JP2003137657A - ガラスセラミックスおよびその製造方法、並びに配線基板 - Google Patents

ガラスセラミックスおよびその製造方法、並びに配線基板

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JP2003137657A
JP2003137657A JP2001327657A JP2001327657A JP2003137657A JP 2003137657 A JP2003137657 A JP 2003137657A JP 2001327657 A JP2001327657 A JP 2001327657A JP 2001327657 A JP2001327657 A JP 2001327657A JP 2003137657 A JP2003137657 A JP 2003137657A
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Hiromi Yamada
裕美 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い熱伝導性を有するとともに、低誘電率を有
し、また銀、銅、金等の低抵抗金属と同時焼成が可能な
ガラスセラミックスを得る。 【解決手段】窒化アルミニウム粉末と周期律表第3a族
元素酸化物粉末との混合体を1500〜2000℃の温
度で熱処理後、粉砕して作製されたフィラー成分と、ガ
ラス粉末とを添加混合し、成形、焼成することによっ
て、ガラス相と、フィラー相との混合体からなるガラス
セラミックスであって、前記フィラー成分として少なく
とも窒化アルミニウム相と、周期律表第3a族元素とア
ルミニウムとの複合酸化物相とを含有するガラスセラミ
ックスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子収納用
パッケージ、多層配線基板等に適用される配線基板等に
最適なガラスセラミックスとその製造方法、並びにそれ
を用いた配線基板に関するものであり、特に、銀、銅、
金と同時焼成が可能で、誘電率が低く、かつ半導体素子
等の能動素子の動作時等に発生する熱を効率よく放散す
ることが可能なガラスセラミックスの改良に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】近年、高度情報化時代を迎え、情報通信技
術が急速に発達している。それに伴い、半導体素子の高
速化、大型化が進行している。そのため、半導体素子の
高速化に伴い、パッケージや基板等における信号遅延の
問題が大きくなっている。同時に、半導体素子の大型化
に伴う発熱量の増加による、パッケージや基板等におけ
る熱抵抗の問題も大きくなっている。
【0003】従来より、セラミック多層配線基板として
は、アルミナ質焼結体からなる絶縁層の表面または内部
にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる
配線層が形成されたアルミナ配線基板が最も普及してい
る。
【0004】ところが、従来のアルミナ配線基板では、
その導体であるタングステン(W)や、モリブデン(M
o)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、さらにアル
ミナの誘電率も9程度と高いことから、信号遅延が大き
いことが問題となっていた。そこで、W、Moなどの金
属に代えて、銅、銀、金などの低抵抗金属を導体として
使用し、さらに絶縁層の誘電率を低くすることが要求さ
れている。
【0005】そのため、最近では、ガラス、または、ガ
ラスとセラミックとの複合材料であるガラスセラミック
を絶縁層として用いることにより、1050℃以下の低
温焼成を可能とし、融点の低い銅、銀、金などの低抵抗
金属を導体として使用できるようにし、かつ誘電率をア
ルミナよりも低くすることが可能な、ガラスセラミック
配線基板が開発されつつある。
【0006】例えば、特公平4−12639号のよう
に、ガラスにSiO2系フィラーを添加した絶縁層と、
銅、銀、金などの低抵抗金属からなる配線層とを900
〜1050℃の温度で同時焼成した多層配線基板や、特
開昭60−240135号のように、ホウケイ酸亜鉛系
ガラスに、アルミナ、ジルコニア、ムライトなどのフィ
ラーを添加したものを低抵抗金属と同時焼成したものな
どが提案されている。その他、特開平5−298919
号には、ムライトやコージェライトを結晶相として析出
させたガラスセラミック材料も提案されている。
