JP2002138359A - ポリエチレン系複合長繊維不織布 - Google Patents

ポリエチレン系複合長繊維不織布

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JP2002138359A
JP2002138359A JP2000328852A JP2000328852A JP2002138359A JP 2002138359 A JP2002138359 A JP 2002138359A JP 2000328852 A JP2000328852 A JP 2000328852A JP 2000328852 A JP2000328852 A JP 2000328852A JP 2002138359 A JP2002138359 A JP 2002138359A
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melting
polyethylene
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fiber
low
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Hironobu Ishiwatari
裕信 石渡
Koichi Nagaoka
孝一 長岡
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、毛羽立ち性、機械的特性に優れる長
繊維不織布を提供する。 【解決手段】 高融点ポリエチレン系重合体と、該高融
点ポリエチレン系重合体の融点より2℃以上低い融点を
有する低融点ポリエチレン系重合体とからなり、少なく
とも繊維表面の一部に低融点ポリエチレン系重合体が露
出してなる複合長繊維にて構成された不織布であり、構
成繊維同士は、低融点ポリエチレン系重合体の溶融また
は軟化により熱接着されていることを特徴とするポリエ
チレン系複合長繊維不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療・衛生資材、
一般工業資材、家庭資材、農業資材等の幅広い分野にお
いて用いることができるポリエチレン系重合体からなる
複合長繊維不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、急激に需要が増大している使い捨
ておむつや衛生材料の表面材等の各種部材に用いられて
いる不織布において、肌触りが良く、ソフトな風合いを
有するといった性能が要求される。
【0003】使い捨ておむつや衛生材料等の各種部材に
は、柔軟性とコストの点からポリプロピレンからなるス
パンボンド不織布が多く使用されている。しかしなが
ら、ポリプロピレンのみの単成分からなるスパンボンド
不織布では、エンボス装置等により熱圧接させたときの
熱圧接点において、不織布を構成する長繊維がその繊維
形状が維持されずに樹脂化してフィルム状となっている
ため、その部分が硬く、不織布の風合いを著しく損なう
という問題がある。
【0004】上記問題に鑑みて、繊維表面の一部を熱接
着成分となる低融点の重合体によって構成させるてなる
複合繊維を用いることにより、接着性と接着後の風合い
を改善するした不織布が知られている。例えば、ポリプ
ロピレンを芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とした芯
鞘型複合長繊維からなり、構成繊維同士が熱により溶融
または軟化したポリエチレンによって接着されてなる不
織布が挙げられる。しかしながら、該不織布は芯成分と
鞘成分がポリプロピレンとポリエチレンといったような
異なる熱可塑性重合体より構成されているために、芯成
分と鞘成分の剥離現象が生じやすいため、得られた不織
布の表面が毛羽立ち易いといった問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するものであって、肌触りが良く、ソフトな風合い
を有し、かつ、その使用に際し不織布表面が毛羽立ち難
い不織布を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために、2種の特性の異なるポリエチレン系
重合体を用いた複合長繊維不織布について鋭意研究を行
った結果、本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、高融点ポリエチレン
系重合体と、該高融点ポリエチレン系重合体の融点より
2℃以上低い融点を有する低融点ポリエチレン系重合体
とからなり、少なくとも繊維表面の一部に低融点ポリエ
チレン系重合体が露出してなる複合長繊維にて構成され
た不織布であり、構成繊維同士は、低融点ポリエチレン
