JP2002226572A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
芳香族ポリカーボネートの製造方法Info
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Abstract
も、ギアポンプ内で品質劣化がなく、色相に優れ、異物
の少ない芳香族ポリカーボネートを製造する技術を提供
する。 【解決手段】 溶融重縮合して芳香族ポリカーボネート
を製造するに際し、溶融した反応混合物を反応装置から
移送するために設置した自己潤滑型ギアポンプにおい
て、当該ギアポンプの軸封部に連続的に供給する反応混
合物の流量をQ(cm3/秒)、軸封部に反応混合物を
供給するために設置した流路の断面積をS(cm2)と
した場合、Q/S≧0.1(cm/秒)を満足する量の
反応混合物を、軸封部に供給する。
Description
ボネートの製造方法に関する。さらに詳しくは、溶融重
縮合法により、色相安定性、熱安定性等に優れるととも
に、色相、透明性に優れた芳香族ポリカーボネートを効
率よく製造することができる製造方法に関するものであ
る。
性、透明性等に優れた特性を有するため、非常に有用な
樹脂として広く一般に知られている。この芳香族ポリカ
ーボネート樹脂を製造する方法としては、芳香族ジヒド
ロキシ化合物とホスゲンとを、有機溶媒およびアルカリ
水溶液の混合液中で反応させる界面法と、芳香族ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、触媒の存在下、高
温・減圧下において反応させ、発生するフェノールを系
外に除去する溶融重縮合法とがある。
おいては、反応混合物は高温の溶融状態で反応装置間を
移動し、もしくは反応装置から排出させられる。このよ
うな反応装置からの移送のためには、通常はギアポンプ
が用いられる。この目的に使用されるギアポンプは、高
い耐熱性と、優れた真空シール性とが要求されるため、
移送する反応混合物の一部を軸シールに使用することに
より、反応混合物と接する可能性がある部分にグランド
シールやメカニカルシールを有しない、所謂自己潤滑型
ギヤポンプが一般に使用される。
内部において、軸潤滑に使用された反応混合物は、熱劣
化を引き起こし易く、異物を発生することがあり、製造
する芳香族ポリカーボネートの透明性等の特性を損なう
と言う問題を有していた。特に、コンパクトディスクの
ような光学用途に用いられる芳香族ポリカーボネートに
おいては、高純度のポリカーボネートが求められるた
め、着色、異物の発生は製品品質上深刻な問題となる。
りである。 1. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを
主として含む混合物を、触媒の存在下に連続的に溶融重
縮合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、溶
融した反応混合物を反応装置から移送するために設置し
た自己潤滑型ギアポンプにおいて、当該ギアポンプの軸
封部に連続的に供給する反応混合物の流量をQ(cm3
/秒)、軸封部に反応混合物を供給するために設置した
流路の断面積をS(cm2)とした場合、Q/S≧0.
1(cm/秒)を満足する量の反応混合物を、軸封部に
供給することを特徴とする、芳香族ポリカーボネートの
製造方法。
が、1000以上であることを特徴とする、上記1記載
の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
給した反応混合物を外部に排出するか、もしくは当該ギ
アポンプの反応混合物吸引側に戻すことを特徴とする、
上記1または2記載の芳香族ポリカーボネートの製造方
法。
応混合物」とは、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭
酸ジエステルとを主として含む混合物を、含窒素塩基性
化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土
類金属化合物とよりなるエステル交換触媒等の存在下、
溶融重縮合反応させ、芳香族ポリカーボネートを得る工
程における、その重縮合反応を開始しまたは進行しつつ
ある混合物のことを意味し、その重合度がある程度進ん
だものは、一般的化学用語で言えば「プレポリマー」の
状態にあるものであり、さらに進んだものは、一般的化
学用語で言えば「ポリマー」の状態にあるものである。
炭酸ジエステルとを、触媒の存在下に連続的に溶融重縮
合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、溶融
した反応混合物を反応装置から移送するために設置した
ギアポンプにおいて、当該ギアポンプの軸封部を、反応
混合物の一部を用いてポリマーシールした場合に、シー
ルするポリマーを常に更新し、かつ、ギアポンプ内部に
おけるシール用反応混合物の滞留箇所をなくすることに
より、シール用反応混合物の劣化を防止し、得られるポ
リカーボネートの品質を向上させることを特徴としてい
る。
の製造方法によれば、溶融した反応混合物を反応装置か
ら移送するために設置したギアポンプの内部において、
反応混合物の滞留が防止されるため、芳香族ポリカーボ
ネート製造時に、ギアポンプ内部での品質劣化がなく、
色相に優れ、異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製
造することができる。
ネートの製造方法について、具体的に説明する。
とは主たる成分である芳香族ジオール化合物と、炭酸ジ
エステルとを塩基性窒素化合物とアルカリ金属化合物お
よび/またはアルカリ土類金属化合物よりなるエステル
交換触媒等の存在下、溶融重縮合させた芳香族ポリカー
ボネートである。
