JP2005232447A - 液状ポリエーテルカーボネートジオール及び該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタン - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、低粘度でかつガラス転移温度が低く伸度が大きいポリウレタンを得ることができる液状ポリエーテルカーボネートジオールを提供すること、及び、該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタンを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の課題は、下記構造単位(a)と下記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールをジオール成分に持つ液状ポリエーテルカーボネートジオールによって解決される。
(a)−RO−、(b)−(CH2)2O−、(c)−CH2CH(CH3)O−
(但し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基で更に置換されていてもよい、炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、構造単位(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値である。)
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の課題は、下記構造単位(a)と下記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールをジオール成分に持つ液状ポリエーテルカーボネートジオールによって解決される。
(a)−RO−、(b)−(CH2)2O−、(c)−CH2CH(CH3)O−
(但し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基で更に置換されていてもよい、炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、構造単位(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値である。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、液状ポリエーテルカーボネートジオール及び該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタンに関する。液状ポリエーテルカーボネートジオールは、ポリウレタン、ポリエステル等の原料の他、高分子改質剤、高分子可塑剤などとして使用することができ、熱可塑性ポリウレタンは、熱可塑性エラストマー、弾性繊維、人工皮革などとして使用することができる。
ポリウレタン、ポリエステル等の樹脂の原料に使用されるポリオールとしては、従来、ポリエーテルジオールやポリエステルジオールが主体であったが、耐熱性、耐加水分解性、耐候性などに優れた樹脂が得られることから、ポリカーボネートジオールが注目されている。しかし、反面、ポリカーボネート系の樹脂は剛性が高く伸びが小さいため、従来の樹脂(特にポリエーテル系)に比べて柔軟性に欠けることが指摘されていた。また、ガラス転移温度が高く、低温特性に劣ることも問題であった。このため、前記ポリオールとして、エーテル基を分子内に挿入したポリカーボネートジオール(即ち、ポリエーテルカーボネートジオール)が問題解決に当たって提案されている。
このポリエーテルカーボネートジオールのジオール成分としては、例えば、ポリカーボネート連鎖を主体とするジオール(特に1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートグリコール)とエチレンオキシド構造単位を含む混合ジオールであるか、或いは同一分子中にポリカーボネート連鎖とエチレンオキシド構造単位を主成分として有するブロック共重合体であるかいずれかの高分子ジオール(特許文献1)や、
1,6−ヘキサンジオールをエーテル化して得られるポリエーテルジオール(特許文献2)、ポリエーテルポリオール(ジエチレングリコール、トリエチレングルコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)と多価アルコール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)の混合物(特許文献3)などが使用されている。
しかし、上記のようなポリエーテルジオールを使用したポリエーテルカーボネートジオールは、室温で徐々に固化するか又は高粘稠液体で粘度が高いなど、取扱いにくいものであった。更に、それらのガラス転移温度が充分に低くないため、得られる樹脂の柔軟性や低温特性も満足できるものではなかった。
また、ポリエーテルカーボネートジオールのジオール成分として、1,6−ヘキサンジオールとエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドとの反応で得られるジオールも使用されている(特許文献4)。このジオールを使用したポリエーテルカーボネートジオールは低粘度の液体で取扱いは容易であり、このポリエーテルカーボネートジオールをジオール成分に持つポリウレタンも低温特性の良好なものであったが、ポリエーテルジオールをジオール成分に持つポリエーテル系の熱可塑性ポリウレタンに特有の高い伸度を必ずしも満足するものではなかった。
本発明は、前記のような従来技術が有する問題を解決できる液状ポリエーテルカーボネートジオール及び該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタンを提供することを課題とする。即ち、本発明は、低粘度で(取扱いが容易で)、かつ、ガラス転移温度が低く伸度が大きいポリウレタンを得ることができる(低温特性や柔軟性を満足できる樹脂が得られる)液状ポリエーテルカーボネートジオールを提供すること、及び、該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタンを提供することを課題とする。
本発明の課題は、(1)下記構造単位(a)と下記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールをジオール成分に持つ液状ポリエーテルカーボネートジオールによって解決される。
(a)−RO−
(b)−(CH2)2O−
(c)−CH2CH(CH3)O−
(但し、該ポリエーテルジオールにおいて、Rは炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、このアルキレン基は更に炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、構造単位(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値である。)
(b)−(CH2)2O−
(c)−CH2CH(CH3)O−
(但し、該ポリエーテルジオールにおいて、Rは炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、このアルキレン基は更に炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、構造単位(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値である。)
以下に、本発明(1)の液状ポリエーテルカーボネートジオールの好ましい態様を列記する。
