JP2002194414A - 溶銑の脱燐方法 - Google Patents

溶銑の脱燐方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、脱燐処理前の溶銑成分やスラグ成分
等が種々変化した場合でも、処理終了時点でのスラグの
組成を所望の範囲に制御でき、且つトピード・カー等の
処理容器を用いた低酸素供給速度、低撹拌動力の条件下
でも、ホタル石を全く使用せずに安定して脱燐可能な溶
銑の脱燐方法を提供することを目的としている。 【解決手段】転炉吹錬前の溶銑を予め別の反応容器に保
持し、スラグ形成物質及び酸化剤を添加して、該溶銑か
ら燐を酸化除去する溶銑の脱燐方法において、前記スラ
グ形成物質及び/又は酸化剤に加え、Al23を10〜
30質量%含有し、且つ一度溶融済みの固体物質を別途
添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑の脱燐方法に
係わり、特に、転炉吹錬前の溶銑から事前に燐を除去す
る所謂「溶銑予備処理」に関する。
【0002】
【従来の技術】今日の製鋼プロセスにおいては、転炉で
の精錬負荷の軽減、トータル・コスト・ミニマムの観点
から、転炉における脱炭精錬に先立って溶銑が含有する
燐、硫黄の除去、すなわち溶銑の予備処理が普及してい
る。このうち、脱燐処理に関しては、使用する反応容器
や処理方法等が多種多様であるが、石灰等のスラグ形成
物質(造滓剤ともいう)と酸素源(酸素ガス、及び/又
は固体状の酸化鉄含有物質)とを溶銑に添加して溶銑中
の燐を除去するのが一般的手法である。
【0003】その際、酸化鉄や酸素ガスで酸化した酸化
燐をスラグ中に濃縮させるには、スラグを溶融(滓化と
いう)することが必要である。しかし、予備処理脱燐
は、溶銑温度が1300〜1400℃程度と、転炉での
溶銑吹錬時に比べて低い温度で行われるため、スラグ形
成物質の滓化が進行し難い傾向がある。そこで、従来
は、滓化促進剤として別途ホタル石(CaF2)を添加
して操業を行うのが常であった。
【0004】しかしながら、ホタル石の添加でスラグ中
にフッ素が存在すると、このスラグを水砕処理する際に
水にフッ素が溶出する。また、通常、スラグは路盤材等
の土木、建築材料に利用されるが、スラグ中のフッ素が
雨等の水に溶出し、溶出した水がその周囲の土壌へ浸入
する。最近、このような溶出フッ素の環境に及ぼす影響
が指摘されるようになった。
【0005】そこで、かかる環境への影響を払拭するた
め、予備処理脱燐で生成したスラグを該予備処理に再利
用したり、ホタル石を使用しないようにする技術が、こ
れまでにいくつか提案、開示されている。それら技術を
大きく分類すると、(1)溶銑予備処理への転炉滓のリ
サイクル、(2)溶銑予備処理でのスラグ組成の調整、
(3)使用フラックスの組成調整の3つに分けられる。
このうち、(2)及び(3)については、スラグ又はフ
ラックス中のAl23量を調整する技術として既に存在
する。これは、フラックスやスラグへのAl23の添加
が、CaO系フラックスの融点を降下させ、ホタル石と
同等の脱燐能を生じさせるという従来の知見に基づくも
のである。例えば、特開平11−269522号公報
は、溶銑予備処理終了時点でのスラグ組成が、T.F
e:30質量%以上、Al23:2〜16質量%、Si
2:12質量%以下となるように、添加するフラック
スの組成及び酸素供給量等の処理条件を制御する技術を
提案している。
【0006】また、特開平11−269524号公報
は、溶銑の予備処理において、底吹きガスの撹拌と酸素
ガスの上吹きとを行いつつ脱燐し、底吹きガスの撹拌動
力密度及び上吹き酸素ガスの流量をある範囲に規定する
と共に、処理終了時でのスラグの塩基度(CaO/Si
2)を2.5以下、T.Feを3質量%以上とし、さ
らに処理中に添加するフラックスとして、転炉の脱炭精
錬で発生した脱炭スラグを1〜20kg/t、あるいは
アルミナ1〜5kg/tを使用するという技術である。
そして、これら2つの公報には、ホタル石をほとんど使
