JP2017088641A - ポリカーボネートジオールの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートジオールの製造方法 Download PDF

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一直 草野
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Abstract

【課題】 1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物を原料にしたポリカーボネートジオールを、工業的に有利に且つ安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物とを、触媒の存在下、エステル交換反応により重合させて、水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールを得ると共に、発生する副生フェノールを分離する重縮合工程、
および、該重縮合工程で分離された副生フェノールを精製して、該副生フェノール中のテトラヒドロフラン濃度を低減して、精製フェノールを得る、精製工程を含む、ポリカーボネートジオールの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物を触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合(以下、重合と称する場合がある。)させて、ポリカーボネートジオールを製造する方法に関するものであり、より詳細には、1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物とを、触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて、水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールを得るとともに、発生する副生フェノールを分離する重縮合工程、そして、その分離された副生フェノールを精製する精製工程を含むプロセスを有する、ポリカーボネートジオールの製造方法に関するものである。
従来より、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換反応により重縮合してポリカーボネートジオールを製造することは知られている。中でも、原料のジヒドロキシ化合物に1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物を使用するポリカーボネートジオールは、ポリウレタンの原料としたときの耐薬品性、耐候性、耐摩耗性をそれぞれ改善できる、という観点から有用なポリカーボネートジオールである。また、もう一つの原料であるカーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが使用される。
原料に1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物を使用して、エステル交換反応により重縮合させてポリカーボネートジオールを製造する場合、副生物としてテトラヒドロフラン(以下、“THF”と略記する)が発生することが知られている(特許文献1)。また、特許文献1には、もう一つの原料であるカーボネート化合物として、ジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物を用いて、ポリカーボネートジオールを製造すると、副生フェノールが発生することも記載されている。すなわち、原料に1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物を使用し、且つ、ジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物を使用して、エステル交換反応を行うと、ジフェニルカーボネートから副生するフェノール(以下、“副生フェノール”と称することがある)中に、1,4−ブタンジオールから副生するTHFが混在する。また、エステル交換反応にて副生するフェノールの生成物に対する重量は、原料として使用するジヒドロキシ化合物の分子量により異なり、特に1,4−ブタンジオールのような分子量の低いジヒドロキシ化合物を使用した場合は、副生するフェノールの重量は生成物であるポリカーボネートジオールよりも多くなることがある。
また、生成物であるポリカーボネートジオールは、分子鎖末端がほぼ全量ヒドロキシ基であることから、ポリカーボネートジオールを加熱すると、末端からの分解が進行しやすく、特に原料のジヒドロキシ化合物に1,4−ブタンジオールが含まれる場合は、ポリカーボネートジオールの末端に存在する1,4−ブタンジオール構造からの環化によりTHFが発生しやすく、副生するTHFの量が多くなりやすい。
特開2015−91937号公報
特許文献1では、副生フェノールの取り扱いや副生フェノール中にTHFが混在した際
の影響等については言及されていないが、この副生フェノールを他の用途に使用する場合、副生フェノール中に含まれる不純物を除去して精製する必要がある。また、特許文献1には記載されていないが、ポリカーボネートジオールを原料から一貫した製造方法とするためには、この副生フェノールを、ジフェニルカーボネート(以下、“DPC”と略記する場合がある)を得るための原料とすべく再利用することが考えられる。
しかし、原料として1,4−ブタンジオールが含まれる場合、副生フェノール中にTHFが含まれており、THFが容易に分離できないことが判明した。また、ジフェニルカーボネート等の他の用途に使用する場合に、予め貯蔵しておくと、副生フェノール中の不純物の中でも、特にTHFが貯蔵安定性に影響を及ぼすこと、具体的には、この副生フェノールを貯蔵しておくと、副生フェノール中のTHFが過酸化物へと酸化したうえで分解反応を起こし着色を引き起こすなど、安定的に貯蔵できないという課題を見出した。さらに副生フェノールをジフェニルカーボネートの原料として使用する場合、ジフェニルカーボネートの製造工程にて、含有するTHFが工程負荷を与えるという課題を見出した。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネートジオールの重縮合工程の後に、副生フェノール中のTHFを低減するための副生フェノール精製工程を設けることで、副生フェノール中のTHFが安定的に低減できるだけでなく、製造効率も向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、以下の[1]〜[11]に存する。
[1] 1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物とを、触媒の存在下、エステル交換反応により重合させて、水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールを得ると共に、発生する副生フェノールを分離する重縮合工程、および、該重縮合工程で分離された副生フェノールを精製して、該副生フェノール中のテトラヒドロフラン濃度を低減して、精製フェノールを得る、精製工程を含む、ポリカーボネートジオールの製造方法。
[2] 前記精製工程において、前記副生フェノールを蒸留により精製する、[1]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[3] 前記精製工程において、前記副生フェノールを多段蒸留塔を用いて蒸留する、[2]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[4] 前記多段蒸留塔の理論段数が4段以上である、[3]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[5] 前記精製工程において得られる、前記精製フェノールの少なくとも一部とカル
