JP2002133948A - 金属被覆粉体及びその製造方法 - Google Patents

金属被覆粉体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高い温度でも粉体と金属間の密着性の良い金
属被膜を持ち、プラスチックやゴムに混合・成形した後
でも高い導電性、高い耐熱性、良好な耐久性を有し信頼
性の高いコネクターや導電ペースト材料の原料とするこ
とができる金属被覆粉体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 内層とそれを被覆する外層から構成され
る粒子を金属で被覆し、外層が内層よりも低い熱膨張率
を持つことを特徴とし、内層とそれを被覆する外層から
構成される粒子が、酸化ケイ素重合体からなる導電性粉
体。内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金
属で被覆した金属被覆粉体を無電解メッキ法により製造
する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広い温度範囲で高
い導電性を示し、高い耐熱性、良好な耐久性を有した金
属被覆粉体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子部品の小型化・薄型化と省力化、鉛フリー化への要
請から、基板等の電気的接続にハンダを用いない導電ぺ
ーストによる方式が行われるようになってきた。携帯電
話等の普及に伴い、液晶表示モジュール等の高精密化と
高信頼性に対する要求が進む中で、益々広い温度範囲で
高い導電性を有した導電ぺーストが必要とされ、つまり
は、高い耐熱性と良好な耐久性を有した導電性粉体への
要求が高まってきている。
【0003】従来こうした導電性粉体は、金属粉かある
いは金属被覆無機粉体が使用されていたが、銅、ニッケ
ル、銀、金といった金属粉は、比重が大きく、ぺースト
母材中での分散性が悪いという問題点があった。アルミ
ナ、ケイ酸アルミナ、シリカ、ガラス、雲母のような絶
縁性無機粉体を、種々の金属でコートして製造した金属
被覆無機粉体は、べースフィラーとなる無機粉体の比重
が金属よりも低く、形状の自由度が大きく広い分野に応
用が期待できるため、様々な製造手法が検討され、無電
解メッキ法などにより実用化されていた。なかでも、す
でに本発明者らは、還元作用を持つケイ素重合体を用い
て表面を処理した無機粉体に金属イオンを含む溶液を接
触させると、粉体表面で金属コロイドが生成・保持され
ることを見いだし、これを利用した密着性のよい金属被
膜無機粉体の製造方法を提示している。
【0004】最近、液晶表示部とドライバー間の微細電
極同士の接続に異方導電性ぺーストや異方導電性接着フ
ィルムを使用した複数電極一括接続方式が汎用的に行わ
れつつある。この方法は、相対峙する回路間に導電性粉
体を所定量含有したべース絶縁性高分子からなる接続部
材層を設け、高温加圧状態にすることにより、回路間の
電気的接続と同時に隣接する回路間は絶縁接着固定す
る。このため、導電性粉体は高温に曝されることにな
る。しかも、接着成分であるぺースト母材と導電性粉体
の熱膨張係数が異なることから、温度変化に対する抵抗
値変化が大きくなり、電気的接続の信頼性に問題が持ち
上がってきた。
【0005】金属粉体や金属被覆無機粉体の熱膨張係数
は、ペースト母材となる高分子材料に較べて一桁程度小
さいため、高温時においては金属粉体の膨張率はペース
ト母材に較べて少なく、接続回路間隙間の変化に対して
追随性がないので、回路への金属粉体の接触面積や接触
点数が減少し、接続抵抗の増加や導通不良を生じる恐れ
があった。すなわち、導電性粉体を金属粉体や金属被覆
無機粉体とした場合、初期の導電接続性が得られたとし
ても、温度変化を含む長期信頼性に劣るという欠点を有
していた。
【0006】ポリスチレン樹脂粉末やポリアクリレート
樹脂粉末のような有機樹脂粉末は、ペースト母材と同
様、高い熱膨張係数を持つ。こうした有機樹脂粉末をメ
ッキすることで金属被覆樹脂粉末を得ることは、すでに
行われていた(特公平2−25431号公報、特公平6
−96771号公報)。ところが、この場合は、金属と
樹脂粉末間の熱膨張係数の相違から被覆金属と樹脂粉末
の間の密着性に問題があった。そのため、シランカップ
リング剤(例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン)の様なシランモノマーを用いる方法(特開昭61
−257479号公報、特開昭62−297471号公
報)やNaBH4のような還元剤を使用したパラジウム
コロイドゾルを使用する方法(特開昭63−79975
号公報)、あるいは粉体表面のエッチング処理等が提案
されてはいたが、必ずしも良好な金属被覆樹脂粉末は得
られていなかった。例えば、熊倉ら(特開平8−193
186号公報)は、ジビニルベンゼンやベンゾグアナミ
ンのような樹脂を金属で被覆した異方性導電接着剤用導
電粒子を開発しているが、内層よりも外層が柔らかい絶
縁粒子を用いている場合、熱圧着後の初期やエージング
後の抵抗値が粒子径等のささいな違いで変動し、金を最
外層としてもつ金属被覆粒子を用いた電気的接続方式と
しては、Ωレベルという悪い導電性を示すことからも明
らかである。
【0007】また、そうした有機樹脂はそのものの耐熱
性が劣り、高温時に有機樹脂の分解や劣化が起こるた
め、高温での使用は制限されていた。特に、200℃以
上の温度でも金属と有機樹脂の間の剥離が起こらない高
い耐熱性を持った導電性粉体は得られていなかった。こ
のように、有機樹脂を導電性粉体の核に用いた場合に
も、導電性粉体そのものの劣化による導電特性の劣化が
起こるという問題点があった。
【0008】本発明は、上記の事情を改善するためにな
されたもので、高い温度でも粉体と金属間の密着性の良
い金属被膜を持ち、プラスチックやゴムに混合・成形し
た後でも高い導電性、高い耐熱性、良好な耐久性を有し
ているため、プラスチックやゴム等高耐熱性高分子に配
合することにより、信頼性の高いコネクターや導電ペー
スト材料の原料とすることができる金属被覆粉体及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた
結果、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を
金属で被覆した導電性粉体において、外層を内層よりも
硬く、低い熱膨張率を特たせた導電性粉体、特に酸化ケ
イ素重合体からなる粉体を金属で被覆した構造を持つ導
電性粉体とすることが有効であることを知見した。
【0010】ケイ素重合体は、炭素に比べてケイ素が高
い金属性を持ち、酸化ケイ素が高い耐酸化性を持つた
め、有機樹脂ではとうてい得られない高い耐熱性を持
ち、さらにケイ素上への有機基の導入により低温での柔
軟性、良好な薄膜形成特性を示す広い温度で使用可能な
非常に興味深い素材である。また、ある種のケイ素重合
体、例えばポリシランは炭化ケイ素セラミック材料の前
駆体として、ポリシロキサンは酸化ケイ素セラミック材
料の前駆体として、熱処理等により非常に耐熱性に優れ
た材料になることも良く知られている。さらに、Si−
Si結合及び/又はSi−H結合を有するケイ素重合
体、特にポリシランあるいはSi原子に直接結合した水
素原子を有する重合体は、還元性を持つことが知られて
いる。特に、熱膨張係数において、ニッケルや金などの
金属では、合金化によっても変化する領域は10-4〜1
-5-1と高々1桁の変化であるのに対し、酸化ケイ素
重合体は、ケイ素上の有機置換基の種類や酸化ケイ素主
鎖中の分岐構造の多少により、10-6-1(SiO2
から10-3-1(鎖状ジメチルポリシロキサン)まで、
3桁の間で大きく変えることが可能であることが知られ
ている。
【0011】本発明者は、導電性粉体の製造において、
核となる粉体として、外層と内層で異なる熱膨張率を持
つ酸化ケイ素重合体を用いることで熱膨張係数を制御し
た耐熱性に優れる酸化ケイ素重合体粉体とし、この表面
を金属で被覆した金属被覆粉体にすれば、熱膨張率の相
違を吸収し、剥離を防ぐために効果的であることを見出
した。これを導電ペーストの原料として用いれば、比重
が金属に比べて低いためにペースト母材への分散性や分
散安定性に優れ、回路の接続において、加熱加圧による
導電性粉体の適度な変形による接触面積の向上や、熱膨
張率の相違を吸収し剥離を防ぐために効果的であり、核
粉体の内層とペースト母材の熱膨張係数が近似している
ことから、ペースト剤の熱膨張により接続回路の間隔が
大きくなっても、導電性粉体の熱膨張により接続回路間
隔の広がりに追随できるため、導電性粉体と回路間の電
気的接続状態が良好に保たれるので、温度に対する電気