例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、p,p’−ジ
ヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’
−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,
4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4
−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
物としては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリー
ルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
ト、ジシクロヘキシルカーボネートなどが用いられる。
これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
比率は、炭酸ジエステル化合物の使用モル数を芳香族ジ
ヒドロキシ化合物の使用モル数で除した値であらわした
原料モル比において、1.00から1.10の範囲の中
から選択することが好ましい。
トは、必要に応じて、脂肪族ジオールとして、例えば、
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオ
ール等を、ジカルボン酸類として、例えば、コハク酸、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テレフタル酸等;
オキシ酸類例えば、乳酸、P−ヒドロキシ安息香酸、6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等を含有していても良
い。
ないが、塩基性窒素化合物とアルカリ金属化合物および
/またはアルカリ土類金属化合物とよりなるエステル交
換触媒を使用することができる。
/またはアルカリ土類金属化合物についても、得られる
芳香族ポリカーボネートの色相を低下させるものでなけ
れば特に制限はなく種々の公知のものを使用することが
できる。
としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素化
物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シ
アン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホ
ウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノー
ル、フェノールの塩等が挙げられる。
化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウ
ム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カ
リウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、
チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン
酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カ
リウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸ナト
リウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息
香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジ
カリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAの
ジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノ
ールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙
げられる。
合物としては、例えばアルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫
酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、
安息香酸塩、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げ
られる。
化バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酢酸
カルシウム、酢酸バリウム、酢酸ストロンチウム、硝酸
カルシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、亜硝
酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ストロンチウ
ム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸バリウム、亜硫酸ストロ
ンチウム、シアン酸カルシウム、シアン酸バリウム、シ
アン酸ストロンチウム、チオシアン酸カルシウム、チオ
シアン酸バリウム、チオシアン酸ストロンチウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリ
ン酸ストロンチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化
ホウ素バリウム、水素化ホウ素ストロンチウム、安息香
酸カルシウム、安息香酸バリウム、安息香酸ストロンチ
ウム、ビスフェノールAのカルシウム塩、バリウム塩、
ストロンチウム塩、フェノールのカルシウム塩、バリウ
