JPH0660341B2 - 溶銑の脱りん脱硫方法 - Google Patents

溶銑の脱りん脱硫方法

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JPH0660341B2
JPH0660341B2 JP2014489A JP2014489A JPH0660341B2 JP H0660341 B2 JPH0660341 B2 JP H0660341B2 JP 2014489 A JP2014489 A JP 2014489A JP 2014489 A JP2014489 A JP 2014489A JP H0660341 B2 JPH0660341 B2 JP H0660341B2
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進 務川
功 小林
一幸 伊賀
教之 占部
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Description

〔産業上の利用分野〕
本発明は、溶銑の予備処理に際し、副原料の低減、予備
処理効率の向上を図る脱りん脱硫方法に関する。 〔従来の技術〕 従来溶銑の予備処理に際し、Siを0.2〜0.5%程度含有す
る未脱珪溶銑を石灰系フラックスにて脱りんするには、
塩基度CaO/SiO2が2程度となるために、スラグに含まれ
る酸化鉄中の全鉄分(以下これをT−Feと略称する)
を10%程度に高める必要があった。そのために低硫溶銑
を得るためには、事前に脱硫排滓処理をおこなうか、ま
たは脱りん後に新たに脱硫剤を添加して脱硫をおこなう
所謂後吹き脱硫がおこなわれていた。 〔発明が解決しようとする課題〕 ところで事前に脱硫をおこなうプロセスでは、新たに脱
硫設備、排滓設備を設置する必要があるのみならず、移
し替え作業の増加や排滓による熱損失が大きく、エネル
ギー的に不利になるという問題があった。 また脱りん時にT−Feを15%以下として、排滓をせず
に新たに脱硫剤を添加して脱硫をおこない、工程を省略
する方法も知られているが、この方法では脱硫剤が多量
に必要とすることから、経済的に得策ではないと考えら
れる。 更に脱硫を効果的に行なうために、溶銑に事前脱珪処理
して、脱りん中のスラグ塩基度CaO/SiO2を4〜6と高め
ることにより脱りん中に同時脱硫を行なう方法もある
が、この方法では脱珪設備、排滓設備を必要とし、また
処理時間が増して放熱量が増え、かつ脱珪の際に添加す
る酸化鉄を主成分とする脱珪剤による熱損失があり、エ
ルネギー的にも不利になるという問題があった。 これらに関連する技術として、特開昭58−16007
号公報には、脱りん中にスラグの塩基度CaO/SiO
を2以上とし、T−Feを15%以下に保つことによ
り、引き続き行う脱硫処理の効率をあげる旨の記載があ
り、具体的にはT−Feの下限値として8.8%までの記
述がある。これは前述したように塩基度との関係でT−
Feを10%程度に高めて処理する技術といえる。しか
し、T−Feを15%以下とする手段は開示されていな
い。 また、特開昭62−109911号公報には、脱珪・脱
りん処理時の溶銑攪拌力として、脱珪反応促進期には0.
65〜1.1KW/tにし、その後、即ち脱りん期には0.3〜
0.65KW/tに保つことにより、脱珪反応促進期の脱珪
速度を高め、処理時間を短縮する旨の記載がある。しか
し、この攪拌力は、脱珪処理およびそれぞれに続く脱り
ん処理のためのものであり、低T−Feで同時脱珪脱り
んを実行するための攪拌力ではない。 上記した溶銑の予備処理において、脱りん処理に際して
は、滓化した脱りんフラックスとりんの酸化に消費され
るに充分な量のT−Feが存在するならば、T−Feの
量は耐火物の損傷の抑制、あるいはスラグフォーミング
による鉄分ロスの解消の観点からできるだけ少なくする
ことが望まれていた。 本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、副原料の低
減予備処理効率の向上を図る脱りん脱硫方法を提供す
る。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、未脱珪処理溶銑にCaOを主成分とする脱り
んフラックスと酸素源とを添加して脱珪・脱りん処理