(2)前記構造単位(a)と前記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールとカーボネート化合物を反応させて得られる、前記(1)の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(3)前記ポリエーテルジオールにおいて、構造単位(c)の平均モル数(m)が0である、前記(1)又は(2)の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(4)ポリエーテルジオールが、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び、これらの化合物のアルキレン基が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたジオールからなるジオール化合物の中の少なくとも一つに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルジオールである、前記(1)〜(3)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(5)ポリエーテルジオールの数平均分子量が100〜500である、前記(1)〜(4)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(6)数平均分子量が400〜5000である、前記(1)〜(5)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(2)前記構造単位(a)と前記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールとカーボネート化合物を反応させて得られる、前記(1)の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(3)前記ポリエーテルジオールにおいて、構造単位(c)の平均モル数(m)が0である、前記(1)又は(2)の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(4)ポリエーテルジオールが、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び、これらの化合物のアルキレン基が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたジオールからなるジオール化合物の中の少なくとも一つに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルジオールである、前記(1)〜(3)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(5)ポリエーテルジオールの数平均分子量が100〜500である、前記(1)〜(4)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(6)数平均分子量が400〜5000である、前記(1)〜(5)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオール。
また、本発明の課題は、(7)前記(1)〜(6)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタン、(8)前記(1)〜(6)のいずれかの液状ポリエーテルカーボネートジオールとポリイソシアネートと鎖延長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンによって解決される。
以下に、本発明(7)、(8)の熱可塑性ポリウレタンの好ましい態様を列記する。
(9)ポリイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである、前記(8)の熱可塑性ポリウレタン。
(10)鎖延長剤が、1,4−ブタンジオール、2−エタノールアミン、又は、1,2−プロピレンジアミンである、前記(8)又は(9)の熱可塑性ポリウレタン。
(9)ポリイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである、前記(8)の熱可塑性ポリウレタン。
(10)鎖延長剤が、1,4−ブタンジオール、2−エタノールアミン、又は、1,2−プロピレンジアミンである、前記(8)又は(9)の熱可塑性ポリウレタン。
本発明により、従来技術が有する問題を解決できる液状ポリエーテルカーボネートジオール及び該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタンを提供できる。即ち、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは低粘度で取り扱いが容易であり、このジオールをジオール成分として用いることで、低温特性に優れていると共に柔軟性や伸縮性(伸長性や変形回復性)を満足できる熱可塑性ポリウレタンを提供することができる。本発明の熱可塑性ポリウレタンは、このような優れた特性を有すると共に、耐熱性、耐加水分解性、耐候性なども有していて、バランスのとれた特性を有することから、熱可塑性エラストマー、弾性繊維、人工皮革などとしての使用が可能になるものである。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールをジオール成分に持つ液状ポリエーテルカーボネートジオールである。このような本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールとしては、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールと、カーボネート化合物を反応させて得られるものが特に好ましい。但し、該ポリエーテルジオールにおいて、Rは炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、このアルキレン基は更に炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、構造単位(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値である。
また、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは、前記ポリエーテルジオールにおいて構造単位(c)の平均モル数(m)が0であるポリエーテルジオールをジオール成分に持つもの、即ち、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)とを含んでなるポリエーテルジオールをジオール成分に持つ液状ポリエーテルカーボネートジオールである。このような本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールとしては、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)とを含んでなるポリエーテルジオールと、カーボネート化合物を反応させて得られるものが特に好ましい。但し、該ポリエーテルジオールにおいて、Rは炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、このアルキレン基は更に炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、構造単位(b)の平均モル数(n)は、構造単位(a)1モルに対して、1<n≦5を同時に満たす数値である。
なお、本発明のポリエーテルカーボネートジオールにおいて、炭素数3〜5のアルキレン基とは、プロピレン基(トリメチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基)、ペンチレン基(ペンタメチレン基)であり、炭素数1〜4のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などである。また、「液状」とは室温(約5℃〜約30℃)で流動性を有する状態をいう。
本発明で使用される前記のポリエーテルジオールとしては、例えば、構造単位(a)と構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるものとして、一般式(i)〜(vii)で表されるものなどが挙げられる。また、構造単位(a)と構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるものとして、これら一般式において構造単位(b)又は(c)の部分に、構造単位(b)及び(c)を含むものなども挙げられる。
HO−(b)n−(a)−(c)m−OH (i)
HO−(b)n1−(a)−(b)n2−OH (ii)
HO−(c)m1−(a)−(c)m2−OH (iii)
HO−(a)−(b)n−(c)m−OH (iv)
HO−(a)−(c)m−(b)n−OH (v)
HO−(a)−(b)n−OH (vi)
HO−(a)−(c)m−OH (vii)
(式中、a、b、c、n、mは前記と同様で、n1、n2、m1、m2は、n=n1+n2、m=m1+m2を満たす数値である。)
HO−(b)n1−(a)−(b)n2−OH (ii)
HO−(c)m1−(a)−(c)m2−OH (iii)
HO−(a)−(b)n−(c)m−OH (iv)
HO−(a)−(c)m−(b)n−OH (v)
HO−(a)−(b)n−OH (vi)
HO−(a)−(c)m−OH (vii)
(式中、a、b、c、n、mは前記と同様で、n1、n2、m1、m2は、n=n1+n2、m=m1+m2を満たす数値である。)