ム塩、ストロンチウム塩などが挙げられる。
ルカリ金属化合物として、(a)周期律表第14族の元
素のアート錯体のアルカリ金属塩または(b)周期律表
第14族の元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いるこ
とができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ
素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
のアルカリ金属塩としては、特開平7−268091号
公報に記載のものをいうが、具体的には、ゲルマニウム
(Ge)の化合物;NaGe(OMe)5、NaGe
(OEt)3、NaGe(OPr)5、NaGe(OB
u)5、NaGe(OPh)5、LiGe(OMe)5、
LiGe(OBu)5、LiGe(OPh)5を挙げるこ
とができる。
(OMe)3、NaSn(OMe)2(OEt)、NaS
n(OPr)3、NaSn(O−n−C6H13)3、Na
Sn(OMe)5、NaSn(OEt)5、NaSn(O
Bu)5、NaSn(O−n−C12H25)5、NaSn
(OEt)、NaSn(OPh)5、NaSnBu2(O
Me)3を挙げることができる。
酸のアルカリ金属塩としては、例えばケイ酸(sili
cic acid)のアルカリ金属塩、スズ酸(sta
nic acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム
(II)酸(germanous acid)のアルカ
リ金属塩、ゲルマニウム(IV)酸(germanic
acid)のアルカリ金属塩を好ましいものとして挙げ
ることができる。
イ酸(monosilicic acid)またはその
縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その
例としては、オルトケイ酸モノナトリウム、オルトケイ
酸ジナトリウム、オルトケイ酸トリナトリウム、オルト
ケイ酸テトラナトリウムを挙げることができる。
ズ酸(monostanic acid)またはその縮
合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例
としてはモノスズ酸ジナトリウム塩(Na2SnO3・X
H2O、X=0〜5)、モノスズ酸テトラナトリウム塩
(Na4SnO4)を挙げることができる。
us acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲル
マニウム酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカ
リ金属塩であり、その例としてはゲルマニウム酸モノナ
トリウム塩(NaHGeO2)を挙げることができる。
c acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマ
ニウム(IV)酸またはその縮合体の酸性あるいは中性
アルカリ金属塩であり、その例としてはオルトゲルマニ
ウム酸モノリチウム酸(LiH3GeO4)オルトゲルマ
ニウム酸ジナトリウム塩、オルトゲルマニウム酸テトラ
ナトリウム塩、ジゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na
2Ge2O5)、テトラゲルマニウム酸ジナトリウム塩
(Na2Ge4O9)、ペンタゲルマニウム酸ジナトリウ
ム塩(Na2Ge5O11)を挙げることができる。
ルカリ土類金属化合物は、当該触媒中のアルカリ金属元
素またはアルカリ土類金属元素が芳香族ジオール化合物
1モル当り1×10-8〜5×10-5当量となる場合で好
ましく使用される。より好ましい割合は同じ基準に対し
5×10-7〜1×10-5当量となる割合である。
ルカリ土類金属元素量が芳香族ジオール化合物1モル当
り1×10-8〜5×10-5当量の範囲を逸脱すると、得
られる芳香族ポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼ
したり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分
子量の芳香族ポリカーボネートが得られない等の問題が
あり好ましくない。
しては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの
アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する
アンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシ
ルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラ
メチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NB
H4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド
(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアン
モニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)な
どの塩基性塩を挙げることができる。
化合物中のアンモニウム窒素原子が芳香族ジオール化合
物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量となる割合で
用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対
し2×10-5〜5×10-4当量となる割合である。特に
好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10 -4
