JP3550270B2 - 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法 - Google Patents

低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層回路基板における絶縁基板として有用な低温焼成磁器組成物と、低温焼成磁器の製造方法に関するものであり、例えば集積回路(IC)や電子部品を多層に積層し、焼成してなる銅配線可能な特に高周波用の低誘電率、低誘電損失を備えた低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、セラミック配線基板としては、絶縁基板がアルミナなどのセラミックスからなるアルミナ質配線基板が多用されているが、近年、高度情報化時代を迎え、半導体素子はより高速化、高集積化、実装のより高密度化が進み、誘電率の大きなアルミナ基板(3GHzでの比誘電率は9〜9.5)は高周波回路基板等には不適切である。つまり、信号を高速で伝搬させるためには絶縁基板材料には、より低い誘電率が要求されている。また、マイクロ波、ミリ波対応として低損失化も要求されている。
【0003】
そこで、上述した低誘電率化に対応し得るセラミック材料としては、例えば、ガラスと無機質フィラーとの混合物を成形、焼成してなる、いわゆるガラスセラミックスは、誘電率が3〜7程度と低いことから、高周波用絶縁基板として注目されている。また、このガラスセラミックスは、800〜1000℃の低温で焼成することができることから、配線用導体として、銅、金、銀などの低抵抗金属を使用できるという長所を有する。
【0004】
一方、多層配線基板に種々の電子部品を実装したり、入出力端子等を取付けたり、またその多層配線基板をマザーボードなどのプリント基板に接続する上で、これら電子部品や入出力端子等、またはプリント基板との熱膨張率の差により基板に加わる応力から基板が破壊したり、欠けが生じるのを防止する為に、各材料間の熱膨張係数が近似していることが望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のガラスセラミックス材料は、誘電率が低いものの、信号の周波数が10GHz以上のマイクロ波に対して、その誘電損失が20×10−4以上と高く、このような高周波用としては実用化し得るに十分な特性を有していないものであった。
【0006】
しかも、従来のガラスセラミックスは、誘電体特性を決定する成分のみでは、その組成を調整しても、熱膨張係数を種々調整することが難しく、そのために、種々の熱膨張調整剤を必要とし、その結果、誘電特性を損ねてしまうなどの問題があった。
【0007】
従って、本発明は、銅、金、銀等の低抵抗金属と同時焼成が可能であり、しかも低誘電率および高周波領域で低誘電正接を有し、直線的な熱膨張挙動を示し、しかも熱膨張係数が2〜17ppm/℃の間で調整可能である低温焼成磁器組成物と低温焼成磁器の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点を鋭意検討した結果、Zn,Siを特定比率で含有する複合酸化物に対して、LiO、B、あるいは少なくともSiOとBとを含むガラスを添加することにより複合酸化物中のZnOとB中のB(ホウ素)成分による液相反応と、さらにLiO中のLi成分による液相反応が加わることにより僅かなB、LiOにより、800〜1000℃以下の温度で焼成でき、しかもを焼成によって、結晶相として、少なくともZn、およびSiを含むウイレマイト結晶相やSiO結晶相を析出させることにより、低い比誘電率と低い誘電正接、さらには2〜17ppm/℃の間で幅広く熱膨張係数を調整できることを知見し、本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明の低温焼成磁器組成物は、SiOを14.9〜95重量%と、ZnOを1〜84.9重量%と、Bを0.1〜15重量%およびLiOを0.1〜10重量%とからなるか、またはSiOを14.9〜95重量%、ZnOを1〜84.5重量%、LiOを0.1〜10重量%と、少なくともSiOおよびBを含有するガラス0.5〜20重量%と、とからなることを特徴とするものである。
【0010】
また、かかる磁器組成物は、焼成によって、少なくともZnOおよびSiOを含む結晶相を主相とし、さらに副相として、少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む結晶相と、SiO結晶相を含む磁器が得られるもので、1GHz〜60GHzでの誘電率(εr)が7以下、誘電損失が30×10−4以下、さらに室温から400℃における熱膨張係数が2〜17ppm/℃の特性を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の低温焼成磁器の製造方法は、上記の各組成物を用いて、所定形状に成形後、酸化あるいは非酸化性雰囲気中、800℃〜1000℃で焼成して、磁器を製造することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の低温焼成磁器組成物の第1の態様によれば、SiOを14.9〜95重量%と、ZnOを1〜84.9重量%と、Bを0.1〜15重量%およびLiOを0.1〜10重量%とからなるものである。
