JP2002226265A - 圧電磁器組成物および圧電共振子 - Google Patents

圧電磁器組成物および圧電共振子

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JP2002226265A JP2001023412A JP2001023412A JP2002226265A JP 2002226265 A JP2002226265 A JP 2002226265A JP 2001023412 A JP2001023412 A JP 2001023412A JP 2001023412 A JP2001023412 A JP 2001023412A JP 2002226265 A JP2002226265 A JP 2002226265A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】共振周波数と反共振周波数の間およびその近傍
の周波数で移相歪みが発生せず、厚み滑り振動や厚み縦
振動の基本波振動等のP/Vを大きくできるとともに、
−20℃〜+80℃の温度範囲で発振周波数の温度安定
性に優れた非鉛系の圧電磁器組成物および圧電共振子を
提供する。 【解決手段】金属元素として少なくともBiおよびTi
を含有するとともに、モル比による組成式をA2Bi4
518(AはSr、Ca、(Bi0.5Na0.5)、(B
0.5Li0.5)および(Bi0.50.5)のうち少なくと
も2種以上)で表わされる主成分と、該主成分100重
量部に対してMnをMnO2換算で0.05〜1重量部
含有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電磁器組成物お
よび圧電共振子に関し、例えば、共振子、超音波振動
子、超音波モータ、あるいは加速度センサ、ノッキング
センサ、およびAEセンサ等の圧電センサなどに適し、
特に、厚み滑り振動の基本波振動を利用したエネルギ一
閉じ込め型発振子の高周波発振子用として好適に用いら
れる圧電磁器および圧電共振子に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来から、圧電磁器を利用した製品として
は、例えば、フィルタ、圧電共振子(以下、発振子を含
む概念である)、超音波振動子、超音波モータ、圧電セ
ンサ等がある。
【0003】ここで、発振子は、マイコンの基準信号発
振用として、例えば、コルピッツ発振回路等の発振回路
に組み込まれて利用される。図1はコルピッツ発振回路
を基本とした回路構成においてインダクタLの部分を圧
電発振子に置き換えたピアス発振回路を示すものであ
る。このピアス発振回路は、コンデンサ11、12と、
抵抗13と、インバータ14および発振子15により構
成されている。そして、この発振回路において、発振信
号を発生するには、以下の発振条件を満足する必要があ
る。
【0004】即ち、インバータ14と抵抗13からなる
増幅回路における増幅率をα、移相量をθ1とし、ま
た、発振子15とコンデンサ11、12からなる帰還回
路における帰還率をβ、移相量をθ2としたとき、ルー
プゲインがα×β≧1であり、かつ、移相量がθ1+θ2
=360゜×n(但しn=1,2,…)であることが必
要となる。
【0005】一般的に抵抗13およびインバータ14か
らなる増幅回路は、マイコンに内蔵されている。誤発振
や不発振を起さない、安定した発振を得るためにはルー
プゲインを大きくしなければならない。ループゲインを
大きくするには、帰還率βのゲインを決定する、発振子
のP/V、すなわち共振インピーダンスR0および反共
振インピーダンスRaの差を大きくする事が必要とな
る。なお、P/Vは20×Log(Ra/R0)の値とし
て定義される。
【0006】また、移相量の条件を満足させるために
は、共振周波数と反共振周波数の間およびその近傍の周
波数で、移相が約−90゜から約+90゜まで移相反転
し、且つ共振周波数と反共振周波数の間およびその近傍
にスプリアス振動による移相歪みが発生しないことも重
要となる。
【0007】従来、圧電性が高く、例えば高いP/Vが
得られるPZT、PT系材料が使用されていた。しかし
ながら、PZT、PT系材料には鉛が自重の約60%の
割合で含有されているため、酸性雨により鉛の溶出が起
こり環境汚染を招く危険性が指摘されている。そこで、
鉛を含有しない圧電材料への高い期待が寄せられてい
る。鉛を含有しないビスマス層状化合物を主体とする材
料系においては、PZT、PT系材料と比較して機械的
品質係数(Qm)が比較的高いという特徴があり、発振
子用の非鉛圧電材料としての応用が可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
鉛を含有しないビスマス層状化合物を主体とする圧電磁
器組成物では、共振子として用いる場合、充分なP/V
が得られられないばかりか、加工性が悪くチッピング
