JP2002137960A - 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器並びにそれを用いた配線基板 - Google Patents
低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器並びにそれを用いた配線基板Info
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Abstract
かつ熱サイクル後の強度低下が小さく、特に配線基板等
の絶縁基板として好適に使用できる低温焼成磁器組成物
および低温焼成磁器並びに該磁器を絶縁基板として用い
て成る配線基板を提供する。 【解決手段】SiをSiO2換算で55〜70重量%
と、BaをBaO換算で20〜40重量%と、BをB2
O3換算で1〜5重量%と、AlをAl2O3換算で1〜
8重量%と、ZrをZrO2換算で0重量%より多く7
重量%以下との割合で含有してなる組成物であって、該
組成物中にクォーツ結晶を30重量%以上の割合で含有
する低温焼成磁器組成物を配線基板Aの絶縁基板1とし
て用いる。
Description
物と低温焼成磁器、および該磁器を絶縁基板として用い
た配線基板に関し、より詳細には、Cu、Ag等の金属
によるメタライズ配線層の形成が可能で、熱膨張係数が
高く、特に半導体素子等を搭載し、かつプリント基板等
の外部回路基板との実装信頼性に優れた配線基板の絶縁
基板に適した焼結体の改良に関する。
は絶縁基板の表面あるいは内部にメタライズ配線層が配
設された構造から成る。また、このような配線基板を用
いた回路機器の代表例として、半導体素子、特にLSI
(大規模集積回路素子)等の半導体集積回路素子を収容
した半導体素子収納用パッケージが挙げられる。
にアルミナ焼結体等の電気絶縁用材料から成り、上面中
央部に半導体素子を搭載する絶縁基板と、半導体素子に
接続されて素子の周囲から下面にかけて導出されるタン
グステン、モリブデン等の高融点金属から成る複数個の
メタライズ配線層と、絶縁基板の側面または下面に形成
されてメタライズ配線層が電気的に接続される複数個の
接続端子と、蓋体とから構成され、絶縁基板上面に蓋体
をガラス、樹脂等の封止材を介して接合し、絶縁基板と
蓋体とから成る容器内部に半導体を気密に封止すること
によって形成される。
る絶縁基板としては、これまでアルミナやムライト等の
焼結体が用いられていたが、最近では、低温で焼結が可
能で配線層として低抵抗なCuやAg等を用いることが
できる低温焼成磁器からなる絶縁基板が種々提案されて
おり、例えば、特公平4−11495号、特公平6−7
6253号等には、SiO2−BaO−Al2O3−B2O
3を含有し、1050℃以下での焼成が可能な磁器組成
物が提案され、またアルミナ質磁器に比べて誘電率を低
減できることが記載されている。
4−11495号や特公平6−76253号等にて開示
された低温焼成磁器では、磁器の熱膨張係数が低く、絶
縁基板として用いた場合にはプリント基板等の外部回路
基板に実装した際の実装信頼性が低下するという問題が
あり、また、高周波帯での磁器の誘電損失が高いため
に、高周波帯での信号の伝送損失が低下してしまい、さ
らに、熱サイクルによって磁器中にマイクロクラックが
発生して強度劣化が大きく、過酷な条件下での機械的信
頼性が低いという問題があった。
れたもので、その目的は、1050℃以下での焼成が可
能で、磁器の熱膨張係数を高めることができ、高周波帯
での誘電損失を低減できるとともに、熱サイクル処理後
の磁器強度の低下を抑制できる低温焼成磁器組成物およ
び低温焼成磁器並びにそれを用いた配線基板を得ること
にある。
に対して検討を重ねた結果、全量中にSiをSiO2換
算で55〜70重量%と、BaをBaO換算で20〜4
