JP2003073162A - ガラスセラミックスおよびそれを用いた配線基板 - Google Patents

ガラスセラミックスおよびそれを用いた配線基板

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JP2003073162A
JP2003073162A JP2001262465A JP2001262465A JP2003073162A JP 2003073162 A JP2003073162 A JP 2003073162A JP 2001262465 A JP2001262465 A JP 2001262465A JP 2001262465 A JP2001262465 A JP 2001262465A JP 2003073162 A JP2003073162 A JP 2003073162A
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glass
phase
weight
ceramic
aluminum nitride
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JP2001262465A
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English (en)
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Hiromi Iwachi
裕美 岩地
Yoshitake Terashi
吉健 寺師
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Kyocera Corp
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い熱伝導性を有するとともに、低誘電率を有
し、また銀、銅、金等の低抵抗金属と同時焼成が可能な
ガラスセラミックスを得る。 【解決手段】少なくともホウ素(B)を含有するガラス
相と、少なくとも窒化アルミニウム粒子を含むフィラー
成分との混合体からなるガラスセラミックスであって、
h−BN相が前記窒化アルミニウム粒子と前記ガラス相
との界面、あるいは平均粒径が5μm以下の独立相して
存在し、前記h−BN相が10nm以上の厚みで前記窒
化アルミニウム粒子と前記ガラス相との界面に帯状に存
在し、窒化アルミニウム粒子内における酸素量が0.8
重量%以下であるガラスセラミックスを得、これを絶縁
基板1とし、絶縁基板1の表面および/または内部に配
線回路層2を形成して配線基板を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子収納用
パッケージ、多層配線基板等に適用される配線基板等に
最適なガラスセラミックスとそれを用いた配線基板に関
するものであり、特に、信号遅延を低減する事が可能と
するために、銀、銅、金と同時焼成が可能で、誘電率が
低く、かつ半導体素子等の能動素子の動作時等に発生す
る熱を効率よく放散することが可能なガラスセラミック
スの改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、高度情報化時代を迎え、情報通信技
術が急速に発達している。それに伴い、半導体素子の高
速化、大型化が進行している。そのため、半導体素子の
高速化に伴い、パッケージや基板等における信号遅延の
問題が大きくなっている。同時に、半導体素子の大型化
に伴う発熱量の増加による、パッケージや基板等におけ
る熱抵抗の問題も大きくなっている。
【0003】従来より、セラミック多層配線基板として
は、アルミナ質焼結体からなる絶縁層の表面または内部
にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる
配線層が形成されたアルミナ配線基板が最も普及してい
る。
【0004】ところが、従来のアルミナ配線基板では、
その導体であるタングステン(W)や、モリブデン(M
o)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、さらにアル
ミナの誘電率も9程度と高いことから、信号遅延が大き
いことが問題となっていた。そこで、W、Moなどの金
属に代えて、銅、銀、金などの低抵抗金属を導体として
使用し、さらに絶縁層の誘電率を低くすることが要求さ
れている。
【0005】そのため、最近では、ガラス、または、ガ
ラスとセラミックとの複合材料であるガラスセラミック
を絶縁層として用いることにより、1050℃以下の低
温焼成を可能とし、融点の低い銅、銀、金などの低抵抗
金属を導体として使用できるようにし、かつ誘電率をア
ルミナよりも低くすることが可能な、ガラスセラミック
配線基板が開発されつつある。
【0006】例えば、特公平4−12639号のよう
に、ガラスにSiO2系フィラーを添加した絶縁層と、
銅、銀、金などの低抵抗金属からなる配線層とを900
〜1050℃の温度で同時焼成した多層配線基板や、特
