JP3865967B2 - 磁器およびそれを用いた配線基板 - Google Patents

磁器およびそれを用いた配線基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子収納用パッケージ、多層配線基板等に適用される配線基板等に最適な磁器に関するものであり、特に、銅や、銀と同時焼成が可能であり、また、プリント基板などの有機樹脂からなる外部回路基板に対する高い信頼性をもって実装可能な配線基板の絶縁基板として好適な磁およびそれを用いた配線基板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、セラミック多層配線基板としては、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板の表面または内部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる配線層が形成されたものが最も普及している。
【0003】
また、最近に至り、高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波化に移行しつつある。このような、高周波の信号の伝送を必要を行う高周波配線基板においては、高周波信号を損失なく伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいこと、また絶縁基板の高周波領域での誘電損失が小さいことが要求される。
【0004】
ところが、従来のタングステン(W)や、モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝搬速度が遅く、また、30GHz以上の高周波領域の信号伝搬も困難であることから、W、Moなどの金属に代えて銅、銀、金などの低抵抗金属を使用されつつある。
【0005】
このような低抵抗金属を主成分とする配線層は、アルミナと同時焼成することが困難であるため、最近では、ガラス、またはガラスとセラミックスとの複合材料からなる、いわゆるガラスセラミックスを絶縁基板として用いた配線基板が開発されつつある。
【0006】
例えば、特開昭60−240135号公報のように、ホウケイ酸亜鉛系ガラスに、Al2 3 、ムライトなどのフィラーを添加した磁器組成物を用いて低抵抗金属と同時焼成した多層配線基板や、特開平5−298919号公報のように、ムライトやコージェライトを結晶相として析出させたガラスセラミック材料が提案されている。
【0007】
また、多層配線基板や半導体素子収納用パッケージなどの配線基板をマサーボードなどの絶縁基板が有機樹脂を含むプリント基板に実装する上で、プリント基板との熱膨張差により発生する応力により実装部分が剥離したり、クラックなどが発生するのを防止するうえで、絶縁基板の熱膨張係数がプリント基板の熱膨張係数と近似していることが望まれる。
【0008】
そこで、本出願人は、特開平11−12029号公報にてSiO2 を主体とする結晶相と、ZnとAl2 3 とを主体とするスピネル型結晶相を含有する焼結体を配線基板の絶縁基板として用いることにより、絶縁基板の熱膨張係数を高めることができるとともに、誘電率が6以下、誘電損失が25×10-4以下とできることを提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭60−240135号公報や特開平5−298919号公報のガラスセラミックスでは、銅、銀、金などの低抵抗金属との同時焼成が可能であっても、その焼結体は、アルミナ質焼結体に比較して熱膨張係数が低く、3〜6ppm/℃程度であり、プリント基板に実装する場合に、実装の信頼性が低く実用上満足できるものではなかった。
【0010】
これに対して、特開平11−12029号公報に開示された焼結体では、高熱膨張を有するために実装の信頼性が高く、またミリ波等の高周波信号を伝送するための配線基板の絶縁材料として有用ではあるものの、耐薬品性が充分でなく、配線基板の製造工程においてメッキ処理等を行う場合、絶縁基板中の一部の元素が溶出する恐れがあった。
【0011】
従って、本発明は、金、銀、銅を配線導体として多層化が可能となるように800〜1000℃で焼成可能であるとともに、プリント基板の熱膨張係数と近似した高熱膨張係数を有し、且つ高周波領域においても低誘電率および低誘電損失の配線基板が作製可能であるとともに、耐薬品性に優れる磁器およびそれを絶縁基板として用いた配線基板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を鋭意検討した結果、Si、Al、Zn、MgおよびBと、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種を金属元素として含むとともに、結晶相として、SiO2 結晶相と、少なくともZn、Alを含むスピネル型結晶相と、少なくともZn、AlおよびSiを含む複合酸化物結晶相と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)と、AlおよびSiとを含む複合酸化物結晶相とを構成相として析出せしめることにより、高熱膨張化を達成できるとともに、低誘電率化、高周波領域において低誘電損失化を実現し、かつ耐薬品性が向上できることを知見し、本発明に至った。
