JP2002173715A - 鉄損の低い方向性珪素鋼板の製造方法及び脱炭焼鈍炉 - Google Patents

鉄損の低い方向性珪素鋼板の製造方法及び脱炭焼鈍炉

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JP2002173715A JP2000366918A JP2000366918A JP2002173715A JP 2002173715 A JP2002173715 A JP 2002173715A JP 2000366918 A JP2000366918 A JP 2000366918A JP 2000366918 A JP2000366918 A JP 2000366918A JP 2002173715 A JP2002173715 A JP 2002173715A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱炭焼鈍の操業安定化または一次再結晶組織
の適正化により、方向性珪素鋼板の磁気特性を改善す
る。 【解決手段】 脱炭焼鈍炉の加熱帯と均熱帯の間をシー
ルしてこれらの雰囲気を分離し、更に加熱帯の雰囲気ガ
スをシリカが形成されない酸化度(P H2 O /PH2
に、また均熱帯の雰囲気ガスを鉄系酸化物が形成されな
い酸化度に制御して焼鈍することを特徴とする鉄損の低
い方向性珪素鋼板の製造方法。また、方向性電磁鋼板の
脱炭焼鈍炉において、加熱帯と均熱帯の間に雰囲気シー
ル装置を配設したことを特徴とする脱炭焼鈍炉。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として変圧器そ
の他の電気機器等の鉄心として利用される一方向性珪素
鋼板の製造方法及び脱炭焼鈍炉に関するものである。特
に、その表面を効果的に仕上げることにより、鉄損特性
の向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性珪素鋼板は、磁気鉄心として多
くの電気機器に用いられている。一方向性珪素鋼板は、
Siを0.8〜4.8%含有し、製品の結晶粒の方位を
{110}<001>方位に高度に集積させた鋼板であ
る。その磁気特性として磁束密度が高く(B8値で代表
される)、鉄損が低い(W17/50 値で代表される)こと
が要求される。特に最近では、省エネルギーの見地から
電力損失の低減に対する要求が高まっている。この要求
にこたえ、一方向性珪素鋼板の鉄損を低減させる手段と
して磁区を細分化する技術が開発された。
【0003】積み鉄心の場合、仕上げ焼鈍後の鋼板にレ
ーザービームを照射して局部的な微少歪を与えることに
より磁区を細分化して鉄損を低減させる方法が、例えば
特開昭58−26405号公報に開示されている。しか
しながらこれらの磁区の動きを観察すると、鋼板表面の
グラス皮膜の凹凸によりピン止めされ、動かない磁区も
存在していることが分かった。従って、方向性電磁鋼板
の鉄損値を更に低減させるためには、磁区細分化と合わ
せて磁区の動きを阻害する鋼板表面のグラス皮膜の凹凸
によるピン止め効果をなくすことが重要であると考えら
れる。
【0004】そのためには、磁区の動きを阻害する鋼板
表面のグラス皮膜を形成させない事が有効であると考え
られ、その手段として、焼鈍分離剤として粗大高純アル
ミナを用いることによりグラス皮膜を形成させない方法
が、例えば米国特許第3785882号に提示されてい
る。しかしながら、この方法では表面直下の介在物をな
くすことができず、その介在物によるピニング効果のた
め、鉄損の向上代はW15/60 で高々2%に過ぎない。
