JP2002285011A - 電線被覆用又はシース用熱可塑性樹脂組成物、並びに、それらを用いたシース及び電線 - Google Patents

電線被覆用又はシース用熱可塑性樹脂組成物、並びに、それらを用いたシース及び電線

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JP2002285011A
JP2002285011A JP2001141889A JP2001141889A JP2002285011A JP 2002285011 A JP2002285011 A JP 2002285011A JP 2001141889 A JP2001141889 A JP 2001141889A JP 2001141889 A JP2001141889 A JP 2001141889A JP 2002285011 A JP2002285011 A JP 2002285011A
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resin composition
flame
layered silicate
electric wire
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JP2001141889A
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Koji Taniguchi
浩司 谷口
Koichi Shibayama
晃一 柴山
Hideyuki Takahashi
英之 高橋
Akihiko Bando
明彦 坂東
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に燃焼時に形状を保持し、かつ、難燃効果
を奏する熱可塑性樹脂組成物であって、機械的強度及び
熱的特性にも優れる高度な難燃性を有する電線被覆用又
はシース用熱可塑性樹脂組成物、並びに、それらを用い
たシース及び電線を提供する。 【解決手段】 電線被覆又はシースに用いられる熱可塑
性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂100重量部、層
状珪酸塩0.1〜30重量部、及び、非ハロゲン系難燃
剤100〜150重量部を含有し、UL94安全規格に
従い、短冊状に調製した試験片の上端を支持し下端に接
炎した際に、1度目及び2度目の接炎により炎を出して
燃焼する時間の合計が30秒以下であり、2度目の接炎
後の無煙燃焼時間が60秒以下であり、かつ、燃焼中に
有炎溶融樹脂が滴下しない熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性に優れる、
電線被覆用又はシース用熱可塑性樹脂組成物、並びに、
それらを用いたシース及び電線に関する。
【0002】
【従来の技術】電線被覆用及びシース用樹脂は、火災時
に電線を伝わることによる延焼を防ぐ目的により難燃性
が必要とされている(JIS C 3005)。このた
め、電線被覆用及びシース用の材料としては、従来より
軟質ポリ塩化ビニルが用いられてきた。
【0003】工業用途に用いられる高分子材料には、近
年、廃プラスチックの処理や環境ホルモンの問題から、
環境に負荷をかけない材料であることが求められてお
り、環境適応型材料への転換が望まれている。具体的に
は、燃焼時のダイオキシン発生や可塑剤の毒性等の問題
のために、例えば、ポリ塩化ビニルからポリオレフィン
系樹脂への転換が検討されている。このため、近年、電
線においても、環境適応型材料へ転換するために、電線
被覆用及びシース用樹脂にポリオレフィン系樹脂が使用
された電線、いわゆるエコ電線の開発がなされている。
【0004】しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、
最も燃焼性の高い樹脂の一つであり、難燃性を発現させ
ることは最も困難な課題となっている。現状では、大量
の難燃剤をポリオレフィン系樹脂に練り込んで使用して
いる例が多い。
【0005】難燃剤の中でも、含ハロゲン難燃剤は、難
燃化の効果が高く、成形性の低下作用や成形品の機械的
強度の低下作用も比較的少ないが、これを使用した場
合、成形加工時や燃焼時に多量のハロゲン系ガスが発生
するおそれがあり、発生したガスにより、機器が腐食し
たり人体に影響が及んだりする等のおそれがあるため
に、安全性の面からハロゲン含有化合物を使用しない、
いわゆるノンハロゲン難燃化処理方法が強く望まれてい
る。
【0006】ポリオレフィン系樹脂のノンハロゲン難燃
化処理方法の一つとして、燃焼時に有毒なガスを発生し
ない、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基
性炭酸マグネシウム等の金属化合物を添加する方法が、
特開昭57−165437号公報、特開昭61−363
43号公報等に開示されている。しかしながら、易燃性
のポリオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するため
には、多量の金属化合物を添加する必要があり、その結
果、得られる成形体の機械的強度が著しく低下し実用に
供することが難しいという問題点があった。
【0007】また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム等の金属水酸化物のみをポリオレフィン系樹脂に
添加した場合は、燃焼時において被膜層を形成すること
ができず、脆い灰分が露出し、燃焼残渣が脱落していく
ので、断熱層としての機能を早期に失い、更に、材料が
変形するために延焼をくい止めることができなかった。
【0008】一方、リン系難燃剤をポリオレフィン系樹
脂に添加し、燃焼時に表面に被膜を形成して、これによ
る酸素遮断効果を利用することにより、難燃性を発現さ
せる方法が提案されている。しかしながら、易燃性のポ
リオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するために
は、多量のリン系難燃剤を添加する必要があり、その結
