JP3314130B2 - 低温焼成磁器組成物 - Google Patents
低温焼成磁器組成物Info
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Description
低温焼成磁器組成物に関するものであり、とりわけ半導
体素子や各種電子部品を搭載した多層に積層して成る複
合回路基板等に適用される金(Au)や銀(Ag)ある
いは銅(Cu)の配線が可能な高周波用の低温焼成磁器
組成物に関するものである。
はより高速化、高周波化が進み、搭載される半導体素子
もより高速化、高集積化され、更に実装のより高密度化
が要求されるようになり、従来より多用されてきたアル
ミナ製の各種回路基板では、比誘電率が3GHzで9〜
9.5とかなり大きいことから、昨今の高周波用の回路
基板等には不適当であると言われている。
板材料としてより低い誘電率が要求されており、その
上、多層回路基板に種々の電子部品や入出力端子等を接
続する工程で該基板に加わる応力から基板自体が破壊し
たり、欠けを生じたりすることを防止するために、機械
的強度がより高いことも要求されている。
て、例えば、SiO2 、Al2 O3、MgOを主成分と
するガラス組成物から成るガラス焼結体が提案されてい
るが、かかる提案のガラス焼結体では誘電率は低いもの
の、機械的強度が低いという問題が残り、完全に前記諸
要求を満足するものではなく、そのために係る問題を解
消せんとして種々の研究開発が進められている。
組成物として、例えば、熱処理によりムライトとコーデ
ィエライトを主たる結晶相として析出するガラス組成物
が提案されている(特開平05−298919号公報参
照)。
案のガラス組成物から成る多層回路基板は、とりわけ高
周波用の回路基板として要求される誘電率や誘電正接、
及び機械的強度等の諸特性全てを必ずしも満足するもの
ではないという課題があった。
されたもので、その目的は、多層回路基板として十分な
機械的強度を有し、高周波領域における誘電率及び誘電
正接が低く安定であるという特性を併せ持ち、かつ80
0〜1000℃という低温で同時焼成してAuやAg、
Cuを配線導体とした多層化が可能となる高周波用に好
適な低温焼成磁器組成物を提供することにある。
を鋭意検討した結果、ガラスの軟化流動を利用して80
0〜1000℃で焼成することにより、配線導体として
Au、Ag及びCuを用いて多層化、及び微細配線化が
可能であること、また亜鉛(Zn)の酸化物及び非晶質
のシリカと特定のガラスを組み合わせ、前記亜鉛の酸化
物量を非晶質のシリカ量より小にして、結晶相をガーナ
イト結晶相と、エンスタタイト結晶相と、SiO2 結晶
相と、Mg2 B2 O5 結晶相と、ガラス相を析出させる
か、あるいは前記組合せで亜鉛の酸化物量が非晶質のシ
リカ量と同量以上にして、結晶相をガーナイト結晶相
と、SiO2 結晶相と、ウイレマイト結晶相と、エンス
タタイト結晶相と、Mg2 B2 O5 結晶相と、ZnO結
晶相と、ガラス相を析出させることにより、比誘電率及
び誘電正接を低くすることが可能となり、またスピネル
型結晶相であるガーナイト結晶相を析出させることによ
り、より高強度化が達成できることを知見し、本発明に
至った。
なくともSiO2 、Al2 O3 、MgO、ZnO及びB
2 O3 を含むガラスを50〜99.9重量%と、Znの
酸化物を0.01〜49.9重量%と、非晶質のシリカ
を0.01〜49.9重量%の割合で含有する高周波用
の多層回路基板に好適な低温焼成磁器組成物であって、
前記Znの酸化物量と非晶質のシリカ量を比率を変えて
800〜1000℃の低温度での焼成によって得られた
焼結体が、ガーナイト結晶相と、エンスタタイト結晶相
と、SiO2 結晶相と、Mg2 B2 O5 結晶相と、ガラ
ス相とを含有するか、あるいはガーナイト結晶相と、S