【0005】この表面直下の介在物を制御し、かつ表面
の鏡面化を達成する方法として、仕上げ焼鈍後に表面酸
化層を除去した後に化学研磨或いは電解研磨を行う方法
が、例えば特開昭49−96920号公報、特開昭64
−83620号公報に開示されている。しかしながら、
化学研磨・電解研磨等の方法は、研究室レベルでの少試
料の材料を加工することは可能であるが、工業的規模で
行うには薬液の濃度管理、温度管理、公害設備の付与等
の点で大きな問題があり、いまだ実用化されるに至って
いない。
【0006】本発明者等は、上記課題を解決するために
種々の実験を行い、脱炭焼鈍の露点を制御し、脱炭焼鈍
時に形成される酸化層においてFe系酸化物(Fe2
iO 4 、FeO等)を形成させないことが、表面の介在
物を消去することに有効であること(特開平7−118
750号公報)、またこのような酸化層の制御と脱炭を
両立させるためには、脱炭焼鈍工程において加熱速度を
9℃/秒以上で770〜860℃の温度域まで加熱し、
Fe系酸化物(Fe2 SiO4 、FeO等)を形成させ
ない雰囲気ガスの酸化度(P H2 O /P H2 )を0.0
1〜0.15で焼鈍を行えば良いこと(特開平7−27
8668号公報)を開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】脱炭焼鈍のヒートサイ
クルは、例えば特開平1−290716号公報、特開平
6−212262号公報、特公平8−32929号公
報、特開平9−256051号公報等に開示されるよう
に、製品の磁気特性に影響を及ぼす一次再結晶組織を調
整するうえで重要な制御因子である。本発明は、脱炭焼
鈍の雰囲気ガスを加熱帯と均熱帯で分離制御することに
より、特開平7−278668号公報に開示されたヒー
トサイクルの適正範囲を更に広げる方法を提供するもの
である。この方法により、脱炭焼鈍の操業安定化または
一次再結晶組織の適正化により製品の磁気特性を一層改
善することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために種々の実験を行い、脱炭焼鈍炉の加熱
帯と均熱帯の間をシールし、これらの炉帯の雰囲気を分
離すること、更に加熱帯の雰囲気ガスをシリカが形成さ
れない酸化度(P H2 O /P H2 )、また均熱帯の雰囲
気ガスを、鉄系酸化物が形成されない酸化度に制御して
焼鈍することにより、加熱帯、均熱帯のヒートサイクル
の適正領域が広い範囲で鋼板表面の酸化層制御と脱炭が
両立できることを見いだした。
【0009】すなわち、本発明の要旨は以下の通りであ
る。 (1) 質量で、Si:0.8〜4.8%、C :0.
003〜0.1%含有する珪素鋼帯を冷延・脱炭焼鈍
後、焼鈍分離剤を塗布し仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼
板の製造方法において、脱炭焼鈍炉の加熱帯と均熱帯の
間をシールしてこれらの雰囲気を分離し、更に加熱帯の
雰囲気ガスをシリカが形成されない酸化度(P H2 O /
P H2 )に、また均熱帯の雰囲気ガスを鉄系酸化物が形
成されない酸化度に制御して焼鈍することを特徴とする
鉄損の低い方向性珪素鋼板の製造方法。 (2) 脱炭焼鈍において、加熱帯の雰囲気ガスの酸化
度(P H2 O /P H2)を実質的にシリカが形成されな
い0.0005以下とし、均熱帯の雰囲気ガスの酸化度
(P H2 O /P H2 )を、鉄系酸化物が形成されない
0.01以上0.15以下として焼鈍することを特徴と
する前記(1)記載の鉄損の低い方向性珪素鋼板の製造
方法。 (3) 焼鈍分離剤として、アルミナを主成分として使