果、得られる成形体の機械的強度が著しく低下し、実用
に供することが難しいという問題点があった。
【0009】また、リン系難燃剤をポリオレフィン系樹
脂に添加した場合は、局所的には被膜が形成されるもの
の、強固な被膜層を連続層として形成することは困難で
あった。局所的な被膜の機械的強度は非常に弱く、燃焼
時において脆い灰分が露出し、燃焼残渣が脱落していく
ために、断熱層としての機能を早期に失い、更に、材料
が変形するために延焼をくい止めることができなかっ
た。
【0010】特開平6−15476号公報には、ポリオ
レフィン系樹脂に、赤リン又はリン化合物と膨張性黒鉛
とが添加された樹脂組成物が開示されている。この樹脂
組成物を酸素指数から見た場合には、充分な難燃性を有
するものの、実際には局所的にしか被膜を形成できず、
強固な被膜層を連続層として形成することができないも
のであった。局所的な被膜の機械的強度は非常に弱く、
燃焼時において脆い灰分が露出し、燃焼残渣が脱落して
いくために、断熱層としての機能を早期に失い、更に、
材料が変形するために延焼をくい止めることができなか
った。
【0011】特開平11−228748号公報には、ポ
リオレフィン樹脂に、有機処理された粘土鉱物とともに
リン系難燃剤を添加することにより燃焼性を抑えた樹脂
組成物が開示されている。この樹脂組成物は、粘土鉱物
を含有するために燃焼時の形状保持効果には優れるが、
高度な難燃性は達成できていない。
【0012】近年、ハロゲンやリンを含有しておらず、
広範囲なプラスチックに配合することができ、安全性が
高い難燃剤としてシリコーン系難燃剤が注目されてきて
いる。シリコーン系難燃剤は燃焼時に樹脂表面に移行
し、不燃被覆形成による酸素遮断効果を利用して難燃性
を発現することが知られている。しかしながら、オレフ
ィン系樹脂にシリコーン系難燃剤を添加した場合におい
ても、酸素指数は大幅に向上するが、実際の燃焼時には
強固な被覆層を形成することができず、不燃被膜の裂け
目から可燃性ガスが流出するため、延焼をくい止めるこ
とができない。
【0013】これら難燃剤を電線被覆用樹脂又はシース
用樹脂に使用して、所定の難燃性を発現させるには、大
量に添加する必要があるので、電線等に必要な柔軟性や
伸び、密度が極端に高くなる等物性を確保することが困
難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、特に燃焼時に形状を保持し、かつ、難燃効果を奏
する熱可塑性樹脂組成物であって、機械的強度及び熱的
特性にも優れる高度な難燃性を有する電線被覆用又はシ
ース用熱可塑性樹脂組成物、並びに、それらを用いたシ
ース及び電線を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、電線被覆又は
シースに用いられる熱可塑性樹脂組成物であって、熱可
塑性樹脂100重量部、層状珪酸塩0.1〜30重量
部、及び、非ハロゲン系難燃剤100〜150重量部を
含有し、UL94安全規格に従い、短冊状に調製した試
験片の上端を支持し下端に接炎した際に、1度目及び2
度目の接炎により炎を出して燃焼する時間の合計が30
秒以下であり、2度目の接炎後の無煙燃焼時間が60秒
以下であり、かつ、燃焼中に有炎溶融樹脂が滴下しない
熱可塑性樹脂組成物である。以下に本発明を詳述する。
【0016】本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては
特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂等が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が
好適に用いられる。
【0017】上記ポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、エチレン又はプロピレンの単独重合体、エチレンと
プロピレンとのランダム又はブロック共重合体、エチレ
ン又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレ
フィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合
体、エチレンと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリ
ル酸エステルとの共重合体、エチレンとスチレンとの共
重合体、ブテンの単独重合体、イソプレンの単独重合
体、ブタジエン等のジエン類の単独重合体又は共重合体
等が挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸とは、
アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0018】これらの中でも、エチレン単独重合体、プ
ロピレン単独重合体、エチレン又はプロピレンとこれら
と共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチ
レン−アクリル酸エチル共重合体、及び、エチレン−酢
酸ビニル共重合体が好適に用いられる。上記他のα−オ
レフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−
メチル−1−ペンテン、ブタジエン等が挙げられる。こ
れらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種
以上が併用されてもよい。
【0019】上記熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布
は特に制限されないが、重量平均分子量は5000〜5
00万であることが好ましく、より好ましくは、2万〜
30万であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分
子量)は1.1〜80であることが好ましく、より好ま
しくは、1.5〜40である。
【0020】本発明で用いられる層状珪酸塩とは、層間
に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発