抵抗率の変化は極めて小さくできることを見出した。
【0012】従って、本発明は、内層とそれを被覆する
外層から構成される粒子を金属で被覆した導電性粉体に
おいて、外層が内層よりも硬く、低い熱膨張率を持つこ
とを特徴とする導電性粉体、特に内層とそれを被覆する
外層から構成される粒子が、酸化ケイ素重合体、とりわ
けゴム状酸化ケイ素重合体−レジン状酸化ケイ素重合体
という多層構造を持つ導電性粉体を提供する。また、本
発明は、無電解メッキ法による内層とそれを被覆する外
層から構成される粒子を金属で被覆した金属被覆粉体を
製造する方法において、(1)ゴム状ケイ素重合体粉体
の表面をレジン状ケイ素重合体で覆った酸化ケイ素重合
体からなる粉体を還元性を有するケイ素重合体で処理
し、粉体の最表面に還元性ケイ素重合体の層を形成する
工程、(2)工程(1)の粉体を、標準酸化還元電位
0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理
することで、還元性ケイ素重合体表面に金属コロイドを
析出させる工程、(3)この金属コロイドを触媒とし
て、工程(2)の粉体に無電解メッキを行い、粉体表面
に金属を析出させる工程を含むことを特徴とする外層が
内層よりも低い熱膨張率を持つ導電性粉体の製造方法を
提供する。
【0013】本発明によれば、安価で簡便な工程によ
り、広い温度範囲で高い導電性、高い耐熱性、良好な耐
久性を有した金属被覆粉体を得ることができる。この導
電性粉体は、プラスチックやゴム等高耐熱性高分子に配
合することにより、信頼性の高い異方並びに等方導電接
続が可能なコネクターや導電ペースト材料の原料として
広い応用をもっている。
【0014】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0015】本発明の導電性粉体は、内層とそれを被覆
する外層から構成される粒子を金属で被覆した導電性粉
体において、外層が内層よりも硬く、低い熱膨張率を持
つことを特徴とした導電性粉体であり、特に耐熱性、耐
寒性、耐衝撃性、撥水性、潤滑性等を持つ高機能性の酸
化ケイ素重合体粉体を核として、その表面を金属で被覆
した金属被覆粉体である。
【0016】通常、導電ペーストとするときのベースと
なるペースト樹脂は、線膨張係数が、エポキシ樹脂(5
〜7)、シリコーン樹脂(8〜30)、ポリエステル樹
脂(6〜10)で分かるように、5〜30×10-5-1
のものが用いられる。なお、括弧内は線膨張係数;×1
-5-1を示す。
【0017】そこで、核となる粉体で、内層は、線膨張
係数が、5〜30×10-5-1、外層は線膨張係数が、
0.4〜20×10-5-1で、内層と外層の線膨張係数
の差が3×10-5-1以上であるものが望ましい。
【0018】より具体的には、内層を空洞、あるいはア
クリル樹脂(5〜9)、ポリスルフォン樹脂(5.2〜
5.6)、ポリスチレン樹脂(6〜8)、ポリカーボネ
ート樹脂(6.6)、アクリルニトリル−ブタジエン樹
脂(6.5〜11)、ゴム状酸化ケイ素重合体(8〜3
0)、ウレタン樹脂(10〜20)、ポリエチレン樹脂
(11〜20)、ポリブチレン樹脂(15)などにて形
成でき、外層を、ケイ酸塩含有ガラス(0.4〜1)、
ポリイミド(1.5)、メラミン樹脂(2〜4)、レジ
ン状の酸化ケイ素重合体(2〜5)、アクリルニトリル
−スチレン樹脂(3.6〜3.8)、フェノール樹脂
(2.5〜6)などの粉体にて形成できる。なお、括弧
内は、線膨張係数;×10-5-1を示す。
【0019】特に、内層とそれを被覆する外層から構成
される粒子としては、ゴム/レジンの複合体などが利用
できる。ゴム状酸化ケイ素重合体は、シリコーンゴムパ
ウダーの名称でKMP597、KMP598、KMP5
94として市販されており、レジン状酸化ケイ素重合体
をこのゴム状酸化ケイ素重合体に積層すればよい。すで
に積層された構造の粉体は、シリコーン複合パウダーの
名称で、KMP600、X−52−1139Gとして信
越化学工業(株)より市販されている。
【0020】シリコーンゴムパウダーは、直鎖状のジメ
チルポリシロキサンを架橋した構造を持つ、シリコーン
ゴムの微粉末である。他のゴムに比較して、耐熱性、耐
寒性、耐侯性に優れ、−50℃〜250℃の広い温度範
囲でゴム弾性を示す。シリコーンレジンは、Si−O結
合が三次元網目状に架橋した構造を持ち、とりわけ耐熱
性に優れ、400℃でも重量変化はほとんど無く、熱溶
融もせず、多くの有機溶剤に膨潤、溶解しない。シリコ
ーン複合パウダーは、球状シリコーンゴムパウダーの表
面をシリコーンレジンで被覆したもので、耐熱性、耐寒
性、耐衝撃性、潤滑性に優れている。かかるシリコーン
複合パウダーの構造・製法は特開平10−120903
号公報に記載されている。
【0021】酸化ケイ素重合体の熱膨張係数の変化する
傾向は、ケイ素上の置換基では、メチル基<フェニル基
であり、分岐構造では、(SiO2)<(R6Si
3/2)<(R6SiO)<(R6SiO1/2)である(但
し、R6は後述する通り)。そこで、粉体核の外層部
は、被覆する金属の熱膨張係数に近く、粉体核の内層部
は、導電ペーストのぺースト母材の熱膨張係数に近いこ
とが特に望ましいため、ゴム状酸化ケイ素重合体粉体を
レジン状酸化ケイ素重合体で被覆した粉体が望ましい。
【0022】ゴム状酸化ケイ素重合体粉体としては、下
記式(3)で表わされる鎖状オルガノポリシロキサンブ
ロックを有するゴム弾性を持つポリシロキサン硬化物が
挙げられる。 (R5 2SiO)r (3) (式中、R5は非置換又は置換の一価炭化水素基、rは
5≦r≦5,000の整数である。)
【0023】ここで、R5が脂肪族又は脂環式炭化水素
基の場合、炭素数は1〜12、好ましくは1〜6であ
り、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、R5
芳香族炭化水素基の場合、炭素数は6〜14、より好ま
しくは6〜10のものが好適であり、例えばフェニル
基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基等
が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、上記に
例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部
をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアル
キル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル
基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニ
ル基等が挙げられる。さらには、エポキシ基、メルカプ
ト基、アクリロキシ基、アルコキシ基などの反応性基な
どで置換されたものでもよいが、R5の90モル%以上
がメチル基であることが好ましい。
【0024】その製造は、式(3)のポリシロキサンを
主成分として、アルコキシシリル基とヒドロキシシリル
基間の縮合反応、ビニルシリル基とヒドロシリル基間の
付加反応、ビニルシリル基と過酸化物によるラジカル反
応等により架橋・硬化させればよい。特に本粉体を水中
分散体にするには、オルガノポリシロキサンと硬化触媒
からなる組成物に水と界面活性剤を添加してエマルジョ
ン粒子として硬化させればよい。
【0025】次いで、このゴム状酸化ケイ素重合体粉体
にレジン状酸化ケイ素重合体を被覆する。
【0026】このレジン状酸化ケイ素重合体としては、
下記式(4)で表わされるポリオルガノシルセスキオキ
サン化合物が挙げられる。 (R6SiO3/2s (4) (式中、R6は水素原子、又は非置換もしくは置換一価
炭化水素基、sは2≦s≦1,000の整数である。)
【0027】ここで、R6は水素原子又は一価炭化水素
基であるが、R6が脂肪族または脂環式炭化水素の場
合、炭素数は1〜12、好ましくは1〜6であり、例え
ばメチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基等が挙げられる。また、R6が芳香族炭化
水素基の場合、炭素数は6〜14、より好ましくは6〜
10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル
基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられ
る。なお、置換炭化水素基としては、上記に例示した非
置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン
原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基など
