JP3952846B2 - 低燐溶銑の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、溶銑予備処理として行われる脱燐処理により低燐溶銑を効率的に製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の転炉法に代わって溶銑段階で脱燐処理を行なう溶銑予備処理法が広く用いられるようになった。これは、脱燐反応が精錬温度が低いほど熱力学的に進行しやすく、より少ない量の精錬剤で脱燐処理を行うことができるためである。
一般に溶銑予備処理では、まず、酸化鉄等の固体酸素源を溶銑に添加して脱珪処理を行ない、この脱珪処理で発生したスラグを除去した後、精錬剤(媒溶剤)を添加して脱燐処理を行う。通常、脱燐処理の精錬剤としては石灰などのCaO系精錬剤を用い、酸素源としては固体酸素源(酸化鉄等)や気体酸素を用いる。また、処理容器としては、トーピードカー、取鍋(装入鍋)、転炉型容器などが用いられる。また、CaO系精錬剤の滓化促進のためにCaF2(ホタル石)を添加することが広く行われている。
【0003】
従来の溶銑予備処理では、脱燐率などに応じた最適なスラグ塩基度で脱燐処理を行っているが、スラグ塩基度があまり高いとCaOの滓化が十分に進行せず、スラグの流動性が悪化するため、脱燐には不利な高温での処理が必要になると考えられてきた。このため従来の溶銑予備処理では、スラグ塩基度2.5以下の領域で脱燐処理が行われている。例えば、特開平7−70626号に開示されている脱燐処理方法では、スラグ塩基度0.6以上2.5以下、処理終了温度1250℃以上1400℃以下、底吹き撹拌動力1.0kg/t以上、送酸速度2.5Nm3/溶銑ton以上という条件で脱燐処理が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、環境保護などの観点から脱燐工程をはじめとする精錬工程において発生するスラグ量を極力低減することが求められている。脱燐処理においてスラグ発生量を低減させようとした場合、脱燐の指標であるLp(=燐分配mass%(P)/mass%[P]。ここで、mass%(P)はスラグ中のP濃度、mass%[P]は溶銑中のP濃度)を上げる必要がある。Lpはスラグ塩基度が高いほど高くなるため、従来技術のようにスラグ塩基度2.5以下の領域で行われる脱燐処理においてLpを高くしようとすると、スラグ量をある程度多くして処理を行う必要があり、このためスラグは出銑Siに応じた量までしか低減できない。図2に、スラグ塩基度とLp及び必要スラグ量との関係の一例を示す。
【0005】
また、近年では、Fが環境に及ぼす影響を考慮し、鋼の精錬においてもCaF2の使用量を極力削減することが求められているが、従来の脱燐処理技術ではCaF2をある程度添加しないと精錬剤(CaO)の滓化が迅速に進行しないため、効率的な脱燐処理を行うことができなかった。
したがって本発明の目的は、効率的な脱燐処理を行うことができるとともに、スラグの発生量を極力低減させることができる低燐溶銑の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、CaF2の添加量を極力削減し若しくはCaF2を添加することなく、効率的な脱燐処理を行うことができる低燐溶銑の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために最適な溶銑脱燐条件について検討を行い、その結果、溶銑に対して気体酸素と精錬剤を特定の形態で供給しつつ、スラグ塩基度を高めた操業を行うことにより、精錬剤の滓化を効果的に促進して効率的な脱燐処理を行うことができ、しかも従来技術に較べてスラグ発生量を大幅に低減させ得ることを見出した。
【0007】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1]溶銑を保持した容器内に酸素源とCaO源である精錬剤を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、
