JP2002220650A - 耐食性と表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
耐食性と表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造
方法の提供。 【解決手段】 鋼板表面に、Al:0.10〜10mass%、Mg:
0.10〜10mass%、さらにSr、La、CeおよびSiから選ばれ
る1種または2種以上を合計量で0.001 〜0.100mass %
を含有する溶融亜鉛系めっき層を有する耐食性と表面外
観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板、および該溶融亜鉛系
めっき鋼板の製造方法。
Description
に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関
する。
耐食性から溶融亜鉛めっき鋼板が用いられている。一
方、近年、ユーザーからのさらなる耐食性向上の要求に
対応するため、溶融亜鉛めっき層に合金元素を添加する
ことによって、めっき付着量を増やすことなく耐食性を
向上する方法が検討されている。
最も効果的であると考えられている。しかしながら、Mg
を溶融亜鉛めっき浴に添加する場合、溶融亜鉛めっき浴
中のドロス発生量が増加し、めっき時に、鋼板表面への
ドロス付着による表面外観不良が多発する問題がある。
る場合、一定時間おきにドロスを除去する必要があり、
操業上の問題が生じる。また、除去されるドロスには亜
鉛が含まれているため、溶融亜鉛めっき浴に補給する亜
鉛の原単位も増加する。このように、Mgを溶融亜鉛めっ
き浴に添加する場合のドロス発生量の増加は、めっき鋼
板の品質上およびコスト上大きな問題となっている。
対処する技術としては、特開平11−193452号公報におい
て、めっき浴の組成調整時のインゴット添加法を規定す
る方法、すなわちAlインゴットをMg含有インゴット溶解
前に溶解する方法が開示されている。しかしながら、上
記方法の場合、Mg添加に伴うドロス発生の抑制効果は実
用化できるほど大きくない。
は、浴中ドロス発生の抑制のためにZnめっき浴のMg含有
量の上限を規定しているが、Mgの添加量を制限すればそ
の分耐食性向上効果が小さくなる問題がある。また、特
開昭56−96062 号公報においては、マグネシウム、アル
ミニウム含有溶融亜鉛合金メッキ浴の上部を酸素濃度50
00ppm 以下の雰囲気とすることによって、メッキ後の鋼
材の外観を向上させる方法が開示されている。
が複雑となり、また設備費の面から経済的でない。以上
述べたように、溶融亜鉛めっき浴にMgを添加することに
よってめっき鋼板の耐食性を向上することができるが、
ドロス付着の無い、表面外観の良好なめっき鋼板を効率
的に製造する技術は確立されていない。
来技術の問題点を解決し、めっき層にMgを含有し耐食性
に優れると共に表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板
およびその製造方法を提供することを目的とする。
にMgを含有し耐食性に優れると共に、ドロス付着の無い
表面外観の良好な溶融亜鉛系めっき鋼板について鋭意検
討した。この結果、Mgと共に、Sr、La、CeおよびSiから
選ばれる1種または2種以上を含有させためっき浴を用
い、めっき層にこれらの元素を含有せしめることによっ
て、耐食性と表面外観に優れためっき鋼板が製造可能で
あることを見出した。
l:0.10〜10mass%、Mg:0.10〜10mass%、さらにSr、L
a、CeおよびSiから選ばれる1種または2種以上を合計
量で0.001 〜0.100mass %、より好ましくは上記合計量
で0.005 〜0.100mass %を含有する溶融亜鉛系めっき層
を有することを特徴とする耐食性と表面外観に優れた溶
