JP5412583B2 - フルオレン誘導体からなる熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、フルオレン誘導体を含み溶融重合時の着色が極めて少ない熱可塑性樹脂に関する。
近年、ビスフェノール類を原料とする樹脂、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂等は、耐熱性、透明性、耐衝撃性、高屈折率を備えた材料として広く使用されている。特に9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のフルオレン誘導体からなる樹脂は、高透明で高屈折率な材料として有望であり、自動車用ヘッドランプレンズ、CD、CD−ROM、ピックアップレンズ、フレネルレンズ、レーザープリンター用fθレンズ、カメラレンズ、リアプロジェクションテレビ用投影レンズ等の光学材料等として期待されている。
中でも、芳香族ジカルボン酸とフルオレン誘導体を用いた樹脂や、芳香族ジオールとフルオレン誘導体を用いた樹脂は、屈折率が高く、複屈折が小さい光学レンズとして提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、これらの樹脂は溶融重合時に着色し、色相に優れた製品を得られない場合がある。
中でも、芳香族ジカルボン酸とフルオレン誘導体を用いた樹脂や、芳香族ジオールとフルオレン誘導体を用いた樹脂は、屈折率が高く、複屈折が小さい光学レンズとして提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、これらの樹脂は溶融重合時に着色し、色相に優れた製品を得られない場合がある。
このような問題点を解決するために、フルオレン誘導体からなる樹脂の色相に関する報告がなされている(特許文献3、4)。これらの報告では、フルオレン誘導体を製造する際の残存硫黄量や樹脂中の硫黄量やジエチレングリコールを減らすことで、樹脂の着色を低減できるとしている。
しかしながら、上記の方法でも樹脂が着色する場合があり、未だ樹脂に改善余地がある。よって、光学材料として広く用いるために、これらの問題を解決する必要性がある。
しかしながら、上記の方法でも樹脂が着色する場合があり、未だ樹脂に改善余地がある。よって、光学材料として広く用いるために、これらの問題を解決する必要性がある。
本発明の目的は、フルオレン誘導体を含み色相に優れる熱可塑性樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者らはこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の副生成物の含有量を制御した9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下、BPEFということがある)を用いて熱可塑性樹脂を製造すると、色相に優れる熱可塑性樹脂が得られることを見出し本発明に至った。
本発明者らはこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の副生成物の含有量を制御した9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下、BPEFということがある)を用いて熱可塑性樹脂を製造すると、色相に優れる熱可塑性樹脂が得られることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、フェノキシエタノールとフルオレン−9−オンから製造された9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを30モル%以上含有するジヒドロキシ成分と、ジカルボン酸成分および炭酸エステル成分からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分とを反応させて、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリエステルカーボネート樹脂からなる群より選ばれる一種の熱可塑性樹脂を製造する方法であって、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度が99重量%以上であり、かつ、フェノキシエタノールの含有量が1〜500ppmであることを特徴とする、下記式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量が100ppm以下であり、かつ下記式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量が200ppm以下である光学材料用の熱可塑性樹脂の製造方法である。
本発明により得られる熱可塑性樹脂は、溶融重合時、溶融押出時、成形時等において、樹脂の着色が極めて小さい。本発明の熱可塑性樹脂を用いると、光学レンズやプリズム、光ディスク、光ファイバー、光学フィルム等の色相に優れる光学部品を射出成形等で得ることができる。
本発明により得られる熱可塑性樹脂は、30モル%以上の下記式で表されるBPEF由来の単位を含む。BPEF由来の単位の含有量は、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%である。
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリエステルカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂は、光学フィルム、光学ディスク、光学プリズムおよび光学レンズからなる群より選ばれる少なくとも一種に用いられる。
<不純物>
熱可塑性樹脂中の式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量は、熱可塑性樹脂に対して100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。上記範囲外であると、色相の良い樹脂が得られない。
熱可塑性樹脂中の式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量は、熱可塑性樹脂に対して100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。上記範囲外であると、色相の良い樹脂が得られない。
さらに、本発明における熱可塑性樹脂の下記式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量は熱可塑性樹脂に対して200ppm以下である。該樹脂中に含まれる式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量は、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。式(2)で表される化合物の含有量が、200ppmを超えると金属系の触媒と作用し色相が悪化し、更に成形時に発生ガスとなり成形不良の一因となり良好な成形品が得られない場合がある。
式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドを上記範囲内にするには、原料となるBPEF中のフェノキシエタノールの量を低減させることが好ましい。BPEF中には、製造する際に使用されるフェノキシエタノールが残留する。このフェノキシエタノールの含有量が多くなると熱可塑性樹脂の重合時に式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなる。原料BPEF中のフェノキシエタノール含有量は好ましくは1〜500ppm、より好ましくは1〜450ppm、さらに好ましくは1〜400ppmである。
また、本発明により得られる熱可塑性樹脂中における、式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量は200ppm以下であることが好ましい。該樹脂中に含まれる式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が200ppm以下であると色相の良好な樹脂が得られる。該樹脂中の式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量は、熱可塑性樹脂に対してより好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。上記範囲外であると、樹脂が着色し、色相が良好な成形品が得られない場合がある。
また、本発明により得られる熱可塑性樹脂中における、式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量は200ppm以下であることが好ましい。該樹脂中に含まれる式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が200ppm以下であると色相の良好な樹脂が得られる。該樹脂中の式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量は、熱可塑性樹脂に対してより好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。上記範囲外であると、樹脂が着色し、色相が良好な成形品が得られない場合がある。
式(3)で表されるフルオレン−9−オンを上記範囲内にするには、熱可塑性樹脂の原料となるBPEF中の式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量を低減させることが好ましい。BPEFの製造時にフルオレン−9−オンが使用されており、BPEF中にはフルオレン−9−オンが残留する。このBPEF中のフルオレン−9−オン量が多くなると、重合後の熱可塑性樹脂中にも残存しやすく、熱可塑性樹脂中のフルオレン−9−オン含有量も増える。原料BPEF中の式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量は好ましくは1〜500ppm、より好ましくは1〜450ppm、さらに好ましくは1〜400ppmである。