で置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフ
ルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙
げられる。さらには、エポキシ基、アミノ基、メルカプ
ト基、アクリロキシ基、アルコキシ基などの反応性基に
て置換されていてもよいが、R6の50モル%以上がメ
チル基であることが好ましく、また、(R6SiO3/2
単位の他に、その被覆性を損なわない範囲で少量の(R
6 2SiO)単位、(R6 3SiO1/2)単位、(SiO2
単位が含有されていてもよい。
【0028】その製造は、ゴム状酸化ケイ素重合体の水
分散液に、アルカリ性条件下にトリアルコキシシランを
添加し、加水分解、縮合させればよい。この反応終了
後、濾過、遠心分離、スプレードライ、加熱乾燥等によ
る水分の除去により、ゴム状酸化ケイ素重合体粉体をレ
ジン状酸化ケイ素重合体で被覆した粉体が得られる。
【0029】形状は粉末状、繊維状、フレーク状等、形
状によらないが、メッキする金属(ニッケル、金等)の
使用量を最少にし、シリコーンゴム等に高充填するため
には、同一粒径では最も比表面積の低くなる球状が望ま
しい。
【0030】粉体の粒径は、望ましくは0.01〜10
00μm、より望ましくは0.1〜100μmである。
0.01μm未満では、比表面積が高くなるため、メッ
キ金属の量が多くなり、高価となる場合がある。また、
1000μmより大きいと、導電ペーストとして使用す
る場合のペースト母材に混合しにくくなる場合がある。
なお、レジン状酸化ケイ素重合体の厚さは0.1μm〜
10μmとすることができる。
【0031】本発明の製造方法においては、この酸化ケ
イ素重合体粉体を、還元性を有するケイ素重合体(ケイ
素系高分子化合物)で処理し、粉体の最表面に還元性ケ
イ素重合体(ケイ素系高分子化合物)の層を形成する。
【0032】この場合、上記粉体を処理するケイ素系高
分子化合物としては、還元作用を有するものを使用す
る。還元作用を持つケイ素系高分子化合物は、Si−S
i結合あるいはSi−H結合を有するポリシラン、ポリ
カルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンの中から
選ばれるものとすることができ、中でもポリシラン、あ
るいはSi原子に直接結合した水素原子を有するポリシ
ロキサンが好適に用いられる。
【0033】ここで、分子中にSi−Si結合を有する
ケイ素系高分子化合物としては、ポリシランが好ましく
用いられ、下記一般式(1)で表されるポリシランが好
適である。 (R1 m2 npSi)q (1) (但し、式中R1、R2は水素原子又は置換もしくは非置
換の一価炭化水素基、XはR1、アルコキシ基、ハロゲ
ン原子、酸素原子又は窒素原子を示し、mは0.1≦m
≦2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5であり、か
つ1≦m+n+p≦2.5を満足する数である。qは4
≦q≦100,000を満足する整数である。)
【0034】上記式(1)のポリシランにおいて、
1、R2は、水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭
化水素基であり、R1とR2とは互いに同一であっても異
なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂
肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基が用いられる。脂肪
族又は脂環式炭化水素の場合、炭素数1〜12、好まし
くは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香
族炭化水素基としては炭素数6〜14,より好ましくは
6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリ
ル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチ
ル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、
上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又
は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミ
ノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロ
メチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノ
フェニル基等が挙げられる。Xは、R1と同様の基、ア
ルコキシ基、ハロゲン原子であり、アルコキシ基として
はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素
数1〜4のもの、ハロゲン原子としては、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子等が挙げられ、通常メトキシ基、エ
トキシ基が用いられる。
【0035】mは0.1≦m≦2、特に0.5≦m≦
1、nは0≦n≦1、特に0.5≦n≦1、pは0≦p
≦0.5、特に0≦p≦0.2であり、かつ1≦m+n
+p≦2.5、特に1.5≦m+n+p≦2を満足する
数であり、qは4≦q≦100,000、特に10≦q
≦10,000の範囲の整数である。
【0036】また、ケイ素原子に直接結合した水素原子
(Si−H基)を有するケイ素系高分子化合物として
は、側鎖にSi−H基、主鎖にSi−O−Si結合を持
つ下記一般式(2)で表されるポリシロキサンが好適に
用いられる。 (R3 a4 bcSiOde (2) (但し、式中R3、R4は水素原子、置換もしくは非置換
の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示
し、aは0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.0
1≦c≦1、dは0.5≦d≦1.95であり、かつ2
≦a+b+c+d≦3.5を満足する数である。eは2
≦e≦100,000を満足する整数である。)
【0037】上記式(2)のポリシロキサンにおいて、
3、R4は、水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭
化水素基であり、R3とR4と互いに同一であっても異な
っていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪
族、脂環式又は芳香族炭化水素基が用いられる。脂肪族
又は脂環式炭化水素の場合、炭素数1〜12、好ましく
は1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香族
炭化水素基としては、炭素数6〜14、より好ましくは
6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリ
ル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチ
ル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、
上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又
は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミ
ノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロ
メチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノ
フェニル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メ
トキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1
〜4のもの、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原
子、臭素原子等が挙げられる。
【0038】aは0.1≦a≦2、特に0.5≦a≦
1、bは0≦b≦1、特に0.5≦b≦1、cは0.0
1≦c≦1、特に0.1≦c≦1、dは0.5≦d≦
1.95、特に1≦d≦1.5であり、かつ2≦a+b
+c+d≦3.5、好ましくは2≦a+b+c+d≦
3.2を満足する数である。eは2≦e≦100,00