0重量%と、BをB2O3換算で1〜5重量%と、Alを
Al2O3換算で1〜8重量%と、ZrをZrO2換算で
0重量%より多く7重量%以下との割合で含有してなる
組成物であって、該組成物中にクォーツ結晶を30重量
%以上の割合で含有する組成物を用いることにより、磁
器の熱膨張係数を高めて外部回路基板に近似させること
ができるとともに、磁器密度を高め、磁器に誘電損失を
低減でき、かつ熱サイクルに対しても高い強度を維持で
きることができることを見い出した。
ム結晶を含有すること、結晶相の含有量(a重量%)と
非晶質相の含有量(b重量%)との比率(a/(a+
b))が0.5以上であることが望ましい。
温焼成磁器組成物からなり、開気孔率2%以下、40〜
400℃における熱膨張係数が9〜18×10-6/℃、
3GHzにおける誘電損失が30×10-4以下であるこ
とを特徴とするものである。
面および/または内部にメタライズ配線層が配設された
配線基板であって、前記絶縁基板が、上記低温焼成磁器
からなることを特徴とするものであり、特に前記メタラ
イズ配線層が銅または銀を主とすることが望ましい。
全量中、SiをSiO2換算で55〜70重量%と、B
aをBaO換算で20〜40重量%と、BをB2O3換算
で1〜5重量%と、AlをAl2O3換算で1〜8重量%
と、ZrをZrO2換算で0重量%より多く7重量%以
下との割合で含有してなるものである。
いと、磁器の熱膨張係数を高めることができず、磁器の
高周波帯での誘電損失が増大してしまう。逆に、SiO
2量が70重量%よりも多いと、1050℃以下の焼成
によって磁器の気孔率を2%以下に低減することができ
ず、熱膨張係数、耐水性、耐薬品性、強度等の低下を招
く。SiO2量の望ましい範囲は55〜60重量%、特
に56〜59重量%である。
と、1050℃以下の焼成によって磁器の気孔率を2%
以下に低減することができず、逆にBaO量が40重量
%より多いと、磁器の高周波帯での誘電損失が増大する
ためである。BaO量の望ましい範囲は25〜35重量
%である。
と、1050℃以下の焼成によって磁器の気孔率を低減
することができず、B2O3量が5重量%より多いと、強
度が低下するとともに、熱サイクルによって磁器強度の
低下が大きくなるためである。B2O3量の望ましい範囲
は1.5〜3重量%である。
と、磁器強度が低下し、熱サイクル後の強度低下率が大
きくなるとともに、磁器の耐薬品性が悪くなりメッキ処
理等によって磁器が表面から浸食される恐れがある。逆
に、Al2O3量が8重量%より多いと、1050℃以下
の焼成によって磁器の気孔率を低減することができな
い。Al2O3量の望ましい範囲は4〜8重量%である。
耐薬品性が低下し、また、磁器中に存在するクォーツと
のなじみが悪く、熱サイクル後の強度低下率が大きくな
り、また、銅を主として含有する導体層と同時焼成する
ような場合、導体層との焼成収縮挙動のミスマッチによ
って絶縁基板に反り等が発生する恐れがあるためであ
る。逆に、ZrO2量が7重量%を越えると、1050
℃以下の温度で磁器を緻密化することができず、クォー
ツ結晶との結合力が低下する。ZrO2量の望ましい範
囲は0.05〜2.5重量%である。
て、CaをCaO換算で10重量%以下、特に5重量%
以下、さらに2重量%以下、MgをMgO換算で10重
量%以下、特に5重量%以下、さらに2重量%以下、Y
をY2O3換算で10重量%以下、特に5重量%以下、さ
らに2重量%以下の割合でこれらの少なくとも1種を含
有せしめてもよく、これら成分は、磁器の気孔率を低減
するとともに、磁器中の非晶質相の比率を低減して結晶
化を促進する働きをなす。
で含有するとともに、前記組成物中にクォーツ結晶を3
0重量%以上、特に35重量%以上、さらに40重量%
以上の割合で含有することが大きな特徴であり、これに