当量となる割合である。
ジオール化合物(芳香族ジヒドロキシ化合物ともいう)
に対するアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、含窒素塩基性化合物の割合いを、「芳香族ジヒドロ
キシ化合物1モルに対し金属または塩基性窒素としてW
(数値)当量のZ(化合物名)量」として表現したが、
これは、例えば、Zがナトリウムフェノキシドや2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンモノナトリ
ウム塩のようにナトリウム原子が一つであり、またはト
リエチルアミンのように塩基性窒素が一つであれば、Z
の量がWモルに相当する量であることを意味し、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジナトリウ
ム塩のように二つであれば、W/2モルに相当する量で
あることを意味する。
緒に、必要により、周期律表第14族元素のオキソ酸お
よび同元素の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも
1種の助触媒を共存させることができる。
より、末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことな
く、重縮合反応中に生成し易い分岐反応や、成形加工時
における装置内での異物の生成、やけといった好ましく
ない副反応をより効果的に抑制することができる。
使用しない、環境問題の少ないポリカーボネートの製造
方法であり、かつ、コスト面の利点も期待されるため、
注目を集めているが、得られるポリマーの品質、特に色
相やゲルの面で界面重合法で得られるポリカーボネート
に劣ると言う問題を有しており、これを解決するために
様々な提案がなされてきた。しかしながら未だに満足で
きる方法は見出されていないのが現状であり、特に溶融
重合法では、設備のスケールアップにより、得られるポ
リカーボネートの品質が変化し、小スケールで得られた
良好な品質が再現できないという問題があった。
設備面の検討を、反応混合物の装置内における滞留に着
目して詳細に実施した結果、溶融した反応混合物を反応
装置から移送するために設置した自己潤滑型ギアポンプ
の内部における滞留が、得られるポリカーボネートの品
質に大きな影響を及ぼすこと、そのようなギアポンプ内
部の主要な滞留部は、軸シールに使用する反応混合物の
循環経路、および軸封部にあることを見出した。
潤滑型ギヤポンプの内部の滞留を防止する方策を検討し
た結果、当該ギアポンプの軸封に使用する反応混合物
を、特定の条件で供給することにより、ギアポンプ内部
における滞留部分が少なくなり、良好な品質が維持でき
ることを見出し、本願発明に到達した。
カーボネート製造においては、一方では反応混合物が通
常高い溶融粘度を有するため、ギアポンプ内部等に滞留
しやすい構造部分があれば、その部分がデッドスペース
を構成すると考えられること、他方ではポリカーボネー
トが、ポリエチレンテレフタレートなどの他の縮合重合
のポリマーとは異なり、酸素などの他の要因を完全に排
除しても、長時間加熱することにより、それ自身が分岐
し、架橋構造を形成してゲル化して行く特徴を有してい
ることの二点により、芳香族ポリカーボネート製造設備
内でのポリマーの滞留に基づく劣化が、ポリマー品質に
大きな影響を及ぼしていると考えられる。本願発明は、
上記劣化の原因となるデッドスペースを極力排除するこ
とで構成される。
の製造方法では、溶融した反応混合物を反応装置から移
送するために設置したギアポンプにおいて、当該ギアポ
ンプの軸封部に反応混合物の一部を連続的に供給し、供
給した反応混合物は、外部に排出するか、もしくは当該
ギアポンプの反応混合物吸引側に戻すことで、反応混合
物のギアポンプ内での品質の劣化が少なく、色相に優
れ、異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製造するこ
とができる。
の製造方法では、反応混合物とは、好ましくは粘度平均
分子量が1000以上のものである。粘度平均分子量が
この値より小さい場合は、デッドスペースの発生が少な
くなるため、効果はより小さくなる。
ては、耐熱性や耐真空性に優れる自己潤滑型ギアポンプ
が好ましい。
の滞留部分を無くすためには、ギアポンプ内部に設けら
れた、軸封部のシールに使用する反応混合物の流路の境
膜を更新することが効果的である。このため、本願発明
においては、ギアポンプ内部に設けられた反応混合物流
路の剪断力を高くすることが必要である。
の製造方法では、溶融した反応混合物を反応装置から移
送するために設置したギアポンプにおいて、当該ギアポ
ンプの軸封部に、連続的に供給する反応混合物の流量を
Q(cm3/秒)、軸封部に反応混合物を供給するため
に設置した流路の断面積をS(cm2)とした場合、Q
/S≧0.1(cm/秒)を満足する量の反応混合物
を、軸封部に供給することによって、設備スケールアッ
プを伴った場合においても、反応混合物のギアポンプ内
での品質の劣化が少なく、色相に優れ、異物の少ない芳
香族ポリカーボネートを製造することができる。
的に例示すると図1のようになる。ただし、図1はあく
まで例示であり、公知のいかなる方法によるQおよびS
の設定も本願発明の範疇に属する。
の正面図である。
面図である。
面図である。
面図である。
ポンプ1のギヤ2の作用により、ギヤポンプ1の上部か
ら供給され、ギヤポンプ1の下部へと移送される。ギヤ
2はモーター3により駆動されている。番号4はギヤ2
の駆動軸である。ギヤの軸は、軸受け5によって支持さ
れている。
6を通り、ギヤポンプのサクション側に戻される。軸受
け5は図1(a)と図1(b)とにも示されている。ま
た本願発明に係るSは、この流路6の断面積である。そ