iO2 結晶相と、ウイレマイト結晶相と、エンスタタイ
ト結晶相と、Mg2 B2 O5 結晶相と、ZnO結晶相
と、ガラス相とを含有することを特徴とするものであ
る。
ー成分として酸化亜鉛を含むことにより、低誘電率と低
い誘電正接を示すガーナイト結晶相や、ウイレマイト結
晶相を析出させ、更に前記フィラー成分として非晶質の
シリカを含むことにより、同様に低誘電率と低い誘電正
接を示すエンスタタイト結晶相を析出させることによ
り、高周波用に好適な低い誘電率と誘電正接を得ること
ができる。
nO−B2 O3 系ガラスとともにフィラー成分として酸
化亜鉛を配合することにより、該ガラス成分よりスピネ
ル型結晶相であるガーナイト結晶相を析出させることに
より、得られた焼結体の抗折強度は高くなる。
00〜1000℃の低温度でAu、AgあるいはCuの
内部配線層と同時に焼成することができることから、こ
れらの配線導体を具備する多層回路基板や半導体素子収
納用パッケージの微細配線化が容易に達成できる。
いて以下詳細に述べる。
なくともSiO2 、Al2 O3 、MgO、ZnO及びB
2 O3 を含むガラス量が50重量%より少ないか、言い
換えればフィラー成分としてのZnの酸化物量と非晶質
のシリカ量との合計量が50重量%より多いと、800
〜1000℃の焼成温度では磁器は十分に緻密化するこ
とができず、逆に前記ガラス量が99.9重量%より多
いか、前記フィラー成分が0.1重量%より少ないと誘
電率が5.6以上と高くなり、また誘電正接も20×1
0-4より大きくなる。
9.9重量%に特定され、より望ましくは60〜95重
量%の範囲となる。
体の組織の概略図を図1及び図2に示す。
組成物は、ガーナイト結晶相1と、エンスタタイト結晶
相2と、SiO2 結晶相3と、Mg2 B2 O5 結晶相4
と、ガラス相5とから構成されており、ガーナイト結晶
相1は焼結体中における主結晶として存在する。
ーナイト結晶相を存在させ、同時にエンスタタイト結晶
相とSiO2 結晶相を存在させることにより低誘電率と
低い誘電正接を得ることができる。
ネル型結晶相であるガーナイト結晶相を析出させること
により、該結晶相は各結晶相のネットワークを補強する
形態で存在するため、機械的強度の高い焼結体を得るこ
とができる。
てMg2 B2 O5 結晶相を析出させることにより、耐薬
品性を著しく向上することができる。
成磁器組成物はガーナイト結晶相1と、SiO2 結晶相
3と、ウイレマイト結晶相6と、エンスタタイト結晶相
2と、Mg2 B2 O5 結晶相4と、ZnO結晶相7と、
ガラス相5とから構成されており、ガーナイト結晶相1
は焼結体中における主結晶として存在する。
相を存在させ、同時にSiO2 結晶相と、ウイレマイト
結晶相と、エンスタタイト結晶相と、Mg2 B2 O5 結
晶相と、ZnO結晶相を存在させることによっても低誘
電率と低い誘電正接を得ることができる。
晶相を析出させて機械的強度を高めることや、Mg2 B
2 O5 結晶相を析出させて耐薬品性を向上させることも
可能となる。
では、ガラスがほとんど結晶化して三重点の様なところ
にしか存在しないため、誘電正接が低く、機械的強度も
高くなっている。
する具体的な方法は、出発原料として、SiO2 −Al
2 O3 −MgO−ZnO−B2 O3 系ガラスを50〜9
9.9重量%、特に望ましくは60〜95重量%と、フ
ィラー成分として亜鉛の酸化物を0.01〜49.9重
量%と非晶質のシリカを0.01〜49.9重量%を、
特に前記亜鉛の酸化物を全量中5〜29重量%、非晶質
のシリカを1〜25重量%の割合となるように混合す
る。
は、ZnOの粉末や焼成過程でZnOを形成し得る炭酸
塩や、硝酸塩、酢酸塩等、各種形態で添加可能である。
応によりガーナイト結晶相やウイレマイト結晶相を析出
させることが重要であり、かかる観点からは前記粉末の