0、好ましくは10≦e≦10,000の範囲の整数で
ある。
【0039】本発明において、上記粉体をケイ素系高分
子化合物で処理し、粉体表面に該ケイ素系高分子化合物
の層を形成させる工程は、ケイ素系高分子化合物を有機
溶剤に溶解させ、この溶液中に粉体を、あるいは粉体中
に溶液を投入混合した後に有機溶剤を除くことで、粉体
の表面にケイ素系高分子化合物の層を形成することがで
きる。
【0040】この工程において、ケイ素系高分子化合物
を溶解させる有機溶剤としては、例えばベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、ヘキサン、オ
クタン、シクロヘキサンのような脂肪族系炭化水素溶
剤、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエー
テル系溶剤、酢酸エチルのようなエステル類、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホ
スホリックトリアミドのような非プロトン性極性溶媒、
その他、ニトロメタン、アセトニトリル等が好適に用い
られる。
【0041】ケイ素系高分子化合物含有溶液の濃度は、
0.01〜50%(重量%、以下同様)、好ましくは
0.01〜30%、特に1〜10%が好適であり、濃度
が低すぎると、ケイ素系高分子層が薄くなり粉体表面に
均一に形成しにくく、また大量の溶剤を使用するのでコ
ストの上昇を招く場合がある。また、濃度が高すぎる
と、ケイ素系高分子化合物を粉体表面全面に十分形成で
きないおそれがある。
【0042】最後に、温度を上げたり、減圧にすること
により、溶媒を留去させる。通常は、溶媒の沸点以上の
温度で、たとえば1〜100mmHgという減圧下で4
0〜200℃程度の温度に攪拌することにより乾燥する
ことは効果的である。この後、しばらく乾燥雰囲気下
で、あるいは減圧下で40〜200℃程度の温度にて静
置することで、溶剤を効果的に留去乾燥することによ
り、還元性ケイ素重合体処理酸化ケイ素重合体粉体を製
造できる。
【0043】ケイ素系高分子化合物層の厚さは、0.0
01〜1.0μm、望ましくは0.01〜0.1μmが
好適である。0.001μmより薄いと、ケイ素系高分
子化合物層を粉体表面に均一に形成しにくくなるため、
メッキが起こらない部分ができるおそれがある。また、
1.0μmより厚いと、ケイ素系高分子化合物層が厚く
なり、使用するケイ素系高分子化合物の量が多くなって
高価となり、経済的に不利が生じる場合がある。
【0044】なお、上記シリカ粉体は、ケイ素系高分子
化合物処理により疎水性となる。このため、金属塩を溶
解させる溶媒との親和性が低下し、液中に分散しないた
め、金属塩還元反応の効率が低下することがある。この
ことによって起こる金属塩還元反応の効率の低下は、界
面活性剤を添加して向上させることができる。界面活性
剤としては、発泡を起こさず表面張力のみを下げるもの
が望ましく、サーフィノール104、420、504
(日信化学工業(株)製)等の非イオン界面活性剤を好
適に用いることができる。
【0045】また、必要に応じてCFシラン(カーボン
ファンクショナルシラン)類を併用してもよい。カーボ
ンファンクショナル(CF)シランとしては、下記一般
式(5)で表わされるものが好適に用いられる。 Y−(CH2b−SiRa(OR)3-a (5) (式中、Yはビニル官能基、エポキシ官能基、アミノ官
能基、メルカプト官能基、メタクリロキシ官能基、アク
リロキシ官能基等の官能基、Rは置換もしくは非置換の
一価炭化水素基、bは0〜3の整数、aは0又は1であ
る。)
【0046】ここで、Rは上記R1、R2と同様の一価炭
化水素基を挙げることができるが、特に炭素数1〜5の
アルキル基が好ましい。なお、ビニル官能基としては、
CH 2=CH−等が挙げられ、エポキシ官能基としては
γ−グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル
基等が挙げられ、アミノ官能基としてはNH2−、NH2
CH2CH2NH−等が挙げられ、メルカプト官能基とし
てはメルカプト基、メタクリロキシ官能基、アクリロキ
シ官能基としてはメタクリロキシ基、アクリロキシ基等
が挙げられる。
【0047】このような上記式(5)のCFシランとし
て具体的には、ビニルトリメトキシシラン(KBM−1
003、信越化学工業社製)、ビニルトリエトキシシラ
ン(KBE−1003、信越化学工業社製)、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン(KBM−303、信越化学工業社製)、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−4
03、信越化学工業社製)、N−β(アミノエチル)γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−6
02、信越化学工業社製)、N−β(アミノエチル)γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−60
3、信越化学工業社製)、γ−メルカプトプロピルトリ
エトキシシラン(KBE−803、信越化学工業社
製)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM
−903、信越化学工業社製)、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン(KBE−903、信越化学工業社
製)等を挙げることができる。これらの中では、特にヘ
テロ基含有CFシランであるKBM−602、KBM−
603、KBE−803、γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン(KBM−902)、KBM−903、
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエ
トキシシラン(KBE−602)、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−
603)、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン
(KBE−902)、KBE−903が好適に用いられ
る。
【0048】CFシランの添加量は、ポリシラン100
重量部に対して0.01〜200重量部、特に0.1〜
10重量部であることが望ましい。添加量が上記値より
少ないと十分な接着性が得られない場合があり、上記値
より多いと成膜性が悪くなり、逆に接着性の低下をもた
らす場合がある。
【0049】次に、第2工程は、上記第1工程で得られ
たシリカ表面にケイ素系高分子化合物層が形成された粉
体を標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金
属塩を含む溶液で処理し、ケイ素系高分子化合物層上に
該金属コロイドを析出させる工程である。これは、ケイ
素系高分子化合物処理粉体の表面を金属塩を含む溶液と
接触させるもので、この処理では、ケイ素系高分子化合
物の還元作用により、金属コロイドがケイ素系高分子化
合物の被膜表面に形成され、金属被膜が形成されるもの
である。
【0050】ここで、金属コロイドを形成させる金属塩
としては、標準酸化還元電位0.54V以上の金属で、
特に、金(標準酸化還元電位1.50V)、パラジウム
(標準酸化還元電位0.99V)、銀(標準酸化還元電
位0.80V)等の塩が好適に用いられる。なお、標準
酸化還元電位が0.54Vより低い銅(標準酸化還元電
位0.34V)、ニッケル(標準酸化還元電位−0.2
5V)等の塩では、本ケイ素系高分子で還元し難い。
【0051】金塩としては、Au+、Au3+を含んでな
るもので、具体的にはNaAuCl2、NaAuCl4
NaAu(CN)2、NaAu(CN)4等が例示され
る。パラジウム塩としてはPd2+を含んでなるもので、
通常Pd−Z2の形で表すことができる。Zは、Cl、
Br、I等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセ
テート、アセチルアセトネート、カーボネート、パーク
レート、ナイトレート、スルフォネート、オキサイド等
の塩である。具体的には、PdCl2、PdBr2、Pd
2、Pd(OCOCH32、Pd(OCOCF32
PdSO4、Pd(NO32、PdO等が例示される。
銀塩としては、溶剤に溶解しAg+を生成させうるもの
で、通常Ag−Zの形で表すことができる。Zは、ボレ
ート、ホスフェート、パークレート、スルフォネート等
の塩である。具体的には、AgBF4、AgClO4、A
gPF6、AgBPh4、Ag(CF3SO3)、AgNO