【0015】
発明の磁器は、Si、Al、Zn、MgおよびBと、Ca、Sr及びBaの群から選ばれる少なくとも1種を金属元素として含むとともに、SiO結晶相と、少なくともZn、Alを含むスピネル型結晶相と、Zn Al Si O1 結晶相と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)と、AlおよびSiとを含む複合酸化物結晶相と、ガラス相とを含有し、かつ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率9以下であることを特徴とするものである。
【0016】
ここで、前記SiO結晶相がクオーツ型結晶相であること、前記Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとを含む複合酸化物結晶相がMAlSi型結晶相であることが望ましい。
【0017】
さらに、本発明の配線基板は、絶縁基板と、その表面および/または内部に配設された配線層を具備してなり、前記絶縁基板が、Si、Al、Zn、MgおよびBと、Ca、Sr及びBaの群から選ばれる少なくとも1種を金属元素として含むとともに、SiO結晶相と、少なくともZn、Alを含むスピネル型結晶相と、Zn Al Si O1 結晶相と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとを含む複合酸化物結晶相と、ガラス相とを含有し、かつ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率9以下の磁器からなることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の磁器となる磁器組成物は、SiO、Al、MgO、ZnOおよびBを含むガラス30〜95重量%、特に50〜90重量%、さらに望ましくは60〜85重量%と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物0.1〜35重量%、特に0.5〜25重量%、さらに望ましくは1〜20重量%とを含有するものである。
【0019】
さらに、本発明の磁器となる磁器組成物は、SiO、Al、MgO、ZnOおよびBを含むガラス30〜95重量%と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物0.1〜35重量%と、SiO2 0〜40重量%、特に5〜35重量%、さらに望ましくは7〜30重量%と、ZnO0〜30重量%、特に2〜25重量%、さらに望ましくは4〜20重量%、B2 O3 0〜10重量%、特に0.5〜5重量%、さらに望ましくは0.5〜3重量%とからなることが望ましい。
【0020】
各成分組成を上記の範囲に限定したのは、上記ガラスが30重量%よりも少ないと、1000℃以下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが困難であり、95重量%よりも多いと、800℃以上の焼成でガラス成分の一部が溶出し、磁器が組成ずれしてしまうためである。
【0021】
Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物は、磁器の焼結を促進する耐薬品性を高める成分であり、0.1重量%より少ないと磁器の耐薬品性が悪く、メッキ処理等により磁器が変質してしまう。また、35重量%を超えると、1000℃以下の温度で焼成して磁器を緻密化させることが困難となるためである。
【0022】
また、上記Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物は、CaAl2 Si2 8 、SrAl2 Si2 8 、BaAl2 Si2 8 等の複合酸化物のうちの1種以上であることが望ましい。
【0023】
SiO2 およびZnOは磁器の熱膨張係数を調製するための任意成分であり、特に添加することにより、磁器中に高熱膨張の結晶相であるクォーツ結晶相およびスピネル型結晶相、中でもガーナイト結晶相を析出せしめ、焼結体の熱膨張係数を高めることができる。ただし、SiO2 の添加量が40重量%、またZnOの添加量が30重量%を超えると、焼結性が低下し、1000℃以下で焼成することが困難となる。
【0024】
さらに、B2 3 は任意成分であり、特に添加により焼結性を改善することができるが、10重量%を超えて添加すると溶剤へB成分が溶解し、スラリー化が困難となったり、焼成中に液相として溶出する恐れがある。
【0025】