用する前記(1)または(2)記載の鉄損の低い方向性
珪素鋼板の製造方法。 (4) 焼鈍分離剤として、マグネシアを主成分として
使用する前記(1)または(2)記載の鉄損の低い方向
性珪素鋼板の製造方法。 (5) 方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍炉において、加熱帯
と均熱帯の間に雰囲気シール装置を配設したことを特徴
とする脱炭焼鈍炉。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、珪素鋼板の脱炭挙動に対し、脱炭焼鈍初
期(加熱過程)で形成される酸化層が以降の脱炭挙動に
大きな影響を及ぼすものと考え、これに関連した種々の
実験を行った。
【0011】質量で、Si:3.3%、Mn:0.14
%、C:0.05%、S:0.007%、酸可溶性A
l:0.028%、N:0.008%の珪素鋼スラブを
1150℃で加熱した後、板厚1.6mmに熱延した。
この熱延板を1120℃で2分間焼鈍した後、最終板厚
0.15mmに冷延した。この冷延板に脱炭焼鈍を施し
た。その際、脱炭設備の加熱帯と均熱帯の間をシール
し、これらの炉帯の雰囲気を分離した。
【0012】加熱帯の雰囲気ガスの酸化度(P H2 O /
P H2 ):(1)0.06及び(2)0.0005の湿
潤ガス中で830℃まで加熱し、830℃で90秒間、
酸化度(P H2 O /P H2 ):0.06の雰囲気ガス中
で脱炭焼鈍を施した。ここで、脱炭焼鈍の加熱時間とし
て、(1)30秒(28℃/秒)、(2)60秒(14
℃/秒)、(3)90秒(9℃/秒)、(4)120秒
(7℃/秒)、(5)180秒(5℃/秒)の条件で焼
鈍を行った。
【0013】焼鈍後の炭素量を図1に示す。図1より、
雰囲気ガスの酸化度が0.06の場合は、加熱速度9℃
/秒以上で鋼中炭素量が0.003%以下になるが、雰
囲気ガスの酸化度が0.0005の場合には、全ての加
熱速度で鋼中炭素量が0.003%以下になることが分
かる。
【0014】この原因は、加熱過程で鋼板表面に形成さ
れるシリカに依存するものと考えられる。即ち、脱炭焼
鈍の表面においては、一般に脱炭(鋼中炭素の酸化)反
応とシリカ形成(鋼中シリコンの酸化)反応が雰囲気の
水分に対して競合して行われている。鉄系酸化物が形成
しないような低酸化度雰囲気ガス中で焼鈍すると、一般
にシリカは稠密な膜状で生成し脱炭を阻害するが、加熱
速度を高めこのシリカ膜が全面を覆わないうちに脱炭反
応を開始させることにより、脱炭反応のサイトでのシリ
カ形成が抑制され、引き続いて脱炭反応が起こるものと
考えられる。
【0015】本発明は、加熱過程におけるシリカの形成
反応を雰囲気ガスの酸化度を下げることにより抑制し、
均熱過程に移行し脱炭反応を開始するものである。本実
験試料を加熱直後に引き出して、GDS(glow dischar
ge spectroscopy )等で表面分析を行った結果、雰囲気
ガスの酸化度が0.06の場合には表面にシリカ層が形
成しているが、雰囲気の酸化度が0.0005と低い場
合には表面のシリカ層が認められないことを確認した。
【0016】この結果を基に、脱炭焼鈍温度の影響を調
べた。即ち、先述の冷延板を雰囲気ガスの酸化度(P H
2 O /P H2 ):(1)0.06及び(2)0.000
5の湿潤ガス中で、加熱速度28℃/秒で740〜92
0℃の温度範囲で焼鈍を行った。焼鈍後の炭素量を図2
に示す。図2より、雰囲気ガスの酸化度が0.06の場
合は焼鈍温度770〜860℃の範囲で鋼中炭素量が
0.003%以下になるが、雰囲気ガスの酸化度が0.