3等が好適に用いられる。
【0052】粉体を金属塩溶液で処理する方法として
は、ケイ素系高分子化合物を溶解せず、かつ金属塩を溶
解又は分散させることができる溶剤を用いて金属塩を含
む溶液を調製し、この溶液にケイ素系高分子化合物膜で
被覆された粉体を投入して金属塩と接触させる方法が好
適である。このように処理することにより、ケイ素系高
分子化合物で被覆された粉体のケイ素系高分子化合物被
膜表面に金属塩が吸着されると同時に還元されたコロイ
ドとして担持された金属被覆粉体が形成される。
【0053】ここで、ケイ素系高分子化合物を溶解せ
ず、かつ金属塩を溶解又は分散させることができる溶剤
としては、水やアセトン、メチルエチルケトンのような
ケトン類、メタノール、エタノールのようなアルコール
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘ
キサメチルホスホリックアミドのような非プロトン性極
性溶媒等が挙げられ、中でも水が好適に用いられる。
【0054】金属塩の濃度は、塩を溶解させる溶剤によ
って異なるが、0.01%〜塩の飽和溶液までが用られ
る。0.01%未満では、メッキ触媒となる金属コロイ
ドの量が十分でなく、また飽和溶液を超えると、固体塩
の析出があり好ましくない。溶剤が水の場合、0.01
〜20%、より好ましくは0.1〜5%がよく用いられ
る。
【0055】上記ケイ素系高分子処理粉体を、室温から
70℃の温度で、0.1〜120分、より好ましくは1
〜15分程度、金属塩溶液に浸漬すればよい。これによ
りケイ素系高分子表面に金属コロイドが析出した粉体が
製造できる。
【0056】上記金属塩を含む溶液の処理は、界面活性
剤の存在下又は非存在下に行うものであるが、特に界面
活性剤の存在下に行うことが望ましい。即ち、粉体は、
ケイ素系高分子処理により疎水性となっている。このた
め、金属塩を溶解させた溶液との親和性が低下し、溶液
中に分散しないため、金属コロイド生成反応の効率が低
下していることがある。この場合は、界面活性剤を添加
して向上させるのがよく、これにより、ケイ素系高分子
化合物処理粉体を金属塩を含む溶液に短時間に分散させ
ることができる。
【0057】ここで、界面活性剤としては、陰イオン界
面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性
剤、非イオン界面活性剤を用いることができる。陰イオ
ン界面活性剤としては、スルホン酸塩系、硫酸エステル
塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル塩系を用いるこ
とができる。また、陽イオン界面活性剤としては、アン
モニウム塩系、アルキルアミン塩系、ピリジニウム塩系
を用いることができる。また、両性イオン界面活性剤と
しては、ベタイン系、アミノカルボン酸系、アミンオキ
シド系を用いることができる。また、非イオン界面活性
剤としては、エーテル系、エステル系、シリコーン系を
用いることができる。
【0058】より具体的には、陰イオン界面活性剤とし
ては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルフォコハク
酸エステル、ポリオキシエチレン硫酸アルキル塩、アル
キルリン酸エステル、長鎖脂肪酸セッケンを用いること
ができる。また、陽イオン界面活性剤としては、塩化ア
ルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメ
チルアンモニウム塩、塩化アルキルピリジニウム塩を用
いることができる。両性イオン界面活性剤としては、ベ
タイン系スルフォン酸塩、ベタイン系アミノカルボン酸
アミン塩を用いることができる。非イオン界面活性剤と
しては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変
性ポリシロキサンを用いることができる。また、市販さ
れているこうした界面活性剤を混合した水溶液、例え
ば、商品名ママレモン(ライオン(株)製)などを利用
することができる。
【0059】界面活性剤を添加する場合、界面活性剤の
添加量は、界面活性剤溶液又は界面活性剤を含む金属塩
溶液に上記ケイ素系高分子被覆粉体が均一に分散する量
であることがよく、金属塩溶液100重量部に対して
0.0001〜10重量部、特に0.001〜1重量
部、とりわけ0.01〜0.5重量部の範囲で使用する
のが望ましい。界面活性剤の添加量が少なすぎると効果
が乏しい場合があり、多すぎるとメッキの付きまわり性
に悪影響を与えたり、メッキ後の金属の変色等の原因と
なることがある。
【0060】処理方法としては、先ずケイ素系高分子処
理粉体を、界面活性剤あるいは水により希釈した界面活
性剤と接触させ、撹拌して分散させ、次いで金属塩を含
む溶液と接触させることが好ましく、これによりケイ素
系高分子化合物の還元作用により金属コロイドをこの膜
表面に形成させる反応を速やかに進めることができる。
【0061】界面活性剤を使用しない場合は、ケイ素系
高分子処理粉体を溶剤と接触させ、十分に撹拌して分散
させることが好ましい。
【0062】こうした処理の後は、金属塩を含まない上
記と同様の溶剤で処理し、還元されず、粉体にただ吸着
されただけの金属塩を除き、最後にこの粉体から不要な
溶剤を除去することで金属コロイド被覆粉体を得ること
ができる。
【0063】本発明においては、上記のように粉体に前
処理を行った後、得られた表面に触媒金属核が付与され
た(金属コロイドで被覆された)粉体を無電解メッキす
るものである。
【0064】ここで、この無電解メッキ液は、必須成分
であるメッキ金属塩と還元剤と任意成分である錯化剤、
pH調整剤、界面活性剤を含む。
【0065】メッキ金属塩の金属としては、例えば、ニ
ッケル、銅、銀、コバルト、タングステン、鉄、亜鉛、
金、白金、パラジウムなどの金属を含んでなるものが好
適に用いられる。この単独の金属の他、合金、例えば、
Ni−Co,Ni−W,Ni−Fe,Co−W,Co−
Fe,Ni−Cu,Ni−P,Au−Pd,Au−P
t,Pd−Ptなどから構成させることもできる。かか
る合金被膜を形成させるには、所望に応じた複数の金属
塩を添加すればよい。金属塩としては、特には、ニッケ
ル塩が望ましい。更に、無電解メッキ液は、次亜リン酸
ナトリウム、ホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナ
トリウム等の還元剤、酢酸ナトリウムのようなpH調整
剤、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウムの
ような錯化剤を含む。メッキ金属塩液と還元剤液の配合
割合は、それらの組み合わせにより異なるため一概に決
定できないが、還元剤が酸化等による無効分解で消費さ
れるため金属塩より過剰に用いられ、通常は金属塩の
1.1〜5倍モル程度の還元剤が使用される。
【0066】なお、通常は無電解メッキ液として市販さ
れており、安価に入手することができる。
【0067】ここで、無電解ニッケルメッキ液について
更に詳述すると、この無電解ニッケルメッキ液は、通
常、水溶性ニッケル塩、錯化剤、pH調整剤、リン系還
元剤を含むものである。
【0068】この場合、ニッケル塩としては、従来より
知られている公知の硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸
ニッケルなどを用いることができ、それらの塩濃度は、
メッキ浴全体で0.5〜0.01mol/l、好ましく
は0.3〜0.05mol/lとすればよい。ニッケル
塩濃度が高すぎると、僅かなpHの変化、錯化剤の濃度
変化で水酸化物の生成が生じて浴寿命が短くなること、
補充の際に局所的なニッケル塩濃度の偏在を生じさせや
すくメッキ斑が生じやすくなるおそれがあり、ニッケル
塩濃度が低すぎると、補充する液量が多くなって、メッ
キ中の浴容量の変化が大きくなり実用的でなくなる場合
が生じる。
【0069】錯化剤としては、ヒドロキシカルボン酸及
びその塩、リン酸塩、アンモニウム塩、カルボン酸及び
その塩、アミノ基とカルボキシル基を有するアミン類及
びその塩など公知のものを用いることができるが、メッ
キ浴のpHが変化しても水酸化ニッケルを生じさせず、
かつニッケルとの錯イオンが安定すぎてニッケルを還元
析出できなくならないような、クエン酸アンモニウム、
酒石酸ナトリウムなどのヒドロキシカルボン酸塩や酢酸
ナトリウムなどのカルボン酸塩、グリシンなどのアミノ
基とカルボキシル基を有するアミン類などが好適であ
る。それらの濃度は、ニッケル塩及びpH調整剤濃度と
密接な関係があるが、メッキ浴全体で1.5〜0.03
mol/lの範囲で用いることができ、メッキ浴全体で
0.2〜0.15mol/lとするのが好ましい。1.