明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例
えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、
バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等の
スメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサ
イト、膨潤性マイカ等が挙げられる。なかでも、モンモ
リロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩
は天然物又は合成物のいずれであってもよい。これらは
単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよ
い。
【0021】上記層状珪酸塩としては、下記式により定
義される形状異方性効果(アスペクト比)が大きいスメ
クタイト類、膨潤性マイカを用いることが、樹脂組成物
の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好まし
い。 形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面
(B)の面積
【0022】上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽
イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等の
イオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイ
オン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物
質(カチオン性界面活性剤)を上記層状珪酸塩の層間に
捕捉することができる。
【0023】上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量として
は特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100
gであることが好ましい。50ミリ等量/100g未満
であると、イオン交換により結晶層間に捕捉できるカチ
オン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が充分に
非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/
100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固
となり、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0024】本発明において、熱可塑性樹脂として、ポ
リオレフィン系樹脂等の非極性樹脂が用いられる場合
は、層状珪酸塩の層間を予め、カチオン性界面活性剤で
陽イオン交換し疎水化しておくことによって、層状珪酸
塩と熱可塑性樹脂との親和性を高め、熱可塑性樹脂中に
均一に微分散させることができる。
【0025】上記カチオン性界面活性剤としては特に限
定されず、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニ
ウム塩等が挙げられる。なかでも、炭素数6以上のアル
キル鎖を有する4級アンモニウム塩(アルキルアンモニ
ウムイオン)は、層状珪酸塩の層間を充分に非極性化し
得るので好適に用いられる。
【0026】上記4級アンモニウム塩としては、例え
ば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルト
リメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム
塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂
ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアン
モニウム塩等が挙げられる。また、上記4級ホスホニウ
ム塩としては、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニ
ウム塩(DTPB)、メチルトリフェニルホスホニウム
塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルト
リメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム
塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリ
ルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0027】上記層状珪酸塩は、上述のような化学処理
によって熱可塑性樹脂への分散性が改善される。上記化
学処理は、(1)カチオン性界面活性剤による陽イオン
交換法(以下、化学修飾(1)法という)に限定される
ものではなく、例えば、以下に示す各種方法によっても
実施することができる。上記カチオン性界面活性剤によ
る陽イオン交換法を含め、以下の各化学処理によって分
散性の改良された層状珪酸塩を有機化層状珪酸塩とい
う。
【0028】(2)上記陽イオン交換法で陽イオン交換
された層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性が大きい官能基を1個以上分子の末端に有
する化合物により化学修飾する方法(以下、化学修飾
(2)法という)。
【0029】(3)上記陽イオン交換法で陽イオン交換
された層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性が大きい官能基及び反応性官能基を1個以
上分子の末端に有する化合物により化学修飾する方法
(以下、化学修飾(3)法という)。
【0030】(4)上記陽イオン交換法で陽イオン交換