よって、磁器の熱膨張係数を高めることができるととも
に高周波帯での誘電損失を低減することができる。すな
わち、クォーツ結晶の含有割合が30重量%よりも少な
いと、磁器の40〜400℃における熱膨張係数が9×
10-6/℃よりも低下して絶縁基板と外部回路基板との
熱膨張差に起因して(二次)実装部での電気的接続信頼
性が低下する。
係数を高め、高周波帯での誘電損失を低減するために、
珪酸バリウム結晶を、特に10重量%以上、さらに30
重量%以上、さらには40重量%以上の割合で含有する
ことが望ましい。なお、本発明における各結晶の含有比
率は、磁器のX線回折測定から各結晶のピーク強度に基
づいてリートベルト法(泉 富士夫ら 日本結晶学会誌
34(1992)76等参照)によって算出される値
を指す。
iO2(ジ珪酸バリウム)やBaO・SiO2(メタ珪酸
バリウム)等が挙げられ、特に安定して存在し熱膨張係
数を高める点でBaO・2SiO2(ジ珪酸バリウム)
を含有せしめることが望ましい。さらに、BaO・Si
O2(メタ珪酸バリウム)は針状結晶であれば強度、靭
性を高めることができる。
として、セルシアン(BaO・Al 2O3・2Si
O2)、2BaO・MgO・2SiO2、スピネル(Mg
O・Al2O3)、フォルステライト(2MgO・SiO
2)、エンスタタイト(MgO・SiO2)、ウォラスト
ナイト(CaO・SiO2)、モンティセラナイト(C
aO・MgO・SiO2)、ディオプサイド(CaO・
MgO・2SiO2)、メルビナイト(2CaO・Mg
O・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO・
2SiO2)、CaZrO3、アルミナ、クリストバライ
ト、トリジマイト、ZrO2、MgO、ペタライト等の
他の結晶が総量で40重量%以下、特に30重量%以
下、さらに20重量%以下、さらには10重量%以下の
割合で含有せしめてもよい。
アスペクト比3以上の針状のセルシアン(BaO・Al
2O3・2SiO2)を含有せしめることが望ましい。
性、耐水性、熱伝導率の点で、磁器中の開気孔率が2%
以下、特に1.5%以下であることが望ましく、結晶
(総量)の含有率(a重量%)と非晶質相の含有率(b
重量%)の比(a/(a+b))×100(%)が80
%以上、特に90%以上、さらに95%以上であること
が望ましい。
る(線)熱膨張係数が9〜18×10-6/℃、特に12
〜14×10-6/℃、3GHzでの誘電損失が30×1
0-4以下、特に25×10-4以下、熱サイクル後の強度
の低下率が20%以下、特に10%以下となる。
は、−40℃と125℃の各温度に制御した恒温槽に磁
器を15分/15分づつ保持することを1サイクルとし
てこれを1000サイクル繰り返した後を指す。
上、特に170MPa以上、1MHzでの誘電率7以
下、特に6.5以下、さらに6以下、破壊靭性が1.4
GPa以上、特に1.5GPa以上であることが望まし
い。なお、抗折強度、耐薬品性、耐水性、熱伝導率、絶
縁抵抗の点で、磁器の相対密度が90%以上、特に95
%以上、さらに98%以上であることが望ましい。(製
造方法)一方、上述した本発明の低温焼成磁器を作製す
るには、上記Si、Ba、B、Al、Zrが上記の比率
で含有されていれば特に出発原料を限定するものではな
いが、特に結晶の制御の容易性からガラスとフィラーと
の混合物を用いるのがよい。ガラス成分としては、例え
ば平均粒径0.5〜10μmのホウケイ酸亜鉛系ガラ
ス、ホウケイ酸鉛系ガラス、リチウム珪酸系ガラス、P
bO系ガラス、ZnO系ガラス、BaO系ガラス等が用
いられる他、磁器を高熱膨張化させる上では、焼成によ
りガラス中から珪酸バリウムを析出可能なBaO系結晶
化ガラスを使用することが望ましい。
ては、低温焼成化、結晶化度の向上の点で、例えば、S
iO210〜70重量%、特に15〜30重量%、Ba
