JPH11279735A

JPH11279735A - Ａｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板

Info

Publication number: JPH11279735A
Application number: JP9825498A
Authority: JP
Inventors: Fukio Yoshizaki; 布貴男吉崎; Hideo Miyake; 日出男三宅; Minoru Saito; 実斉藤
Original assignee: Nisshin Steel Co Ltd
Current assignee: Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Priority date: 1998-03-27
Filing date: 1998-03-27
Publication date: 1999-10-12

Abstract

(57)【要約】【課題】大気暴露環境下で切断端面での赤錆発生がほ
とんど認められない溶融Ａｌ基めっき鋼板を提供する。【解決手段】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％を含有し、残部がＡｌおよび不可避
的不純物からなる溶融めっき層を表面に有するＡｌ−Ｓ
ｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。溶融めっき層
は、必要に応じてさらに、Ｂｅ：0.002〜0.08％，好ま
しくは0.003〜0.05％，Ｓｒ：0〜0.1％（無添加を含
む）、または、Ｂｅ：0〜0.003％（無添加を含む），Ｓ
ｒ：0.07〜1.7％，好ましくは0.1〜1.0％、または、Ｂ
ｅ：0.003〜0.08％，好ましくは0.003〜0.05％，Ｓｒ：
0.1〜1.7％，好ましくは0.1〜1.0％を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、大気暴露環境での
耐赤錆発生性に優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａ
ｌ基めっき鋼板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】溶融Ａｌ基めっき鋼板は耐食性や耐熱性
に優れるため、多くの用途に適用されている。中でもＡ
ｌ−Ｓｉ系溶融めっき鋼板は耐食性に優れるため、屋根
・外装材として使用されており、例えば「Ａｌ−９質量
％Ｓｉ溶融めっき鋼板」などが商品化されている。ま
た、「Ａｌ−Ｓｉ−Ｍｇ系溶融Ａｌ基めっき鋼板」は一
層高い耐食性を示すことが知られているが、これは未だ
工業的規模での実用化には至っていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】溶融めっき鋼板を屋根
・外装材に用いる場合、通常、めっき鋼板の切断端面に
素地鋼が露出した状態で使用される。このため、切断端
面での赤錆の発生がしばしば問題になる。上記の「Ａｌ
−９質量％Ｓｉ溶融めっき鋼板」でも、使用環境・使用
部位によっては赤錆の発生が目立ちやすくなり、建造物
等の外観を損なう場合もある。また、「Ａｌ−Ｓｉ−Ｍ
ｇ系溶融Ａｌ基めっき鋼板」でも、大気暴露環境（風雨
に曝される屋外環境）において、切断端面でのある程度
の赤錆発生は避けられない。

【０００４】本発明は、上記従来材の特長を備えなが
ら、大気暴露環境において切断端面の素地鋼露出部での
赤錆発生がほとんど認められない程度にまで耐食性を向
上させた溶融Ａｌ基めっき鋼板を提供することを目的と
する。併せて、そのような高耐食溶融めっき鋼板におい
て表面性状の良好なものを製造する技術を提供する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、溶融めっき
層に適量のＺｎを含有させた「Ａｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ
系溶融Ａｌ基めっき鋼板」によって達成される。また、
さらに微量のＢｅまたはＳｒを添加することによって、
通常の溶融めっきラインにおいて表面性状に優れたもの
が製造できる。

【０００６】すなわち、請求項１の発明は、質量％で、
Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8％，Ｚｎ：2〜10％を含有
し、残部がＡｌおよび不可避的不純物からなる溶融めっ
き層を表面に有する、大気暴露環境での耐赤錆発生性に
優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板
である。ここで、溶融めっき層の化学組成は、めっき層
をＮａＯＨ等の溶液中で溶解し、その溶液をＩＣＰ発光
分光分析法で分析することによって特定することができ
る。耐赤錆発生性とは、赤錆が発生しにくい性質をい
う。

【０００７】請求項２の発明は、質量％で、Ｓｉ：3〜1
3％，Ｍｇ：2〜8％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0.002〜0.0
8％，Ｓｒ：0〜0.1％（無添加を含む）を含有し、残部
がＡｌおよび不可避的不純物からなる溶融めっき層を表
面に有する、大気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、か
つ表面性状に優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ
基めっき鋼板である。

