【0070】実施例5 〔ポリエーテルジオールの製造〕ポリエーテルジオール
(ライオン(株)製;1,6−ヘキサンジオール1モル
に対して平均3.02モルのエチレンオキシドを付加さ
せたもの)を5.0〜0.2mmHgの減圧下で蒸留し
て、155〜196℃の留出分をポリエーテルジオール
(III)として得た。ポリエーテルジオール(III)の物
性を表1に示す。
【0071】〔液状ポリエーテルカーボネートジオール
の製造〕実施例1と同様の反応器に、前記ポリエーテル
ジオール(III)1.40モル、ジメチルカーボネート
(宇部興産(株)製)1.47モル、及びテトラ−n−
ブトキシチタン(触媒)0.182ミリモルを仕込み、
還流下、160℃で2時間保持した。次いで、メタノー
ルとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、
6.5時間かけて190℃まで徐々に昇温し、その後、
温度を190℃に保ったまま、300mmHgで0.5
時間、更に100mmHgで4時間かけてメタノールと
ジメチルカーボネートの混合物を留出させた。引き続
き、1.3〜0.2mmHgで4時間かけてポリエーテ
ルジオールを留出させながら反応させて、液状ポリエー
テルカーボネートジオールを得た。
【0072】得られた液状ポリエーテルカーボネートジ
オールは、実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最
終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール
(F)の物性を表2に示す。
【0073】〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1
と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジ
オール(F)50g(0.0254モル)と4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート12.7g(0.0
508モル)をジメチルホルムアミド148gに60℃
で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。次に、
この溶液に2−エタノールアミン3.10g(0.05
08モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温
で50分反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマ
ーを得た。
【0074】次に、実施例3と同様にして、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート7.82g(0.0
313モル;NCO/OH(モル比)=0.98)を該
溶液に加えた。室温で20分放置した後、実施例1と同
様に反応を行って、粘度上昇がほぼ見られなくなった6
時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃にお
いて54.3Pa・secであった。そして、実施例1
と同様にして熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測
定した。結果を表3に示す。
【0075】実施例6 〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1と同様の反応
器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(E)
50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート12.57g(0.0503モ
ル)をジメチルホルムアミド139gに60℃で完全に
溶解させ、80℃で2時間反応させた。次に、この溶液
に2−エタノールアミン1.53g(0.0251モ
ル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で2.
1時間反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマー
を得た。
【0076】このプレポリマー溶液を室温で20分放置
した後、実施例1と同様に反応を行って、粘度上昇がほ
ぼ見られなくなった10時間後に反応を停止した。溶液
の最終粘度は40℃において36.1Pa・secであ
った。そして、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレ
タンフィルムの物性を測定した。結果を表3に示す。
【0077】実施例7 〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1と同様の反応
器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(F)
50g(0.0254モル)と4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート12.7g(0.0508モル)
をジメチルホルムアミド147gに60℃で完全に溶解
させ、80℃で2時間反応させた。次に、この溶液に2
−エタノールアミン3.10g(0.0508モル)と
ジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.45時
間反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマーを得
た。
【0078】このプレポリマー溶液に4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート12.7g(0.0508
モル)を加え、室温で55分反応させて両末端にイソシ
アネート基を有するプレポリマーを得た。次に、この溶
液に2−エタノールアミン1.55g(0.0254モ
ル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で25
分反応させた。続いて、実施例1と同様に反応を行っ
て、粘度上昇がほぼ見られなくなった8時間後に反応を
停止した。溶液の最終粘度は40℃において48.0P
a・secであった。そして、実施例1と同様にして熱
可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測定した。結果を
表3に示す。
【0079】実施例8 〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕実施例1と同様の反応
器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)
50g(0.0250モル)と4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート12.49g(0.0500モ
ル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に
溶解させ、80℃で2時間反応させた。次に、この溶液
にn−ブチルアミン0.18g(0.0025モル)と
ジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間
反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.
