JP2002138212A - フィルム用樹脂組成物及びそれを用いたフィルム - Google Patents

フィルム用樹脂組成物及びそれを用いたフィルム

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JP2002138212A
JP2002138212A JP2001031225A JP2001031225A JP2002138212A JP 2002138212 A JP2002138212 A JP 2002138212A JP 2001031225 A JP2001031225 A JP 2001031225A JP 2001031225 A JP2001031225 A JP 2001031225A JP 2002138212 A JP2002138212 A JP 2002138212A
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resin composition
layered silicate
resin
weight
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JP2001031225A
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English (en)
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Koichi Shibayama
晃一 柴山
Hideyuki Takahashi
英之 高橋
Koji Taniguchi
浩司 谷口
Kazuho Uchida
かずほ 内田
Katsuya Togawa
勝也 戸川
Akihiro Niki
章博 仁木
Hiroshi Murayama
浩 村山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性に優れ、特に燃焼時の形状保持効果に
よって優れた難燃効果を発現し、あるいは機械的強度や
熱的特性に優れ、ポリ塩化ビニル系樹脂との分別に有利
であると共に、優れた諸機能を発現するフィルムを、成
形性良く経済的に有利に得るに適するフィルム用樹脂組
成物、及び、そのフィルム用樹脂組成物を用いたフィル
ムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂100重量部に対して層状
珪酸塩0.1〜100重量部が配合されてなるフィルム
用樹脂組成物、熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂
である上記樹脂組成物、層状珪酸塩が、広角X線回折測
定法により測定した(001)面の平均層間距離が3n
m以上であり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分
散している層状珪酸塩である上記樹脂組成物、50kW
/m2 の輻射加熱条件下で30分間加熱すること(AS
TM E 1354に準拠)により燃焼させた燃焼残渣
を速度0.1cm/sで圧縮した際の降伏点応力が4.
9kPa以上である上記樹脂組成物、及び、上記フィル
ム用樹脂組成物を構成材料としてなるフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルム用樹脂組
成物及びそれを用いたフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般にフィルム材料は、火災時にフィル
ム材料を伝わっての延焼を防ぐ目的より難燃性が必要と
されている。難燃性フィルム用の材料としては、従来よ
り軟質ポリ塩化ビニル系樹脂が用いられてきた。
【0003】一方、工業用途に用いられる高分子材料
は、近年、廃プラスチックの処理や環境ホルモンの問題
から、環境に優しい材料であることが求められており、
環境適応型材料への転換が望まれている。具体的には、
燃焼時のダイオキシン発生や軟質ポリ塩化ビニル系樹脂
中に一般的に添加されている可塑剤の毒性等の問題のた
めに、(軟質)ポリ塩化ビニル系樹脂から例えばポリオ
レフィン系樹脂への転換が検討されている。
【0004】このため、近年、フィルム材料の分野にお
いても環境適応型材料へ転換するために、ポリオレフィ
ン系樹脂を使用したフィルム材料の開発がなされている
(例えば、特開平8−3380号公報や特開平8−18
97号公報)。
【0005】しかし、ポリオレフィン系樹脂は、最も燃
焼性の高い樹脂の一つであり、難燃性を実現させること
は最も困難な課題となっている。現状では、大量の難燃
剤をポリオレフィン系樹脂中に練り込んで使用している
例が多い。
【0006】難燃剤の中でも、ハロゲン含有化合物から
なる難燃剤は、難燃化の効果が高く、成形性の低下やフ
ィルム材料のような成形体の機械的強度の低下も比較的
少ないが、これを使用した場合、成形加工時や燃焼時に
多量のハロゲン系ガスを発生する恐れがあり、発生した
ハロゲン系ガスにより機器が腐食したり、人体への好ま
しくない影響があるために、安全性の面からハロゲン含
有化合物を使用しない、いわゆるノンハロゲン難燃化技
術が強く望まれている。
【0007】ポリオレフィン系樹脂のノンハロゲン難燃
化技術の一つとして、燃焼時に有毒なガスを発生しな
い、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性
炭酸マグネシウム等の金属化合物を添加する方法が、例
えば、特開昭57−165437号公報や特開昭61−
36343号公報等に開示されている。
【0008】しかし、易燃性のポリオレフィン系樹脂に
十分な難燃性を付与するためには、多量の金属化合物を
添加する必要があり、その結果、得られるフィルム材料
のような成形体の機械的強度が著しく低下し、実用に供
することが難しいという問題点がある。
【0009】なかでも、水酸化アルミニウムや水酸化マ
グネシウム等の金属水酸化物をポリオレフィン系樹脂に
添加した場合は、燃焼時において被膜層を形成すること
ができず、脆い灰分が露出し、残渣が脱落していくた
め、断熱層としての機能を早期に失う上に、材料の変形
による延焼を食い止めることができない。
【0010】又、リン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂
に添加し、燃焼時に表面に被膜を形成させ、これによる
酸素遮断効果を利用することにより、難燃性を発現させ
る方法が提案されている。しかし、易燃性のポリオレフ
ィン系樹脂に十分な難燃性を付与するためには、多量の
リン系難燃剤を添加する必要があり、その結果、得られ
るフィルム材料のような成形体の機械的強度が著しく低
下し、実用に供することが難しいという問題点がある。
【0011】さらに、リン系難燃剤をポリオレフィン系
樹脂に添加した場合は、局所的には被膜を形成するもの
の、強固な被膜層を連続層として形成することは困難で
ある。又、局所的な被膜の機械的強度は非常に弱く、燃
焼時において脆い灰分が露出し、残渣が脱落していくた
め、断熱層としての機能を早期に失う上に、材料の変形
による延焼をくい止めることができない。
【0012】又、例えば、特開平6−25476号公報
には、ポリオレフィン系樹脂に赤リン又はリン化合物と
膨張性黒鉛とが添加された樹脂組成物が開示されてい
る。この樹脂組成物は、酸素指数から見た場合には十分
な難燃性を有するものの、実際には局所的にしか被膜を
形成できず、強固な被膜層を連続層として形成すること
ができないものである。又、局所的な被膜の機械的強度
は非常に弱く、燃焼時において脆い灰分が露出し、残渣
が脱落していくため、断熱層としての機能を早期に失う
上に、材料の変形による延焼をくい止めることができな
い。
【0013】一方、ポリオレフィン系樹脂は、廃プラス
チックの処理や環境ホルモン等に関する問題の少ない環
境適応型の材料として注目されている樹脂であると共
に、様々な方法でフィルム状に成形することが可能であ
り、成形性が良く、且つ、比較的安価であるという利点
を有するが、樹脂自体の機械的強度や極性が低いため
に、種々の高度な機能を付与することが一般的に困難で
ある。
【0014】近年、フィルム材料はその用途を拡大し様
々な用途に用いられているので、例えば、弾性が必要な
フィルムには弾性の高い樹脂が用いられ、又、耐熱性が
必要なフィルムには耐熱性の高い樹脂が用いられ、或い
は、ガスバリア性の必要なフィルムにはガスバリア性の
高い樹脂が用いられている。
【0015】しかし、このような高機能の樹脂には、成
形温度が高かったり、溶融粘度が不足したりするなどの
欠点があり、フィルム状への成形が一般的に困難である
という問題点がある。又、このような高機能の樹脂は、
樹脂自体が高価であることが多く、結果的に得られるフ
ィルム材料は経済性の低いものになりがちであるという
問題点がある。
【0016】つまり、このような高機能の樹脂からなる
フィルム材料には、成形性や経済性が低いという問題点
や、さらに必要とされる種々の機能を発現させるために
は、他のフィルム物性が損なわれがちであるという問題
点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、難燃性に優れ、特に燃焼時の形状保持効
果によって優れた難燃効果を発現し、あるいは機械的強
度や熱的特性に優れ、ポリ塩化ビニル系樹脂との分別に
有利であると共に、優れた弾性、ガスバリア性、寸法安
定性、耐熱性、耐候性、耐擦傷性等の諸機能を発現する
フィルムを、成形性良く経済的に有利に得るに適するフ
ィルム用樹脂組成物、及び、そのフィルム用樹脂組成物