【０００８】請求項３の発明は、請求項２の発明におい
て、特に溶融めっき層のＢｅ含有量を0.003〜0.05％に
規定したものである。

【０００９】請求項４の発明は、質量％で、Ｓｉ：3〜1
3％，Ｍｇ：2〜8％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0〜0.003％
（無添加を含む），Ｓｒ：0.07〜1.7％を含有し、残部
がＡｌおよび不可避的不純物からなる溶融めっき層を表
面に有する、大気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、か
つ表面性状に優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ
基めっき鋼板である。

【００１０】請求項５の発明は、請求項４の発明におい
て、特に溶融めっき層のＳｒ含有量を0.1〜1.0％に規定
したものである。

【００１１】請求項６の発明は、質量％で、Ｓｉ：3〜1
3％，Ｍｇ：2〜8％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0.003〜0.0
8％，Ｓｒ：0.1〜1.7％を含有し、残部がＡｌおよび不
可避的不純物からなる溶融めっき層を表面に有する、大
気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に優
れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板で
ある。

【００１２】請求項７の発明は、請求項６の発明におい
て、特に溶融めっき層のＢｅ含有量を0.003〜0.05％に
規定し、かつＳｒ含有量を0.1〜1.0％に規定したもので
ある。

【００１３】

【発明の実施の形態】Ａｌ基めっき層にＳｉを含有させ
る目的は、主としてめっき層に加工性を付与することで
ある。めっき層のＳｉ含有量が3質量％未満ではＦｅ−
Ａｌ合金層の成長が著しく、良好な加工性が得られな
い。一方、Ｓｉ含有量が13質量％を超えると塊状の析出
物が析出し、却って加工性を阻害するようになる。

【００１４】Ａｌ基めっき層にＭｇを含有させる目的
は、主として当該めっき鋼板の耐食性、特に大気暴露環
境における切断端面などの素地鋼露出部の耐赤錆発生性
を向上させることである。めっき層のＭｇ含有量が2質
量％未満では耐赤錆発生性の向上効果が充分ではない。
一方、Ｍｇ含有量が8質量％を超えても耐赤錆発生性は
飽和し、また、溶融めっき浴のＭｇ濃度が高くなること
により浴表面のドロスが発生し易くなり、めっき鋼板の
表面性状を改善することが難しくなる。

【００１５】本発明では、Ａｌ基めっき層に、Ｓｉ，Ｍ
ｇに加え、さらにＺｎを含有させる。Ｚｎの含有によ
り、Ａｌ−Ｓｉ−Ｍｇ系溶融Ａｌ基めっき鋼板の大気暴
露環境下での耐赤錆発生性が顕著に向上することがわか
った。この耐赤錆発生性の向上効果は、めっき層のＺｎ
含有量が2質量％程度から現れ、多くなるにしたがって
この効果は増大する。しかし、Ｚｎ含有量が10質量％を
超えると「長期耐食性」が劣化して好ましくない。この
ため、本発明ではめっき層中のＺｎ含有量を2〜10質量
％の範囲に規定する。

【００１６】このようなＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融
Ａｌ基めっき鋼板は、非常に優れた耐赤錆発生性を示す
ものの、製造性が良くない。すなわち、めっき浴表面が
大気雰囲気であるような通常の溶融めっきラインで製造
すると、図１の表面写真に見られるような「しわ」状の
表面欠陥が多数発生し、表面性状は極めて悪いものとな
る。その原因は、めっき浴へのＭｇの添加により、溶融
金属表面上の酸化皮膜の成長が著しく促進され、その酸
化皮膜が溶融状態にある「めっき金属」の均一な「た
れ」を阻害するためであると考えられる。

【００１７】Ａｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっ
き鋼板の表面性状を改善するための手段として、例え
ば、めっき浴表面を密封構造の雰囲気保持カバー等で覆
い、非酸化性雰囲気に保つ方法が有効である。しかし、
工業的な連続めっきラインでめっき浴表面を密封構造の
カバーで覆うことは、作業性・汎用性・コスト面から、
必ずしも好ましくない。本発明者らは、めっき浴に微量
のＢｅまたはＳｒを添加することによって、大気雰囲気
下で行う通常の溶融めっき法を用いた場合でも、Ａｌ−
Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板の表面性状が
著しく改善されることを知見した。

【００１８】Ｂｅによる表面性状改善効果は、めっき層
中のＢｅ含有量が0.002質量％程度から急激に現れる。
そして、0.003〜0.05質量％の範囲において、最も良好
な表面性状が得られる。さらにＢｅ含有量が増すと表面
性状は再び徐々に劣化していく。ただし、Ｂｅ含有量が
0.05質量％を超えても、0.08質量％以下の範囲では表面
性状の改善効果は発揮され、Ｂｅ，Ｓｒを添加しないＡ
ｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板と比較す
るとかなり良好な表面肌のものが得られる。