このようなポリエーテルジオールは、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び、これらの化合物のアルキレン基が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたジオールからなるジオール化合物の中の少なくとも一つに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加反応させる方法により製造することができる。具体的には、例えば、特開平10−36499号公報や特開平10−204171号公報などに記載の方法により製造できる。
即ち、本発明で使用されるポリエーテルジオールは、例えば、前記ジオール化合物の中の少なくとも一つと塩基性アルカリ金属化合物触媒(アルカリ金属水酸化物等)を入れた反応器に、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを連続的に送入しながら、80〜150℃、0.5〜5kg/cm2(49〜490kPa)で、所定の(n及びmに対応する)分子量が得られるまで反応させ、次いで、中和、脱水、乾燥、濾過などの後処理を行って製造される。この後処理は、場合により、水洗、乾燥のみでもよく、また、触媒除去のために吸着や蒸留を組み合わせて行っても差し支えない。
本発明で使用されるポリエーテルジオールは、前記ジオール化合物の一部(50モル%以下)が単独又は複数の他の脂肪族ジオールで置換されていてもよい。このようなジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオールが挙げられる。
本発明で使用されるポリエーテルジオールの数平均分子量は100〜500、更には120〜400であることが好ましい。そして、本発明で使用されるポリエーテルジオールの中では、構造単位(a)と構造単位(b)とを含んでなる(構造単位(c)を含有しない;m=0、1<n≦5である)ポリエーテルジオール(例えば、前記一般式(ii)又は(vi)で表されるもの)が更に好ましい。即ち、本発明で使用されるポリエーテルジオールとしては、構造単位(a)と構造単位(b)とを含んでなる(構造単位(c)を含有しない;m=0、1<n≦5である)ポリエーテルジオール(例えば、前記一般式(ii)又は(vi)で表されるもの)で、数平均分子量が100〜500、更には120〜400であるものが特に好ましい。
また、本発明で使用されるポリエーテルジオールでは、構造単位(a)において、Rが炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基で置換基を持たないものが更に好ましく、中でもRがトリメチレン基であるものが特に好ましい。
前記カーボネート化合物としては、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネート、アルキルアリールカーボネートなどの脂肪族又は芳香族又は芳香脂肪族のカーボネート(炭酸エステル)が挙げられ、脂肪族カーボネートは環状であってもよい。具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
ポリエーテルジオールとカーボネート化合物の反応は、ポリカーボネートジオールを製造する公知の方法に従って行うことができる。即ち、前記のポリエーテルジオールとカーボネート化合物を、エステル交換触媒の存在下、副生する脂肪族又は芳香族アルコールを連続的に系外に抜き出しながらエステル交換反応させることにより、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールを製造することができる。
このとき、ポリエーテルジオールの使用量は、目的物を生成させることができるなら特に制限されないが、得られる液状ポリエーテルカーボネートジオール分子主鎖の両末端が実質的に水酸基となるように、カーボネート化合物に対して0.8〜3.0倍モル、更には0.85〜2.0倍モル、特に0.9〜1.5倍モルであることが好ましい。また、エステル交換触媒の使用量は、ポリエーテルジオールに対して重量基準で1〜5000ppm、更には10〜1000ppmであることが好ましい。なお、カーボネート化合物は単独又は複数で使用できる。
エステル交換反応の条件は、目的物を生成させることができるなら特に制限されないが、目的物を効率よく生成させることができるように、常圧下に110〜200℃で1〜24時間程度、次いで減圧下に110〜240℃(特に140〜240℃)で0.1〜20時間程度反応させ、更に同温度で徐々に真空度を高めながら最終的に20mmHg以下となる減圧下で0.1〜20時間程度反応させることが好ましい。また、副生アルコールを抜き出すためには、反応器に蒸留塔を設けることが好ましく、更に不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)流通下で反応させてもよい。
エステル交換触媒は、前記エステル交換反応を触媒する化合物であれば特に制限されない。例えば、四塩化チタン、テトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)などのチタン化合物や、金属スズ、水酸化スズ、塩化スズ、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキシド、ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)などのスズ化合物が好ましく挙げられる。これらの中では、テトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキシド、ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)が好ましいが、中でもテトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)が特に好ましい。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは、数平均分子量が400〜5000、更には500〜3000程度であるものが好ましい。このため、反応生成物の水酸基価(分子量)が目標範囲から外れる場合、即ち、分子量が小さい場合は、減圧下で更にポリエーテルジオールを留出させながら反応させ、分子量が大きい場合は、ポリエーテルジオールを添加して更にエステル交換反応させるなど、公知の方法によって分子量を調整することが好ましい。また、必要であれば、分子量調整後、液状ポリエーテルカーボネートジオール中に残存するエステル交換触媒をリン系化合物(リン酸、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等)で不活性化しておくことが好ましい。以上のようにして、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールを得ることができる。
このような本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールの数平均分子量は400〜5000、更には500〜3000であることが好ましい。そして、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールでは、構造単位(a)と構造単位(b)とを含んでなる(構造単位(c)を含有しない;m=0、1<n≦5である)ポリエーテルジオールをジオール成分に持つものが好ましく、中でも該ポリエーテルジオールとカーボネート化合物を反応させて得られる液状ポリエーテルカーボネートジオールが特に好ましい。更に、構造単位(a)はRが直鎖のアルキレン基であるものが好ましく、中でもトリメチレン基であるものが特に好ましい。即ち、本発明では、構造単位(a)(Rはトリメチレン基である)と構造単位(b)とを含んでなる(構造単位(c)を含有しない;m=0、1<n≦5である)ポリエーテルジオールをジオール成分に持つもの(中でも該ポリエーテルジオールとカーボネート化合物を反応させて得られる液状ポリエーテルカーボネートジオール)であって、数平均分子量が400〜5000、更には500〜3000であるものが特に好ましい。なお、ポリエーテルジオールには、前記のように好適な数平均分子量のものがそれぞれ使用される。
本発明の熱可塑性ポリウレタンは、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールをジオール成分に持つもの、即ち、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールとジイソシアネートと鎖延長剤を反応させて(ポリウレタン化反応によって)得られるものである。
本発明で使用されるポリイソシアネートとしては、脂肪族(脂環族を含む)又は芳香族ジイソシアネートなど、各種ポリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート−ビウレット体等が挙げられる。