0005の場合には、全ての焼鈍温度で鋼中炭素量が
0.003%以下になることが分かる。
【0017】以上の結果より、脱炭焼鈍炉の加熱帯と均
熱帯の間をシールし、これらの各炉帯の雰囲気ガスを分
離すること、更に加熱帯の雰囲気ガスをシリカが形成さ
れない酸化度(P H2 O /P H2 )、また均熱帯の雰囲
気ガスを、鉄系酸化物が形成されない酸化度に制御して
焼鈍することにより、鋼板表面の酸化層制御と脱炭を両
立可能な加熱帯、均熱帯のヒートサイクルの適正領域を
広げることが可能となった。
【0018】この様に、脱炭焼鈍の加熱帯で形成される
シリカの形成を雰囲気ガスの酸化度を制御して抑制する
ことにより、加熱帯、均熱帯のヒートサイクルの適正領
域が広い範囲で鋼板表面の酸化層と脱炭が両立できる。
加熱帯の雰囲気ガスの酸化度は、通常連続焼鈍で行う脱
炭焼鈍の加熱速度範囲(1℃/秒以上)においてシリカ
が実質的に形成されない0.0005以下とすれば良
い。また均熱帯の雰囲気ガスは酸化度は、特開平7−2
78668号号公報に記載があるような、0.01以上
0.15以下として焼鈍すれば良い。酸化度が0.15
を超えた場合、製品の表面下に介在物が生成し、鉄損低
下の障害となる。また、酸化度が0.01より低いと脱
炭速度が遅くなり、工業的に問題となる。
【0019】以下、本発明の実施の形態を説明する。基
本的な製造法としては、磁束密度B8 が高い製品を製造
できる田口・坂倉等によるAlNとMnSを主インヒビ
ターとして用いる製造法(例えば特公昭40−1564
4号公報)、または小松等による(Al,Si)Nを主
インヒビターとして用いる製造法(例えば特公昭62−
45285号公報)を適用すれば良い。
【0020】次に、成分の限定理由について説明する。
Siは電気抵抗を高め、鉄損を下げる上で重要な元素で
ある。含有量が4.8%を超えると、冷間圧延時に材料
が割れ易くなり圧延不可能となる。一方、Si量を下げ
ると仕上げ焼鈍時にα→γ変態を生じ、結晶の方向性が
損なわれるので、実質的に結晶の方向性に影響を及ぼさ
ない0.8%を下限とする。
【0021】酸可溶性Alは、Nと結合してAlNまた
は(Al、Si)Nとしてインヒビターとして機能する
ために必須の元素である。磁束密度が高くなる0.01
2〜0.050%を限定範囲とする。
【0022】Nは、製鋼時に0.01%以上添加する
と、ブリスターとよばれる鋼板中の空孔を生じるので、
0.01%を上限とする.
【0023】他のインヒビター構成元素として、B,B
i,Se,Pb,Sn,Ti等を添加することもでき
る。
【0024】Cは、残留すると製品特性(鉄損)の低下
を引き起こすので、0.003%以下に抑えることが必
要とされている。しかしながら、製鋼段階でC量を低く
すると熱延板の結晶組織に粗大な{100}伸長粒が存
在し、二次再結晶に悪影響を及ぼす。また、析出物や一
次再結晶集合組織制御の観点からも、Cはある程度製鋼
段階で添加することが必要である。従って、製鋼段階で
は0.003%以上、好ましくはα/γ変態が生じる
0.02%以上添加することが望ましい。一方、0.1
%より多く添加しても、上述の結晶組織、析出物等への
影響はほぼ飽和し、脱炭に必要な時間が長くなるので、
0.1%を上限とする。
【0025】上記成分の溶鋼は、通常の工程により熱延
板とされるか、もしくは溶鋼を連続鋳造して薄帯とす
る。前記熱延板または連続鋳造薄帯は、直ちにもしくは
短時間焼鈍を経て冷間圧延される。上記焼鈍は750〜
1200℃の温度域で30秒〜30分間行われ、この焼
鈍は製品の磁気特性を高めるために有効である。望む製
品の特性レベルとコストを勘案して採否を決めるとよ
い。冷間圧延は、基本的には特公昭40−15644号
公報に開示されているように、最終冷延圧下率80%以
上とすれば良い。
【0026】冷間圧延後の材料は、鋼中に含まれる炭素
を除去するために湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を行う。脱
炭設備の加熱帯と均熱帯の間をシールし、これらの雰囲
気を分離すること、更に加熱帯の雰囲気ガスをシリカの
形成しない酸化度(P H2 O /P H2 )、また均熱帯の
雰囲気ガスを、鉄系酸化物(Fe2 SiO4 、FeO
等)の形成しない酸化度に制御して焼鈍すること、が本
発明のポイントである。
【0027】この温度域での脱炭終了後に、粒径調整の