O30〜70重量%、特に40〜70重量%、Al2O3
8〜16重量%、特に8.5〜12重量%、B2O31〜
10重量%、特に3〜7重量%、CaO1〜5重量%、
特に1〜3重量%、ZrO20.05〜5重量%、特に
0.1〜3重量%の比率で含有するガラスが望ましい。
さらに、上記組成のガラス中にBaO以外のアルカリ土
類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、希土類元素酸化
物、Sb2O3、Bi2O3を総量で5重量%以下、特に3
重量%以下の比率で含む場合もある。
加えて、リチウム珪酸系ガラス、PbO系ガラス、Zn
O系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系
ガラスを用い、珪酸バリウム結晶等をセラミックフィラ
ーとして添加することも可能である。
を5〜30重量%、特に5〜20重量%の割合で含有す
るものであり、焼成後に高熱膨張係数を有するリチウム
珪酸を析出するものが好適に使用される。また、上記の
リチウム珪酸系ガラスとしては、Li2O以外にSiO2
を必須の成分として含むが、SiO2はガラス全量中、
60〜85重量%の割合で存在し、SiO2とLi2Oと
の合量がガラス全量中、65〜95重量%であることが
リチウム珪酸結晶を析出させる上で望ましい。また、こ
れらの成分以外に、Al2O3、MgO、TiO2、B2O
3、Na2O、K 2O、P2O5、ZnO、F等が配合され
ていてもよい。
とし、さらにB2O3、SiO2のうちの少なくとも1種
を含有するものであり、焼成後にPbSiO3、PbZ
nSiO4等の高熱膨張の結晶相が析出するものが好適
に使用される。
量%以上含有するものであり、焼成後にZnO・Al2
O3、ZnO・nB2O3等の高熱膨張係数の結晶相が析
出するものが好適に使用される。ZnO成分以外に、S
iO2(60重量%以下)、Al2O3(60重量%以
下)、B2O3(30重量%以下)、P2O5(50重量%
以下)、アルカリ土類酸化物(20重量%以下)、Bi
2O3(30重量%以下)等が配合されていてもよい。と
りわけZnO10〜50重量%−Al2O310〜30重
量%−SiO230〜60重量%から成る結晶性ガラス
やZnO10〜50重量%−SiO25〜40重量%−
Al2O30〜15重量%−BaO0〜60重量%−Mg
O0〜35重量%から成る結晶性ガラスが望ましい。
ォーツ結晶を含有せしめるために、フィラー成分として
クォーツを必須として含有することが望ましく、また、
珪酸バリウム、BaO、BaCO3等の粉末を添加する
ことができる。なお、BaOから珪酸バリウムに変換さ
せるためには、他フィラーとしてクォーツ以外に、非晶
質SiO2、クリストバライト、トリジマイト等の他の
SiO2系フィラーとともに添加して、BaOとSiO2
とを反応させて珪酸バリウムを生成析出させることがで
きる。なお、フィラーの平均粒径0.2〜15μm、特
に0.5〜10μmであることが望ましい。
に、Al2O3、MgO、ZrO2、フォルステライト
(2MgO・SiO2)、スピネル(MgO、Al
2O3)、ウォラストナイト(CaO・SiO2)、モン
ティセラナイト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェ
リン(Na2O・Al2O3・SiO2)、リチウムシリケ
ート(Li2O・SiO2)、ディオプサイド(CaO・
MgO・2SiO2)、メルビナイト(2CaO・Mg
O・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO・
2SiO2)、カーネギアイト(Na2O・Al2O3・2
SiO2)、エンスタタイト(MgO・SiO2)、ホウ
