JP4461866B2 - 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4461866B2
JP4461866B2 JP2004086786A JP2004086786A JP4461866B2 JP 4461866 B2 JP4461866 B2 JP 4461866B2 JP 2004086786 A JP2004086786 A JP 2004086786A JP 2004086786 A JP2004086786 A JP 2004086786A JP 4461866 B2 JP4461866 B2 JP 4461866B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
plating layer
steel sheet
alloy
corrosion resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004086786A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005272922A (ja
Inventor
千寿子 前田
栄 藤田
千昭 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2004086786A priority Critical patent/JP4461866B2/ja
Publication of JP2005272922A publication Critical patent/JP2005272922A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4461866B2 publication Critical patent/JP4461866B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)

Description

本発明は、建材や家庭用電気器具等の分野で広く利用されている、溶融Zn−Al系合金めっき鋼板、特に耐食性および曲げ加工性を向上した溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
溶融Znめっき鋼板は、軽量で、かつ防水性、Znの鋼板に対する犠牲防食性および施工性に優れていることから、デッキプレートや軽天井をはじめとして屋根やサイデイング等に到る、広い範囲で使用されている。特に、最近は住宅リサイクル法が制定され、住宅の長寿命化のニーズが高まっていることもあり、個人住宅向けを中心に、従来より高い耐食性をもつ、例えば溶融55mass%Al−1.6mass%Si−Zn合金めっき鋼板などが大きく需要を伸ばしている。
このめっき鋼板は、めっき層中のAl濃度を55mass%まで高めることにより、Znの犠牲防食能に加えて、Alによる保護性に優れた腐食生成物により、溶融Znめっき鋼板の2〜5倍の耐食性を示すことが広く知られている。しかし、Al濃度が高いため、めっき層が固く曲げ加工性に劣り、さらに曲げ加工部や切断部の鋼板が露出している領域では、その曝露初期に赤錆が発生しやすいという、欠点があった。
上記の加工部並びに切断部の耐食性を改善させるために、Zn−Al系合金めっき鋼板においてMgを添加することが、例えば特許文献1に提案されている。
Mgの添加によって、確かに加工部および切断部を含む耐食性は改善されるが、一方で加工性、とりわけ曲げ加工性に劣るところに問題を残していた。すなわち、この種のめっき鋼板を住宅向けの使途とする場合には、曲げ加工が施された際に、めっき層にクラックが発生しないことが肝要である。なぜなら、これらのクラック発生部位では、鋼板が露出し赤錆が発生しやすいことに加え、鋼板が0.6mm以下と薄い場合は、エンボス加工時に鋼板が破断するという危険性もあるからである。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、この曲げ加工性については何ら考慮されておらず、上記の用途においては、この曲げ加工性の改善が必須であった。
また、特許文献2には、Zn−Al系めっき鋼板中のMgを1mass%未満とし、Ca、NaおよびBaを選択添加する技術が開示されている。この場合、Mgの単独添加に比べて、加工部および切断部の耐食性をさらに改善することが可能であるが、曲げ加工性については、やはり考慮されていない。
ここに、高曲げ加工性のZn−Al系めっき鋼板について、特許文献3には、16〜28mass%の中濃度のAlにMgを選択添加した溶融めっき鋼板に、5%以上の圧下率で冷間圧延を施すことが記載されている。しかしながら、特許文献3の技術は、主に制振性を向上するためのものであり、さらに、ここで述べられている曲げ加工性はプレス成形性に関する機械的性質であり、めっき層の曲げ加工性は何ら考慮されていない。
本発明は、Mgを添加して耐食性を向上したZn−Al系合金めっき鋼板において、さらに曲げ加工性をも改善する手法を確立することによって、耐食性および曲げ加工性に共に優れた溶融Zn−Al系めっき鋼板を、その製造方法に併せて提供することを目的とするものである。