を用いたフィルムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よるフィルム用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量
部に対して層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合され
てなることを特徴とする。
【0019】請求項2に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1に記載のフィルム用樹脂組成
物において、さらに、金属水酸化物0.1〜70重量部
又はメラミン誘導体0.1〜50重量部が配合されてな
ることを特徴とする。
【0020】請求項3に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1又は請求項2に記載のフィル
ム用樹脂組成物において、熱可塑性樹脂が、ポリオレフ
ィン系樹脂であることを特徴とする。
【0021】請求項4に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載
のフィルム用樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹
脂が、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂で
あることを特徴とする。
【0022】請求項5に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載
のフィルム用樹脂組成物において、層状珪酸塩が、モン
モリロナイト及び/又は膨潤性マイカであることを特徴
とする。
【0023】請求項6に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載
のフィルム用樹脂組成物において、層状珪酸塩が、炭素
数6以上のアルキルアンモニウムイオンを含有する層状
珪酸塩であることを特徴とする。
【0024】請求項7に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載
のフィルム用樹脂組成物において、層状珪酸塩が、広角
X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間
距離が3nm以上であり、且つ、一部もしくは全部が5
層以下に分散している層状珪酸塩であることを特徴とす
る。
【0025】請求項8に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載
のフィルム用樹脂組成物において、50kW/m2 の輻
射加熱条件下で30分間加熱すること(ASTM E
1354に準拠)により燃焼させた燃焼残渣を速度0.
1cm/sで圧縮した際の降伏点応力が4.9kPa以
上であることを特徴とする。
【0026】請求項9に記載の発明によるフィルム用樹
脂組成物は、上記請求項1〜請求項8のいずれかに記載
のフィルム用樹脂組成物において、密度が0.90〜
1.20g/cm3 であることを特徴とする。
【0027】請求項10に記載の発明によるフィルム
は、上記請求項1〜請求項9のいずれかに記載のフィル
ム用樹脂組成物を構成材料としてなることを特徴とす
る。
【0028】請求項11に記載の多層フィルムは、少な
くとも1層が上記請求項10に記載のフィルムであるこ
とを特徴とする。
【0029】本発明のフィルム用樹脂組成物に用いられ
る熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではない
が、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニ
ルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポ
リ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル
系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリフェニレンエーテル
系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂等が挙げられ、好適
に用いられるが、なかでもポリオレフィン系樹脂がより
好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用
いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
尚、本発明で言う「(メタ)アクリル」とは、「アクリ
ル」又は「メタクリル」を意味する。
【0030】上記ポリオレフィン系樹脂とは、分子内に
重合性二重結合を有するオレフィン系単量体を単独重合
もしくは共重合してなるものである。
【0031】上記オレフィン系単量体としては、特に限
定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘ
プテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、酢
酸ビニルなどのα−オレフィン類;ブタジエンやイソプ
レンなどの共役ジエン類等が挙げられる。これらのオレ
フィン系単量体は、単独で用いられても良いし、2種類
以上が併用されても良い。
【0032】上記ポリオレフィン系樹脂の具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン
の単独重合体、エチレンと該エチレンと共重合可能な他
のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと(メタ)ア
クリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとの共
重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレン
とスチレンとの共重合体などのポリエチレン系樹脂;プ
ロピレンの単独重合体、プロピレンと該プロピレンと共
重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレ
ンとエチレンとのランダム共重合体又はブロック共重合
体などのポリプロピレン系樹脂;ブテンの単独重合体;
ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンの単独重合体
又は共重合体等が挙げられ、好適に用いられるが、なか
でもポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂がより
好適に用いられ、なかでもエチレンの単独重合体、エチ
レンと該エチレンと共重合可能な他のα−オレフィンと
の共重合体、エチレンとアクリル酸エチルとの共重合
体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、プロピレンの
単独重合体、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な
他のα−オレフィンとの共重合体等が特に好適に用いら
れる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いら
れても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0033】オレフィン系単量体と共重合され得る(メ
タ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルとして
は、一般式:CH2 =C(R1 )COO−R2 (式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、R2 は、水素原
子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び、ハロ
ゲン基、アミノ基、グリシジル基等の官能基を含む炭化
水素基の中から選ばれる1価の基を示す)で表される化
合物が挙げられる。
【0034】上記一般式で表される(メタ)アクリル酸
エステルとしては、特に限定されるものではないが、例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル
酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n
−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸ト
リスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリ
ル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)
アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メ
タ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ナフ
チル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリクロロフェ
ニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェ
ニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アク
リル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エ
トキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸
ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メ
タ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アク
リル酸2,3−ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸
2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−ト
リフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロ
イソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル
酸t−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらの
(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。
【0035】エチレンと(メタ)アクリル酸及び/又は
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体やエチレンと
酢酸ビニルとの共重合体における、(メタ)アクリル酸
及び/又は(メタ)アクリル酸エステル又は酢酸ビニル
の含有量は、目的とするフィルム用樹脂組成物に要求さ
れる性能によって適宜決定されれば良く、特に限定され
るものではないが、通常、0.1〜50重量%であるこ
とが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。
上記含有量が0.1重量%未満であると、フィルム用樹
脂組成物の柔軟性改善効果を十分に得られないことがあ
り、逆に上記含有量が50重量%を超えると、フィルム
用樹脂組成物の耐熱性が低下することがある。
【0036】柔軟性に優れるポリオレフィン系樹脂が要
求される場合には、エチレンとα−オレフィンとの共重
合体が一般的に用いられる。特に、α−オレフィンの含
有量を高めることによって柔軟性が向上し、柔軟性を必
要とするフィルム用材料として好適に用いられる。上記
α−オレフィンとしては、特に限定されるものではない
が、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、
4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げら
れ、好適に用いられる。これらのα−オレフィンは、単
独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0037】上記エチレンとα−オレフィンとの共重合
体において、α−オレフィンの含有量は、特に限定され
るものではないが、0.1〜50重量%であることが好
ましく、より好ましくは2〜40重量%である。上記含
有量が0.1重量%未満であると、十分な柔軟性を得ら
れないことがあり、逆に上記含有量が50重量%を超え
ると、耐熱性が低下することがある。
【0038】上記ポリオレフィン系樹脂は、IV族、X
族又はXI族の遷移金属の錯体を重合触媒として重合す
ることができる。上記遷移金属の錯体とは、遷移金属原
子に配位子が結合したものである。
【0039】上記配位子としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、炭化水素基、置換炭化水素基、炭
化水素−置換メタロイド基等により置換されたシクロペ
ンタジエン環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;イ
ンデニル環;炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素−
置換メタロイド基等により置換されたインデニル環;塩
素、臭素等の1価のアニオンリガンド;2価のアニオン
キレートリガンド;炭化水素基;アルコキシド;アリー
ルアミド;アリールオキシド;アミド;ホスフィド;ア
リールホスフィド;シリル基;置換シリル基等が挙げら
れる。これらの配位子は、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。
【0040】上記炭化水素基としては、特に限定される
ものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル
基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、セチル基、2−エチルヘキシル基、フェ
ニル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、単独で
用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0041】上記配位子が結合した遷移金属の錯体の具
体例としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチル
アミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリ
ス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシ
クロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジ
エニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメ
チルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n
−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチル
フェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t
−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタ
ニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニル
チタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プ
ロピルアミド)等のIV族遷移金属の錯体;ビピリジ
ン、置換ビピリジン、ビスオキサゾリン、置換ビスオキ
サゾリン;一般式ArN=CR 3 CR4 =NAr(式
中、Arは、フェニル基又は置換フェニル基等のアリル
基を示し、R3 及びR4 は、水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、アリル基、又は、R3 、R4 が結合した環
状炭化水素基を示す)で表される配位子;各種ジイミ
ン;N,N’−ジメチルアミジナト、N,N’−ジエチ
ルアミジナト、N,N’−ジイソプロピルアミジナト、
N,N’−ジ−t−ブチルアミジナト、N,N’−トリ
フルオロメチルアミジナト、N,N’−ジフェニルアミ
ジナト、N,N’−ジ置換フェニルアミジナト、N,
N’−ジトリメチルシリルアミジナト、N,N’−ジメ
チルベンズアミジナト、N,N’−ジエチルベンズアミ
ジナト、N,N’−ジイソプロピルベンズアミジナト、
N,N’−ジ−t−ブチルベンズアミジナト、N,N’
−トリフルオロメチルベンズアミジナト、N,N’−ジ
フェニルベンズアミジナト、N,N’−ジトリメチルシ
リルベンズアミジナト;N,N’−ジ置換フェニルベン
ズアミジナト配位のニッケル、パラジウム、銅、銀等の
X族、XI族遷移金属の錯体等が挙げられる。これらの
遷移金属の錯体は、単独で用いられても良いし、2種類
以上が併用されても良い。上記遷移金属の錯体は、通
常、有機アルミニウム化合物やホウ素化合物のようなル
イス酸共存下で得ることができる。
【0042】以上のような触媒系で重合されたポリオレ
フィン系樹脂は、共重合成分の含有量を高めることが可
能であったり、組成分布の制御が可能であるため、幅広
い要求の柔軟性やフィルム強度に対応し得るフィルム用
樹脂組成物用として好適に用いられる。
【0043】本発明で用いられる熱可塑性樹脂の分子量
及び分子量分布は、特に限定されるものではないが、重
量平均分子量が5000〜500万であることが好まし
く、より好ましくは20000〜30万であり、分子量
分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜80
であることが好ましく、より好ましくは1.5〜40で
ある。
【0044】上記熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成
を阻害しない範囲で必要に応じて、樹脂改質のために熱
可塑性エラストマー類やオリゴマー類が添加されても良
い。上記熱可塑性エラストマー類としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、スチレン系エラストマ
ー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。これ
らの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。又、上記オリゴ
マー類としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、無水マレイン酸変性ポリエチレンオリゴマー等が挙
げられる。これらのオリゴマー類は、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。又、上記熱
可塑性エラストマー類及びオリゴマー類は、それぞれ単
