JP2002211369A - 操作ペダルの後退変位抑制機構 - Google Patents

操作ペダルの後退変位抑制機構

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダッシュパネルの変形の状態に拘らず操作ペ
ダルを意図した状態で変位抑制する。 【解決手段】 車両の衝突時にペダルブラケット７の後
端部のブラケット８が離脱機構１４から離脱した後にブ
ラケット８の移動をガイドしてブレーキペダル４の後退
変位を抑制するガイド部材を備え、ブラケット８の後端
部を斜め下方にガイドするガイド１３とガイド１３の下
部を閉断面構成としてブラケット８の下方移動後の落下
を規制するコラムサポートブラケット１０とからガイド
部材を構成し、ダッシュパネル１の変形の状態に拘らず
ブラケット８をガイド１３で案内すると共にコラムサポ
ートブラケット１０で規制して操作ペダルであるブレー
キペダル４を意図した状態で変位抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用の操作ペダ
ルの後退変位抑制機構に関する。
【０００２】
【従来の技術】衝突時等、車両の前方に大きなエネルギ
ーが作用すると、大きな減速度が生じると共にエンジン
ルームと車室とを仕切るダッシュパネルに車室側へ向か
う変形が生じることがある。ダッシュパネルが車室側に
変形すると、運転席のフットスペースが縮小されて、フ
ットスペースに支持されている吊下げ式の操作ペダル
（例えば、ブレーキペダル）が運転者側に変位する虞が
生じる。このため、従来からダッシュパネルが車室側に
変形した場合にブレーキペダルを相対的にダッシュパネ
ル側に変位させる機構が種々提案されている。
【０００３】例えば、特開平9-254821号公報には、ダッ
シュパネルが車室側に変形した場合に、ブレーキペダル
の上方部を回動自在に支持するペダルブラケットを車体
側摺動部材により斜め下方向に案内してブレーキペダル
をダッシュパネル側に相対変位させる機構が提案されて
いる。この機構により、車両前方にエネルギが入力した
際にブレーキペダルを車両前方に退避させることができ
る。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】従来の操作ペダルを退
避させる機構では、車両の前後方向の入力に対してはペ
ダルブラケットが車体側摺動部材に案内されてブレーキ
ペダルをダッシュパネル側に退避させることが可能であ
る。ところが、正面衝突やオフセット衝突等の衝突形態
の相違や、搭載エンジンの相違に対して、ダッシュパネ
ルの変形は一定ではないため、ダッシュパネルの左右方
向の成分を含む変形時にペダルブラケットと車体側摺動
部材の摺接状態が外れる虞がある。ペダルブラケットが
車体側摺動部材に案内されなくなると、ブレーキペダル
をダッシュパネル側に退避させることができなくなり、
意図したブレーキペダルの変位抑制ができなくなるとい
う問題があった。また、ダッシュパネルが車室側に大き
く変形した場合、ペダルブラケットが車室内側に大きく
移動し、意図した部位にブレーキペダルを変位させるこ
とができなくなる虞があった。
【０００５】本発明は上記状況に鑑みてなされたもの
で、ダッシュパネルの変形の状態に拘らず操作ペダルを
意図した状態で変位抑制できる操作ペダルの後退変位抑
制機構を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明では、車両の衝突時にペダルブラケットの後端部
が離脱機構から離脱した後にペダルブラケットの後端部
の移動をガイドして操作ペダルの後退変位を抑制するガ
イド部材を備え、ペダルブラケットの後端部を斜め下方
にガイドするガイド部とガイド部の下部を少なくとも部
分的に閉断面構成としてペダルブラケットの後端部の下
方移動後の落下を規制する規制部とからガイド部材を構
成し、ダッシュパネルの変形の状態に拘らずペダルブラ
ケットの後端部をガイド部で案内すると共に規制部で規
制して操作ペダルを意図した状態で変位抑制するように
したものである。
【０００７】そして、規制部は、ステアリングコラムの
ブラケットと一体になっているので、部品を共用するこ
とができ、コスト増となることがない。また、ペダルブ
ラケットの後端部にクラッシュ用のビードを設けること
が好ましく、クラッシュ用のビードを設けることでペダ
ルブラケットの後端部がガイド部及び規制部方向に変位
しやすくなる。
【０００８】
【発明の実施の形態】図１には本発明の一実施形態例に
係る操作ペダルの後退変位抑制機構の概略構成を表す側
面視状態、図２にはその平面視状態、図３には図１中の
III-III 矢視状態、図４にはペダルブラケットアッセン
ブリの分解斜視状態、図５にはガイド部材の取り付き状