式(1)、(2)、(3)で表される物質の樹脂中の含有量は少なければ少ない方が樹脂色相に良いが、重合時の温度、真空度、重合時間等製造における制約により含有量の低減には下限があり、好ましくは1ppm以上となる。
式(1)、(2)、(3)で表される物質の樹脂中の含有量は少なければ少ない方が樹脂色相に良いが、重合時の温度、真空度、重合時間等製造における制約により含有量の低減には下限があり、好ましくは1ppm以上となる。
<熱可塑性樹脂の製造方法>
熱可塑性樹脂は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含有するジヒドロキシ成分と、ジカルボン酸成分および炭酸エステル成分からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分とを反応させ製造することができる。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度は99重量%以上であり、かつ、フェノキシエタノールの含有量が1〜500ppmである。また9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含有するジヒドロキシ成分と、ジカルボン酸成分および炭酸エステル成分からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分とを反応させ製造することができる。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度は99重量%以上であり、かつ、フェノキシエタノールの含有量が1〜500ppmである。また9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
本発明に使用されるBPEFの純度は、好ましくは99.5重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上である。純度が上記範囲外であると色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。BPEFの純度は、HPLCによって測定することができる。
BPEFの精製方法の一例としては、脂肪族アルコールを用いた再精製と活性炭を用いた精製が有効である。BPEFは脂肪族アルコールへの溶解性が低いが、式(3)で表される化合物やフェノキシエタノール等の不純物は高い溶解性を示す。具体的には、BPEFの85℃、16重量%トルエン溶液を脂肪族アルコールに再沈殿させ、濾過回収、乾燥し粗結晶を得るのが有効である。具体的な脂肪族アルコールには炭素数1〜2の、メタノール、エタノール等を挙げることができる。この粗結晶を85℃、16重量%トルエン溶液に調製し、撹拌しながら室温、もしくは、冷水で容器の回りを冷却しながら固体を析出させ,次いで、得られた結晶を濾過し、乾燥させ回収する。その後、再度85℃、16重量%トルエン溶液とし、再結晶化を行い、結晶を回収する。さらに、結晶をアセトンに完全溶解し、活性炭(NoritSX Plus)を加え1時間攪拌した。その後、活性炭をろ過し、アセトンを留去、精製結晶を得た。上記精製方法により、所望の不純物含有量のBPEFを得ることが出来る。
BPEFの精製方法の一例としては、脂肪族アルコールを用いた再精製と活性炭を用いた精製が有効である。BPEFは脂肪族アルコールへの溶解性が低いが、式(3)で表される化合物やフェノキシエタノール等の不純物は高い溶解性を示す。具体的には、BPEFの85℃、16重量%トルエン溶液を脂肪族アルコールに再沈殿させ、濾過回収、乾燥し粗結晶を得るのが有効である。具体的な脂肪族アルコールには炭素数1〜2の、メタノール、エタノール等を挙げることができる。この粗結晶を85℃、16重量%トルエン溶液に調製し、撹拌しながら室温、もしくは、冷水で容器の回りを冷却しながら固体を析出させ,次いで、得られた結晶を濾過し、乾燥させ回収する。その後、再度85℃、16重量%トルエン溶液とし、再結晶化を行い、結晶を回収する。さらに、結晶をアセトンに完全溶解し、活性炭(NoritSX Plus)を加え1時間攪拌した。その後、活性炭をろ過し、アセトンを留去、精製結晶を得た。上記精製方法により、所望の不純物含有量のBPEFを得ることが出来る。
本発明により得られる熱可塑性樹脂は、式(3)やフェノキシエタノール等の不純物を上記の含有量以下にしたBPEFを原料として使用する。フェノキシエタノールや式(3)で表わされる成分が多く含有するBPEFを使用する場合、重合時に副生成物が発生しやすく、着色要因物質となることがあり好ましくない。また、これらの副生成物は射出成形時のガス発生の原因にもなり好ましくない。
BPEFに含まれるフェノキシエタノール量が500ppm以下、フルオレン−9−オン量が500ppm以下であることが好ましい。フェノキシエタノール量が上記の量以上では、重合時に着色原因となる副生成物である式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが発生しやすくなり、色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。同様に、BPEF中のフルオレン−9−オン含有量が上記の量以上となる場合、重合後の樹脂中に残存し、色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。
BPEF以外のジヒドロキシ成分、ジカルボン酸成分、炭酸ジエステルの純度も、好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上である。純度が上記範囲外であると色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。純度はHPLCによって測定することができる。
BPEFに含まれるフェノキシエタノール量が500ppm以下、フルオレン−9−オン量が500ppm以下であることが好ましい。フェノキシエタノール量が上記の量以上では、重合時に着色原因となる副生成物である式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが発生しやすくなり、色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。同様に、BPEF中のフルオレン−9−オン含有量が上記の量以上となる場合、重合後の樹脂中に残存し、色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。
BPEF以外のジヒドロキシ成分、ジカルボン酸成分、炭酸ジエステルの純度も、好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上である。純度が上記範囲外であると色相の良い樹脂が得られにくく好ましくない。純度はHPLCによって測定することができる。
<ポリカーボネート樹脂>
熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、下記式(I)で表される単位を含む。
熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、下記式(I)で表される単位を含む。
ポリカーボネート樹脂は、BPEFを少なくとも含有するジヒドロキシ成分を炭酸エステル成分と、塩基性化合物触媒の存在下反応させた樹脂である。
ジヒドロキシ成分は、BPEF以外の他の共重合成分を含んでも良い。他の共重合成として、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール等芳香族ジオールが挙げられる。また、エチレングリコール等の脂肪族ジオール、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、スピログリコール、イソソルビド、イソマンニド等の脂環式ジオールが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA:BPA)が好ましい。
ジヒドロキシ成分は、BPEF以外の他の共重合成分を含んでも良い。他の共重合成として、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール等芳香族ジオールが挙げられる。また、エチレングリコール等の脂肪族ジオール、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、スピログリコール、イソソルビド、イソマンニド等の脂環式ジオールが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA:BPA)が好ましい。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。これらの芳香族炭酸ジエステルは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式(I)で表される単位の含有量が、全ジヒドロキシ成分の30モル%以上、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%である。式(I)で表される単位の含有量を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリカーボネート樹脂となる。
強度の点では式(I)で表される単位の含有率が高いほど弾性率が高く好ましいが、一方、高すぎると引っ張り伸びが低下するため、式(I)で表される単位の含有量は90モル%以下であるのが好ましい。式(I)で表される単位の含有量が、全単位に対して50〜90モル%であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、好ましくは7,000〜15,000、より好ましくは8,000〜14,000である。分子量は溶液粘度法で測定する。