(共振子用磁器エッジの欠け)により共振周波数と反共
振周波数の間にスプリアス振動に伴う移相歪みが発生
し、移相の条件を満足しないことから不発振や安定した
発振が得られない問題があった。
【0009】また共振周波数の温度変化率が±5000
ppmよりも大きく、電子機器から要求される温度特性
に対する周波数の許容公差±5000ppm以内の精度
には対応できないという問題があった。
【0010】従って、本発明は、共振周波数と反共振周
波数の間およびその近傍の周波数で移相歪みが発生せ
ず、厚み滑り振動や厚み縦振動の基本波振動等のP/V
を大きくできるとともに、−20℃〜+80℃の温度範
囲で発振周波数の温度安定性に優れた非鉛系の圧電磁器
組成物および圧電共振子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電磁器は、金
属元素として少なくともBiおよびTiを含有するとと
もに、モル比による組成式をA2Bi4Ti518 AはSr、Ca、(Bi0.5Na0.5)、(Bi0.5Li
0.5)および(Bi0. 50.5)のうち少なくとも2種以
上で表わされる主成分と、該主成分100重量部に対し
てMnをMnO2換算で0.05〜1重量部含有するも
のである。
【0012】このような圧電磁器組成物からなる圧電磁
器を用いて圧電共振子を作製した場合、共振周波数と反
共振周波数の間およびその近傍の周波数で移相歪みが発
生せず、特に厚み滑りや厚み縦の基本波および3次オー
バートーン振動でのP/V値を大きくすることができ
る。例えば、厚み滑り基本波振動の−20〜80℃にお
ける共振周波数の温度変化率が±5000ppm以内と
なり、かつ共振インピーダンスR0と反共振インピーダ
ンスRaとした時、20×Log(Ra/R0)で表され
るP/Vが55dB以上とすることができる。また、キ
ュリー温度を300℃以上に向上させることもできる。
【0013】従来、SrBi4Ti518系のビスマス層
状化合物は圧電特性が小さいことが知られていたが、本
発明では、例えば、Srの一部をCaで所定量置換し、
ビスマス層状化合物中に固溶させることにより優れた圧
電特性を示すことを見いだし、本発明に至ったのであ
る。特に、SrBi4Ti518系のビスマス層状化合物
はキュリー温度が300以下と低く表面実装に対応する
電子部品には使用できないという問題があったが、本発
明では、Srの一部をCaに置換することによりキュリ
ー温度を向上させ、300℃以上のキュリー温度とする
こともできることを見出し、本発明に至ったのである。
【0014】本発明の圧電磁器組成物では、主成分が、
モル比による組成式を(Sr1-xCax2Bi4Ti5
18と表したとき、0.05≦x≦0.8を満足するとと
もに、主成分100重量部に対してMnをMnO2換算
で0.2〜0.7重量部含有することが望ましい。これ
により、特に厚み滑り基本波振動のP/Vをさらに大き
くできる。
【0015】本発明の圧電共振子は、上記圧電磁器組成
物からなる圧電磁器の両主面に電極を形成してなるもの
である。このような圧電共振子では、上記したように、
Bi層状化合物からなる非鉛圧電磁器を用いた圧電共振
子、例えば、厚み滑り基本波振動を適用した発振子では
P/Vが大きくなることから発振余裕度が高まり、且つ
共振周波数と反共振周波数の間およびその近傍の周波数
で移相歪みが発生しないことから安定した発振が得られ
るとともに、発振周波数の温度安定性に優れた高精度な
発振が得られ、2〜20MHzの周波数に適応できる発
振子を得ることができる。さらに、例えば、筐体状ケー
ス内に上記圧電共振子を内蔵した表面実装部品を基板上
に半田等で表面実装する場合にも、圧電共振子の特性が
劣化することもない。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の圧電磁器組成物は、金属
元素として少なくともBiおよびTiを含有するBi層
状化合物であって、モル比による組成式をA2Bi4Ti
518(AはSr、Ca、(Bi0.5Na0.5)、(Bi
0.5Li0.5)および(Bi0.50.5)のうち少なくとも
2種以上)と表わされる主成分と、該主成分100重量
部に対してMnをMnO2換算で0.05〜1重量部含
有するものである。
【0017】上記組成式において、Aの種類をSr、C
a、(Bi0.5Na0.5)、(Bi0. 5Li0.5)および
(Bi0.50.5)のうち少なくとも2種以上を満足する
としたのは、これによりP/Vを55dBより大きくす
ることができるからである。
【0018】特に、本発明の圧電磁器組成物のモル比に
よる組成式を、(A11-xA2x2Bi4Ti518と表
したとき、A1がSrで、A2がCa、(Bi0.5Na
0.5)、(Bi0.5Li0.5)および(Bi0.50.5)の
うち少なくとも1種以上であることが、P/Vを向上す
るという点から望ましい。この場合には、0<x≦0.