された層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を
有する化合物により化学修飾する方法(以下、化学修飾
(4)法という)。
【0031】(5)化学修飾(4)法において、アニオ
ン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位
以外に、反応性官能基を1個以上有する化合物により化
学修飾する方法(以下、化学修飾(5)法という)。
【0032】(6)上記化学修飾(1)〜(5)法の各
法において、有機化層状珪酸塩に、更に、例えば、無水
マレイン酸変性ポリオレフィン等の、層状珪酸塩と反応
可能な官能基を有する重合体を添加した組成物を用いる
方法(以下、化学修飾(6)法という)等が挙げられ
る。上記の各方法は、単独で用いられてもよく、2種以
上の方法が併用されてもよい。
【0033】上記化学修飾(2)法において、水酸基と
化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化
学的親和性が大きい官能基としては特に限定されず、例
えば、アルコキシ基、エポキシ基、カルボキシル基(二
塩基性酸無水物を含む)、水酸基、イソシアネート基、
アルデヒド基、その他水酸基と化学的親和性が高い官能
基等が挙げられる。
【0034】上記水酸基と化学結合し得る官能基、又
は、化学結合はしなくとも化学的親和性が大きい官能基
を有する化合物としては、例えば、上に例示した官能基
を有するシラン化合物、チタネート化合物、グリシジル
化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。
【0035】上記シラン化合物としては、例えば、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチル
メトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシ
ルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメト
キシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタ
デシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リエトキシシラン等が挙げられる。
【0036】また、化学修飾(4)及び(5)法におい
て、アニオン性界面活性を有する化合物及び/又はアニ
オン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオン部位以外に
反応性官能基を1個以上含有する化合物としては、イオ
ン相互作用により、層状珪酸塩を化学修飾できるもので
あれば特に限定されず、例えば、ラウリル酸ナトリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、
高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール
硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が
挙げられる。
【0037】上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法に
より測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上
であり、5層以下で存在しているものを含んで分散して
いるものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であ
り、5層以下で存在していると、難燃性、機械物性、耐
熱性等の性能発現に有利となる。
【0038】なお、本明細書において、層状珪酸塩の平
均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均
の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微
鏡写真撮影により、即ち、広角X線回折測定法により算
出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層
以下で存在しているものを含んで分散している状態は、
層状珪酸塩の積層体の一部又は全てが分散していること
を意味しており、層間の相互作用が弱まっていることに
よる。
【0039】更に、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm
以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現
に特に有利である。平均層間距離が6nm以上である
と、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸
塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、
層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が
離砕安定化の方向に進行する。
【0040】層状珪酸塩の分散状態としては、熱可塑性
樹脂組成物中で層状珪酸塩の10%以上が5層以下で存
在している状態で分散していることが好ましく、層状珪
酸塩の20%以上が5層以下の状態で存在していること
がより好ましい。積層数は、5層以下であれば、効果的
に上述の効果が得られるが、3層以下であればより好ま
しい。
【0041】本発明で用いられる層状珪酸塩は、平均層
間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているも
のを含んで分散しており、結晶薄片間の平均距離が小さ
くなり、燃焼時においては層状珪酸塩の結晶薄片の移動
による焼結体を形成し易くなると考えられる。即ち、層
状珪酸塩の結晶薄片が平均層間距離3nm以上で分散し
た樹脂組成物は難燃被膜となり得る焼結体を形成しやす
くなる。しかも、この焼結体は燃焼時の早い段階で形成