【0013】
各成分組成を上記の範囲に限定したのは、SiOが14.9重量%よりも少ないとZnOが過剰に析出してしまい誘電損失が劣化し、SiOが95重量%よりも多くなると焼結性が劣化し1000℃以下の低温で緻密化しないためである。SiOの望ましい量は25〜90重量%である。
【0014】
また、ZnOが1重量%よりも少ないと十分な液相が生成せず、1000℃以下の低温で緻密化しないためであり、84.9重量%よりも多いとZnOが過剰に析出してしまい誘電損失が劣化してしまうためである。ZnOの望ましい量は10〜60重量%である。
【0015】
さらに、LiOが0.1重量%よりも少ないと、SiO量が多い場合において、主相となるSiO相が容易にクリストバライトに相変態してしまい、200℃付近に変曲点をもつ熱膨張挙動を示してしまうためであり、10重量%よりも多いと誘電損失が劣化してしまうためである。LiOの望ましい範囲は、1〜5重量%である。
【0016】
さらに、B量が0.1重量%より少ないと、800〜1000℃の温度で磁器が十分に緻密化することができず、15重量%より多いと、過剰な液相が生成し1〜60GHzの高周波領域における誘電正接が30×10−4を越えるためである。Bの望ましい範囲は、1〜5重量%である。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、SiOを14.9〜95重量%、ZnOを1〜84.5重量%、LiOを0.1〜10重量%と、少なくともSiOおよびBを含有するガラス0.5〜20重量%とからなる。
【0018】
この組成物において、SiO、ZnO、LiO量の限定理由は第1の態様と同様な理由による。少なくともSiOおよびBを含有するガラスについて、上記ガラス量が0.5重量%より少ないと、800〜1000℃の温度で磁器が十分に緻密化することができず、20重量%より多いと、過剰な液相が生成し1〜60GHzの高周波領域における誘電正接が30×10−4を越えて高くなるためである。少なくともSiOとBを含有するガラスの望ましい範囲は、1〜10重量%である。
【0019】
なお、上記の少なくともSiO、Bを含むガラスとしては、一般にホウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラスなどが好適に用いられるが、特にSiOを5〜80重量%、Bを4〜50重量%の割合でそれぞれ含み、他の成分としてAlを30重量%以下、アルカリ金属酸化物を20重量%以下の割合で含むものが好適に使用され、これらの酸化物成分を所定割合で配合したものを溶融、冷却し、ガラス化したものが使用される。
【0020】
また、上記第1および第2の態様の磁器組成物は、いずれも800〜1000℃の温度範囲での焼成によって相対密度95%以上まで緻密化することができ、これによって形成される磁器は、図1(a)(b)の磁器組織の概略図に示すように、結晶相として、少なくともZnOおよびSiOを含む結晶相(W)またはSiO(クオーツ)結晶相(Q)を主相とし、さらに副相として、少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む結晶相(L)含み、さらに、さらには、これにわずかにSiOまたはZnO、Bを含む非晶質が析出する場合もある。
【0021】
なお、少なくともZnOおよびSiOを含む結晶相としては、ウイレマイト(ZnSiO型)結晶相である。また、少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む結晶相は、ZnSiO型結晶のSiサイトにZnおよびLiが固溶した、Zn(Znx Liy Siz )O(x+y+z=1)の結晶相および/またはLiZnSiO型結晶である。さらに、SiO相としては、クオーツ相を含み、さらには、少量のクリストバライト相、トリジマイト相などの結晶相が析出する場合もある。
【0022】
このように本発明によれば、磁器中に、少なくともZnとSiを含む結晶相や、SiO系結晶相等を析出させることができる結果、比誘電率を7以下の低誘電率を有するとともに、マイクロ波、ミリ波などの高周波帯域、具体的には1GHz〜60GHzの範囲において、誘電損失が30×10−4以下の低損失特性を有するものである。しかも、この磁器は、組成物の組成を前述の範囲で制御することにより、上記誘電体特性を維持しながら、結晶相の比率などの変動によって、室温から400℃の温度範囲の熱膨張係数を2〜17ppm/℃の範囲で制御することが可能であり、しかも直線的な熱膨張挙動を示すものである。