【0007】しかし、上記に挙げたような従来のガラス
セラミックにおいては、熱伝導率が2W/m・K以下と
低く、熱放散性において従来のアルミナ等に比べて劣っ
ていた。そこで、特開昭63−307182号に記載さ
れるような、窒化アルミニウムと石英ガラスと低軟化点
ガラスからなるガラスセラミックを用いた配線基板が提
案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、窒化アルミニ
ウムをフィラーとして用いたガラスセラミックスは、従
来のガラスセラミックスに比較して熱伝導性の向上が見
られる反面、比誘電率が12と高く、低誘電率化が求め
られる配線基板に対しては不向きであった。また、周波
数が500MHz以上の高周波信号を伝送するような高
周波用配線基板においては、誘電損失が小さいことが望
まれるが、窒化アルミニウムを含む従来のガラスセラミ
ックスは誘電損失が20×10-3以上と大きく、高周波
用の配線基板としても適用しにくいものであった。
【0009】従って、本発明は、高い熱伝導性を有する
とともに、比誘電率および誘電損失が低く、また銀、
銅、金等の低抵抗金属と同時焼成が可能なガラスセラミ
ックス、と、それを安定して形成するための製造方法、
ならびにそれを用いた配線基板を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
鋭意検討した結果、ガラスセラミックス中のガラス相と
ともに存在せしめすフィラー相として、少なくとも窒化
アルミニウム相と、周期律表第3a族元素とアルミニウ
ムとの複合酸化物相とを含有せしめることによって、窒
化アルミニウム相中の酸素量を減少させることができ、
高熱伝導化、低誘電率化、低誘電損失化が達成できるこ
とを見出した。
【0011】即ち、本発明のガラスセラミックスは、ガ
ラス相と、フィラー相との混合体からなり、前記フィラ
ー成分として少なくとも窒化アルミニウム相と、周期律
表第3a族元素とアルミニウムとの複合酸化物相とを含
有することを特徴とするものである。特に、前記周期律
表第3a族元素とアルミニウムとの複合酸化物相が、隣
接する2つの窒化アルミニウム相間の界面に主として存
在することが効果的である。また、かかる構成によっ
て、前記窒化アルミニウム粒子内における酸素量が0.
8質量%以下にでき、高熱伝導化を促進することができ
る。
【0012】なお、前記周期律表第3a族元素は、酸化
物換算で、窒化アルミニウムに対して、0.1〜5モル
%の割合で含有することが適当である。また、ガラスセ
ラミックス中には、ガラス相30〜60質量%と、フィ
ラー相40〜70質量%からなることが低温焼成化を図
る上で望ましい。
【0013】また、上記のガラスセラミックスを製造す
るための方法としては、ガラス成分と、フィラー成分と
の混合物を形成後、焼成するにあたり、前記フィラー成
分として少なくとも窒化アルミニウムと周期律表第3a
族元素酸化物との仮焼粉末を添加混合したことを特徴と
するのである。なお、前記窒化アルミニウムと周期律表
第3a族元素酸化物との仮焼粉末が、窒化アルミニウム
粉末と周期律表第3a族元素酸化物粉末との混合体を1
500〜2000℃の温度で熱処理後、粉砕したもので
あることが望ましい。
【0014】また、上記のガラスセラミックスは、絶縁
基板の表面および/または内部に配線回路層が形成され
た配線基板における絶縁基板として有用である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のガラスセラミックスは、
ガラス相と、フィラー相との混合体からなるものである
が、本発明によれば、フィラー相が、前記フィラー成分
として少なくとも窒化アルミニウム相(以下、AlN相
という。)と、周期律表第3a族元素(RE)とアルミ
ニウム(Al)との複合酸化物相(以下、Al23−R
23相という。)とを含有することを大きな特徴とす
るものである。
【0016】本発明によれば、Al23−RE23相の
生成によって、AlN相中の酸素量を低減することがで
きる。また、Al23−RE23相が、隣接する2つの
AlN相との界面に主として存在することによりガラス
相との濡れを良好にすることができ、ガラスセラミック
ス中のボイドを低減することが可能となる。その結果、
窒化アルミニウム本来の持つ性質である高熱伝導性に加
え、高周波で低損失であり、かつ低誘電率化を図ること
ができる。
【0017】なお、上記AlN相中の酸素量は0.5質
量%以下、特に0.3質量%以下、さらには0.2質量