独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0045】又、上記熱可塑性樹脂には、本発明の課題
達成を阻害しない範囲で必要に応じて、物性を均一化す
る補助手段として結晶を微細化するための結晶核となり
得る造核剤や、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、
光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、
防曇剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加さ
れても良い。
【0046】本発明のフィルム用樹脂組成物に用いられ
る層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸
塩鉱物を意味する。
【0047】上記層状珪酸塩としては、特に限定される
ものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイ
ト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、
ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バー
ミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げら
れ、好適に用いられる。なかでもモンモリロナイト及び
/又は膨潤性マイカがより好適に用いられる。上記層状
珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても
良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】上記層状珪酸塩としては、下記関係式
(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイ
ト類や膨潤性マイカを用いることが好ましい。スメクタ
イト類や膨潤性マイカのような形状異方性効果の大きい
層状珪酸塩を用いることにより、複合材料の機械的強度
はより優れたものとなる。 形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面(B)の面積‥‥(1) 尚、上式中、結晶表面(A)は層表面を意味し、結晶表
面(B)は層側面を意味する。
【0049】上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽
イオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリ
ウムやカルシウムなどの金属のイオンであり、これらの
イオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するた
め、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の
結晶層間に挿入(インターカレート)することができ
る。
【0050】上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、特
に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/
100gであることが好ましい。層状珪酸塩の陽イオン
交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、イオ
ン交換により層状珪酸塩の結晶層間にインターカレート
されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層
間が十分に非極性化されないことがあり、逆に層状珪酸
塩の陽イオン交換容量が200ミリ等量/100gを超
えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固となりす
ぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0051】本発明において、熱可塑性樹脂として例え
ばポリオレフィン系樹脂のような低極性樹脂が用いられ
る場合には、予め層状珪酸塩の層間をカチオン性界面活
性剤で陽イオン交換して、疎水化しておくことが好まし
い。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことによ
り、層状珪酸塩と熱可塑性樹脂との親和性が高まり、層
状珪酸塩を熱可塑性樹脂中により均一に微分散させるこ
とができる。
【0052】上記カチオン性界面活性剤としては、特に
限定されるものではなく、例えば、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、好適に用いられ
る。なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化
し得ることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4
級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウ
ム塩)がより好適に用いられる。
【0053】上記4級アンモニウム塩としては、特に限
定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチル
アンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム
塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチ
ルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム
塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリ
オキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアン
モニウム塩等が挙げられ、好適に用いられる。これらの
4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2
種類以上が併用されても良い。
【0054】又、上記4級ホスホニウム塩としては、特
に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフ
ェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウ
ム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリル
トリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム
塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリ
ルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられ、好適に用い
られる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いら
れても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0055】本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述の
ように化学処理によって熱可塑性樹脂中への分散性を向
上させることができる。
【0056】上記化学処理は、カチオン性界面活性剤に
よる陽イオン交換法(以下、「化学修飾(1)法」と記
す)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す各
種化学処理法によっても実施することができる。尚、化
学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によ
って熱可塑性樹脂中への分散性を向上させた層状珪酸塩
を、以下、「有機化層状珪酸塩」と記す。
【0057】(2)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有す
る化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(2)
法」と記す)。
【0058】(3)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性の大きい官能基及び反応性官能基を分子末
端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、
「化学修飾(3)法」と記す)。
【0059】(4)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を
有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾
(4)法」と記す)。
【0060】(5)化学修飾(4)法において、アニオ
ン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位
以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理
する方法(以下、「化学修飾(5)法」という)。
【0061】(6)上記化学修飾(1)法〜化学修飾
(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状
珪酸塩に、さらに、例えば、無水マレイン酸変性ポリオ