の断面は図1(d)に示されている。
流量調整ボルト7を流路6の断面と平行になる方向に出
入させることにより調整される。
つあるからである。この二つの流路6の断面寸法は同一
である。
個々についてQ/S≧0.1(cm/秒)の関係が成立
することが必要である。
の軸がモーターに直接接続していないギヤ側では流路8
を通り、ギヤポンプのサクション側に戻される。一方、
ギヤの軸がモーターに直接接続しているギヤ側では、流
路9を通った後、駆動軸に沿って流れ系外に排出され
る。流路8および9の断面は図1(d)と同様である。
本願発明に係るSは、この流路8および9の断面積でも
ある。この流路8および9の断面寸法は同一である。な
お、この場合に系外に排出するのは、ギヤの軸がモータ
ーに直接接続している側はグランド軸封部が複雑な構造
を有しており、ギヤポンプのサクション側に戻すと、こ
の複雑な構造部分の滞留部から分解物等が反応混合物内
に流入する可能性があり、この可能性を排除するためで
ある。
であり、流量調整ボルト7を流路8および9の断面と平
行になる方向に出入させることにより調整される。
トに触媒失活剤を添加することもできる。
公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもス
ルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好まし
く、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類
やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩
等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。ま
たスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチ
ル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブ
チル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン
酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトル
エンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチ
ル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンス
ルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、就中、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最
も好ましく使用される。
属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選
ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割
合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ま
しくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
溶剤に溶解または分散させて溶融状態のポリカーボネー
トに添加、混練する。このような操作を実施するのに用
いられる設備に特に制限は無いが、例えば2軸ルーダー
等が好ましく、触媒失活剤を溶剤に溶解または分散させ
た場合はベント付きの2軸ルーダーが特に好ましく使用
される。
を損なわない範囲でポリカーボネートに添加剤を添加す
ることができる。この添加剤は触媒失活剤と同様に溶融
状態のポリカーボネートに添加することが好ましく、こ
のような添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、エポキ
シ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、スリップ
剤、アンチブロッキング剤、滑剤、有機充填剤、無機充
填剤等をあげることができる。
剤、離型剤、着色剤等が特に一般的に使用され、これら
は2種以上組み合わせて使用することができる。
は、例えば、燐化合物、フェノール系安定剤、有機チオ
エーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等を挙げ
ることができる。
外線吸収剤が用いられ、例えば、サリチル酸系紫外線吸
収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収
剤等を挙げることができる。
剤を用いることができ、例えば、パラフィン類などの炭
化水素系離型剤、ステアリン酸等の脂肪酸系離型剤、ス
テアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系離型剤、ステアリ
ルアルコール、ペンタエリスリトール等のアルコール系
離型剤、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリ
トールのステアレート等の脂肪酸エステル系離型剤、シ
リコーンオイル等のシリコーン系離型剤等を挙げること
ができる。
料を使用することができる。
いが、例えば、直接ポリカーボネートに添加してもよ
く、マスターペレットを作成して添加してもよい。
を反応装置から移送するために設置したギアポンプ内に
おいて、反応混合物の滞留部分がなくなるため、製造プ
ラントをスケールアップした場合でも、ギアポンプ内で
品質劣化がなく、色相に優れ、異物の少ない芳香族ポリ
カーボネートを製造することができる。
明はこれに限定されるものではない。また実施例中の%