ここで、前記ガラスは、ガラスの軟化点が500〜800℃であることが望ましく、また、磁器の誘電損失を低めるためには結晶化ガラスであることが望ましい。さらに、その組成はSiO40〜52重量%、特に42〜50重量%、Al14〜32重量%、特に16〜31重量%、MgO4〜24重量%、特に6〜20重量%、ZnO1〜16重量%、特3〜14重量%、B5〜15重量%、特7〜12重量%の割合であることが望ましい。
【0026】
本発明によれば、上記のガラス組成物を用いることによって、フィラーとしてSiO2 のような高融点化物質を含有する場合でも、1000℃以下、特に950℃以下、さらには930℃以下での焼成が可能であることから、後述するように高周波用配線基板の配線層として多用されている銅および/または銀との同時焼成が可能である。
【0027】
また、本発明によれば、特にCa、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物、特にMAl2 Si2 8 (M=Ca,Ba,Sr)を添加することにより、該複合酸化物の一部が分解反応を起こし、分解成分がガラス中へ固溶することによって磁器の耐薬品性を高めることができる。
【0028】
本発明の磁器を製造するには、上述したSiO、A、MgO、ZnOおよびBを含む結晶化ガラスと、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとを含む複合酸化物と、SiOと、ZnOと、Bとからなる上記組成物の混合粉末を用いて、ドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法の周知の成型法により所定形状の成形体を作製した後、該成形体を800〜1000℃の酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気中で焼成することにより相対密度97%以上まで緻密化した磁器を作製することができる。
【0029】
このようにして得られる磁器の全体組成としては、Si、Al、Mg、ZnおよびBと、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種の各金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とした時、SiO2 を16〜68重量%、特に32〜62重量%、Al2 3 を10〜33重量%、特に12〜30重量%、MgOを3〜13重量%、特に4〜11重量%、ZnOを2〜38重量%、特に3〜35重量%、B2 3 を2〜20重量%、特に5〜10重量%、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物換算量を0.01〜15重量%、特に0.05〜13重量%の割合から構成されることが望ましい。
【0030】
また、本発明の磁器は、磁器の組織を説明するための概略図である図1に示すように、Si結晶相(Si)と、少なくともZnおよびAlを含むスピネル型結晶相(SP)と、Zn Al Si O1 結晶相(ZL)と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物結晶相(ML)とを主として含有するものである。
【0031】
ここで、SiO2 結晶相(Si)は、クォーツ、クリストバライト、トリジマイトなどとして存在するが、クリストバライトは、200℃付近に熱膨張係数の屈曲点を有することから安定した熱膨張挙動と、低誘電率である点でクォーツ(熱膨張係数13〜20ppm/℃)結晶相として存在することが望ましい。
【0032】
また、少なくともZnおよびAlを含むスピネル型結晶相(SP)は、ZnAl2 4 で表されるガーナイト結晶相などが挙げられ、磁器の熱膨張係数を高めるとともに誘電損失を低減する効果がある。
【0033】
さらに、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物結晶相(ML)は、CaAl2 Si2 8 、SrAl2 Si2 8 、BaAl2 Si2 8 からなることが望ましく、これらは針状晶として析出し磁器の抗折強度および靭性を高めることができる。
【0034】
さらにまた、ZnAlSi 型結晶相(ZL)が存在するため、磁器のガラス中のZn量を減ずることができ、耐薬品性を高めることができるが、該複合酸化物結晶相は上記MAlSi型複合酸化物結晶相が分解することによっても生成する。
【0035】
なお、上記の各結晶相中には、主たる構成金属元素以外に、結晶構造を変化させない範囲で他の金属元素が固溶していてもよく、例えば、ZnAl2 4 には、MgAl2 4 が固溶して、(Zn,Mg)Al2 4 で表されるスピネル型結晶相からなる場合もある。
【0036】
また、本発明によれば、上記の結晶相以外に、2MgO・2Al2 3 ・5SiO2 で表されるコージェライト型結晶相やMgSiO3 で表されるエンスタタイト型結晶相が微量存在する場合もある。
【0037】