レフィン系樹脂のような層状珪酸塩と反応可能な官能基
を有する重合体を添加した組成物を用いる方法(以下、
「化学修飾(6)法」と記す)等が挙げられる。これら
の化学修飾法は、単独で用いられても良いし、2種類以
上の方法が併用されても良い。
【0062】上記化学修飾(2)法において、水酸基と
化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化
学的親和性の大きい官能基としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、アルコキシ基、エポキシ基、カ
ルボキシル基(二塩基性酸無水物も包含する)、水酸
基、イソシアネート基、アルデヒド基等の官能基や、水
酸基との化学的親和性が高いその他の官能基等が挙げら
れる。
【0063】水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化
学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有す
る化合物としては、特に限定されるものではないが、例
えば、上記に例示した官能基を有するシラン化合物、チ
タネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、ア
ルコール類等が挙げられ、好適に用いられる。これらの
化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併
用されても良い。
【0064】上記シラン化合物としては、特に限定され
るものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチ
ルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オク
タデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
等が挙げられ、好適に用いられる。これらのシラン化合
物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。
【0065】又、化学修飾(4)法及び化学修飾(5)
法において、アニオン性界面活性を有する化合物、及び
/又は、アニオン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオ
ン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物とし
ては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理でき
るものであれば如何なる化合物であっても良く、特に限
定されるものではないが、例えば、ラウリル酸ナトリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、
高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール
硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が
挙げられ、好適に用いられる。これらの化合物は、単独
で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0066】本発明で用いられる層状珪酸塩は、広角X
線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距
離が3nm以上であり、且つ、一部もしくは全部が5層
以下に分散している層状珪酸塩であることが好ましく、
より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であ
り、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散している
層状珪酸塩である。尚、本発明で言う層状珪酸塩の平均
層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした
場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピーク及び透
過型電子顕微鏡撮影、即ち、広角X線回折測定法によ
り、算出することができる。
【0067】層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上で
あり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散してい
ると、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に添加し分散させて
得られる本発明のフィルム用樹脂組成物は、優れた難燃
性、機械的物性、耐熱性等の諸性能を発現するものとな
る。
【0068】層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上で
あるということは、層状珪酸塩の層間が3nm以上に開
裂していることを意味しており、又、層状珪酸塩の一部
もしくは全部が5層以下に分散しているということは、
層状珪酸塩の積層体の一部もしくは全部が広く分散して
いることを意味しており、いずれも層状珪酸塩の層間の
相互作用が弱まっていることになり、そのことにより、
上記効果を得ることができる。
【0069】特に、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm
以上であると、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に添加し分
散させて得られる本発明のフィルム用樹脂組成物は、著
しく優れた難燃性、機械的物性、耐熱性等の諸性能を発
現するものとなる。又、層状珪酸塩の平均層間距離が3
nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩
の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用が
殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成す
る結晶薄片の熱可塑性樹脂中での分散状態が離砕安定化
の方向に進行する利点がある。
【0070】又、層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層
以下に分散しているということは、具体的には、層状珪
酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にある
ことが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸
塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0071】層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層し
ていることが好ましく、そのことにより、上記効果を得
ることができるが、より好ましくは3層以下に分層して
いることであり、特に好ましくは単層状に薄片化してい
ることである。
【0072】本発明のフィルム用樹脂組成物において、
層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、
層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層以下に分散してい
る状態、即ち、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩が高分散し
ている状態であれば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界
面面積が増大したり、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均距
離が小さくなる。
【0073】熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が
増大すると、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の
拘束の度合いが高まり、弾性などの機械的物性が向上す
る。又、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束
の度合いが高まると、溶融粘度が高まり、成形性も向上
する。さらに、層状珪酸塩の邪魔板効果により、ガスバ
リア性の発現も可能となる。
【0074】一方、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均距離
が小さくなると、燃焼時において、層状珪酸塩の結晶薄
片の移動による焼結体を形成し易くなる。即ち、層状珪
酸塩の結晶薄片が上記平均層間距離が3nm以上となる
ように分散したフィルム用樹脂組成物は、難燃被膜とな
り得る焼結体を形成し易くなる。この焼結体は、燃焼時
の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を
遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも
遮断することができ、フィルム用樹脂組成物は優れた難
燃性を発現する。
【0075】本発明のフィルム用樹脂組成物は、前述の
熱可塑性樹脂100重量部に対して上述の層状珪酸塩
(前記有機化層状珪酸塩も包含する)0.1〜100重
量部が配合されてなることが必要であり、好ましくは熱
可塑性樹脂100重量部に対して層状珪酸塩1〜20重