酸マグネシウム(2MgO・B2O3)、セルシアン(B
aO・Al2O3・2SiO2)、B2O3・2MgO・2
SiO2、ガーナイト(ZnO・Al2O3)、CaTi
O3、BaTiO3、SrTiO3、TiO2等の他のセラ
ミックフィラーを総量で20重量%以下、特に10重量
%以下の割合で添加することもできる。
て、全量中のSi、Ba、B、Al、Zrが上述した比
率になるように調整すればよく、例えば、これらのガラ
スおよびセラミックフィラーは、ガラスを10〜90重
量%、特に20〜80重量%、さらに30〜70重量%
と、フィラーを10〜90重量%、特に20〜80重量
%、さらに30〜70重量%の割合で配合されたもので
あることが低温焼結性および焼結体強度を高める上で望
ましい。
とフィラー成分との混合物に対して、適当な成形のため
の有機樹脂バインダーを添加した後、所望の成形手段、
例えば金型プレス、冷間静水圧プレス、射出成形、押出
し成形、ドクターブレード法、カレンダーロール法、圧
延法等により任意の形状に成形する。
まず、成形のために配合したバインダー成分を除去す
る。バインダーの除去は、700℃前後の大気または窒
素雰囲気中で行われるが、配線導体層として、例えばC
uを用いる場合には、100〜700℃の水蒸気を含有
する窒素雰囲気中で行われる。この時、成形体の収縮開
始温度は700〜850℃程度であることが望ましく、
かかる収縮開始温度がこれより低いとバインダーの除去
が困難となる。
気中で行われ、特に磁器中のガラスの結晶化度を高め、
磁器中の気孔率を低減するとともに、特に銅の配線導体
層と同時焼成する場合においてもガラスの軟化挙動をC
u導体層に近似させて絶縁基板の反りを抑制するため
に、昇温速度20〜350℃/hr、特に50〜250
℃/hr、さらに50〜100℃/hrで、焼成温度8
00〜1050℃、特に850〜970℃、さらに92
0〜950℃にて、0.5〜5hr、特に1.5〜3h
r焼成することによって磁器を緻密化でき本発明の低温
焼成磁器を作製することができる。
Cu等の配線導体層との同時焼成で導体層が溶融してし
まう。なお、Cu等の配線導体と同時焼成する場合に
は、非酸化性雰囲気中で焼成すればよい。
ォーツ結晶以外に、ガラス成分から生成した結晶相、ガ
ラス成分とフィラー成分との反応により生成した結晶
相、あるいはフィラー成分として予め含まれていた結晶
相、あるいはフィラー成分が分解乃至変態して生成した
結晶相等が存在し、これらの結晶相の粒界にはガラス相
が存在する場合もあるが、結晶の(総)含有量(a重量
%)と非晶質相の含有量(b重量%)との比(a/(a
+b))×100(%)が80%以上、特に90%以
上、さらに95%以上であることが望ましい。
ラスを用いる方法以外にも、上述した各成分の酸化物、
炭酸塩、硝酸塩等の原料を混合して、成形し、焼成する
方法、ゾル−ゲル法、水熱合成法等を用いる方法等も適
応可能であるが、この場合でも、1050℃以下での焼
成によってクォーツ結晶を磁器中に含有せしめるために
成形体中にクォーツ粉末を添加することが望ましい。
成磁器は、40〜400℃における熱膨張係数が9〜1
8×10-6/℃であるために、配線基板やパッケージの
絶縁基板として用いた場合、PCボード等の外部回路基
板への実装した際の熱膨張差に起因する熱応力の発生を
抑制することができる。
用いた本発明の配線基板及びその配線基板を用いた半導
体素子収納用パッケージの実装構造を、添付図面に基づ
き具体的に説明する。 (BGA型実装構造)図1及び図2は、本発明の配線基
板の好適例である半導体素子収納用パッケージの実装構
造の一例を示す図であり、図1、図2はボールグリッド
アレイ(BGA)型パッケージの例を示す。この半導体
素子収納用パッケージは絶縁基板の表面あるいは内部に
メタライズ配線層が配設された、いわゆる配線基板を基
