JP2002198771A - 圧電共振素子および圧電共振装置 - Google Patents

圧電共振素子および圧電共振装置

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JP2002198771A
JP2002198771A JP2000395999A JP2000395999A JP2002198771A JP 2002198771 A JP2002198771 A JP 2002198771A JP 2000395999 A JP2000395999 A JP 2000395999A JP 2000395999 A JP2000395999 A JP 2000395999A JP 2002198771 A JP2002198771 A JP 2002198771A
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piezoelectric resonance
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Shuichi Fukuoka
修一 福岡
Hitoshi Nakakubo
仁 中久保
Shuzo Iwashita
修三 岩下
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】厚み滑り振動や厚み縦振動においてスプリアス
振動に伴う移相歪みの発生を著しく抑制し、スプリアス
振動によるP/Vの低下を抑えながら加工歩留まりを向
上した非鉛からなる圧電共振素子および圧電共振装置を
提供する。 【解決手段】長方形状の主面を有する圧電基板1の両主
面中央部に、振動電極11、12を対向して形成してな
るとともに、圧電基板1がビスマス層状化合物からな
り、且つ圧電基板1の両主面の長辺角部が面取りされて
いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電基板の両主面
中央部に対向する振動電極を形成してなる圧電共振素子
および圧電共振装置に関するものであり、例えばレゾネ
ータ、フイルター、センサなどに適用される圧電共振素
子および圧電共振装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来から、圧電共振素子を利用した製品と
しては、例えば、フィルタ、圧電共振子(以下、発振子
を含む概念である)、圧電センサ等がある。
【0003】ここで、発振子は、マイコンの基準信号発
振用として、例えば、コルピッツ発振回路等の発振回路
に組み込まれて利用される。図8はコルピッツ発振回路
を基本とした回路構成においてインダクタの部分を圧電
発振子に置き換えたピアス発振回路を示すものである。
このピアス発振回路は、コンデンサ11、12と、抵抗
13と、インバータ14および発振子15により構成さ
れている。そして、ピアス発振回路において、発振信号
を発生するには、以下の発振条件を満足する必要があ
る。
【0004】即ち、インバータ14と抵抗13からなる
増幅回路における増幅率をα、移相量をθ1とし、ま
た、発振子15とコンデンサ11、12からなる帰還回
路における帰還率をβ、移相量をθ2としたとき、ルー
プゲインがα×β≧1であり、かつ、移相量がθ1+θ2
=360゜×n(但しn=1,2,…)であることが必
要となる。
【0005】一般的に抵抗13およびインバータ14か
らなる増幅回路は、マイコンに内蔵されている。誤発振
や不発振を起さない、安定した発振を得るためにはルー
プゲインを大きくしなければならない。ループゲインを
大きくするには、帰還率βのゲインを決定する、発振子
のP/V、すなわち共振インピーダンスR0および反共
振インピーダンスRaの差を大きくすることが必要とな
る。なお、P/Vは20×Log(Ra/R0)の値とし
て定義される。
【0006】また、移相量の条件を満足させるために
は、共振周波数と反共振周波数の間およびその近傍の周
波数で、移相が約−90゜から約+90゜まで移相反転
し、且つ共振周波数と反共振周波数の間およびその近傍
にスプリアス振動による移相歪みが発生しないことも重
要となる。
【0007】従来、圧電性が高く、大きなP/Vが得ら