粒径は1.5μm以下、特に1.0μm以下の微粉末で
あることが望ましい。
リカを用いる場合には、ガラスとの反応によりエンスタ
タイト結晶相を析出させることが肝要であり、該非晶質
のシリカ粉末は1.5μm以下、特に1.0μm以下の
粒径を有する微粉末であることが望ましい。
O3 −MgO−ZnO−B2 O3 系ガラスを用いるの
は、この系のガラスを用いることによりスピネル型結晶
相が析出し、この結晶相はガラスのネットワークを補強
する形態で存在し、高強度の焼結体を得ることができる
からである。
重量%の範囲で添加したのは、ガラス量が50重量%よ
り少ない場合には、焼結体の緻密化温度が1000℃よ
り高くなり金や銀、銅の導体を用いることができず、ガ
ラス量が99.9重量%より多いと磁器自体の抗折強度
が低下するためである。
ZnO−B2 O3 系ガラスの添加量は、60〜95重量
%がより望ましく、70〜85重量%が最も好ましい。
てはSiO2 が40〜45重量%、Al2 O3 が25〜
30重量%、MgOが8〜12重量%、ZnOが6〜9
重量%、B2 O3 が8〜11重量%が望ましい。
に適宜バインダーを添加した後、所定形状に成形し、N
2 、Ar等の非酸化性雰囲気中において800〜100
0℃の温度で0.1〜5時間焼成する。この時の焼成温
度は800℃より低いと磁器が十分に緻密化せず、10
00℃を越えると金や銀、銅の導体を用いることができ
なくなる。
配線基板を作製する場合には、例えば、前記のようにし
て調合した混合粉末を公知のテープ成形法、例えばドク
ターブレード法、圧延法等に従い、絶縁層形成用のグリ
ーンシートを成形した後、そのシートの表面に配線層用
のメタライズとして、AuやAg、Cuの粉末、特にC
u粉末を含む金属ペーストを用いて、シート表面に配線
パターンをスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット
印刷等の手段により形成し、場合によってはシートにス
ルーホールを形成して該スルーホール内に上記ペースト
を充填する。その後、複数のシートを積層圧着した後、
前述した条件で焼成することにより、配線層と絶縁層と
を同時に焼成することができる。
具体的に詳述する。先ず、SiO2 −Al2 O3 −Mg
O−ZnO−B2 O3 系結晶性ガラスとして、 結晶性ガラスA:SiO2 44重量%−Al2 O3 29重量% −MgO11重量% −ZnO7重量% −B2 O3 9重量% 結晶性ガラスB:SiO2 50重量%−Al2 O3 25重量% −MgO9重量% −ZnO8重量% −B2 O3 8重量% の2種のガラスと、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛
(ZnO)及び非晶質のシリカ(SiO2 )を表1の組
成に従って混合した。
塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレード法により厚
さ300μmのグリーンシートを作製した。その後、こ
のグリーンシートを5枚積層し、50℃の温度で100
kg/cm2 の圧力を加えて熱圧着した。
窒素雰囲気中で、700℃の温度にて脱バインダーした
後、乾燥窒素中で表1の条件にて焼成して低温焼成磁器
組成物の焼結体を得た。
正接、抗折強度をそれぞれ以下の方法で測定評価した。
から直径10mm、厚さ5mmの試料を切り出し、15
〜20GHzにてネットワークアナライザー、シンセサ
イズドスイーパーを用いて円柱共振器法により測定し
た。
に試料の誘電体基板を挟んで測定し、共振器のTE011
モードの共振特性より誘電率、誘電正接を算出した。
mm、厚さ3mm、幅4mmの測定試料を作製し、JI
S−C−2141の規定に準じて3点曲げ試験を行っ
た。
前記酸化亜鉛及び非晶質のシリカに代えて、結晶性のシ