8を満足することが望ましい。
【0019】xを0<x≦0.8の範囲に設定した理由
は、xが0.8より多い場合には、厚み滑り振動のP/
Vが低くなる傾向があるからである。一方、xが0の
時、加工時にチッピングが起こり易く共振周波数と反共
振周波数の間で移相が約−90゜から約+90゜に移相
反転した周波数帯域において、10゜を超える移相リッ
プルが発生し易く、発振条件が満足しなくなり発振停止
がおこり易くなるためである。
【0020】(A11-xA2x2Bi4Ti518と表し
たときのxは、厚み滑り振動のP/Vを大きくし、移相
歪みの発生を抑制するという点から、0.05≦x≦
0.7、特には0.3≦x≦0.7であることが望まし
い。
【0021】さらに、本発明では、上記主成分100重
量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜1重量
部含有することが望ましい。Mnを含有せしめることに
より、P/Vを大きく向上できるが、MnO2含有量が
主成分l00重量部に対してl重量部よりも多くなると
体積固有抵抗値が下がり、分極時に電流が流れ充分な分
極ができず厚み滑り振動のP/Vが低くなるからであ
る。一方、0.05重量部よりも少なくなると、P/V
が低下し、移相歪みが出やすくなるからである。
【0022】Mnは、焼結性を高め、P/Vを大きくす
ると言う理由から、主成分100重量部に対して、Mn
2換算で0.2〜0.7重量部含有することが望まし
い。
【0023】本発明では、主成分のモル比による組成式
を(Sr1-xCax2Bi4Ti51 8と表わされるもの
が望ましい。即ち、上記した組成式においてA1がSr
で、A2がCaの場合である。この時には、P/Vを大
きくすると言う理由から、0.05≦x≦0.8を満足
することが望ましい。
【0024】これは、Caによる適量置換により、P/
Vが60dBを超える大きな値を得ながら、特に発振周
波数の温度変化率を±3000ppm以内に減少できる
からである。また、キュリー温度を300℃以上とする
こともできるからである。
【0025】一方、xが0.05よりも小さい場合には
P/Vが小さくなる傾向にあり、0.8よりも大きい場
合にはP/Vが小さくなるとともに移相歪みが出やすく
なる傾向があるからである。
【0026】組成式が(Sr1-xCax2Bi4Ti5
18と表わされる場合、P/Vを大きくし、発振周波数の
温度変化率を小さくし、キュリー温度を300℃以上に
するという点から、0.3≦x≦0.8、MnO2含有
量が0.2〜0.7であることが望ましい。
【0027】本発明の圧電磁器組成物からなる圧電磁器
は、粉砕時のZrO2ボールからZr等が混入する場合
もあるが、微量であれば特性上問題ない。
【0028】本発明の圧電磁器組成物からなる圧電磁器
は、実質的に、一般式がA2Bi4Ti518で表わされ
るBi層状化合物、特には(Sr1-xCax2Bi4Ti
518と表わされるBi層状化合物からなる結晶相で構
成されており、Mnは前記Bi層状化合物に殆ど固溶す
るが、ごくわずかMn化合物の結晶として粒界に析出す
る場合がある。
【0029】また、本発明の圧電磁器組成物は、一般式
がA2Bi4Ti518で表わされ、Mnが固溶したBi
層状化合物からなる結晶相で構成されることが望ましい
が、その他に、パイロクロア相、ペロブスカイト相、構
造の異なるBi層状化合物がごくわずか存在することも
あるが、微量であれば特性上問題ない。
【0030】本発明の圧電磁器組成物からなる圧電磁器
は、例えば、原料として、SrCO 3、CaCO3、Bi
23、MnO2、TiO2、Na2CO3、K2CO3、Li
2CO3からなる各種酸化物或いはその塩を用いることが
できる。原料はこれに限定されず、焼成により酸化物を
生成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用いても良い。
【0031】これらの原料を上記した組成となるように
秤量し、混合後の平均粒度分布(D 50)が0.2〜1μ
mの範囲になるように粉砕し、この混合物を750〜1
050℃で仮焼し、所定の有機バインダを加え湿式混合
し造粒する。このようにして得られた粉体を、公知のプ
レス成形等により所定形状に成形し、大気中等の酸化性
雰囲気において1000〜1300℃の温度範囲で2〜
5時間焼成し、圧電磁器が得られる。
【0032】本発明の圧電磁器組成物からなる圧電磁器
は、図1に示すようなピアス発振回路の発振子の圧電磁
器として最適であるが、それ以外の圧電共振子、超音波
振動子、超音波モータおよび加速度センサ、ノッキング