礎的構造とするものである。
ケージ、Bは外部回路基板である。図1の半導体素子収
納用パッケージAは、絶縁基板1と蓋体2とメタライズ
配線層3と接続端子4及びパッケージの内部に収納され
る半導体素子5により構成され、絶縁基板1及び蓋体2
は半導体素子5を内部に気密に収容するためのキャビテ
ィ6を構成する。
3は低抵抗導体である銅または銀を主とすることが望ま
しく、特に純度99%以上の高純度金属導体からなるこ
と、さらには微細配線化、低抵抗化の点で金属箔からな
ることが望ましい。また、絶縁基板1の表面に存在する
メタライズ配線層3の表面にはNi、CuおよびAuの
群から選ばれる少なくとも1層のメッキ層を形成するこ
とが望ましい。
中央部には半導体素子5が接着剤を介して接着固定され
る。また、絶縁基板1には半導体素子5の周辺から下面
にかけて複数個のメタライズ配線層3が被着形成されて
おり、さらに絶縁基板1の下面には図2に示すように多
数の接続端子4が設けられており、接続端子4はメタラ
イズ配線層3と電気的に接続されている。この接続端子
4は、電極パッド7に対して半田(錫−鉛合金)等のロ
ウ材から成る突起状端子8が取着された構造から成る。
材料から成るガラスーエポキシ樹脂の複合材料等から構
成される絶縁体9の表面に配線導体として、Cu、A
u、Al、Ni、Pb−Sn等の金属から成る配線導体
10が被着形成された一般的なプリント基板である。
0℃における熱膨張係数が9〜18×10-6/℃以上の
低温焼成磁器からなることによって、PCボード等の外
部回路基板への実装した際の熱膨張差に起因する熱応力
の発生を抑制することができるとともに、磁器の緻密化
を図ることができ、実装時または素子の動作時の発熱に
伴う熱サイクル後においても強度の低下を小さくして高
い強度を維持できる。なお、本発明によれば、半導体素
子5の実装サイズ(長さ×幅)を小さくして半導体素子
5と絶縁基板1との熱膨張差に起因するクラックや剥離
等の発生を防止することができる。
以上の高周波信号を伝送する場合においても信号を良好
に伝送できる配線基板を作製することができる。
在するメタライズ配線層3にメッキ膜を形成する場合に
メッキ処理によって絶縁基板1が浸食されることなく、
また、メタライズ配線層3と絶縁基板1との焼成収縮の
ミスマッチを小さくして絶縁基板1の反り等を抑制する
こともできる。 (実装方法)半導体素子収納用パッケージAを外部回路
基板Bに実装するには、パッケージAの絶縁基板1下面
の電極パッド7に取着されている半田から成る突起状端
子8を外部回路基板Bの配線導体10上に載置当接さ
せ、しかる後、約250〜400℃の温度で加熱するこ
とにより、半田等のロウ材から成る突起状端子8自体が
溶融し、配線導体10に接合させることによって外部回
路基板B上に実装させる。この時、配線導体10の表面
には接続端子4とのロウ材による接続を容易に行うため
ロウ材が被着形成されていることが望ましい。
続端子4として電極パッド7に対して高融点材料から成
る球状端子11を低融点ロウ材12によりロウ付けした
ものが適用できる。この高融点材料は、ロウ付けに使用
される低融点ロウ材12よりも高融点であることが必要
で、ロウ付け用の低融点ロウ材12が、例えばPb40
重量%−Sn60重量%の低融点半田から成る場合、球
状端子11は、例えばPb90重量%−Sn10重量%
の高融点半田や、Cu、Ag、Ni、Al、Au、P
t、Fe等の金属により構成される。
基板1下面の電極パッド7に取着されている球状端子1
1を外部回路基板Bの配線導体10に載置当接させ、し
かる後、球状端子11を半田等の低融点ロウ材13によ
り配線導体10に当設させて外部回路基板B上に実装す
ることができる。また、低融点ロウ材13としてAu−
Sn合金を用いて接続端子4を外部回路基板Bに接続し
ても良く、さらに上記球状端子11に替えて柱状の端子