76g(0.0238モル)とジメチルホルムアミド2
0gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイ
ソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
【0080】続いて、温度を室温に設定して、加熱・反
応を開始した。反応の進行と共に溶液粘度が上昇するの
で、E型粘度計を用いて1時間毎に粘度を測定し、粘度
上昇がほぼ見られなくなった4.5時間後に反応を停止
した。溶液の最終粘度は40℃において31.3Pa・
secであった。そして、実施例1と同様にして熱可塑
性ポリウレタンフィルムの物性を測定した。結果を表3
に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】以上の実施例及び比較例に見られるよう
に、本発明の熱可塑性ポリウレタンは、従来のものと同
等の柔軟性(弾性率)及び伸縮性(伸長性、変形回復
性)をする上、ガラス転移温度が低く低温特性に優
れている。
【0085】
【発明の効果】本発明により、従来技術が有する問題を
解決できる熱可塑性ポリウレタン、即ち、低温特性に優
れていると共に、柔軟性や伸縮性(伸長性、変形回復
性)を満足できる熱可塑性ポリウレタンを提供すること
ができる。本発明の熱可塑性ポリウレタンはこのような
優れた特性を有すると共に、耐熱性、耐加水分解性、耐
候性なども有していて、バランスのとれた特性を有する
ことから、熱可塑性エラストマー、弾性繊維、人工皮革
などとしての使用が可能になるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 孝芳 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内 Fターム(参考) 4J034 BA08 CA01 CA13 CA15 CA22 CB03 CC03 CC23 CC26 DF02 DG02 DG03 DG04 HC03 HC12 HC13 HC17 HC22 QA05 RA03 RA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状ポリエーテルカーボネートジオー
    ル、ジイソシアネート、及び鎖延長剤を反応させて得ら
    れる熱可塑性ポリウレタンであって、 液状ポリエーテルカーボネートジオールが、構造単位
    (a)と構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでな
    るポリエーテルジオール(但し、構造単位(b)の平均
    モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)
    は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n
    ≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値
    である。)と、カーボネート化合物を反応させて得られ
    る液状ポリエーテルカーボネートジオールであることを
    特徴とする熱可塑性ポリウレタン。 (a) −(CH26O− (b) −(CH22O− (c) −CH2CH(CH3)O−
  2. 【請求項2】 ポリエーテルジオールが、1,6−ヘキ
    サンジオールにエチレンオキシド及び/又はプロピレン
    オキシドを付加反応させて得られるポリエーテルジオー
    ルである、請求項1記載の熱可塑性ポリウレタン。
  3. 【請求項3】 ポリエーテルジオールの数平均分子量が
    150〜450である、請求項1又2記載の熱可塑性ポ
    リウレタン。
  4. 【請求項4】 液状ポリエーテルカーボネートジオール
    の数平均分子量が500〜5000である、請求項1〜
    3のいずれか記載の熱可塑性ポリウレタン。
  5. 【請求項5】 液状ポリエーテルカーボネートジオール
    が、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)とを含ん
    でなるポリエーテルジオール(但し、構造単位(b)の
    平均モル数(n)は、構造単位(a)1モルに対して1
    <n≦5を満たす数値である。)と、カーボネート化合
    物を反応させて得られる液状ポリエーテルカーボネート
    ジオールである、請求項1記載の熱可塑性ポリウレタ
    ン。
  6. 【請求項6】 ポリエーテルジオールの数平均分子量が
    150〜450である、請求項5記載の熱可塑性ポリウ
    レタン。
  7. 【請求項7】 液状ポリエーテルカーボネートジオール
    の数平均分子量が500〜5000である、請求項5又
    は6記載の熱可塑性ポリウレタン。
  8. 【請求項8】 鎖延長剤が、1,4−ブタンジオール、
    2−エタノールアミン、又は1,2−プロピレンジアミ
    ンである、請求項1〜7のいずれか記載の熱可塑性ポリ
    ウレタン。
  9. 【請求項9】 ジイシシアネートが4,4’−ジフェニ
    ルメタンジイソシアネートである、請求項1〜7のいず
    れか記載の熱可塑性ポリウレタン。
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