センサ、AEセンサ等の圧電センサなどに最適であり、
特に厚み滑り振動の基本波振動を利用する高周波用とし
て最適な圧電磁器である。
【0033】図2に本発明の圧電共振子を用いた発振子
を示す。この発振子は、上記した圧電磁器1の両面に電
極2、3を形成して構成されている。このような圧電共
振子では、厚み滑り振動における基本波のP/Vを高く
でき、発振余裕度が高まり、共振周波数と反共振周波数
の間及びその近傍の周波数で移相歪みが発生しないこと
から安定した発振が得られ、さらに発振周波数の温度安
定性に優れた高精度な発振が得られ、特に2〜20MH
zの周波数に適応できる圧電発振子を得ることができ
る。
【0034】また、本発明の圧電磁器組成物はキュリー
温度が高いため、例えば、筐体状ケース内に上記圧電共
振子を内蔵した表面実装部品を基板上に半田等で表面実
装する場合にも、圧電共振子の特性が劣化することもな
い。
【0035】
【実施例】まず、出発原料として純度99.9%のSr
CO3粉末、CaCO3粉末、Bi 23粉末、MnO2
末、TiO2粉末、Na2CO3粉末、K2CO3粉末、L
2CO3粉末を、モル比による組成式を(A11-x
x2Bi4Ti518と表したとき、A1、A2、xが
表1に示す元素、値の主成分と、該主成分100重量部
に対してMnをMnO2換算で表1に示すような重量部
となるように秤量混合し、純度99.9%のジルコニア
ボール、イソプロピルアルコール(IPA)と共に50
0mlポリポットに投入し、16時間回転ミルにて混合
した。
【0036】混合後のスラリ−を大気中にて乾燥し、#
40メッシュを通し、その後、大気中950℃、3時間
保持して仮焼し、この合成粉末を純度99.9%のZr
2ボールとイソプロピルアルコール(IPA)と共に
500mlポリポットに投入し、20時間粉砕して評価
粉末を得た。
【0037】この粉末に適量の有機バインダーを添加し
て造粒し、金型プレスにて150MPaで長さ25m
m、幅38mm、厚みl.0mmの板状に成形し、大気
中において1160℃の温度で3時間本焼成し圧電磁器
を得た。
【0038】この圧電磁器について、x線回折測定を行
って結晶相を確認したところ、本発明の組成の圧電磁器
は、一般式が(A11-xA2x2Bi4Ti518で表わ
され、Mnが固溶した結晶相から構成されていた。
【0039】その後、長さ6mm、幅30mmに加工
し、長さ方向に分極するための端面電極を形成し分極処
理を施した。その後、分極用電極を除去し、厚み0.1
7mmに加工した。その後、長さ6mmと幅30mmか
らなる面の両面にCr−Agを蒸着し、電極と磁器との
密着強度を高めるために200℃で12時間のアニール
処理を施した。
【0040】その後、図2に示す電極構造となるよう
に、無電極に相当する部位の電極をエッチングで除去
し、長さ4.45mm(L)、幅0.9mm(W)、厚
み0.17mm(H)形状にダイシングソーやワイヤー
ソーを用いて加工し、8MHz発振に相当する厚み滑り
振動の基本波振動用発振子を得た。
【0041】発振子の特性は、インピーダンスアナライ
ザによリインピーダンス波形を測定し、厚み滑り振動の
基本波振動でのP/VをP/V=20×Log(Ra
0)の式により算出した(但し、Ra:反共振インピー
ダンス、R0:共振インピーダンス)。
【0042】さらにインピーダンス波形より、共振周波
数と反共振周波数の間で移相が約−90゜から約+90
゜に移相反転した後の約+90゜の移相からなる周波数
帯域において、10゜を超える移相歪みが発生するか否
かを調査した。移相歪みの評価は、移相歪み=|最大移
相値−最大値から局所的に変化した移相値|により求
め、共振子100個中5個以上において10゜を超える
移相リップルが発生した場合においては×、それ以下の
場合は○とした。
【0043】さらに、発振周波数の温度変化率は、25
℃の発振周波数を基準にして、−20℃もしくは+80
℃での発振周波数の変化を以下の式により算出した。
【0044】Fosc変化率(ppm)={(Fosc
(drift)一Fosc(25))/Fosc(2
5)}×100、但し、Fosc(drift)は、−
20℃もしくは+80℃での発振周波数であり、Fos
c(25)は25℃での発振周波数である。これらの結
果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1から明らかなように、本発明の範囲内
の試料は、厚み滑り振動の基本波振動のP/V値を55
dB以上と大きくでき、且つ移相歪みの発生が起こりに
くいことから安定した発振を得ることができ、さらに、
発振周波数の温度変化率が±5000ppm以内となり