また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジソシアネートトリメチロールプロパンアダクト、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。更に、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート等もポリイソシアネートとして挙げられる。
ポリイソシアネートの中では、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましいが、中でも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。ポリイソシソシアネートは単独で使用しても複数で使用してもよい。
本発明で使用される鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物が挙げられる。このような化合物には、ポリオール、ポリアミン等があり、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂肪族ジオール(脂環族を含む)や、
エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ピペラジン、メタ(又はパラ)キシリレンジアミン等の脂肪族又は芳香族ジアミンが挙げられる。
更に、2−エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン等の脂肪族又は芳香族アミノアルコールや、ヒドロキシエチルスルファミド、ヒドロキシエチルアミノエチルスルファミド等のヒドロキシアルキルスルファミドや、尿素、水なども鎖延長剤として挙げられる。鎖延長剤の中では、1,4−ブタンジオール、2−エタノールアミン、1,2−プロピレンジアミンが特に好ましい。鎖延長剤は単独でも複数でも使用できる。
ポリウレタン化反応において、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールは、その一部が、脂肪族ジオール(脂環族を含む)とカーボネート化合物から製造される脂肪族ポリカーボネートジオールで置換されていてもよい。脂肪族ポリカーボネートジオールは単独でも複数でも使用でき、その使用量は、液状ポリエーテルカーボネートジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールの合計量の50重量%以下である。
前記脂肪族ポリカーボネートジオールの製造に使用される脂肪族ジオール(脂環族を含む)としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールと反応させるカーボネート化合物には、前記と同様のものが挙げられる。
ポリウレタン化反応は溶剤非存在下で行うことができ、また、イソシアネート基に対して不活性な溶剤の存在下でも行うことができる。溶剤非存在下の反応の場合、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールと鎖延長剤を混合し、これにポリイソシアネートを混合して全量を一度に反応させるか、或いは、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールとポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、これに鎖延長剤を混合・反応させるか、或いは、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールと鎖延長剤を混合し、これにポリイソシアネートの一部を混合・反応させて水酸基を有するプレポリマーを得た後、更に残余のポリイソシアネートを混合・反応させることによって、ポリウレタン化反応を行うことができる。溶剤非存在下の場合の好ましい反応温度は、80〜150℃である。プレポリマーを経由する場合、低分子量のプレポリマーが得られるので、加熱して高分子量のものとする。
溶剤存在下の反応の場合、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールを溶剤に溶解し、更に鎖延長剤を混合した後、これにポリイソシアネートを混合して全量を一度に反応させるか、或いは、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールを溶剤に溶解し、これにポリイソシアネートを混合・反応させてイソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、これに鎖延長剤を混合・反応させるか、或いは、前記液状ポリエーテルカーボネートジオールを溶剤に溶解し、これに鎖延長剤とポリイソシアナートの一部を混合・反応させて水酸基を有するプレポリマーを得た後、更に残余のポリイソシアネートを混合・反応させることによって、ポリウレタン化反応を行うことができる。溶剤存在下の場合の好ましい反応温度は、20〜100℃である。溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが代表的なものである。
ポリウレタン化反応において、液状ポリエーテルカーボネートジオールと鎖延長剤の使用割合は、一般的には、前者1モルに対して後者が0.1〜10モルの範囲であることが好ましい。これらの使用量は目的とする熱可塑性ポリウレタンの物性により適宜決定される。また、ポリイソシアネートの使用量は、液状ポリエーテルカーボネートジオールと鎖延長剤の合計量とほぼ等モルであることが好ましい。具体的には、液状ポリエーテルカーボネートジオール及び鎖延長剤に含まれる活性水素の合計量:イソシアネート基が、当量比で1:0.8〜1:1.2、更には1:0.95〜1:1.05になるようにポリイソシアネートを使用することが好ましい。なお、ポリウレタン化反応においては、反応促進のため、公知のアミン系又はスズ系の触媒を使用してもよい。
このようにして得られる本発明の熱可塑性ポリウレタンは、分子末端が水酸基又はイソシアネート基のどちらでもよい。そして、本発明の熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも2個有する化合物、或いはイソシアネート基を少なくとも2個有する化合物と更に反応させることによって、高分子量化又は網状化することができる。また、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する化合物、或いはイソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも3個有する化合物と反応させることによって、架橋構造を導入することもできる。更に、本発明の熱可塑性ポリウレタンには、本発明の効果を損なわない範囲で公知の各種添加剤を添加・混合しても差し支えない。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、ポリエーテルジオール及び液状ポリエーテルカーボネートジオールの物性は、下記の方法により測定した。
1.水酸基価(OH価(mgKOH/g)):JIS−K1557に準拠して分析し、次式により算出した。但し、式中、Sは試料採取量(g)、Aは試料の滴定に要した0.5N水酸化カリウム溶液の量(ml)、Bは空試験に要した0.5N水酸化カリウム溶液の量(ml)、fは0.5N水酸化カリウム溶液のファクターを表す。
OH価(mgKOH/g)=28.05(B−A)f/S
OH価(mgKOH/g)=28.05(B−A)f/S
2.数平均分子量(Mn):次式により算出した。
Mn=112200/OH価
Mn=112200/OH価
3.平均付加モル数(n、m):次式により、エチレンオキシドの平均付加モル数(n)及びプロピレンオキシドの平均付加モル数(m)を算出した。但し、式中、Mnは数平均分子量を、xは構造単位(a)におけるR中のメチレン基の数を表す。
M n =44n+58m+14x+34
M n =44n+58m+14x+34
4.酸価(mgKOH/g):次式により算出した。但し、式中、S’は試料採取量(g)、Cは試料の滴定に要した0.1N水酸化カリウム溶液の量(ml)、Dは空試験に要した0.1N水酸化カリウム溶液の量(ml)、f’は0.1N水酸化カリウム溶液のファクターを表す。
酸価(mgKOH/g)=5.61(C−D)f’/S’
酸価(mgKOH/g)=5.61(C−D)f’/S’
5.ガラス転移温度(Tg(℃)):示差走査熱量計(島津製作所製;DSC−50)を用いて、窒素ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
6.粘度(Pa・sec):E型回転粘度計(東京計器製)を用いて75℃で測定した。