況を表す斜視状態を示してある。
【０００９】図１、図２に示すように、車両のエンジン
ルームと車室とを仕切るダッシュパネル１のエンジンル
ーム側には、ブレーキブースタ２が固定されている。ま
た、ダッシュパネル１の車室側にはペダルブラケット３
の前端部が固定され、ペダルブラケット３には操作ペダ
ルとしてのブレーキペダル４が回転支持されている。即
ち、ペダルブラケット３には車幅方向に延びる回転支持
軸５が固定され、回転支持軸５にブレーキペダル４の上
部が回転自在に支持されている。
【００１０】ブレーキブースタ２にはダッシュパネル１
を貫通して車室側に延びる踏力伝達軸６が設けられ、踏
力伝達軸６の先端部はブレーキペダル４のレバー部４ａ
に連結されている。ブレーキペダル４を踏み込むことに
より、踏力伝達軸６を介して踏力がブレーキブースタ２
に伝達され、図示しないブレーキ装置が作動するように
なっている。
【００１１】ペダルブラケット３の後端部にはリンフォ
ース７を介してブラケット８が固定され、ペダルブラケ
ット３、リンフォース７及びブラケット８によりペダル
ブラケットアッセンブリが構成されている（図４参
照）。図１、図２及び図５に示すように、ダッシュパネ
ル１より車体後方には車体構成部材としてのデッキクロ
スパイプ９が車幅方向に延在して配置され、デッキクロ
スパイプ９には上方が開放する断面コ字型の規制部とし
てのコラムサポートブラケット１０が溶接により固定さ
れている。コラムサポートブラケット１０は対になるコ
ラムサポートブラケット１１と共に支持ブラケット１８
を介してステアリングコラム１２を車体側に支持してい
る。
【００１２】図１、図２、図３及び図５に示すように、
コラムサポートブラケット１０の上方の開口部には下面
が開口する断面コ字型のガイド部としてのガイド１３が
斜め下方に向けて配設され、ガイド１３の部位の下面が
コラムサポートブラケット１０に覆われて閉断面構成に
されている。ガイド１３は溶接によりデッキクロスパイ
プ９に固定されている。ペダルブラケットアッセンブリ
のブラケット８（ペダルブラケット３の後端部）とガイ
ド１３（車体構成部材であるデッキクロスパイプ９側）
とは離脱機構１４を介して連結されている。
【００１３】離脱機構１４を説明する。図１、図２及び
図４に示すように、ペダルブラケットアッセンブリのブ
ラケット８には、長穴２１及び開口２２が連続するボル
ト締結部２３が形成され、ボルト締結部２３の長穴２１
にボルト２４を挿入してボルト２４をガイド１３に締結
固定することで、ブラケット８とガイド１３が互いに固
定される。ペダルブラケットアッセンブリのブラケット
８が車両後側に変位した場合、ボルト２４が相対的に開
口２２側に移動し、開口２２からボルト２４が脱落して
ブラケット８とガイド１３の固定が離脱してブラケット
８がガイド１３に案内されて斜め下方に移動する。
【００１４】尚、離脱機構１４としては、所定値以上の
加重が作用したときに破断するボルトを用いてブラケッ
ト８とガイド１３を固定することも可能である。また、
ブラケット８にクラッシュ用のビードを設けることも可
能である。更に、上記構成の離脱機構１４に加えてブラ
ケット８にクラッシュ用のビードを設けることも可能で
ある。離脱機構１４に加えてブラケット８にクラッシュ
用のビードを設けることで、ブラケット８（ペダルブラ
ケットの後端部）がガイド１３及びコラムサポートブラ
ケット１０方向に変位しやすくなる。
【００１５】上記構成の操作ペダルの後退変位抑制機構
の作用を説明する。
【００１６】衝突等により、車両に前方から大きなエネ
ルギが入力されると、ブレーキブースタ２が車両の後方
へ押圧されてダッシュパネル１が車室側に変形する場合
がある。ダッシュパネル１が車室側に変形すると、ペダ
ルブラケット３に車両後方側への力が作用し、ペダルブ
ラケットアッセンブリのブラケット８とガイド１３との
固定が離脱機構１４により脱落する。
【００１７】ブラケット８がガイド１３から脱落するこ
とで、ブラケット８がガイド１３に案内されて車両後側
に相対変位する。この時ガイド１３は斜め下方に向けて
配設されているため、ブレーキペダル４の上部となるブ
ラケット８は斜め下方に案内される。このため、ブレー
キペダル４がダッシュパネル１側に相対的に移動し、車
両前方にブレーキペダル４を退避させて乗員の足元のス
ペースを確保することができる。
【００１８】また、ガイド１３の下面はコラムサポート
ブラケット１０に覆われて閉断面構成にされているた
め、正面衝突やオフセット衝突等の衝突形態の相違や、
搭載エンジンの相違に対して、一定ではないダッシュパ
ネル１の変形があっても、ブラケット８がガイド１３及
びコラムサポートブラケット１０で構成される閉断面の
部位に車幅方向にずれることなく確実に案内される。
【００１９】これにより、ダッシュパネル１の左右方向