量部である。
【0076】熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪
酸塩の配合量が0.1重量部未満であると、燃焼時に焼
結体を形成するのが困難となるので、難燃効果が小さい
ものとなり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する層
状珪酸塩の配合量が200重量部を超えると、フィルム
用樹脂組成物の密度(比重)が高くなりすぎて、実用性
に乏しくなる。
【0077】熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を分散させる
方法としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、前記有機化層状珪酸塩を用いる方法;分散剤を用い
る方法;物理的エネルギーにより分散させる方法等が挙
げられる。これらの分散方法を用いることにより、熱可
塑性樹脂中に層状珪酸塩をより均一且つ微細に分散させ
ることができる。
【0078】上記の物理的エネルギーにより分散させる
方法について以下に述べる。物理的エネルギーによる分
散とは、例えば、混練機による剪断力を層状珪酸塩の分
散エネルギーに転換する方法や、発泡剤を用いて熱可塑
性樹脂を発泡させ、その発泡エネルギーを層状珪酸塩の
分散エネルギーに転換する方法等である。
【0079】混練機による剪断力を層状珪酸塩の分散エ
ネルギーに転換する方法としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、剪断力の大きい混練機を用いる方
法;フィルム用樹脂組成物の溶融粘度が高い状態で混練
する方法;使用する層状珪酸塩とは異なる種類の無機化
合物を同時に添加して混練する方法等が挙げられる。
【0080】又、発泡剤を用いて熱可塑性樹脂を発泡さ
せ、その発泡エネルギーを層状珪酸塩の分散エネルギー
に転換する方法において用いられる発泡剤としては、特
に限定されるものではないが、例えば、気体状発泡剤、
易揮発性液状発泡剤、加熱分解型固体状発泡剤等が挙げ
られる。これらの発泡剤は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0081】層状珪酸塩の存在下で熱可塑性樹脂を発泡
させることにより層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散せ
しめる具体的な方法としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、以下の方法等が挙げられる。
【0082】(1)熱可塑性樹脂100重量部及び層状
珪酸塩0.1〜100重量部からなる熱可塑性樹脂組成
物に対し、常温常圧下でガス状の化合物を高圧下で含浸
させた後、このガス状化合物を熱可塑性樹脂組成物内で
気化させることにより、発泡体を形成せしめることによ
る分散方法。
【0083】(2)層状珪酸塩の層間に予め熱分解型発
泡剤を含有させ、その熱分解型発泡剤を加熱により分解
せしめることにより、発泡構造を形成せしめることによ
る分散方法。
【0084】層状珪酸塩が剥離し結晶薄片が熱可塑性樹
脂中に分散すればするほど、結晶薄片間の平均距離が小
さくなり、燃焼時において層状珪酸塩の結晶薄片の移動
による焼結体の形成が行われ易くなる。又、層状珪酸塩
の結晶薄片が熱可塑性樹脂中に分散すればするほど、本
発明のフィルム用樹脂組成物の弾性率やガスバリア性が
著しく向上する。
【0085】上記いずれの現象も、層状珪酸塩と熱可塑
性樹脂との界面面積が、結晶薄片の分散の向上に伴って
増大することによる。即ち、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩
との接着面において、熱可塑性樹脂の分子運動が拘束さ
れることにより、熱可塑性樹脂の弾性率等の力学的強度
が増大するので、結晶薄片の分散割合が向上すればする
ほど、本発明のフィルム用樹脂組成物の強度を増大させ
る効果が大きくなる。
【0086】又、ポリマー中では無機物に比べてガス分
子の方がはるかに拡散しやすいので、熱可塑性樹脂中を
ガス分子が拡散する際には、無機物を迂回しながら拡散
する。従ってこの場合も、層状珪酸塩の結晶薄片の分散
割合が向上すればするほど、本発明のフィルム用樹脂組
成物のガスバリア性を効率的に増大させることができ
る。
【0087】本発明のフィルム用樹脂組成物には、得ら
れるフィルムに高周波ウエルダーによる融着性(高周波
融着性)を付与するために、前記層状珪酸塩の層間に存
在する交換性陽イオン以外に、さらにイオン性有機化合
物が添加されていても良い。イオン性有機化合物が添加
されたフィルム用樹脂組成物は、高周波による発熱性が
向上するので、優れた高周波融着性を発現するものとな
る。
【0088】上記イオン性有機化合物は、特に限定され
るものではなく、カチオン性有機化合物であっても良い
し、アニオン性有機化合物であっても良いが、なかでも
カチオン性有機化合物が好ましく、なかでも4級アンモ
ニウム塩が特に好ましい。上記4級アンモニウム塩とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、前記カ
チオン性界面活性剤として例示したものと同様の各種4
級アンモニウム塩が挙げられ、好適に用いられる。これ
らのイオン性有機化合物は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0089】層状珪酸塩は、その層間に上記カチオン性
有機化合物を取り込むことができ、又、分散状態も非常
に良いので、液状のカチオン性有機化合物であってもブ
リードすることなくフィルム用樹脂組成物中に均一に微
分散することが可能であり、その結果、フィルム用樹脂
組成物の透明性も向上する。
【0090】又、本発明のフィルム用樹脂組成物には、
必須成分である熱可塑性樹脂及び層状珪酸塩以外に、本
発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例え
ば、難燃性をさらに向上させるための難燃剤や、充填
剤、軟化剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、着色
剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、
紫外線吸収剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が
添加されていても良い。
【0091】上記難燃剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグ
ネシウムなどの金属水酸化物;金属酸化物;赤リンやポ
リリン酸アンモニウムなどのリン系化合物;メラミン、
メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リ
ン酸メラミン並びにこれらに表面処理が施されたものの
ようなメラミン誘導体などの窒素系化合物等が挙げら
れ、なかでも金属水酸化物やメラミン誘導体が好適に用
いられる。これらの難燃剤は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0092】本発明のフィルム用樹脂組成物において
は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、層状珪酸塩
0.1〜100重量部に加えるに、さらに金属水酸化物
0.1〜70重量部又はメラミン誘導体0.1〜50重
量部が配合されていることが好ましく、より好ましく
は、熱可塑性樹脂100重量部に対して金属水酸化物1
〜50重量部又はメラミン誘導体1〜40重量部であ
る。
【0093】熱可塑性樹脂100重量部に対する金属水
酸化物及び/又はメラミン誘導体の配合量が0.1重量
部未満であると、これらを配合することによる難燃効果
を十分に得られないことがあり、逆に熱可塑性樹脂10
0重量部に対する金属水酸化物の配合量が70重量部を
超えるか、又は、メラミン誘導体の配合量が50重量部
を超えると、得られるフィルム用樹脂組成物からなるフ
ィルムの柔軟性や伸度が極端に低下することがある。
【0094】本発明のフィルム用樹脂組成物の製造方法
としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱
可塑性樹脂及び層状珪酸塩の各所定量と、必要に応じて
添加される各種添加剤の1種もしくは2種以上の各所定
量とを、常温下もしくは加熱下で、直接配合して混練す
る方法(直接混練法)や、予め熱可塑性樹脂の所定量の
一部に所定量の層状珪酸塩を配合して混練したマスター
バッチを作製しておき、このマスターバッチと熱可塑性
樹脂の所定量の残部及び必要に応じて添加される各種添
加剤の1種もしくは2種以上の各所定量とを、常温下も
しくは加熱下で混練する方法(マスターバッチ法)等が
挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0095】上記マスターバッチにおける層状珪酸塩の
濃度は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂
100重量部に対して層状珪酸塩1〜500重量部であ
ることが好ましく、より好ましくは層状珪酸塩5〜30
0重量部である。
【0096】上記マスターバッチにおいて、層状珪酸塩
の濃度が熱可塑性樹脂100重量部に対して1重量部未
満であると、任意濃度に希釈可能なマスターバッチとし
ての利便性や保管性等が失われることがあり、逆に層状
珪酸塩の濃度が熱可塑性樹脂100重量部に対して50
0重量部を超えると、マスターバッチ自体の分散性や、