系重合体の溶融または軟化により熱接着されていること
を特徴とするポリエチレン系複合長繊維不織布を要旨と
するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。本
発明の長繊維不織布を構成する長繊維は、高融点ポリエ
チレン系重合体と、該高融点ポリエチレン系重合体の融
点より2℃以上低い融点を有する低融点ポリエチレン系
重合体とからなる。本発明で用いるポリエチレン系重合
体の融点は、示差走査型熱量計を用いて、試料質量5m
g、昇温速度20℃/分として測定して得た融解吸熱曲
線の最大値を与える温度を融点とした。また、融点をも
たないものについては、軟化温度を融点とした。
【0009】高融点ポリエチレン系重合体と低融点ポリ
エチレン系重合体との融点差が2℃未満であると、単一
の重合体からなる繊維と同様で、熱処理工程において、
低融点ポリエチレン系重合体のみでなく、高融点ポリエ
チレン系重合体までもが熱の影響を受け、軟化または溶
融し、本発明が目的とする柔軟で毛羽立ちが起こり難い
長繊維不織布を得ることができない。このような理由か
ら2種の重合体の融点差は、より好ましくは3℃以上で
ある。
【0010】本発明に用いるポリエチレン系重合体とし
ては、一般に知られているポリエチレン系重合体であれ
ばよく、例えば、高密度ポリエチレン(融点125〜1
35℃、以下、HDPEと略記する。)、中密度ポリエ
チレン(融点100〜120℃)線状低密度ポリエチレ
ン(融点125〜128℃、以下、LLDPEと略記す
る。)、低密度ポリエチレン(融点80〜100℃、以
下、LPEと略記する。)等が挙げられる。また、アク
リル酸等の他の物質を少量共重合させた共重合ポリエチ
レンであってもよい。
【0011】また、チーグラーナッタ触媒もしくはメタ
ロセン触媒等の触媒を用いて重合されたポリエチレンを
用いることができる。一般的に、メタロセン触媒を用い
て重合されたポリエチレンは、ポリマーの分子量をコン
トロールすることが容易であり、分子量分布をシャープ
にすることができるため、明確な融点を持ち、熱処理温
度を設定しやすい。
【0012】本発明に用いるポリエチレン系重合体に
は、繊維の柔軟性を損なわない範囲において、潤滑剤、
顔料、安定剤等の添加剤を添加してもよい。特に、無水
マレイン酸、無水フマル酸、無水アクリル酸等の吸水性
を付与できる添加剤を、2種のポリエチレン系重合体の
少なくとも一方に20質量%以下の範囲で添加すること
によって、得られる長繊維不織布に優れた吸水性を付与
することができる。無水マレイン酸、無水フマル酸、無
水アクリル酸等の添加量が20質量%を超えると、紡糸
において糸切れが発生し易くなるため好ましくない。ま
た、吸水性能を発揮させるためには、添加量の下限とし
ては、10質量%以上とすればよい。特に、吸水性を付
与できる添加剤は、繊維表面に露出してなるポリエチレ
ン系重合体に添加することが好ましい。
【0013】本発明に用いるポリエチレン系重合体のメ
ルトインデックス[(g/10分)ASTM−D−12
38(E)に記載の方法に準じて測定した溶融流量。以
下、MIと略記する。]は、5〜50g/10分のもの
が好適に用いられる。MIが5g/10分未満である
と、紡糸の際に、溶融温度を極端に高くしなければ、高
速で溶融紡糸することが困難であり、このような極端な
高温下における紡糸では原料ポリマーの熱分解を促進さ
せ、紡糸口金面に汚れが付着しやすく、操業性が著しく
損なわれる。一方、MIが50g/10分を超えると、
繊維強度が劣るものとなる。以上の理由により、さらに
好ましくは、MIが10〜40g/10分のポリエチレ
ン系重合体を用いることが好ましい。
【0014】本発明に用いる長繊維は、上述した高融点
ポリエチレン系重合体と低融点ポリエチレン系重合体と
からなり、少なくとも繊維表面の一部に低融点ポリエチ
レン系重合体が露出してなる複合長繊維である。このよ
うな複合長繊維の複合断面形状としては、例えば、図1
に示すような高融点ポリエチレン系重合体を低融点ポリ
エチレン系重合体で完全に被覆した芯鞘型複合断面、図
2に示すような高融点ポリエチレン系重合体と低融点ポ
リエチレン系重合体とが並列に配されるサイドバイサイ
ド型複合断面、図3に示すような中心部の低融点ポリエ
チレン系重合体の周りに、複数の高融点ポリエチレン系
重合体からなる葉部を配してなる多葉型複合断面等が挙
げられる。多葉型複合断面においては、両者が繊維表面
に露出していることから、低融点ポリエチレン系重合体
と高融点重合体とは、芯部と葉部のどちらを形成してい
てもよい。また、接着強度の点から芯鞘型複合断面が好
ましい。また、上述した形状に限らず、低融点ポリエチ
レン系重合体が繊維表面に一部に露出しているものであ