【００１９】Ｓｒによる表面性状改善効果は、めっき層
中のＳｒ含有量が0.07質量％程度から現れる。そして、
0.1〜1.0質量％の範囲において、最も良好な表面性状が
得られる。さらにＳｒ含有量が増すと表面性状は再び徐
々に劣化していく。ただし、Ｓｒ含有量が1.0質量％を
超えても、1.7質量％以下の範囲では表面性状の改善効
果は発揮され、Ｂｅ，Ｓｒを添加しないＡｌ−Ｓｉ−Ｍ
ｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板と比較するとかなり良
好な表面肌のものが得られる。

【００２０】ＢｅとＳｒは、それぞれ単独で添加して
も、複合で添加しても、上記の表面性状改善効果が得ら
れる。適量のＢｅまたはＳｒの添加によってめっき鋼板
の表面性状が著しく改善されるのは、めっき浴から出た
未凝固のめっき層表層において、Ｍｇよりも、Ｂｅまた
はＳｒの方が優先酸化されることによって、Ｍｇの酸化
が抑制されるためであると推測される。

【００２１】本発明では、めっきを施す素地鋼板として
種々のものが使用できるが、例えば、弱脱酸鋼，Ｔｉキ
ルド鋼等に適用するのが効果的である。

【００２２】

【実施例】連続溶融めっきシミュレータ（連続溶融めっ
き実験ライン）を用いてＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融
Ａｌ基めっき鋼板を製造し、耐食性を調べた。また、め
っき層にＢｅまたはＳｒを含有させたものも同様に製造
し、表面性状改善効果を調べた。各実験に共通するめっ
き条件は次のとおりである。・素地鋼板：冷延弱脱酸鋼（厚み：0.8mm，幅：60mm）・還元炉最高到達板温：700℃，露点：−35℃ ・通板速度：50ｍ／分・めっき浴温：650℃ ・浸漬時間：3秒・めっき後の冷却：大気中で放冷

【００２３】溶融めっき層の化学組成は、めっき浴組成
をほぼ反映したものとなる。そこで、本実施例ではめっ
き浴組成を種々変化させることによって、耐食性あるい
は表面性状との関係を評価した。

【００２４】耐食性については、大気暴露による「耐赤
錆発生性」の調査と、ＳＳＴ（JISZ 2371に従う塩水噴
霧試験）による「腐食減量」の調査を行った。ここで、
「耐赤錆発生性」は、得られた溶融めっき鋼板を、既存
のＡｌ−９質量％Ｓｉめっき鋼板とともに、切断端面で
素地鋼を露出させた状態にして２ヶ月間大気暴露し、切
断端面の赤錆の目立ちにくさを「耐赤錆発生性」として
評価した。暴露場所は大阪府堺市の臨海工業地帯であ
る。耐赤錆発生性は、目視観察で以下のように３段階
（○，△，×）にランク付けして表した。・◎：赤錆の発生がほとんど認められないもの。・○：赤錆がＡｌ−９質量％Ｓｉめっき鋼板より目立ち
にくいもの。・△：赤錆がＡｌ−９質量％Ｓｉめっき鋼板と同等に目
立ちにくいもの。・×：赤錆がＡｌ−９質量％Ｓｉめっき鋼板より目立ち
やすいもの。また、ＳＳＴによる「腐食減量」は、主としてめっき層
の溶解速度を反映したものであり、これにより、めっき
鋼板の長期耐食性が概ね評価できる。

【００２５】表面性状については、得られた溶融めっき
鋼板の表面外観を目視観察で４段階（◎，○，△，×）
にランク付けすることによって評価した。その評価基準
として、図２の写真に示すサンプルを用い、以下のよう
にランク付けした。・◎：図２の上段のサンプルと同等以上に良好な表面性
状を呈するもの。・○：図２の上段のサンプルより劣るが、図２の中段の
サンプルと同等以上に良好な表面性状を呈するもの。・△：図２の中段のサンプルより劣るが、図２の下段の
サンプルより良好な表面性状を呈するもの。下段のサン
プルに見られるような「しわ」状の表面欠陥が鋼板長手
方向の10％未満の領域に存在するものも含む。・×：図２の下段のサンプルに見られるような「しわ」
状の表面欠陥が鋼板長手方向の10％以上の領域に存在す
るもの。