用せずに溶銑の予備処理脱燐が可能であると記載されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載の技術では、脱燐処理前の溶銑成分やスラグ成分
等の条件が種々変化した場合には、処理終了時点でのス
ラグの組成を所望の範囲に制御し難いという問題があっ
た。また、特に特開平11−269524号公報記載の
技術は、転炉型脱燐処理設備を用いた溶銑の脱燐技術で
あり、トピード・カー等の処理容器に脱燐フラックスを
添加して低酸素供給速度、低撹拌動力の条件下で脱燐さ
せる場合には、この技術は必ずしも適用できないという
問題もあった。
【0008】本発明は、かかる事情に鑑み、脱燐処理前
の溶銑成分やスラグ成分等が種々変化した場合でも、処
理終了時点でのスラグの組成を所望の範囲に制御でき、
且つトピード・カー等の処理容器を用いた低酸素供給速
度、低撹拌動力の条件下でも、ホタル石を全く使用せず
に安定して脱燐可能な溶銑の脱燐方法を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、溶銑への適切な添加物質の発見に努めると
共に、その使用条件を鋭意研究し、その成果を本発明に
具現化した。
【0010】すなわち、本発明は、転炉吹錬前の溶銑を
予め別の反応容器に保持し、スラグ形成物質及び酸化剤
を添加して、該溶銑から燐を酸化除去する溶銑の脱燐方
法において、前記スラグ形成物質及び/又は酸化剤の他
に、Al23を10〜30質量%含有し、且つ一度溶融
済みの固体物質を添加することを特徴とする溶銑の脱燐
方法である。
【0011】この場合、前記固体物質の添加量を、前記
スラグ形成物質及び/又は酸化剤のうちの固体状態物質
に対して5〜12質量%とするのが好ましい。また、前
記固体物質を、溶鋼を受容後排出した後の取鍋内に残留
したスラグを冷却、粉砕したものであることが好まし
い。さらに、前記固体物質の塩基度((質量%CaO)
/(質量%SiO2)が2.5〜4.5の範囲であった
り、あるいはT.Fe含有量が12質量%以下であると
一層良い。加えて、実際の操業に際しては、前記固体物
質と固体状態の酸化剤及び/又はスラグ形成物質とを混
合してから、溶銑へ添加したり、あるいは、前記固体物
質の1ヒートでの全使用予定量を、溶銑への酸化剤添加
前に一括して溶銑の表面上に添加するのが良い。
【0012】本発明では、スラグ形成物質や酸化剤に加
えて、別途適切な固体物質を添加するようにしたので、
ホタル石を加えずに、脱燐処理前の溶銑成分やスラグ成
分等が種々変化した場合でも、処理終了時点でのスラグ
の組成を所望の範囲に制御でき、且つトピード・カー等
の処理容器を用いた低酸素供給速度、低撹拌動力の条件
下でも安定して溶銑の脱燐ができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯を
交え、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】酸化剤の添加による溶銑の脱燐反応は、溶
銑中の燐(記号P)が酸化剤中の酸素で酸化され、生成
した燐の酸化物がスラグ形成物質(一般的には石灰:C
aO)と反応し、複合酸化物を形成するものである。こ
れらの反応は、以下の通りである。
【0015】 2[P]+5[O]=(P25) (1) (P25)+3CaO=(3CaO・P25) (2) または (P25)+4CaO=(4CaO・P25) (3) ここで、[ ]は溶銑又は溶鋼中の成分、( )はスラグ
中の成分を表す。
【0016】一般に、溶銑の脱燐において、上記脱燐反
応を促進させるには、 1.生成されるスラグの塩基度を高める 2.生成されるスラグの酸素ポテンシャルを高める という手法を取る。このうち、生成するスラグの塩基度
を高めるには、スラグ形成物質としての石灰(CaO)
を処理中の溶銑に添加するが、該石灰の添加量を増加さ
せると、脱燐処理中に反応に寄与しない石灰(未滓化C
aO)の量が増加し、その結果として、スラグの滓化性
