JP2004307943A - 脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶銑の脱珪処理したスラグと転炉などの脱炭精錬を行った際に発生するスラグを活用して溶銑の脱燐を効率良く行なう脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法を提供する。
【解決手段】高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行う方法において、脱珪処理後に排滓を行った後に脱燐処理を行うに際し、該脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭スラグと生石灰を粉砕混合したフラックスを用いることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行う方法において、脱珪処理後に排滓を行った後に脱燐処理を行うに際し、該脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭スラグと生石灰を粉砕混合したフラックスを用いることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑の脱珪処理したスラグと転炉などの脱炭精錬を行った際に発生するスラグを活用して溶銑の脱燐を効率良く行なう脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炉から出銑された溶銑は、溶銑鍋やトピードカーなどの搬送手段により、製鋼工程に搬送されるが、通常ではその搬送工程の途中に脱珪処理、脱燐処理などの溶銑予備処理が施されている。この溶銑予備処理には、生石灰や酸化鉄などを添加したり、インジェクション(吹き込み)により溶銑中の珪素、燐、硫黄などを除去してから後工程の転炉、上底吹き転炉などの精錬炉に装入して脱炭精錬を行っている。
【0003】
この溶銑の予備処理の脱燐処理では、例えば特開昭62−7808号公報(特許文献1)に記載されるように、脱珪処理した後の残留スラグに生石灰を添加してCaO/SiO2 を2以上にして酸素を供給しながら溶銑の脱燐を行なう方法が開示されている。また、特開平6−287615号公報(特許文献2)および特開平4−333506号公報(特許文献3)に記載されるように、転炉などの脱炭精錬時に発生した脱炭スラグを冷却、破砕したものを脱珪処理した後の溶銑に吹き込んで脱燐処理することが行われている。
【0004】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開昭62−7808号公報)
(2)特許文献2(特開平6−287615号公報)
(3)特許文献3(特開平4−333506号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1の方法では、脱珪したスラグの高塩基度であることに起因して、添加した生石灰を溶解するのに時間を要し、脱燐反応を促進するのに限界がある。また、特許文献2および特許文献3に記載されている方法では、脱珪処理した後の溶銑に、30mm以下の塊を添加するか、あるいは3mm以下のものをインジェクションすることにより溶銑を脱燐するため、脱炭スラグのリサイクルは可能であるものの脱珪スラグのリサイクル(有効活用)が図れず、スラグの処理コストの増加等を招く。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、低塩基度の脱珪スラグと高融点、高塩基度の脱炭滓を混合し、この混合物に生石灰を混合することにより、低融点の脱燐能の高いフラックスにすることができる。そして、反応性に優れ、かつ溶融特性の良好な脱燐フラックスとして利用することにより、高い脱燐率、脱炭滓中の有効CaO分を十分に脱燐に活用することができる脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法を提供するものである。その発明の要旨とするところは、
(1)高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行う方法において、脱珪処理後に排滓を行った後に脱燐処理を行うに際し、脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭スラグと生石灰を粉砕混合したフラックスを用いることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
【0007】
(2)前記(1)に記載された溶銑の脱燐処理において、排滓された脱珪滓と脱炭滓および生石灰によるフラックスの配合組成として、塩基度(CaO/SiO2 )の範囲を1.5〜3.0とすることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