発明者らは、Zn−0.14mass%Al、Zn−6mass%Al、Zn−11mass%Al、Zn−22%Al−0.5mass%Si、Zn−45mass%Al−1.3mass%SiおよびZn−55mass%Al−1.6mass%Siの各組成を有する溶融めっき浴に、Zn−20mass%MgまたはAl−10mass%Mg母合金を適宜用いてMgを最高5mass%まで順次増量しながら、片面めっき厚が20±2.5μmとなるようにめっきを施したのち、JIS Z2248−1996に規定される密着曲げに準拠して、鋼板に0T曲げを行った加工部および切断部とそれ以外の平面部の耐食性を、JIS K5621−2003耐複合サイクル防食性に準拠した、複合サイクル腐食試験により調査した。
この調査によれば、特に加工部の耐食性が他よりも劣ることが判明した。そこで、各めっき鋼板について、0T曲げを行っためっき層の曲げ加工部を実体顕微鏡で観察したところ、めっき層にクラックが発生していることが判明した。
さらに、この原因について鋭意究明したところ、Mgを添加した場合に生じる、MgZn2、Mg2Si、Zn/Al/MgZn2共晶など、Mg系金属間化合物の単独または複合組織が粗大化し、これら組織がクラックの起点となることを知見した。
以上の知見に基づき、さらに実験を重ねた結果、通常はめっき層中に均一に存在するMgが、めっき層の表面およびその近傍に濃化していると、曲げ加工性が向上することを新たに見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)鋼板の表面にZn−Al系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板において、該めっき層は、Al:15mass%以上40mass%未満、Si:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%およびMg:0.005〜3mass%を含有し、残部はZnおよび不可避的不純物の成分組成を有し、かつ、めっき層の表層におけるMg濃度が、めっき層の平均Mg濃度の1.6倍以上であることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
(2)前記めっき層の表層におけるMg濃度が、めっき層の平均Mg濃度の2倍以上であることを特徴とする上記(1)に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
(3)鋼板の表面にZn−Al系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板において、該めっき層は、Al:15mass%以上40mass%未満およびSi:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%を含み、さらにMgとMg含有量の1/2以下のCaとを合計で0.005〜3mass%含有し、残部はZnおよび不可避的不純物の成分組成を有し、かつめっき層の表層におけるMgおよびCaの合計濃度がめっき層のMgおよびCaの合計濃度の平均の1.6倍以上であることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
(4)前記めっき層の表層におけるMgおよびCaの合計濃度が、めっき層のMgおよびCaの合計濃度の平均の2倍以上であることを特徴とする上記(3)に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
ここで、上記めっき層の表層とは、めっき表面から、めっき厚の1/5深さまでと定義する。
(5)前記めっき層は、さらにCr,Mn,NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.002〜2mass%含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
(6)Al:15mass%以上40mass%未満およびSi:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%を含み、残部はZnおよび不可避的不純物の組成になる溶融めっき浴に、鋼板を浸漬してめっき層を形成し、次いで鋼板をめっき浴から引き上げたのち、めっき層が凝固するまでの間に、Mgイオンを0.1mol/リットル以上含有する溶液をめっき層の表面に付着させることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
(7)Al:15mass%以上40mass%未満およびSi:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%を含み、残部はZnおよび不可避的不純物の組成になる溶融めっき浴に、鋼板を浸漬してめっき層を形成し、次いで鋼板をめっき浴から引き上げたのち、めっき層が凝固するまでの間に、MgイオンおよびMgイオンの1/2以下の量のCaイオンを合計で0.1mol/リットル以上含有する溶液をめっき層の表面に付着させることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
(8)前記めっき浴に、さらにMg:0.005〜1mass%を添加することを特徴とする上記(6)または(7)に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