されるので、外界からの酸素の供給のみならず、燃焼に
より発生する可燃ガスも遮断することができ、本発明の
熱可塑性樹脂組成物は難燃性を発現することが可能とな
る。
【0042】上記層状珪酸塩の配合量は、熱可塑性樹脂
100重量部に対して0.1〜30重量部である。0.
1重量部未満であると、焼結体を形成しにくくなり、難
燃効果が小さいものとなり、30重量部を超えると、得
られる熱可塑性樹脂組成物の密度が著しく高くなり実用
性が失われる。より好ましくは、1〜20重量部であ
る。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物中に層状珪酸
塩を分散させる手段としては特に限定されず、例えば、
上記有機化層状珪酸塩を用いる方法;熱可塑性樹脂と層
状珪酸塩とを常法によって混合した後発泡させる方法;
ブロック共重合体を分散剤として用いる方法等が挙げら
れる。これらの分散方法を用いることにより、より均一
かつ微細に分散することができる。
【0044】本発明で用いられる非ハロゲン系難燃剤と
しては、難燃性を付与することができるものであれば特
に限定されず、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、ドーソナイト、アルミン酸化カルシウム、
2水和石こう、水酸化カルシウム等の金属水酸化物が挙
げられる。なかでも、水酸化マグネシウム、水酸化アル
ミニウムが好ましい。上記金属水酸化物は、各種の表面
処理剤により表面処理が施されているものであってもよ
い。上記表面処理剤としては特に限定されず、例えば、
シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、
PVA系表面処理剤、エポキシ系表面処理剤、金属石鹸
処理剤等が挙げられる。これらの金属水酸化物は、単独
で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。2
種以上の金属水酸化物を併用する場合、各々が異なる温
度で分解脱水反応を開始することから、より高い難燃効
果が得られる。
【0045】上記金属水酸化物は、燃焼時の高熱下で吸
熱脱水反応を起こすことにより、吸熱し、かつ、水分子
を放出することで燃焼場の温度を低下させ、消火する効
果がある。本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、層
状珪酸塩が配合されていることにより、上記金属水酸化
物による難燃効果が増大される。これは、層状珪酸塩の
燃焼時の被膜形成による難燃効果と、金属水酸化物の脱
水反応による難燃効果とが競争的に起こり、それぞれの
効果が助長されることによると考えられる。
【0046】上記非ハロゲン系難燃剤の配合量は、熱可
塑性樹脂100重量部に対して100〜150重量部で
ある。100重量部未満であると、高度な難燃性を発揮
しにくく、150重量部を超えると、難燃効果は発現す
るものの、密度や柔軟性、成形性等が著しく低下する等
のデメリットがおこりやすくなる。好ましくは、100
〜120重量部である。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、UL94
安全規格に従い、短冊状に調製した試験片の上端を支持
し下端に接炎した際に、1度目及び2度目の接炎により
炎を出して燃焼する時間の合計が30秒以下であり、2
度目の接炎後の無煙燃焼時間が60秒以下であり、か
つ、燃焼中に有炎溶融樹脂が滴下しないものである。本
発明の熱可塑性樹脂組成物においては、有機化層状珪酸
塩を分散させることによって、非ハロゲン系難燃剤の配
合量が100〜150重量部で、UL94V−1と認定
される材料を得ることができる。UL94V−1と認定
される材料規格では以下のような条件が要求される。ま
ず、平坦棒板状に成形した試験片を、垂直に設置し、上
端を固定した状態で下端に接炎したのち、30秒以上炎
を出して燃焼しないことが要求される。即ち、接炎した
炎を遠ざけたのち30秒以内に消炎し、更には消炎した
試験片に再度接炎した場合おいても1度目の接炎時の燃
焼時間との合計が30秒以内で消炎することが必要であ
る。
【0048】更に、全ての試験片は有炎無炎を問わず試
験片支持クランプまで燃焼しないことが要求される。即
ち上述のとおり燃焼時間は30秒以内で試験片が全焼し
て消炎することではないことを意味する。通常のポリオ
レフィン系樹脂では燃焼速度(炎が伝わる速度)が速
く、早期に燃焼が進行すると考えられるが、本発明によ
れば高度に分散した有機化層状珪酸塩が焼結し燃焼ガス
の放出を抑制するために燃焼速度を遅延させることがで
きる。更に水酸化マグネシウムを充填することにより、
上述の層状珪酸塩のガスバリア効果が顕著に発揮され
る。
【0049】加えて、全ての試験片は有炎燃焼中に有炎
滴下を生じないことが要求される。一般的にポリオレフ
ィン系樹脂が燃焼する際には、燃焼溶融した樹脂の溶融
粘度の低下により、発炎部分近傍から溶融部分が垂れ墜
ちる現象が見られる。本発明によれば、燃焼発熱は金属
水酸化物によって抑えられ、層状珪酸塩が効果的に燃焼
溶融部表面に被膜を形成するので、著しく垂れ墜ちを防
止できる。また層状珪酸塩粒子は高度に分散して存在す
ることから、溶融樹脂の粘度の低下を抑止することも、
効果的に滴下を抑制するメカニズムの一因に挙げられ
る。
【0050】最後に、UL94V−1と認定されるため
には2度目の接炎後に60秒以上無炎燃焼を継続しては
ならないことが要求される。本発明によれば、層状珪酸
塩の焼結被膜と金属水酸化物の吸熱効果とにより延燃性
が抑制されるので30秒以上の燃焼は継続しない。これ
は有炎、無炎を問わない。
【0051】以上のとおり、本発明の熱可塑性樹脂組成
物はUL94V−1と認定される材料条件を満たすこと
ができる。更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に難燃助
剤等を配合等することにより、UL94V−0認定の条
件をも満たすことができる。なお、UL94V−0認定
の条件としては、UL94V−1の認定条件において2