(3)前記(1)または(2)に記載された溶銑の脱燐処理において、該フラックスの粒径を0.1〜5mmとすることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
(4)前記(1)〜(3)に記載の脱燐フラックスを用いて脱燐処理を行うに際し、該脱燐フラックスを酸素供給と同時に処理末期まで連続的に添加することを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る一連の溶銑の脱燐処理工程を示す図である。この図に示すように、処理工程としては、高炉より出銑された溶銑を脱硫後、脱珪処理(排滓)、脱燐処理(排滓)を行い、その後脱炭処理(排滓)の順序にて行なう。このように、高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行うに当たり、先ず、脱珪処理を行い、その脱珪処理によって生ずる脱珪スラグの排滓を行った後、脱燐処理工程に送られる。この脱燐処理を行うに際し、脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭処理によって生じた脱炭スラグと生石灰を混合し、一定粒度に粉砕し、かつ塩基度調整を行ったフラックスを用いるものである。
【0009】
脱珪処理および脱炭処理後の各スラグは排滓冷却後、0.1〜5mmに粉砕し、同様の粒径のCaOと塩基度(CaO/SiO2 )が1.5〜3.0となるよう調整配合し、脱燐フラックスとして作製する。このフラックス粒径を0.1〜5mmとした理由は、0.1mm未満の場合は、フラックスの微細化が過剰となり、飛散等によるフラックス歩留(脱燐効率)の悪化を招く結果となるため好ましくない。また、5mmを超える場合は、初期滓化が十分でなく、連続添加による滓化改善効果が消失してしまうことから、その範囲とした。
【0010】
また、上記粒径の脱珪処理および脱炭処理後のスラグと同様の粒径を持つCaOを混合して、塩基度(CaO/SiO2 )を1.5〜3.0にする理由は、塩基度(CaO/SiO2 )が1.5未満では、フラックス自体の脱燐能力に不足するのため、所定の脱燐能力の確保が困難である。また、3.0を超えると脱燐能力の確保は可能であるが、しかし、処理後スラグのフリーCaO発生等による資源化コストが増大する。さらには、過剰なCaOの使用に伴う、CaO原単位の増加が問題となることから、その範囲を1.5〜3.0とした。
【0011】
本発明者等は、脱珪スラグ、脱炭スラグおよびCaO粉を混合した脱燐フラックスとして脱燐処理用の酸素と同時に使用するもので、処理開始から処理終了まで、連続的に溶銑に供給するものであり、例えばトピードカーや鍋での処理であれば、浸漬ランスからの供給、あるいは吹き込みノズルからのインジュクションを行なうことができる。このように連続的なインジュクションによるリサイクルスラグを混合フラックス添加での脱燐処理により、脱燐処理時に新らたに必要なCaO使用原単位の大幅な削減が可能となり、さらには、予備処理から脱炭処理時までの系外排出スラグは脱燐スラグおよび脱硫スラグのみとなり、トータルとしての系外排出スラグの大幅な削減が可能となる。
【0012】
このような処理によって、SiO2 や微量のP2 O5 を含むフラックスであっても、微粒化し、かつ酸素と同時に連続的に添加することによって十分な脱燐能力を有することが出来る。しかも、上記のようにフラックスを連続的に添加することによって初期のスラグ量を少量化することが可能となり、その滓化性がキャリーオーバースラグの存在する場合や通常のフラックスの初期一括添加などに比べて著しく向上することを知見したものである。一方、従来の場合には、事前配合組成を上記した組成に配合し脱燐処理を行っても、初期のスラグ量自体が多量に存在する場合に、スラグ浴自体の攪拌が阻害されたり、伝熱が不十分であることに起因してスラグが滓化するまでの多大な時間がかかり、所定の〔P〕濃度を得ようとすると、処理時間の延長を余儀なくされていた。
【0013】
しかしながら、本発明においては、脱珪処理後のスラグ除去(排滓)を行ったうえで、このフラックスを酸素と同時に連続的に供給することによって、処理の開始時点からの滓化性が大幅に改善され、その結果、スラグの本来持ち得る脱燐能を十分に発揮することができ、所定の〔P〕濃度への到達が可能となった。さらに、このフラックスは、一旦、脱珪処理、脱炭処理に供した再利用スラグであるため、脱燐石灰原単位の大幅な削減を可能となし得たものである。また、脱珪滓、脱炭滓中のトータルFe(FeO)を酸素源として活用することも可能であるため、脱燐時の酸素原単位の削減も可能となる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