%以下であることが望ましい。このAlN相内の酸素量
は、XPSにより測定することができる。
【0018】また、本発明によれば、AlN相は、平均
粒径が2μm以上、特に4μm以上の粒子として存在す
ることが望ましい。これは、AlN相の平均粒子が2μ
m以上とすることによって、高熱伝導化とともに、Al
23−RE23相が効率よく生成され、またガラスセラ
ミックスの緻密化が進行し強度が高くなるとともに、吸
水率も低下し、低誘電損失化を図ることができる。しか
し、粒子が大きくなりすぎると、セラミックス表面の平
滑性が低下したり、粗大粒子を起点とする破壊が生じや
すくなり強度が低下することから、平均粒径は30μm
以下、特に15μm以下、さらには10μm以下がよ
い。
【0019】さらに、ガラスセラミックス中には、フィ
ラーとしてAlN相、Al23−RE23相以外に、他
のセラミック結晶相を含んでいてもよい。他の結晶相と
しては、Al23、SiO2(クォーツ、クリストバラ
イト、トリジマイト)、3Al23・2SiO2、(M
2)2MgSiO7、(M2)Al2Si28、CaMg
Si27、Ca(Mg,Al)(Si,Al)26
(M2)SiO3、CaMgSiO4、CaMgSi
26、Ca3MgSi28、MgAl24、Mg2Al4
Si518、Mg2SiO4、(M2)SiO3、Sr2
gSi27、TiO2、ZnAl24、ZnO、Zr
2、Zn2SiO4、Zn2Al4Si518、(M1)A
lSi26、(M1)AlSiO4、(M2)TiO3
Si34、SiCの群から選ばれる少なくとも1種が挙
げられる。上記の記載のうち、M1はアルカリ金属(L
i、Na,K)の群から選ばれる少なくとも1種、M2
はアルカリ土類金属(Mg,Ca、Ba、Sr)の群か
ら選ばれる少なくとも1種、( )は、( )内に記載
された金属元素から選ばれる少なくとも1種を意味す
る。
【0020】本発明のガラスセラミックスにおいては、
ガラス相は、30〜70質量%、特に35〜65質量
%、フィラー相は合計で30〜70質量%、特に35〜
65質量%の割合で含有されることが望ましく、特にA
lN相は、高熱伝導化のために、少なくとも5質量%以
上、特に10質量%以上、さらには15質量%以上含ま
れていることが望ましい。
【0021】また、周期律表第3a族元素(RE)は、
酸化物換算でAlNに対して、0.1〜5モル%の割合
で含有されることが望ましく、周期律表第3a族元素量
が多すぎると、AlN相の酸素低減効果が小さく、高熱
伝導化が達成できす、少なすぎるとアルミニウムと周期
律表第3a族元素との複合酸化物の生成がなく、本発明
の効果が得られない場合がある。
【0022】また、上記AlN、Al23−RE23
外のフィラーは、AlN相の分散による効果を阻害しな
い範囲で含有され、特に30質量%以下の割合で含まれ
るのが適当である。上記の結晶相は、フィラー粉末とし
て添加してもよいし、ガラスから析出させてもよい。
【0023】なお、本発明において、Al23−RE2
3相とは、例えば、Al2RE49、REAlO3、A
5RE312の群から選ばれる少なくとも1種が挙げら
れ、REとしては、Y、Yb、Er、Ndなどが好適に
用いられる。
【0024】また、本発明のガラスセラミックスにおけ
るガラス相は、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、アル
ミノケイ酸ガラス、Pb系ガラス、Bi系ガラス、アル
カリ系ガラス、アルカリ土類系ガラス、アルミノホウケ
イ酸ガラス等が挙げられるが、特に、1000℃以下で
の焼結性を実現し、CuやAg等の低抵抗金属との同時
焼結を行うためには、アルミノケイ酸ガラス、アルミノ
ホウケイ酸ガラス、アルカリ系ガラス、アルカリ土類系
ガラスの群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。ま
た、上記ガラス相は、非晶質ガラス、結晶化ガラスのい
ずれでもよいが、強度向上のためには、結晶化ガラスで
あることが望ましく、析出結晶相としては、前述したよ
うなAlN、Al23−RE23以外のフィラー成分と
同様なものが挙げられる。
【0025】また、本発明におけるガラスセラミックス
は、開気孔率が1%以下であることが望ましい。これ
は、誘電損失を低減する上で必要であり、開気孔率が1
%よりも大きいと、開気孔内に水分が吸着され、高周波
領域での誘電損失が大きくなってしまうためである。特
に、開気孔率は0.5%以下、特に0.2%以下である