5mol/lより多いとニッケル塩に対して大過剰とな
り無駄であり、0.03mol/lより少ないとpHの
変化に対して不安定で、ニッケル水酸化物生成の抑止効
果が薄い場合が生じる。
【0070】pH調整剤としては、安価で入手の容易な
公知のものを用いればよいが、pHの変化に対してリン
系還元剤によるニッケル錯イオンの還元性を大きく変え
ない水酸化アンモニウム(アンモニア水溶液)や水酸化
ナトリウムなどの水酸化アルカリなどを好適に用いるこ
とができる。pH調整剤の濃度は、処理中のメッキ浴p
Hの変化、処理時間、補充量から定めればよい。pHが
3より低いとメッキ反応が生じにくくメッキ時間が長く
なるおそれがあり、またpHが10を超えるとニッケル
錯体が不安定となり、ニッケル水酸化物の析出が起こり
やすいことと、メッキ析出反応が早すぎてニッケルの異
常析出が生じて浴分解してしまうおそれがあるため、p
Hは3〜10の間にコントロールすることが好ましい。
【0071】リン系還元剤としては、次亜リン酸又はそ
のアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩が使用され、
通常は次亜リン酸ナトリウムが用いられる。その濃度
は、ニッケル塩に対して1.01〜5倍モル、より望ま
しくは1.5〜3倍モルで、メッキ浴全体で0.001
〜2.5mol/lモル、特に0.1〜1mol/lモ
ルの範囲をとることが望ましい。
【0072】本発明では、必要に応じて上記無電解メッ
キ液による処理を界面活性剤の存在下で行うことができ
る。この場合、無電解メッキ液に投入する粉体を、界面
活性剤で前処理したり、無電解メッキ処理液に界面活性
剤を投入してメッキ処理することが好ましく、これによ
り無電解メッキ反応時に副生する水素の泡のためにメッ
キが良好に進まず、粉体表面への金属の付きまわり性が
悪化することを防止でき、ケイ素系高分子化合物膜で被
覆された粉体を金属でムラなく良好に被覆することがで
きる。
【0073】この場合、無電解メッキ処理時に使用する
界面活性剤は、最初の金属塩処理(金属塩を含む溶液で
の処理)時に用いたものと同様なものでも異なるもので
もよいが、異なる種類の界面活性剤を用いるのがより好
ましい。例えば、金属塩水溶液との接触改良にアルキル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムの陰イオン界面活性剤を
用い、無電解メッキ処理の前に、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステルやポリオキシアルキレン変性ポリシロキサ
ンの非イオン界面活性剤を用いると好適である。中で
も、具体的な界面活性剤としては、発泡を助けず表面張
力のみを下げるものが望ましく、サーフィノール10
4,420,504(日信化学工業(株)製)等の非イ
オン性界面活性剤を好適に用いることができる。特に、
発泡によるメッキの効率の低下は、KS−538(信越
化学工業(株)製)等のポリエーテル変性シリコーン系
界面活性剤のような消泡作用を持ち表面張力を下げる消
泡性界面活性剤を添加して防止することができる。
【0074】界面活性剤の添加量は、同様に、上記粉体
が無電解メッキ液中に均一に分散し得ると共に、無電解
メッキの進行により生じる水素ガス等の泡が粉体に付着
してメッキを妨げることのない量であることがよく、メ
ッキ液100重量部に対して0.0001〜10重量
部、特に0.001〜1重量部、とりわけ0.01〜
0.5重量部の範囲で使用するのが望ましい。界面活性
剤の添加量が少なすぎると効果が乏しい場合があり、多
すぎるとメッキの付きまわり性に悪影響を与えたり、メ
ッキ後の金属の変色等の原因となることがある。
【0075】なお、無電解メッキ法としては、常法を採
用することができ、例えば上記第2工程の粉体をメッキ
液中に分散させる等の方法を採用することができる。あ
るいは、メッキ液を還元剤、pH調整剤、錯化剤などを
含有した水溶液と金属塩水溶液に分離し、粉体は、還元
剤、pH調整剤、錯化剤などを含有した水溶液に分散
し、メッキの最適な温度に保温しておく。これに金属塩
水溶液を気体と同伴させて、粉体の分散した還元剤含有
水溶液に加える等の方法を採用することができる。メッ
キ温度は、メッキ液の種類に応じて選定され、例えば無
電解ニッケルメッキ液の場合、メッキ温度は、15〜1
00℃とし得るが、より望ましくは、浴中の金属イオン
拡散速度が速くメッキ金属の付きまわりがよく、かつ浴
成分の揮発による減少、溶媒の減少などが比較的少ない
40〜95℃で、好ましくは65〜85℃で管理する。
40℃より低いとメッキ反応の進行が非常に遅く実用的
でなく、95℃より高いと溶媒に水を用いていることか
ら溶媒の蒸発が激しく、浴管理が難しくなる場合があ
る。なお、メッキ時間は、必要とするメッキ膜厚により
選定される。
【0076】このようにして、粉体上に金属層を形成で
きる。本工程の後に、金属層が酸化されないうちにすぐ
に別の金属層を形成させてもよい。かかる金属を形成さ
せるために用いる無電解メッキ液は、上記の方法により
調製したものを用いればよいが、その際に添加する金属
塩の金属としては、例えば、金、白金、パラジウムなど
が挙げられ、単独の金属の他、合金、例えばAu−P
d、Au−Pt、Pd−Ptなどから構成させることが
できる。この中で、金が安定性、導電性の面から最も望
ましい。
【0077】最初の金属層を形成させた粉体に対する次
の金属層の表面被膜を形成する方法としては、無電解メ
ッキ、電気メッキ、置換メッキのいずれの方法でもよ
い。無電解メッキの場合は、上記のメッキ工程と同様の
方法で行うことができる。なお、メッキ工程終了後に不
要な金属塩、還元剤、錯化剤、界面活性剤等を除くた
め、十分な洗浄を行うとよい。
【0078】ここで、最初の金属層をニッケル層とし、
その上に形成する金属層を金層とすることが、導電性、
耐食性等の点から好ましい。
【0079】こうして得られた導電性粉体において、金
属層の厚さは、0.01〜10.0μm、望ましくは
0.1〜2.0μmである。0.01μm未満では、粉
体を完全に被い、かつ十分な硬度や耐食性が得られ難く
なる場合がある。また、10.0μmより厚いと金属の
量が多くなり、比重が高くなり、また高価となる問題が
生じる場合がある。なお、ニッケル−金の金属層構成と
する場合、金層の厚さは0.001〜1μm、望ましく
は0.01〜0.1μmである。0.001μm未満で
は、抵抗率が高くなるため、配合時に十分導電性が得ら
れにくくなるおそれがあり、また1μmを超えると、金
の量が多くなって高価となる。
【0080】上記メッキ処理した後、必要に応じ、この
金属被覆粉体を、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活
性気体、あるいは水素、アルゴン−水素、アンモニア等
の還元性気体の存在下に200℃以上の温度で熱処理す