開昭60−240135号のように、ホウケイ酸亜鉛系
ガラスに、アルミナ、ジルコニア、ムライトなどのフィ
ラーを添加したものを低抵抗金属と同時焼成したものな
どが提案されている。その他、特開平5−298919
号には、ムライトやコージェライトを結晶相として析出
させたガラスセラミック材料も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記に挙げた
ような従来のガラスセラミックにおいては、熱伝導率が
2W/m・K以下と低く、熱放散性において従来のアル
ミナ等に比べて劣っていた。そこで、特開昭63−30
7182号に記載されるような、AlNと石英ガラスと
低軟化点ガラスからなるガラスセラミックを用いた配線
基板が提案されている。
【0008】しかし、AlN等の非酸化物化合物をフィ
ラーとして用いると、ガラスと非酸化物フィラーが焼成
中に反応したり、大気中での焼成、場合によっては窒素
中での焼成においても、焼成中に非酸化物フィラーが分
解したりするため、ガスが発生する問題があった。その
ため、焼結体が膨らんだり、膨らまないまでも寸法精度
が得られなかったり、焼結体表面に気泡が発生したり
と、安定して良好な焼結体を得る事が不可能であり、歩
留まりが低く、実用上大きな問題があった。特に、大気
中での焼成でその傾向が顕著となるため、銀を導体とす
る配線の形成が非常に困難であったり、銅配線を行う際
に脱バインダ不良が起こり易いなどという問題があっ
た。
【0009】従って、本発明は、銀、銅、金等の低抵
抗、低融点金属、なかでも銀と同時焼成が可能であり、
高熱伝導率、低誘電率を有するガラスセラミックスおよ
びそれを用いた配線基板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
鋭意検討した結果、ガラスセラミックス中のガラス成分
として少なくともホウ素を含有し、少なくとも窒化アル
ミニウム粒子を含むフィラー成分との混合体からなるガ
ラスセラミックスにおいて、h−BN相を生成せしめ、
それを窒化アルミニウムとガラスの界面および/または
独立相として分散させることで、窒化アルミニウムとガ
ラスとの反応を制御し、窒化アルミニウム粒子を安定に
存在させることができる結果、熱伝導性を有するガラス
セラミックスを歩留まりよく提供することができること
を知見し、本発明に至った。
【0011】即ち、本発明のガラスセラミックスは、ガ
ラス相と、少なくとも窒化アルミニウム粒子を含むフィ
ラー成分との混合体からなり、ホウ素を酸化物換算で2
5重量%以下の割合で含有するガラスセラミックスであ
って、h−BN相が前記窒化アルミニウム粒子と前記ガ
ラス相との界面、あるいは独立相として存在することを
特徴とするものである。
【0012】なお、かかるガラスセラミックスにおいて
は、前記h−BN相が10nm以上の厚みで前記窒化ア
ルミニウム粒子と前記ガラス相との界面に帯状に存在す
るか、または、h−BN相が平均粒径0.1〜5μmの
独立相として存在することが望ましい。また、h−BN
相は0.5重量%以上含まれていることが効果的であ
る。
【0013】さらに、窒化アルミニウム粒子内における
酸素量は0.8重量%以下であることが高熱伝導化を図
る上で望ましい。
【0014】また、上記のガラスセラミックスは、絶縁
基板の表面および/または内部に配線回路層が形成され
た配線基板における絶縁基板として有用である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のガラスセラミックスは、
ガラス相と、少なくとも窒化アルミニウム粒子(以下、
AlN粒子という。)との混合体からなるものである。
そして、本発明によれば、AlN粒子と、前記ガラス相
との界面および/または独立相してh−BN相を存在せ
しめることが大きな特徴であって、このh−BN相を存
在せしめることによってガラスセラミックスの熱伝導率
を向上させることができる。
【0016】また、h−BN相は無機溶融体に対する耐
蝕性、難濡れ性、高強度などの性質を有するために、h
−BN相をガラスセラミックス中に生成させることで、
強度を向上することも可能である。
【0017】このh−BN相は、AlN粒子とガラス相
との界面において10nm以上の厚みで存在したり、独
立した粒子として存在する。この界面におけるh−BN
相の厚みが10nm以上であると顕著な効果が発揮され
る。また、独立相として生成するh−BN相は、h−B
Nの薄い層が球状に成長するために起こり、その大きさ
が5μmよりも大きくなるとh−BNは破壊し、ガラス
セラミックス中におけるボイドとなる場合があるため
に、その平均粒径は5μm以下、特に4μm以下である
ことが望ましい。
【0018】さらに、上記h−BN相は、ガラスセラミ
ックス中に、0.2重量%以上、特に0.5重量%以上
存在することが効果的である。このh−BN相の含有量
は、X線回折測定からリートベルト法によって概算算出
することができる。
【0019】また、本発明のガラスセラミックス中に
は、ホウ素を酸化物換算25重量%以下含有されるもの
であるが、ホウ素は、特にガラス中の一成分として含ま