さらに、磁器中には、上記の結晶相の粒界に、少なくともSiを含有するガラス成分により構成されるガラス相が存在するが、ガラス中にCa、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)が固溶することによって磁器の耐薬品性を高めることができる。
【0038】
本発明によれば、上記構成により、磁器の室温から400℃における熱膨張係数を5.5ppm/℃以上、望ましくは7ppm/℃以上、特に9ppm/℃以上、さらに10ppm/℃以上に高めることができ、磁器とGaAs等のチップ部品やプリント基板等の有機樹脂からなる外部回路基板との熱膨張係数差を小さくできることから、本発明の磁器を配線基板の絶縁基板として用いる場合、実装の信頼性を高めることができる。
【0039】
また、磁器の誘電率を測定周波数1〜30GHzにおいて9以下、特に7以下、さらには6以下とすることができ、基板の高周波信号への影響を小さくできるとともに、磁器の高周波帯での誘電損失を測定周波数1〜30GHzにおいて30×10-4以下、特に25×10-4以下、さらには20×10-4以下とすることができることから、高周波帯、特にミリ波帯での信号の伝送特性が向上する。
【0040】
本発明の磁器は、高周波帯での誘電損失が低いことから1GHz以上、特に20GHz以上、さらには50GHz以上、またさらには70GHz以上の高周波用配線基板の絶縁層を形成するのに好適である。
【0041】
本発明の磁器を配線基板の絶縁基板として用いる場合には、絶縁基板の室温から400℃における熱膨張係数は、GaAs等のチップ部品やプリント基板等の熱膨張係数に近似するように、前述したように基板を構成する磁器の組成、組織を制御して、適宜調整することが望ましい。
【0042】
これは、上記の絶縁基板の熱膨張係数が実装されるチップ部品やプリント基板のそれと差がある場合、半田実装時や半導体素子の作動停止による繰り返し温度サイクルによって、チップ部品やプリント基板とパッケージとの実装部に熱膨張差に起因する応力が発生し、実装部にクラック等が発生し、実装構造の信頼性を損ねてしまうためであり、具体的には、チップ部品との整合を図る上ではチップ部品との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下、プリント基板との整合を図る上ではプリント基板との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下であることが望ましい。
【0043】
具体的に、本発明器を用いて、配線層を具備する配線基板を製造する方法について説明する。上述した組成物からなる混合粉末に、適当な有機溶剤、溶媒を用い混合してスラリーを調製し、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法により、シート状に成形する。そして、このシート状成形体に所望によりスルーホールを形成した後、スルーホール内に、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を含む金属ペーストを充填する。そして、シート状成形体表面には、高周波信号が伝送可能な高周波線路パターン等に前記金属ペーストを用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法などによって配線層の厚みが5〜30μmとなるように、印刷塗布する。
【0044】
その後、複数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着し、800〜1050℃の窒素ガスや窒素−酸素混合ガス等の非酸化性雰囲気で焼成することにより、配線基板を作製することができる。そして、この配線基板の表面に、適宜、半導体素子等のチップ部品を搭載し、配線層と信号の伝達が可能なように接続する。
【0045】
接続方法としては、配線層上に直接搭載させて接続させたり、あるいは50μm程度の樹脂、Ag−エポキシ、Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミックス等の接着剤によりチップ部品を絶縁基板表面に固着し、ワイヤーボンディングや、TABテープなどにより配線層と半導体素子とを接続する。なお、この半導体素子としては、Si系やGaAs系等のチップ部品が使用できるが、特にGaAs系のチップ部品について特に有用である。
【0046】
さらに、半導体素子が搭載された配線基板表面に、絶縁基板と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材料、あるいは放熱性が良好な金属等からなり、電磁波遮蔽性を有するキャップをガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤により接合してもよく、これにより半導体素子を気密に封止することができる。
【0047】