ポリカーボネート樹脂は、式(I)で表される単位の含有量が、全ジヒドロキシ成分の30モル%以上、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%である。式(I)で表される単位の含有量を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリカーボネート樹脂となる。
強度の点では式(I)で表される単位の含有率が高いほど弾性率が高く好ましいが、一方、高すぎると引っ張り伸びが低下するため、式(I)で表される単位の含有量は90モル%以下であるのが好ましい。式(I)で表される単位の含有量が、全単位に対して50〜90モル%であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、好ましくは7,000〜15,000、より好ましくは8,000〜14,000である。分子量は溶液粘度法で測定する。
ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、通常のポリカーボネート樹脂の製造に用いる方法が任意に採用される。例えばジオールとホスゲンとの反応、またはジオールとビスアリールカーボネートとのエステル交換反応が好ましく採用される。
ジオールとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にジオールとビスアリールカーボネートを混合し、アルカリ金属化合物触媒もしくはアルカリ土類金属化合物もしくはその双方からなる混合触媒の存在下にて、減圧下、通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。しかしながら、重合温度が、350℃以上では式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生し易くなり、120℃以下では、反応が進行せず好ましくない。
ジオールとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にジオールとビスアリールカーボネートを混合し、アルカリ金属化合物触媒もしくはアルカリ土類金属化合物もしくはその双方からなる混合触媒の存在下にて、減圧下、通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。しかしながら、重合温度が、350℃以上では式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生し易くなり、120℃以下では、反応が進行せず好ましくない。
重合触媒としてはアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
触媒として使用するアルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
触媒として使用するアルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
助触媒として使用する含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオール成分の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。しかしながら触媒量が上記以上では、式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、色相が悪化し好ましくない。また、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオール成分の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。しかしながら触媒量が上記以上では、式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、色相が悪化し好ましくない。また、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
ポリカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物については、一般的に、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの失活を行う物質としては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn−プロピル、亜リン酸ジn−ブチル、亜リン酸ジn−ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。これらの失活剤は、触媒量に対して0.01〜50倍モル、好ましくは0.3〜20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
ポリカーボネート樹脂は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含有するジヒドロキシ成分と、炭酸エステル成分とを反応させ製造することができる。9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度は99重量%以上であり、かつ、フェニキシエタノールの含有量が1〜500ppmである。また9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
<ポリエステル樹脂>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、下記式(II)で表される単位を含む。
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、下記式(II)で表される単位を含む。
式中Yは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アルキレン基等のジカルボン酸成分由来の単位である。
ポリエステル樹脂は、BPEFを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸および/またはこれらの反応性誘導体を含むジカルボン酸成分とを反応させた樹脂である。
ジオール成分およびジカルボン酸成分は、それぞれ単一の成分であってもよく、またはそれぞれ2種以上の化合物を含んでいてもよい。
ポリエステル樹脂は、BPEFを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸および/またはこれらの反応性誘導体を含むジカルボン酸成分とを反応させた樹脂である。
ジオール成分およびジカルボン酸成分は、それぞれ単一の成分であってもよく、またはそれぞれ2種以上の化合物を含んでいてもよい。
BPEFとともに使用可能な他のジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、デカンジオール等の直鎖状または分岐鎖状のC2−12のアルキレングリコールやトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、スピログリコール、イソソルビド、イソマンニド等の脂環式ジオール等が挙げられる。またジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の(ポリ)オキシアルキレングリコールが挙げられる。これらのジオールは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
BPEFと組み合わせて用いるジオールの好ましい例は、直鎖状または分岐鎖状C2−10のアルキレングリコールであり、より好ましくは直鎖状または分岐鎖状C2−6のアルキレングリコール、さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)等の直鎖状または分岐鎖状C2−4アルキレングリコールである。特に好ましい作用をするジオール成分としては、エチレングリコールが挙げられる。
BPEF以外のエチレングリコール等のジオールは、重合反応性を高めるとともに樹脂に柔軟性を付与させるための共重合成分として有用である。なお、共重合成分の導入により、屈折率、耐熱性、吸水性が低下する場合があるため、それらの点では、一般的には共重合比率は小さいほうがよい。
BPEF以外のエチレングリコール等のジオールは、重合反応性を高めるとともに樹脂に柔軟性を付与させるための共重合成分として有用である。なお、共重合成分の導入により、屈折率、耐熱性、吸水性が低下する場合があるため、それらの点では、一般的には共重合比率は小さいほうがよい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等のアルカンジカルボン酸が挙げられる。またマレイン酸、フマル酸等のアルケンジカルボン酸が挙げられる。またシクロヘキサンジカルボン酸等のシクロアルカンジカルボン酸が挙げられる。またデカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等のジまたはトリシクロアルカンジカルボン酸が挙げられる。またテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等)ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のアレーンジカルボン酸が挙げられる。
さらにヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物が挙げられる。またジメチルエステル、ジエチルエステル等の低級(C1−4)アルキルエステルが挙げられる。またジカルボン酸に対応する酸ハライド等のエステル形成可能な誘導体等が挙げられる。
さらにヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物が挙げられる。またジメチルエステル、ジエチルエステル等の低級(C1−4)アルキルエステルが挙げられる。またジカルボン酸に対応する酸ハライド等のエステル形成可能な誘導体等が挙げられる。
これらのジカルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもシクロヘキサンジカルボン酸、およびテレフタル酸が安価で工業的に入手しやすいため好ましい。
ポリエステル樹脂は、式(II)で表される単位の含有量が、全単位に対して60モル%以上、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは60〜90モル%である。式(II)で表される単位の割合を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステル樹脂となる。強度の点ではBPEFの含有率は高いほど弾性率が高く好ましいが、一方、高すぎると引っ張り伸びが低下するため、式(II)で表される単位の含有量は90モル%以下であるのが好ましい。よって式(II)で表される単位の含有量は、90〜60モル%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂は、BPEF由来の繰り返し単位の含有量が、全単位に対して30モル%以上、好ましくは30〜50モル%、より好ましくは30〜45モル%である。BPEF由来の繰り返し単位の割合を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステル樹脂となる。強度の点ではBPEFの含有率は高いほど弾性率が高く好ましいが、ポリエステル樹脂はジオール成分とジカルボン酸成分および/またはこれらの反応性誘導体を含むジカルボン酸成分の組成比が、50:50でなければ、十分な分子量にならない為、下記式で表されるBPEF由来の構成単位の含有量は、30〜50モル%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂は、式(II)で表される単位の含有量が、全単位に対して60モル%以上、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは60〜90モル%である。式(II)で表される単位の割合を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステル樹脂となる。強度の点ではBPEFの含有率は高いほど弾性率が高く好ましいが、一方、高すぎると引っ張り伸びが低下するため、式(II)で表される単位の含有量は90モル%以下であるのが好ましい。よって式(II)で表される単位の含有量は、90〜60モル%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂は、BPEF由来の繰り返し単位の含有量が、全単位に対して30モル%以上、好ましくは30〜50モル%、より好ましくは30〜45モル%である。BPEF由来の繰り返し単位の割合を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステル樹脂となる。強度の点ではBPEFの含有率は高いほど弾性率が高く好ましいが、ポリエステル樹脂はジオール成分とジカルボン酸成分および/またはこれらの反応性誘導体を含むジカルボン酸成分の組成比が、50:50でなければ、十分な分子量にならない為、下記式で表されるBPEF由来の構成単位の含有量は、30〜50モル%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量は、好ましくは7,000〜15,000、より好ましくは8,000〜14,000である。分子量は溶融粘度法で測定する。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸および/またはエステル形成性ジカルボン酸誘導体)と、BPEFを含むジオール成分とを、エステル交換法、直接重合法等の溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等の種々の方法に従って反応させて得ることができる。中でも、反応溶媒を用いない溶融重合法が好ましい。
溶融重合法の一つであるエステル交換法は、触媒存在下、ジカルボン酸エステルとジオール化合物とを反応させ、生成するアルコールを留去しながらエステル交換を行うことによりポリエステルを得る方法であり、一般にポリエステル樹脂の合成に用いられている。
エステル交換反応の触媒としては、少なくとも一種類以上の金属化合物を使用することが望ましい。好ましい金属化合物中に含まれる金属元素としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、チタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、スズ、コバルト等が挙げられる。これらの中でも、カルシウムおよびマンガン化合物は反応性が高く、得られる樹脂の色調が良好なことから好ましい。エステル交換触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。しかしながら触媒量が上記以上では、式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、色相が悪化し好ましくない。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸および/またはエステル形成性ジカルボン酸誘導体)と、BPEFを含むジオール成分とを、エステル交換法、直接重合法等の溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等の種々の方法に従って反応させて得ることができる。中でも、反応溶媒を用いない溶融重合法が好ましい。
溶融重合法の一つであるエステル交換法は、触媒存在下、ジカルボン酸エステルとジオール化合物とを反応させ、生成するアルコールを留去しながらエステル交換を行うことによりポリエステルを得る方法であり、一般にポリエステル樹脂の合成に用いられている。
エステル交換反応の触媒としては、少なくとも一種類以上の金属化合物を使用することが望ましい。好ましい金属化合物中に含まれる金属元素としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、チタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、スズ、コバルト等が挙げられる。これらの中でも、カルシウムおよびマンガン化合物は反応性が高く、得られる樹脂の色調が良好なことから好ましい。エステル交換触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。しかしながら触媒量が上記以上では、式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生しやすくなり、色相が悪化し好ましくない。
また、直接重合法は、ジカルボン酸とジオール化合物との脱水反応を行い、エステル化合物を形成したのち、減圧下にて過剰のジオール化合物を留去しながらエステル交換反応を行うことによりポリエステル樹脂を得る方法である。直接重合法はエステル交換法のようにアルコールの留出がなく、原料に安価なジカルボン酸を用いることができることが利点である。
これら溶融重合法を実施する際の重合反応の触媒としては、少なくとも一種類以上の金属化合物を使用することが望ましい。好ましい金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、チタンおよびゲルマニウム化合物は反応性が高く、得られる樹脂の透明性および色調に優れていることから、光学用樹脂においては特に好ましい。重合触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。
これら溶融重合法を実施する際の重合反応の触媒としては、少なくとも一種類以上の金属化合物を使用することが望ましい。好ましい金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、チタンおよびゲルマニウム化合物は反応性が高く、得られる樹脂の透明性および色調に優れていることから、光学用樹脂においては特に好ましい。重合触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。
また、ポリエステル樹脂を製造する際、重合反応を円滑に進行するため、エステル交換反応が終了した後に、エステル交換触媒と等モル以上のリン化合物を使用することが望ましい。リン化合物の例としては、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、トリメチルホスフェートが特に好ましい。リン化合物の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。
エステル交換反応は、必要に応じて用いられる共重合成分とを、加熱装置、攪拌機および留出管を備えた反応槽に仕込み、反応触媒を加えて常圧不活性ガス雰囲気下で攪拌しつつ昇温し、反応により生じたメタノール等の副生物を留去しつつ反応を進行させることによって行う。反応温度は150℃〜270℃、好ましくは160℃〜260℃であり、反応時間は、通常、3〜7時間である。
エステル交換反応は、必要に応じて用いられる共重合成分とを、加熱装置、攪拌機および留出管を備えた反応槽に仕込み、反応触媒を加えて常圧不活性ガス雰囲気下で攪拌しつつ昇温し、反応により生じたメタノール等の副生物を留去しつつ反応を進行させることによって行う。反応温度は150℃〜270℃、好ましくは160℃〜260℃であり、反応時間は、通常、3〜7時間である。
重合反応は、例えば、上記のエステル交換反応終了後の生成物を用いて、加熱装置、攪拌機、留出管および減圧付加装置を備えた反応槽により実施される。なお、これらの条件が満たされるならば、上記エステル交換反応において使用した同一の反応槽により、引き続き重合反応を実施することもできる。