れ、ガラスの軟化点を下げる性質を有し、低温焼結性を
高める作用をなす。かかる作用の点から、焼結体中に
は、ホウ素を酸化物(B23)換算で3重量%以上含有
することが望ましい。なお、ホウ素の含有量が、25重
量%より多くなると、成形性が悪化するとともに、h−
BN相の生成が急激に進行して大きなh−BN粒子が生
成されるとともに、この大きなh−BN相の生成によっ
てボイドが発生しやすくなる。特に、ガラスセラミック
ス中のホウ素量は10〜25重量%が最適である。
【0020】本発明によれば、このセラミックス中に分
散されているAlN粒子内における酸素量が0.8重量
%以下,特に0.5重量%以下であることが望ましい。
これによって、AlN粒子自体の熱伝導性を高めること
ができることによってガラスセラミックスの熱伝導率を
向上させることができる。また、本発明によれば、この
ような低酸素含有のAlN粒子を含有させることをによ
って、ガラスセラミックスの高周波領域での低誘電率化
とともに誘電損失を低減することができる。このAlN
粒子内の酸素量は、オージェ電子顕微鏡により後述する
実施例に基づき容易に測定することができる。
【0021】また、本発明によれば、AlN粒子は、平
均粒径が2μm以上、特に4μm以上の粒子として存在
することが望ましい。これは、AlN粒子の平均粒子が
2μm以上とするとによって、h−BN相が効率よく生
成されるとともに、ガラスセラミックスの緻密化が進行
し強度が高くなるとともに、吸水率も低下し、低誘電損
失化を図ることができる。しかし、粒子が大きくなりす
ぎると、セラミックス表面の平滑性が低下したり、粗大
粒子を起点とする破壊が生じやすくなり強度が低下する
ことから、平均粒径は30μm以下、特に15μm以
下、さらには10μm以下がよい。
【0022】本発明によれば、高熱伝導化を図る上で、
フィラーとしてAlN粒子を5重量%以上、特に10重
量%以上、さらには20重量%以上の割合で含有するこ
とが望ましい。
【0023】さらに、ガラスセラミックス中には、フィ
ラーとしてAlN粒子以外に、他のセラミック結晶相を
含んでいてもよい。他の結晶相としては、Al23、S
iO 2(クォーツ、クリストバライト、トリジマイ
ト)、3Al23・2SiO2、(M2)2MgSi
7、(M2)Al2Si28、CaMgSi27、Ca
(Mg,Al)(Si,Al)26、(M2)Si
3、CaMgSiO4、CaMgSi26、Ca3Mg
Si28、MgAl24、Mg2Al4Si518、Mg2
SiO4、(M2)SiO3、Sr2MgSi27、Ti
2、ZnAl24、ZnO、ZrO2、Zn2SiO4
Zn2Al4Si518、(M1)AlSi26、(M
1)AlSiO4、(M2)TiO3、Si34、SiC
の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記の
記載のうち、M1はアルカリ金属(Li、Na,K)の
群から選ばれる少なくとも1種、M2はアルカリ土類金
属(Mg,Ca、Ba、Sr)の群から選ばれる少なく
とも1種、( )は、( )内に記載された金属元素か
ら選ばれる少なくとも1種を意味する。これらは、Al
N粒子の分散による効果を阻害しない範囲で含有され、
特に30重量%以下の割合で含まれるのが適当である。
上記の結晶相は、フィラー粉末として添加してもよい
し、ガラスから析出させてもよい。
【0024】また、本発明のガラスセラミックスにおけ
るガラス相は、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、アル
ミノケイ酸ガラス、Pb系ガラス、Bi系ガラス、アル
カリ系ガラス、アルカリ土類系ガラス、アルミノホウケ
イ酸ガラス等が挙げられるが、特に、1000℃以下で
の焼結性を実現し、CuやAg等の低抵抗金属との同時
焼結を行うためには、アルミノケイ酸ガラス、アルミノ
ホウケイ酸ガラス、アルカリ系ガラス、アルカリ土類系
ガラスの群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。ま
た、上記ガラス相は、非晶質ガラス、結晶化ガラスのい
ずれでもよいが、強度向上のためには、結晶化ガラスで
あることが望ましい。
【0025】また、本発明におけるガラスセラミックス
は、開気孔率が1%以下であることが望ましい。これ
は、誘電損失を低減する上で必要であり、開気孔率が1
%よりも大きいと、開気孔内に水分が吸着され、高周波
領域での誘電損失が大きくなってしまうためである。特
に、開気孔率は0.5%以下、特に0.2%以下である
ことが望ましい。
【0026】本発明における上記ガラスセラミックス
は、熱伝導率が5W/m・K以上、特に8W/m・K以
上と高く、電気特性として測定周波数1GHzにおい
て、比誘電率が8以下、特に7.5以下、さらには7以
下であり、また誘電損失が60×10-4以下、特に50
×10-4以下、さらには30×10-4以下の優れた特性
を有するものである。
【0027】本発明のガラスセラミックスにおいて全量
中、ガラス成分は30〜95重量%、好ましくは32.