ボニル化合物とを反応させてジフェニルカーボネートを製造する、ジフェニルカーボネート製造工程を更に含む、[1]〜[4]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[6] 前記ジフェニルカーボネート製造工程で得られるジフェニルカーボネートの少なくとも一部を、前記重縮合工程の前記ジフェニルカーボネートとして使用する、[5]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[7] 前記精製工程において得られる、前記精製フェノールの少なくとも一部とケトン化合物又はアルデヒド化合物を原料とし、ビスフェノール化合物を製造する、ビスフェノール化合物製造工程を更に含む、[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[8] 前記重縮合工程で得られる、前記水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールの全分子鎖末端に対するフェノキシ基末端の割合が5モル%以下である、[1]〜[7]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[9] 前記重縮合工程で得られる、前記水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオール中の1,4−ブタンジオールに由来する構造単位の割合が20モル%以上である、[1]〜[8]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法[10] 前記重縮合工程で得られる、前記水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオール中の末端構造に1,4−ブタンジオールに由来する構造単位が20モル%以上含まれる、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法
[11] 前記精製工程において得られる、前記精製フェノール中のテトラヒドロフランの濃度が1000ppm以下である、[1]〜[10]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
本発明によれば、1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物とを、触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて、ポリカーボネートジオール製造するプロセスとして、全体的な製造効率を向上した、工業的且つ経済的にも有利な製造プロセスを構築することが可能となる。また、副生フェノール中の特定不純物であるTHFを低減することで、ポリカーボネートジオール原料であるジフェニルカーボネート以外の用途に使用する場合も、予め前処理等が必要なく、効率的に再利用できることが期待される。
以下、詳細に本発明の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法は、1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物とを、触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて、水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールを得ると共に、発生する副生フェノールを分離する、重縮合工程、
該重縮合工程で分離された該副生フェノールを精製して、該副生フェノール中のテトラヒドロフラン濃度を低減して、精製フェノールを得る、精製工程を含むことを特徴とする。以下、それぞれの工程別に詳細に説明する。
[重縮合工程]
<ジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、原料となるジヒドロキシ化合物は、1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物であるが、1,4−ブタンジオール以外のジヒドロキシ化合物を含んでもよい。例えば、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド等が挙げられる。これらの中でも、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビドを1,4−ブタンジオールと共に含むことが好ましく、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,12−
ドデカンジオール、イソソルビドを含むことが特に好ましい。1,4−ブタンジオール以外のジヒドロキシ化合物は単独でも2種類以上を組み合わせて含まれていてもよい。また、原料の全ジヒドロキシ化合物中に含まれる1,4−ブタンジオールの割合としては、特に限定されないが、通常は、20モル%以上であり、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、より更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは95モル%である。
<カーボネート化合物>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、原料となるカーボネート化合物はジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物であるが、ジフェニルカーボネート以外のカーボネート化合物を含んでいてもよい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートなどが挙げられる。
なお、この重縮合工程で使用する原料のカーボネート化合物として使用されるジフェニルカーボネートは、後述するDPC製造工程で得られるジフェニルカーボネートの一部を用いることが好ましい。
<原料等の使用割合>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、原料のカーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.75、より好ましくは0.80、さらに好ましくは0.84であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限を超えると得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限より低いと所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
<エステル交換触媒>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを、エステル交換反応により重縮合することにより製造するが、触媒を存在させてエステル交換反応を行う。
ここでのエステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができる。
エステル交換触媒の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表長周期型周期表(以下、単に「周期表」という)第1族金属の化合物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表第2族金属の化合物;チタン、ジルコニウム等の周期表第4族金属の化合物;ハフニウム等の周期表第5族金属の化合物;コバルト等の周期表第9族金属の化合物;亜鉛等の周期表第12族金属の化合物;アルミニウム等の周期表第13族金属の化合物;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表第14族金属の化合物;アンチモン、ビスマス等の周期表第15族金属の化合物;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等ランタナイド系金属の化合物等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、周期表第1族金属の化合物、周期表第2族金属の化合物、周期表第4族金属の化合物、周期表第5族金属の化合物、周期表第9族金属の化合物、周期表第12族金属の化合物、周期表第13族金属の化合物、周期表第14族金属の化合物が好ましく、周期表第1族金属の化合物、周期表第2族金属の化合物がより好ましく、周期表第2族金属の化合物がさらに好ましい。周期表第1族金属の化合物の中でも、リチウム、カリウム、ナトリウムの化合物が好ましく、リチウム、ナトリウムの化合物がより好ましく、ナトリウムの化合物がさらに好ましい。周期表第2族金属の化合物の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムの化合物が好