本発明の磁器を好適に使用しうる高周波用配線基板の一例である半体素子収納用パッケージの具体的な構造とその実装構造について図2をもとに説明する。図2は、半導体収納用パッケージ、特に、接続端子がボール状端子からなるボールグリッドアレイ(BGA)型パッケージの概略断面図である。
【0048】
図2によれば、パッケージAは、絶縁材料からなる絶縁基板1と蓋体2によりキャビティ3が形成されており、そのキャビティ3内には、GaAs等のチップ部品4が前述の接着剤により実装されている。
【0049】
また、絶縁基板1の表面および内部には、チップ部品4と電気的に接続された配線層5が形成されている。この配線層5は、高周波信号の伝送時に導体損失を極力低減するために、銅、銀あるいは金などの低抵抗金属からなることが望ましい。また、この配線層5に1GHz以上の高周波信号を伝送する場合には、高周波信号が損失なく伝送されることが必要となるため、配線層5は周知のストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路のうちの少なくとも1種から構成される。
【0050】
また、図2のパッケージAにおいて、絶縁基板1の底面には、接続用電極層6が被着形成されており、パッケージA内の配線層5と接続されている。そして、接続用電極層6には、半田などのロウ材7によりボール状端子8が被着形成されている。
【0051】
また、上記パッケージAを外部回路基板Bに実装するには、図2に示すように、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの有機樹脂を含む絶縁材料からなる絶縁基板9の表面に配線導体10が形成された外部回路基板Bに対して、ロウ材を介して実装される。具体的には、パッケージAにおける絶縁基板1の底面に取付けられているボール状端子8と、外部回路基板Bの配線導体10とを当接させてPb−Snなどの半田等のロウ材11によりロウ付けして実装される。また、ボール状端子8自体を溶融させて配線導体10と接続させてもよい。
【0052】
本発明によれば、このようなボール状端子8を介在したロウ付けによりプリント基板等の外部回路基板に実装されるような表面実装型のパッケージにおいて、外部回路基板の絶縁基板との熱膨張差を従来のセラミック材料よりも小さくできることから、かかる実装構造に対して、熱サイクルが印加された場合においても、実装部での応力の発生を抑制することができる結果、実装構造の長期信頼性を高めることができる。
【0053】
【実施例】
下記の組成からなる2種のガラスを準備した。
【0054】
ガラスA:SiO2 44重量%−Al2 3 29重量%−MgO11重量%−ZnO7重量%−B2 3 9重量%
ガラスB:SiO2 44重量%−Al2 3 26重量%−MgO19重量%−ZnO1重量%−B2 3 10重量%
そして、この結晶化ガラス粉末に対して、平均粒径が3μm以下のシリカ(クオーツ)粉末とZnO粉末、MAl2 Si2 8 粉末(Mは、Ca、SrおよびBaの中から選ばれる少なくとも1種)、B2 3 粉末を用いて、焼成後の磁器が表1〜4の組成となるように調合、混合した。
【0055】
そして、この混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを20枚積層し、50℃の温度で100kg/cm2 の圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中で700℃で脱バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で表1〜4の条件において焼成して磁器を得た。
【0056】
得られた磁器について直径10mm、厚み5mmの形状に切り出し、20〜30GHzにてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用いて誘電体円柱共振器法により誘電率および誘電損失を測定した。測定では、φ50のCu板治具の間に試料の誘電体基板を挟んで測定した。共振器のTE011モードの共振特性より、誘電率、誘電損失を算出した。
【0057】
また、室温から400℃における熱膨張曲線をとり、熱膨張係数を算出した。
【0058】
さらに、磁器中に含まれる結晶相を磁器表面のX線回折測定から同定した。測定の結果は表1〜4に示した。
【0059】
また、上記磁器を20mm×20mm×5mmの形状に切りだし、これを6Nの塩酸(HCl)溶液に15分浸漬した後、磁器を引き上げ、その重量変化量を求め、これを塩酸(HCl)溶液中に溶出した磁器中の成分量とみなし、耐薬品性として表1〜4に示した。
【0060】
また、一部の試料については、フィラー成分として、Al2 3 粉末、CaZrO3 粉末を用いて同様に焼結体を作製し評価した(試料No.9、10、44、45)。
【0061】
さらに、上記結晶化ガラスA、Bに代わり、以下の組成からなるガラスCおよびガラスDを用いて同様に評価を行った(試料No.71〜76)。
【0062】
Figure 0003865967
【0063】