5〜85重量%、より好ましくは、35〜80重量%、
AlNを含むセラミックフィラー成分は、5〜70重量
%、好ましくは、15〜67.5重量%、より好ましく
は20〜65重量%の比率で存在させることが焼結性お
よび熱的特性、および電気特性の改善を行うのに最適で
ある。 (製造方法)次に、本発明におけるガラスセラミックス
を製造する方法について説明する。まず、出発原料とし
て、ガラス粉末とセラミックフィラー粉末とを所定の比
率で混合する。ガラス粉末を30〜95重量%、特に3
2.5〜85重量%、最適には35〜80重量%と、A
lNを5重量%以上含有含むセラミックフィラーを5〜
70重量%、特に15〜67.5重量%、最適には30
〜65重量%の割合で混合する。
【0028】ガラスおよびフィラーの組成を上記範囲に
限定したのは、ガラス粉末が30重量%より少ない、あ
るいはセラミックフィラーが70重量%よりも多いと1
000℃以下の低温焼成において該組成物を相対密度9
5%以上に緻密化することが困難となり、前記ガラスが
95重量%を超える、あるいはAlN量が5重量%より
も少ないと磁器の熱伝導率の向上効果が不十分となる為
である。
【0029】また、ガラスとしては、ガラス転移点が8
00℃以下、特に750℃以下、最適には700℃以下
であることによって、1000℃以下の焼成における緻
密化を促進することができる。
【0030】また、本発明において、用いられるガラス
としては、SiO2と、B23を必須成分として含有
し、具体的には、SiO2を15〜70重量%、B23
を0.5〜30重量%の割合で含有するもので、さらに
他の成分として、MgO、CaO、SrO、BaO、Z
nO、Al23の群から選ばれる少なくとも1種を含有
することもできる。しかしながら、ガラスとAlNを含
むセラミックフィラーとの反応性を抑制することが必要
がある。この反応性を抑制する上では、ガラスの組成、
焼成温度、焼成雰囲気等を適宜制御することが必要であ
る。特に、ガラス組成においては、Pb、Bi、Cuお
よびアルカリ金属元素の含有量が総量で0.5重量%以
下、特に0.3重量%以下、さらには0.1重量%以下
であることが望ましい。これは、上記の特定成分は、A
lNとの反応を促進する成分であって、これらが上記の
比率を超えて存在すると、反応が生じてしまうためであ
る。
【0031】特に、より望ましいガラス組成としては、
SiO2:20〜55重量%、特に25〜50重量%、
Al23:3〜35重量%、特に5〜32重量%、Mg
O:5〜30重量%、特に8〜25重量%、ZnO:2
〜25重量%、特に4〜20重量%、B23:5〜30
重量%、特に7〜20重量%、CaO、SrO、BaO
の合計:0〜40重量%、特に0〜35重量%の組成か
らなるガラスである。
【0032】さらに、用いるガラスとしては、それ単
体、あるいはフィラーを含む組成物を焼成した際に、結
晶化することによって熱伝導率と強度の向上を図ること
ができる。ガラスの結晶化によって析出する結晶相は、
前述の通りである。また、焼結性を高める上では、ガラ
ス粉末の平均粒径が2μm以下、特に1.8μm以下と
することが望ましい。
【0033】一方、フィラーとして添加するAlN粉末
の酸素量が0.8重量%以下、特に0.5重量%以下、
さらに0.3重量%以下であることが望ましい。即ち、
AlN粉末の酸素含有量が0.8重量%よりも多いと、
h−BN相の生成が均一でなく、また1000℃以下の
焼成でガラスセラミックスの熱伝導率5W/m・K以
上、低誘電率化、低誘電損失化が達成できなくなるため
である。また、AlN粉末の平均粒径を2μm以上とす
ることによって、セラミックスの熱伝導性を向上させる
ことができる。
【0034】なお、かかる平均粒径が大きなAlN粉末
を均一に、かつ低コストで作製するには、窒化アルミニ
ウム粉末が直接窒化法によって作製されたものであるこ
とが望ましい。また、AlN粉末中の酸素含有量の減少
させるには、AlN原料を製造する際の窒化処理を20
00℃以上の高温で処理したり、市販のAlN原料にY
23などの焼結助剤を添加し、非酸化性雰囲気で仮焼処
理することによってAlN原料中の酸素量を低減でき
る。
【0035】さらに、窒化アルミニウム粉末中のFe、
Si、C、Cu、Mn、Mg、Zn、Ni、Cr、Ti
等のAl以外の不純物は総量で0.1重量%以下、特に
0.02重量%以下であることが高熱伝導化を図る上で
望ましい。
【0036】本発明のガラスセラミックスは、上記の組
成で秤量混合された混合粉末を用いて所定の成形体を作
製し、その成形体を800〜1000℃の酸化性雰囲気
または不活性雰囲気中で焼成し、開気孔率が1%以下と
なるまで緻密化させることによって作製できる。