れるPZTやPT系材料が使用されていた。しかしなが
ら、PZTやPT系材料には鉛が自重の約60%の割合
で含有されているため、酸性雨により鉛の溶出が起こり
環境汚染を招く危険性が指摘されている。
【0008】そこで、鉛を含有しない圧電材料への高い
期待が寄せられている。鉛を含有しないビスマス層状化
合物においては、例えば、SrBi4Ti415等のビス
マス層状化合物は、PbTiO3やPb(ZrTi)O3
系材料と比較して、圧電歪定数や電気機械結合係数など
の圧電性には劣るが、機械的品質係数Qmが比較的大き
く且つ比誘電率が小さいことからMHz帯の高周波用途
として、またキュリー温度が約400〜700℃と高い
ことから、広い温度範囲で使用できる非鉛圧電材料とし
ての利用が期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たSrBi4Ti415等のビスマス層状化合物を圧電発
振子の圧電磁器として用いた場合、磁器単体ではP/V
値は比較的高いものの、圧電共振素子を作製する際の加
工性が悪く、チッピング(圧電磁器のエッジの欠け)に
より、あるいはチッピングに至らないまでも、マイクロ
クラック、あるいは変質が生じ、共振周波数と反共振周
波数の間にスプリアス振動に伴う移相歪みが発生し、移
相の条件を満足しなくなり、不発振が生じたりして、安
定した発振が得られないことから歩留まりが著しく悪く
なるという問題があった。
【0010】従って、本発明は、厚み滑り振動や厚み縦
振動においてスプリアス振動に伴う移相歪みの発生を著
しく抑制し、スプリアス振動によるP/Vの低下を抑え
ながら加工歩留まりを向上した非鉛からなる圧電共振素
子および圧電共振装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電共振素子
は、長方形状の主面を有する圧電基板の両主面中央部
に、振動電極を対向して形成してなるとともに、前記圧
電基板がビスマス層状化合物からなり、且つ前記圧電基
板の両主面の長辺角部が面取りされていることを特徴と
する。
【0012】一般に、圧電共振素子の圧電基板は、焼結
体を作製した後、所定の寸法となるようにダイシングソ
ーやワイヤソーにより切り出す必要があるが、一般的な
従来のビスマス層状化合物は、焼結体を切り出して圧電
共振素子を作製すると、スプリアス振動が大きく、移相
歪みが大きくなり、メイン振動へのスプリアス振動の重
畳によりP/Vが低下し、安定した共振や発振を得るこ
とができなかった。
【0013】本発明者等は、上記点について検討した結
果、ビスマス層状化合物は板状結晶粒子が焼結体の厚み
方向に積層し、異方性を有しており、また、磁器強度が
低いため、長方形形状の主面を有する圧電基板を作製す
ると、切り出し等の加工により、その両主面の長辺角部
にチッピングやマイクロクラックが発生したり、もしく
はマイクロクラックまでには至らないが、圧電基板の長
辺角部が変質し易く、これにより、共振周波数と反共振
周波数の間にスプリアス振動に伴う移相歪みが発生し易
いことを、見いだし、本発明に至った。
【0014】即ち、本発明の圧電共振素子では、ビスマ
ス層状化合物からなる圧電基板の両主面の長辺角部が面
取りされているため、上記加工の際に生じたチッピング
やマイクロクラック、変質部分を除去することができ、
これにより圧電共振素子に発生する振動の対称性を向上
して、スプリアス振動を大幅に抑制することができ、移
相歪みを抑制できるとともに、メイン振動へのスプリア
ス振動の重畳によるP/Vの低減を抑制でき、安定した
共振や発振を得ることができる。その結果、圧電共振素
子の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0015】また、本発明の圧電共振素子では、圧電基
板の厚みが700μm以下であることが望ましい。圧電
基板の厚みを薄くすることにより、より高周波化するこ
とができるが、薄型化に伴い、加工の際にチッピングや
マイクロクラック、変質が発生しやすくなるため、本発
明を用いる意義は大きい。
【0016】さらに、本発明の圧電共振素子は、面取り
の幅が5〜200μmであることが望ましい。これは、