が低下して(1)〜(3)式の反応効率が低下したり、
スラグ量が増大するという問題が生じてくる。従って、
溶銑に添加した固体状態の酸化剤及び生成されるスラグ
の滓化を良くすることが脱燐反応の向上につながるとし
て、従来は滓化促進剤としてのホタル石の添加が必須で
あった。
【0017】しかしながら、ホタル石の使用は、前記し
たように、環境問題に与える影響が懸念されるため、発
明者は、ホタル石の使用に代替できる添加剤を見出すこ
とにした。その結果、CaOに対してAl23を添加す
ることにより、スラグの融点を降下できることに着眼
し、さらに実際の操業においての好ましいAl23の添
加方法について予備調査を行い、検討した。
【0018】予備調査結果の一例を図1に示す。図1
は、種々の固体状酸化剤(例えば、焼結鉱等の酸化鉄)
とAl23含有物質との混合物(以下、フラックスとい
う)の融点に及ぼすAl23含有物質の添加量の影響を
示したものである。ここに、フラックスを一定の昇温速
度で加熱し、該フラックスが溶融し始める温度を融点と
した。また、その混合物に用いたAl23含有物質の主
な組成を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】図1より明らかなように、一度溶融された
(以下、プリメルトという)Al23物質を冷却したも
の(以下、固体物質Aという)を10質量%まで固体状
の酸化剤に混合した時にのみ、前記フラックスの融点を
降下する効果があった。一方、他のAl23含有物質
(記号、固体物質B及びC)については、フラックスの
融点の降下は極くわずかであるか、あるいはほとんど見
られなかった。なお、図1には、同じ固体状の酸化剤に
ホタル石を添加していった場合のフラックスの融点も同
時に示す。さらに、前記固体物質Aの添加量の混合割合
が固体酸化剤に対し5〜10質量%の場合に、ホタル石
を5質量%添加した場合のフラックスの融点降下とほぼ
同様であることを見出した。そこで、さらに、そのプリ
メルトされた固体物質Aを固体状の酸化剤にさらに増量
して加えていったところ、図2に示すように、12質量
%以下の範囲では、添加量の増加と共にフラックスの融
点が低下したのに対し、12質量%以上添加すると、逆
に融点の上昇が見られた。これは、12質量%以上で
は、処理中に生成するスラグの組成が変化して、より高
融点化合物が生成するため、融点が上昇したものと考え
られる。以上の検討から、固体状酸化剤に添加するプリ
メルトされた固体物質Aの配合量は、酸化剤に対して5
〜12質量%の範囲が望ましいと言える。これは、5質
量%未満では、フラックスの融点降下の影響が低くて実
質的に添加なし時とフラックスの融点が変わらないこと
を意味している。また、図2より、12質量%超えで
は、フラックスの融点が上昇し、生成するスラグの滓化
が悪化することも明らかである。
【0021】そこで、発明者は、一度溶融させた後に再
凝固させた前記固体物質Aを上記範囲で溶銑に添加すれ
ば、従来のAl23添加技術に比べ、フラックスが滓化
し易いので、溶銑の脱燐がより安定して行えると考え
た。そして、そのプリメルトした固体物質Aの適切な組
成を種々検討した。その結果、(T.Fe):12質量
%以下、(CaO)/(SiO2):2.5〜4.5、
(Al23):10〜30質量%が良いことを見出し、
本発明を完成させた。この組成の物質は、CaO−Si
2−Fe23−Al23系状態図から判断しても、比
較的低融点であり、軟化及び溶融がし易いことが明らか
である。特に、Al23に関しては、それが30質量%
を超えると、フラックスの粘性が増加し、また該フラッ
クスの燐酸保持能力(フォスフェイトキャパシティー)
も低下するので、処理中に生成されるスラグの脱燐能も
低下する可能性がある。従って、本発明では、従来のA
23添加技術より、少ないAl23量で、より有利に
溶銑の脱燐を行うものである。
【0022】また、プリメルトした固体物質の塩基度が
4.5を超えると、該物質中の未滓化の石灰量が増大
し、脱燐反応効率が低下する。また、その塩基度を2.