【0023】
また、本発明の低温焼成磁器の製造方法によれば、上記の組成物を得るにあたり、原料粉末としては、ZnSiOで表されるウイレマイト化合物と、結晶質または非晶質からなるSiOが好適に用いられる。
【0024】
また、B源としては、B、焼結過程でBを形成し得るB、HBOや、ZnO・2B、4ZnO・3Bなどのほう酸亜鉛などの化合物の群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0025】
さらに、LiO源として、LiO、焼結過程でL Oを形成し得るLiCO、LiOH・HO、LiS等、あるいはLiSiO、LiSiO、LiSi、LiSi、LiSi、LiSiOなどのSiOおよびLiOを含む化合物、LiZnSiO、Zn(ZnxLiySiz)O(x+y+z=1)などのSiO、LiOおよびZnOを含む化合物の群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0026】
またさらに、少なくともSiOおよびBを含有するガラスとしては、前述したような、ホウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラスなどが好適に用いられる。
【0027】
これらの原料を用いて、前記第1の態様または第2の態様の組成物に調合し、、混合する。そして、その混合粉末に適宜バインダ−を添加した後、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形、ドクターブレード法、圧延法等により任意の形状に成形後、酸化雰囲気中または、N,Ar等の非酸化性雰囲気中において800℃〜1000℃、特に900〜1000℃の温度で0.1〜5時間焼成することにより相対密度95%以上に緻密化することができる。
【0028】
この時の焼成温度が800℃より低いと、磁器が十分に緻密化せず、1000℃を越えると緻密化は可能であるが、銅、銀などの導体と同時焼成ができなくなる。因みに、同時焼成時に、導体として銅を用いる場合には非酸化性雰囲気とし、銀を用いる場合には非酸化性または酸化性雰囲気で焼成することが必要である。銅導体を用いることが出来なくなるためである。
【0029】
本発明の上記方法によれば、ZnおよびSiからなる複合酸化物と、B、またはSiO、Bを含むガラスに、さらにLiOを組み合わせることにより、複合酸化物から生成するZnを主とする液相とB中またはガラス中のB(ホウ素)成分のより活性な液相反応が生じる。さらにLiO中のLi成分による液相反応加わることにより僅かなB、LiOにより、800〜1000℃以下の温度で焼成でき、磁器を緻密化することができる。そのために、誘電正接を増大させる要因となる粒界の非晶質相の量を最小限に押さえることができる。このため高周波帯域においてより低い誘電正接を得ることができるのである。
【0030】
また、本発明における磁器組成物は、800〜1000℃で焼成可能であることから、特に銅、金、銀などを配線する配線基板の絶縁基板として用いることができる。かかる磁器組成物を用いて配線基板を作製する場合には、例えば、上記のようにして調合した混合粉末を公知のテープ成形法、例えばドクターブレード法、圧延法等に従い、絶縁層形成用のグリーンシートを作製した後、そのシートの表面に配線回路層用として、銅、金および銀のうちの少なくとも1種の金属、特に、銅粉末を含む導体ペーストを用いて、グリーンシート表面に配線パターンにスクリーン印刷法、グラビア印刷法等によって回路パターン状に印刷し、場合によってはシートにスルーホールやビアホール形成後、上記導体ペーストを充填する。その後、複数のグリーンシートを積層圧着した後、上述した条件で焼成することにより、配線層と絶縁層とを同時に焼成することができる。
【0031】
【実施例】
実施例1
平均粒径が1μm以下のZnSiO、ZnO・2B、4ZnO・3Bで示される化合物、SiO(アモルファス)、LiOを原料として用い、表1の組成に従い混合した。そして、この混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを5枚積層し、50℃の温度で100kg/cmの圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有窒素雰囲気中で、700℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表1の条件において焼成して多層基板用磁器を得た。
【0032】