加工の際に発生するチッピングやマイクロクラック、変
質は、圧電基板の角部から3.5μm程度の深さで主と
して発生するため、面取りの幅が5〜200μmとなる
ように面取りすることにより、主なチッピング等を除去
することができ、これによりスプリアス振動を大幅に抑
制することができ、移相歪みを抑制できるとともに、メ
イン振動へのスプリアス振動の重畳によるP/Vの低減
を抑制できる。
【0017】また、本発明の圧電共振素子は、圧電基板
が、ABi4Ti415(Aは、Sr、Ba、Ca、B
i、(Bi1/2Na1/2)および希土類元素のうち少なく
とも1種)で表されるビスマス層状化合物を主成分とす
ることが望ましい。このような圧電基板を用いることに
より、P/Vを向上できるとともに、共振周波数の温度
特性を向上でき、圧電共振素子の圧電基板として最適と
なる。このような圧電共振素子は、厚み滑り振動モード
で作動することが望ましい。
【0018】本発明の圧電共振装置は、筐体内に、上記
圧電共振素子を収容するとともに、前記筐体の外周面
に、前記圧電共振素子の振動電極に電気的に接続する外
部端子が設けられていることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の圧電共振素子は、図1に
示すように長方形状の主面を有する圧電基板1と、該圧
電基板1の長方形状両主面の中央部に形成された一対の
対向する振動電極11、12と、該振動電極11、12
にそれぞれ電気的に接続された引き出し電極13、14
とを具備して構成されている。圧電基板1の厚みは、高
周波化が可能となるように700μm以下とされてい
る。特に2MHz以上の高周波化に対応できるように1
00μm以下、さらには65μm以下とすることが望ま
しい。
【0020】引き出し電極13、14は、圧電基板1の
両主面の長手方向(圧電基板1の短辺に向けて)にそれ
ぞれ対向しないように反対方向に引き出されている。一
対の対向する振動電極11、12により挟持された部分
が厚み滑り基本波振動部である。
【0021】そして、本発明の圧電共振素子では、圧電
基板1の両主面の長辺角部、即ち長さ方向に平行な4つ
の角部が平面状に面取りされて、面取部16が形成され
ている。
【0022】このように、圧電基板1をダイシングソー
やワイヤソーにより加工を行なう際に発生したチッピン
グや、マイクロクラック、変質を面取りにより除去し、
もしくはチッピング、マイクロクラック、変質部分を少
なくすることで、圧電共振素子の対称性が向上すること
になり、スプリアス振動を抑制することができる。
【0023】この面取部16の幅Bは、5〜200μm
であることが望ましい。面取部16の幅Bが5μmより
も小さい場合には、チッピング等が残留しているためス
プリアス振動抑制効果が小さく、一方、200μmより
も大きくなると、共振周波数Frと反共振周波数Fa間
の周波数帯域が小さくなるとともにP/Vが小さくなる
傾向があるからである。面取部16の幅Bは、よりスプ
リアス振動を抑制して、移相歪みを抑制するという点か
ら、30〜150μmであることが望ましい。
【0024】圧電基板1はビスマス層状化合物を主結晶
相とするもので、(Bi222+(αm-1βm3m+12-
で書き表されたビスマス層状化合物からなり、mは2か
ら5の範囲であり、αはBi、Sr、Ba、Ca、N
a、La、K、Li、Nd、Pr、Gd、Ybを少なく
とも1種を含み、βはTi、Zr、Nb、Fe、Taの
少なくとも1種を含む主成分に対してMnを添加した磁
器組成物からなる。添加されたMnは殆どがビスマス層
状化合物中に固溶するが、一部粒界に存在する場合もあ
る。
【0025】ビスマス層状化合物としては、例えば、m
=4の場合、SrBi4Ti415系に代表され、Srの
一部もしくは全てをBa、Ca、Bi、La、(Bi
1/2Na1/2)、(Bi1/2Li1/2)、(Bi1/2
1/2)等で単独もしくは複合置換し、もしくはTiを
Zr等で置換したもの、さらにはMnやFeなどを添加
含有したものがある。また、例えばm=2の場合、Sr
Bi2Ta29系に代表され、Srの一部もしくは全て
をBa、Ca、Bi、La、(Bi1/2Na1/2)、(B
1/2Li1/2)、(Bi1/2Na1/2)等で単独もしくは