ことが望ましい。
【0026】本発明における上記ガラスセラミックス
は、熱伝導率が5W/m・K以上、特に8W/m・K以
上と高く、電気特性として測定周波数1GHzにおい
て、比誘電率が8以下、特に7.5以下、さらには7以
下であり、また誘電損失が60×10-4以下、特に50
×10-4以下、さらには30×10-4以下の優れた特性
を有するものである。 (製造方法)次に、本発明におけるガラスセラミックス
を製造する方法について説明する。まず、出発原料とし
て、ガラス粉末とセラミックフィラー粉末とを所定の比
率で混合する。ガラス粉末を30〜70質量%、特に3
5〜65質量%、AlNを5質量%以上含有含むセラミ
ックフィラーを30〜70質量%、特に35〜65質量
%の割合で混合する。
【0027】ガラスおよびフィラーの組成を上記範囲に
限定したのは、ガラス粉末が30質量%より少ない、あ
るいはセラミックフィラーが70質量%よりも多いと1
000℃以下の低温焼成において該組成物を相対密度9
5%以上に緻密化することが困難となり、前記ガラスが
80質量%を超える、あるいはAlN量が5質量%より
も少ないと磁器の熱伝導率の向上効果が不十分となる為
である。
【0028】また、ガラスとしては、ガラス転移点が8
00℃以下、特に750℃以下、最適には700℃以下
であることによって、1000℃以下の焼成における緻
密化を促進することができる。
【0029】また、本発明において、用いられるガラス
としては、SiO2と、B23を必須成分として含有
し、具体的には、SiO2を15〜70質量%、B23
を0.5〜30質量%の割合で含有するもので、さらに
他の成分として、MgO、CaO、SrO、BaO、Z
nO、Al23の群から選ばれる少なくとも1種を含有
することもできる。しかしながら、ガラスとAlNを含
むセラミックフィラーとの反応性を抑制することが必要
がある。この反応性を抑制する上では、ガラスの組成、
焼成温度、焼成雰囲気等を適宜制御することが必要であ
る。特に、ガラス組成においては、Pb、Bi、Cuお
よびアルカリ金属元素の含有量が総量で0.5質量%以
下、特に0.3質量%以下、さらには0.1質量%以下
であることが望ましい。これは、上記の特定成分は、A
lNとの反応を促進する成分であって、これらが上記の
比率を超えて存在すると、反応が生じてしまうためであ
る。
【0030】特に、より望ましいガラス組成としては、
SiO2:20〜55質量%、特に25〜50質量%、
Al23:3〜35質量%、特に5〜32質量%、Mg
O:5〜30質量%、特に8〜25質量%、ZnO:2
〜25質量%、特に4〜20質量%、B23:5〜30
質量%、特に7〜20質量%、CaO、SrO、BaO
の合計:0〜40質量%、特に0〜35質量%の組成か
らなるガラスである。
【0031】さらに、用いるガラスとしては、それ単
体、あるいはフィラーを含む組成物を焼成した際に、結
晶化することによって熱伝導率と強度の向上を図ること
ができる。ガラスの結晶化によって析出する結晶相は、
前述の通りである。また、焼結性を高める上では、ガラ
ス粉末の平均粒径が2μm以下、特に1.8μm以下と
することが望ましい。
【0032】一方、フィラーとして、本発明によれば、
窒化アルミニウムと周期律表第3a族元素酸化物との仮
焼粉末(以下、Al23−RE23仮焼粉末という。)
を用いる。この仮焼粉末は、窒化アルミニウム粉末と周
期律表第3a族元素酸化物粉末との混合体を窒素やアル
ゴンなどの還元雰囲気中で、1500〜2000℃の温
度で熱処理後、粉砕したものである。この仮焼処理によ
って、Al23−RE 23の複合酸化物が、AlN粉末
の表面に形成されたものである。
【0033】そして、この仮焼処理によって、AlN粉
末内部に存在する酸素を減少させることができ、AlN
粒子の純度を高めることができる。その結果、本発明に
おける仮焼粉末中におけるAlN相中の酸素量は0.8
質量%以下、特に0.5質量%以下、さらに0.3質量
%以下にまで減少され、これによって高熱伝導化、低誘
電率化、低誘電損失化が達成される。また、仮焼前のA
lN粉末の平均粒径は0.7〜10μmであることが、
RE23との反応性とともに酸素の除去の効率を高める
上で望ましい。
【0034】さらに、Al2O3−RE2O3仮焼粉末
中のFe、Si、C、Cu、Mn、Mg、Zn、Ni、
Cr、Ti等のAl以外の不純物は総量で0.1質量%
以下、特に0.02質量%以下であることが高熱伝導化
を図る上で望ましい。