上吹きランスを通じて気体酸素と精錬剤の少なくとも一部を溶銑浴面に吹き付け、且つ前記精錬剤の少なくとも一部が、気体酸素の吹き付けにより溶銑浴面に生じる火点に吹き付けられるように脱燐処理を行うとともに、脱燐処理後のスラグ塩基度を2.5超4.95以下、スラグ量を55.1kg/T以下とすることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0008】
[ 2 ]上記[ 1 ]の製造方法において、精錬剤の少なくとも一部を、気体酸素をキャリアガスとして溶銑浴面に吹き付けることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0009】
[ 3 ]上記[ 1 ]又は[ 2 ]の製造方法において、脱燐処理前の溶銑温度が1280℃以上であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 4 ]上記[ 1 ]〜[ 3 ]のいずれかの製造方法において、Si濃度が0.20mass%以下の溶銑を脱燐処理することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 5 ]上記[ 1 ]〜[ 4 ]のいずれかの製造方法において、精錬剤がCaF2を実質的に含まないか若しくは精錬剤中に含まれるCaF2量が2kg/溶銑ton以下であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の低燐溶銑の製造方法では、溶銑を保持した容器内に酸素源とCaO源である精錬剤を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行うに当たり、上吹きランスを通じて気体酸素と精錬剤の少なくとも一部を溶銑浴面に吹き付け、且つ前記精錬剤の少なくとも一部が、気体酸素の吹き付けにより溶銑浴面に生じる火点に吹き付けられるように脱燐処理を行うとともに、脱燐処理後のスラグ塩基度を2.5超4.95以下、スラグ量を55.1kg/T以下とするものである。
【0011】
上吹きランスを通じて気体酸素を溶銑浴面に吹き付けると、浴面に衝突した気体酸素により大量のFeOが生成するため、精錬剤の滓化促進に非常に有利な条件となり、このFeOが大量に生成した領域に、上吹きランスを通じて精錬剤を直接供給することにより、精錬剤(CaO)の滓化を効果的に促進することができる。このためスラグ塩基度を2.5超とし、Lp(=燐分配mass%(P)/mass%[P])を高めて少ないスラグ量で効率的な脱燐処理を行うことができる。
【0012】
また、上吹きランスによる気体酸素と精錬剤の溶銑浴面への吹き付けでは、精錬剤を気体酸素以外のキャリアガス(例えば、N2、Arなどの不活性ガス)を用いて溶銑浴面に吹き付けてもよいが、その場合でも、精錬剤の一部又は全部を気体酸素が供給(吹き付け)されている溶銑浴面領域に吹き付けることが好ましい。これは、気体酸素が供給される溶銑浴面領域は酸素供給によってFeOが生成する場所であり、このような浴面領域に直接CaOを添加することにより、CaOの滓化が効果的に促進されるとともにCaOとFeOの接触効率が高まり、これによって脱燐反応効率を顕著に促進できるからである。また、精錬剤は気体酸素が供給された溶銑浴面領域の中でも、特に気体酸素の上吹きにより生じる“火点”と呼ばれる領域に供給することが最も好ましい。この火点は気体酸素ガスジェットが衝突することにより最も高温となる溶銑浴面領域であるが、気体酸素による酸素反応が集中し且つ気体酸素ガスジェットにより強攪拌されている領域であるため、CaOの供給による効果が最も顕著に得られる領域であると言える。また、この意味で精錬剤を溶銑浴面に吹き付けるためのキャリアガスとしては気体酸素を用いることが好ましく、この場合には、気体酸素が精錬剤とともに溶銑浴面に吹き付けられることにより、精錬剤が火点に直接供給されることになり、この結果、溶銑浴面でのCaOとFeOの接触効率が最も高まり、脱燐反応を特に顕著に促進することができる。
【0013】