度の接炎時の合計有炎燃焼時間が10秒以下であり、更
に2度目の燃焼の後の無炎燃焼時間が30秒以下である
ことが挙げられる。
【0052】上記難燃助剤としては、本発明の熱可塑性
樹脂組成物の難燃性を更に強化するものであれば特に限
定されないが、例えば、カーボンブラック、フッ素樹
脂、シリコーンオイル、及び、シリコーン−アクリル複
合ゴム、金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも
1種であることが好ましい。これらは単独で用いられて
もよく、2種以上が複合して用いられてもよい。
【0053】上記難燃助剤の配合量は、熱可塑性樹脂1
00重量部に対して0.1〜20重量部であることが好
ましい。0.1重量部未満であると、良好な難燃性を発
現しにくくなり、20重量部を超えると、表面の印刷性
が悪くなり、また、密度の増大、引張強さ等の機械的強
度低下、屈曲に対する柔軟性が欠如する等のデメリット
を生じることがある。より好ましくは、0.5〜15重
量部である。
【0054】本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製する方
法としては特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、層
状珪酸塩、非ハロゲン系難燃剤、難燃助剤の所定量を直
接配合して混合する方法;熱可塑性樹脂に所定配合量以
上の層状珪酸塩及び難燃助剤を配合、混合してマスター
バッチを調製した後、調製されたマスターバッチに、所
定の配合量となるように熱可塑性樹脂と非ハロゲン系難
燃剤とを加えて希釈するいわゆるマスターバッチ法等が
挙げられる。
【0055】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製
する際の混合方法としては特に限定されず、種々の方法
を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂と層状珪
酸塩とを、押出機、二本ロール、バンバリーミキサー等
で溶融混練する方法;熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との両
者が溶解する有機溶媒中で混合する方法;遷移金属錯体
を含有する層状珪酸塩を用いてオレフィン系単量体を重
合して混合する方法等が挙げられる。
【0056】上記遷移金属錯体としては、オレフィン系
単量体の重合能を有するものであれば特に限定されず、
例えば、4、5、10、11族の金属錯体が挙げられ
る。
【0057】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて適宜添加剤が添加されてもよい。上記添加
剤としては特に限定されず、例えば、酸化防止剤、耐候
剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げ
られる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、物性
を均一化する補助として結晶核剤となりうるものが少量
含有されて、結晶が微細化されてもよい。
【0058】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ASTM
E 1354に準拠して、50kW/m2の輻射加熱
条件下で30分間加熱し燃焼したときの最大発熱量が3
50kW/m2以下であることが好ましい。最大発熱速
度がこの範囲外であると、充分な難燃性を示せないこと
がある。より好ましくは、300kW/m2以下であ
る。
【0059】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に、酸
素指数が25以上であることが好ましい。最大発熱速度
が上記の範囲内にあることに加えて、酸素指数がこの範
囲内にあると、各種電線形態での難燃性試験における効
果を、より確実に発揮できる充分な難燃性であると言え
る。より好ましくは、28以上であり、更に好ましく
は、30以上である。
【0060】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、JIS
C 3005に規定される60度傾斜燃焼試験に合格す
るものである。不合格であると、電線被覆用又はシース
用として用いて電線を成型した際に実用に適さない。
【0061】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ASTM
E 1354に準拠して、50kW/m2の輻射加熱
条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃
焼残渣を0.1cm/秒で圧縮したときの降伏点応力が
4.9×103Pa以上であることが好ましい。4.9
×103Pa未満であると、わずかな衝撃により燃焼残
渣が簡単に崩壊し、火災時に導電部が露呈し感電やショ
ートの危険性を伴うほか、災害時の導通を確保しにくく
なる。更に上述のUL94V−1と認定される条件にお
ける垂れ墜ち(滴下)においても焼結燃焼残渣が形成さ
れ強度を保持することが効果的である。
【0062】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電線被覆
又はシースに用いられるものである。本発明の熱可塑性
樹脂組成物を、電線被覆又はシースに用いることによ
り、高い難燃性を有し、廃棄時に有害物質を排出せず環
境に負荷をかけない電線を得ることができる。本発明の
熱可塑性樹脂組成物を用いてなるシース及び電線もま
た、本発明の1つであり、これらは電線形状において、
JIS C 3005に規定される60度傾斜燃焼試験
に合格する充分な難燃性を有する。
【0063】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0064】(実施例1)池貝製作所社製の小型押出機
「PCM30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体(日本ポリオレフィン社製「A4250」)91.