【0035】本発明のガラスセラミックスは、上記の組
成で秤量混合された混合粉末を用いて所定の成形体を作
製し、その成形体を800〜1000℃の酸化性雰囲気
または不活性雰囲気中で焼成し、開気孔率が1%以下と
なるまで緻密化させることによって作製できる。
【0036】また、本発明によれば、図1に示すよう
に、上記のガラスセラミックスを誘電体基板1とし、そ
の表面や内部に高周波用の配線回路層2を具備する配線
基板を得るには、前記の混合粉末に適当な有機バイン
ダ、溶媒を混合してスラリーを調製し、これをプレス成
形、押出成形、ドクターブレード法等のテープ成形法に
よってシート状に成形してグリーンシートを作製する。
【0037】そして、このグリーンシートに所望により
スルーホールを形成した後、スルーホール内にCuまた
はAgを主成分とする金属ペーストを充填し、グリーン
シートの表面には所定の回路パターンに導電性ペースト
を用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法等によって
印刷、塗布したり、金属箔を貼りつけてエッチングによ
ってパターン化したり、パターン化された金属箔を貼り
つける等によって高周波用の配線回路層2を形成する。
【0038】上記配線回路層2を形成したグリーンシー
トを、所望により、複数枚積層して、例えば、40〜1
20℃、5〜40MPaにて加熱圧着し、酸化性雰囲気
または弱酸化性雰囲気中、1000℃以下、特に800
〜1000℃、さらに800〜970℃にて0.2〜1
0時間、特に0.5〜2時間焼成することによって配線
基板を作製することができる。
【0039】そして、この配線基板の表面には、適宜、
高周波素子4等が搭載され高周波用の配線回路層2と高
周波信号の伝達が可能なように接続される。接続の方法
としては、配線回路層2に直接搭載させて半田などによ
って接続させたり、あるいは樹脂、Ag−エポキシ、A
g−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミックス
の少なくとも1種からなる厚み50μm程度の接着剤に
より高周波素子4を絶縁基板表面に固着し、ワイヤボン
ディング、TABテープ等により配線回路層2と高周波
素子4とを接続させる方法が適応可能である。
【0040】
【実施例】実施例1 下記の組成からなる2種のガラスを準備した。
【0041】ガラスA SiO2:44質量%、Al23:29質量%,Mg
O:11質量%、ZnO:7質量%、B23:9質量% ガラスB SiO2:50質量%、Al23:5.5質量%、Mg
O:18.5質量% CaO:26質量% また、フィラーとして、平均粒径が10μm、酸素含有
量が1質量%のAlN粉末と、平均粒径が2μmのY2
3、Er23,Yb23、Nd23の周期律表第3a
族酸化物を用いて、表1に示す比率で混合後、仮焼処理
後、粉砕し、仮焼粉末を作製した。なお、仮焼粉末の平
均粒径をマイクロトラック法によりd50値を測定し
た。また、仮焼粉末中におけるAlN粒子内の酸素量を
蛍光X線分析(XPS)によって測定した。
【0042】そして、上記ガラス粉末と仮焼粉末を表2
に示す比率で混合し、この混合物にアクリル系有機バイ
ンダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調整した
後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚
さ300μmのグリーンシートを作製した。
【0043】そして、このグリーンシートを10〜15
枚積層し、50℃の温度で10MPaの圧力を加えて熱
圧着し、該積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700
℃で脱バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で950℃
で1時間焼成した。なお、焼成に際しては、昇温速度、
降温速度を300℃/hとした。
【0044】得られたガラスセラミックスについて、ア
ルキメデス法により開気孔率を測定するとともに、X線
回折測定を行い、構成相を同定した。また、ガラスセラ
ミックス中の AlN相中の酸素量をオージェ
電子顕微鏡によって測定した。AlN相の大きさは、走
査型電子顕微鏡写真に基づき、各粒子の最大径の平均値
(平均粒径)を表2に示した。
【0045】また、ガラスセラミックスを直径50m
m、厚み1mmの形状に切り出し、2GHzにてネット
ワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用い
て空洞共振器法によりTE011モードの共振特性を測定
し、誘電率、誘電損失を算出した。また、ガラスセラミ
ックスをφ10mm、厚さ1mmに加工しレーザーフラ
ッシュ法にて熱伝導率を測定した。結果は表2に示し
た。
【0046】また、比較のために、周期律第3a族酸化
物を全く添加しないもの、添加したが仮焼処理を行わな
かったものについてもそれぞれ評価した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1、表2の結果によれば、周期律第3a
族酸化物を全く添加しないもの、添加したが仮焼処理を
行わなかったものは、AlN粒子内の酸素を低減するこ
とができず、誘電率が高く、また、Al23−RE23
化合物の生成も認められなかった。
【0050】これに対して、仮焼処理粉末を用いた本発
明品においては、Al23−RE23化合物の生成が認
められ、AlN相中の酸素量も低減され、いずれも熱伝
導率8W/m・K以上、比誘電率8以下、誘電損失が1
50×10-4以下の良好な特性を発揮することができ
た。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のガラスセラ
ミックスによれば、ガラス相と、窒化アルミニウム相
と、窒化アルミニウム相と、Al23−RE23相とに
よってガラスセラミックスを構成することによって、緻
密で、高熱伝導性を有し、低誘電率、低誘電損失のガラ
スセラミックスを作製でき、CuやAgを主成分とする
導体配線層を具備する、特に高周波用の配線基板の絶縁
基板として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の一例を説明するための概略
断面図である。
【符号の説明】 1 誘電体基板 2 配線回路層 2a グランド層 2b 中心導体 3 ビアホール導体 4 高周波素子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス相と、フィラー相との混合体からな
    るガラスセラミックスであって、前記フィラー成分とし
    て少なくとも窒化アルミニウム相と、周期律表第3a族
    元素とアルミニウムとの複合酸化物粒子相とを含有する
    ことを特徴とするガラスセラミックス。
  2. 【請求項2】前記周期律表第3a族元素とアルミニウム
    との複合酸化物粒子相が、隣接する2つの窒化アルミニ
    ウム相間の界面に主として存在することを特徴とする請
    求項1記載のガラスセラミックス。
  3. 【請求項3】前記窒化アルミニウム粒子内における酸素
    量が0.8質量%以下であることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載のガラスセラミックス。
  4. 【請求項4】前記周期律方第3a族元素を酸化物換算
    で、窒化アルミニウムに対して、0.1〜5モル%の割
    合で含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれか記載のガラスセラミックス。
  5. 【請求項5】ガラス相30〜60質量%と、フィラー相
    40〜70質量%からなることを特徴とする請求項1乃
    至請求項4のいずれか記載のガラスセラミックス。
  6. 【請求項6】ガラス成分と、フィラー成分との混合物を
    形成後、焼成してなるガラスセラミックスの製造方法に
    おいて、前記フィラー成分として少なくとも窒化アルミ
    ニウムと周期律表第3a族元素酸化物との仮焼粉末を添
    加混合したことを特徴とするガラスセラミックスの製造
    方法。
  7. 【請求項7】前記窒化アルミニウムと周期律表第3a族
    元素酸化物との仮焼粉末が、窒化アルミニウム粉末と周
    期律表第3a族元素酸化物粉末との混合体を1500〜
    2000℃の温度で熱処理後、粉砕したものである請求
    項6記載のガラスセラミックスの製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項5のいずれか記載のガ
    ラスセラミックスを絶縁基板とし、該絶縁基板の表面お
    よび/または内部に配線回路層が形成されてなることを
    特徴とする配線基板。
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