ましく、カルシウム、マグネシウムの化合物がより好ましく、マグネシウムの化合物がさらに好ましい。これらの金属化合物は主に、水酸化物や塩等として使用される。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;燐酸塩や燐酸水素塩、燐酸二水素塩等の燐含有の塩;アセチルアセトナート塩;等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
これらのうち、好ましくは、周期表第2族金属から選ばれた少なくとも1種の金属の酢酸塩や硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシドが用いられ、より好ましくは周期表第2族金属の酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、特に好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩が用いられ、最も好ましくは酢酸マグネシウムが用いられる。
<反応温度>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程における、エステル交換反応の反応温度としては、特に限定されないが、200℃以下が好ましく、より好ましくは、190℃以下であり、更に好ましくは180℃以下である。一方、反応温度の下限としては、130℃以上であり、好ましくは140℃以上であり、更に好ましくは150℃以上である。反応温度が上記上限を超えると、ポリカーボネートジオールの色調悪化、アリル末端の副生量およびTHFの副生量が多くなるため好ましくない。また、反応温度が上記下限より小さくなると、フェノール、メタノールなどのカーボネート由来の副生物の残存量の増加や、反応速度が低下してカーボネート化合物由来の末端基(後述するフェノキシ基末端など)が残存したり、所定の分子量まで重合が進行しないといった不具合が生じるため好ましくない。
<反応圧力>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、エステル交換反応時の最低反応圧力としては、特に限定されないが、通常は、2.0kPa以下であり、好ましくは1.0kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下である。一方、反応圧力の下限としては、0.01kPa以上であり、好ましくは0.02kPa以上であり、より好ましくは0.03kPa以上である。反応圧力が低くなるにつれて、反応時間が短くなり、得られるポリカーボネートジオールの色調の悪化を抑制する傾向にあり、反応圧力が高くなるにつれて、重合速度の安定化や原料の留去の抑制などにより、ポリカーボネートジオールの分子量の制御が容易になる傾向にある。
<反応時間>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、エステル交換反応の反応時間としては、特に限定されないが、通常は、12時間以下であり、好ましくは10時間以下であり、更に好ましくは8時間以下である。一方、反応時間の下限としては、0.5時間以上であり、好ましくは1時間以上であり、更に好ましくは1.5時間以上である。反応時間が長くなるにつれて、フェノール・メタノールなどのカーボネート由来の副生物の残存量を低減できる傾向にあり、反応時間が短くなるにつれて、得られるポリカーボネートジオールの色調の悪化を抑制する傾向にある。
<反応器>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、エステル交換反応に使用される反応器の形状は特に限定されないが、槽型、管型および塔型などの反応器を使用することができる。また重合反応は、バッチ式または連続式に行うことができる。
<粘度>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、反応中の反応物(ポリカーボネートジオールを含む)の80℃における粘度は、好ましくは100〜40000mPa・sであり、より好ましくは、200〜30000mPa・sであり、更に好ましくは400〜20000mPa・sである。粘度が高いほどポリウレタンとした時の引張強度などの物性が向上する傾向にあり、低くなるほどポリウレタンなどの合成に用いる際のハンドリング性に優れる傾向にある。なお、ポリカーボネートジオールの粘度は、ポリカーボネートジオールを80℃に加熱して溶融した後、E型粘度計を用いる事で測定できる。
<触媒失活剤>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、エステル交換反応の際に触媒を用いた場合、得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、残存する触媒により、加熱によりエステル交換反応が起こりポリカーボネートジオールの分子量が上昇したり、ポリウレタン化反応の制御が出来なくなる場合がある。この残存する触媒の影響を抑制するために、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルの例えばリン系化合物等を添加し、エステル交換触媒を不活性化することが好ましい。さらには添加後、後述のように加熱処理等により、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
エステル交換触媒の不活性化に使用されるリン系化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸などの無機リン酸や、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.7モル、より好ましくは0.85モル、更に好ましくは1.0モルである。触媒失活剤の使用量が上記下限より少ない場合は、前記反応生成物中のエステル交換触媒の不活性化が十分でなく、得られたポリカーボネートジオールを加熱した時に色調が悪化したり、エステル交換反応により分子量の上昇、組成変化が起こったりする。またポリウレタン製造用原料として使用する時に該ポリカーボネートジオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、上記上限を超えるリン系化合物を使用した場合は、該ポリカーボネートジオールを原料としてポリウレタンとしたときに、ポリウレタンが加水分解しやすく、更に、リン酸や亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステルがブリードアウトする可能性がある。
リン系化合物を添加することによるエステル交換触媒の不活性化は、室温でも行う事ができるが、加熱処理するとより効率的である。この加熱処理の温度は、特に限定はされないが、上限が好ましくは180℃、より好ましくは150℃、さらに好ましくは120℃であり、下限は、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは70℃である。上記下限より低い温度の場合は、エステル交換触媒の不活性化に時間がかかり効率的でなく、また不活性化の程度も不十分な場合がある。一方、180℃を超える温度では、得られたポリカーボネートジオールが着色することがある。
リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常0.1〜5時間である。
<ポリカーボネートジオール>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、得られるポリカーボネートジオールは、水酸基価が20〜450mgKOH/gである。下限は好ましく
は25mg−KOH/g、より好ましくは30mg−KOH/g、さらに好ましくは35mg−KOH/gである。また、上限は好ましくは230mg−KOH/g、より好ましくは150mg−KOH/g、さらに好ましくは120mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、ポリカーボネートジオールの粘度が高くなりすぎ、ポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンとする際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリカーボネートジオール含有組成物を用いてポリウレタンとした時に柔軟性、低温特性、弾性回復性などの物性が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、得られるポリカーボネートジオールは、下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリカーボネートであることを特徴とする。