ることが望ましい。不活性気体、あるいは還元性気体処
理条件は、通常200〜900℃、処理時間は1分〜2
4時間が好適に用い得る。より望ましくは200〜50
0℃で処理時間は30分〜4時間行うのがよい。これに
より、粉体と金属間にあるケイ素系高分子の一部あるい
は全部がセラミックに変化し、より高い耐熱性と絶縁性
と密着性を持つことになる。このときの雰囲気を水素の
ような還元系で行うことにより、金属中の酸化物を減少
させ、ケイ素系高分子を安定な構造に変えることで、粉
体、特にシリカと金属が強固に結合し、高い導電性を示
す粉体を得ることができる。
【0081】こうして得られた導電性粉体は、ゴム状酸
化ケイ素重合体−レジン状酸化ケイ素重合体−金属とい
う構造を持つ金属被覆粉体である。これは、高い導電
性、高い耐熱性、良好な耐久性を有した金属被覆粉体で
あるため、プラスチックやゴム等高耐熱性高分子に配合
することにより、信頼性の高いコネクターや導電ぺース
ト材料の原料とすることができる。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、広い温度範囲で良好な
導電性を有する金属被覆粉体を得ることができる。
【0083】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0084】[合成例] ポリシランの製造方法 フェニルハイドロジェンポリシラン(以下、PPHSと
略記する)を、以下の方法により製造した。
【0085】アルゴン置換したフラスコ内にビス(シク
ロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムのTHF溶液
にメチルリチウムのジエチルエーテル溶液を添加し30
分室温で反応させた後、溶剤を減圧にて留去すること
で、系内で触媒を調整した。これに、フェニルトリヒド
ロシランを触媒の10,000倍モル添加し、100℃
から150℃で3時間、次いで200℃で8時間加熱攪
拌を行った。生成物をトルエンに溶解させ、塩酸水洗を
行うことで、触媒を失活除去した。このトルエン溶液に
硫酸マグネシウムを加え水分を除去し、濾過した。これ
により、ほぼ定量的に重量平均分子量1,200、ガラ
ス転移点65℃のPPHSを得た。
【0086】[実施例1]酸化ケイ素重合体粉体のポリシラン処理 酸化ケイ素重合体粉体としては、シリコーン複合パウダ
ーX−52−1139G(信越化学工業(株)製;平均
粒径12μm;粒径分布2〜30μm;真比重1.0
0;ゴム状ケイ素重合体粉体の表面をレジン状ケイ素重
合体が被覆している。)を用いた。PPHS0.5gを
トルエン200gに溶解させ、この溶液をシリコーン複
合パウダー100gに加え、1時間攪拌した。ロータリ
ーエバポレーターにて、60℃の温度、45mmHgの
圧力で、トルエンを留去させ乾燥させた。
【0087】パラジウムコロイド析出粉体の製造 ポリシラン処理粉体は疎水化され、水に投入すると水表
面に浮くようになる。界面活性剤として、サーフィノー
ル504(日信化学工業(株)製界面活性剤)の0.5
%水溶液50gにこの処理粉体100gを投入し、攪拌
し水中に分散させた。
【0088】パラジウム処理は、上記粉体−水分散体1
50gに対し1%PdCl2水溶液を70g(塩化パラ
ジウムとして0.7g、パラジウムとして0.4g)添
加して、30分攪拌後、ろ過し、水洗した。これらの処
理により、粉体表面はパラジウムコロイドが付着した黒
灰色に着色した粉体が得られた。この粉体はろ過により
単離し、水洗後直ちにメッキ化を行った。
【0089】パラジウムコロイド析出粉体のニッケルメ
ッキ化 ニッケルメッキ用還元液として、イオン交換水で希釈し
た次亜リン酸ナトリウム2.0M、酢酸ナトリウム1.
0M、グリシン0.5Mの混合溶液100gを用いた。
パラジウムコロイド析出粉体を、KS−538(信越化
学工業(株)製消泡剤)0.5gと共にニッケルメッキ
還元液中に分散させた。攪拌しながら液温を室温から6
5℃に上げた。イオン交換水で希釈した水酸化ナトリウ
ム2.0Mを空気ガスにより同伴させながら滴下し、同
時にイオン交換水で希釈した硫酸ニッケル1.0Mを窒
素ガスにより同伴させながら、還元液中に滴下した。こ
れにより、細かい発泡とともに粉体が黒色となり、粉体
表面に金属ニッケルが析出した。この粉体は、全面に金
属ニッケルが析出していた。
【0090】ニッケルメッキ粉体の金メッキ化 金メッキ液として、高純度化学研究所製金メッキ液K−
24N100gを希釈せずに用いた。全面に金属ニッケ
ルが析出した粉体を、金メッキ液中に分散させた。攪拌
しながら液温を室温から95℃に上げると、細かい発泡
とともに粉体が金色となり、粉体表面に金が析出した。
【0091】メッキ水底に沈殿した粉体は、濾過、水
洗、乾燥(50℃で30分)の後、水素で、置換された
電気炉で300℃で1時間焼成した。実体顕微鏡観察に
より、粉体全表面が金により覆われた粉体が得られてい
ることが分かった。この粉体は、IPC分析により、パ
ラジウム、ニッケル、金が検出された。顕微鏡により観
察した外観は黄色、比重は2.5で、各層の厚みは、金
層0.03μm、ニッケル層0.25μmであった。
【0092】酸化ケイ素重合体粉体−二ッケル−金構造
を持つ導電性粉体の特性 導電性粉体の抵抗率は、4端子を持つ円筒状のセルに粉
体を充填し、両末端の面積0.2cm2の端子からSM
U−257(ケースレ社製電流源)より1〜10mAの
電流を流し、円筒の中央部に0.2cm離して設置した
端子から、2000型ケースレ社製ナノボルトメーター
で電圧降下を測定することで求めた。抵抗率は、2.2
mΩ・cmであった。この粉体を乳鉢にいれ、1分間す
り潰し、熱処理(200℃4時間)後の変化を調べたと
ころ、外観、抵抗率の変化はなかった。
【0093】[比較例1]比較のため、酸化ケイ素重合体
粉体としては、シリコーンゴムパウダーKMP595
(信越化学工業(株)製;平均粒径13μm;粒径分布
2〜30μm;真比重0.97;ゴム状ケイ素重合体粉
体。)を用いた。そのほかは実施例1と同様に操作した
ところ、速やかにメッキ反応が進行したが、部分的に金
属ニッケルや金が析出しない粉体を含んでいたり、凝集
したままでメッキが進行し団子状に固まったままメッキ
された粉体を得た。抵抗率は、22mΩ・cmであっ
た。この粉体を乳鉢にいれ、1分間すり潰し、熱処理
(200℃4時間)後の変化を調べたところ、シリコー
ンゴムパウダーから金属部が剥離し、抵抗率は200Ω
・cm以上と大きく劣化した。
【0094】[比較例2]比較のため、酸化ケイ素重合体
粉体としては、シリコーンレジンパウダーX−52−1
186(信越化学工業(株)製;平均粒径3.5μm;
粒径分布1〜6μm;真比重1.36;レジン状ケイ素
重合体粉体。)を用いた。そのほかは実施例1と同様に
操作したところ、速やかにメッキ反応が進行し、全面に
金属ニッケル並びに金が析出したシリカを得た。この粉
体を乳鉢にいれ、1分間すり潰し、熱処理(200℃4