5未満にすると、この物質は脱燐反応に寄与しないばか
りでなく、脱燐反応そのものが悪化する恐れがあるの
で、塩基度は、上記の範囲にすることが望ましい。
【0023】さらに、プリメルトした固体物質の粒度に
関しては、本発明では特に限定しない。しかし、溶融を
速く進行させるには、できるだけ細かく粉砕した粉体の
利用が望ましい。なお、この固体物質は、上記組成に配
合した各種原料の混合物を、加熱炉を用いて所定温度で
焼成することで容易に製造できる。しかしながら、製鉄
所には、似たような組成の溶融凝固物が存在するので、
それを利用しても良い。ちなみに、製鋼工程の転炉出鋼
〜連続鋳造間で使用した取鍋内に残存するスラグを冷
却、粉砕したものを試用したところ、良好な結果が得ら
れた。この取鍋スラグを本発明に係るプリメルトした固
体物質として利用することは、製鋼スラグの有効利用に
もなる。
【0024】加えて、本発明に係る溶銑の脱燐方法を実
際に行う場合には、プリメルトした固体物質を溶銑へキ
ャリア・ガスを用いて吹き込む(インジェクションとい
う)か、酸化剤を添加する前に予め溶銑の表面上に1ヒ
ート分で利用する全量を一括して添加するかのいずれを
用いても良い。前者の方法は、溶銑からの熱を受けるた
めに、フラックスの溶融、滓化に関しては有利である。
しかしながら、一括上添加する後者の方法にも、以下に
述べるようなスラグ・フォーミングの抑止効果が期待で
き、採用する意味は十分にある。
【0025】溶銑に酸化剤を添加すると、先ず最初に脱
珪反応が進行する。その際、溶銑表面上にあるスラグ
(トップ・スラグという)は、生成したSiO2により
スラグの塩基度が低下し、粘性も低下する。その結果、
スラグのフォーミングが非常に起り易すくなる。ところ
が、かかる状態の時に、プリメルトした固体物質を一括
上添加すると、該トップ・スラグの粘性が上昇し、フォ
ーミングの抑制が可能となる。また、該固体物質中の石
灰は、ほとんどが滓化されており、脱燐における石灰の
反応効率を向上させる効果も期待できる。
【0026】
【実施例】溶銑予備処理容器として図3に示す混銑車を
採用し、該混銑車内に保持した溶銑に脱燐用フラックス
を窒素ガスと酸素ガスをキャリア・ガスとして吹き込む
溶銑の脱燐を行った。実施条件を表2に一括して示す。
脱燐用フラックスには、酸化剤としての焼結鉱粉及び石
灰粉と表3に示す固体物質(以下、「添加剤」と称す
る)とを混合して用いた。本発明例1〜6は、添加剤に
組成が(T.Fe)<12質量%、(CaO)/(Si
2):3.0〜4.0、(Al23):15〜30質
量%の条件を満たすプリメルト(具体的には、鋼の連続
鋳造の際に、鋳造後の取鍋内に残留した溶融スラグを冷
却して粉砕)したものを用いた。また、そのうち、発明
例1〜4では、フラックス中の添加剤配合率を種々変化
(5、10、20、3質量%)させて混合し、溶銑中に
インジェクションした場合である。発明例5では、
(4)式で計算される酸素ガス比率を他の発明例よりも
高くしてインジェクションした。さらに、発明例6で
は、インジェクションするフラックスを焼結鉱及び石灰
粉のみとし、全焼結鉱量の10質量%分の添加剤を酸化
剤の吹き込み前に一括して溶銑上に上添加を行った。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】 酸素ガス比率(%)=(酸素ガス吹込量(Nm3/t)×100)/(酸素ガス 吹込量(Nm3/t)+固体酸化剤中酸素を酸素ガス量に演算した量(Nm3/t ) …(4) これに対し、従来通りにホタル石を焼結鉱にそれぞれ
3、5質量%添加して吹き込む比較例1及び2も行っ
た。また、プリメルトされていない粉状物質(比較例
3)、プリメルトされた粉状物質ではあるが、Al23
濃度が低いもの(比較例4)、及び塩基度の高いもの
(比較例5)、比較例3と同一条件で酸素ガス比率の高
いもの(比較例6)でも吹き込みを行った。なお、これ
ら比較例では、上記条件以外は全て本発明例と同一の条
件で脱燐処理を実施している。
【0030】実施結果を表4に一括して示す。プリメル
トされた固体物質を焼結鉱に添加した発明例1〜5で
は、ホタル石を焼結鉱に添加した比較例1、2とほぼ同
等の脱燐率が得られた。また、プリメルトされた固体物
質を酸化剤の吹き込み前に一括して溶銑上に添加した発
明例6においても、同様に高い脱燐率が得られた。これ
に対し、Al23を特定量含有していてもプリメルトさ
れていないAl23含有物質を用いた比較例3及び6、
Al23濃度が適切な範囲から外れた比較例4、塩基度
がより高い比較例5は、いずれも本発明例に比べ脱燐率
は低く、スラグの滓化程度も良くなかった。
【0031】
【表4】
【0032】発明例1〜5のうち、プリメルトされた固
体物質の添加割合が5〜12質量%である発明例1、2