れば、いかなる複合形態でもよい。
【0015】繊維断面の形状は、円形に限らず、楕円
形、多角形、多葉形等の異形断面形状や、また、繊維の
中心部に中空部を有する中空断面のものであってもよ
い。
【0016】2種のポリエチレン系重合体の複合比率
は、高融点ポリエチレン系重合体/低融点ポリエチレン
系重合体=1/5〜5/1(質量比)が好ましく、より
好ましくは、1/3〜3/1である。高融点ポリエチレ
ン系重合体/低融点ポリエチレン系重合体の複合比率が
1/5を下回ると、低融点ポリエチレン系重合体の量が
相対的に増えるため、熱処理において、溶融または軟化
して樹脂化する重合体の量が増加し、得られた長繊維不
織布の柔軟性が劣る傾向となり、本発明が目的とする柔
軟性に優れた長繊維不織布を得にくい。一方、高融点ポ
リエチレン系重合体/低融点ポリエチレン系重合体の複
合比率が5/1を超えると、接着機能を担う低融点ポリ
エチレン系重合体の量が相対的に減少するため、得られ
る長繊維不織布の強力が劣り、また、摩擦等によって繊
維の接着が容易に外れて毛羽立ちが発生するものとなり
やすい。
【0017】本発明に用いる複合繊維の単糸繊度は、長
繊維不織布を用いる用途に応じて適宜選択すればよい
が、製糸性や柔軟性等を考慮して、1.0〜10デシテ
ックス程度であればよい。
【0018】本発明の長繊維不織布は、上述した複合長
繊維からなり、構成繊維同士は、低融点ポリエチレン系
重合体の溶融または軟化により熱接着されている。熱接
着としては、構成繊維同士がその交点において、低融点
ポリエチレン系重合体が溶融または軟化することにより
接着しているもの、また、部分的に熱圧着部を有して、
その部分熱圧着部において低融点ポリエチレン系重合体
が溶融または軟化することにより構成繊維同士が接着一
体化しているもの等が挙げられる。熱接着の手法は、用
途に応じて適宜選択すればよいが、柔軟性の点から部分
熱圧着部を有している長繊維不織布であることが好まし
い。
【0019】熱圧着部の個々の熱圧着部の形状は、必ず
しも円形である必要はなく、楕円、十字、菱形、三角、
T型、井形等のいずれでもよく、また、その個々の熱圧
着部は、0.1〜1.2mm2の面積を有し、その密
度、すなわち圧着点密度が2〜80個/cm2であるこ
とが好ましく、より好ましくは4〜60個/cm2であ
る。また、長繊維不織布の全表面積に対する全熱圧着領
域の面積の比、すなわち熱圧着面積率は4〜50%であ
ることが好ましく、より好ましくは10〜20%であ
る。この圧着面積率が4%未満であると、長繊維不織布
の機械的特性および寸法安定性が劣るものとなる。一
方、圧着面積率が50%を超えると、長繊維不織布を構
成する繊維の大半が熱融着してしまい、得られる長繊維
不織布の柔軟性や肌触りに劣る傾向となる。
【0020】長繊維不織布の目付は、用途に応じて適宜
選択すればよく、特に限定されないが、15〜150g
/m2程度とする。
【0021】本発明の長繊維不織布は、通常のスパンボ
ンド法によって得ることができ、スパンボンド法によっ
て得られた長繊維不織ウエブに熱処理を施して、低融点
ポリエチレン系重合体を溶融または軟化させて構成繊維
同士を接着させ、一体化した長繊維不織布を得る。
【0022】次に、本発明の長繊維不織布の好ましい製
造方法について具体的に説明する。
【0023】本発明の長繊維不織布は、通常の複合紡糸
装置を用いる。まず、高融点ポリエチレン系重合体と、
低融点ポリエチレン系重合体とを、高融点ポリエチレン
系重合体/低融点ポリエチレン系重合体=1/5〜5/
1の範囲となるように個別に計量する。2種の重合体を
溶融させて、所望の複合断面が得られる複合紡糸口金よ
り吐出させ、吐出した紡出糸条を冷却空気流などの冷却
装置によって冷却する。次いで、エアーサッカーなどの
引き取り手段を用いて、目標繊度となるように牽引細化
して引き取る。牽引細化した複合長繊維は、開繊装置に
て開繊せしめた後、スクリーンコンベアなどの移動式捕
集面上に開繊堆積させて長繊維不織ウェブとする。次い
で、長繊維不織ウェブを熱圧着装置を用い部分的に熱圧
着し、本発明の長繊維不織布を得る。
【0024】溶融紡糸において、紡糸温度は用いられる
重合体によって異なるものの、高融点ポリエチレン系重
合体の融点をTmh℃としたときに(Tmh+15)℃
〜(Tmh+130)℃とすることが好ましい。溶融温
度が(Tmh+15)℃より低い場合、高速気流による
曳糸性、引き取り性に劣り、逆に溶融温度が(Tmh+
130)℃を超えると、冷却過程での結晶化が遅れ、紡
出糸条間で密着を生じ、開繊性に劣るばかりでなく、重
合体自身の熱分解も進行し、機械的特性が劣り、また柔
軟で均一な地合の不織布を得ることが困難となる。
【0025】本発明における牽引速度は、3000m/