重合反応は、例えば、上記のエステル交換反応終了後の生成物を入れた反応槽内に、触媒を添加した後、反応槽内を徐々に昇温且つ減圧しながら行う。槽内の圧力は、常圧雰囲気下から最終的には0.4kPa以下、好ましくは0.2kPa以下まで減圧する。槽内の温度は、220〜230℃から昇温、最終的には250〜350℃、好ましくは260〜320℃まで昇温、所定のトルクに到達した後、槽底部から反応生成物を押し出して回収する。通常の場合、反応生成物を水中にストランド状に押し出し、冷却した上でカッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂を得ることができる。しかしながら、重合反応の温度が320℃以上では式(1)、(2)で表される化合物が副生し易くなり、好ましくない。
重合反応終了後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
重合反応は、例えば、上記のエステル交換反応終了後の生成物を入れた反応槽内に、触媒を添加した後、反応槽内を徐々に昇温且つ減圧しながら行う。槽内の圧力は、常圧雰囲気下から最終的には0.4kPa以下、好ましくは0.2kPa以下まで減圧する。槽内の温度は、220〜230℃から昇温、最終的には250〜350℃、好ましくは260〜320℃まで昇温、所定のトルクに到達した後、槽底部から反応生成物を押し出して回収する。通常の場合、反応生成物を水中にストランド状に押し出し、冷却した上でカッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂を得ることができる。しかしながら、重合反応の温度が320℃以上では式(1)、(2)で表される化合物が副生し易くなり、好ましくない。
重合反応終了後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
本発明は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含有するジヒドロキシ成分と、ジカルボン酸成分とを反応させポリエステル樹脂を製造する方法であって、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度が99重量%以上であり、かつフェノキシエタノールの含有量が1〜500ppmであることを特徴とする製造方法を包含する。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
<ポリエステルカーボネート樹脂>
熱可塑性樹脂としてポリエステルカーボネート樹脂が挙げられる。ポリエステルカーボネート樹脂は、下記式(I)および(II)で表される単位を含む。式(II)中Yは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アルキレン基等のジカルボン酸成分由来の単位である。
熱可塑性樹脂としてポリエステルカーボネート樹脂が挙げられる。ポリエステルカーボネート樹脂は、下記式(I)および(II)で表される単位を含む。式(II)中Yは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アルキレン基等のジカルボン酸成分由来の単位である。
ポリエステルカーボネート樹脂は、BPEFを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸および炭酸エステル成分と、塩基性化合物触媒、エステル交換触媒またはその双方からなる混合触媒とを含有する樹脂である。ジヒドロキシ成分およびジカルボン酸成分および炭酸ジエステル成分は、それぞれ単一成分であっても良く、それぞれ2種類以上の化合物を含んでも良い。
BPEFとともに使用可能なジオール成分は、エチレングリコール等の脂肪族ジオール等が挙げられる。またトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、スピログリコール等の脂環式ジオール等が挙げられる。また、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビスフェノールA等の芳香族ジオール等が挙げられる。これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
ジカルボン酸化合物として、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、tert−ブチルイソフタル酸等の単環式芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等の多環式芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸が挙げられる。また、1,4−シクロジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、テレフタル酸が好ましい。また、これらの誘導体としては酸クロライドやエステル類が用いられる。
ポリエステルカーボネート樹脂の製造に用いるカーボネート前駆物質としては例えばホスゲン、ジフェニルカーボネート、上記二価フェノール類のビスクロロホーメート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
ポリエステルカーボネート樹脂は、式(I)および(II)で表される単位の合計が、全単位中30モル%以上、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%の割合で含まれる。式(I)および(II)で表される単位の合計を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステルカーボネート樹脂となる。
上記より式(I)および(II)で表される単位の合計の含有量が、該樹脂中に含まれる全単位に対して、50〜90モル%であることがより好ましい。
ポリエステルカーボネート樹脂は、式(I)および(II)で表される単位の合計が、全単位中30モル%以上、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%の割合で含まれる。式(I)および(II)で表される単位の合計を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステルカーボネート樹脂となる。
上記より式(I)および(II)で表される単位の合計の含有量が、該樹脂中に含まれる全単位に対して、50〜90モル%であることがより好ましい。
ポリエステルカーボネート樹脂中の式(I)で表される単位の割合は、式(I)および(II)で表される単位の合計量に対して、好ましくは50〜95モル%、より好ましくは60〜90モル%、さらに好ましくは70〜90モル%である。
ポリエステルカーボネート樹脂は、下記式で表されるBPEF由来の繰り返し単位の含有量が、全単位に対して30モル%以上、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%である。強度の点ではBPEFの含有率は高いほど弾性率が高く好ましいが、一方、高すぎると引っ張り伸びが低下するため、BPEFの含有量は90モル%以下であるのが好ましい。
下記式で表されるBPEF由来の単位の割合を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステルカーボネート樹脂となる。
ポリエステルカーボネート樹脂は、下記式で表されるBPEF由来の繰り返し単位の含有量が、全単位に対して30モル%以上、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%である。強度の点ではBPEFの含有率は高いほど弾性率が高く好ましいが、一方、高すぎると引っ張り伸びが低下するため、BPEFの含有量は90モル%以下であるのが好ましい。
下記式で表されるBPEF由来の単位の割合を前記範囲とすることで、屈折率等の光学特性の優れたポリエステルカーボネート樹脂となる。
ポリエステルカーボネート樹脂の分子量は、好ましくは7,000〜15,000、より好ましくは8,000〜14,000である。分子量は溶液粘度法で測定する。
ポリエステルカーボネート樹脂を製造する方法としては、通常のポリエステルカーボネート樹脂の製造に用いる方法が任意に採用される。例えばジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸クロライドとホスゲンとの反応、またはジオールとジカルボン酸とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応が好ましく採用される。
ジオール、ジカルボン酸またはその酸クロライドとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
ポリエステルカーボネート樹脂を製造する方法としては、通常のポリエステルカーボネート樹脂の製造に用いる方法が任意に採用される。例えばジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸クロライドとホスゲンとの反応、またはジオールとジカルボン酸とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応が好ましく採用される。
ジオール、ジカルボン酸またはその酸クロライドとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にジオールとジカルボン酸またはそのジエステルとビスアリールカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。しかしながら、重合温度が、350℃以上では式(1)で表されるフェニルビニルエーテルや式(2)で表されるアセトアルデヒドが副生し易くなり、好ましくない。
また、エステル交換反応では反応促進のために重合触媒を用いることができる。このような重合触媒としてはアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物または重金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