(9)前記めっき浴に、さらにMgとMg含有量の1/2以下のCaとを合計で0.005〜1mass%添加することを特徴とする上記(6)または(7)に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
(10)前記めっき浴に、さらにCr,Mn,NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.002〜2mass%添加することを特徴とする上記(6)〜(9)のいずれかに記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、優れた耐食性および曲げ加工性を兼ね備えた溶融Zn−Al系めっき鋼板を提供することができる。
以下、本発明の溶融Zn−Al系合金めっき鋼板について、具体的に説明する。まず、めっき層の成分組成から順に述べる。
Al:15mass%以上40mass%未満
Alの含有量が15mass%より少ないと、耐食性が劣化し、Zn−55%Al−1.6%Siめっき鋼板と同等レベル程度の耐食性しか得られなくなるため、15mass%以上とする。一方、40mass%以上では、めっきのままでは曲げ加工性に劣るものとなる。より好適な範囲は、微細な共析組織を得やすい18〜25mass%である。
Si:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%
Siは、鋼板とAlとの合金化を抑制するために添加する元素であり、(0.0005×〔mass%Al〕)mass%より少ないと合金層が生成し、この合金層を起点としてめっき層厚み方向にクラックが発生しやすくなるため、曲げ加工性が劣化する。よってSiは(0.0005×〔mass%Al〕)mass%以上とする。逆に、(0.05×〔mass%Al〕)mass%より多いと、Mg2Siが粗大化しやすくなり、曲げ加工性が劣化し、さらには加工部および切断部の耐食性が劣化するため、(0.05×〔mass%Al〕)mass%以下とする。より好適な範囲は、(0.005〜0.03)×〔mass%Al〕である。
Mg:0.005〜3mass%
Mgは、特に加工部および切断部の耐食性を改善させることができる。そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、0.005〜3mass%の範囲において有効である。すなわち、0.005mass%より少ないと、耐食性の改善効果が認められない。一方、3mass%を超えると、めっき層が凝固する間にMg,CaとZnまたはSiの金属間化合物の単独またはZn/Alとの共晶組織が粗大析出しやすくなり、曲げ加工性、さらに加工部および切断部の耐食性が劣化する。より好適な範囲は、0.05〜2mass%である。
MgとMg含有量の1/2以下のCaとを合計で0.005〜3mass%
Mg とともに、Caを複合して添加することにより、さらに加工部および切断部の耐食性を改善させることができる。なお、合計添加量における上下限の限定理由は、上記Mgの単独添加の場合と同様である。
なお、Caの含有量は、Mg含有量の1/2以下とする。なぜなら、Caは、単独添加では耐食性改善効果がなく、理由は必ずしも明らかではないが、Mgとともに少量添加することで耐食性が改善され、Caの含有量が、Mgの1/2を超えると、複合添加による耐食性の改善効果が乏しくなるからである。
ここで、めっき層の表層におけるMg濃度めっき層の平均Mg濃度との比、つまり(めっき層の表層のMg濃度)/(めっき層の平均Mg濃度)比が1.6倍以上であることが肝要である。なぜなら、Mgを添加した場合の曲げ加工性の劣化は、上記したMg系金属間化合物組織の粗大化に起因していることは上述の通りであり、このMg系金属間化合物組織の粗大化は、Mg濃度を、めっき層の表面およびその近傍に濃化することによって、回避することができるからである。
なお、めっき層の表層におけるMg濃度が、めっき層の平均Mg濃度の2倍以上であることがより好ましい。
また、Mg とともに、Caを複合して添加する場合は、Mgの単独添加の場合と同様、めっき層の表層におけるMgおよびCaの合計濃度、めっき層のMgおよびCaの合計濃度の平均との比、つまり(めっき層の表層のMg+Ca濃度)/(めっき層の平均Mg+Ca濃度)比を1.6倍以上とする。より好ましくは、めっき層の表層におけるMgおよびCaの合計濃度を、めっき層のMgおよびCaの合計濃度の平均の2倍以上とする。Mg単独と同様に、めっき層の表面およびその近傍にMgおよびCaが濃化することによって、上記Mg系金属間化合物組織の粗大化を回避することができるからである。
本発明では、さらに耐食性の向上を目的として、Cr,Mn,NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.002〜2mass%添加してもよい。添加量が0.002mass%より少ないと、耐食性の向上効果が認められず、2mass%より多いと、浴温が上昇し、ドロスも大量発生するので、操業性が著しく低下する。より好適な範囲は0.01〜1.0mass%である。
なお、Cr,Mn,NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を添加する場合は、ドロスの発生を抑えめっき性を改善する目的で、Srを0.002〜0.1mass%添加することができる。これより少ないと効果がなく、多すぎるとめっき層中にSrが粗大析出し、耐食性が低下するので好ましくない。好適範囲は、上記金属元素の添加量(mass%)の0.005〜0.02mass%である。