時間)後の変化を調べたところ、シリコーンレジンパウ
ダーが割れ、金属で被覆されていない部分が露出してお
り、抵抗率は200Ω・cm以上と大きく劣化した。
【0095】[実施例2]実施例1の第三工程において、
ニッケルメッキ化シリカの製造を以下のように行った。
【0096】40mlのイオン交換水中にパラジウム析
出粉体2gを若干量のサーフィノールを用いて分散さ
せ、攪拌しながら70℃に加熱した。この分散液に1M
/Lの硫酸ニッケル溶液と2M/Lの次亜リン酸ナトリ
ウム溶液おのおの10mlを定量ポンプを用いて20分
かけて滴下した。滴下開始後、直ちに懸濁液は黒色に変
わり、メッキ反応の開始が確認された。滴下終了後、さ
らに10分間同温度にて反応を継続、反応液を50℃以
下に冷却した後、攪拌停止、直ちに濾過してニッケルメ
ッキ粉体を得た。
【0097】ニッケルメッキ粉体の金メッキ化 大和化成製ダインゴールド100mlに上記の工程によ
り得られたニッケルメッキ粉体を0.5N HCl溶液
で処理し、約2mlのイオン交換水中に分散させたニッ
ケルメッキ粉体2gを投入し、緩やかに攪拌しながら9
0℃に加熱し、30分反応させた。懸濁液の色が徐々に
黄色っぽくなり、金メッキが進行していることが確認さ
れた。冷却後、濾過、水洗により金メッキ品を得、濾
過、水洗、乾燥(50℃で30分)の後、アルゴン/水
素気流中で250℃にて1時間焼成することにより金メ
ッキ粉体を得た。
【0098】実体顕微鏡観察により、全表面が平滑で均
一な金の膜により覆われたシリカが得られていることが
分かった。IPC分析により、ニッケル30Wt%、金
5Wt%含有していることが分かった。
【0099】金メッキシリカの電気抵抗率は、2.8m
Ω・cmであった。この粉体は、熱劣化試験(空気中2
50℃で1時間)後も、電気抵抗率は3.7mΩ・cm
と良好であった。
【0100】この粉体を粉体剥離試験機にいれ、110
0rpmで1分間剥離試験した後の変化を調べたとこ
ろ、外観、抵抗率の変化はなかった。さらに、1100
rpmで5分間、10分間剥離試験した後の変化を調べ
たところ、外観がやや黒ずみ、抵抗率は、4.1mΩ・
cm、5.9mΩ・cmに変化した。顕微鏡で観察した
ところ、一部の金とニッケルの界面が剥離し、黒色のニ
ッケルが露出していたが、ケイ素重合体とニッケル界面
の剥離は見られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01B 1/22 H01B 1/22 A C08L 83:04 C08L 83:04 Fターム(参考) 4F070 AA59 AA60 AB08 AB11 AB12 AB16 AC06 AE06 DA23 DB01 DB05 DB08 DC02 DC06 DC13 4K022 AA11 AA35 AA41 BA03 BA14 BA31 BA36 CA06 CA21 DA01 EA01 5G301 DA05 DA10 DA29 DD01 DD08 DE03 5G307 AA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層とそれを被覆する外層から構成され
    る粒子を金属で被覆した導電性粉体において、外層が内
    層よりも低い熱膨張率を持つことを特徴とする導電性粉
    体。
  2. 【請求項2】 内層とそれを被覆する外層から構成され
    る粒子が、酸化ケイ素重合体からなる請求項1記載の導
    電性粉体。
  3. 【請求項3】 内層とそれを被覆する外層から構成され
    る粒子が、ゴム状酸化ケイ素重合体−レジン状酸化ケイ
    素重合体という多層構造を持つ請求項2記載の導電性粉
    体。
  4. 【請求項4】 無電解メッキ法による内層とそれを被覆
    する外層から構成される粒子を金属で被覆した金属被覆
    粉体を製造する方法において、(1)ゴム状ケイ素重合
    体粉体の表面をレジン状ケイ素重合体で覆った酸化ケイ
    素重合体からなる粉体を還元性を有するケイ素重合体で
    処理し、粉体の最表面に還元性ケイ素重合体の層を形成
    する工程、(2)工程(1)の粉体を、標準酸化還元電
    位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処
    理することで、還元性ケイ素重合体表面に金属コロイド
    を析出させる工程、(3)この金属コロイドを触媒とし
    て、工程(2)の粉体に無電解メッキを行い、粉体表面
    に金属を析出させる工程を含むことを特徴とする外層が
    内層よりも低い熱膨張率を持つ導電性粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】 還元性を有するケイ素系重合体が、Si
    −Si結合及び/又はSi−H結合を有するポリシラ
    ン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザン
    の中から選ばれたものである請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 ポリシランが、下記一般式(1)で表さ
    れるものである請求項5記載の方法。 (R1 m2 npSi)q (1) (但し、式中R1、R2は水素原子又は置換もしくは非置
    換の一価炭化水素基、XはR1、アルコキシ基、ハロゲ
    ン原子、酸素原子又は窒素原子を示し、mは0.1≦m
    ≦2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5であり、か
    つ1≦m+n+p≦2.5を満足する数である。qは4
    ≦q≦100,000を満足する整数である。)
  7. 【請求項7】 ポリシロキサンが、下記一般式(2)で
    表されるものである請求項5記載の方法。 (R3 a4 bcSiOde (2) (但し、式中R3、R4は水素原子、置換もしくは非置換
    の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示
    し、aは0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.0
    1≦c≦1、dは0.5≦d≦1.95であり、かつ2
    ≦a+b+c+d≦3.5を満足する数である。eは2
    ≦e≦100,000を満足する整数である。)
  8. 【請求項8】 無電解メッキ工程が、ニッケル、次いで
    金層を形成させる工程である請求項4乃至7のいずれか
    1項記載の方法。
  9. 【請求項9】 無電解メッキ工程後、得られた導電性粉
    体を200℃以上の温度で熱処理する請求項4乃至8の
    いずれか1項記載の方法。
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