分以上であること好ましい。3000m/分以上にする
と、得られる長繊維不織布の機械的性能が向上する。牽
引速度が3000m/分を下回ると、紡出糸条の冷却性
・可紡性および開繊性に劣るばかりでなく、得られた長
繊維不織布の機械的性能が劣るものとなる。
【0026】次いで、得られた長繊維不織ウェブに熱処
理装置を用いて熱処理を施す。熱処理方法としては、乾
熱熱風循環方式、サクシヨンバンド方式等により、長繊
維不織ウエブを構成している繊維の交点に存在する低融
点ポリエチレン系重合体を溶融または軟化させて、繊維
交点を接着させる方法、加熱された一対のエンボスロー
ルからなるエンボス装置、またはエンボスロールと表面
が平滑なフラットロールからなるエンボス装置に長繊維
不織ウェブを通布することにより、長繊維不織ウエブに
部分的に熱圧着部を形成する方法が挙げられる。
【0027】エンボス装置を用いる方法においては、エ
ンボスロールの凸部に当接する部分の長繊維不織ウエブ
に熱圧着部が形成されるため、上述した部分熱圧着部の
形状、大きさ、密度、圧着面積率となるようなエンボス
ロールを用いる。ロールの表面温度は、低融点ポリエチ
レン系重合体の融点をTmL℃としたとき、TmL℃未
満の温度に設定し、熱圧着部において低融点ポリエチレ
ン系重合体を溶融または軟化させて部分的熱圧着部を形
成させる。ロール設定温度の下限としては、処理速度や
線圧にも影響されるが、(TmL−50)℃であればよ
い。
【0028】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定さ
れるものではない。実施例において各種物性値の測定を
次の方法で実施した。
【0029】(1)融点(℃);パーキンエルマ社製示
差走査型熱量計DSC−7型を用い、試料重量を5m
g、昇温速度を20℃/minとして測定して得た融解
吸熱曲線の最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0030】(2)目付(g/m2);標準状態の試料
から試料長20cm、試料幅5cmの試料片10点を作
成し、平衡水分にした後、各試料片の重量(g)を秤量
し、得られた値を単位面積あたりに換算し、目付(g/
2)とした。
【0031】(3)不織布強力(N/5cm幅);JI
S−L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。す
なわち、試料長20cm、試料幅5cmの試料片10点
を作成し、各試料片毎に不織布縦方向について、定速伸
長型引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTM
−4−1−100)を用い、引張速度20cm/分、つ
かみ間隔10cmで伸長し、得られた切断時荷重値の平
均値を不織布強力(N/5cm幅)とした。
【0032】(4)圧縮剛軟度(cN);試料長10c
m、試料幅5cmの試料片5点を作成し 、各試料毎に
横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合した
ものを試料と して準備した。各測定試料毎にその軸方
向について、定速伸長型引張試験機(オリ エンテック
社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、圧縮
速度5cm/分 で圧縮し、得られた最大荷重(cN)
の平均値を圧縮剛軟度(cN)とした。なお 、この圧
縮剛軟度とは値が小さいほど柔軟性が優れていることを
意味する。
【0033】(5)毛羽立ち性;長繊維不織布を手で揉
み摩擦させた後、長繊維不織布の表面を目視により下記
4段階で評価した。 ◎:毛羽立ちがなく、極めて良好である。 ○:ほとんど毛羽立ちが見られず、良好である。 △:やや毛羽立ちが見られる。 ×:毛羽立ちが激しい。
【0034】(6)吸水性(mm/10分);JIS
L 1096に記載のバイレック法に準じて測定した。
【0035】実施例1 高融点ポリエチレン系重合体として、MI25g/10
分、融点130℃、密度0.960g/cm3のチグラ
ーナッタ触媒を用いて重合された高密度ポリエチレン
(HDPE)、低融点ポリエチレン系重合体として、オ
クテン−1を5質量%含有し、MI25g/10分、融
点127℃、密度0.937g/cm3のチグラーナッ
タ触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE)を用いた。
【0036】これら2種のポリエチレンを用い、芯部に
高融点ポリエチレン、鞘部に低融点ポリエチレンが配さ
れた芯鞘型となるような複合長繊維よりなる不織布を製
造した。
【0037】すなわち、(HDPE)/(LLDPE)
の複合比率が1/1(質量比)となるよう個別に計量し