Figure 2017088641
該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.8以下であることによりポリウレタンにしたときに良好な耐薬品性、耐熱性を得ることができる。平均炭素数の上限は5.8であり、好ましくは5.5、より好ましくは5.3、更に好ましくは5.0、特に好ましくは4.7、最も好ましくは4.5である。平均炭素数の下限は3であり、好ましくは3.2、より好ましくは3.4、特に好ましくは3.5である。上記下限未満では、ポリウレタンの柔軟性、低温特性が不足する場合があり、また上記上限を超える場合は、耐薬品性、耐熱性が不足する場合がある。
ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数とは、アルカリ存在下で加熱によりポリカーボネートジオールを加水分解して得られたジヒドロキシ化合物を、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果から求めることができる。具体的には、ポリカーボネートジオールを加水分解して得られたジヒドロキシ化合物の炭素数と、該ジヒドロキシ化合物の全ジヒドロキシ化合物に対するモル比率から計算する。
ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は1種類であっても複数種であってもよい。複数種の場合は共重合体であっても、異種のポリカーボネートジオールの混合物であってもよいが、低温特性などのポリウレタン物性が良好となることより、共重合体が好ましい。また共重合体の場合はブロック共重合体でもランダム共重合体でもよいが、ランダム共重合体のポリカーボネートジオールが低温特性、柔軟性が良好となることより好ましい。
ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は脂肪族ジヒドロキシ化合物であることが好ましく、該脂肪族ジヒドロキシ化合物としては1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド等が挙げられる。さらに耐薬品性、耐熱性の物性が良好となる炭素数の小さいジヒドロキシ化合物と
して、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,5−ペンタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、中でも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールのいずれか1種を含むことがより好ましい。さらに耐薬品性、耐熱性の物性が良好であることから、ポリカーボネートジオールは結晶性が高いほうが好ましく、そのためポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は1,4−ブタンジオールを含むことが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、得られるポリカーボネートジオールは1,4−ブタンジオールに由来する構造単位は20モル%以上であることが好ましい。具体的には、得られるポリカーボネートジオールを加水分解した際に、得られるジヒドロキシ化合物中に含まれる1,4−ブタンジオールの割合が20〜100モル%であることが好ましい。1,4−ブタンジオールの割合の上限は100モル%であり、好ましくは99モル%であり、より好ましくは97モル%であり、更に好ましくは95モル%である。1,4−ブタンジオールの割合の下限は20モル%であり、好ましくは30モル%であり、より好ましくは50モル%であり、更に好ましくは70モル%であり、より更に好ましくは80モル%、特に好ましくは90モル%、最も好ましくは95モル%である。上記下限未満では、耐薬品性、耐熱性が不足する場合があり、また上記上限を超える場合は、ポリウレタンの柔軟性、低温特性が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重合工程において、得られるポリカーボネートジオールの末端を形成するジオールユニット中に、1,4−ブタンジオールに由来する構造単位は20〜100モル%であることが好ましい。ポリカーボネートジオールの末端を形成するジオールユニット中の1,4−ブタンジオールの割合の上限は100モル%であり、好ましくは99モル%であり、より好ましくは97モル%であり、更に好ましくは95モル%である。1,4−ブタンジオールの割合の下限は20モル%であり、好ましくは30モル%であり、より好ましくは50モル%であり、更に好ましくは70モル%であり、特に好ましくは80モル%、特に好ましくは90モル%、最も好ましくは95モル%である。上記下限未満では、耐薬品性、耐熱性が不足する場合があり、また上記上限を超える場合は、ポリウレタンの柔軟性、低温特性が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において得られるポリカーボネートジオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートジオールの場合には、分子鎖末端が水酸基ではないものが一部存在する場合がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物由来の構造である。本発明のポリカーボネートジオールの製造方法では、カーボネート化合物としてジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物を使用することから、ポリカーボネートジオールの全分子鎖末端の一部がフェノキシ基末端となる。本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において得られるポリカーボネートジオールは、全分子鎖末端に対するフェノキシ基末端の割合が5モル%以下であることが好ましく、より好ましくは3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下、特に好ましくは0.5モル
%以下である。
その他、例えば、ジメチルカーボネートを使用した場合はアルキルオキシ基としてメトキシ基(MeO−)、ジエチルカーボネートを使用した場合はエトキシ基(EtO−)、エチレンカーボネートを使用した場合はヒドロキシエトキシ基(HOCH2CH2O−)が分子鎖末端として残存する場合がある(ここで、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す)。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法において得られるポリカーボネートジオ
ールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略記する場合がある。)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量のポリスチレン換算の数平均分子量に対する比は1.5〜3.0が好ましい。下限はより好ましくは1.7、さらに好ましくは1.8である。上限はより好ましくは2.5、さらに好ましくは2.3である。前記比が上記範囲を超える場合、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンの物性は低温で硬くなる、伸びが低下する等の傾向があり、分子量分布が上記範囲未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除くなどの高度な精製操作が必要になる場合がある。
更に水酸基価からポリカーボネートジオールの数平均分子量を求めることができ、該数平均分子量(Mn)の下限は250であり、好ましくは500であり、より好ましくは750、さらに好ましくは950である。一方、上限は5,600であり、好ましくは4,500、より好ましくは3,700、さらに好ましくは3,200である。ポリカーボネートジオールのMnが前記下限未満では、ウレタンとした際に柔軟性、低温特性、弾性回復性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。特に上記好ましい範囲内においては、ポリウレタンとした時の柔軟性、低温特性、弾性回復性に特に優れており、また耐薬品性や耐熱性に関しても良好な物性となる。