及び5において、最も脱燐率は高かった。これは、プリ
メルトされた固体物質を適切な濃度範囲(5〜12%)
に配合すると、同じプリメルトされたAl23含有物質
を使用しても、より高い脱燐率で脱燐できることを示唆
するものである。さらに、発明例1、2及び5では、酸
素ガス比率の大小に関わらず、ほぼ同等に高い脱燐率を
有している。よって、酸化剤中の酸素ガスの使用量の大
小に関わらず、プリメルトされた固体物質を適切な範囲
で添加することにより、低燐域までの高い脱燐率を達成
することが可能といえる。
【0033】かくして、溶銑中にスラグ形成物質及び酸
化剤を添加する溶銑の予備脱燐方法において、前記スラ
グ形成物質及び/又は酸化剤に加えて、(T.Fe)、
(Al23)、(CaO)/(SiO2)を特定量含有
させると共に、プリメルトされた固体物質を添加する本
発明に係る溶銑の脱燐方法は、単なるAl23添加技術
に比べて優れていることが確認された。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、ホタ
ル石を全く使用せずに、高い脱燐率で低燐域まで溶銑の
脱燐が行えるようになる。その結果、本発明は、製鋼工
程で発生したスラグの有効利用にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱燐フラックスの融点に及ぼす脱燐フラックス
中へのAl23含有物質の添加量の影響を示す図であ
る。
【図2】上記脱燐フラックスの融点に及ぼす脱燐フラッ
クス中のAl23含有物質の添加量の影響を示す図1
を、Al23含有物質としてプリメルトされたものを用
い、添加量も増加させた場合の図である。
【図3】混銑車で溶銑予備処理を行う状況を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 混銑車(トピード・カー) 2 溶銑 3 排ガスのダクト 4 フラックスの吹き込み用ランス 5 酸素ガスの吹き込み用ランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 秀次 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 上野 智之 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 鍋島 祐樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4K014 AA03 AB02 AB03 AB04 AC14 AC16 AD01 AD27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉吹錬前の溶銑を予め別の反応容器に
    保持し、スラグ形成物質及び酸化剤を添加して、該溶銑
    から燐を酸化除去する溶銑の脱燐方法において、 前記スラグ形成物質及び/又は酸化剤の他に、Al23
    を10〜30質量%含有し、且つ一度溶融済みの固体物
    質を添加することを特徴とする溶銑の脱燐方法。
  2. 【請求項2】 前記固体物質の添加量を、前記スラグ形
    成物質及び/又は酸化剤のうちの固体状態物質に対して
    5〜12質量%とすることを特徴とする請求項1記載の
    溶銑の脱燐方法。
  3. 【請求項3】 前記固体物質が、溶鋼を受容後排出した
    後の取鍋内に残留したスラグを冷却、粉砕したものであ
    ることを特徴とする請求項1及び2記載の溶銑の脱燐方
    法。
  4. 【請求項4】 前記固体物質の塩基度((質量%Ca
    O)/(質量%SiO 2)が2.5〜4.5の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶
    銑の脱燐方法。
  5. 【請求項5】 前記固体物質のT.Fe含有量が12質
    量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の溶銑の脱燐方法。
  6. 【請求項6】 前記固体物質と固体状態の酸化剤及び/
    又はスラグ形成物質とを混合してから、溶銑へ添加する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶銑
    の脱燐方法。
  7. 【請求項7】 前記固体物質の1ヒートでの全使用予定
    量を、溶銑への酸化剤添加前に一括して溶銑の表面上に
    添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
    載の溶銑の脱燐方法。
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