次に、上記しためっき層組織とするための製造方法について説明する。
まず、本発明における被めっき鋼板としては、通常の方法で製造した鋼板、たとえば低炭素アルミキルド鋼板や極低炭素鋼板等がいずれも好適に使用できる。本発明では、これらの鋼板を溶融Zn−Al系合金めっき浴に浸漬する、いわゆる熱浸めっきを行い、該鋼板をめっき浴から引き上げてガスワイピング等で付着量を調整した後、冷却し溶融Zn−Al系合金めっき層を形成する。
この溶融Zn−Al系合金めっき浴の浴組成は、Alを15mass%以上40mass%未満、そしてSiをAl量(mass%)の(0.0005〜0.05)倍の範囲で含有し、残部はZnおよび不可避的不純物の組成になるように調整しなければならない。この不可避的不純物とは、Fe,Pb,Sn,Cd等であり、これらは合計で0.05mass%を超えることは好ましくない。
ここで、本発明になるめっき層は、Mgを必須とし、必要に応じてMgの1/2のCaを合計で0.005〜3mass%を含有し、しかもめっき表層のMgまたは、MgおよびCaの合計濃度をめっき層の平均濃度より高くするところに特徴があることから、上記めっき浴から引き上げ後の鋼板に対して、そのめっき層が凝固するまでの間に、Mgイオンを必須として、必要に応じてMgイオンの1/2以下の量のCaイオンを合計で0.01mol/リットル以上含有する溶液を、当該めっき層の表面に付着させることが、肝要である。
めっき層に付着させる溶液におけるMg濃度または、MgおよびCaの合計濃度は、0.1mol/リットル未満ではめっき表層のMgまたは、MgおよびCaの合計濃度をめっき層の平均濃度より高くすることが難しくなる。一方、溶液におけるMg濃度または、MgおよびCaの合計濃度が3.5mol/リットルを超えると、溶液を噴霧するためのノズルが詰まりやすくなるので、3.5mol/リットル以下とすることが好ましい。
なお、MgおよびCaは、これらの塩化物を添加して溶液に含有させることが好ましい。また、MgまたはMgおよびCaを含有する溶液は水溶液であることが好ましいが、水以外の溶媒を含んでいてもよい。
また、上記めっき浴には、耐食性のさらなる改善を目的に、Mgを単独で、または MgおよびCaを複合して、添加することができる。すなわち、Mgまたは、MgおよびCaをめっき浴に添加する場合は、Mg単独または、MgおよびMgの1/2のCaを合計で0.005〜1mass%の範囲で添加する。ここで、1mass%を超えると、めっき層の凝固途中にて、MgおよびCaとZnおよびSiとの金属間化合物が粗大に析出しやすくなり、一方0.005mass%未満では、耐食性改善の効果が認められなくなるからである。さらにCaの添加量が、Mgの1/2を超えると、複合添加による耐食性の改善効果が小さくなるからである。
さらに、耐食性の向上の観点から、必要に応じてCr、Mn、NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を添加することができる。耐食性の向上を期待するには、少なくとも1種または2種以上の合計が0.002mass%以上であることが好ましく、一方
操業性の観点からは2mass%以下、より好ましくは1mass%以下とするとよい。
なお、めっき鋼板の冷却後、コイル巻取りまでの間に形状矯正を目的としたテンションレベラー、めっき表面の平滑化を目的としたスキンパス圧延を必要に応じて行うことができる。さらに、化成処理と一層または二層のカラー塗装を行うこともできる。
C:0.039mass%、Si:0.012mass%、Mn:0.15mass%、S:0.008mass%およびAl:0.022mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる、板厚:0.8mmの低炭素アルミキルド鋼板に、連続式溶融めっき設備によって、溶融Zn−Al合金めっきを施した。溶融めっき浴は、99.99mass%Zn、Alインゴット、25mass%Si−Al、20mass%Mg−Zn、1.2mass%Cr−Zn、5mass%Cr−Al、10mass%Mn−Zn、5mass%Ni−Zn、そして5.5mass%Co−Znの各合金インゴットを用いた。めっき浴およびめっき層の組成分析結果を、表1に示す。
めっき処理は、めっき浴への浸漬時間を約1秒とし、目標めっき層厚(片面当たり)が20μmとなるようにめっき付着量をワイパーによって制御して行った。このめっき処理において、鋼板をめっき浴から引き上げたのち、めっき層の凝固が完了するまでの間に、表2に示す濃度で塩化Mgを脱イオン水に添加した水溶液を、めっき層表面に1〜3秒間噴霧しながら冷却した。
かくして得られた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板から、めっき層の組成分析用に幅50mmおよび長さ50mmの試験片を各2枚ずつ採取し、また平面部、曲げ加工部、切断部の耐食性評価用に幅70mmおよび長さ150mmの試験片を各3枚ずつ採取した。
