JP2014208790A - 熱安定性に優れた、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 - Google Patents
熱安定性に優れた、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014208790A JP2014208790A JP2014060713A JP2014060713A JP2014208790A JP 2014208790 A JP2014208790 A JP 2014208790A JP 2014060713 A JP2014060713 A JP 2014060713A JP 2014060713 A JP2014060713 A JP 2014060713A JP 2014208790 A JP2014208790 A JP 2014208790A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polycarbonate diol
- phosphoric acid
- group
- phosphorous acid
- acid ester
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G64/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Abstract
【解決手段】数平均分子量が250以上5500以下であり、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネートジオールであって、
リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を更に含有し、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの合計含有量が、エステル交換触媒に由来する金属元素の合計含有量に対して特定量以下であるポリカーボネートジオール。
【選択図】なし
Description
但し、原料のポリカーボネートジオールが着色していると、このポリカーボネートジオールから製造されるポリウレタン等も着色したものとなり、商品価値が低下するため、ポリカーボネートジオールに対しても着色の低減が望まれている。また加熱により、分子量上昇や組成が変化した場合、ポリウレタン等とした場合にポリウレタンの物性が変化するため、加熱によりそれらの変化がないことが望まれている。
特許文献4には無触媒で製造されたポリカーボネートジオールは加熱により分子量等が低下するが、有機リン酸エステル化合物を添加することにより、分子量等が保持されることが記載されている。
すなわち、本発明の要旨は、以下である。
[1]
数平均分子量が250以上5500以下であり、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネートジオールであって、
リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を更に含有し、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの合計含有量が、エステル交換触媒に由来する金属元素の合計含有量に対して0.1モル倍以上50モル倍以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
[2]
構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である[1]に記載のポリカーボネートジオール。
ポリカーボネートジオール中の前記エステル交換触媒に由来する金属元素の合計含有量が0.1ppm以上100ppm以下である[1]又は[2]に記載のポリカーボネートジオール。
[4]
ポリカーボネートジオール中の前期エステル交換触媒に由来する金属元素が、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む[1]乃至[3]に記載のポリカーボネートジオール。
前記ポリカーボネートジオールが原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により得られたものである[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール。
[6]
前記カーボネート化合物がジアリールカーボネートである[5]に記載のポリカーボネートジオール。
積分球式濁度計にて測定した濁度が2.0ppm以下である[1]乃至[6]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール。
[8]
JIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、60以下である[1]乃至[7]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール。
原料モノマーとして構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
ポリカーボネートジオールの分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、全末端基量に対して、10モル%以下であるポリカーボネートジオールに対して、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種をエステル交換触媒1モルに対して0.1モル倍以上50モル倍以下添加することを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
[10]
前記ポリカーボネートジオールに対して、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を添加した後に精製工程を有する[9]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
本発明のポリカーボネートジオールは、数平均分子量が250以上5500以下であり、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネートジオールである。
該ポリカーボネートジオールは原料モノマーとして、特定のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いてエステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により得られたものであることが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールは、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「本発明のジヒドロキシ化合物」と称する場合がある。)に由来する構造単位(以下、「構造単位(A)」と称する場合がある。)を少なくとも含む。 即ち、本発明のジヒドロキシ化合物は、2つのヒドロキシル基と、更に下記
一般式(1)の構造単位を少なくとも含むものをいう。構造単位(A)を少なくとも含むポリカーボネートジオールが特定の金属を含む場合、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの合計含有量が特定量であることにより熱安定性に優れたポリカーボネートジオールとすることが可能となる。