高炉より出銑された溶銑250トンを脱硫した後トーピードカーに受銑し、この溶銑に、図1に示すように、脱珪剤であるFeOを酸素でインジェクション添加し脱珪処理を行うと共にCaOを添加する。この脱珪処理によって生じた排滓は塩基度(CaO/SiO2 )が1.0〜1.5と低い。一方、脱珪処理した後の溶銑を引続き脱燐剤であるAl2 O3 +スケール材と、上記脱珪処理による塩基度の低い排滓と脱炭処理によって生成した塩基度(CaO/SiO2 )3.0〜3.5の高い排滓とCaOを混合配合する。このときの混合粉体の粒径を0.1〜5mmの範囲に粉砕調整すると共に、塩基度(CaO/SiO2 )を1.5〜3.0に混合調整する。これら調整したフラックスを酸素供給と同時に処理末期まで連続的に添加インジェクションして脱燐処理を行う。この場合に生じた排滓は系外に排出する。また、脱燐処理された溶銑は転炉に移され転炉吹錬により脱炭処理が行われて鋼とされる。この転炉吹錬の結果生成した転炉排滓は、上記したように脱燐処理のためのCaO配合による混合粉体として使用される。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
表1に示すように、脱燐処理時の混合フラックス配合組成(CaO/SiO2 )、その時の混合フラックス粒径、処理後の燐濃度、処理後の残留フリーCaO指数およびスラグ発生量指数による総合評価をした。No.1〜6は本発明例であり、No.7〜10は比較例であり、No.11は従来例として示す。比較例No.7は混合フラックス配合組成の塩基度が低いために、フラックス自体の脱燐能力が不足し所定の燐濃度が得られない。比較例No.8は逆に混合フラックス配合組成の塩基度が高いために、処理後の残留フリーCaO指数が高く有効CaOを十分に活用出来ないことがわかる。比較例No.9は混合フラックス粒径が小さいために、フラックスの微細化が過剰となり飛散等によるフラックスの歩留りが悪い。
【0017】
比較例No.10は逆に混合フラックス粒径が大きいために、処理後の燐濃度が高く、かつ処理後の残留フリーCaO指数が高く有効CaOを十分に活用出来ない。また、従来例11は塊状CaOを初期一括投入使用した場合の転炉型溶銑予備処理方法で、勿論、混合フラックス配合調整および混合フラックス粒径の調整を行われない場合であり、そのために処理後の燐濃度が高く、かつ処理後の残留フリーCaO指数およびスラグ発生量指数が高いことが分かる。これに対し、本発明例であるNo.1〜6は、いずれも処理後の燐濃度は所定の濃度に下げられ、かつ残留フリーCaO指数も低く、スラグ発生量指数も低いことが分かる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による低塩基度の脱珪スラグと高融点、高塩基度の脱炭滓を混合し、この混合物に生石灰を混合することによる、低融点の脱燐能の高いフラックスを得ることにより、反応性に優れ、かつ溶融特性の良好な脱燐フラックスとして高い脱燐率、脱炭滓中の有効CaO分を十分に脱燐処理に活用することができる極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一連の溶銑の脱燐処理工程を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑の脱珪処理したスラグと転炉などの脱炭精錬を行った際に発生するスラグを活用して溶銑の脱燐を効率良く行なう脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炉から出銑された溶銑は、溶銑鍋やトピードカーなどの搬送手段により、製鋼工程に搬送されるが、通常ではその搬送工程の途中に脱珪処理、脱燐処理などの溶銑予備処理が施されている。この溶銑予備処理には、生石灰や酸化鉄などを添加したり、インジェクション(吹き込み)により溶銑中の珪素、燐、硫黄などを除去してから後工程の転炉、上底吹き転炉などの精錬炉に装入して脱炭精錬を行っている。
【0003】
この溶銑の予備処理の脱燐処理では、例えば特開昭62−7808号公報(特許文献1)に記載されるように、脱珪処理した後の残留スラグに生石灰を添加してCaO/SiO2 を2以上にして酸素を供給しながら溶銑の脱燐を行なう方法が開示されている。また、特開平6−287615号公報(特許文献2)および特開平4−333506号公報(特許文献3)に記載されるように、転炉などの脱炭精錬時に発生した脱炭スラグを冷却、破砕したものを脱珪処理した後の溶銑に吹き込んで脱燐処理することが行われている。
【0004】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開昭62−7808号公報)
