JP2002151078A - 非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造法

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JP2002151078A JP2000347083A JP2000347083A JP2002151078A JP 2002151078 A JP2002151078 A JP 2002151078A JP 2000347083 A JP2000347083 A JP 2000347083A JP 2000347083 A JP2000347083 A JP 2000347083A JP 2002151078 A JP2002151078 A JP 2002151078A
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Hideaki Sadamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、二次電池としての初期放電容量を
維持し、且つ、高温下での充放電サイクル特性が改善さ
れた非水電解質二次電池を得ることができる正極活物質
を提供する。 【解決手段】 コバルト酸リチウム粒子粉末の粒子表面
の一部に酸化チタン及び/又はチタン酸リチウムが被覆
されており、前記酸化チタン及び/又はチタン酸リチウ
ムの被覆量がコバルト酸リチウム粒子粉末中のコバルト
に対しTiとして2.0〜4.0mol%である非水電
解質二次電池用正極活物質は、コバルト酸リチウム粒子
を分散させた水溶液のpHを調整し、次いでチタニウム
塩を添加して、微細な水酸化チタニウムコロイドをコバ
ルト酸リチウム粒子の粒子表面に吸着させた後、ろ過、
水洗、乾燥して水酸化チタニウムコロイドを吸着させた
コバルト酸リチウム粒子粉末を得、次いで、該コバルト
酸リチウム粒子粉末を酸化雰囲気中で熱処理して得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池としての初期
放電容量を維持し、且つ、高温下での充放電サイクル特
性が改善された非水電解質二次電池を得ることができる
正極活物質を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、AV機器やパソコン等の電子機器
のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、こ
れらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度
を有する二次電池への要求が高くなっている。このよう
な状況下において、充放電電圧が高く、充放電容量も大
きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目
されている。
【0003】従来、4V級の電圧をもつ高エネルギー型
のリチウムイオン二次電池に有用な正極活物質として
は、スピネル型構造のLiMn、岩塩型構造のL
iMnO、LiCoO、LiCo1−XNi
、LiNiO等が一般的に知られており、なか
でもLiCoOは高い充放電電圧と充放電容量を有す
る点で優れているが、更なる特性改善が求められてい
る。
【0004】即ち、ノートパソコンなど二次電池で作動
する装置はその使用に伴って高温になるため、二次電池
として高温下での充放電サイクル特性に優れることが要
求される。また、LiCoOは高い電圧で作動するこ
とができるが、高電圧のため電解液との反応が起こりや
すく、充放電サイクル特性が低下しやすい。
【0005】そこで、高温下での充放電サイクル特性に
優れたLiCoOが要求されている。
【0006】従来、コバルト酸リチウム粒子粉末の諸特
性改善のために、コバルト酸リチウム粒子表面をチタン
化合物で被覆する方法(特開平4−329267号公
報、特開平8−102332号公報、特開平2000−
200605号公報等)、コバルト酸リチウム粒子中に
チタンを含有させる方法(特開平6−44974号公報
等)、正極活物質としてコバルト酸リチウム粒子粉末と
リチウムチタン複合酸化物(LiTi)との混合
物を用いる方法(特開平7−288124号公報)が知
られており、また、コバルト酸リチウム粒子表面を、リ
ン、ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化サマリウムなどで
被覆する方法(特許第3054829号公報、特許第3
044812号公報、特許第2855877号公報、特
許第3003431号公報等)が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記諸特性を満たす正