小さく、しかもキュリー温度を300℃以上とできるい
ことが判る。
【0047】特に、A1としてSr、A2としてCaを
用い、xが0.05〜0.8、Mn含有量を0.2〜
0.7重量部とすることにより、高いP/V値を維持し
た状態、特に60dB以上を維持し、発振周波数の温度
変化率が±3000ppm以内と小さくできることが判
る。
【0048】また、Mnを含有しない比較例の試料N
o.8の場合には焼結体の密度が低く、P/V値が32
dBと小さいことが判る。一方、Mn量が1.1重量部
の場合にはP/V値が45dBと小さいことが判る。
【0049】また、xの値が0の試料No.1の場合、
試作した発振子100個中5個を上回る発振子において
10゜を上回る移相歪みが発生したことから、安定した
発振が得られられないことが判る。
【0050】また、SrとCaを複合化した試料No.
4の場合、aの値が0.5でP/Vが75dBと大きな
値を有しながら、−20〜80℃の発振周波数の温度変
化率が±3000ppm以内と優れた温度特性を有し発
振子として最も好ましい特性となる。
【0051】このように、本発明の圧電磁器において
は、特に、厚み滑り振動の基本波振動のP/Vを大きく
するとともに、共振周波数と反共振周波数の間におい
て、10゜を超える移相リップルの発生を著しく少なく
でき、さらに、−20℃〜80℃での発振周波数の温度
変化率を±5000ppm以内と小さくすることがで
き、安定した発振子として使用することができ、しかも
キュリー温度を300℃以上とできることが判る。
【0052】図3に試料No.4のインピーダンス特性
を、図4に発振周波数の温度変化率を、図5に試料N
o.4のx線回折測定結果を示す。本発明の組成の圧電
磁器は、図5に示すように、一般式が(Sr1-xCax
2Bi4Ti518で表わされた結晶相からなり、Mnの
ピークが存在しないことにより、Mnが固溶した上記結
晶相から構成されていることが判る。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の圧電磁器
組成物では、厚み滑り振動の基本波振動のP/V値を大
きくしながら、共振周波数と反共振周波数の間で10゜
を超える移相歪みが発生せず、共振周波数の温度変化率
が小さく、しかもキュリー温度が高く、これにより、発
振子を構成した場合、発振余裕度が高まり安定した発振
と、発振周波数の温度安定性に優れた高精度な発振特性
が得られ、厚み滑り振動の基本波振動を用いた2〜20
MHz発振子用素子として好適な発振子を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コルピッツ型発振回路を原型としたピアス発振
回路を示した概略図である。
【図2】8MHz用発振子の概略図である。
【図3】試料No.4のインピーダンス特性を示すグラ
フである。
【図4】試料No.4の発振周波数の温度変化率を示す
グラフである。
【図5】試料No.4のx線回折測定結果を示す図であ
る。
【符号の説明】
l・・・圧電磁器 2、3・・・電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素として少なくともBiおよびTi
    を含有するとともに、モル比による組成式が A2Bi4Ti518 AはSr、Ca、(Bi0.5Na0.5)、(Bi0.5Li
    0.5)および(Bi0.50.5)のうち少なくとも2種以
    上で表わされる主成分と、該主成分100重量部に対し
    てMnをMnO2換算で0.05〜1重量部含有するこ
    とを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 【請求項2】主成分が、モル比による組成式を (Sr1-xCax2Bi4Ti518 と表したとき、 0.05≦x≦0.8 を満足するとともに、主成分100重量部に対してMn
    をMnO2換算で0.2〜0.7重量部含有することを
    特徴とする請求項1記載の圧電磁器組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の圧電磁器組成物か
    らなる圧電磁器の両主面に、電極を形成してなることを
    特徴とする圧電共振子。
JP2001023412A 2001-01-31 2001-01-31 圧電磁器組成物および圧電共振子 Expired - Fee Related JP4789328B2 (ja)

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