本発明法において、上吹きランスを用いて気体酸素と精錬剤を溶銑浴面に吹き付ける方法に特別な制限はなく、例えば、上吹きランスの複数のランス孔のうち、一部のランス孔から気体酸素のみを、また、他のランス孔から気体酸素又は気体酸素以外のガス(例えば、窒素やArなどの不活性ガス)をキャリアガスとして精錬剤を、それぞれ溶銑浴面に供給することもできる。これにより気体酸素が供給されている溶銑浴面領域に精錬剤を添加することができる。また、この場合には、ランス先端の中央に主ランス孔を、その周囲に複数の副ランス孔を有する上吹きランスを用い、副ランス孔から気体酸素を、主ランス孔から気体酸素又は上述した気体酸素以外のガスをキャリアガスとして精錬剤を、それぞれ溶銑浴面に供給することが特に好ましい。また、気体酸素の吹き付けと、気体酸素又は上述した気体酸素以外のガスをキャリアガスとする精錬剤の吹き付けを、異なる上吹きランスを用いて行ってもよい。但し、いずれの場合にも、上述したように精錬剤を最も効率的に滓化させるには、精錬剤のキャリアガスは気体酸素であることが特に望ましい。
【0014】
本発明において使用する気体酸素は、純酸素ガス、酸素含有ガスのいずれでもよい。また、溶銑保持容器内に添加される酸素源としては、気体酸素以外に酸化鉄(例えば、焼結粉、ミルスケール)等の固体酸素源を用いることができ、これらを上置き装入や浴中へのインジェクション等の任意の方法で添加することができる。但し、上述したような溶銑浴面への気体酸素の供給(吹き付け)による効率的な溶銑脱燐を行うためには、溶銑保持容器内に添加される酸素源の50%以上、好ましくは80%以上(気体酸素換算量)が上吹きランスを通じて溶銑浴面に供給される気体酸素であることが好ましい。
なお、気体酸素の一部は溶銑浴面への吹き付け以外の方法、例えば溶銑浴中へのインジェクションや底吹き等の方法で浴中に供給してもよい。
【0015】
精錬剤としては、通常、石灰などのCaO系精錬剤(CaOを主体とした精錬剤)を用いる。また、上吹きランスを通じて溶銑浴面に吹き付ける精錬剤は粉体を用いる。
また、精錬剤は、上吹きランスによる溶銑浴面への吹き付け以外に、一部を上置き装入や浴中へのインジョクションなどにより添加してもよいが、その場合でも、これらの方法により添加する精錬剤の量は精錬剤全体の20mass%以下とすることが望ましい。上吹きランスによる溶銑浴面への吹き付け以外の方法で添加される精錬剤の割合が全体の20mass%を超えると、精錬剤を気体酸素とともに溶銑浴面に吹き付けることによる脱燐反応促進の効果が低下する傾向がある。
【0016】
また、脱燐効率を向上させるためには溶銑をガス撹拌することが好ましい。このガス撹拌は、例えばインジェクションランスや底吹きノズルなどを通じて窒素やArなどの不活性ガスを溶銑中に吹き込むことにより行われる。このような撹拌ガスの供給量としては、十分な浴撹拌性を得るために0.01Nm3/min/溶銑ton以上とし、また、浴の撹拌が強すぎると生成したFeOを溶銑中のCが還元する速度が大きくなり過ぎるためのため0.2Nm3/min/溶銑ton以下とすることが好ましい。
脱燐処理を行うための溶銑保持容器としては、フリーボードが十分に確保できるという点から転炉型容器が最も好ましいが、例えば、溶銑鍋やトーピードカーなどの任意の容器を用いることができる。
【0017】
本発明法において、脱燐効率をさらに向上させ且つ発生するスラグ量をより少なくするには、脱燐処理される溶銑中のSi濃度を低減させておくことが好ましい。具体的には、脱燐処理される溶銑のSi濃度は0.20mass%以下、好ましくは0.10mass%以下とすることが望ましい。一般に、脱燐処理前の溶銑中Si濃度が低いとスラグ中のSiO2濃度が低下するためCaOの溶融性がさらに悪化し、脱燐効率が低下してしまう。しかし、それにも拘らず本発明法の場合には、脱燐処理前の溶銑中Si濃度が低い方(0.20mass%以下、より好ましくは0.10mass%以下)が脱燐効率が向上する。これは、本発明法では気体酸素とCaO源である精錬剤の粉体を浴面に吹き付けるため、SiO2が多く存在しなくてもFeOによってCaOの溶融化が促進され、この結果、CaOの脱燐に寄与する効率が向上するためであると考えられる。