7重量部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(日
本ポリオレフィン社製「ER403A」)8.3重量
部、合成膨潤性有機処理フッ素マイカ(コープケミカル
社製「ソマシフMAE−100」)8.3重量部、水酸
化マグネシウム(協和化学工業社製「キスマ5J」)1
00重量部を充填し、設定温度170℃にて溶融混練
し、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレッ
ト化した。得られたペレットを180℃に温調した熱プ
レスにより厚さ3mmの板状に成形し評価用サンプルと
した。また、得られた熱可塑性樹脂組成物によって被覆
した難燃性電線については、JIS C 3005に規
定される60度傾斜燃焼試験を行った。
【0065】(実施例2)実施例1において、水酸化マ
グネシウム(協和化学工業社製「キスマ5J」)100
重量部の代わりにシランカップリング剤処理水酸化マグ
ネシウム(協和化学工業社製「キスマ5PH」)100
重量部を用いたこと以外は、同様にして評価用サンプル
を作製し、評価した。
【0066】(実施例3)実施例2において、シランカ
ップリング剤処理水酸化マグネシウム(協和化学工業社
製「キスマ5PH」)150重量部(熱可塑性樹脂成分
100重量部に対して150重量部)を配合したこと以
外は、同様にして評価用サンプルを作製し、評価した。
【0067】(実施例4)実施例1において、合成膨潤
性有機処理フッ素マイカ(コープケミカル社製「ソマシ
フMAE−100」)の配合量を8.3重量部から1
6.6重量部に変更した以外は、同様にして評価用サン
プルを作製し、評価した。
【0068】(実施例5)実施例1において、合成膨潤
性有機処理フッ素マイカ(コープケミカル社製「ソマシ
フMAE−100」)8.3重量部の代わりに有機処理
モンモリロナイト(ホージュン社製「ニューエスベン
D」)8.3重量部を用いたこと以外は、同様にして評
価用サンプルを作製し、評価した。
【0069】(実施例6)実施例1において、エチレン
−アクリル酸エチル共重合体(日本ポリオレフィン社製
「A4250」)91.7重量部のかわりにエチレン−
酢酸エチル共重合体(三井デュポン社製「EV36
0」)91.7重量部を用いたこと以外は、同様にして
評価用サンプルを作製し、評価した。
【0070】(実施例7)実施例6において、無水マレ
イン酸変性エチレンオリゴマーを添加せず、エチレン−
酢酸エチル共重合体(三井デュポン社製「EV36
0」)の配合量を91.7重量部から100重量部に変
更した以外は、同様にして評価用サンプルを作製し、評
価した。
【0071】(実施例8)実施例3において、更にカー
ボンブラック(旭カーボン社製「旭#70」)10重量
部を配合したこと以外は、同様にして評価用サンプルを
作製し、評価した。
【0072】(実施例9)池貝製作所社製の小型押出機
「PCM30」中に、ポリプロピレン樹脂(日本ポリケ
ム社製「EA9」)91.7重量部、無水マレイン酸変
性プロピレンオリゴマー(三洋化成社製「Youmex
1001」)8.3重量部、合成膨潤性有機処理フッ素
マイカ(コープケミカル社製「ソマシフMAE−10
0」)8.3重量部、水酸化マグネシウム(協和化学工
業社製「キスマ5J」)100重量部を充填し、設定温
度190℃にて溶融混練し、押し出されたストランドを
ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットを
200℃に温調した熱プレスにより厚さ3mmの板状に
成形し評価用サンプルとした。また、得られた熱可塑性
樹脂組成物によって被覆した難燃性電線については、J
IS C 3005に規定される60度傾斜燃焼試験を
行った。
【0073】(比較例1)池貝製作所社製の小型押出機
「PCM30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体(日本ポリオレフィン社製「A4250」)100
重量部、水酸化マグネシウム(協和化学工業社製「キス
マ5J」)150重量部のみを充填し設定温度180℃
にて溶融混練し、以降は実施例1と同様にして、評価用
サンプルを作製した。
【0074】(比較例2)池貝製作所社製の小型押出機
「PCM30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体(日本ポリオレフィン社製「A4250」)91.
7重量部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(日
本ポリオレフィン社製「ER403A」)8.3重量
部、合成膨潤性有機処理フッ素マイカ(コープケミカル
社製「ソマシフMAE−100」)8.3重量部、水酸
化マグネシウムネシウム(協和化学工業社製「キスマ5
J」)30重量部のみを充填し設定温度180℃にて溶
融混練し、以降は実施例1と同様にして、評価用サンプ
ルを作製した。
【0075】得られた評価用サンプルは以下の方法によ
り評価した。 (平均層間距離測定)X線回折測定装置(リガク社製
「RINT1100」)により複合物中の層状珪酸塩の
積層面の回折より得られる回折ピークの2θを測定し、
下記のブラッグの回折式を用いて層状珪酸塩の(00
1)面間隔を算出した。λ=2dsinθ(λ=1.5
4d:層状珪酸塩の面間隔、θ:回折角)この式により
得られたdを平均層間距離とした。
【0076】(層の剥離状態)透過型電子顕微鏡(TE
M 日本電子社製「JEM−1200EX II」)写
真により複合物中の層状珪酸塩の剥離状態を観察して、
5層以下で存在しているものを含んで分散しているもの
を○と評価し、なかでも層状珪酸塩の20%以上が5層
以下で存在しているものを◎とした。全てが5層を超え
るものは×と評価した。
【0077】(最大発熱速度及び燃焼残渣強度測定)燃
焼試験ASTM E 1354(建築材料の燃焼性試験
方法)に準拠して、試験片(100mm×100mm×
3mm厚)にコーンカロリーメーターによって50kW
/m2の熱線を照射し燃焼させた。加熱開始後から試験
片に着火するまでの時間を測定し、燃焼後、生成した残
渣について、ハンディー圧縮試験機(KES−G5:カ
トーテック社製)で0.1cm/秒での圧縮で降伏点応
力を測定した。
【0078】(酸素指数測定)燃焼試験ASTM D
2863(酸素指数によるプラスチックの燃焼性標準試
験方法)に準拠して、試験片(70mm×6mm×3m
m厚)を自立させて燃焼試験を行った。試験片が燃焼を
維持するのに必要な酸素と窒素との混合気体の容量パー
セントで表される最低酸素濃度の数値を酸素指数とよ
び、所定の酸素濃度で燃焼を行うとき3分以上燃焼し続
けるか、又は、3分以内に50mm燃焼する場合に、燃