また、エステル交換反応では反応促進のために重合触媒を用いることができる。このような重合触媒としてはアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物または重金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
アルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
その他のエステル交換触媒としては亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、オスミウム、アルミニウムの塩が挙げられ、例えば、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、チタンテトラブトキシド(IV)等が用いられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオールとジカルボン酸の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。また、エステル交換反応ではヒドロキシ末端基を減少するために重縮合反応の後期または終了後に電子吸引性の置換基を持ったジアリールカーボネートを加えてもよい。更に、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
その他のエステル交換触媒としては亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、オスミウム、アルミニウムの塩が挙げられ、例えば、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、チタンテトラブトキシド(IV)等が用いられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオールとジカルボン酸の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で用いられる。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。また、エステル交換反応ではヒドロキシ末端基を減少するために重縮合反応の後期または終了後に電子吸引性の置換基を持ったジアリールカーボネートを加えてもよい。更に、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
ポリエステルカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物については、一般的に、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn−プロピル、亜リン酸ジn−ブチル、亜リン酸ジn−ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。これらの失活剤は、触媒量に対して0.01〜50倍モル、好ましくは0.3〜20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
本発明は、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含有するジヒドロキシ成分と、ジカルボン酸成分および炭酸エステル成分とを反応させポリエステルカーボネート樹脂を製造する方法であって、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度が99重量%以上であり、かつ、フェニキシエタノールの含有量が1〜500ppmであることを特徴とする製造方法を包含する。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン中の下記式(3)で表されるフルオレン−9−オンの含有量が500ppm以下であることが好ましい。
<ペレットのb値>
本発明により得られる熱可塑性樹脂は、重合後に得られるペレットのb値が−10.0〜10.0、好ましくは−7.0〜7.0、より好ましくは−5.0〜5.0の範囲であることが好ましい。ペレットのb値が上記範囲外であると色相の良い光学部品が得られないので好ましくない。
本発明により得られる熱可塑性樹脂は、重合後に得られるペレットのb値が−10.0〜10.0、好ましくは−7.0〜7.0、より好ましくは−5.0〜5.0の範囲であることが好ましい。ペレットのb値が上記範囲外であると色相の良い光学部品が得られないので好ましくない。
以下に実施例によって本発明の具体例を説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例によって限定されるものではない。実施例等に用いた、BPEFの純度、樹脂中の副生成物含有量、ペレットの色相は、下記の方法で測定した。
(1)BPEFの純度、不純物量:
Chemco製KROMASIL 5C18のカラムにて溶離液メタノール/水の混合液を用いて、カラム温度40℃、検出器254nmで0min:メタノール60%、0→20min:メタノール60→95%、20→40min:メタノール100%、40→47min:メタノール100→60%のグラジエントプログラムにてHPLC分析した。測定は、モノマー10mgをメタノール/水(3:2)10mlに溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、測定を行った。不純物量は検量線にて定量した。
Chemco製KROMASIL 5C18のカラムにて溶離液メタノール/水の混合液を用いて、カラム温度40℃、検出器254nmで0min:メタノール60%、0→20min:メタノール60→95%、20→40min:メタノール100%、40→47min:メタノール100→60%のグラジエントプログラムにてHPLC分析した。測定は、モノマー10mgをメタノール/水(3:2)10mlに溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、測定を行った。不純物量は検量線にて定量した。
(2)イオウ量の定量:
ヤナコ製SQ−1型/HSU−35型とダイオネクス製ICS−2000型自動燃焼ハロゲン・硫黄分析システムを用いて定量を行った。
ヤナコ製SQ−1型/HSU−35型とダイオネクス製ICS−2000型自動燃焼ハロゲン・硫黄分析システムを用いて定量を行った。
(3)樹脂中のフェニルビニルエーテル、アセトアルデヒド含有量:
該樹脂1gを200℃加熱のHS−GC/MSにて、2時間測定した。フェニルビニルエーテルの標準物は、樹脂からアセトニトリルにて抽出し、抽出液からHPLCにて分取することで作成した。この標準物質を用い、ピーク面積割合と含有量についての検量線を作成し、含有量を算出した。また、アセトアルデヒドは標品を用い、ピーク面積割合と含有量について検量線を作成し、含有量を算出した。
該樹脂1gを200℃加熱のHS−GC/MSにて、2時間測定した。フェニルビニルエーテルの標準物は、樹脂からアセトニトリルにて抽出し、抽出液からHPLCにて分取することで作成した。この標準物質を用い、ピーク面積割合と含有量についての検量線を作成し、含有量を算出した。また、アセトアルデヒドは標品を用い、ピーク面積割合と含有量について検量線を作成し、含有量を算出した。
(4)樹脂中の式(3)で表されるフルオレン−9−オン含有量:
樹脂50mgを5mlのクロロホルムに溶解し、東ソー(株)TSK−GEL G2000HおよびG3000Hカラムを用いて、クロロホルム溶媒にて波長254nmでGPC分析して求めた。具体的には、試料中に予めフルオレン−9−オンを定量加えたものについてGPC測定を行い、ピーク面積割合と含有量について相関式を作成し、これを検量線とし定量した。
樹脂50mgを5mlのクロロホルムに溶解し、東ソー(株)TSK−GEL G2000HおよびG3000Hカラムを用いて、クロロホルム溶媒にて波長254nmでGPC分析して求めた。具体的には、試料中に予めフルオレン−9−オンを定量加えたものについてGPC測定を行い、ピーク面積割合と含有量について相関式を作成し、これを検量線とし定量した。
(5)樹脂中のジエチレングリコールの定量:
50mlの1−プロパノールを200mlの共栓フラスコに入れ、2.81gの水酸化カリウム、精秤した2gの樹脂をいれ、水冷している玉入冷却管を取り付け、攪拌しながら、2時間加熱還溜した。冷却後、水10mlを加え、7gのテレフタル酸を加え、1時間加熱還溜した。内部標準として、1%のテトラエチレングリコールジメチルエーテルの1−プロパノール溶液を5ml添加し、約5分攪拌。濾過したサンプルをガスクロマトグラフにより定量し、ジエチレングリコールの含有量を求めた。
50mlの1−プロパノールを200mlの共栓フラスコに入れ、2.81gの水酸化カリウム、精秤した2gの樹脂をいれ、水冷している玉入冷却管を取り付け、攪拌しながら、2時間加熱還溜した。冷却後、水10mlを加え、7gのテレフタル酸を加え、1時間加熱還溜した。内部標準として、1%のテトラエチレングリコールジメチルエーテルの1−プロパノール溶液を5ml添加し、約5分攪拌。濾過したサンプルをガスクロマトグラフにより定量し、ジエチレングリコールの含有量を求めた。
(6)ペレットのb値:
重合終了後に得られた樹脂ペレットをガラスセルに入れ、日本電色工業性色差計SE−2000を用いてペレットのb値を測定した。
重合終了後に得られた樹脂ペレットをガラスセルに入れ、日本電色工業性色差計SE−2000を用いてペレットのb値を測定した。
参考例1
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部を加えて撹拌した混合液に、反応温度を50℃に保持しつつ、98重量%の硫酸570重量部を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を50℃に保ち、さらに5時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応終了後、メタノール2.5kgを加えて、10℃まで冷却したところ、BPEFと硫酸ナトリウムの混合結晶が析出した。ろ過により混合結晶を取り出したのち、トルエン3.5kg、水1.0kgを加えて85℃に加熱して硫酸ナトリウムを溶解させた。水相を除去したのち、有機相をさらに85℃の水で2回洗浄した。その後、トルエン相を100倍量のメタノールに再沈殿し、粗結晶を濾過により回収した。この粗結晶を4.0kgのトルエンに85℃で溶解させ、同様の精製を行った。この作業を二回繰り返した後、85℃トルエン相を10℃に冷却することにより、結晶化させ濾過により回収した。その後、アセトンに完全溶解し、活性炭(NoritSX Plus)を加え1時間攪拌した。その後、活性炭を濾過し、アセトンを留去、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEF(No.1))650重量部を得た。