なお、めっき層の組成は、1枚をそのまま、もう1枚を表面から1/5深さまでを研削で除去した後に、裏面をシール後、ISO溶解液(塩酸50mass%水溶液+0.35mass%ヘキサメチレンテトラミン)30mlに浸漬してめっき層のみを溶解した溶解液を水100mlで希釈し、ICP発光分光分析法により定量した。表面から1/5深さまでの表層およびめっき層平均のMg濃度の比は以下の式から求めた。
S/a=5−4b/a
ここに、Sはめっき表面から1/5深さまでのMg濃度の計算値、aはめっき層全体の平均のMgの定量結果(mass%)、bは表面から1/5深さまでを除去した試料からのMgの定量結果(mass%)である。
耐食性の評価は、平面部と曲げ加工部用の試験片の裏面とエッジをテープシールした。曲げ加工部用は、さらに長さ75mm位置でJIS Z2248−1996に規定される密着曲げに準拠して0T曲げを行い、曲げた外側の部位を、また切断部用の試験片は長手方向の両側面部が下バリとなるように切断し、その裏面と上下側面部とをテープで覆い、JIS K5621−2003耐複合サイクル防食性に準拠したサイクルに設定した複合サイクル腐食試験装置に入れ、面積率で5%赤錆発生までの時間(サイクル数)を測定した。このサイクル数が300以上であれば、優れた耐食性が得られていると判断できる。
さらに、溶融Zn−Al系合金めっき鋼板から、めっき層の曲げ加工性評価用に幅70mmおよび長さ100mmの試験片を各5枚ずつ採取し、長さ50mm位置でJIS Z2248−1996に規定される密着曲げに準拠して0T曲げ試験に供して、曲げ外側の部位を真上から100倍の実体顕微鏡で1試験片について1視野を観察し、次に示す5段階レベルの評価をし、5試験片計5視野の平均を求めた。
評価5:クラック全くなし
評価4:鋼素地まで達しないヘアクラックが1本/視野〜10本/視野
評価3:鋼素地まで達しないヘアクラックが11本/視野以上(ただし、鋼素地に達する粗大クラックなし)
評価2:鋼素地まで達する粗大クラックが1本/視野〜5本/視野
評価1:鋼素地まで達する粗大クラックが6本/視野以上
以上の測定並びに評価の各結果を、表3に示す。同表から、本発明により、平面部曲げ加工部および切断部の耐食性がともに優れ、かつめっき層の曲げ加工性にも優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板が得られることがわかる。
Figure 0004461866
Figure 0004461866
Figure 0004461866
C:0.0012mass%、Mn:0.10mass%、S:0.007mass%およびAl:0.023mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる、板厚:0.8mmの極低炭素アルミキルド鋼板に、連続式溶融めっき設備によって、溶融Zn−Al合金めっきを施した。溶融めっき浴は、99.99mass%Zn、Alインゴット、25mass%Si−Al、10mass%Ca−Al、20mass%Mg−Zn、1.2mass%Cr−Zn、5mass%Cr−Al、10mass%Mn−Zn、5mass%Ni−Zn、そして5.5mass%Co−Znの各合金インゴットを用いた。めっき浴およびめっき層の組成分析結果を表4に示す。
めっき処理は、めっき浴への浸漬時間を約1秒とし、目標めっき層厚(片面当たり)が20μmとなるようにめっき付着量をワイパーによって制御して行った。このめっき処理において鋼板をめっき浴から引き上げたのち、めっき層の凝固が完了するまでの間に、表5に示す濃度で塩化Mg、塩化Caを脱イオン水に添加した水溶液を、めっき層表面に1〜3秒間噴霧しながら冷却した。
その後、実施例1と同様にして、S/a、平面部、0T曲げ加工部および切断端面部(下バリ)の耐食性を評価するとともに、曲げ加工性も評価した。その測定並びに評価結果を、表6に示す。
同表から本発明により、平面部、曲げ加工部および切断部の耐食性がともに優れ、かつめっき層の曲げ加工性にも優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板が得られることがわかる。
Figure 0004461866
Figure 0004461866
Figure 0004461866

Claims (10)

  1. 鋼板の表面にZn−Al系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板において、該めっき層は、Al:15mass%以上40mass%未満、Si:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%およびMg:0.005〜3mass%を含有し、残部はZnおよび不可避的不純物の成分組成を有し、かつ、めっき層の表層におけるMg濃度が、めっき層の平均Mg濃度の1.6倍以上であることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  2. 前記めっき層の表層におけるMg濃度が、めっき層の平均Mg濃度の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  3. 