し、排滓することなく脱硫処理する溶銑処理に際して、
所定量の酸素ガスを溶銑に吹付けながら、下記(1)式
にて定義される底吹き攪拌力:1.2〜10KW/tを
溶銑に与えて脱珪・脱りん処理を行い、酸素源の供給を
停止して処理後のスラグに含まれる酸化鉄濃度を2.5〜
5%とし、引き続き脱硫剤を溶銑中に吹込んで脱硫処理
を行うことを特徴とする溶銑の脱りん脱硫方法である。 ここにQg;吹き込みガス量(Nl/min)、 T;溶銑温度(゜K)、 Wm;溶銑重量(t)、 Ho;吹き込み深さ(m)、 Tg;吹き込み前のガス温度(゜K)
【作用】
本発明は、未脱珪処理溶銑にCaOを主成分とする脱り
んフラックスと酸素源とを添加して脱珪・脱りん処理
し、排滓することなく脱硫処理する溶銑処理に際して、
まず、所定量の酸素ガスを溶銑に吹付けながら、底吹き
攪拌力:1.2〜10KW/tを溶銑に与えることによ
り、FeOの生成、溶銑中珪素の酸化、脱りんフラック
スの滓化および溶銑中の酸化が殆ど同時に進行し、効率
的な脱珪・脱りん処理を達成できる。 また、所定量の酸素ガスを吹付けている溶銑を上記攪拌
力で強攪拌することにより、脱りん処理後のスラグに含
まれる酸化鉄濃度を2.5〜5%と極めて低い値に維持で
き、引き続いて効率的に脱硫をおこないうることを見出
したものである。 上記溶銑の攪拌力が1.2KW/t未満では、酸素ガスの
供給に対して攪拌力が弱くなり、スラグ中のFeOが増
加する。また、攪拌力が10KW/t超になると、攪拌
力が強すぎてスプラッシュが多量に発生し、Fe分のロ
スが増加して好ましくない。 その基本となる原理は次の如くである。 一般に溶銑の脱りん反応は、次の3つの過程からなる。 溶銑中のりんの物質移動 スラグ−溶銑界面におけるりんの酸化反応 スラグ中のPO4 3-の物質移動 ここで上記の酸化反応は、(イ)スラグ−溶銑界面の酸
素ポテンシャルが高い程、また(ロ)スラグ塩基度が高い
程速かに進行する。一方未脱珪溶銑を脱りんするにあた
っては、スラグ塩基度は2程度と低いため、上記(イ)の
効果によって脱りんをおこなう。すなわちスラグのT−
Feを10%程度に確保することにより、スラグの脱りん
能を確保する。 一方、本発明においては、前述したように、溶銑の底吹
き攪拌力εを1.2〜10KW/tに保てば、滓化した脱
りんフラックスの酸化鉄濃度が2.5〜5%となり、脱珪
と同時に脱りん反応が進行し、十分脱りんし得ることを
見出したものであり、これは攪拌力を増すことにより、
T−Feが低くてもりんの酸化源として要求される量の
FeOがスラグ−溶銑界面に十分に供給され、スラグ−
溶銑界面の酸素ポテンシャルが維持されていることによ
るものである。このことにより、後続する脱硫処理を、
脱りん後のスラグを排出しなくても、CaOを主成分と
するまたは/およびNaOを主成分とする脱硫剤を、
少量溶銑中に吹込むことによって、効率的に脱硫できる
ようになった。 上記脱硫剤の吹込み手段としては、第2図に示したよう
に予備処理炉に設けた底吹き羽口から供給する方式、あ
るいは図示していながインジェクションランスを溶銑中
深く浸漬し供給する方式が適切である。 なお第1図(a)、(b)は、脱りん中の攪拌力の相違による
溶銑〜スラグ界面近傍の各成分の濃度変化を示す図面で
あり、(a)は従来法(弱攪拌)、(b)は本発明法(強攪
拌)を示すものである。 〔実施例〕 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 第2図は転炉装置の側断面図であり、先ず脱珪処理を施
していないSi-0.40%含有の155tの溶銑2と5.0tのス
クラップ3を転炉1に装入し、底吹き羽口4から0.07Nm
3/t/minのN2ガスとともにプロータンク5内のフラック
ス(CaCO3)を10kg/tの割合にて約7分間連続して溶銑2
中に吹き込んだ。この吹き込みにより、脱りん脱珪処理
中の攪拌エルネギーを=7.2KW/tに保持した。こ
れは下記(3)式に示すCaCO3の分解によるCO2ガスの発生
を利用して攪拌エルネギーを確保した例である。 CaCO3→CaO+CO2……(3) また吹き込み開始と同時にホッパー6内のフラックス
(塊状のCaO-3.8kg/t,塊状のCaF2-1.7kg/t)および鉄
鉱石16.7kg/tを溶銑2に投入した。またフラックス吹き