(2)特許文献2(特開平6−287615号公報)
(3)特許文献3(特開平4−333506号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1の方法では、脱珪したスラグの高塩基度であることに起因して、添加した生石灰を溶解するのに時間を要し、脱燐反応を促進するのに限界がある。また、特許文献2および特許文献3に記載されている方法では、脱珪処理した後の溶銑に、30mm以下の塊を添加するか、あるいは3mm以下のものをインジェクションすることにより溶銑を脱燐するため、脱炭スラグのリサイクルは可能であるものの脱珪スラグのリサイクル(有効活用)が図れず、スラグの処理コストの増加等を招く。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、低塩基度の脱珪スラグと高融点、高塩基度の脱炭滓を混合し、この混合物に生石灰を混合することにより、低融点の脱燐能の高いフラックスにすることができる。そして、反応性に優れ、かつ溶融特性の良好な脱燐フラックスとして利用することにより、高い脱燐率、脱炭滓中の有効CaO分を十分に脱燐に活用することができる脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法を提供するものである。その発明の要旨とするところは、
(1)高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行う方法において、脱珪処理後に排滓を行った後に脱燐処理を行うに際し、脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭スラグと生石灰を粉砕混合したフラックスを用いることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
【0007】
(2)前記(1)に記載された溶銑の脱燐処理において、排滓された脱珪滓と脱炭滓および生石灰によるフラックスの配合組成として、塩基度(CaO/SiO2 )の範囲を1.5〜3.0とすることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
(3)前記(1)または(2)に記載された溶銑の脱燐処理において、該フラックスの粒径を0.1〜5mmとすることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
(4)前記(1)〜(3)に記載の脱燐フラックスを用いて脱燐処理を行うに際し、該脱燐フラックスを酸素供給と同時に処理末期まで連続的に添加することを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る一連の溶銑の脱燐処理工程を示す図である。この図に示すように、処理工程としては、高炉より出銑された溶銑を脱硫後、脱珪処理(排滓)、脱燐処理(排滓)を行い、その後脱炭処理(排滓)の順序にて行なう。このように、高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行うに当たり、先ず、脱珪処理を行い、その脱珪処理によって生ずる脱珪スラグの排滓を行った後、脱燐処理工程に送られる。この脱燐処理を行うに際し、脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭処理によって生じた脱炭スラグと生石灰を混合し、一定粒度に粉砕し、かつ塩基度調整を行ったフラックスを用いるものである。
【0009】
脱珪処理および脱炭処理後の各スラグは排滓冷却後、0.1〜5mmに粉砕し、同様の粒径のCaOと塩基度(CaO/SiO2 )が1.5〜3.0となるよう調整配合し、脱燐フラックスとして作製する。このフラックス粒径を0.1〜5mmとした理由は、0.1mm未満の場合は、フラックスの微細化が過剰となり、飛散等によるフラックス歩留(脱燐効率)の悪化を招く結果となるため好ましくない。また、5mmを超える場合は、初期滓化が十分でなく、連続添加による滓化改善効果が消失してしまうことから、その範囲とした。
【0010】
また、上記粒径の脱珪処理および脱炭処理後のスラグと同様の粒径を持つCaOを混合して、塩基度(CaO/SiO2 )を1.5〜3.0にする理由は、塩基度(CaO/SiO2 )が1.5未満では、フラックス自体の脱燐能力に不足するのため、所定の脱燐能力の確保が困難である。また、3.0を超えると脱燐能力の確保は可能であるが、しかし、処理後スラグのフリーCaO発生等による資源化コストが増大する。さらには、過剰なCaOの使用に伴う、CaO原単位の増加が問題となることから、その範囲を1.5〜3.0とした。
【0011】