<反応中のフェノール量>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、重縮合反応中の溶液に含まれるフェノールの含有量(以下、「重合反応成分に含有されるフェノール濃度」と称す場合がある。)を60重量%以下にすることが好ましく、45重量%以下にすることがより好ましく、30重量%以下にすることが更に好ましく、20重量%以下にすることが特に好ましい。
特に、エステル交換反応の全工程を通じて重合反応成分に含有されるフェノール濃度を上記上限以下に維持することが好ましい。重合反応成分に含有されるフェノール濃度を上記上限以下にすることにより、重縮合反応時の高温条件下においてフェノールの量を制限することができ、着色しにくくなる。
なお、フェノール類の含有量を上記上限値以下とする方法としては、例えば、反応初期から減圧下で反応を行い、生成したフェノールを留去すること等が挙げられる。
また、重合反応成分に含有されるフェノール濃度は、例えば、反応器から反応溶液の一部を一定時間おきに抜き取り、それを核磁気共鳴装置(NMR)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び液体クロマトグラフィー(LC)で定量することにより測定することができる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程では、エステル交換反応により発生する副生フェノールを分離しながら重縮合を行うが、分離する方法としては、エステル交換反応とともに、加熱、減圧を行い、生成したポリカーボネートジオールからフェノールを留去させる方法が挙げられる。その際、還流器等を用いて、フェノールとともに留去する原料、例えば、ジフェニルカーボネートやジヒドロキシ化合物を分離して、原料を反応槽内に戻すことが好ましい。
なお、ここで分離された副生フェノール中のTHFの含有量は3.0重量%以下であることが好ましく、2.0重量%以下であることがより好ましく、1.0重量%以下であることが更に好ましい。また、1,4-ブタンジオールの含有量は3.0重量%以下である
ことが好ましく、2.0重量%以下であることがより好ましく、1.0重量%以下であることが更に好ましい。さらに、DPCの含有量は0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ま
しい。そして、ポリカーボネートジオールの含有量は0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましい。環状カーボネートの含有量としては、2.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることが更に好ましい。
<ポリカーボネートジオール中の残存モノマー量>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、目的生成物であるポリカーボネートジオール以外にも残存するモノマー類(以下、残存モノマーと称する。)が存在する。残存モノマーとしては、例えば、フェノール以外に、原料のジヒドロキシ化合物、ジフェニルカーボネート及び副生する環状カーボネートやTHFなどが挙げられる。本発明のポリカーボネートジオールの製造方法では、ジフェニルカーボネートを使用するので、フェノールが副生する。ポリカーボネートジオール中の副生フェノールの残存量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中の副生フェノールを低減するためには、ポリカーボネートジオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートジオールの重合後に薄膜蒸留等を行ったりすることが有効である。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、得られるポリカーボネートジオールには、原料として使用した未反応のカーボネート化合物が残存することがある。ポリカーボネートジオール含有組成物中のカーボネート化合物の残存量は限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、ポリカーボネートジオール含有組成物に対する重量比として上限が好ましくは5重量%、より好ましくは3重量%、さらに好ましくは1重量%である。ポリカーボネートジオール含有組成物中のカーボネート化合物含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はないが、好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0重量%である。また、得られるポリカーボネートジオールには、原料として使用した未反応のジヒドロキシ化合物が残存する場合がある。ポリカーボネートジオール含有組成物中のジヒドロキシ化合物の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、ポリカーボネートジオールに対する重量比として1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以下である。ポリカーボネートジオール含有組成物中のジヒドロキシ化合物の残存量が多いと、ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、所望の物性が得られない場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、得られるポリカーボネートジオールには、製造の際に副生した環状のカーボネート(環状オリゴマー)を含有することがある。例えば、1,3−プロパンジオールを用いた場合は1,3−ジオキサン−2−オンもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったもの、ネオペンチルグルコールを用いた場合はネオペンチルカーボネートもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったもの、1,4−ブタンジオールを用いた場合はブチレンカーボネートもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったもの、などが生成してポリカーボネートジオール中に含まれる場合がある。これらの化合物は、ポリウレタン化反応においては副反応をもたらす可能性があり、また濁りの原因となるため、その含有量は、ポリカーボネートジオールに対する重量比として3重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程において、原料のジヒドロ
キシ化合物の1,4−ブタンジオールの脱水環化や得られたポリカーボネートジオールの末端ユニットの脱炭酸環化により副生したTHFがポリカーボネートジオールに残存する。ポリカーボネートジオール中に含まれるTHFの含有量は、該組成物中のポリカーボネートジオールに対する重量比として10wtppm〜200wtppmであることが好ましく、より好ましくは12wtppm〜150wtppmであり、特に好ましくは15wtppm〜120wtppmである。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の重縮合工程では、必要に応じて、該生成物中のポリマー末端に水酸基を有さない不純物、フェノール、原料ジヒドロキシ化合物、ジフェニルカーボネート、副生する環状カーボネートやTHF及び添加した触媒等を除去してもよい。その際の精製は、軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては、減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留等特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能であるが、中でも薄膜蒸留が効果的である。
薄膜蒸留条件としては特に制限はないが、薄膜蒸留時の温度は、上限が250℃であることが好ましく、200℃であることが好ましい。また、下限が120℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。
薄膜蒸留時の温度の下限を前記の値とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分となる。また、上限を250℃とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートジオールが着色するのを防ぐことができる。