【００２６】外装材などで外観を重視する用途に適用す
る場合、上記評価が○以上の良好な表面性状を呈するこ
とが望ましい。しかし、上記評価が△のものでも、Ｂｅ
やＳｒを含有しないものと比較すると表面性状は大きく
向上している。表面性状より耐赤錆発生性の方を特に重
視する用途も考えられることから、「しわ」状の欠陥が
わずかに存在しているものであっても、商品価値を有す
る場合があり得る。このため、上記評価が△のものも、
耐食性が良好である限り、本発明に含めることとした。

【００２７】〔実施例１〕めっき浴組成をＳｉ：3〜13
質量％，Ｍｇ：0〜8質量％，Ｚｎ：0〜15質量％，残部
がＡｌおよび不可避的不純物とし、めっき浴表面上に密
封構造の雰囲気保持カバーを設けてめっき後の冷却部分
を非酸化性雰囲気（窒素雰囲気）に保持した。得られた
めっき鋼板の「耐赤錆発生性」および「腐食減量」を評
価した。その結果を表１に示す。なお、この実施例で得
られた鋼板の表面性状は図２を用いた前記ランク付けで
概ね△〜◎の範囲であり、商品価値を有するものであっ
た。

【００２８】

【表１】

【００２９】〔実施例２〕めっき浴組成を、Ｓｉ：9質
量％，Ｍｇ：2〜5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂｅ：0
〜0.06質量％，残部がＡｌおよび不可避的不純物とし
た。雰囲気保持カバーは設けず、めっき浴表面が大気雰
囲気である通常の溶融めっき法を実施した。得られため
っき鋼板の「表面性状」を評価した。その結果を表２に
示す。

【００３０】

【表２】

【００３１】〔実施例３〕めっき浴組成を、Ｓｉ：13質
量％，Ｍｇ：2〜5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂｅ：0
〜0.06質量％，残部がＡｌおよび不可避的不純物とした
以外、実施例２と同様の実験・評価を行った。その結果
を表３に示す。

【００３２】

【表３】

【００３３】〔実施例４〕めっき浴組成を、Ｓｉ：3質
量％，Ｍｇ：2〜8質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂｅ：0
〜0.06質量％，残部がＡｌおよび不可避的不純物とした
以外、実施例２と同様の実験・評価を行った。その結果
を表４に示す。

【００３４】

【表４】

【００３５】〔実施例５〕めっき浴組成を、Ｓｉ：9質
量％，Ｍｇ：2〜5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｓｒ：0
〜1.5質量％，残部がＡｌおよび不可避的不純物とした
以外、実施例２と同様の実験・評価を行った。その結果
を表５に示す。

【００３６】

【表５】

【００３７】〔実施例６〕めっき浴組成を、Ｓｉ：13質
量％，Ｍｇ：2〜5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｓｒ：0
〜1.5質量％，残部がＡｌおよび不可避的不純物とした
以外、実施例２と同様の実験・評価を行った。その結果
を表６に示す。

【００３８】

【表６】

【００３９】〔実施例７〕めっき浴組成を、Ｓｉ：3質
量％，Ｍｇ：2〜8質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｓｒ：0
〜1.5質量％，残部がＡｌおよび不可避的不純物とした
以外、実施例２と同様の実験・評価を行った。その結果
を表７に示す。

【００４０】

【表７】

【００４１】〔実施例８〕めっき浴組成を、Ｓｉ：9質
量％，Ｍｇ：5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂｅ：0.00
15〜0.06質量％，Ｓｒ：0〜1.5質量％，残部がＡｌおよ
び不可避的不純物とした以外、実施例２と同様の実験・
評価を行った。その結果を表８に示す。

【００４２】

【表８】

【００４３】〔実施例９〕めっき浴組成を、Ｓｉ：13質
量％，Ｍｇ：5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂｅ：0.00
15〜0.06質量％，Ｓｒ：0〜1.5質量％，残部がＡｌおよ
び不可避的不純物とした以外、実施例２と同様の実験・
評価を行った。その結果を表９に示す。

【００４４】

【表９】

【００４５】〔実施例１０〕めっき浴組成を、Ｓｉ：3
質量％，Ｍｇ：5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂｅ：0.
0015〜0.06質量％，Ｓｒ：0〜1.5質量％，残部がＡｌお
よび不可避的不純物とした以外、実施例２と同様の実験
・評価を行った。その結果を表１０に示す。

【００４６】

【表１０】

【００４７】〔実施例１１〕めっき浴組成を、Ｓｉ：9
質量％，Ｍｇ：2〜5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂ
ｅ：0〜0.05質量％，Ｓｒ：0〜1.0質量％，残部がＡｌ
および不可避的不純物とした。実施例２と同様に雰囲気
保持カバーは設けず、めっき浴表面が大気雰囲気である
通常の溶融めっき法を実施した。得られためっき鋼板の
「耐赤錆発生性」および「腐食減量」を評価した。その
結果を表１１に示す。