得られた焼結体について誘電率、誘電正接を以下の方法で評価した。測定は、形状直径1〜5mm、厚み2〜3mmの試料を切り出し、60GHzにてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定では、NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器の励起を行い、TE021,TE031モードの共振特性より誘電率、誘電正接を算出した。測定の結果は表1に示した。また、X線回折測定から、磁器の構成相を同定し、試料No.8、15についてX線回折チャートを図2、図3に示した。さらに、各磁器について、室温から400℃の温度範囲における熱膨張係数を測定するとともに、その温度範囲内で熱膨張曲線における200℃付近での変曲点を有無を確認した。なお、試料No.19および試料No.9の熱膨張曲線を図4、図5に示した。
【0033】
また、比較例として、ZnSiO、SiOに代わり、MgSiO、CaSiOを用いて同様に焼結体を作製し評価した(試料No.25、26)。
【0034】
【表1】
Figure 0003550270
【0035】
表1の結果から明らかなように、結晶相として、ウイレマイト結晶相(ZnSiO)、SiO系結晶相が主として析出した本発明の磁器は、いずれも誘電率が7以下、60GHzでの誘電正接が30×10−4以下の優れた値を示した。
【0036】
これに対して、SiO量が95重量%を越える試料No.1では1600℃まで高めないと緻密化できず、14.9重量%よりも少ないと誘電特性が大きく劣化した。B量が0.1重量%未満である試料No.13では、焼成温度を1300℃まで高めないと緻密化することができず、本発明の目的に適さないものであった。一方、B量が15重量%を越える試料No.16は誘電損失が増大し60GHzにおいて誘電特性が評価できなかった。LiO量が0.1重量%よりも少ない試料No.9では、クリストバライトが多量に析出し、その結果、熱膨張曲線に変曲点が生じた。なお、本発明品の磁器の液相に対して、ICP発光分光分析によって分析した結果、いずれも液相中からZn、Bが元素が検出された。
【0037】
ZnO量が84.9重量%を越える試料No.24では過剰なZnO相が析出し、このため誘電損失が増大し60GHzにおいて誘電特性が評価できなかった。
【0038】
一方、ZnO量が1重量%未満の試料No.3では過剰なSiO相が析出し、またZn量が不十分であるため、B中のB成分と液相を形成することが困難となり、1400℃まで高めないと緻密化できなかった。
【0039】
また、比較例として、MgSiOやCaSiOを用いた試料No.25、26では、B量を15重量%以上添加しないと緻密化しないため十分な誘電特性が得られず、本発明の目的に適さないものであった。
【0040】
実施例2
表2の組成からなるガラス粉末と平均粒径が1μm以下のZnSiO、LiO、SiOを用いて表3の組成になるように混合した。そして、この混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを5枚積層し、50℃の温度で100kg/cmの圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中で、700℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表3の条件において焼成して多層基板用磁器を得た。
【0041】
得られた焼結体について実施例1と同様にして誘電率、誘電正接および結晶相の同定、熱膨張係数を実施例1と同様な方法で測定評価した。測定の結果は表3に示した。
【0042】
【表2】
Figure 0003550270
【0043】
【表3】
Figure 0003550270
【0044】
表2、表3の結果から明らかなように、本発明の成分組成に制御した試料は、実施例1と同様に、いずれも1000℃以下で緻密化できるとともに、結晶相として、ウイレマイト結晶相やSiO系結晶が主として析出し、いずれも誘電率が7以下、60GHzでの誘電正接が30×10−4以下の優れた値を示した。しかも、熱膨張係数が1.5〜17ppm/℃の範囲で制御可能であり、変曲点も存在しなかった。
【0045】
実施例3
上記実施例1中のNo.8および15の磁器を用いて、直径1〜30mm、厚み2〜15mmの円柱サンプル)を作製した。また比較として汎用品のコージェライト系ガラスセラミックス(硼珪酸ガラス75重量%、Al25重量%)、汎用の低純度アルミナ(Al95重量%、CaO、MgO5重量%)を用い同様にしてサンプルを作製した。作製したサンプルを1GHz、10GHz、20GHz、30GHz、60GHzの高周波、マイクロ波、ミリ波領域において、誘電体円柱共振器法により誘電正接を測定した。結果を図6に示した。
【0046】