複合置換し、もしくはTaをNb等で置換したもの、さ
らにはMnやFeなどを添加含有したものがある。
【0026】圧電基板1は、ABi4Ti415(Aは、
Sr、Ba、Ca、Biおよび希土類元素のうち少なく
とも1種)で表されるビスマス層状化合物であることが
望ましい。希土類元素としては、La、Nd、Pr、G
d、K、Li、Ybがあるが、このうちでもLaが望ま
しい。
【0027】例えば、具体的には、モル比による組成式
を(A1-xBix)Bi4Ti415と表したとき、0<x
≦0.3(AはSrおよび/またはBa)を満足する主
成分と、該主成分100重量部に対してMnをMnO2
換算で0.05〜1重量部含有するものが望ましい。
【0028】振動電極11、12、引き出し電極13、
14は、例えばCr、Ag、Cu、Pt、Ni、Au等
の金属を単独で蒸着、もしくは組み合わせをして順次積
層に蒸着あるいはスパッタすることにより形成されてお
り、その厚みは、電極によるダンピング効果を除去する
という点から0.1〜5μmが望ましい。
【0029】以上のように構成された圧電共振素子は、
例えば、原料として、SrCO3、BaCO3、Bi
23、MnO2、TiO2の各種酸化物、或いはその塩を
用い、モル比による組成式を(A1-xBix)Bi4Ti4
15と表したとき、0<x≦0.3(AはSrおよび/
またはBa)を満足する主成分と、該主成分100重量
部に対してMnをMnO2換算で0.05〜1重量部含
有するように秤量し、混合後の平均粒度分布(D50)が
0.5〜1μmの範囲になるように粉砕し、この混合物
を850〜1050℃で仮焼し、所定の有機バインダを
加え湿式混合し造粒する。このようにして得られた粉体
を、金型プレスで板状に成形し、大気中等の酸化性雰囲
気において1000〜1300℃の温度範囲で2〜5時
間焼成し、焼結体を作製する。
【0030】その後、長さ方向に分極処理を施し、両主
面に電極を形成し、所定の寸法にダイシングソーやワイ
ヤソーを用いて加工し、この後、両主面の長辺角部を面
取りすることにより、本発明の圧電共振素子を得ること
ができる。尚、面取りする前に所望する特性が得られな
い場合に、本発明を採用して特性を満足させることがで
き、歩留まりを大きく向上できる。
【0031】以上のように構成された圧電共振素子にお
いては、厚み滑り基本波振動のP/Vを55dB以上に
確保できるとともに、且つ共振周波数と反共振周波数の
間及びその近傍の周波数で移相歪みが発生しないことか
ら安定した発振子を得ることができる。さらに、面取り
をしない発振子においてスプリアス振動が発生した圧電
発振素子においても、その後の面取りによりスプリアス
振動が抑制されることから歩留まりを大幅に向上させる
ことができる。
【0032】さらに、非鉛からなる圧電材料を用いるこ
とで、鉛溶出による環境破壊をもたらすことがないので
ある。
【0033】尚、本発明は上記例に限定されるものでは
なく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能であ
る。例えば、上記例では平面状に面取りしたが、曲面状
に面取りしても良い。この場合の面取り幅は、10〜3
50μmとなる。
【0034】また、上記例では圧電基板の主面が長方形
状の場合について説明したが、正方形状であっても良
い。また、上記例では厚み滑り振動モードで作動する圧
電共振素子について説明したが、厚み縦振動モードで作
動する場合にも本発明を適用できる。
【0035】また、両主面の長辺角部の全体を面取りし
たが、本発明では、振動電極近傍のみの長辺角部を面取
りしても本発明の効果をある程度得ることができる。
【0036】さらに、長辺角部のみ面取りしたが、さら
に短辺角部を面取りしても良い。この場合には、エネル
ギーの閉じ込め効果が良くなりP/Vを向上することが
できる。さらにまた、圧電基板の厚み方向に形成された
角部を面取りすることにより、さらに特性を向上でき
る。
【0037】本発明の圧電共振装置は、図2に示すよう
に、筐体31内に、上記圧電共振素子33が収容され、
筐体31の外周面に、圧電共振素子33の振動電極1
1、12に電気的に接続する外部端子35a、35b、
35cが設けられている。