焼を維持できると判断し、そのときの酸素濃度を試験片
の酸素指数とした。すなわち酸素指数以下の酸素濃度で
は自己消火することを意味する。
【0079】
【表1】
【0080】なお、表中の「燃焼残渣の降伏点応力」に
おける評価が「×」である場合は、燃焼残渣が形成され
なかったこと、又は、残渣が微力で崩壊するので降伏点
応力の測定が不能であったことを意味する。
【0081】
【発明の効果】本発明の電線被覆用又はシース用熱可塑
性樹脂組成物は、上記の構成を有することにより、燃焼
時に焼結体が形成され、燃焼残渣の形状が保持される。
これにより燃焼後も形状崩壊が起こりにくくなることか
ら、有炎の溶融滴下がおこらず延燃を防ぐことから、U
L94V−1と認定ができる材料であるといえる。更に
難燃助剤を配合する等してUL94V−0と認定される
材料を得ることも可能である。また層状珪酸塩は難燃剤
のように大量に配合しなくとも難燃性を付与でき、金属
水酸化物の配合量も150重量部までにおさえられるた
め、燃焼前の機械的物性が比較的保持され、かつ熱可塑
性樹脂の密度の著しい上昇を招くことなく、成形性を維
持した材料が得られる。よって、このような特性にて電
線類を媒体とする火災の延焼を防止するものとして、か
つ、廃棄後の処理も安全且つ安価に実施し得るものとし
て好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/44 H01B 3/44 M P 7/295 7/34 B (72)発明者 坂東 明彦 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC031 AC061 BB021 BB031 BB061 BB071 BB111 BB151 BB161 BD122 CP002 DA038 DE077 DE087 DE147 DJ006 DJ036 DJ056 FB086 FB087 FD016 FD132 FD137 FD138 GQ00 5G305 AA02 AB15 AB24 AB25 BA15 CA01 CA51 CC03 CC12 CD13 CD18 DA12 5G315 CA03 CB02 CB06 CC08 CD02 CD04 CD14 CD17

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線被覆又はシースに用いられる熱可塑
    性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂100重量部、層
    状珪酸塩0.1〜30重量部、及び、非ハロゲン系難燃
    剤100〜150重量部を含有し、UL94安全規格に
    従い、短冊状に調製した試験片の上端を支持し下端に接
    炎した際に、1度目及び2度目の接炎により炎を出して
    燃焼する時間の合計が30秒以下であり、2度目の接炎
    後の無煙燃焼時間が60秒以下であり、かつ、燃焼中に
    有炎溶融樹脂が滴下しないことを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 層状珪酸塩は、広角X線回折測定法によ
    り測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上で
    あり、5層以下で存在しているものを含んで分散してい
    ることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂は、エチレン単独重合体、
    プロピレン単独重合体、エチレン又はプロピレンとこれ
    らと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エ
    チレン−アクリル酸エチル共重合体、及び、エチレン−
    酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 非ハロゲン系難燃剤は、金属水酸化物で
    あることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 層状珪酸塩は、モンモリロナイト及び/
    又は膨潤性マイカであることを特徴とする請求項1、
    2、3又は4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 層状珪酸塩は、炭素数6以上のアルキル
    アンモニウムイオンを含有することを特徴とする請求項
    1、2、3、4又は5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 更に、難燃助剤を0.1〜20重量部含
    有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は
    6記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ASTM E 1354に準拠して、5
    0kW/m2の輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼し
    たときの最大発熱量が350kW/m2以下であること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 酸素指数が25以上であることを特徴と
    する請求項8記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 ASTM E 1354に準拠して、
    50kW/m2の輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼
    することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/秒で圧
    縮したときの降伏点応力が4.9×103Pa以上であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8又は9記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9又は10記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなる
    ことを特徴とするシース。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9又は10記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなる
    ことを特徴とする電線。
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