極活物質は現在最も要求されいるところであるが、未だ
得られていない。
【0008】即ち、前出特開平4−329267号公報
には、コバルト酸リチウム粒子表面をチタンカップリン
グ剤で表面処理した後、熱処理する方法が記載されてい
るが、添加したチタン原子がコバルト酸リチウム粒子の
内部方向に拡散して表面近傍にチタン添加表面層が形成
されるため、電解液との反応を抑制する効果を得ること
ができず、高温下での充放電サイクル特性が十分とは言
い難いものである。また、カップリング剤は高価なため
工業的生産性に優れるとは言い難いものである。
【0009】前出特開平8−102332号公報には、
コバルト酸リチウム粒子表面の一部にチタン酸化物など
の低活性酸化物を分散保持させることが記載されている
が、コバルト酸リチウム粒子表面に保持されているチタ
ン酸化物の結合力が弱いので、高温下での充放電サイク
ル特性が十分とは言い難いものである。
【0010】前出特開平2000−200605号公報
にはコバルト酸リチウム粒子表面にチタン粒子及び/又
はチタン化合物粒子を付着させる方法が記載されている
が、コバルト酸リチウム粒子とチタン化合物粒子とを乾
式混合した場合には、チタン化合物粒子の混合が不均一
となり付着するチタン化合物粒子の偏在箇所が発生する
ため、高温下での充放電サイクル特性が十分とは言い難
いものである。
【0011】前出特開平6−44974号公報にはリチ
ウムコバルト酸化物とチタン酸化物との混合物を焼成し
てLi1.4(Co0.7Ti0.3を得る方
法が記載されているが、初期充放電容量が低下し、ま
た、電解液との反応を抑制する効果が得られないため、
高温下での充放電サイクル特性が十分とは言い難いもの
である。
【0012】前出特開平7−288124号公報には、
コバルト酸リチウム粒子粉末とリチウムチタン複合酸化
物(LiTi)との混合物を正極活物質として用
いる方法が記載されているが、リチウムチタン酸複合酸
化物を存在させるだけでは、電解液との反応を抑制する
効果が得られないため、高温下での充放電サイクル特性
が向上するとは言い難いものである。
【0013】また、前出チタン化合物以外の異種元素
(リン、ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化サマリウムな
ど)で被覆した場合には、電解液との反応を抑制するこ
とが困難なため、高温下での充放電サイクル特性が十分
とは言い難いものである。
【0014】そこで、本発明は、初期放電容量に優れ、
且つ、高温下での充放電サイクル特性に優れた正極活物
質を得ることを技術的課題とする。
【0015】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0016】即ち、本発明は、コバルト酸リチウム粒子
粉末の粒子表面の一部に酸化チタン及び/又はチタン酸
リチウムが被覆されており、前記酸化チタン及び/又は
チタン酸リチウムの被覆量がコバルト酸リチウム粒子粉
末中のコバルトに対しTiとして2.0〜4.0mol
%であることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活
物質である。
【0017】また、本発明は、コバルト酸リチウム粒子
を分散させた水溶液のpHを調整し、次いでチタニウム
塩を添加して、微細な水酸化チタニウムコロイドをコバ
ルト酸リチウム粒子の粒子表面に吸着させた後、ろ過、
水洗、乾燥して水酸化チタニウムコロイドを吸着させた
コバルト酸リチウム粒子粉末を得、次いで、該コバルト
酸リチウム粒子粉末を酸化雰囲気中で熱処理することを
特徴とする前記非水電解質二次電池用正極活物質の製造
法である。
【0018】また、本発明は、熱処理の温度が500℃
〜700℃であることを特徴とする前記非水電解質二次
電池用正極活物質の製造法である。
【0019】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
通りである。
【0020】先ず、本発明に係る正極活物質について述
べる。
【0021】本発明に係る正極活物質は、コバルト酸リ
チウム粒子粉末の粒子表面の一部が酸化チタン及び/又
はチタン酸リチウムで被覆されている。
【0022】本発明においては、酸化チタン及び/又は
チタン酸リチウムはコバルト酸リチウム粒子粉末の粒子
表面の一部を被覆しており、酸化チタン及び/又はチタ
ン酸リチウムがコバルト酸リチウム粒子粉末の粒子表面
全体を被覆した場合には、初期放電容量が低下する。酸
化チタン及び/又はチタン酸リチウムの含有量はTi換
算でコバルト酸リチウム粒子粉末のコバルトに対して
2.0〜4.0mol%である。2.0mol%以下の
場合にはサイクル容量維持率向上の効果が小さく、4.