融亜鉛系めっき鋼板である。
%、Mg:0.10〜10mass%、さらにSr、La、CeおよびSiか
ら選ばれる1種または2種以上を合計量で0.001 〜0.10
0mass %、より好ましくは上記合計量で0.005 〜0.100m
ass %を含有する溶融亜鉛系めっき浴でめっきを施すこ
とを特徴とする耐食性と表面外観に優れた溶融亜鉛系め
っき鋼板の製造方法である。
めっき鋼板とは、鋼板表面に溶融亜鉛系めっき層を有
し、該溶融亜鉛系めっき層が、Znと、Mg、Al並びにSr、
La、CeおよびSiから選ばれる1種または2種以上とを含
有するめっき鋼板を示し、溶融亜鉛系めっき浴とは、Zn
と、Mg、Al並びにSr、La、CeおよびSiから選ばれる1種
または2種以上とを含有する溶融亜鉛めっき浴を示す。
する。本発明者らは、Mgを添加した溶融亜鉛めっき浴に
おいては、めっき浴の表面にドロスが厚く生成している
ことから、浴表面の酸化膜の性質がドロス生成に大きく
影響していると考え、種々の元素をめっき浴に添加し実
験を行った。
にSr、La、Ce、Siを添加することによって、ドロス発生
が抑制でき、溶融亜鉛系めっき鋼板の表面外観が向上す
ることが分かった。しかも、上記した溶融亜鉛系めっき
鋼板は、従来知られているMgを添加した溶融亜鉛系めっ
き鋼板を上回る耐食性を具備することが分かった。
・効果としては、本発明者らは以下のように推定してい
る。すなわち、Sr、La、Ce、Siは、Mgと同等かそれ以上
に酸化し易い元素であり、これらの元素は浴表面でMgに
優先して酸化し、浴表面において緻密な酸化膜を生成す
る。
下のめっき浴の酸化を防止し、ドロスの発生を効果的に
抑制し、ひいてはめっき鋼板の表面外観向上に寄与す
る。さらに、本発明に係わる組成の溶融亜鉛系めっき浴
を用いて製造しためっき鋼板の表面には、Sr、La、Ce、
Siの酸化によって緻密な酸化膜が生成していると考えら
れる。
た酸化膜によって、めっき層および/または鋼板の酸化
反応が遅延し、Mgを添加しためっき鋼板を上回る耐食性
が得られると推定した。以下、本発明におけるめっき層
中およびめっき浴中の各元素の含有量の限定理由につい
て説明する。
定する。Al含有量が0.10mass%未満の場合、(めっき層
/地鉄)界面のAl富化層の生成量が少なくなり、亜鉛−
鉄の合金相が生成し、この亜鉛−鉄合金相が亜鉛に比べ
て硬いため、溶融亜鉛系めっき鋼板のプレス加工の際に
パウダリングと呼ばれる欠陥が生じる。
場合、めっき層にAl-Fe 合金層が発達しめっき密着性が
低下する。また、Alを10mass%を超えて含有させると、
めっき浴浴温を上げる必要があり、エネルギー使用量が
増加し経済性に劣る。このため、めっき層中のAl含有量
を10mass%以下に限定した。
%であることがより好ましい。 (Mg:)めっき層中のMg含有量は、0.10〜10mass%と限
定する。これは、Mg含有量が0.10mass%未満の場合は、
耐食性向上効果が小さく、逆にMg含有量が10mass%を超
える場合、溶融亜鉛系めっき鋼板の曲げ加工時にクラッ
クが入り易くなるためである。
性を確保するために、0.10〜3.00mass%とすることがよ
り好ましい。 (Sr、La、Ce、Si:)めっき層中のSr、La、CeおよびSi
の含有量は、Sr、La、CeおよびSiから選ばれる1種また
は2種以上の合計量で、0.001 〜0.100mass %と限定す
る。
が0.001 mass%未満の場合、めっき表面におけるSr、L
a、Ce、Siの酸化膜生成による耐食性向上効果が小さ
い。一方、めっき層中のSr、La、CeおよびSiの合計量が
0.100mass %を超える場合、これらの元素自身の酸化に
よるめっき浴中ドロスの生成が顕著になり、めっき鋼板
へのドロス付着量が増加して溶融亜鉛系めっき鋼板の表
面外観が悪くなる。
の合計量は、耐食性をさらに高めるために、0.005 〜0.