また、熱可塑性ポリウレタンの物性は下記の方法によって測定した。
1.引張特性:JIS−K7311に従い、引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて測定し、初期弾性率、引張応力(100%、200%、300%伸びでの値)、引張強さ、及び破断伸びを求めた。
1.引張特性:JIS−K7311に従い、引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて測定し、初期弾性率、引張応力(100%、200%、300%伸びでの値)、引張強さ、及び破断伸びを求めた。
2.ガラス転移温度(Tg):動的粘弾性測定装置(レオメトリクス製;RSAII)を用い、周波数1Hz、歪み量0.05%、−100〜200℃の温度範囲で引張モードにより動的弾性を測定した。損失弾性率のピーク温度を求め、Tgとした。
3.永久伸び:JIS−K7311に従い、引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて、試験片を破断伸びの1/2に伸長させて10分間保持した。次に、跳ね返させることなく急激に収縮させた後(リターン速度500mm/分)、試験片をチャックから取り外して10分間放置し、標線間の長さL(但し、伸長前の長さをL0とする)を測定して次式から算出した。ここでは、L0を20mmとした。
永久伸び(%)=(L−L0)×100/L0
永久伸び(%)=(L−L0)×100/L0
4.ヒステリシス損失率:引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて、5mm×100mmの短冊型試験片をチャック間距離40mmとして引張速度10mm/分で150%まで伸長させ、直ちに同速度で収縮させて測定し、次式から算出した。
ヒステリシス損失率(%)=(伸長〜収縮曲線によって囲まれた部分の面積)×100/(最初の応力〜歪み曲線によって囲まれた部分の面積)
ヒステリシス損失率(%)=(伸長〜収縮曲線によって囲まれた部分の面積)×100/(最初の応力〜歪み曲線によって囲まれた部分の面積)
5.耐候性:JIS−K7350−4に従って、試験片をサンシャインウェザーメター(スガ試験機製;サンシャインスーパーロングライフウェザーメターWEL−SUN−HC−H)に設置し、アーク電圧50V、アーク電流60A、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%としてオープンフレームカーボンアークランプに100時間暴露した。この間、水噴霧時間12分、水噴霧停止時間48分を1つのサイクルとして100サイクルの水噴霧処理を行った。試験終了後、試験後の試験片の引張り強さと破断伸びを、試験前のそれぞれの物性値に対する割合(保持率)として算出した。
〔実施例1〕
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(I)(1,3−プロパンジオール1モルに対して平均1.27モルのエチレンオキシドを付加させたもの)を特開平10−36499号公報記載の方法により得た。ポリエーテルジオール(I)の物性を表1に示す。
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(I)(1,3−プロパンジオール1モルに対して平均1.27モルのエチレンオキシドを付加させたもの)を特開平10−36499号公報記載の方法により得た。ポリエーテルジオール(I)の物性を表1に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕
撹拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積1L(リットル)のガラス製反応器に、前記ポリエーテルジオール(I)304g(2.30モル)、ジメチルカーボネート(宇部興産製)226g(2.51モル)、及びテトラ−n−ブトキシチタン0.0790g(0.232ミリモル)を仕込み、還流下、160℃で2時間保持した。次いで、メタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、6.5時間かけて190℃まで徐々に昇温させ、その後、温度を190℃に保ったまま、300mmHgで0.5時間、更に100mmHgで3時間かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留出させた。引き続き、1.9〜0.2mmHgで4.5時間かけてポリエーテルジオールを留出させながら反応させて、水酸基価50.6mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得た。
撹拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積1L(リットル)のガラス製反応器に、前記ポリエーテルジオール(I)304g(2.30モル)、ジメチルカーボネート(宇部興産製)226g(2.51モル)、及びテトラ−n−ブトキシチタン0.0790g(0.232ミリモル)を仕込み、還流下、160℃で2時間保持した。次いで、メタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、6.5時間かけて190℃まで徐々に昇温させ、その後、温度を190℃に保ったまま、300mmHgで0.5時間、更に100mmHgで3時間かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留出させた。引き続き、1.9〜0.2mmHgで4.5時間かけてポリエーテルジオールを留出させながら反応させて、水酸基価50.6mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得た。
このポリエーテルカーボネートジオールにポリエーテルジオール(I)2.11g(0.0160モル)を加えて、185℃、200mmHgで2時間撹拌して分子量調整した後、前記触媒と等モルのリン酸ジブチルを更に加えて、130℃、100mmHgで2時間撹拌して触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)の物性を表2に示す。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
撹拌機、温度計、冷却管を装着した内容積1Lのガラス製反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)50g(0.0261モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート13.05g(0.0522モル)をジメチルホルムアミド112gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.187g(0.0026モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、反応液に1,2−プロピレンジアミン1.84g(0.0249モル)とジメチルホルムアミド20gを加えて3℃で5分反応させ、両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
撹拌機、温度計、冷却管を装着した内容積1Lのガラス製反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)50g(0.0261モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート13.05g(0.0522モル)をジメチルホルムアミド112gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.187g(0.0026モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、反応液に1,2−プロピレンジアミン1.84g(0.0249モル)とジメチルホルムアミド20gを加えて3℃で5分反応させ、両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液の温度を室温に設定してポリウレタン化反応を更に進行させた。反応の進行と共に溶液粘度が上昇するので、E型粘度計を用いて1時間毎に粘度を測定し、粘度上昇がほぼ見られなくなった4.5時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において51.2Pa・secであった。得られた溶液(熱可塑性ポリウレタン溶液)を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス版にキャストし、70℃で1時間、次いで120℃で2時間熱処理して約200μmの熱可塑性ポリウレタンフィルムを得た。このフィルムの物性を表3及び4に示す。