鋼板の表面にZn−Al系合金めっき層を有する溶融めっき鋼板において、該めっき層は、Al:15mass%以上40mass%未満およびSi:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%を含み、さらにMgとMg含有量の1/2以下のCaとを合計で0.005〜3mass%含有し、残部はZnおよび不可避的不純物の成分組成を有し、かつめっき層の表層におけるMgおよびCaの合計濃度がめっき層のMgおよびCaの合計濃度の平均の1.6倍以上であることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  4. 前記めっき層の表層におけるMgおよびCaの合計濃度が、めっき層のMgおよびCaの合計濃度の平均の2倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  5. 前記めっき層は、さらにCr,Mn,NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.002〜2mass%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  6. Al:15mass%以上40mass%未満およびSi:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%を含み、残部はZnおよび不可避的不純物の組成になる溶融めっき浴に、鋼板を浸漬してめっき層を形成し、次いで鋼板をめっき浴から引き上げたのち、めっき層が凝固するまでの間に、Mgイオンを0.1mol/リットル以上含有する溶液をめっき層の表面に付着させることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
  7. Al:15mass%以上40mass%未満およびSi:(0.0005×〔mass%Al〕)〜(0.05×〔mass%Al〕)mass%を含み、残部はZnおよび不可避的不純物の組成になる溶融めっき浴に、鋼板を浸漬してめっき層を形成し、次いで鋼板をめっき浴から引き上げたのち、めっき層が凝固するまでの間に、MgイオンおよびMgイオンの1/2以下の量のCaイオンを合計で0.1mol/リットル以上含有する溶液をめっき層の表面に付着させることを特徴とする耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
  8. 前記めっき浴に、さらにMg:0.005〜1mass%を添加することを特徴とする請求項6または7に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
  9. 前記めっき浴に、さらにMgとMg含有量の1/2以下のCaとを合計で0.005〜1mass%添加することを特徴とする請求項6または7に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
  10. 前記めっき浴に、さらにCr,Mn,NiおよびCoのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.002〜2mass%添加することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
JP2004086786A 2004-03-24 2004-03-24 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法 Expired - Lifetime JP4461866B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004086786A JP4461866B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004086786A JP4461866B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005272922A JP2005272922A (ja) 2005-10-06
JP4461866B2 true JP4461866B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=35172900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004086786A Expired - Lifetime JP4461866B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4461866B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI821086B (zh) * 2022-08-31 2023-11-01 日商日本製鐵股份有限公司 鍍敷鋼材及鍍敷鋼材之製造方法

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4584179B2 (ja) * 2006-04-13 2010-11-17 Jfe鋼板株式会社 耐食性および加工性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板の製造方法
JP5593836B2 (ja) * 2009-05-29 2014-09-24 Jfeスチール株式会社 溶融Al−Zn系めっき鋼板