ために更に高温で焼鈍する場合もある。この脱炭焼鈍板
に(Al,Si)Nを主インヒビターとして用いる製造
法(例えば特公昭62−45285号公報)において
は、窒化処理を施す。この窒化処理の方法は特に限定す
るものではなく、アンモニア等の窒化能のある雰囲気ガ
ス中で行う方法等がある。量的には0.005%以上、
望ましくは全窒素量として鋼中のAl当量以上に窒化す
れば良い。
【0028】これらの脱炭焼鈍板を積層する際に、シリ
カと反応し難いアルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水
スラリーもしくは静電塗布法等により塗布することによ
り、仕上げ焼鈍後の表面を鏡面状に仕上げ、鉄損を大き
く低下させることができる。また、従来のようにマグネ
シアを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリーで塗布する
か、もしくは静電塗布法等によりドライ・コートするこ
とも有効である。この場合は、焼鈍分離剤としてアルミ
ナを用いた場合のように表面は鏡面にならないが、表面
グラス被膜の凸凹を低減し、鉄損を従来製品よりも低下
させることができる。
【0029】この積層した脱炭焼鈍板を仕上げ焼鈍し
て、二次再結晶と窒化物等の純化を行う。二次再結晶は
特開平2−258929号公報に開示される様に、一定
の温度で保持する等の手段により所定の温度域で行うこ
とは、磁束密度を上げるうえで有効である。二次再結晶
完了後、窒化物等の純化を行うために、100%水素で
1100℃以上の温度で焼鈍する。仕上げ焼鈍後、表面
に張力コーテイング処理を行い、必要に応じてレーザー
照射等の磁区細分化処理を施せば良い。
【0030】
【実施例】(実施例1)質量で、Si:3.3%、M
n:0.14%、C:0.05%、S:0.007%、
酸可溶性Al:0.028%、N:0.008%含有す
る珪素鋼スラブを1150℃で加熱した後、板厚2.0
mmに熱延した。この熱延板を1120℃で2分間焼鈍
した後、最終板厚0.14mmに冷延した。この冷延板
に脱炭焼鈍を施した。その際、脱炭設備の加熱帯と均熱
帯の間をシールし、これらの炉帯の雰囲気を分離した。
【0031】加熱帯の雰囲気ガスの酸化度(P H2 O /
P H2 )を、(1)0.0002、(2)0.000
5、(3)0.0014、(4)0.008、(5)
0.06と変化させた湿潤ガス中で、5℃/秒の加熱速
度で830℃まで加熱し、均熱帯では830℃で110
秒間、酸化度(P H2 O /P H2 ):0.12の雰囲気
ガス中で脱炭焼鈍を施した。焼鈍後の炭素量を表1に示
す。表1から、加熱帯の酸化度が0.0005以下で3
0ppm 以下の炭素量になっていることが分かる。
【0032】
【表1】
【0033】(実施例2)質量で、Si:3.3%、M
n:0.1%、C:0.06%、S:0.007%、酸
可溶性Al:0.03%、N:0.008%、Sn:
0.05%含有する珪素鋼スラブを1150℃で加熱し
た後、板厚2.0mmの熱延板とした。この熱延板を1
100℃で2分間焼鈍した後、最終板厚0.22mmに
冷延した。この冷延板を(1)加熱帯酸化度(P H2 O
/P H2 ):0.0005で820℃まで加熱速度28
℃/秒で加熱し、均熱帯では830℃で酸化度(P H2
O/P H2 ):0.12で110秒間焼鈍した。また比
較例として、(2)加熱帯及び均熱帯の酸化度(P H2
O /P H2 ):0.33(従来法)で加熱速度28℃/
秒で加熱し、830℃で110秒間焼鈍した。
【0034】これらの鋼板をその後、一部はアルミナ
(Al2 3 )を、一部は従来のようにマグネシア(M
gO)を主成分とする焼鈍分離剤を水スラリーで塗布し
た後、仕上げ焼鈍を施した。これらの試料を張力コーテ
イング処理を施した後、レーザー照射して磁区細分化し
た。得られた製品の磁気特性を表2に示す。表2から、
本発明例は優れた磁気特性を有していることが分かる。
【0035】
【表2】
【0036】(実施例3)質量で、Si:3.2%、M
n:0.07%、C:0.08%、S:0.025%、
酸可溶性Al:0.026%、N:0.008%、S
n:0.12%、Cu:0.1%含有する珪素鋼スラブ
を1350℃で加熱した後、板厚2.3mmの熱延板と
した。この熱延板を1120℃で2分間焼鈍した後、最
終板厚0.22mmに冷延した。この冷延板に脱炭焼鈍