【表1】
Figure 0003865967
【0064】
【表2】
Figure 0003865967
【0065】
【表3】
Figure 0003865967
【0066】
【表4】
Figure 0003865967
【0067】
表1〜表4の結果から明らかなように、本発明に基づく磁器は、いずれも熱膨張係数5.5ppm/℃以上、20〜30GHzの測定周波数にて誘電率9以下、誘電損失が30×10-4以下の優れた誘電特性を有するものであった。
【0068】
これに対して、組成において、SiO2 −Al2 3 −MgO−ZnO−B2 3 を含むガラス量が、95重量%よりも多い試料No.1、2、36、37では、誘電損失が49×10-4以上と高いものであり、30重量%よりも少ない試料No.34、69では、1000℃で焼成しても磁器を緻密化させることができなかった。
【0069】
また、SiO2 量、ZnO量、ML(CL,BL,SL)量のいずれかが所定量を超える試料No.27〜31および62〜66では、1000℃で焼成しても磁器を緻密化させることができなかった。1000℃以下での焼成が難しく、熱膨張係数も低いものであった。さらに、B2 3 量が10重量%を超える試料No.35、70では、焼成中に液相成分が溶出し、磁器を得ることができなかった。
【0070】
試料No.9、10、44、45は、ガラスへの添加成分としてAl2 3 やCaZrO3 を配合したものであるが、焼結体中にAl2 3 やZrO2 などの結晶が析出して誘電損失が大きくなった。
【0071】
また、ML(CL,BL,SL)の添加量が0.1重量%よりも少ない試料No.1、2、9、10、14、15、36、37、44、45、49、50では、いずれも耐薬品性が低く、塩酸処理によって0.2%以上溶出してしまった。
【0072】
さらに、ガラスとして、MgOやZnOを含まないガラスC、Dを用いた試料No.71〜76では、誘電損失が大きくなる傾向にあった。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の磁器によれば、1000℃以下の温度で焼成ができることから、銅などの低抵抗金属を主成分とする導体材料を用いて配線層を形成することができ、しかも1GHz以上の高周波領域で低誘電率、低誘電損失を有する磁器が作製できることから、高周波信号の損失を低減して良好に伝送することができる。しかも、GaAsのチップ等あるいはプリント基板と近似した熱膨張係数に制御できることから、GaAsのチップ等を実装したりあるいはプリント基板などのマザーボードに対してロウ材等により実装する場合において実装信頼性の高い配線基板となる。さらに、耐薬品性に優れるために、製造時の薬品処理等によっても特性が劣化することのない配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁器の組織を説明するための概略図である。
【図2】本発明の磁器を用いた高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの実装構造の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
Si SiO結晶相
SP スピネル型結晶相
ML MAlSi型結晶相(M:Ca、Sr、Ba)
ZL ZnAlSi18型結晶相
G 非晶質相
A 半導体素子収納用パッケージ
B 外部回路基板
1 絶縁基板
2 蓋体
3 キャビティ
4 チップ部品
5 配線層
6 接続用電極層
7,11 ロウ材
8 ボール状端子
9 絶縁基板
10 配線導体

Claims (4)

  1. Si、Al、Zn、MgおよびBと、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種を金属元素として含むとともに、SiO結晶相と、少なくともZn、Alを含むスピネル型結晶相と、Zn Al Si 18 結晶相と、Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物結晶相と、ガラス相とを含有し、かつ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率9以下であることを特徴とする磁器。
  2. 前記SiO結晶相が、クオーツ型結晶相であることを特徴とする請求項記載の磁器。
  3. 前記Ca、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種(M)とAlおよびSiとの複合酸化物結晶相が、MAlSi型結晶相であることを特徴とする請求項1または2記載の磁器。
  4. 絶縁基板と、その表面および/または内部に配設された配線層を具備してなる配線基板において、前記絶縁基板が、請求項1〜3のいずれかに記載の磁器からなることを特徴とする配線基板。
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