TWI529259B (zh) * 2010-01-25 2016-04-11 布魯史寇普鋼鐵有限公司 金屬被覆鋼帶
JP5484158B2 (ja) * 2010-03-30 2014-05-07 日新製鋼株式会社 エンボス加工建材の製造方法
CN102115860B (zh) * 2011-04-21 2012-07-04 淄博凤阳彩钢板有限公司 一种热镀锌液及其生产工艺
KR101308168B1 (ko) 2011-05-27 2013-09-12 동부제철 주식회사 도금 조성물, 이를 이용한 도금 강재의 제조방법 및 도금 조성물이 코팅된 도금 강재
WO2014156073A1 (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Jfeスチール株式会社 Al-Zn系めっき鋼板
WO2019225765A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 日本製鉄株式会社 表面処理鋼板
KR102305753B1 (ko) * 2019-12-18 2021-09-27 주식회사 포스코 가공부 내식성이 우수한 Zn-Al-Mg계 용융합금도금 강재 및 그 제조방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI821086B (zh) * 2022-08-31 2023-11-01 日商日本製鐵股份有限公司 鍍敷鋼材及鍍敷鋼材之製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005272922A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107250418B (zh) 热浸镀Al-Zn-Mg-Si钢板及其制造方法
KR101504863B1 (ko) 외관 균일성이 우수한 고내식성 용융 아연 도금 강판 및 그 제조 방법
WO2019221193A1 (ja) めっき鋼材
JP6350780B1 (ja) 塗装後耐食性に優れた溶融Zn系めっき鋼板
JP5994856B2 (ja) 溶融Al−Zn系めっき鋼板及びその製造方法
KR20150041167A (ko) 용융 Al-Zn계 도금 강판
WO2003074751A1 (fr) Plaque d'acier a surface traitee et procede de production correspondant
EP2578719A1 (en) Hot dipped aluminum alloy coated steel material with excellent cut edge surface corrosion resistance and processed part corrosion resistance, and method for producing same
JP6065043B2 (ja) 溶融Al−Zn系めっき鋼板及びその製造方法
JP4461866B2 (ja) 耐食性および曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法
JP2020143370A (ja) 溶融Al−Zn−Mg−Si系めっき鋼板及びその製造方法、並びに、塗装鋼板及びその製造方法
KR102527548B1 (ko) 도금 강재
JP4412037B2 (ja) 溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法
JP3267178B2 (ja) 加工性に優れたZn−Al合金めっき鋼板
JPWO2021095442A1 (ja) めっき鋼材
JP4356423B2 (ja) 溶融Al−Zn−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
TWI654338B (zh) Fused Zn-based plated steel sheet with excellent corrosion resistance after painting
JP6315153B1 (ja) 溶融Al−Zn系めっき鋼板
JP2007314858A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP6480132B2 (ja) 溶融Al系めっき鋼板
JP2002371342A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2004277839A (ja) 亜鉛系金属被覆鋼材
JP2003231945A (ja) 耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板
EP4174203A1 (en) Hot-dip galvanized steel material
JP6337711B2 (ja) 溶融Al系めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070129

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4461866

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250