本発明者等は、脱珪スラグ、脱炭スラグおよびCaO粉を混合した脱燐フラックスとして脱燐処理用の酸素と同時に使用するもので、処理開始から処理終了まで、連続的に溶銑に供給するものであり、例えばトピードカーや鍋での処理であれば、浸漬ランスからの供給、あるいは吹き込みノズルからのインジュクションを行なうことができる。このように連続的なインジュクションによるリサイクルスラグを混合フラックス添加での脱燐処理により、脱燐処理時に新らたに必要なCaO使用原単位の大幅な削減が可能となり、さらには、予備処理から脱炭処理時までの系外排出スラグは脱燐スラグおよび脱硫スラグのみとなり、トータルとしての系外排出スラグの大幅な削減が可能となる。
【0012】
このような処理によって、SiO2 や微量のP2 O5 を含むフラックスであっても、微粒化し、かつ酸素と同時に連続的に添加することによって十分な脱燐能力を有することが出来る。しかも、上記のようにフラックスを連続的に添加することによって初期のスラグ量を少量化することが可能となり、その滓化性がキャリーオーバースラグの存在する場合や通常のフラックスの初期一括添加などに比べて著しく向上することを知見したものである。一方、従来の場合には、事前配合組成を上記した組成に配合し脱燐処理を行っても、初期のスラグ量自体が多量に存在する場合に、スラグ浴自体の攪拌が阻害されたり、伝熱が不十分であることに起因してスラグが滓化するまでの多大な時間がかかり、所定の〔P〕濃度を得ようとすると、処理時間の延長を余儀なくされていた。
【0013】
しかしながら、本発明においては、脱珪処理後のスラグ除去(排滓)を行ったうえで、このフラックスを酸素と同時に連続的に供給することによって、処理の開始時点からの滓化性が大幅に改善され、その結果、スラグの本来持ち得る脱燐能を十分に発揮することができ、所定の〔P〕濃度への到達が可能となった。さらに、このフラックスは、一旦、脱珪処理、脱炭処理に供した再利用スラグであるため、脱燐石灰原単位の大幅な削減を可能となし得たものである。また、脱珪滓、脱炭滓中のトータルFe(FeO)を酸素源として活用することも可能であるため、脱燐時の酸素原単位の削減も可能となる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
高炉より出銑された溶銑250トンを脱硫した後トーピードカーに受銑し、この溶銑に、図1に示すように、脱珪剤であるFeOを酸素でインジェクション添加し脱珪処理を行うと共にCaOを添加する。この脱珪処理によって生じた排滓は塩基度(CaO/SiO2 )が1.0〜1.5と低い。一方、脱珪処理した後の溶銑を引続き脱燐剤であるAl2 O3 +スケール材と、上記脱珪処理による塩基度の低い排滓と脱炭処理によって生成した塩基度(CaO/SiO2 )3.0〜3.5の高い排滓とCaOを混合配合する。このときの混合粉体の粒径を0.1〜5mmの範囲に粉砕調整すると共に、塩基度(CaO/SiO2 )を1.5〜3.0に混合調整する。これら調整したフラックスを酸素供給と同時に処理末期まで連続的に添加インジェクションして脱燐処理を行う。この場合に生じた排滓は系外に排出する。また、脱燐処理された溶銑は転炉に移され転炉吹錬により脱炭処理が行われて鋼とされる。この転炉吹錬の結果生成した転炉排滓は、上記したように脱燐処理のためのCaO配合による混合粉体として使用される。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
表1に示すように、脱燐処理時の混合フラックス配合組成(CaO/SiO2 )、その時の混合フラックス粒径、処理後の燐濃度、処理後の残留フリーCaO指数およびスラグ発生量指数による総合評価をした。No.1〜6は本発明例であり、No.7〜10は比較例であり、No.11は従来例として示す。比較例No.7は混合フラックス配合組成の塩基度が低いために、フラックス自体の脱燐能力が不足し所定の燐濃度が得られない。比較例No.8は逆に混合フラックス配合組成の塩基度が高いために、処理後の残留フリーCaO指数が高く有効CaOを十分に活用出来ないことがわかる。比較例No.9は混合フラックス粒径が小さいために、フラックスの微細化が過剰となり飛散等によるフラックスの歩留りが悪い。
【0017】