薄膜蒸留時の圧力は、上限が500Paであることが好ましく、150Paであることがより好ましく、50Paであることが更に好ましい。薄膜蒸留時の圧力を上記上限値以下とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分に得られる。
また、薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの保温の温度は、上限が250℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。また、下限が80℃であることが好ましく、120℃であることがより好ましい。
[精製工程]
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の精製工程では、重縮合工程で分離された副生フェノールを精製し、分離された副生フェノール中のTHF濃度、その他フェノール以外の不純物濃度を低減し、精製フェノールを得る。
分離された副生フェノールを精製する方法としては、特に限定されないが、通常、水抽出、吸着剤処理、蒸留法により精製を行う。中でも蒸留法で行うことが好ましい。特に蒸留の際は蒸留塔を具備した装置で処理することが好ましく、その蒸留塔は多段蒸留塔であることがより好ましい。蒸留塔の理論段数は、4段以上であることが好ましく、10段以上であることがより好ましく、15段以上であることが更に好ましく、20段以上であることが特に好ましく、30段以上であることが最も好ましい。
<精製フェノール中の不純物>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の精製工程にて得られる精製フェノール中には、分離された副生フェノール中に残存した不純物が含まれる場合がある。不純物としては、重縮合工程での原料であるジヒドロキシ化合物やカーボネート化合物の他に、重縮合工程にて副生する環状カーボネートやTHFなどが挙げられる。精製フェノール中のTHFの濃度としては、1000重量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500重量ppm以下、更に好ましくは300重量ppm以下、より更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは50重量ppm以下、最も好ましくは20重量ppm以下である。また、1,4-ブタンジオールやDPC、環状カーボネートの各々の含有量
は200重量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100重量ppm以下、更に好ましくは50重量ppm以下、より更に好ましくは20重量ppm以下、特に好ま
しくは10重量ppm以下、最も好ましくは5重量ppm以下である。
<蒸留精製>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の精製工程では、蒸留法が好ましいが、具体的には以下のような蒸留条件により精製する。
分離された副生フェノール中には、フェノールよりも沸点の高い高沸成分と、フェノールよりも沸点の低い低沸成分が含まれる。そのため、分離された副生フェノール中からそれらの濃度を低減するためには、分離された副生フェノールから低沸成分を留去することにより低沸成分の濃度を低減する低沸分離工程と、フェノールを留去して塔底に高沸成分を残存させ高沸成分の濃度を低減する高沸分離工程に大別される。重縮合工程での原料であるジヒドロキシ化合物やカーボネート化合物、また前記環状カーボネートは高沸成分、1,4−ブタンジオールから副生するTHFは低沸成分である。
前記低沸分離工程と高沸分離工程は、単一の蒸留塔を使用して行っても良いし、複数の蒸留塔を使用して行っても良い。またバッチ式であっても連続式であっても良い。バッチ式の場合、単一の蒸留塔を使用して、まずは低沸分離工程により低沸成分の分離を行い、続いて高沸分離工程にてフェノールを留去して高沸成分の分離を行う。また連続式の場合は、複数の蒸留塔を使用して、1つ目の蒸留塔にて低沸成分を留去して低沸成分の濃度を低減し、2つ目の蒸留塔にてフェノールを留去して高沸成分を塔底に残存させ高沸成分の濃度を低減する。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法での分離された副生フェノールには、1,4−ブタンジオールとTHFが含まれる。その場合、低沸成分であるTHFを低沸分離工程にて予め分離した場合でも、塔底のフェノール中には高沸成分である1,4−ブタンジオールが残存するため、高沸分離工程にて1,4−ブタンジオールが蒸留時の加熱によりTHFに変化し、フェノールとともに留去して精製フェノール中に一定濃度以上のTHFを含む場合がある。そのため、低沸分離工程の前に酸処理を行って1,4−ブタンジオールをTHFに変化させてから、低沸分離工程、高沸分離工程での処理を行う場合がある。酸処理の方法としては、特に限定されないが、酸成分を添加して加熱処理する方法や、イオン交換樹脂を用いてカラム処理する方法が好ましい。また他の方法としては、先に高沸分離工程にて高沸成分である1,4−ブタンジオールの濃度を低減させた後に、低沸分離工程にて低沸成分であるTHFの濃度を低減し、最後にフェノールを留去して精製フェノールを得る方法がある。
<蒸留条件>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の精製工程における、蒸留時の蒸留塔の塔底温度は、特に限定されないが、通常100〜200℃であり、好ましくは105〜190℃、より好ましくは110〜180℃、更に好ましくは120℃〜170℃、特に好ましくは130〜160℃、最も好ましくは140〜150℃である。上記上限を超える温度で蒸留した場合、高沸分離工程においては、1,4−ブタンジオールからTHFに変化する割合が増加し、精製フェノール中のTHF濃度が高くなる。また上記下限より低い温度で蒸留した場合、塔底に残存するフェノール量が多くなり、フェノールの回収率が悪くなる。
また、蒸留塔の圧力は通常20〜400torrであり、好ましくは30〜300torr、より好ましくは40〜250torr、更に好ましくは50〜200torr、最も好ましくは100〜180torrである。
[DPC製造工程]
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法は、上述の重縮合工程及び精製工程に加えて、更に、精製工程で得られる精製フェノールの少なくとも一部とカルボニル化合物と
を反応させて、ジフェニルカーボネートを製造するDPC製造工程を含むことが好ましい。
ジフェニルカーボネートは、通常フェノール及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒の存在下の合成反応により製造する。
カルボニル化合物としては、炭酸ジエステルのカルボニル基を形成するものであれば特に限定されず、例えば、塩化カルボニル(ホスゲン)、一酸化炭素、炭酸ジアルキル等が挙げられる。中でも塩化カルボニル(ホスゲン)が好ましい。
また、アルカリ系触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
合成反応の条件は特に限定されないが、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノールを使用する場合は、常圧下でフェノールが溶融状態にある50℃〜180℃が好ましい。また、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との混合比(モル比)は、芳香族モノヒドロキシ化合物1モルに対して、通常、カルボニル化合物0.40モル〜0.49モルが好ましい。
本実施の形態で使用する炭酸ジエステルは、上述したように芳香族モノヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒存在下の合成反応を行う反応工程後、反応液を脱塩酸処理及び除去しきれない塩酸をアルカリ性水溶液により中和処理して水洗する洗浄工程と、さらに、蒸留工程を経て製造する。
(エステル交換触媒)
本実施の形態において使用するエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、ベリリウム化合物又はマグネシウム化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。