【0038】即ち、筐体31は、上部が開口する絶縁材
料からなる本体37と、この本体37の上面に配置され
た金属蓋38とから構成されており、本体37内には、
誘電体基板40の上下面に容量電極41a、41b、4
1cが形成されたコンデンサ基43と、このコンデンサ
基板43の上部に配置された圧電共振素子33が収容さ
れている。
【0039】コンデンサ基板43の容量電極41aは圧
電共振素子の振動電極11と電気的に接続され、筐体3
1の下面に配置されたリード端子からなる外部端子35
aと電気的に接続され、容量電極41bは振動電極12
と電気的に接続され、筐体31の下面に配置されたリー
ド端子からなる外部端子35bと電気的に接続されてい
る。コンデンサ基板43の容量電極41cは、リード端
子からなる外部端子35cと電気的に接続されている。
【0040】
【実施例】先ず、(Sr0.5Ba0.50.5La0.5Bi4
Ti415+0.5重量%Mnからなるように原料粉末
を調合し、金型プレスにより板状に加圧成形し、115
0℃で焼成し、ビスマス層状化合物からなる焼結体を作
製した。この焼結体を、スライサーやワイヤソーにより
加工し、両主面の長辺Lが4.5mm、短辺Wが0.9
5mmであり、厚みtが0.25mmの圧電基板1を作
製した。
【0041】次いで、圧電基板の長辺と平行方向に分極
をするための仮電極を形成し、分極を行った後、仮電極
を除去した。その後、圧電基板1の両主面に、Cr、A
gを順次蒸着し250℃で3時間のアニール処理を施し
た。
【0042】その後、図3に示す電極構造となるよう
に、無電極に相当する部位の電極をエッチングで除去し
て、振動電極11、12と、この振動電極11、12と
電気的に接続された引き出し電極13、14とを形成
し、8MHz発振周波数に相当する非鉛からなる比較例
の圧電共振素子33を得た。
【0043】さらに得られた比較例の圧電共振素子に対
して、図1に示す如く圧電基板の長さ方向に平行な4つ
の角部に対して、面取りを行なった。面取部16の幅B
を70μmとした。
【0044】このようにして圧電共振素子を作製し、イ
ンピーダンス特性及びP/V特性及び移相歪みを評価し
た。
【0045】インピーダンス特性は、インピーダンスア
ナライザーにより厚み滑り基本波振動のインピーダンス
波形(共振インピーダンスRo、反共振インピーダンス
Ra)及び移相歪みの測定を行った。P/V値は、P/
V=20×log(Ra/Ro)の式により算出した。
【0046】図4、図5は、それぞれ本発明(図1)と
比較例(図3)の圧電共振素子のインピーダンス特性を
示すもので、図5から、比較例の圧電共振素子では、ス
プリアス振動が発生し、10゜を超える移相歪みが発生
しているが、この共振素子の長辺角部を面取りした本発
明の圧電共振素子では、図4に示すように、移相歪みが
無くなっていることが判る。本発明の面取部と比較例の
圧電発振素子の長辺角部を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、本発明の圧電基板にはチッピングやマイクロクラッ
クは発生していなかったが、比較例の圧電基板の長辺角
部には多数のチッピングやマイクロクラックが見られ
た。
【0047】図6、図7は、それぞれ本発明(図1)と
比較例(図3)の圧電発振素子のインピーダンス特性を
示すもので、図3に示す従来の圧電共振素子では、共振
周波数と反共振周波数の間にはスプリアス振動がないも
のの、反共振周波数faにスプリアス振動が重畳しP/
Vが57dBと小さくなっていることが判る。この圧電
共振素子について長辺角部を面取りした本発明では、図
6に示すように、共振周波数と反共振周波数の間にはス
プリアス振動がなく、反共振周波数faに重畳したスプ
リアス振動が無くなり、P/Vが71dBと大きくなっ
ていることが判る。
【0048】また、本発明の圧電共振素子を500個作
製し、移相歪みとP/Vを評価した結果、移相歪みの発
生は2%であり、移相歪みのレベルはいずれも2゜以内
で、P/Vは70dB以上であり優れた圧電発振素子を
得ることができた。
【0049】さらに、本発明者等は、長辺角部に対して
面取部の幅Bが5、200μmの圧電共振素子を作製し
たところ、5μmの場合には、僅かに移相歪みが認めら