および部は特に断らない限り重量%または重量部であ
る。なお、以下の実施例において得られた反応混合物お
よびポリカーボネートの物性は、以下のようにして測定
した。
g/dlの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用い
固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を求め
た。 [η]=1.23×10-4M0.83 [色調(b値)]ポリカーボネートペレット(短径×長
径×長さ(mm)=2.5×3.3×3.0)のLab
値を日本電色工業製ND−1001DPを用い、反射法
で測定し黄色度の尺度としてb値を用いた。
gを5Lの塩化メチレンに溶解した後、目開き30μm
のフィルターを用いてろ過し、フィルター上に捕集され
た異物の個数をカウントzした。
ンプは図1の構造を有していた。
り成る連続重合設備を使用して、芳香族ポリカーボネー
トの溶融重縮合を実施した。初期重合槽は、精留塔を有
する竪型撹拌槽であり、後期重合槽は横型の撹拌槽であ
った。後期重合槽で得られた重合生成物は、本願発明の
ギヤポンプを用いて連続的に抜き出し、ダイスより押出
し、冷却バスでストランドとした後、カッターによって
ペレットにした。
のような仕様と成っていた。当該ギアポンプは、モータ
ー側の軸封部に導入される反応混合物が、グランド部を
通過してポンプの外に排出される構造を持ち、反モータ
ー側の軸封部に導入される反応混合物が、ポンプの吸引
部に戻される構造を有していた。モーター側の軸封部に
導入される反応混合物の流路の断面積Sは、0.035
cm2であった。ポンプの外に排出される反応混合物量
(すなわち軸封部に連続的に供給される反応混合物の流
量)Qは、1.7cm3/分であった。これより、Q/
S=0.8cm/秒であった。一方、反モーター側の軸
封部に導入される反応混合物の流路の断面積Sは0.0
35cm2であった。軸封部にむけて流れた反応混合物
の流量Qは、1.7cm3/分であった。これより、Q
/S=0.8cm/秒であった。なお、上記における
Q,Sは個々の流路に対するものである。
た。
ノールA、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネー
トを1対1.01(モル比)割合で混合し、重合原料と
して用いた。
ナトリウム塩を、フェノール溶液として用いた。
媒溶液供給量を、ビスフェノールAのジナトリウム塩
が、原料として供給されるビスフェノールAに対し1×
10 -6当量となるよう触媒溶液供給ポンプの流量を調整
し、初期重合槽出で粘度平均分子量を6000、後期重
合槽出で粘度平均分子量を15000として連続溶融重
縮合を実施した。
運転を行い、200時間、400時間、600時間経過
時に、後期重合槽の出口で反応混合物をサンプリングし
た。
た。
うえで、原料供給量と触媒溶液供給量とを、実施例1の
5倍となるよう原料供給ポンプ、および触媒溶液供給ポ
ンプの流量を調整し、連続溶融重縮合を実施した。な
お、QとSとは実施例と同様であった。
し、600時間の連続運転を行い、200時間、400
時間、600時間経過時に、後期重合槽の出口で反応混
合物をサンプリングした。
た。
を実施しても、得られるポリカーボネートの品質は、実
施例1と同様に良好であった。
期重合槽出側に設置したギアポンプの軸封部へ反応混合
物を導入する流路に、図1に示したボルトをねじ込むこ
とによって、流路の断面積を小さくし軸封部へ導入され
る反応混合物量を次のように変更した以外は、実施例2
と同じ運転条件で、600時間の連続運転を実施した。
れる反応混合物の流路において、流路の最少断面積Sが
0.0053cm2となるように図1で示したボルトを
ねじ込み、これによってポンプの外に排出される反応混
合物量Qを、0.025cm 3/分に変更した。これよ
り、Q/S=0.08cm/秒であった。また、反モー
ター側の軸封部に導入される反応混合物の流路において
も、当該流路の最少断面積Sが0.0053cm2とな
るよう図1に示したボルトをねじ込み、これによって軸
封部にむけて流れた反応混合物の流量Qを、0.025
cm3/分に変更した。これより、Q/S=0.08c
m/秒であった。
0時間経過時に、後期重合槽の出口で反応混合物をサン
プリングした。
た。
ための図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとを主として含む混合物を、触媒の存在下に連続的
に溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造するに
際し、溶融した反応混合物を反応装置から移送するため
に設置した自己潤滑型ギアポンプにおいて、当該ギアポ
ンプの軸封部に連続的に供給する反応混合物の流量をQ
(cm3/秒)、軸封部に反応混合物を供給するために
設置した流路の断面積をS(cm2)とした場合、Q/
S≧0.1(cm/秒)を満足する量の反応混合物を、
軸封部に供給することを特徴とする、芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法。 - 【請求項2】 溶融した反応混合物の粘度平均分子量
が、1000以上であることを特徴とする、請求項1記
載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項3】 当該ギアポンプの軸封部に連続的に供給
した反応混合物を外部に排出するか、もしくは当該ギア
ポンプの反応混合物吸引側に戻すことを特徴とする、特
許請求の範囲第1または2項記載の芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法。
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