を用いてもよい。
mのクォーツ粉末に対して、ガラス粉末またはSiO2
(アモルファスシリカ)粉末、BaCO3粉末、B2O3
粉末、Al2O3粉末、CaO粉末、MgO粉末、Y2O3
粉末およびZrO2粉末を用いて表1の組成となるよう
に混合し、有機バインダーを添加して、十分に混合した
後、得られた混合物を一軸プレス成形により、3.5×
15mmの形状の成形体に成形した。そして、この成形
体を700℃のN2+H2O雰囲気中で脱バインダー処理
し、窒素雰囲気中、100℃/hrで昇温し、950℃
で1時間焼成した。 (特性評価)得られた磁器に対して、アルキメデス法に
よって磁器の気孔率を測定し、また、この磁器のX線回
折測定を行い検出された結晶の同定を行うとともに、こ
のX線回折ピークからリートベルト法によって各結晶お
よび非晶質相の含有比率を算出し、また各結晶の含有量
の総和a重量%と非晶質相の含有量b重量%から結晶相
の比率(a/(a+b))×100(%)を算出した。
1601に基づき4点曲げ抗折強度M1を測定し、さら
に、大気の雰囲気にて−40℃と125℃の各温度に制
御した恒温槽に試験サンプルを15分/15分の保持を
1サイクルとして最高1000サイクル繰り返した後、
同様に強度M2を測定し、(M1−M2)/M1×100
(%)を熱サイクル後の強度として測定した。また、4
0〜400℃で熱膨張係数を測定し、さらに、空洞共振
器法によって3GHzでの誘電率および誘電損失を測定
した。 (耐薬品性)上記磁器を表面積が5cm2となるように
切り出し、NH4F・HF5g/水1リットルのフッ酸
溶液中に100秒浸漬した前後の重量減少量を測定し、
耐薬品性として評価した。 (実装時の熱サイクル特性(TCT))また、表1の組
成物を用いて、ドクターブレード法により厚み500μ
mのグリーンシートを作製し、このシート表面にCuメ
タライズペーストをスクリーン印刷法に基づき塗布し
た。また、グリーンシートの所定箇所にスルーホールを
形成しその中にもCuメタライズペーストを充填した。
そして、メタライズペーストが塗布されたグリーンシー
トをスルーホール間で位置合わせしながら6枚積層し圧
着した。この積層体を700℃のN2+H2O雰囲気中で
脱バインダー処理した後、窒素雰囲気中、上述した焼成
条件でメタライズ配線層と絶縁基板とを同時焼成し配線
基板を作製した。
ッドに図1に示すようにPb90重量%、Sn10重量
%から成る球状半田ボール(球状端子)を低融点半田
(ロウ材)(Pb37%−Sn63%)により取着し
た。なお、接続端子は、1cm2当たり30端子の密度
で配線基板の下面全体に形成した。
シ基板から成る40〜800℃における熱膨張係数が1
3×10-6/℃の絶縁体の表面に銅箔から成る配線導体
が形成されたプリント基板表面に実装した。実装は、プ
リント基板の上の配線導体と配線基板の球状端子とを位
置合わせし、低融点ロウ材によって接続実装した。
基板をプリント基板表面に実装したものを大気の雰囲気
にて−40℃と125℃の各温度に制御した恒温槽に試
験サンプルを15分/15分の保持を1サイクルとして
最高1000サイクル繰り返した。そして、各サイクル
毎にプリント基板の配線導体とパッケージ用配線基板と
の電気抵抗を測定し電気抵抗に変化が現れるまでのサイ
クル数を最大1000サイクルまで測定した。
シリカ粉末50重量%、BaCO3粉末をBaO換算で
40重量%、B2O3粉末4.5重量%、Al2O3粉末
5.4重量%、CaO粉末0.1重量%との割合で添加
混合し、実施例と同様に成形体を作製した後、この成形
体を700℃のN2+H2O雰囲気中で脱バインダー処理
し、窒素雰囲気中、100℃/hrで昇温し、950℃
で1時間焼成した。実施例1と同様に特性を評価し、表
1に示した(試料No.9)。