これらのエステル交換触媒の中でも、実用的にはアルカリ金属化合物が望ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10−9〜1×10−1モル、好ましくは1×10−7〜1×10−2モルの範囲で用いられる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
ベリリウム化合物又はマグネシウム化合物としては、例えば、ベリリウム又はマグネシウムの水酸化物、炭酸塩等の無機化合物;ベリリウム又はマグネシウムのアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物;アルカリ土類金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。ここで、アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
<精製フェノールの使用>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の精製工程で得られる精製フェノールをDPC製造工程にて使用する場合、精製フェノール中に含まれるTHFがDPC製造工程にて負荷を与える場合がある。具体的には、DPC製造工程のDPC合成反応において、副生する塩化水素ガスを回収する工程において活性炭処理を行う場合、THFが多いフェノールを使用した場合は活性炭にTHFが吸着するために活性炭の破過が早くなり、活性炭の寿命を短くするという不具合がある。そのため、精製フェノール中に含まれるTHFの量は前述した好ましい範囲に低減する必要がある。
[精製フェノールの用途]
本発明の製造方法により得られる精製フェノールは、DPC以外にビスフェノール化合物やフェノール樹脂の原料として使用することができる。
[ポリカーボネートジオールの用途]
本発明の製造方法により得られるポリカーボネートジオールを使用したポリウレタンは、耐薬品性、低温特性、耐熱性等に優れるため、人工皮革、合成皮革、水系ポリウレタン、エラストマー、接着剤、弾性繊維、医療用材料、床材、塗料、コーティング剤、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等の原料等の、通常ポリオールが使用される用途全般において好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
<数平均分子量、フェノキシ基末端量、ジオール割合及びフェノール残存量の分析>
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)を測定し、各成分のシグナル位置より、ポリカーボネートジオールの各ユニットとフェノキシ基、フェノールを同定し、積分値よりフェノール及びフェノキシ基末端量及びポリカーボネートジオールの分子量を算出した。
その際の検出限界は、サンプル全体の重量に対するフェノールの重量として0.01wt%である。またフェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出限界は末端全体に対して0.05%である。
<APHA値の測定>
JIS K0071−1(1998)に準拠して、ポリカーボネートジオールを比色管に入れた標準液と比較してAPHA値を測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学)を使用した。
<水酸基価>
JIS K1557−1(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にてポリカーボネートジオールの水酸基価を測定した。
<加水分解後のジヒドロキシ化合物のモル比率>
ポリカーボネートジオール約0.5gを精秤し、100mL三角フラスコへ入れ、テトラヒドロフラン5mLを添加して溶解した。次にメタノール45mL、25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを添加した。100mL三角フラスコにコンデンサーをセットし、75〜80℃の水浴で30分間加熱し、加水分解を行った。室温にて放冷した後、6N塩酸5mLを添加して水酸化ナトリウムを中和し、pHを2〜4にした。100mLメスフラスコに全量を移し、三角フラスコ内を適量のメタノールで2回洗浄し、洗浄液も100mLメスフラスコに移した。適量のメタノールを添加して100mLとした後、メスフラスコ内で液を混合した。上澄み液を採取してフィルターにてろ過後、GCにて分析を行った。各ジヒドロキシ化合物の濃度は予め標準物質として既知の各ジヒドロキシ化合物より検量線を作成し、GCにて得られた面積比から重量%を算出した。上記、GCにて得られた重量%と各ジヒドロキシ化合物の分子量から、各ジヒドロキシ化合物のモル比率を算出した。
(分析条件)
装置:Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜厚 0.25μm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃(2分間)、150℃→245℃(5℃/分、19分間)、245℃(2分間)
<THF残存量の分析>
N−メチルピロリドン500mLにモノクロロベンゼン250mgを添加させた溶液を内部標準液とした。ポリカーボネートジオール含有組成物を0.5g精秤し、ホールピペ
ットで秤量した上記の内部標準液5mLに溶解した。得られた溶液をガスクロマトグラフィー(GC)にて分析を行った。THFの濃度は予め標準物質として既知のTHFより検量線を作成し、ガスクロマトグラフィー(GC)にて得られた面積比から重量%を算出した。
(分析条件)
装置 :Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB-WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜厚 0.25mm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃→190℃(5分間)190→245℃(40分間)
注入量:1μL
注入口温度: 200℃
検出器温度: 245℃(FID検出器)
[評価方法:フェノール]
<フェノール中の不純分の濃度分析>
不純物(THF、1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール、DPC)を含むフェノール約0.2gを精秤し、アセトニトリルで10mLになるよう定量した。さらに、そのフェノールのアセトニトリル溶液1mLをホールピペットで秤量し、水で10mLになるよう定量し、そのアセトニトリル水混合溶液を用いてGCにて不純物量の分析を行った。各不純物の濃度は予め標準物質として既知の各物質より検量線を作成し、GCにて得られた面積比から重量%を算出した。
(分析条件)
装置:Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜厚 0.25μm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃(2分間)、150℃→245℃(5℃/分、19分間)、245℃(2分間)
<使用原料>
本実施例のポリカーボネートジオールの製造に使用した原料は以下の通りである。
1,4−ブタンジオール:三菱化学株式会社製
1,10−デカンジオール:豊国製油株式会社製
ジフェニルカーボネート:三菱化学株式会社製
酢酸マグネシウム四水和物:和光純薬工業株式会社製
リン酸:和光純薬工業株式会社製
[実施例1]
<ポリカーボネートジオールの重合と副生フェノールの分離>
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、原料として、1,4−ブタンジオール(以下、1,4−BD):17.2kg、1,10−デカンジオール(以下、1,10−DD):7.3kg、DPC:45.5kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:5.0mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物:1.0g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器は冷媒を使用せず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が140℃に