0mol%を超える場合には初期放電容量が著しく低下
する。好ましくは2.1〜3.5mol%、より好まし
くは2.2〜3.0mol%である。
【0023】本発明に係る正極活物質の平均粒子径は
1.0〜10μmが好ましい。平均粒子径が1.0μm
未満の場合には、充填密度の低下や電解液との反応性が
増加するため好ましくない。10μmを超える場合に
は、工業的に生産することが困難となる。
【0024】本発明に係る正極活物質のBET比表面積
は0.1〜1.5m/gが好ましい。BET比表面積
値が0.1m/g未満の場合には、工業的に生産する
ことが困難となる。1.5m/gを超える場合には充
填密度の低下や電解液との反応性が増加するため好まし
くない。
【0025】本発明に係る正極活物質の格子定数はa軸
長が2.81〜2.82Å、c軸長が14.045〜1
4.065Åであることが好ましい。
【0026】次に、本発明に係る正極活物質の製造法に
ついて述べる。
【0027】本発明に係る正極活物質は、コバルト酸リ
チウム粒子を分散させた水溶液にアルカリ塩を添加し、
次いで、チタニウム塩を添加して微細な水酸化チタニウ
ムコロイドをコバルト酸リチウムの粒子表面に吸着さ
せ、ろ過、水洗、乾燥して水酸化チタニウムコロイドを
吸着させたコバルト酸リチウム粒子粉末を得、次いで、
該コバルト酸リチウム粒子粉末を酸化雰囲気中において
500〜700℃で熱処理することで得られる。
【0028】本発明におけるコバルト酸リチウム粒子粉
末は、通常の方法で得られるものであって、例えば、リ
チウム化合物とコバルト化合物を混合して加熱処理して
得る固相法や、溶液中でリチウム化合物とコバルト化合
物を反応させてコバルト酸リチウム粒子を得る湿式法の
いずれの方法で得られたものでもよい。
【0029】コバルト酸リチウム粒子粉末は、平均粒子
径が1.0〜10μm、BET比表面積値が0.1〜
1.5m/g、Li/Co比が0.95〜1.05、
格子定数がa軸長2.81〜2.82Å、c軸長14.
045〜14.065Åであることが好ましい。
【0030】アルカリ塩としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用いることができ
る。殊に、水酸化リチウムを用いた場合には、添加量と
水洗度合いを調整することで、リチウムイオンを含有す
る水酸化チタニウムコロイドを得ることができ、熱処理
を経ることでチタン酸リチウム又はチタン酸リチウムと
酸化チタンとの混合物とすることができる。
【0031】アルカリ塩を添加した後に、チタニウム塩
を添加する。
【0032】チタニウム塩としては、塩化チタン、硫酸
チタン等を用いることができる。
【0033】チタニウム塩の添加量は、コバルト酸リチ
ウム粒子粉末のコバルトに対して2.0〜4.0mol
%であることが好ましい。
【0034】チタニウム塩を添加することによって水溶
液のpHを10.0〜12.0にすることが好ましい。
水溶液のpHが前記範囲外の場合には微細な水酸化アル
ミニウムコロイドを生成・吸着させることが困難とな
る。
【0035】熱処理の雰囲気としては、酸化雰囲気であ
り、好ましくは大気中である。熱処理温度としては、5
00〜700℃であることが好ましい。500℃未満の
場合には水酸化チタニウム水和物が残存し、700℃を
超える場合には、粒子間の焼結が進行したり、チタン原
子がコバルト酸リチウム粒子の内部方向に拡散するため
好ましくない。保持時間は、1〜5時間が好ましい。1
時間より短い場合には分解反応が不十分であり、5時間
より長い場合には生産性とコストの面から好ましくな
い。
【0036】本発明に係る正極活物質を用いて正極を製
造する場合には、常法に従って、導電剤と結着剤とを添
加混合する。導電剤としてはアセチレンブラック、カー
ボンブラック、黒鉛等が好ましく、結着剤としてはポリ
テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が好
ましい。
【0037】本発明に係る正極活物質を用いて二次電池
を製造する場合には、前記正極、負極及び電解質から構
成される。
【0038】負極活物質としては、リチウム金属、リチ
ウム/アルミニウム合金、リチウム/スズ合金、グラフ
ァイトや黒鉛等を用いることができる。
【0039】また、電解液の溶媒としては、炭酸エチレ
ンと炭酸ジエチルの組み合わせ以外に、炭酸プロピレ
ン、炭酸ジメチル等のカーボネート類や、ジメトキシエ
タン等のエーテル類の少なくとも1種類を含む有機溶媒
を用いることができる。
【0040】さらに、電解質としては、六フッ化リン酸
リチウム以外に、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リ
チウム等のリチウム塩の少なくとも1種類を上記溶媒に
溶解して用いることができる。
【0041】本発明に係る正極活物質を用いて製造した
二次電池は、初期放電容量が140〜150mAh/
g、60℃での50サイクル後の容量維持率が97%以