本発明のジヒドロキシ化合物としては、構造の一部に上記一般式(1)で表される部位を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、スピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられるが、中でも、ポリウレタン等とした時の高硬度、高弾性率、耐擦性の観点からは、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物が好ましい。
よく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリカーボネートジオールの耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、高硬度、高弾性率、耐擦性、耐光性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
使用可能なカーボネート化合物としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。このうち反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造に用いることができるカーボネート化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある。)が好ましい。
前記カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.35、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.60であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られ
るポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する場合には、重合を促進するために必要に応じてエステル交換触媒(以下、触媒と称する場合がある)を用いることができる。その場合、得られたポリカーボネートジオール中に、過度に多くの触媒が残存すると、ポリカーボネートジオールが白濁したり、加熱により着色しやすくなったりする場合がある。またポリウレタンを製造する際には反応を阻害したり、反応を過度に促進したりする場合がある。
反対に、触媒が過度に少ないとジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物の重縮合反応が進行しないため、触媒は、触媒金属換算の含有量として0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、さらに好ましくは1ppm以上である。
エステル交換触媒の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の長周期型周期表第1族元素(水素を除く)の化合物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の長周期型周期表第2族元素の化合物;チタン、ジルコニウム等の長周期型周期表第4族元素の化合物;ハフニウム等の長周期型周期表第5族元素の化合物;コバルト等の長周期型周期表第9族元素の化合物;亜鉛等の長周期型周期表第12族元素の化合物;アルミニウム等の長周期型周期表第13族元素の化合物;ゲルマニウム、スズ、鉛等の長周期型周期表第14族元素の化合物;アンチモン、ビスマス等の長周期型周期表第15族元素の化合物;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等ランタナイド系金属の化合物等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、長周期型周期表第4族元素の化合物、長周期型周期表第5族元素の化合物、長周期型周期表第9族元素の化合物、長周期型周期表第12族元素の化合物、長周期型周期表第13族元素の化合物、長周期型周期表第14族元素の化合物が好ましく、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物がより好ましく、長周期型周期表第2族元素の化合物がさらに好ましい。長周期型周期表第2族元素の化合物の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムの化合物が好ましく、カルシウム、マグネシウムの化合物がより好ましく、マグネシウムの化合物がさらに好ましい。これらの金属化合物は主に、水酸化物や塩等として使用される。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;アセチルアセトナート塩;等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
特に好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩が用いられ、最も好ましくは酢酸マグネシウムが用いられる。
本発明のポリカーボネートジオールのNMRから求めた数平均分子量(Mn)の下限は250であり、好ましくは500、より好ましくは750である。一方、上限は5,500であり、好ましくは4,500、より好ましくは3,500、さらに好ましくは3,000である。ポリカーボネートジオールのMnが前記下限未満では、ウレタンとした際に柔軟性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。尚、数平均分子量は核磁気共鳴法(NMR)により求めることができる。
本発明のポリカーボネートジオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートジオールの場合には、不純物として一部分子鎖末端が水酸基ではないものが存在する可能性がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物由来の構造である。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は、下限は好ましくは20mg−KOH/g、より好ましくは25mg−KOH/g、さらに好ましくは30mg−KOH/g、最も好ましくは35mg−KOH/gである。また、上限は好ましくは450mg−KO
H/g、より好ましくは230mg−KOH/g、さらに好ましくは150mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリウレタンとした時に柔軟性や低温特性などの物性が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールは前記エステル交換触媒に由来する元素がポリカーボネートジオール中に残存する場合がある。又、ジヒドロキシ化合物やカーボネート化合物或いはその他の添加剤の不純物として混入する可能性がある。更には、エステル交換反応を行う反応装置より元素がポリカーボネートジオールに混入する場合がある。それら全ての場合において本発明は適用される。
式(2)で表される化合物のような2級のヒドロキシ基を持つジヒドロキシ化合物と1級のジヒドロキシ化合物を使用したポリカーボネートジオールの場合、1級のヒドロキシ基を持つジヒドロキシ化合物のみを使用したポリカーボネートジオールと比較して、エステル交換反応が起こりやすく、そのため分子量や残存モノマー量が増大しやすい。また式(2)で表されるようなジヒドロキシ化合物は構造上着色しやすい性質を持つ。本発明では、ポリカーボネートジオールにリン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を添加することにより、分子量や残存モノマーの増大を抑制し、また着色に関しても抑制、改善する効果がある。
リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常0.1〜5時間である。
本発明のポリカーボネートジオールの濁度は、三菱化学株式会社製積分球式濁度計PT−200にて、10mmのセルにポリカーボネートジオールの50%塩化メチレン溶液を入れ、予め装置に設定されているポリスチレン検量線を使用して測定された値として、2.0ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。濁度が2.0ppmより大きいと、ポリカーボネートジオールを原料として得られるポリウレタンの透明性悪化を招いて商品価値を低下させたり、機械的物性を低下させたりすることがある。濁りは主に、触媒成分の凝集・析出、添加剤の凝集・析出、溶解度の低い環状オリゴマー等の生成が原因と考えられ、濁度を2.0ppm以下にするためには、ポリカーボネートジオール製造時の触媒、添加剤の種類や量の選択、熱履歴、重合中および重合終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。例えば、触媒自体のポリカーボネートジオールへの溶解度が低いと触媒の析出が起こり易くなり、濃度が高いと析出を助長する。一方、溶解度に劣る環状オリゴマーの生成を抑制するためには、モノマーであるジヒドロキシ化合物の選択や組合せも重要である。例えば、ホモポリマーの場合、環状オリゴマーが生成しやすい傾向にあるが、共重合にすることにより、安定な環状構造を取り難くなり、濁度が下がる傾向にある。また、ポリカーボネートジオール製造時の温度が高いと、熱力学的に環
状オリゴマーが生成し易くなるため、重合温度を低下させることは有効である。但し、低下させすぎると生産性に支障が出たり、過度に時間がかかって、色調の悪化を招いたり、濁度の悪化を招いたりするので好ましくない。
本発明のポリカーボネートジオールの色は、ハーゼン色数(JIS −K0071−1
:1998に準拠)で表した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)で60以下であるものであって、50以下が好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。APHA値が60を越えると、ポリカーボネートジオールを原料として得られるポリウレタンの色調が悪化し、商品価値を低下させたり、熱安定性が悪くなったりする。APHA値を60以下にするためには、ポリカーボネートジオール製造時の触媒、添加剤の種類や量の選択、熱履歴、重合中および重合終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。また、重合中および重合終了後の遮光も効果的である。また、ポリカーボネートジオールの分子量の設定やモノマーであるジヒドロキシ化合物種の選定も重要である。特にアルコール性水酸基を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を原料とするポリカーボネートジオールは、ポリウレタンに加工した場合に、柔軟性や耐水性、耐光性等の種々の優れた性能を示すが、芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とした場合より熱履歴や触媒による着色が著しくなる傾向にあり、APHA値を60以下にするのは容易ではない。
原料として例えばジフェニルカーボネート等の芳香族カーボネート化合物を使用した場合、ポリカーボネートジオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、例えば、該ポリカーボネートジオールを原料としてポリウレタンを製造する場合には、フェノール類が反応の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生し、不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートジオール中のフェノール類の残存量は、少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、後述するようにポリカーボネートジオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートジオールの重縮合反応後に薄膜蒸留等の精製工程を行うことが有効である。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する方法は、原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であり、ポリカーボネートジオールの分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、全末端基量に対して、10モル%以下であるポリカーボネートジオールに対して、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種をエステル交換触媒1モルに対して0.1モル倍以上50モル倍以下添加するポリカーボネートジオールを製造する方法である。
ジヒドロキシ化合物は構造の一部に前記一般式(1)で表わされる部位を有するジヒドロキシ化合物を含んでいれば特に限定されない。構造の一部に前記一般式(1)で表わされる部位を有するジヒドロキシ化合物は、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット等があり、好ましくはイソソルビドである。
カーボネート化合物としてはジアリール化合物が好ましい。
<2−3.エステル交換触媒>
エステル交換触媒としては一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができるが、エステル交換反応速度を高めるという観点から、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、長周期型周期表第4族元素の化合物、長周期型周期表第5族元素の化合物、長周期型周期表第9族元素の化合物、長周期型周期表第12族元素の化合物、長周期型周期表第13族元素の化合物、長周期型周期表第14族元素の化合物が好ましく、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物がより好ましく、長周期型周期表第2族元素の化合物がさらに好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールのNMRから求めた数平均分子量(Mn)の下限は
250であり、好ましくは500、より好ましくは750である。一方、上限は5,500であり、好ましくは4,500、より好ましくは3,500、さらに好ましくは3,000である。ポリカーボネートジオールのMnが前記下限未満では、ウレタンとした際に柔軟性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。尚、数平均分子量は核磁気共鳴法(NMR)により求めることができる。