到達した時点で、5分間かけて圧力を21.3kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち、30分間21.3kPaを維持しながら副生するフェノールを留出させた。その後、90分かけて内温を170℃に上げながら、圧力を1.0kPaまで下げた。さらに副生するフェノールを留出させ、170℃、1.0kPaで30分間反応を継続した。その後、170℃を維持しながら窒素で大気圧まで復圧させ、リン酸の1,4-BD溶液:99.1g(濃度:0.46wt%、リン酸:0
.46g)を反応溶液に添加し、15分間撹拌、混合した。
その後、内温を178℃に上げながら圧力を0.1kPaまで下げ、178℃、0.1kPaに到達してから240分間、フェノールを留出させた。その結果、水酸基価56.1(数平均分子量2000)、APHA20、フェノール残存量とDPC残存量が0.01wt%未満のPCDが27.1kg得られた。なお、PCD中の1,4−BDに由来する構造単位の割合は81%、PCDの末端構造の中で1,4−BDに由来する構造単位の割合は87%だった。
また、留出タンク及びコールドトラップから留出したフェノールを回収し、含まれる不純物成分の濃度を分析した結果、THFが0.8wt%、1,4−BDが0.8wt%、1,10−DDが0.2wt%、DPCが0.2wt%含まれていた。
<フェノールの蒸留、低沸分離>
500mLの四つ口フラスコに5段のオールダーショウ(理論段数4段)及び冷却管(45℃の冷却水を流通)、還流装置、留出液用受器を接続し、さらにドライアイストラップ及び圧力調整装置、真空ポンプを接続した。<ポリカーボネートジオールの重合と副生フェノールの分離>にて得られた不純物を含むフェノールに、THF、1,4−BD、1,10−DD、DPCを添加して、THFが1.0wt%、1,4−BDが1.0wt%、1,10−DDが1.0wt%、DPCが1.0wt%となるフェノール溶液を調製し、500mLの四つ口フラスコに235gを入れた。500mLの四つ口フラスコをオイルバスに入れ、圧力200torr、オイルバスの温度173℃でフラスコ内のフェノールを加熱した。留出が開始してから、還流比を1.0に調整し、加熱を継続した。留出中の内温は141℃であった。留出開始から15分後(留出率:15%)に窒素で復圧し、オイルバスをフラスコから外して、フェノールを45℃まで冷却した。冷却したフェノールの一部を取り出し、含まれる不純物成分の蒸留前後での残存率を分析した結果、THFは8%、1,4−BDが100%、1,10−DDが100%、DPCが100%残存していた。
<フェノールの蒸留、高沸分離>
<フェノールの蒸留、低沸分離>にてフラスコに残ったフェノールを<フェノールの蒸留、低沸分離>で使用した500mLの四つ口フラスコに185g入れ、圧力50torr、オイルバスの温度135〜140℃で加熱した。留出中の内温は101℃であった。留出が開始してから、還流比を2.0に調整し、加熱を継続した。留出開始から105分後(留出率:81%)に窒素で復圧し、オイルバスをフラスコから外して、フェノールを45℃まで冷却した。留出物は149g得られ、不純物の各濃度は、THFが0.24重量%、1,4−BDが0.014重量%、110−DDが0.018重量%、DPCは未検出であった。
フェノールの蒸留にて、得られた精製フェノールの収率は、低沸分離と高沸分離でのトータルで69%であった。
[実施例2]
<フェノールの蒸留、低沸分離>
実施例1の<ポリカーボネートジオールの重合と副生フェノールの分離>にて得られた留出フェノール239gを、実施例1の<フェノールの蒸留、低沸分離>と同様な500
mLの四つ口フラスコ装置に入れた。500mLの四つ口フラスコをオイルバスに入れ、圧力200torr、オイルバスの温度173℃でフラスコ内のフェノールを加熱した。留出が開始してから、還流比を1.0に調整し、加熱を継続した。留出中の内温は141℃であった。留出開始から20分後(留出率:14%)に窒素で復圧し、オイルバスをフラスコから外して、フェノールを45℃まで冷却した。冷却したフェノールの一部を取り出し、含まれる不純物成分の蒸留前後での残存率を分析した結果、THFは8%、1,4−BDが100%、1,10−DDが100%、DPCが100%残存していた。
<フェノールの蒸留、高沸分離>
<フェノールの蒸留、低沸分離>にてフラスコに残ったフェノールを<フェノールの蒸留、低沸分離>で使用した500mLの四つ口フラスコに190g入れ、圧力50torr、オイルバスの温度135〜140℃で加熱した。留出中の内温は106℃であった。留出が開始してから、還流比を2.0に調整し、加熱を継続した。留出開始から95分後(留出率:85%)に窒素で復圧し、オイルバスをフラスコから外して、フェノールを45℃まで冷却した。留出物は161g得られ、不純物の各濃度は、THFが0.08重量%、1,4−BD、110−DD、DPCは未検出であった。
フェノールの蒸留にて、得られた精製フェノールの収率は、低沸分離と高沸分離でのトータルで71%であった。

Claims (11)

  1. 1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを含むカーボネート化合物とを、触媒の存在下、エステル交換反応により重合させて、水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールを得ると共に、発生する副生フェノールを分離する重縮合工程、
    および、該重縮合工程で分離された副生フェノールを精製して、該副生フェノール中のテトラヒドロフラン濃度を低減して、精製フェノールを得る、精製工程を含む、ポリカーボネートジオールの製造方法。
  2. 前記精製工程において、前記副生フェノールを蒸留により精製する、請求項1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  3. 前記精製工程において、前記副生フェノールを多段蒸留塔を用いて蒸留する、請求項2に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  4. 前記多段蒸留塔の理論段数が4段以上である、請求項3に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  5. 前記精製工程において得られる、前記精製フェノールの少なくとも一部とカルボニル化合物とを反応させてジフェニルカーボネートを製造する、ジフェニルカーボネート製造工程を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  6. 前記ジフェニルカーボネート製造工程で得られるジフェニルカーボネートの少なくとも一部を、前記重縮合工程の前記ジフェニルカーボネートとして使用する、請求項5に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  7. 前記精製工程において得られる、前記精製フェノールの少なくとも一部とケトン化合物又はアルデヒド化合物を原料とし、ビスフェノール化合物を製造する、ビスフェノール化合物製造工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  8. 前記重縮合工程で得られる、前記水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオールの全分子鎖末端に対するフェノキシ基末端の割合が5モル%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  9. 前記重縮合工程で得られる、前記水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオール中の1,4−ブタンジオールに由来する構造単位の割合が20モル%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  10. 前記重縮合工程で得られる、前記水酸基価20〜450mgKOH/gのポリカーボネートジオール中の末端構造に1,4−ブタンジオールに由来する構造単位が20モル%以上含まれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  11. 前記精製工程において得られる、前記精製フェノール中のテトラヒドロフランの濃度が1000ppm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113956436A (zh) * 2021-11-09 2022-01-21 万华化学(宁波)有限公司 一种浅色且存储过程中色号稳定的二苯基甲烷二异氰酸酯组合物
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