より少なく、BaO量が40重量%より多く、かつクォ
ーツの含有量が30重量%より少ない試料No.1では
熱膨張係数が低く、熱サイクル試験において100回で
抵抗が増大し、かつ誘電損失が高いものであった。ま
た、BaO量が20重量%より少なく、Al2O3量が8
重量%より多い試料No.6、B2O3量が1重量%より
少なく、ZrO2量が7重量%より多い試料No.7で
は、磁器の開気孔率を2%以下に緻密化することができ
ず、強度低下率が大きく、また耐薬品性も悪いものであ
った。
rO2を含有せず、Al2O3量が1重量%より少ない試
料No.8では、強度が低下し、また、耐薬品性が悪い
ものであった。また、この試料については、メタライズ
配線層を形成した際、絶縁基板に反りがみられた。ま
た、クォーツを添加せず、磁器中にクォーツが析出しな
い試料No.9では熱膨張係数が低く熱サイクル試験に
おいて50回で断線が見られた。
O2換算で55〜70重量%と、BaをBaO換算で2
0〜40重量%と、BをB2O3換算で1〜5重量%と、
AlをAl2O3換算で1〜8重量%と、ZrをZrO2
換算で0重量%より多く7重量%以下との割合で含有し
てなり、該組成物中にクォーツ結晶を30重量%以上の
割合で含有する試料No.2〜5は、いずれも開気孔率
2%以下、強度160MPa以上、強度低下率20%以
下、熱膨張係数9〜18×10-6/℃、耐薬品性30μ
g以下、誘電率6.5以下、3GHzでの誘電損失30
×10-4以下、結晶相比率50%以上、熱サイクル試験
によって800サイクル以上良好な接続を維持できる優
れた磁器であった。
器は、1050℃以下の低温で焼成できるためAg、C
u金属を用いたメタライズ配線層の形成が可能で、熱膨
張係数が高く、高周波帯での誘電特性に優れ、かつ熱サ
イクル後の高い強度を維持でき、さらに耐薬品性に優れ
ることから、電子機器等を搭載し、かつプリント基板等
の外部回路基板に実装するような配線基板用の絶縁基板
材料として特に好適である。また、この磁器を絶縁基板
として用いた配線基板及びその実装構造は高集積大型パ
ッケージにおいても高度の信頼性を有し、特に高周波信
号を伝送する場合でも良好な伝送特性を有する。
の実装構造を説明する図面(断面図)である。
である。
ジ) B 外部回路基板
Claims (6)
- 【請求項1】全量中にSiをSiO2換算で55〜70
重量%と、BaをBaO換算で20〜40重量%と、B
をB2O3換算で1〜5重量%と、AlをAl2O3換算で
1〜8重量%と、ZrをZrO2換算で0重量%より多
く7重量%以下との割合で含有してなる組成物であっ
て、該組成物中にクォーツ結晶を30重量%以上の割合
で含有することを特徴とする低温焼成磁器組成物。 - 【請求項2】さらに珪酸バリウム結晶を含有することを
特徴とする請求項1記載の低温焼成磁器組成物。 - 【請求項3】結晶相の含有量(a重量%)と非晶質相の
含有量(b重量%)との比率(a/(a+b))×10
0(%)が80%以上であることを特徴とする請求項1
または2記載の低温焼成磁器組成物。 - 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかの低温焼成磁器
組成物からなり、開気孔率2%以下、40〜400℃に
おける熱膨張係数が9〜18×10-6/℃、3GHzに
おける誘電損失が30×10-4以下であることを特徴と
する低温焼成磁器。 - 【請求項5】絶縁基板の表面および/または内部にメタ
ライズ配線層が配設された配線基板であって、前記絶縁
基板が、請求項4の低温焼成磁器からなることを特徴と
する配線基板。 - 【請求項6】前記メタライズ配線層が銅または銀を主と
することを特徴とする請求項5記載の配線基板。
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