【0018】
溶銑は高炉などの溶銑製造設備から供給されるが、製造される溶銑のSi濃度を低める方法としては、溶銑製造用の原料の予備処理などで珪酸分の全装入量を低減したり、高炉などの炉内での珪酸還元反応を抑制するための低温操業やコークスの偏在装入などの方法が有効である。したがって、高炉などで製造された溶銑のSi濃度が0.20mass%以下、望ましくは0.10mass%以下の場合には、これら溶銑に対して下記のような脱珪処理を施すことなく、脱燐処理してもよい。
【0019】
一方、高炉などで製造された溶銑のSi濃度が上記Si濃度のレベルよりも高い場合には、脱燐処理に先立ち高炉鋳床や溶銑鍋などで脱珪処理を実施し、脱燐処理前の溶銑中Si濃度を0.20mass%以下、望ましくは0.10mass%以下とした上で脱燐処理を行うことが好ましい。
通常、溶銑の脱珪処理は固体酸素源や気体酸素を溶銑に添加することにより行われ、例えば、焼結粉やミルスケールなどの固体酸素源を溶銑浴面への上置き装入や浴中への吹き込みにより添加し、或いは気体酸素を溶銑浴面への吹き付けや浴中への吹き込みにより添加する方法が採られる。
【0020】
また、溶銑の脱珪処理は高炉鋳床や溶銑鍋以外に、例えば高炉鋳床から溶銑鍋などの搬送容器への溶銑流に対して酸素源を添加することにより行うこともできる。また、脱珪効率を高めるために容器内の溶銑中に撹拌ガスを吹き込んだり、焼石灰などのCaO源を添加してスラグの塩基度を調整することにより脱珪スラグ中の酸化鉄を極力低減させ、還元効率を高めるようにすることもできる。
溶銑の脱珪処理を経て脱燐処理を行う場合には、事前に脱硅スラグなどのスラグを排滓し、珪酸分の混入を極力抑制することが、効率的な脱燐処理を行う上で好ましい。このため脱燐処理前に機械式排滓装置や手作業により、溶銑からスラグを分離した後、脱燐処理を行う。
【0021】
本発明法のように、従来技術に較べて高いスラグ塩基度で脱燐処理を行うとスラグの融点が上がり、精錬剤の初期滓化が不十分になるおそれがある。これを防止するためには、脱燐処理開始時の溶銑温度を高くすることによって初期滓化を促進し、早期に溶融FeOを生成させることが有効である。このため脱燐処理開始時の溶銑温度を1280℃以上とすることが好ましい。また、脱燐処理開始時の溶銑温度を上記のように高目に設定することにより、鉄ロス(スラグ中に懸濁する粒鉄ロス)を低減できる利点もある。
【0022】
従来の脱燐処理では、CaOの滓化を促進させるためにCaF2(ホタル石)を添加することが事実上必須であったが、近年Fが環境に及ぼす影響を考慮し、鋼の精錬においてもCaF2の使用量を抑えることが要請されつつある。この点、本発明法はCaF2を実質的に添加しない(すなわち、精錬剤中に不可避的不純物として含まれる以外のCaF2を添加しない)若しくは少量のCaF2を添加するだけで高い脱燐効率が得られる。したがって、CaOの滓化を促進するためにCaF2を添加する場合でも、その添加量は2kg/溶銑ton以下、好ましくは1kg/溶銑ton以下とすることが望ましい。
【0023】
図1に、溶銑の脱珪工程及び本発明法による脱燐工程の実施状況の一例を示す。この例では、まず、溶銑2(高炉溶銑)をトーピードカー1に入れ、脱珪用ランス3から酸化鉄、気体酸素などを吹き込んで脱珪処理を行なう。排滓後、転炉型脱燐炉4に溶銑2を移し、上吹きランス5から気体酸素をキャリアガスとして石灰などの精錬剤を溶銑浴面に吹き付け、塩基度2.5超のスラグ6を生成させる。脱燐吹錬終了後は、出湯口7から溶銑2を取鍋などに出湯し、残ったスラグ6は炉口から排滓する。
【0024】
【実施例】
高炉から出銑された溶銑を鋳床で脱珪処理した後、これを溶銑鍋に受銑してこの溶銑鍋内で脱珪処理し、排滓した後、脱燐処理用の300トン転炉に溶銑を装入した。