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部を加えて撹拌した混合液に、反応温度を50℃に保持しつつ、98重量%の硫酸570重量部を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を50℃に保ち、さらに5時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応終了後、メタノール2.5kgを加えて、10℃まで冷却したところ、BPEFと硫酸ナトリウムの混合結晶が析出した。ろ過により混合結晶を取り出したのち、トルエン3.5kg、水1.0kgを加えて85℃に加熱して硫酸ナトリウムを溶解させた。水相を除去したのち、有機相をさらに85℃の水で2回洗浄した。その後、トルエン相を100倍量のメタノールに再沈殿し、粗結晶を濾過により回収した。この粗結晶を4.0kgのトルエンに85℃で溶解させ、同様の精製を行った。この作業を二回繰り返した後、85℃トルエン相を10℃に冷却することにより、結晶化させ濾過により回収した。その後、アセトンに完全溶解し、活性炭(NoritSX Plus)を加え1時間攪拌した。その後、活性炭を濾過し、アセトンを留去、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEF(No.1))650重量部を得た。
参考例2
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部とし、メタノールへの再沈殿、再結晶化を一回行う以外は、参考例1と同様にしてBPEF(No.2)700重量部を得た。
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部とし、メタノールへの再沈殿、再結晶化を一回行う以外は、参考例1と同様にしてBPEF(No.2)700重量部を得た。
参考例3
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度98.0重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部とし、メタノールへの再沈殿・再結晶化と活性炭を用いた精製を行わない以外は、参考例1と同様にしてBPEF(No.3)720重量部を得た。
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度98.0重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部とし、メタノールへの再沈殿・再結晶化と活性炭を用いた精製を行わない以外は、参考例1と同様にしてBPEF(No.3)720重量部を得た。
参考例4
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部を加えて撹拌した混合液に、反応温度を50℃に保持しつつ、98重量%の硫酸570重量部を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を50℃に保ち、さらに5時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応終了後、メタノール2.5kgを加えて、10℃まで冷却したところ、BPEFと硫酸ナトリウムの混合結晶が析出した。ろ過により混合結晶を取り出したのち、3000mlのn−へキサンに加熱溶解させ、3重量部となる量のアルカリを加えた後、加熱しながら撹拌する。回収は、反応液を水で中性になるまで洗浄した後、反応液を撹拌しながら室温で容器の回りを冷却しながら固体を析出させ,次いで、得られた固形物を濾過し、乾燥して回収した。BPEF(No.4)690重量部を得た。
得られたBPEFNo.1〜No.4の物性を表1に示す。
攪拌機、冷却管およびビュレットを備えたガラス製反応器に純度99.5重量%のフルオレノン350重量部(1.94モル)とフェノキシエタノール1070重量部(7.78モル)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸2.3重量部を加えて撹拌した混合液に、反応温度を50℃に保持しつつ、98重量%の硫酸570重量部を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を50℃に保ち、さらに5時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応終了後、メタノール2.5kgを加えて、10℃まで冷却したところ、BPEFと硫酸ナトリウムの混合結晶が析出した。ろ過により混合結晶を取り出したのち、3000mlのn−へキサンに加熱溶解させ、3重量部となる量のアルカリを加えた後、加熱しながら撹拌する。回収は、反応液を水で中性になるまで洗浄した後、反応液を撹拌しながら室温で容器の回りを冷却しながら固体を析出させ,次いで、得られた固形物を濾過し、乾燥して回収した。BPEF(No.4)690重量部を得た。
得られたBPEFNo.1〜No.4の物性を表1に示す。
実施例1(ポリカーボネート樹脂)
表1におけるBPEF(No.1)140.32重量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“Bis−A”と省略することがある)18.27重量部、ジフェニルカーボネート(以下“DPC”と省略することがある)87.80重量部、炭酸水素ナトリウム5.0×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、215℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、15分かけて20kPaに調整し、215℃、20kPaの条件下で20分保持し、エステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温、240℃、16kPaで10分保持した。その後、10分かけて13kPaに調整し、240℃、13kPaで70分保持した。その後、10分かけて1.3kPaに調整し、240℃、1.3kPaで10分保持した。さらに40分かけて130Pa以下とし、240℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
表1におけるBPEF(No.1)140.32重量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“Bis−A”と省略することがある)18.27重量部、ジフェニルカーボネート(以下“DPC”と省略することがある)87.80重量部、炭酸水素ナトリウム5.0×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、215℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、15分かけて20kPaに調整し、215℃、20kPaの条件下で20分保持し、エステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温、240℃、16kPaで10分保持した。その後、10分かけて13kPaに調整し、240℃、13kPaで70分保持した。その後、10分かけて1.3kPaに調整し、240℃、1.3kPaで10分保持した。さらに40分かけて130Pa以下とし、240℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
実施例2(ポリエステル樹脂)
表1におけるBPEF(No.1)119.81重量部、テレフタル酸ジメチル(以下“DMT”と省略することがある)78.03重量部、エチレングリコール(以下“EG”と省略することがある15.96重量部、チタンテトラブトキシド1.37×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、220℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、220℃で脱メタノールを行った。ほとんど留出が終了した後、リン酸トリメチル11.4μlおよび、0.5%酸化ゲルマニウム水溶液1.23ml加え、280℃まで、60分かけて昇温と同時に、150分かけて真空度を上げて13.3Pa以下の条件下で3時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
表1におけるBPEF(No.1)119.81重量部、テレフタル酸ジメチル(以下“DMT”と省略することがある)78.03重量部、エチレングリコール(以下“EG”と省略することがある15.96重量部、チタンテトラブトキシド1.37×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、220℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、220℃で脱メタノールを行った。ほとんど留出が終了した後、リン酸トリメチル11.4μlおよび、0.5%酸化ゲルマニウム水溶液1.23ml加え、280℃まで、60分かけて昇温と同時に、150分かけて真空度を上げて13.3Pa以下の条件下で3時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