エステル交換反応の際の反応温度は、実用的な反応速度が得られる温度であれば任意に採用することが出来る。通常反応温度の下限は70℃であることが好ましく、100℃であることがより好ましく、130℃であることがさらに好ましい。反応温度の上限は、通常は220℃であることが好ましく、200℃であることがより好ましく、180℃であることがさらに好ましい。反応温度の上限を前記の値とすることにより、得られるポリカーボネートジオールが着色したり、エーテル構造が生成するなどの品質上の問題が生じるのを防ぐことができる。
ポリカーボネートジオールは通常反応中の溶液に含まれるフェノール類の含有量(以下、「重合反応成分に含有されるヒドロキシアリールの濃度」と言い換えることがある)を45wt%以下にすることが好ましく、30wt%以下にすることがより好ましく、20wt%以下にすることがさらに好ましい。
なお、フェノール類の含有量を上限値以下とする方法としては、例えば、反応初期から減圧下で反応を行い、生成したフェノール類を留去することなどが挙げられる。
また、前記フェノール類の含有量は、例えば、反応器から反応溶液の一部を一定時間おきに抜き取り、それをNMR、GPCおよびLCで定量することにより測定することができる。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成する軽沸成分を系外に留去することで反応を生成系に偏らせることができる。従って、通常、反応後半には、減圧条件を採用して軽沸成分を留去しながら反応することが好ましい。
この際の反応終了時の反応圧力は、上限が、10kPaであることが好ましく、5kPaであることがより好ましく、1kPaであることがさらに好ましい。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどの不活性ガスを流通しながら該反応を行うこともできる。
さらにこれら原料の留去を防ぐ意味で、反応器に還流管をつけて、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物を還流させながら反応を行うことも可能であり、この場合、仕込んだ原料が失われず試剤の量比を正確に合わせることが出来るので好ましい。
重合反応は、バッチ式または連続式に行うことができるが、本発明では製品の安定性等から連続式で行うことが好ましい。使用する装置は、槽型、管型および塔型のいずれの形式であってもよく、各種の攪拌翼を具備した公知の重合槽等を使用することができる。装置昇温中の雰囲気は特に制限はないが、製品の品質の観点から、窒素ガス等の不活性ガス中、常圧または減圧下で行われるのが好
ましい。
エステル交換反応の進行に伴い、生成するポリカーボネートジオールの全末端基に対するカーボネート化合物に由来する末端基の割合が減少する。そして、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、全末端基量に対して、10モル%以下になった後に、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種をエステル交換触媒1モルに対して0.1モル倍以上50モル倍以下添加する。リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の添加時期は、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、5モル%以下がより好ましく、3モル%以下がさらに好ましく、1モル%以下が特に好ましい。
ることにより、エステル交換触媒を効率よく失活させることが可能となる。そのため、エステル交換反応後に残存モノマー類の除去や分子量調整を行う場合において、加熱による着色や分子量等の変化がなく、品質の安定したポリカーボネートジオールを製造することが可能となる。
前記、ポリカーボネートジオールにリン酸及び/又は亜リン酸添加後に精製工程を有することが好ましい。精製工程とはポリカーボネートジオール生成物中の原料ジヒドロキシ化合物、原料カーボネート化合物、副生する軽沸の環状カーボネート、カーボネート化合物から副生するアルコール類、フェノール類および添加した触媒などを除去する目的で精製する工程であり、例えば、減圧蒸留、水蒸気蒸留および薄膜蒸留などが挙げられ、中でも薄膜蒸留が効果的である。
薄膜蒸留時の温度の下限を前記の値とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分となる。また、上限を250℃とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートジオールが着色するのを防ぐことができる。
また、薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの保温の温度は、上限が250℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。また、下限が80℃であることが好ましく、120℃であることがより好ましい。
また、水溶性の不純物を除くために、水、アルカリ性水、酸性水およびキレート剤溶解溶液などで洗浄してもよい。その場合水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
<NMRによるフェノキシ基量、ジヒドロキシ化合物含有量及びフェノール含有量の定量とポリカーボネートジオールの数平均分子量の測定>
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基、ジヒドロキシ化合物、フェノールを同定し、積分値より各々の含有量を算出した。その際の検出下限界は、サンプル全体の重量に対するフェノールの重量として100ppm、ジヒドロキシ化合物は100ppmである。またフェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出下限界は末端全体に対して0.1%である。またポリカーボネートの積分値より、ポリカーボネートジオールの数平均分子量を算出した。
〔組成分析(ISB/1,6−ヘキサンジオール共重合ポリカーボネートジオール)〕
前記1H−NMRにより、以下ケミカルシフト値の積分値を取得した。尚、1,6ヘキ
サンジオールは「16HD」と略記する場合がある。
δ5.207〜4.973ppmの積分値=a
δ4.697〜4.599ppmの積分値=b
δ4.599〜4.464ppmの積分値=c
δ3.686〜3.501ppmの積分値=d
δ2.764〜2.717ppmの積分値=e
δ1.493〜1.295ppmの積分値=f
ISBに由来する鎖末端の構造は2種存在し、それぞれを「ISB末端1」、「ISB末端2」とする。また末端以外のポリカーボネートジオール中のISB由来構造部分を「ISB中」とする。同様に16HDに関して、「16HD末端」「16HD中」とする。それぞれのプロトン数を考慮し、以下の式によりそれぞれの数を計算することにより組成比を算出した。
(ISB)末端1=b−e
(ISB)中=c−(ISB)末端1
(ISB)末端2=a−(ISB)末端1−(ISB)中×2
(16HD)末端=(d−e−(ISB)末端1)÷2
(16HD)中=(f−(16HD)末端×4)÷4
〔組成分析(ISB/1,4−ブタンジオール共重合ポリカーボネートジオール)〕
その他のISB/1,6−ヘキサンジオール共重合ポリカーボネートジオールと同様、末端と末端以外の各ジヒドロキシ化合物由来の構造を特定し、積分値とプロトン数から組成比を算出した。
10mLメスフラスコにポリカーボネートジオール1gを精秤し、アセトニトリルを加えて10mLに定容した。その溶液を100μL採取し、純水を900μL加えてポリカーボネートジオールを析出させ、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。ろ過後の溶液を用いてLCによる定量分析にて測定した。