汎用品のガラスセラミックスは低周波領域において誘電正接は7×10−4と低いが、高周波領域になるに従い特性が劣化してしまい20GHz以上では20×10−4程度になってしまう。また、汎用の低純度アルミナは60GHzで40×10−4程度まで高くなった。一方、本発明品は、60GHzでの高周波領域においても誘電正接は30×10−4以下と低いものであった。なお、誘電率は汎用品ガラスセラミックスは5、低純度アルミナは9であった。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の低温焼成磁器組成物は、誘電率が低く、30GHz以上の高周波においても誘電正接が小さいので、高周波用途のマイクロ波用回路素子等において最適である。さらに、熱膨張係数を誘電特性を損なうことなく、直線的な熱膨張挙動で幅広く制御できることから、かかる磁器を用いた配線基板をマザーボードなどのプリント基板に実装したり、電子部品や入出力端子を取り付ける際において、熱膨張差を小さくできることから、信頼性の高い基板を作製することができる。しかも、800〜1000℃で焼成されるため、Cu、Au、Ag等による配線を同時焼成により形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器の組織の概略図である。
【図2】本発明の誘電体磁器(試料No.8)のX線回折チャート図である。
【図3】本発明の誘電体磁器(試料No.15)のX線回折チャート図である。
【図4】本発明の誘電体磁器(試料No.19)の熱膨張曲線を示す図である。
【図5】比較例の誘電体磁器(試料No.9)の熱膨張曲線を示す図である。
【図6】本発明品および従来品の誘電正接の測定周波数との関係を示した図である。

Claims (8)

  1. SiOを14.9〜95重量%と、ZnOを1〜84.9重量%と、Bを0.1〜15重量%およびLiOを0.1〜10重量%とからなることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  2. 焼成によって、少なくともZnOおよびSiOを含む結晶相を主相とし、さらに副相として、少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む結晶相と、SiO結晶相を含む磁器が得られることを特徴とする請求項1記載の低温焼成磁器組成物。
  3. 焼成後の磁器が、1GHz〜60GHzでの誘電率(εr)が7以下、誘電損失が30×10−4以下、さらに室温から400℃における熱膨張係数が1.5〜17ppm/℃の特性を有することを特徴とする請求項1記載の低温焼成磁器組成物。
  4. SiOを14.9〜95重量%、ZnOを1〜84.5重量%、LiOを0.1〜10重量%と、少なくともSiOおよびBを含有するガラス0.5〜20重量%と、とからなることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  5. 焼成によって、少なくともZnOおよびSiOを含む結晶相を主相とし、さらに副相として、少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む結晶相と、SiO結晶相を含む磁器が得られることを特徴とする請求項4記載の低温焼成磁器組成物。
  6. 焼成後の磁器が、1GHz〜60GHzでの誘電率(εr)が7以下、誘電損失が30×10−4以下、さらに室温から400℃における熱膨張係数が1.5〜17ppm/℃の特性を有することを特徴とする請求項4記載の低温焼成磁器組成物。
  7. 少なくともZnOおよびSiOを含むウイレマイト化合物と、結晶質及び非晶質からなるSiOと、B、焼結過程でBを形成し得るホウ素化合物およびほう酸亜鉛化合物の群から選ばれる少なくとも1種と、LiO、焼結過程でLiOを形成し得るリチウム化合物、少なくともSiO、LiOを含む化合物および少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む化合物の群から選ばれる少なくとも1種とを用いて、SiOを14.9〜95重量%と、ZnOを1〜84.9重量%と、Bを0.1〜15重量%およびLiOを0.1〜10重量%とから組成物を調合し、所定形状に成形後、酸化あるいは非酸化性雰囲気中、800℃〜1000℃で焼成することを特徴とする低温焼成磁器の製造方法。
  8. 少なくともZnOおよびSiOを含むウイレマイト化合物と、結晶質及び非晶質からなるSiOと、LiO、焼結過程でLiOを形成し得るリチウム化合物、少なくともSiO、LiOを含む化合物および少なくともSiO、LiOおよびZnOを含む化合物の群から選ばれる少なくとも1種と、少なくともSiOおよびBを含有するガラスを用いて、SiOを14.9〜95重量%、ZnOを1〜84.5重量%、LiOを0.1〜10重量%と、少なくともSiOおよびBを含有するガラス0.5〜20重量%とから組成物を調合し、所定形状に成形後、酸化あるいは非酸化性雰囲気中、800℃〜1000℃で焼成することを特徴とする低温焼成磁器の製造方法。
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