脱燐処理では、上吹きランスを通じて酸素ガスをキャリアガスとして石灰粉(精錬剤)を溶銑浴面に吹き付けた。なお、石灰粉投入量は、図2に示すスラグ塩基度と必要スラグ量との関係から決定した。また、一部の実施例では蛍石(CaF2)を添加しない脱燐処理を行った。また、比較例の一部では、上吹きランスを通じた石灰粉の吹き付けを行わず、塊状の石灰を上置き装入で添加した。これらの脱燐処理では、底吹きノズルを通じて0.08Nm3/min/溶銑tonの撹拌ガスを溶銑中に吹き込み、8〜12分間の処理を行った。
各実施例の結果を、脱燐処理条件とともに表1および表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
表1及び表2によれば、比較例であるNo.21〜25は、計算上必要な量の石灰を酸素ガスをキャリアガスとして溶銑浴面に吹き付けているにもかかわらず、脱燐率は低い。これは塩基度が低いためにスラグボリュームを多くした結果、スラグの撹拌が弱くなったためか、或いは脱燐処理中に頻繁に見られたスラグの噴出により、実際の脱燐に寄与できたスラグ量が少なかったためであると考えられる。
また、比較例であるNo.26〜30は、計算上必要な量の石灰を添加しているにもかかわらず、石灰を溶銑浴面への吹き付けではなく、上置き装入により供給しているため、石灰の滓化が十分に促進されず、この結果、脱燐率は低い。
【0028】
これに対して、本発明例はすべて90%以上の高い脱燐率が得られ、しかもスラグ発生量も少ない。また、その中でも、脱燐処理前の溶銑温度が1280℃以上の本発明例は特に高い脱燐率が得られている。また、脱燐処理前の溶銑のSi濃度が0.10mass%以下の本発明例の場合には、特に石灰添加量を低減できており、このためスラグ発生量も少ない。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の低燐溶銑の製造方法によれば、精錬剤の滓化を効果的に促進して効率的な脱燐処理を行うことができ、しかも従来法に較べてスラグの発生量を大幅に低減させることができる。また、CaF2の添加量を従来に較べて大幅に削減し或いはCaF2を添加することなく、効率的な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱珪工程及び本発明法による脱燐工程の一例を示す説明図
【図2】スラグ塩基度とLp及び必要スラグ量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
1…トーピードカー、2…溶銑、3…脱珪用ランス、4…転炉型脱燐炉、5…上吹きランス、6…スラグ、7…出湯口
Claims (5)
- 溶銑を保持した容器内に酸素源とCaO源である精錬剤を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、
上吹きランスを通じて気体酸素と精錬剤の少なくとも一部を溶銑浴面に吹き付け、且つ前記精錬剤の少なくとも一部が、気体酸素の吹き付けにより溶銑浴面に生じる火点に吹き付けられるように脱燐処理を行うとともに、脱燐処理後のスラグ塩基度を2.5超4.95以下、スラグ量を55.1kg/T以下とすることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。 - 精錬剤の少なくとも一部を、気体酸素をキャリアガスとして溶銑浴面に吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 脱燐処理前の溶銑温度が1280℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低燐溶銑の製造方法。
- Si濃度が0.20mass%以下の溶銑を脱燐処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低燐溶銑の製造方法。
- 精錬剤がCaF2を実質的に含まないか若しくは精錬剤中に含まれるCaF2量が2kg/溶銑ton以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低燐溶銑の製造方法。
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