カラム:Synergi 4μm Hydro−RP 250mmL×4.6mmI.D.
注入量:50μL
溶離液:0.1%ぎ酸水溶液
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
10mLメスフラスコにポリカーボネートジオール1gを精秤し、アセトニトリルを加えて10mLに定容した。その溶液を用いてLCによる定量分析にて測定した。
カラム:CAPCELL PAK 3μm 75mmL×4.6mmI.D.MG
溶離液:水/アセトニトリル=95/5〜0/100 (容積比)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
JIS K0071−1(1998)に準拠して、比色管に入れた標準液と比較して測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学)を使用した。またAPHA50までは5刻みで溶液を調整し判定した。
三菱化学株式会社製積分球式濁度計PT−200にて、10mmのセルにポリカーボネートジオールの50%塩化メチレン溶液を入れ、予め装置に設定されているポリスチレン検量線を使用して測定した。
ポリカーボネートジオール1gを精秤し、10mLのアセトニトリルに溶解した後、純水を滴下して100mLに定容後、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。ろ過後の溶液のリン酸、亜リン酸をイオンクロマトグラフィーで分析した。なお、溶媒として使用するアセトニトリルのリン酸、亜リン酸濃度をブランク値として測定し、溶媒分のリン酸、亜リン酸濃度を差し引いた値をポリカーボネートジオールのリン酸、亜リン酸濃度とした。測定条件は以下の表−1に示す通りである。
ポリカーボネートジオール1gを精秤し、アセトニトリルにて10mLに定容後にガスクロマトグラフィーにて以下の分析条件で測定した。
(分析条件)
カラム:DB−1HT 30m×0.25mm×0.1μm
オーブン温度:150℃→15℃.min→300℃
カラム流量:1.5mL/min(コンスタントフロー)
注入口温度:250℃
注入方法:スプリット(1/15)
注入量:1μL
検出器:FPD
検出器温度:250℃
ポリカーボネートジオール1gを精秤し、89%硫酸10mLを加え、高温ホットプレートにて200℃から400℃になるまで加熱を行った。室温まで冷却後、69%硝酸を1mL添加し、再び高温ホットプレートにて200℃から400℃になるまで加熱を行った。硝酸添加、加熱の操作を分解液が透明になるまで繰り返した。室温まで冷却後、上記で得られた液を使用してICP−OES Vista−Pro(Agilent社製)で定量し、ポリカーボネート中の金属元素のモル濃度を算出した。
直径50mm、高さ200mm、面積0.0314m2の内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。
[合成例1]
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)14.518kg、イソソルビド(ISB)17.954kg、ジフェニルカーボネート37.528kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液5.27mL(濃度:200g/L)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が146℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を18.0kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を162℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、120分かけて圧力を8.00kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには180℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を8.00kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は165℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、166℃、0.40kPaにて115分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートジオールを得た。この結果を下記表−2に示す。
得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温で透明液体であり、分子量819、APHA45、全体比は16HD/ISB=54/46、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は8.7重量%、フェノール含有量は0.37重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。更に、カーボネート化合物に由来する末端基は未検出であった。
表−2に記載した原料、反応温度、反応時間に変更した以外は、合成例1と同様に反応した。反応結果は表−2に記載した。
[合成例3]
表−2に記載した原料、反応温度、反応時間に変更し、第1段階の反応での減圧開始5分後の圧力を20.0kPa、さらに120分後の圧力を9.3kPa、第2段階の反応
での減圧開始5分後の圧力を9.3kPaに変更した以外は、合成例1と同様に反応した。
さらに、得られた生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表−2に記載した。
[合成例4]
表−2に記載した原料、反応温度、反応時間に変更した以外は、合成例1と同様に反応した。
前記反応中のポリカーボネートジオールにおける分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、NMRにて未検出になったことを確認後に、予め作成していた、合成例1のポリカーボネートジオールに0.040wt%となるようにリン酸を添加したリン酸入りポリカーボネートジオール609gをポンプで移送して前記反応中のポリカーボネートジオールに添加した。反応結果は表−2に記載した。なお、収率は添加したポリカーボネートジオールを除いた量で算出した。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,4−ブタンジオール(14BG)11.478kg、イソソルビド(ISB)18.613kg、ジフェニルカーボネート39.615kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液5.46mL(濃度:200g/L)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が146℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を21.3kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち、21.3kPaにて30分間、副生するフェノールを留出させ、90分かけて圧力を12.0kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには180℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を12.0kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は165℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、40分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、170℃、0.40kPaにて15分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートジオールを得た。この結果を下記表−3に示す。