上であり、過充電試験における充放電容量が低い。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0043】表面処理後および焼成後の生成物の同定に
ついては、粉末X線回折(RIGAKU Cu−Kα
40kV 40mA)を用いた。また、前記粉末X線回
折の各々の回折ピークから格子定数を計算した。
【0044】また、元素分析にはプラズマ発光分析装置
(セイコー電子工業製 SPS4000)を用いた。
【0045】正極活物質の電池特性は、下記製造法によ
って正極、負極及び電解液を調製しコイン型の電池セル
を作製して評価した。
【0046】<正極の作製>正極活物質と導電剤である
アセチレンブラック及び結着剤のポリフッ化ビニリデン
を重量比で85:10:5となるように精秤し、乳鉢で
十分に混合してからN−メチル−2−ピロリドンに分散
させて正極合剤スラリーを調整した。次に、このスラリ
ーを集電体のアルミニウム箔に150μmの膜厚で塗布
し、150℃で真空乾燥してからφ16mmの円板状に
打ち抜き正極板とした。
【0047】<負極の作製>金属リチウム箔をφ16m
mの円板状に打ち抜いて負極を作製した。
【0048】<電解液の調製>炭酸エチレンと炭酸ジエ
チルとの体積比50:50の混合溶液に電解質として六
フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リット
ル混合して電解液とした。
【0049】<コイン型電池セルの組み立て>アルゴン
雰囲気のグローブボックス中でSUS316製のケース
を用い、上記正極と負極の間にポリプロピレン製のセパ
レータを介し、さらに電解液を注入してCR2032型
のコイン電池を作製した。
【0050】<電池評価>前記コイン型電池を用いて、
二次電池の充放電試験を行った。測定条件としては、6
0℃の温度下で、正極に対する電流密度を0.2mA/
cmとし、カットオフ電圧が3.0Vから4.25V
の間で充放電を繰り返した。また、過充電試験について
は20℃の温度下で4.95Vまで充電を行った。
【0051】<正極活物質の製造>リチウムとコバルト
のモル比が1:1となるよう所定量の炭酸リチウムと酸
化コバルトを十分に混合し、酸化雰囲気下、900℃で
10時間焼成してコバルト酸リチウム粒子粉末を得た。
【0052】得られたコバルト酸リチウム粒子粉末は、
平均長軸径が8.0μm、BET比表面積値が0.6m
/g、格子定数がa軸2.817Å、c軸14.05
7Åであった。
【0053】次に、得られたコバルト酸リチウム粒子を
水溶液中に分散させ、水酸化リチウムを投入した。次
に、コバルトに対して2.5mol%のチタニウムを含
有する四塩化チタンを投入して、溶液のpHを12付近
まで調整し、水洗、乾燥工程を経ることで、粒子表面に
リチウムイオンを含む微細な水酸化チタニウムコロイド
が吸着したコバルト酸リチウムを得た。次いで、得られ
た水酸化チタンコロイドが吸着したコバルト酸リチウム
粒子を酸化雰囲気下、500℃で5時間焼成することに
より正極活物質を得た。
【0054】得られた正極活物質は、平均長軸径が8.
0μm、BET比表面積値が0.5m/g、格子定数
がa軸2.816Å、c軸14.049Å、チタンの含
有量がコバルトに対して2.20mol%であった。チ
タン含有量は添加量に対してほぼ全量が残存しており、
且つ、焼成後の格子定数が被覆処理前と比較して変化し
ないことから、チタンはコバルト酸リチウムの格子中に
ドープされることなく、粒子表面上にチタン酸リチウム
の状態で存在するものと推定できる。また、図1及び2
に示すように、得られた正極活物質は処理前のコバルト
酸リチウム粒子粉末のX線回折の回折パターンと同様で
あることから、酸化チタン及び/又はチタン酸リチウム
は単相で存在することなく、コバルト酸リチウム粒子の
表面に被覆されているものと推定できる。
【0055】前記正極活物質を用いて作製したコイン型
電池は、初期放電容量が150mAh/g、60℃での
50サイクル後の容量維持率が97%/50cycl
e、過充電試験が250mAh/gであった。
【0056】
【作用】本発明において最も重要な点は、本発明に係る
正極活物質は、コバルト酸リチウム粒子表面の一部を酸
化チタン及び/又はチタン酸リチウムで被覆することに
よって、二次電池としての初期放電容量を保持したま
ま、且つ、高温下での充放電サイクル特性に優れるとい
う点である。
【0057】本発明においては、湿式反応によってコバ
ルト酸リチウム粒子表面に直接微細な水酸化チタニウム
コロイドを生成・吸着させて、次いで、酸化雰囲気中で
熱処理することにより、微細な酸化チタン粒子及び/又
はチタン酸リチウム粒子をコバルト酸リチウム粒子の粒
子表面の一部に化学的に結合させている。
【0058】従って、コバルト酸リチウム粒子と酸化チ
タン粒子又はチタン酸リチウム粒子を乾式混合しただけ
の場合には、混合が不均一であったり互いの粒子が単な
る物理吸着にすぎないため本発明の効果は得られない。
また、水酸化チタニウム又はチタン酸リチウムと混合し