【００４８】

【表１１】

【００４９】〔実施例１２〕めっき浴組成を、Ｓｉ：13
質量％，Ｍｇ：2〜5質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂ
ｅ：0〜0.05質量％，Ｓｒ：0〜1.0質量％，残部がＡｌ
および不可避的不純物とした以外、実施例１１と同様の
実験・評価を行った。その結果を表１２に示す。

【００５０】

【表１２】

【００５１】〔実施例１３〕めっき浴組成を、Ｓｉ：3
質量％，Ｍｇ：2〜8質量％，Ｚｎ：2〜10質量％，Ｂ
ｅ：0〜0.05質量％，Ｓｒ：0〜1.0質量％，残部がＡｌ
および不可避的不純物とした以外、実施例１１と同様の
実験・評価を行った。その結果を表１３に示す。

【００５２】

【表１３】

【００５３】

【発明の効果】以上のように、本発明では、めっき層に
Ｓｉ，Ｍｇ，Ｚｎを適量含有させた「Ａｌ−Ｓｉ−Ｍｇ
−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板」によって、大気暴露環
境下において切断端面での素地鋼露出部分で赤錆発生が
ほとんど認められない高耐食めっき鋼板を実現した。そ
の耐赤錆発生性の改善効果はＺｎ：2質量％以上で顕著
になり、Ｚｎ＞10質量％で腐食減量の増加が急に大きく
なる（表１）。つまり、本系のＡｌ基めっき層中のＺｎ
含有量は2〜10質量％とするのが極めて効果的である。
また、めっき層にさらにＢｅまたはＳｒを適量含有させ
ることによって、めっき浴表面が大気雰囲気である通常
の連続めっきラインにおいても、表面性状の優れた本系
のめっき鋼板が製造できるようになる。特に、Ｂｅ：0.
003〜0.05質量％またはＳｒ：0.1〜1.0質量％を含有さ
せたとき、その表面性状の改善効果が顕著に現れる（表
２〜１０）。Ｂｅ，Ｓｒを本発明規定範囲でめっき層中
に含有させたものも、優れた耐赤錆発生性を示す（表１
１〜１３）。

【図面の簡単な説明】

【図１】めっき浴表面が大気雰囲気である通常の方法で
製造したＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼
板の表面写真。

【図２】表面性状の評価基準に用いためっき鋼板の表面
写真。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％を含有し、残部がＡｌおよび不可避
的不純物からなる溶融めっき層を表面に有する、大気暴
露環境での耐赤錆発生性に優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚ
ｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。
【請求項２】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0.002〜0.08％，Ｓｒ：0〜
0.1％（無添加を含む）を含有し、残部がＡｌおよび不
可避的不純物からなる溶融めっき層を表面に有する、大
気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に優
れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。
【請求項３】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0.003〜0.05％，Ｓｒ：0〜
0.1％（無添加を含む）を含有し、残部がＡｌおよび不
可避的不純物からなる溶融めっき層を表面に有する、大
気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に優
れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。
【請求項４】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0〜0.003％（無添加を含
む），Ｓｒ：0.07〜1.7％を含有し、残部がＡｌおよび
不可避的不純物からなる溶融めっき層を表面に有する、
大気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に
優れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼
板。
【請求項５】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0〜0.003％（無添加を含
む），Ｓｒ：0.1〜1.0％を含有し、残部がＡｌおよび不
可避的不純物からなる溶融めっき層を表面に有する、大
気暴露環境での耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に優
れたＡｌ−Ｓｉ−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。
【請求項６】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0.003〜0.08％，Ｓｒ：0.1
〜1.7％を含有し、残部がＡｌおよび不可避的不純物か
らなる溶融めっき層を表面に有する、大気暴露環境での
耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に優れたＡｌ−Ｓｉ
−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。
【請求項７】質量％で、Ｓｉ：3〜13％，Ｍｇ：2〜8
％，Ｚｎ：2〜10％，Ｂｅ：0.003〜0.05％，Ｓｒ：0.1
〜1.0％を含有し、残部がＡｌおよび不可避的不純物か
らなる溶融めっき層を表面に有する、大気暴露環境での
耐赤錆発生性に優れ、かつ表面性状に優れたＡｌ−Ｓｉ
−Ｍｇ−Ｚｎ系溶融Ａｌ基めっき鋼板。