【0037】また、本発明によれば、図1に示すよう
に、上記のガラスセラミックスを誘電体基板1とし、そ
の表面や内部に高周波用の配線回路層2を具備する配線
基板を得るには、前記の混合粉末に適当な有機バイン
ダ、溶媒を混合してスラリーを調製し、これをプレス成
形、押出成形、ドクターブレード法等のテープ成形法に
よってシート状に成形してグリーンシートを作製する。
【0038】そして、このグリーンシートに所望により
スルーホールを形成した後、スルーホール内にCuまた
はAgを主成分とする金属ペーストを充填し、グリーン
シートの表面には所定の回路パターンに導電性ペースト
を用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法等によって
印刷、塗布したり、金属箔を貼りつけてエッチングによ
ってパターン化したり、パターン化された金属箔を貼り
つける等によって高周波用の配線回路層2を形成する。
【0039】上記配線回路層2を形成したグリーンシー
トを、所望により、複数枚積層して、例えば、40〜1
20℃、5〜40MPaにて加熱圧着し、酸化性雰囲気
または弱酸化性雰囲気中、1000℃以下、特に800
〜1000℃、さらに800〜970℃にて0.2〜1
0時間、特に0.5〜2時間焼成することによって配線
基板を作製することができる。
【0040】そして、この配線基板の表面には、適宜、
高周波素子4等が搭載され高周波用の配線回路層2と高
周波信号の伝達が可能なように接続される。接続の方法
としては、配線回路層2に直接搭載させて半田などによ
って接続させたり、あるいは樹脂、Ag−エポキシ、A
g−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミックス
の少なくとも1種からなる厚み50μm程度の接着剤に
より高周波素子4を絶縁基板表面に固着し、ワイヤボン
ディング、TABテープ等により配線回路層2と高周波
素子4とを接続させる方法が適応可能である。
【0041】
【実施例】実施例1 下記の組成からなる2種のガラスを準備した。
【0042】ガラスA SiO2:44重量%、Al23:29重量%,Mg
O:11重量%、ZnO:7重量%、B23:9重量% ガラスB: SiO2:20.2重量%、Al23:6.9重量%、
SrO:33.9重量%、MgO:8.2重量%、Ca
O:0.06重量%、BaO:0.46重量%、Zn
O:16.5重量%、B23:13.7重量%、Li2
O:0.03重量%、Na2O:0.02重量%、Fe2
3:0.03重量% また、セラミックスフィラーとして粒度、酸素量の異な
るAlNを5種類準備した。なお、平均粒径については
マイクロトラック法によりd50値を測定した。また、
粉末中の酸素量については、酸素、窒素同時分析装置
(EMGA?650FA)を用いて酸素量を測定した。
【0043】そして、上記ガラス粉末とAlN粉末を表
1に示す比率で混合し、この混合物にアクリル系有機バ
インダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調整し
た後、このスラリーを用いてドクターブレード法により
厚さ300μmのグリーンシートを作製した。
【0044】そして、このグリーンシートを10〜15
枚積層し、50℃の温度で10MPaの圧力を加えて熱
圧着し、該積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700
℃で脱バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で950℃
で1時間焼成した。なお、焼成に際しては、昇温速度、
降温速度を300℃/hとした。
【0045】得られたガラスセラミックスについて、ア
ルキメデス法により開気孔率を測定するとともに、X線
回折測定を行い、構成相を同定するとともに、そのパタ
ーンからリートベルト法によってガラスセラミックス中
の検出結晶相と、h−BN相の含有比率を算出した。ま
た、h−BN相の存在箇所とその大きさを合わせて記載
した。なお、h−BN相の大きさは、走査型電子顕微鏡
写真に基づき、各独立相の最大径の平均値(平均粒径)
を、また透過型電子顕微鏡写真に基づき界面におけるh
−BN相の厚さ5箇所の平均値を表1に示した。
【0046】また、ガラスセラミックスを直径50m
m、厚み1mmの形状に切り出し、2GHzにてネット
ワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用い
て空洞共振器法によりTE011モードの共振特性を測定
し、誘電率、誘電損失を算出した。また、ガラスセラミ
ックスをφ10mm、厚さ1mmに加工しレーザーフラ