リカ及びカルシア(CaO)を用いて前記同様に焼結体
を作製し評価した。
各フィラーを種々組み合わせて前記同様に評価した。
てガーナイト結晶相と、エンスタタイト結晶相と、Si
O2 結晶相と、Mg2 B2 O5 結晶相と、ガラス相が析
出したもの、あるいはガーナイト結晶相と、SiO2 結
晶相と、ウイレマイト結晶相と、エンスタタイト結晶相
と、Mg2 B2 O5 結晶相と、ZnO結晶相と、ガラス
相が析出した本発明は、いずれも誘電率が5.6未満、
誘電正接が10×10-4以下、強度が22kg/mm2
以上と高い値を示し、特に誘電特性に優れていることが
分かる。
である試料番号1、14、15及び27では、焼成温度
を1200℃以上1400℃まで高めないと緻密化する
ことができず、誘電正接も20×10-4以上と高く、逆
に99.9重量%を越える試料番号10及び23では強
度が18kg/mm2 以下と低く、誘電正接も20×1
0-4と高くなっている。
ーのいずれか一方の量が0.01重量%未満になると、
いずれも強度が20kg/mm2 以下と低くなってい
る。
ィラーに用いた試料番号32は、誘電率は低いものの、
誘電正接が35×10-4とかなり高く、カルシアを用い
た試料番号33では、誘電率も誘電正接も高く本発明の
目的を満足しない。
較例の試料番号34〜37では、800〜1000℃の
低温域での焼成では充分に緻密化させることができず、
いずれも低誘電率、低誘電正接、高強度の焼結体を得ら
れないことが分かる。
器組成物は、誘電率が低く誘電正接が小さいので、高周
波用途のマイクロ波用回路素子等において最適で小型化
も可能であり、更に、基板材料の高強度化により入出力
端子部に施すリードの接合や、実装における基板の信頼
性を向上できる上、800〜1000℃の低温度で焼成
可能なため、Au、Ag、Cu等による配線を同時焼成
により形成することができ、各種高周波用の多層配線基
板や半導体素子収納用パッケージ用基板として適用する
ことができる。
ある。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】少なくともシリカ(SiO2 )、アルミナ
(Al2 O3 )、マグネシア(MgO)、酸化亜鉛(Z
nO)及び酸化硼素(B2 O3 )を含むガラスを50〜
99.9重量%と、亜鉛(Zn)の酸化物を0.01〜
49.9重量%と、非晶質のシリカ(SiO2 )を0.
01〜49.9重量%の割合で含み、かつ前記酸化亜鉛
(ZnO)の量が非晶質のシリカ(SiO2 )量より小
である混合粉末から成る成形体を、窒素(N2 )、アル
ゴン(Ar)等の非酸化性雰囲気中、800〜1000
℃の温度で焼成して得られる焼結体が、ガーナイト結晶
相と、エンスタタイト結晶相と、SiO2 結晶相と、M
g2 B2 O5 結晶相と、ガラス相とを含むことを特徴と
する低温焼成磁器組成物。 - 【請求項2】少なくともシリカ(SiO2 )、アルミナ
(Al2 O3 )、マグネシア(MgO)、酸化亜鉛(Z
nO)及び酸化硼素(B2 O3 )を含むガラスを50〜
99.9重量%と、亜鉛(Zn)の酸化物を0.01〜
49.9重量%と、非晶質のシリカ(SiO2 )を0.
01〜49.9重量%の割合で含み、かつ前記酸化亜鉛
(ZnO)の量が非晶質のシリカ(SiO2 )量と同量
以上である混合粉末から成る成形体を、窒素(N2 )、
アルゴン(Ar)等の非酸化性雰囲気中、800〜10
00℃の温度で焼成して得られる焼結体が、ガーナイト
結晶相と、SiO2 結晶相と、ウイレマイト結晶相と、
エンスタタイト結晶相と、Mg2 B2 O5 結晶相と、Z
nO結晶相と、ガラス相とを含むことを特徴とする低温
焼成磁器組成物。
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