〔実施例2〕
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)60g(0.0313モル)と1,4−ブタンジオール3.384g(0.0375モル)をジメチルホルムアミド188gに60℃で完全に溶解させた。続いて、この溶液約1gを注射器で抜き出して、カールフィッシャー水分測定装置で水分含有量を測定し、液状ポリエーテルカーボネートジオール、1,4−ブタンジオール及び水分の合計モル数に等しくなるように、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート17.22g(0.0688モル)を該溶液に加えた。次いで、温度を80℃に設定して加熱・反応を開始し、粘度上昇がほぼ見られなくなった9時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において44.0Pa・secであった。実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測定した結果を表3に示す。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(A)60g(0.0313モル)と1,4−ブタンジオール3.384g(0.0375モル)をジメチルホルムアミド188gに60℃で完全に溶解させた。続いて、この溶液約1gを注射器で抜き出して、カールフィッシャー水分測定装置で水分含有量を測定し、液状ポリエーテルカーボネートジオール、1,4−ブタンジオール及び水分の合計モル数に等しくなるように、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート17.22g(0.0688モル)を該溶液に加えた。次いで、温度を80℃に設定して加熱・反応を開始し、粘度上昇がほぼ見られなくなった9時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において44.0Pa・secであった。実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性を測定した結果を表3に示す。
〔実施例3〕
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例2において、1,4−ブタンジオール使用量を5.077g(0.0563モル)、ジメチルホルムアミド使用量を201gにそれぞれ変え、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート使用量を液状ポリエーテルカーボネートジオール、1,4−ブタンジオール及び水分の合計モル数に等しくなるように21.92g(0.0876モル)に変えたほかは、同様に反応を行った。溶液の最終粘度は40℃において45.1Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例2において、1,4−ブタンジオール使用量を5.077g(0.0563モル)、ジメチルホルムアミド使用量を201gにそれぞれ変え、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート使用量を液状ポリエーテルカーボネートジオール、1,4−ブタンジオール及び水分の合計モル数に等しくなるように21.92g(0.0876モル)に変えたほかは、同様に反応を行った。溶液の最終粘度は40℃において45.1Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
〔実施例4〕
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(II)(1,5−ペンタンジオール1モルに対して平均1.02モルのエチレンオキシドを付加させたもの)を実施例1と同様の方法により得た。ポリエーテルジオール(II)の物性を表1に示す。
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(II)(1,5−ペンタンジオール1モルに対して平均1.02モルのエチレンオキシドを付加させたもの)を実施例1と同様の方法により得た。ポリエーテルジオール(II)の物性を表1に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕
実施例1において、ポリエーテルジオールを前記ポリエーテルジオール(II)343g(2.30モル)に変えたほかは、同様に反応を行って水酸基価47.2mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得た。このポリエーテルカーボネートジオールにポリエーテルジオール(II)3.68g(0.023モル)を加えて、実施例1と同様に分子量調整し、更に実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(B)の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリエーテルジオールを前記ポリエーテルジオール(II)343g(2.30モル)に変えたほかは、同様に反応を行って水酸基価47.2mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得た。このポリエーテルカーボネートジオールにポリエーテルジオール(II)3.68g(0.023モル)を加えて、実施例1と同様に分子量調整し、更に実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(B)の物性を表2に示す。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(B)50g(0.0254モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.50g(0.0500モル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.180g(0.0025モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.79g(0.0242モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(B)50g(0.0254モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.50g(0.0500モル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.180g(0.0025モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.79g(0.0242モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液の温度を室温に設定した後、実施例1と同様に更に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなくなった4.5時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において42.0Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
〔実施例5〕
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリカエーテルカーボネートジオール(B)50g(0.0254モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.70g(0.0508モル)をジメチルホルムアミド130gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液に2−エタノールアミン1.55g(0.0254モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で2.1時間反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマーを得た。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリカエーテルカーボネートジオール(B)50g(0.0254モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.70g(0.0508モル)をジメチルホルムアミド130gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液に2−エタノールアミン1.55g(0.0254モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で2.1時間反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液を室温で20分放置した後、温度を80℃に設定し、実施例2と同様に更に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなくなった10時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において38.0Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