比較例No.10は逆に混合フラックス粒径が大きいために、処理後の燐濃度が高く、かつ処理後の残留フリーCaO指数が高く有効CaOを十分に活用出来ない。また、従来例11は塊状CaOを初期一括投入使用した場合の転炉型溶銑予備処理方法で、勿論、混合フラックス配合調整および混合フラックス粒径の調整を行われない場合であり、そのために処理後の燐濃度が高く、かつ処理後の残留フリーCaO指数およびスラグ発生量指数が高いことが分かる。これに対し、本発明例であるNo.1〜6は、いずれも処理後の燐濃度は所定の濃度に下げられ、かつ残留フリーCaO指数も低く、スラグ発生量指数も低いことが分かる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による低塩基度の脱珪スラグと高融点、高塩基度の脱炭滓を混合し、この混合物に生石灰を混合することによる、低融点の脱燐能の高いフラックスを得ることにより、反応性に優れ、かつ溶融特性の良好な脱燐フラックスとして高い脱燐率、脱炭滓中の有効CaO分を十分に脱燐処理に活用することができる極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一連の溶銑の脱燐処理工程を示す図である。
Claims (4)
- 高炉より出銑された溶銑を脱硫、脱珪、脱燐および脱炭処理をそれぞれ別個に行う方法において、脱珪処理後に排滓を行った後に脱燐処理を行うに際し、脱燐フラックスとして、脱珪スラグおよび脱炭スラグと生石灰を粉砕混合したフラックスを用いることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
- 請求項1に記載された溶銑の脱燐処理において、排滓された脱珪滓と脱炭滓および生石灰によるフラックスの配合組成として、塩基度(CaO/SiO2 )の範囲を1.5〜3.0とすることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
- 請求項1または2に記載された溶銑の脱燐処理において、該フラックスの粒径を0.1〜5mmとすることを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
- 請求項1〜3に記載の脱燐フラックスを用いて脱燐処理を行うに際し、該脱燐フラックスを酸素供給と同時に処理末期まで連続的に添加することを特徴とする脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法。
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JP2003103564A JP2004307943A (ja) | 2003-04-08 | 2003-04-08 | 脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003103564A JP2004307943A (ja) | 2003-04-08 | 2003-04-08 | 脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法 |
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JP2004307943A true JP2004307943A (ja) | 2004-11-04 |
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JP2003103564A Withdrawn JP2004307943A (ja) | 2003-04-08 | 2003-04-08 | 脱珪滓および脱炭滓を利用した溶銑の脱燐処理方法 |
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JP (1) | JP2004307943A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007092158A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-12 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱燐処理方法 |
JP2011099148A (ja) * | 2009-11-06 | 2011-05-19 | Nippon Steel Corp | 安定なスラグを副生する製鋼方法 |
KR101239648B1 (ko) | 2010-12-28 | 2013-03-11 | 주식회사 포스코 | 크롬함유 용선의 탈린 방법 및 이를 이용한 크롬함유 용강의 제조 방법 |
KR20150018878A (ko) * | 2012-06-18 | 2015-02-24 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 정련 방법 및 용강의 제조 방법 |
-
2003
- 2003-04-08 JP JP2003103564A patent/JP2004307943A/ja not_active Withdrawn
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