の成分を含む変形時にブラケット８の案内状態が外れる
ことがなく、ブレーキペダル４をダッシュパネル１側に
確実に退避させることができる。従って、ダッシュパネ
ル１の変形の状態に拘らずブレーキペダル４を意図した
状態で変位抑制することが可能になる。
【００２０】更に、ガイド１３の下面はコラムサポート
ブラケット１０に覆われて閉断面構成にされているた
め、コラムサポートブラケット１０によりブラケット８
の落下が防止される。これにより、必要以上にブラケッ
ト８が車室側に移動することがなくなり、ブレーキペダ
ル４を意図した状態でダッシュパネル１側に退避させる
ことができる。
【００２１】つまり、ダッシュパネル１が車室側に大き
く変形した場合であっても、ブラケット８の位置がコラ
ムサポートブラケット１０により規制されてそれ以上移
動できなくなり、意図した部位にブレーキペダル４を確
実に退避させることが可能になる。
【００２２】そして、ステアリングコラム１２を支持す
るコラムサポートブラケット１０によりブラケット８を
案内する規制部を構成したので、ステアリングコラム１
２を支持する部品をブラケット８の案内用の部品として
兼用することができる。尚、規制部としてガイド１３と
共に閉断面を構成する部材を専用の部材を用いることも
可能である。
【００２３】尚、本発明を適用する操作ペダルとして
は、クラッチペダル、アクセルペダルや補助ブレーキペ
ダル等、ペダルブラケットを介してダッシュパネル１側
に支持される操作ペダルを適用することが可能であり、
ブレーキペダル４に限定されるものではない。
【００２４】
【発明の効果】本発明の操作ペダルの後退変位抑制機構
は、車両の衝突時にペダルブラケットの後端部が離脱機
構から離脱した後にペダルブラケットの後端部の移動を
ガイドして操作ペダルの後退変位を抑制するガイド部材
を備え、ペダルブラケットの後端部を斜め下方にガイド
するガイド部とガイド部の下部を少なくとも部分的に閉
断面構成としてペダルブラケットの後端部の下方移動後
の落下を規制する規制部とからガイド部材を構成したの
で、ペダルブラケットの後端部をガイド部材によって確
実に案内することができる。この結果、ダッシュパネル
の変形の状態に拘らずペダルブラケットの後端部をガイ
ド部で案内すると共に規制部で規制して操作ペダルを意
図した状態で変位抑制することが可能になる。
【００２５】請求項２の本発明は、規制部は、ステアリ
ングコラムのブラケットと一体になっているので、部品
を共用することができ、コスト増を抑制することが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態例に係る操作ペダルの後退
変位抑制機構の概略構成を表す側面図。
【図２】本発明の一実施形態例に係る操作ペダルの後退
変位抑制機構の概略構成を表す平面図。
【図３】図１中のIII-III 矢視図。
【図４】ペダルブラケットアッセンブリの分解斜視図。
【図５】ガイド部材の取り付き状況を表す斜視図。
【符号の説明】
１ ダッシュパネル ２ ブレーキブースタ ３ ペダルブラケット ４ ブレーキペダル ５ 回転支持軸 ６ 踏力伝達軸 ７ リンフォース ８ ブラケット ９ デッキクロスパイプ １０ コラムサポートブラケット １２ ステアリングコラム １３ ガイド １４ 離脱機構 １８ 支持ブラケット ２１ 長穴 ２２ 開口 ２３ ボルト締結部 ２４ ボルト

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 車両のエンジンルームと車室とを仕切る
    ダッシュパネルの車室内側に前端部が連結されると共に
    離脱機構を介して前記ダッシュパネルより車体後方に配
    置されて車幅方向に延在する車体構成部材に後端部が連
    結されるペダルブラケットを有し、該ペダルブラケット
    に吊下げ式操作ペダルを回転支持した操作ペダルの後退
    変位抑制機構において、前記車両の衝突時に前記ペダル
    ブラケットの後端部が離脱機構から離脱した後にペダル
    ブラケットの後端部の移動をガイドして操作ペダルの後
    退変位を抑制するガイド部材を備え、ガイド部材は、該
    ペダルブラケットの後端部を斜め下方にガイドするガイ
    ド部と該ガイド部の下部を少なくとも部分的に閉断面構
    成としてペダルブラケットの後端部の下方移動後の落下
    を規制する規制部とからなることを特徴とする操作ペダ
    ルの後退変位抑制機構。
  2. 【請求項２】 請求項１において、前記規制部は、ステ
    アリングコラムのブラケットと一体になっていることを
    特徴とする操作ペダルの後退変位抑制機構。
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