〔比較例1〕
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(III)(1,6−ヘキサンジオール1モルに対して平均1.27モルのエチレンオキシドを付加させたもの)を実施例1と同様の方法により得た。ポリエーテルジオール(III)の物性を表1に示す。
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(III)(1,6−ヘキサンジオール1モルに対して平均1.27モルのエチレンオキシドを付加させたもの)を実施例1と同様の方法により得た。ポリエーテルジオール(III)の物性を表1に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕
実施例1において、ポリエーテルジオールを前記ポリエーテルジオール(III)400g(2.30モル)に変えたほかは、同様に反応を行って水酸基価47.2mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得た。このポリエーテルカーボネートジオールにポリエーテルジオール(III)4.00g(0.023モル)を加えて、実施例1と同様に分子量調整し、更に実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(C)の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリエーテルジオールを前記ポリエーテルジオール(III)400g(2.30モル)に変えたほかは、同様に反応を行って水酸基価47.2mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得た。このポリエーテルカーボネートジオールにポリエーテルジオール(III)4.00g(0.023モル)を加えて、実施例1と同様に分子量調整し、更に実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(C)の物性を表2に示す。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(C)50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.56g(0.0502モル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.180g(0.0025モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.76g(0.0238モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(C)50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.56g(0.0502モル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.180g(0.0025モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.76g(0.0238モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液を室温に設定した後、実施例1と同様に更に反応を進行させて粘度上昇がほぼ見られなくなった4.5時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において43.9Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3及び4に示す。
〔比較例2〕
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(C)50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.57g(0.0503モル)をジメチルホルムアミド139gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液に2−エタノールアミン1.53g(0.0251モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で2.1時間反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマーを得た。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(C)50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.57g(0.0503モル)をジメチルホルムアミド139gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液に2−エタノールアミン1.53g(0.0251モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で2.1時間反応させて両末端に水酸基を有するプレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液を室温で20分放置した後、温度を80℃に設定し、実施例2と同様に更に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなくなった10時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において36.1Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
〔比較例3〕
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(IV)(1,6−ヘキサンジオール1モルに対して平均1.76モルのプロピレンオキシドを付加させたもの)を実施例1と同様の方法により得た。ポリエーテルジオール(IV)の物性を表1に示す。
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール(IV)(1,6−ヘキサンジオール1モルに対して平均1.76モルのプロピレンオキシドを付加させたもの)を実施例1と同様の方法により得た。ポリエーテルジオール(IV)の物性を表1に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、前記ポリエーテルジオール(IV)440g(2.00モル)、ジメチルカーボネート185g(2.06モル)及びテトラ−n−ブトキシチタン0.0881g(0.259ミリモル)を仕込み、還流下、160℃で3時間保持した。次いで、メタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、13時間かけて190℃まで徐々に昇温させ(途中10時間の時点で触媒0.0881g(0.259ミリモル)を追加し)、その後、温度を190℃に保ったまま100mmHgで3時間かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留出させた。引き続き、4.4〜3.7mmHgで11時間かけてポリエーテルジオールを留出させながら反応させ、水酸基価56.6mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得て実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(D)の物性を表2に示す。