特に熱可塑性樹脂によって所定の配合量に希釈する際の
層状珪酸塩の分散性が悪くなることがある。
【0097】こうして得られる本発明のフィルム用樹脂
組成物は、ASTM E 1354に準拠した燃焼試験
において、50kW/m2 の輻射加熱条件下で30分間
加熱することにより燃焼させた燃焼残渣を速度0.1c
m/sで圧縮した際の降伏点応力が4.9kPa以上で
あることが好ましく、より好ましくは15.0kPa以
上である。
【0098】フィルム用樹脂組成物の燃焼残渣の降伏点
応力が4.9kPa未満であると、微少な力で燃焼残渣
の崩壊が起こり易くなって、フィルム用樹脂組成物やこ
のフィルム用樹脂組成物からなるフィルムの難燃性が不
十分となることがある。即ち、本発明のフィルム用樹脂
組成物の焼結体が難燃被膜としての機能を十分に発現す
るためには、燃焼終了時まで焼結体がその形状を保持し
ていることが好ましい。
【0099】又、本発明のフィルム用樹脂組成物は、密
度が0.90〜1.20g/cm3であることが好まし
い。フィルム用樹脂組成物の密度が1.20g/cm3
を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂と比重が近くなるた
め、分別回収時にポリ塩化ビニル系樹脂製のフィルムと
分別することが困難となることがある。
【0100】次に、本発明のフィルムは、上述した本発
明のフィルム用樹脂組成物を構成材料としてなる。
【0101】本発明のフィルムの成形方法としては、特
に限定されるものではないが、例えば、予め作製したフ
ィルム用樹脂組成物を押出機にて溶融混練した後、押出
し、Tダイやサーキュラーダイ等を用いて、フィルム状
に成形する方法や、フィルム用樹脂組成物を有機溶剤の
ような溶媒に溶解もしくは分散させた後、キャスト方式
でフィルム状に成形する方法等が挙げられ、いずれの方
法が採られても良い。
【0102】こうして得られる本発明のフィルムは、単
層フィルムであっても良いし、本発明のフィルム用樹脂
組成物を構成材料としてなるフィルムを少なくとも1層
含む2層以上の多層フィルムであっても良い。
【0103】本発明のフィルムの種類や用途は、特に限
定されるものではなく、例えば、高周波ウエルダー用フ
ィルム、ガスバリア性フィルム、農業用被覆資材用フィ
ルム、シーラントフィルム、熱収縮性フィルム等の如何
なる種類や用途むけのフィルムであっても良い。
【0104】
【作用】本発明のフィルム用樹脂組成物は、特定量の熱
可塑性樹脂に対して特定量の層状珪酸塩が配合されてな
るので、燃焼時に層状珪酸塩による焼結体が形成され、
燃焼残渣の形状が保持される。これにより燃焼後も形状
崩壊が起こらず、延焼を防止することができる。
【0105】従って、本発明のフィルム用樹脂組成物及
びこのフィルム用樹脂組成物を構成材料としてなる本発
明のフィルムは、優れた難燃性を発現する。又、層状珪
酸塩は通常の難燃剤のように大量に配合しなくとも熱可
塑性樹脂に対して優れた難燃性を付与できるので、上記
フィルム用樹脂組成物及びフィルムは、優れた機械的物
性や透明性を保持できる。さらに、難燃剤を大量に配合
しないので、フィルム用樹脂組成物及びフィルムの密度
(比重)が大きくならず、ポリ塩化ビニル系樹脂との分
別に有利である。
【0106】又、本発明のフィルム用樹脂組成物及びフ
ィルムは、弾性率やガスバリア性等の物性が向上してい
ると共に、分子鎖の拘束による耐熱変形温度の上昇に基
づく耐熱性の向上や、層状珪酸塩の結晶による造核剤効
果に基づく寸法安定性の向上等も図られている。
【0107】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は
「重量部」を意味する。
【0108】(実施例1)小型押出機(商品名「TEX
30」、日本製鋼所社製)中に、ポリエチレン樹脂{密
度:0.92g/cm3 、MFR:2.0g/10分
(190℃)}92.3部及びジステアリルジメチル4
級アンモニウム塩で有機化処理が施された膨潤性フッ素
マイカ(商品名「ソマシフMAE−100」、コープケ
ミカル社製)7.7部をフィードし、設定温度160℃
で溶融混練してストランド状に押出し、押出されたスト
ランドをペレタイザーによりペレット化して、フィルム
用樹脂組成物のペレットを作製した。
【0109】上記で得られたフィルム用樹脂組成物のペ
レットを上下各200℃に温調した熱プレスでプレスし
圧延して、厚み2mmの板状成形体を作製した。
【0110】(比較例1)膨潤性フッ素マイカ「ソマシ
フMAE−100」7.7部の代わりに、平均粒子径5
0μmの炭酸カルシウム7.7部を用いたこと以外は実
施例1の場合と同様にして、フィルム用樹脂組成物のペ
レット及び厚み2mmの板状成形体を作製した。
【0111】(比較例2)膨潤性フッ素マイカ「ソマシ
フMAE−100」を用いなかったこと以外は実施例1
の場合と同様にして、フィルム用樹脂組成物のペレット
及び厚み2mmの板状成形体を作製した。
【0112】実施例1、並びに、比較例1及び比較例2
で得られた板状成形体中の層状珪酸塩の平均層間距離
を以下の方法で測定した。又、上記板状成形体の初期
着火時間及び燃焼残渣の被膜強度を以下の方法で測定
した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0113】平均層間距離:X線回折測定装置(商品
名「RINT1100」、リガク社製)を用いて、板状
成形体中の層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折
ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式によ
り、層状珪酸塩の(001)面間隔(d)を算出し、得
られたdを平均層間距離(nm)とした。 λ=2dsinθ (式中、λ:1.54、d:層状珪酸塩の面間隔、θ:
回折角)
【0114】初期着火時間及び燃焼残渣の被膜強
度:ASTM E 1354「建築材料の燃焼性試験方
法」に準拠して、100mm×100mm(厚み2m
m)に裁断した板状成形体にコーンカロリーメーターに
よって50kW/m2 の熱線を照射して燃焼させた。こ
の時、最大発熱速度(kW/m2 )を測定して初期着火
時間とした。又、強度測定装置を用いて、燃焼残渣を速
度0.1cm/sで圧縮し、燃焼残渣の被膜強度(kP
a)を測定した。
【0115】(実施例2)押出機を用いて、実施例1で
作製したフィルム用樹脂組成物のペレットを加熱溶融
し、Tダイより押出して、厚み100μmのフィルムを
作製した。
【0116】(比較例3)比較例1で作製したフィルム
用樹脂組成物のペレットを用いたこと以外は実施例2の
場合と同様にして、厚み100μmのフィルムを作製し
た。
【0117】(比較例4)比較例2で作製したフィルム
用樹脂組成物のペレットを用いたこと以外は実施例2の
場合と同様にして、厚み100μmのフィルムを作製し
た。
【0118】実施例2、並びに、比較例3及び比較例4
で得られたフィルムのガスバリア性、弾性率及び
破断応力を以下の方法で測定した。その結果は表1に示
すとおりであった。
【0119】ガスバリア性:JIS K−7126
「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方
法」に準拠して、フィルムの酸素透過係数(cc・cm
/cm 2 ・sec・cmHg)を測定し、ガスバリア性
とした。
【0120】弾性率及び破断応力:JIS K−7
127「プラスチックフィルム及びシートの引張試験方
法」に準拠して、テンシロン試験機を用い、フィルムの
長さ方向(MD)及び幅方向(TD)から切り出したダ
ンベル試験片の引張試験を引張速度200mm/分で行
って、それぞれの弾性率(MPa)及び破断応力(MP
a)を測定した。
【0121】(実施例3)小型押出機「TEX30」中
に、ポリプロピレン樹脂(商品名「F8577」、チッ
ソ社製)92.3部、膨潤性フッ素マイカ「ソマシフM
AE−100」7.7部及びカチオン性有機化合物とし
てN−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジ
メチルアンモニウム塩5部をフィードし、設定温度16
0℃で溶融混練してストランド状に押出し、押出された
ストランドをペレタイザーによりペレット化して、フィ
ルム用樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、得ら
れたフィルム用樹脂組成物のペレットを用いたこと以外
は実施例2の場合と同様にして、厚み100μmのフィ
ルムを作製した。
【0122】(比較例5)ポリプロピレン樹脂「F85
77」を単独で用いたこと以外は実施例2の場合と同様
にして、厚み100μmのフィルムを作製した。
【0123】実施例3及び比較例5で得られたフィルム
の高周波融着性を以下の方法で測定した。その結果は
表1に示すとおりであった。
【0124】高周波融着性:フィルムを2枚重ね、高
周波ウェルダー加工機(商品名「KV−3000T」、
精電舎電子社製)を用いて、40.68MHzの高周波
を2秒間及び4秒間印加して高周波融着を行った。尚、
金型のサイズは5mm×100mmで行った。得られた
高周波融着物を手で剥離し、剥離状態を目視で観察し
て、下記判定基準により高周波融着性を評価した。 〔判定基準〕 ○‥‥強固に融着しており、無理に剥離するとフィルム
が破壊した。 ×‥‥全く融着していなかった。
【0125】
【表1】
【0126】表1から明らかなように、本発明による実
施例1のフィルム用樹脂組成物からなる板状成形体中に
おいては層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上(3.