実施例3(ポリエステルカーボネート樹脂)
表1におけるBPEF(No.1)140.32重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシド13.6×10−3重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素雰囲気の下、180℃に加熱し、20分間撹拌した。その後、20分かけて減圧度を20kPaに調整し、60℃/hrの速度で250℃まで昇温、エステル交換反応を行った。その後、250℃に保持したまま、120分かけて130Pa以下まで減圧し、250℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。その後、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
表1におけるBPEF(No.1)140.32重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシド13.6×10−3重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素雰囲気の下、180℃に加熱し、20分間撹拌した。その後、20分かけて減圧度を20kPaに調整し、60℃/hrの速度で250℃まで昇温、エステル交換反応を行った。その後、250℃に保持したまま、120分かけて130Pa以下まで減圧し、250℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。その後、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。
実施例4(ポリエステルカーボネート樹脂)
表1におけるBPEF(No.2)140.32重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシド13.6×10−3重量部とする以外は、実施例3と同様にして樹脂を合成した。該ペレットは無色透明であった。
表1におけるBPEF(No.2)140.32重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシド13.6×10−3重量部とする以外は、実施例3と同様にして樹脂を合成した。該ペレットは無色透明であった。
比較例1(ポリエステルカーボネート樹脂)
表1におけるBPEF(No.3)140.00重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシド13.6×10−3重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素雰囲気の下、180℃に加熱し、20分間撹拌した。その後、20分かけて減圧度を20kPaに調整し、60℃/hrの速度で250℃まで昇温し、エステル交換反応を行った。その後、250℃に保持したまま、120分かけて130Pa以下まで減圧し、250℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。その後、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは、黄褐色に着色した。
表1におけるBPEF(No.3)140.00重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシド13.6×10−3重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素雰囲気の下、180℃に加熱し、20分間撹拌した。その後、20分かけて減圧度を20kPaに調整し、60℃/hrの速度で250℃まで昇温し、エステル交換反応を行った。その後、250℃に保持したまま、120分かけて130Pa以下まで減圧し、250℃、130Pa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。その後、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは、黄褐色に着色した。
比較例2(ポリエステルカーボネート樹脂)
表1におけるBPEF(No.4)140.00重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシドを13.6×10−3重量部とする以外は、比較例1と同様にして樹脂を合成した。該ペレットは黄褐色に着色した。
表1におけるBPEF(No.4)140.00重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシドを13.6×10−3重量部とする以外は、比較例1と同様にして樹脂を合成した。該ペレットは黄褐色に着色した。
比較例3(ポリエステル樹脂)
表1におけるBPEF(No.4)119.81重量部、DMT78.03重量部、EG15.96重量部、チタンテトラブトキシド1.37×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、220℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、220℃で脱メタノールを行った。ほとんど留出が終了した後、リン酸トリメチル11.4μl、および0.5重量%酸化ゲルマニウム水溶液1.23ml加え、280℃まで、60分かけて昇温と同時に、150分かけて真空度を上げて130Pa以下の条件下で3時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。該ペレットは黄褐色に着色した。
表1におけるBPEF(No.4)119.81重量部、DMT78.03重量部、EG15.96重量部、チタンテトラブトキシド1.37×10−4重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素置換を3度行った後、窒素雰囲気101kPaの下、220℃に加熱し、20分間撹拌した。完全溶解後、220℃で脱メタノールを行った。ほとんど留出が終了した後、リン酸トリメチル11.4μl、および0.5重量%酸化ゲルマニウム水溶液1.23ml加え、280℃まで、60分かけて昇温と同時に、150分かけて真空度を上げて130Pa以下の条件下で3時間攪拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成した樹脂をペレタイズしながら抜き出した。該ペレットは無色透明であった。該ペレットは黄褐色に着色した。
比較例4(ポリエステルカーボネート樹脂)
表1におけるBPEF(No.2)140.00重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシドを13.6×10−3重量部とし、最終重合温度を360℃とする以外は、比較例1と同様にして樹脂を合成した。該ペレットは黄褐色に着色した。
得られた熱可塑性樹脂の物性を表2に示す。
表1におけるBPEF(No.2)140.00重量部、DMT15.54重量部、DPC54.84重量部、チタンテトラブトキシドを13.6×10−3重量部とし、最終重合温度を360℃とする以外は、比較例1と同様にして樹脂を合成した。該ペレットは黄褐色に着色した。
得られた熱可塑性樹脂の物性を表2に示す。
表2中のBPEFのNo.1〜4は、それぞれ表1に記載のBPEFNo.1〜4であり所定の不純物を含む。
実施例1〜4の樹脂は、樹脂中に化合物(1)、(2)、(3)が少なく、重合後の色相が極めて良い。特に反応温度が低く、重合時間が短い実施例1、3の色相はより良く、更には、重金属系の触媒を用いない、実施例1が尚良い。これらに対して、比較例1、2は、樹脂中に化合物(1)、(2)、(3)が多く重合後の色相に劣る。また、比較例3は、ジエチレングリコールの含有量は少ないが、化合物(1)、(2)、(3)が多く色相に劣る。比較例4は、使用したBPEF中の不純物量は少ないが、重合温度が高い為、化合物(1)、(2)量が多くなり色相に劣る。
実施例1〜4の樹脂は、樹脂中に化合物(1)、(2)、(3)が少なく、重合後の色相が極めて良い。特に反応温度が低く、重合時間が短い実施例1、3の色相はより良く、更には、重金属系の触媒を用いない、実施例1が尚良い。これらに対して、比較例1、2は、樹脂中に化合物(1)、(2)、(3)が多く重合後の色相に劣る。また、比較例3は、ジエチレングリコールの含有量は少ないが、化合物(1)、(2)、(3)が多く色相に劣る。比較例4は、使用したBPEF中の不純物量は少ないが、重合温度が高い為、化合物(1)、(2)量が多くなり色相に劣る。
本発明により得られる熱可塑性樹脂は色相に優れるため、カメラレンズ、プロジェクターレンズ、ピックアップレンズ等の各種光学レンズやプリズム、光ディスク、光ファイバー、光学フィルム等の各種光学材料に好適に利用できる。
Claims (2)
- フェノキシエタノールとフルオレン−9−オンから製造された9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを30モル%以上含有するジヒドロキシ成分と、ジカルボン酸成分および炭酸エステル成分からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分とを反応させて、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリエステルカーボネート樹脂からなる群より選ばれる一種の熱可塑性樹脂を製造する方法であって、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度が99重量%以上であり、かつ、フェノキシエタノールの含有量が1〜500ppmであることを特徴とする、下記式(1)で表されるフェニルビニルエーテルの含有量が100ppm以下であり、かつ下記式(2)で表されるアセトアルデヒドの含有量が200ppm以下である光学材料用の熱可塑性樹脂の製造方法。
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