実施例1と同様の反応器に、前記ポリエーテルジオール(IV)440g(2.00モル)、ジメチルカーボネート185g(2.06モル)及びテトラ−n−ブトキシチタン0.0881g(0.259ミリモル)を仕込み、還流下、160℃で3時間保持した。次いで、メタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、13時間かけて190℃まで徐々に昇温させ(途中10時間の時点で触媒0.0881g(0.259ミリモル)を追加し)、その後、温度を190℃に保ったまま100mmHgで3時間かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留出させた。引き続き、4.4〜3.7mmHgで11時間かけてポリエーテルジオールを留出させながら反応させ、水酸基価56.6mgKOH/gの液状ポリエーテルカーボネートジオールを得て実施例1と同様に触媒を不活性化させた。最終的に得られた液状ポリエーテルカーボネートジオール(D)の物性を表2に示す。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(D)60g(0.0297モル)、1,4−ブタンジオール5.35g(0.0594モル)、テトラ−n−ブトキシチタン0.017g(0.050ミリモル)をジメチルホルムアミド204gに60℃で完全に溶解させ、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.43g(0.1016モル)を実施例2と同様にして該溶液に加えた。次いで、実施例2と同様に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において4.4Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
実施例1と同様の反応器中で、液状ポリエーテルカーボネートジオール(D)60g(0.0297モル)、1,4−ブタンジオール5.35g(0.0594モル)、テトラ−n−ブトキシチタン0.017g(0.050ミリモル)をジメチルホルムアミド204gに60℃で完全に溶解させ、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.43g(0.1016モル)を実施例2と同様にして該溶液に加えた。次いで、実施例2と同様に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において4.4Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3に示す。
〔比較例4〕
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学製;分子量1989)50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.56g(0.0502モル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.180g(0.0025モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.76g(0.0238モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
〔熱可塑性ポリウレタンの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学製;分子量1989)50g(0.0251モル)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.56g(0.0502モル)をジメチルホルムアミド110gに60℃で完全に溶解させ、80℃で2時間反応させた。続いて、この溶液にn−ブチルアミン0.180g(0.0025モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、室温で1.4時間反応させた。次いで、1,2−プロピレンジアミン1.76g(0.0238モル)とジメチルホルムアミド20gを加え、3℃で5分反応させて両末端に水酸基とイソシアネート基をそれぞれ有するプレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液の温度を室温に設定した後、実施例1と同様に更に反応を進行させて粘度上昇がほぼ見られなくなった4.5時間後に反応を停止した。溶液の最終粘度は40℃において39.4Pa・secであった。実施例1と同様にして得られた熱可塑性ポリウレタンフィルムの物性測定結果を表3及び4に示す。
以上の実施例及び比較例に見られるように、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは、同一分子量で比較した場合、従来のものに匹敵する程度に低い粘度及び低いガラス転移温度を有し、これを用いて得られた熱可塑性ポリウレタンは従来のものと同程度に低いガラス転移温度を有すると同時に破断伸びが明らかに大きく、ポリエーテルジオールから得られた熱可塑性ポリウレタンの柔軟性及び伸縮性を充分に満足している。また、本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールから得られた熱可塑性ポリウレタンは、ポリエーテルジオールから得られた熱可塑性ポリウレタンに比べて非常に良好な耐侯性を有している。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは、ポリウレタン、ポリエステル等の原料の他、高分子改質剤、高分子可塑剤などとして使用することができ、また、本発明の熱可塑性ポリウレタンは、熱可塑性エラストマー、弾性繊維、人工皮革などとして使用することができる。
Claims (10)
- 下記構造単位(a)と下記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールをジオール成分に持つ液状ポリエーテルカーボネートジオール。
(a)−RO−
(b)−(CH2)2O−
(c)−CH2CH(CH3)O−
(但し、該ポリエーテルジオールにおいて、Rは炭素数3〜5の直鎖のアルキレン基であり、このアルキレン基は更に炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、構造単位(b)の平均モル数(n)及び構造単位(c)の平均モル数(m)は、構造単位(a)1モルに対して、それぞれ、0≦n≦5、0≦m≦5、1<n+m≦5を同時に満たす数値である。) - 前記構造単位(a)と前記構造単位(b)及び/又は(c)とを含んでなるポリエーテルジオールとカーボネート化合物を反応させて得られる、請求項1記載の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
- 前記ポリエーテルジオールにおいて、構造単位(c)の平均モル数(m)が0である、請求項1又は2記載の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
- ポリエーテルジオールが、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び、これらの化合物のアルキレン基が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたジオールからなるジオール化合物の中の少なくとも一つに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテルジオールである、請求項1〜3のいずれか記載の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
- ポリエーテルジオールの数平均分子量が100〜500である、請求項1〜4のいずれか記載の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
- 数平均分子量が400〜5000である、請求項1〜5のいずれか記載の液状ポリエーテルカーボネートジオール。
- 請求項1〜6のいずれか記載の液状ポリエーテルカーボネートジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタン。
- 請求項1〜6のいずれか記載の液状ポリエーテルカーボネートジオールとポリイソシアネートと鎖延長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン。
- ポリイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項8記載の熱可塑性ポリウレタン。
- 鎖延長剤が、1,4−ブタンジオール、2−エタノールアミン、又は、1,2−プロピレンジアミンである、請求項8又は9記載の熱可塑性ポリウレタン。
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