ッシュ法にて熱伝導率を測定した。結果は表1に示し
た。
【0047】
【表1】
【0048】表1の結果によれば、AlNの原料粉末お
よびセラミックス中のAlN粒子中の酸素量は、熱伝導
性のみならず、生成するh−BN相の比率に対して影響
があり、酸素量が多くなるほど、熱伝導率が低下し、生
成BN相は減少する傾向が見られたが、本発明に基づき
h−BN相が、AlN粒子とガラス相との界面または独
立相として存在するセラミックスは、熱伝導率5W/m
・K以上、比誘電率8以下にすることができる。特にA
lN粒子中の酸素量が0.5重量%以下とすることによ
って熱伝導率15W/m・K以上が達成できた。
【0049】但し、AlN粒子中の酸素量が0.8重量
%よりも大きい場合には、h−BN相の生成が確認でき
ず、熱伝導性も低いものであった。 (実施例2) ガラスC: SiO2:25重量%、Al23:8重量%、MgO:
12重量%、ZnO:10重量%、B23:40重量
%、SrO:5重量% の組成からなるガラスを70重量%、試料No.4のA
lN粉末を30重量%の割合で添加する以外は、全く実
施例1と全く同様にしてガラスセラミックスを作製し
た。その結果、h−BN相の独立相が生成したが、その
平均粒径が7μmと大きく、ボイドが多数発生してい
た。これは、セラミックス中のホウ素(酸化物換算)量
が25重量%よりも多くなったためである。
【0050】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のガラスセラ
ミックスによれば、少なくともホウ素を含有するガラス
相と、少なくとも窒化アルミニウム粒子を含むフィラー
成分との混合体からなるガラスセラミックス中に、h−
BN相を生成せしめることによって緻密で、高熱伝導性
を有し、低誘電率、低誘電損失のガラスセラミックスを
作製でき、CuやAgを主成分とする導体配線層を具備
する、特に高周波用の配線基板の絶縁基板として好適に
使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の一例を説明するための概略
断面図である。
【符号の説明】 【符号の説明】
1 誘電体基板 2 配線回路層 2a グランド層 2b 中心導体 3 ビアホール導体 4 高周波素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA36 BB01 BB02 BB03 BB04 BB05 BB06 BB07 BB35 BB36 BC12 BC13 BC17 BC22 BC34 BC46 BC52 BC54 BD03 BD23 BE22 BE26 BE32 4G030 AA02 AA03 AA07 AA08 AA09 AA10 AA27 AA32 AA35 AA36 AA37 AA50 AA51 BA12 CA04 CA05 CA08 GA14 GA15 GA17 GA20 GA24 GA27 GA30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス相と、少なくとも窒化アルミニウム
    粒子を含むフィラー成分との混合体からなり、ホウ素を
    酸化物換算で25重量%以下の割合で含有するガラスセ
    ラミックスであって、h−BN相が前記窒化アルミニウ
    ム粒子と前記ガラス相との界面、あるいは独立相として
    存在することを特徴とするガラスセラミックス。
  2. 【請求項2】前記h−BN相が10nm以上の厚みで前
    記窒化アルミニウム粒子と前記ガラス相との界面に帯状
    に存在することを特徴とする請求項1記載のガラスセラ
    ミックス。
  3. 【請求項3】前記h−BN相が平均粒径が5μm以下の
    独立相として存在することを特徴とする請求項1または
    請求項2記載のガラスセラミックス。
  4. 【請求項4】前記窒化アルミニウム粒子内における酸素
    量が0.8重量%以下であることを特徴とする請求項1
    乃至請求項3のいずれか記載のガラスセラミックス。
  5. 【請求項5】前記h−BN相を0.2重量%以上含むこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の
    ガラスセラミックス。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれか記載のガ
    ラスセラミックスを絶縁基板とし、該絶縁基板の表面お
    よび/または内部に配線回路層が形成されてなることを
    特徴とする配線基板。
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