込み開始と同時にランス7を介して酸素ガスジェットを
1.9Nm3/t/minの割合で7分間吹き付け、脱珪脱りん処理
をおこなった。引続き酸素ガスジェットを止め、ブロー
タンク8内の脱硫フラックス(Na2CO3-1.9kg/t,CaO-3.7
kg/t)を羽口4から0.03Nm3/t/minのN2ガスとともに約
5分間連続して溶銑2中に吹き込んだ。 第3図に溶銑成分の経時変化を示す。図に示すように吹
き始めの7分間においてりん濃度は0.095%から0.019に
低下している。また引き続きおこなった脱硫フラックス
吹き込みにより、硫黄濃度は0.020%から0.008%に低減
している。この間全精錬時間12分にて排滓をおこなわ
ず、かつ溶銑の移し替えなどもおこなうことなく、脱
珪,脱りん,脱硫処理が可能となった。表1に精錬時間
7分後(脱りん後)のスラグ成分を示す。ここで酸化鉄
濃度(FetO)は3.7%にとどまっており、このために脱硫
処理が効率よく進行するようになった。 第4図は溶銑成分の経時変化の比較例を示す。 比較例においては脱珪処理を施していないSi-0.34%含
有の157tの溶銑2と5.0tのスクラップ3を転炉1に装
入し、ブロータンク5より0.09Nm3/t/minのN2ガスとと
もに脱りんフラックスCaO-8.7kg/tを吹き込んだ。同時
にランス7より酸素ガスジェットを0.8Nm3/t/minの割合
で12分間吹き付けた。更に脱りんフラックス吹き込みと
同時にホッパー6内のフラックス(塊状のCaO-6.7kg/
t,塊状のCaF2-2.0kg/t)および鉄鉱石8.3kg/tを溶銑2
に投入した。脱りんフラックスとしてはCaOを用いたの
で反応によるCO2ガスの発生は無く、従って攪拌エルネ
ギーは=0.7KW/tに留まった。表2に脱りん後の
スラグ成分を示すが、(FetO)=FeO+Fe2O3は13.4%と高
く、引き続き脱硫フラックス(Na2CO3-2.2kg/t,CaO-4.4k
g/t)を吹き込んだが、硫黄濃度は0.025%から0.022%に
低下するに留まった。 〔発明の効果〕 以上説明したごとく本発明は、攪拌力を制御することに
よって脱りん後スラグの(FetO)の濃度を2.5〜5%に制
御し、引続きおこなう脱硫のフラックス原単位を低減す
ることが可能となった。また本方法は反応容器として転
炉,トピードカー,鍋等適時用いておこなうことができ
るので設備費を要せず、また熱損失も少なくなり、反応
の促進によって予備処理効率の向上を図り得る。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は攪拌力の相違による溶銑〜スラグ界面
近傍の各成分濃度の変化を模式的に示した図面、第2図
は転炉装置の一例の側断面図、第3図は実施例における
溶銑成分の経時変化を示すグラフ、第4図は比較例にお
ける経時変化を示すグラフである。 1…転炉、2…溶銑、3…スクラップ、4…底吹き羽
口、5,8…ブロータンク、6…ホッパー、7…ランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 占部 教之 愛知県東海市東海町5―3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭62−109911(JP,A) 特開 昭62−109913(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未脱珪処理溶銑にCaOを主成分とする脱
    りんフラックスと酸素源とを添加して脱珪・脱りん処理
    し、排滓することなく脱硫処理する溶銑処理に際して、
    所定量の酸素ガスを溶銑に吹付けながら、下記(1)式
    にて定義される底吹き攪拌力:1.2〜10KW/tを
    溶銑に与えて脱珪・脱りん処理を行い、酸素源の供給を
    停止して処理後のスラグに含まれる酸化鉄濃度を2.5〜
    5%とし、引き続き脱硫剤を溶銑中に吹込んで脱硫処理
    を行うことを特徴とする溶銑の脱りん脱硫方法。 ここにQg;吹き込みガス量(Nl/min)、 T;溶銑温度(゜K)、 Wm;溶銑重量(t)、 Ho;吹き込み深さ(m)、 Tg;吹き込み前のガス温度(゜K)
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