得られたポリカーボネートジオール生成物の性状を表−3に示す。
合成例1〜6で作成したポリカーボネートジオールをそれぞれPCD−A〜Fとした。
有機合成装置ケミストプラザCP−100シリーズ Chemi Chemi−100(柴田科学株式会社製)を使用して加熱検討を行った。表−4、表−5に記載のポリカーボネートジオール、添加剤を試験管に仕込み、十字型攪拌子を入れ、予めブロックヒーターの温度を160℃にセットして温めておいたケミストプラザで4時間加熱を行った。結果を表−4、表−5に記載した。
表−6に記載のポリカーボネートジオールを使用し、流量20g/min、圧力0.027kPa、表に記載のジャケットオイル温度にて薄膜蒸留を行った。結果を表−6に記載した。
[実施例18、比較例8]
いかり型攪拌翼を具備した300mL試験管に約50gのポリカーボネートジオールを加え、シリコンゴム栓にて封をして、圧力0.40kPaの減圧下、内温170℃で3時間加熱した。結果を表−7に記載した。
Claims (10)
- 数平均分子量が250以上5500以下であり、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネートジオールであって、
リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を更に含有し、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの合計含有量が、エステル交換触媒に由来する金属元素の合計含有量に対して0.1モル倍以上50モル倍以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
- 構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートジオール。
- ポリカーボネートジオール中の前記エステル交換触媒に由来する金属元素の合計含有量が0.1ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネートジオール。
- ポリカーボネートジオール中の前期エステル交換触媒に由来する金属元素が、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む請求項1乃至3に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記ポリカーボネートジオールが原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により得られたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記カーボネート化合物がジアリールカーボネートであることを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネートジオール。
- 積分球式濁度計にて測定した濁度が2.0ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- JIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、60以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 原料モノマーとして構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
ポリカーボネートジオールの分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、全末端基量に対して、10モル%以下であるポリカーボネートジオールに対して、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種をエステル交換触媒1モルに対して0.1モル倍以上50モル倍以下添加することを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
- 前記ポリカーボネートジオールに対して、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を添加した後に精製工程を有することを特徴とする請求項9に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014060713A JP2014208790A (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-24 | 熱安定性に優れた、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013073117 | 2013-03-29 | ||
JP2013073117 | 2013-03-29 | ||
JP2014060713A JP2014208790A (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-24 | 熱安定性に優れた、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014208790A true JP2014208790A (ja) | 2014-11-06 |
Family
ID=51903218
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014060713A Pending JP2014208790A (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-24 | 熱安定性に優れた、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014208790A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106366738A (zh) * | 2015-07-24 | 2017-02-01 | 旭化成株式会社 | 聚碳酸酯二醇的包装体以及保存方法和运输方法 |
JP2017024799A (ja) * | 2015-07-24 | 2017-02-02 | 旭化成株式会社 | ポリカーボネートジオールの梱包体並びに保存方法及び運搬方法 |