5nm以上)であったので、難燃被膜となり得る焼結体
を形成し易かった。又、上記フィルム用樹脂組成物から
なる板状成形体は、最大発熱速度が遅く、燃焼残渣の被
膜強度が4.9kPa以上(5kPa)であり、高かっ
た。
【0127】又、上記フィルム用樹脂組成物からなる実
施例2のフィルムは、酸素透過係数が低く、ガスバリア
性に優れていた。さらに、上記フィルムは、弾性率及び
破断応力が長さ方向及び幅方向のいずれについても優れ
ていた。
【0128】これに対し、膨潤性フッ素マイカ(層状珪
酸塩)の代わりに炭酸カルシウムを用いた比較例1のフ
ィルム用樹脂組成物からなる板状成形体中においては炭
酸カルシウムの平均層間距離が3nm未満(1.4nm
以下)であったので、難燃被膜となり得る焼結体を形成
し難かった。又、上記フィルム用樹脂組成物からなる板
状成形体は、最大発熱速度がかなり速く、燃焼残渣の被
膜強度が低かった。
【0129】又、上記フィルム用樹脂組成物からなる比
較例3のフィルムは、酸素透過係数が高く、ガスバリア
性が悪かった。さらに、上記フィルムは、破断応力が長
さ方向及び幅方向のいずれについても低かった。
【0130】又、膨潤性フッ素マイカ(層状珪酸塩)及
び炭酸カルシウムのいずれをも用いなかった比較例2の
フィルム用樹脂組成物からなる板状成形体は、最大発熱
速度が極めて速く、燃焼残渣は被膜を形成しなかった。
【0131】又、上記フィルム用樹脂組成物からなる比
較例4のフィルムは、酸素透過係数が高く、ガスバリア
性が悪かった。さらに、上記フィルムは、弾性率が長さ
方向及び幅方向のいずれについても低かった。
【0132】さらに、膨潤性フッ素マイカ(層状珪酸
塩)及びカチオン性有機化合物を共存させた実施例3の
フィルム用樹脂組成物からなるフィルムは、優れた高周
波融着性を発現した。
【0133】これに対し、ポリプロピレン樹脂単独から
なる比較例5のフィルムは、高周波融着性を全く発現し
なかった。
【0134】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のフィルム用
樹脂組成物は、難燃性に優れ、特に燃焼時の形状保持効
果によって優れた難燃効果を発現し、あるいは機械的強
度や熱的特性に優れ、ポリ塩化ビニル系樹脂との分別に
有利であると共に、優れた弾性、ガスバリア性、寸法安
定性、耐熱性、耐候性、耐擦傷性等の諸機能を発現する
フィルムを、成形性良く経済的に有利に得ることができ
るので、フィルム成形用の樹脂組成物として好適に用い
られる。
【0135】又、本発明のフィルムは、上記本発明のフ
ィルム用樹脂組成物から構成されるので、上記優れた諸
特性を兼備するものであり、一般用フィルムとしては勿
論のこと、例えば、高周波ウエルダー用フィルム、ガス
バリア性フィルム、農業用被覆資材用フィルム、シーラ
ントフィルム、熱収縮性フィルム等の高機能フィルムと
して好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/34 C08K 3/34 5/3492 5/3492 9/00 9/00 C08L 23/00 C08L 23/00 (72)発明者 内田 かずほ 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 戸川 勝也 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 仁木 章博 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 村山 浩 兵庫県尼崎市潮江5−8−6 積水化学工 業株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA02 AA15 AA20 AB18 AB26 AC12 AE07 AE17 BA01 BA02 BA03 BB02 BB06 BC01 4F100 AA03A AA03B AA17A AA17B AC03A AC03B AC05A AC05B AH03A AK01A AK01B AK03A AK03B AK04A AK04B AK07A AK07B AK36A AK36B AL05A AL05B BA02 DE10A DE10B JA13A JA13B JB10A JB10B JB16A JB16B JJ07 JK01 JK05A JL00 JL01 JL02 4J002 AA011 BB031 BB051 BB121 BB141 DE077 DE147 DJ006 EU187 EU197 FB086 FD016 FD137

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部に対して層状
    珪酸塩0.1〜100重量部が配合されてなることを特
    徴とするフィルム用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、金属水酸化物0.1〜70重量
    部又はメラミン誘導体0.1〜50重量部が配合されて
    なることを特徴とする請求項1に記載のフィルム用樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    フィルム用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン
    系樹脂又はポリプロピレン系樹脂であることを特徴とす
    る請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフィルム用樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 層状珪酸塩が、モンモリロナイト及び/
    又は膨潤性マイカであることを特徴とする請求項1〜請
    求項4のいずれかに記載のフィルム用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 層状珪酸塩が、炭素数6以上のアルキル
    アンモニウムイオンを含有する層状珪酸塩であることを
    特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフィ
    ルム用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 層状珪酸塩が、広角X線回折測定法によ
    り測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上で
    あり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散してい
    る層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1〜請求項
    6のいずれかに記載のフィルム用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 50kW/m2 の輻射加熱条件下で30
    分間加熱すること(ASTM E 1354に準拠)に
    より燃焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮し
    た際の降伏点応力が4.9kPa以上であることを特徴
    とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のフィルム
    用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 密度が0.90〜1.20g/cm3
    あることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに
    記載のフィルム用樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のいずれかに記載
    のフィルム用樹脂組成物を構成材料としてなることを特
    徴とするフィルム。
  11. 【請求項11】 少なくとも1層が請求項10に記載の
    フィルムであることを特徴とする多層フィルム。
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