た後、個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用い
て、温度200℃で溶融し、芯鞘型複合紡糸口金を用
い、単孔吐出量1.33g/分で芯鞘型複合長繊維を溶
融紡糸した。この紡出糸条を冷却装置を用いて冷却した
後、口金の下方に設置したエアーサッカーを用いて、牽
引速度4000m/分で牽引細化し、開繊装置にて開繊
した。次に、開繊せしめた糸条を移動するスクリーンコ
ンベア上に開繊堆積させて長繊維不織ウェブを得た。複
合長繊維の単糸繊度3.3デシテックスであった。
【0038】次いで、長繊維不織ウェブをエンボスロー
ルとフラットロールからなる熱圧着装置に通布して、目
付50g/m2の長繊維不織布を得た。熱圧着条件は、
個々の熱圧着部面積が0.7mm2の円形模様で、熱圧
着部密度が20個/cm2、熱圧着部面積率が15%と
なるエンボスロールを用い、ロール設定温度を120℃
とした。
【0039】実施例2 実施例1において、低融点ポリエチレン系重合体とし
て、MI8g/10分、融点99℃、密度0.937g
/cm3のメタアクリル酸が共重合してなる共重合ポリ
エチレン(日本ポリオレフィン株式会社製の商品名レク
スパールET182)を用いたこと、溶融紡糸の際、単
孔吐出量1.30g/分、牽引速度3900m/分とし
たこと、熱圧着装置のロール設定温度を92℃としたこ
と以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0040】実施例3 実施例1において、低融点ポリエチレン系重合体とし
て、MI値20g/10分、融点82℃、密度0.94
6g/cm3のメタアクリル酸が共重合してなる共重合
ポリエチレン(日本ポリオレフィン株式会社製の商品名
レクスパールET224M)を用いたこと、溶融紡糸の
際、単孔吐出量1.23g/分、牽引速度3700m/
分としたこと、熱圧着装置のロール設定温度を75℃と
したこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を
得た。
【0041】実施例4 実施例1において、低融点ポリエチレン系重合体に15
質量%の無水マレイン酸を添加したこと、溶融紡糸の
際、単孔吐出量1.17g/分、牽引速度3500m/
分としたこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織
布を得た。
【0042】実施例5 実施例1において、高融点ポリエチレン系重合体のMI
を20g/分、低融点ポリエチレン系重合体のMIを5
0g/分とし、溶融紡糸の際、複合断面形状を図2に示
すごときサイドバイサイド型の複合長繊維が得られる複
合紡糸口金を用いたこと、単孔吐出量1.23g/分、
牽引速度3700m/分としたこと、熱圧着処理後、熱
風乾燥機にて100℃で3秒間熱処理して、複合長繊維
に13個/cmの捲縮を発現させたこと以外は、実施例
1と同一条件下にて長繊維不織布を得た。不織布物性を
表1に示す。
【0043】実施例6 実施例1において、溶融紡糸の際、複合断面形状を図3
に示すごとき多葉型の複合長繊維が得られる複合紡糸口
金を用いたこと、単孔吐出量1.33g/分、牽引速度
4000m/分としたこと以外は、実施例1と同様にし
て長繊維不織布を得た。
【0044】実施例7 高融点ポリエチレン系重合体として、実施例2の低融点
ポリエチレンとして用いたメタアクリル酸が共重合して
なる共重合ポリエチレン(日本ポリオレフィン株式会社
製の商品名レクスパールET182)を用い、低融点ポ
リエチレン系重合体として、実施例3の低融点ポリエチ
レンとして用いたメタアクリル酸が共重合してなる共重
合ポリエチレン(日本ポリオレフィン株式会社製の商品
名レクスパールET224M)を用いたこと、溶融紡糸
の際の紡糸温度を180℃、単孔吐出量1.13g/
分、牽引速度3400m/分としたこと、熱圧着処理に
おいて、ロール設定温度を75℃としたこと以外は、実
施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0045】比較例1 実施例1において、高融点ポリエチレン系重合体として
用いた高密度ポリエチレン(HDPE)のみを用いたこ
と、溶融紡糸の際、単相の円形繊維断面となる紡糸口金
を用いたこと、単孔吐出量1.00g/分、牽引速度3
000m/分としたこと、ロール設定温度を123℃と
したこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を
得た。
【0046】比較例2 実施例1において、高融点ポリエチレン系重合体に代え
て、メルトフローレート(ASTM−D−1238
(L)に記載の方法に基づいて測定した溶融流量。以