JP2017025155A (ja) * | 2015-07-17 | 2017-02-02 | 旭化成株式会社 | ポリカーボネートジオールの製造方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1994007934A1 (en) * | 1992-09-29 | 1994-04-14 | Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha | Thermoplastic polyurethane derived from polytetramethylene carbonate diol |
JP2002519491A (ja) * | 1998-07-02 | 2002-07-02 | コグニス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング | 末端水酸基有する化合物の製造方法 |
JP2005232447A (ja) * | 2004-01-22 | 2005-09-02 | Ube Ind Ltd | 液状ポリエーテルカーボネートジオール及び該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタン |
JP2013010948A (ja) * | 2011-05-30 | 2013-01-17 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリカーボネートポリオールの製造方法及び該ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン |
-
2014
- 2014-03-24 JP JP2014060713A patent/JP2014208790A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1994007934A1 (en) * | 1992-09-29 | 1994-04-14 | Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha | Thermoplastic polyurethane derived from polytetramethylene carbonate diol |
JP2002519491A (ja) * | 1998-07-02 | 2002-07-02 | コグニス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング | 末端水酸基有する化合物の製造方法 |
JP2005232447A (ja) * | 2004-01-22 | 2005-09-02 | Ube Ind Ltd | 液状ポリエーテルカーボネートジオール及び該ジオールをジオール成分に持つ熱可塑性ポリウレタン |
JP2013010948A (ja) * | 2011-05-30 | 2013-01-17 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリカーボネートポリオールの製造方法及び該ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017025155A (ja) * | 2015-07-17 | 2017-02-02 | 旭化成株式会社 | ポリカーボネートジオールの製造方法 |
CN106366738A (zh) * | 2015-07-24 | 2017-02-01 | 旭化成株式会社 | 聚碳酸酯二醇的包装体以及保存方法和运输方法 |
JP2017024799A (ja) * | 2015-07-24 | 2017-02-02 | 旭化成株式会社 | ポリカーボネートジオールの梱包体並びに保存方法及び運搬方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9382378B2 (en) | Polycarbonate resins and processes for producing the same | |
JP2005530001A (ja) | ポリカーボネートの製造方法 | |
CN104837890B (zh) | 经高分子量化的芳香族聚碳酸酯树脂的制造方法 | |
JP2018080346A (ja) | 熱安定性に優れたポリカーボネートジオールおよびその製造方法 | |
JP6229250B2 (ja) | ポリカーボネートジオール含有組成物及びポリカーボネートジオール含有組成物の製造方法 | |
JP6135264B2 (ja) | 熱安定性に優れたポリカーボネートジオールの製造方法 | |
WO2012093693A1 (ja) | ポリカーボネートの製造方法 | |
JP2014208790A (ja) | 熱安定性に優れた、ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 | |
JP2009051887A (ja) | 反応制御が容易なポリカーボネートジオール | |
JP5412583B2 (ja) | フルオレン誘導体からなる熱可塑性樹脂の製造方法 | |
JP6696546B2 (ja) | ポリカーボネートジオールの製造方法 | |
JP2014208791A (ja) | 熱安定性に優れたポリカーボネートジオールおよびその製造方法 | |
EP3611211B1 (en) | Polycarbonate diol composition and method for producing same | |
KR20120120132A (ko) | 폴리카보네이트의 제조 방법 | |
JP2017088641A (ja) | ポリカーボネートジオールの製造方法 | |
JP6078996B2 (ja) | ポリカーボネートジオールの製造方法 | |
JP4622143B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JPWO2011062121A1 (ja) | ポリカーボネートの製造方法 | |
JP2006298986A (ja) | 脂肪族ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 | |
JP2023177771A (ja) | ポリカーボネートジオールの製造方法及びポリカーボネートジオール | |
JP6699098B2 (ja) | ポリカーボネートジオール含有組成物 | |
JP5929427B2 (ja) | ポリカーボネートの製造方法 | |
JP2024008235A (ja) | エステル交換触媒 | |
JP3700648B2 (ja) | 液状ポリエーテルカーボネートジオール | |
CN118660923A (zh) | 聚碳酸酯二醇的制造方法、聚碳酸酯二醇和酯交换催化剂 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20161011 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170418 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170510 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170523 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20170721 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170922 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20171121 |