た後で熱処理した場合にも、均一な混合状態とならない
ため本発明の効果が得られない。
【0059】本発明において初期放電容量を保持できる
のは、本来のコバルト酸リチウム粒子が有する初期放電
容量を低下させない範囲で酸化チタン及び/又はチタン
酸リチウムを含有させたことによる。
【0060】本発明において高温特性が改善できるの
は、コバルト酸リチウム粒子の粒子表面の一部が酸化チ
タン及び/又はチタン酸リチウムで被覆した正極活物質
を用いることにより、高温時(60℃)又は4.8V以
上の高電位で予想される粒子表面部のCo(IV)と電
解液の反応(酸化分解)が抑制されるためである。
【0061】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0062】実施例1〜3、比較例1〜4 チタニウム塩の添加量、熱処理条件を種々変化させた以
外は前記発明の実施の形態と同様にして正極活物質を製
造し、次いでコイン型電池を製造した。
【0063】このときの製造条件を表1に、得られた正
極活物質の諸特性及びコイン型電池の電池特性を表2に
示す。
【0064】なお、比較例1では表面処理を行わなかっ
た。比較例2及び3では熱処理を行わなかった。比較例
4では熱処理条件を900℃で行った。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】本発明に係る正極活物質を用いて作製した
コイン電池の電池特性は、初期放電容量が140mAh
/g以上を保持し、60℃での50サイクル後の容量維
持率が97%以上と高いレベルにある。さらに、過充電
試験においても被覆処理前の充電容量と比較するとその
値が減少しており、正極活物質の粒子表面と電解液との
反応抑制が示唆される。
【0068】また、比較例に示す通り、水酸化チタンを
被覆しただけでは、過充電容量に極端な減少が確認され
るものの、同時に初期放電容量も125mAh/g付近
と低く、サイクル容量維持率についても改善効果が見ら
れない。
【0069】
【発明の効果】本発明に係る正極活物質を用いること
で、二次電池としての初期放電容量を維持し、且つ、高
温特性が改善された非水電解質二次電池を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態において、処理前のコバルト
酸リチウム粒子粉末のX線回折パターン
【図2】発明の実施の形態で得られた正極活物質のX線
回折パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑谷 光昭 山口県小野田市新沖1丁目1番1号 戸田 工業株式会社小野田工場内 (72)発明者 前田 英明 山口県小野田市新沖1丁目1番1号 戸田 工業株式会社小野田工場内 (72)発明者 貞村 英昭 山口県小野田市新沖1丁目1番1号 戸田 工業株式会社小野田工場内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB05 AB08 AC06 AD02 AD03 AE05 5H029 AJ02 AJ05 AK03 AL06 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ12 CJ22 CJ28 DJ08 DJ12 DJ16 EJ05 HJ02 HJ12 HJ14 5H050 AA05 AA07 BA17 CA08 CB07 DA02 DA09 EA12 FA12 FA17 FA18 GA02 GA12 GA22 GA27 HA02 HA12 HA14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルト酸リチウム粒子粉末の粒子表面
    の一部に酸化チタン及び/又はチタン酸リチウムが被覆
    されており、前記酸化チタン及び/又はチタン酸リチウ
    ムの被覆量がコバルト酸リチウム粒子粉末中のコバルト
    に対しTiとして2.0〜4.0mol%であることを
    特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 【請求項2】 コバルト酸リチウム粒子を分散させた水
    溶液のpHを調整し、次いでチタニウム塩を添加して、
    微細な水酸化チタニウムコロイドをコバルト酸リチウム
    粒子の粒子表面に吸着させた後、ろ過、水洗、乾燥して
    水酸化チタニウムコロイドを吸着させたコバルト酸リチ
    ウム粒子粉末を得、次いで、該コバルト酸リチウム粒子
    粉末を酸化雰囲気中で熱処理することを特徴とする請求
    項1記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造法。
  3. 【請求項3】 熱処理の温度が500℃〜700℃であ
    ることを特徴とする請求項2記載の非水電解質二次電池
    用正極活物質の製造法。
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