下、MFRと略記する。)40g/10分、融点160
℃のポリプロピレンを用いたこと、溶融紡糸の際、溶融
温度220℃としたこと、ロール設定温度を123℃と
したこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を
得た。
【0047】実施例1〜7、比較例1〜2で得られた不
織布物性を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1より明らかなように、実施例1〜7の
本発明の融点の異なる2種のポリエチレン系重合体から
なる複合長繊維にて構成された長繊維不織布は、優れた
柔軟性を有し、かつ摩擦に対する毛羽立ちがないもので
あった。そして、本発明の長繊維不織布が、ポリエチレ
ンのみからなる単相の繊維で構成された比較例1の不織
布と比較して、不織布強力、柔軟性、毛羽立ち性が向上
し、また、ポリプロピレンを芯部にポリエチレンを鞘部
に配してた複合長繊維で構成された比較例2の不織布と
比較して、柔軟性、毛羽立ち性が向上している。また、
吸水性を有する添加剤が添加された実施例4の長繊維不
織布は、吸水性にも優れたものであった。
【0050】
【本発明の効果】本発明によれば、不織布を構成する長
繊維として、2成分共にポリエチレン系重合体を採用す
ることによって、芯成分をポリプロピレンで構成された
不織布やポリプロピレンのみで構成された不織布と比し
て、肌触りの良いソフトな風合いでかつ、その使用に際
し不織布表面が毛羽立ち難い不織布を得ることができた
ものである。また、本発明の不織布を構成する長繊維の
断面形状において、少なくとも低融点ポリエチレン系重
合体を繊維表面に露出してなる複合形態を採用している
ことにより、不織布の機械的特性がより優れているばか
りか、柔軟性に優れた不織布を提供するものである。ま
た、2成分共にポリエチレン系重合体より構成されるた
めリサイクルの観点においても有利な不織布である。
【0051】本発明の長繊維不織布は、医療・衛生資
材、使い捨ておむつや生理用吸収体の被覆用途、ワイピ
ングクロス等の拭き取り布、使い捨てカイロ等の袋物、
使い捨ておしぼり等の吸水体、包装材、家庭・業務用の
生ゴミ捕集袋、その他の廃棄物処理材等の生活関連素
材、あるいは農業・園芸・土木用に代表される一般工業
資材等の各素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる複合長繊維の横断面形状の一例
を示した模式図である。
【図2】本発明に用いる複合長繊維の横断面形状の一例
を示した模式図である。
【図3】本発明に用いる複合長繊維の横断面形状の一例
を示した模式図である。
【符号の説明】
a 高融点ポリエチレン系重合体 b 低融点ポリエチレン系重合体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B029 BB03 BB07 4C003 BA08 4C098 AA09 CC07 DD10 DD14 DD25 4L047 AA14 AA27 AA28 AA29 AB09 AB10 BA09 BB01 BB09 CB01 CB07 CC03 CC04 CC10 CC14 CC15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高融点ポリエチレン系重合体と、該高融
    点ポリエチレン系重合体の融点より2℃以上低い融点を
    有する低融点ポリエチレン系重合体とからなり、少なく
    とも繊維表面の一部に低融点ポリエチレン系重合体が露
    出してなる複合長繊維にて構成された不織布であり、構
    成繊維同士は、低融点ポリエチレン系重合体の溶融また
    は軟化により熱接着されていることを特徴とするポリエ
    チレン系複合長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 複合長繊維の断面形状が芯鞘型複合断面
    であることを特徴とする請求項1記載のポリエチレン系
    複合長繊維不織布。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン系重合体のメルトインデッ
    クスが、5〜50g/10分であることを特徴とする請
    求項1または2に記載のポリエチレン系複合長繊維不織
    布。
  4. 【請求項4】 複合長繊維を構成するポリエチレン系重
    合体の少なくとも一方に吸水剤が20質量%以下添加さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のポリエチレン系複合長繊維不織布。
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