100mass %であることがより好ましい。なお、前記した
第1の発明における溶融亜鉛系めっき層中における各元
素の含有量は、Al富化層中の各元素の含有量を含めた値
を示す。 〔第2の発明(請求項2):〕 (Al:)めっき浴中のAl含有量は、0.10〜10mass%と限
定する。
き層/地鉄)界面のAl富化層の生成量が少なくなり、亜
鉛−鉄の合金相が生成し、得られる溶融亜鉛系めっき鋼
板のプレス加工の際にパウダリングと呼ばれる欠陥が生
じる。一方、めっき浴のAl含有量を増加させる場合、め
っき層にAl-Fe 合金が発達しめっき密着性が低下する。
超えて増加させると、めっき浴浴温を上げる必要があ
り、エネルギー使用量が増加し経済性に劣る。このた
め、めっき浴中のAl含有量を10mass%以下に限定した。
めっき浴中のAl含有量は、0.10〜2.00mass%であること
がより好ましい。 (Mg:)めっき浴中のMg含有量は、0.10〜10mass%と限
定する。
は、得られる溶融亜鉛系めっき鋼板の耐食性向上効果が
小さく、逆にMg含有量が10mass%を超える場合、溶融亜
鉛系めっき鋼板の曲げ加工時にクラックが入り易くなる
ためである。めっき浴中のMg含有量は、より優れた加工
性を確保するために、0.10〜3.00mass%とすることがよ
り好ましい。
a、CeおよびSiの含有量は、Sr、La、CeおよびSiから選
ばれる1種または2種以上の合計量で、0.001 〜0.100m
ass %と限定する。めっき浴中のSr、La、CeおよびSiの
合計量が0.001 mass%未満の場合、ドロス抑制によるめ
っき鋼板の表面外観向上の効果が小さい。
合計量が0.100mass %を超える場合、これらの元素自身
の酸化によるめっき浴中ドロスの生成が顕著になり、め
っき鋼板へのドロス付着量が増加して溶融亜鉛系めっき
鋼板の表面外観が悪くなる。なお、上記しためっき浴中
のSr、La、CeおよびSiの合計量は、耐食性をさらに高め
るために、0.005 〜0.100mass %であることがより好ま
しい。
着量は、鋼板片面当たり、すなわち、めっき付着単位面
積当たり20g/m2以上であることが好ましい。これは、上
記めっき付着量が20g/m2未満の場合は、耐食性が低下す
るためである。
に説明する。 板厚:0.8mm の軟鋼板の鋼帯を脱脂、酸洗した後、還元
性ガス雰囲気にて焼鈍を施した。焼鈍後、めっき浴浴温
と同じ470 ℃になるまで冷却した後、表1に示す浴組成
の溶融亜鉛系めっき浴に浸漬しめっきを施した。
ずれもそれらを含有する亜鉛合金を溶融亜鉛浴中に添加
して所望の組成のめっき浴とした。めっき後、溶融亜鉛
系めっき鋼板(鋼帯)をめっき浴から連続的に引き上
げ、ガスワイピングノズルを用い、めっき付着量を、め
っき付着単位面積当たり40g/m2に調整した。
っき層の組成、耐食性および表面外観を調査した。な
お、耐食性および表面外観は、下記方法および評価基準
に基づき評価した。 〔耐食性:〕JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験
により赤錆発生までの日数で評価した。
るように、本発明の実施例1〜15において、耐食性に優
れると共に表面外観も良好な溶融亜鉛系めっき鋼板を得
ることができた。
含有量および溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき層中のMg含
有量が本発明で規定した下限値より少ない比較例1の場
合、耐食性が劣る。また、溶融亜鉛系めっき浴中のMg含
有量および溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき層中のMg含有
量は十分であるが、Sr、La、Ce、Siが無添加の比較例2
は、表面外観が劣る。
よび溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき層中のSr含有量が本
発明の上限値を超えて過剰である比較例3は、表面外観
が劣る。さらに、溶融亜鉛系めっき浴中のMg含有量およ
び溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき層中のMg含有量がいず
れも同一(3mass%)の実施例3〜実施例5、実施例7
〜実施例9と、比較例2との対比によって、本発明の溶
融亜鉛系めっき鋼板は、従来のMg含有溶融亜鉛系めっき
層を有するめっき鋼板を上回る耐食性および表面外観を
具備することが分かった。
おける溶融亜鉛系めっき鋼板の母材鋼板は実施例で用い
た軟鋼に限定されることはない。また、本発明における
溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき層中には、Mn、P、B、
Nb、Tiなどの母材鋼板中の成分元素を含んでもよく、ま
た本発明の目的を損なわない範囲で、亜鉛インゴットに
不可避的に含まれるBi、Sb、Co、In、Sn、Cu、Pb、Cd、
Asなどの他の各種元素を含んでもよい。
耐食性に優れると共に表面外観に優れた溶融亜鉛系めっ
き鋼板を提供することが可能となった。本発明の溶融亜
鉛系めっき鋼板は、自動車用鋼板、建材用鋼板などとし
て極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼板表面に、Al:0.10〜10mass%、Mg:
0.10〜10mass%、さらにSr、La、CeおよびSiから選ばれ
る1種または2種以上を合計量で0.001 〜0.100mass %
を含有する溶融亜鉛系めっき層を有することを特徴とす
る耐食性と表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項2】 鋼板に、Al:0.10〜10mass%、Mg:0.10
〜10mass%、さらにSr、La、CeおよびSiから選ばれる1
種または2種以上を合計量で0.001 〜0.100mass %を含
有する溶融亜鉛系めっき浴でめっきを施すことを特徴と
する耐食性と表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板の
製造方法。
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JP2001015652A JP4696364B2 (ja) | 2001-01-24 | 2001-01-24 | 耐食性と表面外観に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板 |
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