れたが、10゜以下の移相歪みであり、200μmの場
合には移相歪みも無くP/Vも55dB以上であり、い
ずれの場合にも上記に示した如く移相歪みの除去やfr
およびfaに重畳したスプリアス振動を除去することが
できた。
【0050】さらに、本発明者等は、圧電基板の厚みが
65μm、100μm、500μmの場合について、面
取部の幅Bが100μmの面取りを施したところ、移相
歪みの発生は2%で移相歪みのレベルはいずれも2゜以
内で、P/Vは70dB以上であり優れた圧電発振素子
を得ることができた。
【0051】このように、本発明の圧電発振子では共振
周波数frと反共振周波数fa間及びその近傍にスプリ
アスが発生しにくくなることから、移相歪みの発生やレ
ベルを著しく少なくし、さらにはスプリアス振動が共振
周波数frもしくは反共振周波数faと重畳しないこと
からP/Vが大きくなり安定した発振が得られることが
わかる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の圧電共振
素子では、ビスマス層状化合物からなる圧電基板の両主
面の長辺角部が面取りされているため、焼結体の切り出
し加工等の際に生じたチッピングやマイクロクラック、
変質部分を除去することができ、スプリアス振動を大幅
に抑制することができ、共振周波数frと反共振周波数
fa間及びその近傍にスプリアスが発生しにくくなるこ
とから移相歪みの発生や移相ひずみのレベルを著しく小
さくし、さらにはスプリアス振動が共振周波数frもし
くは反共振周波数faと重畳しないことからP/Vが大
きくなり安定した発振が得られる圧電共振素子とするこ
とができる。その結果、圧電共振素子の歩留まりを大幅
に向上させることができる。さらに非鉛からなる圧電材
料を用いることで、鉛溶出による環境破壊をもたらすこ
とがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電共振素子を示す斜視図である。
【図2】本発明の圧電共振装置を示すもので、(a)は
斜視図、(b)は断面図である。
【図3】面取り加工する前の従来の圧電共振素子を示す
斜視図である。
【図4】図5の特性を有する圧電共振素子を面取りした
本発明の圧電共振素子のインピーダンス特性である。
【図5】従来の圧電共振素子のインピーダンス特性であ
る。
【図6】図7の特性を有する圧電共振素子を面取りした
本発明の圧電共振素子のインピーダンス特性である。
【図7】反共振周波数faに重畳したスプリアス振動が
発生していることを示す従来の圧電共振素子のインピー
ダンス特性である。
【図8】コルピッツ型発振回路を原型としたピアス発振
回路を示した概略図である。
【符号の説明】
1・・・圧電基板 11、12…振動電極 31・・・筐体 33・圧電共振素子 35a、35b、35c・・・外部端子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長方形状の主面を有する圧電基板の両主面
    中央部に、振動電極を対向して形成してなるとともに、
    前記圧電基板がビスマス層状化合物からなり、且つ前記
    圧電基板の両主面の長辺角部が面取りされていることを
    特徴とする圧電共振素子。
  2. 【請求項2】圧電基板の厚みが700μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の圧電共振素子。
  3. 【請求項3】面取りの幅が5〜200μmであることを
    特徴とする請求項1または2記載の圧電共振素子。
  4. 【請求項4】厚み滑り振動モードで作動することを特徴
    とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の圧電共振
    素子。
  5. 【請求項5】筐体内に、請求項1乃至4のうちいずれか
    に記載の圧電共振素子を収容するとともに、前記筐体の
    外周面に、前記圧電共振素子の振動電極に電気的に接続
    する外部端子が設けられていることを特徴とする圧電共
    振装置。
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