を施した。その際、脱炭設備の加熱帯と均熱帯の間をシ
ールし、これらの炉帯の雰囲気を分離した。
【0037】加熱帯の雰囲気ガスの酸化度(P H2 O /
P H2 )を、(1)0.0002、(2)0.000
5、(3)0.0014、(4)0.008、(5)
0.06と変化させた湿潤ガス中で、5℃/秒の加熱速
度で830℃まで加熱し、均熱帯では830℃で150
秒間、酸化度(P H2 O /P H2 ):0.14の雰囲気
ガス中で脱炭焼鈍を施した。焼鈍後の炭素量を表3に示
す。表3から、加熱帯の酸化度が0.0005以下で3
0ppm 以下の炭素量になっていることが分かる。
【0038】
【表3】
【0039】(実施例4)実施例3の脱炭板にアルミナ
を主成分とする焼鈍分離剤を、水スラリー状で塗布した
後、仕上げ焼鈍を施した。これらの試料を張力コーテイ
ング処理を施した後、レーザー照射して磁区細分化し
た。得られた製品の磁気特性を表4に示す。本発明の条
件範囲において低鉄損化が達成されることが分かる。
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明により、製品の表面を効果的に仕
上げることで、従来製品よりも低い鉄損の方向性電磁鋼
板をコストアップすることなく製造することができる。
即ち脱炭焼鈍工程において、鋼板表面の酸化層制御と脱
炭が広い範囲のヒートサイクルで両立でき、脱炭焼鈍の
操業安定化または一次再結晶組織の適正化により、製品
の磁気特性を顕著に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭焼鈍時の加熱速度と脱炭焼鈍後の炭素残留
量の関係を示す図である。
【図2】脱炭焼鈍時の焼鈍温度と脱炭焼鈍後の炭素残留
量の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 浩康 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 村上 健一 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K033 JA04 LA01 SA02 TA02 UA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量で、 Si:0.8〜4.8%、 C :0.003〜0.1% 含有する珪素鋼帯を冷延・脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗
    布し仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法におい
    て、脱炭焼鈍炉の加熱帯と均熱帯の間をシールしてこれ
    らの雰囲気を分離し、更に加熱帯の雰囲気ガスをシリカ
    が形成されない酸化度(P H2 O /P H2 )に、また均
    熱帯の雰囲気ガスを鉄系酸化物が形成されない酸化度に
    制御して焼鈍することを特徴とする鉄損の低い方向性珪
    素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 脱炭焼鈍において、加熱帯の雰囲気ガス
    の酸化度(P H2 O/P H2 )を実質的にシリカが形成
    されない0.0005以下とし、均熱帯の雰囲気ガスの
    酸化度(P H2 O /P H2 )を、鉄系酸化物が形成され
    ない0.01以上0.15以下として焼鈍することを特
    徴とする請求項1記載の鉄損の低い方向性珪素鋼板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 焼鈍分離剤として、アルミナを主成分と
    して使用する請求項1または2記載の鉄損の低い方向性
    珪素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼鈍分離剤として、マグネシアを主成分
    として使用する請求項1または2記載の鉄損の低い方向
    性珪素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍炉において、
    加熱帯と均熱帯の間に雰囲気シール装置を配設したこと
    を特徴とする脱炭焼鈍炉。
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