JP2001200180A - 導電性粉体の製造方法 - Google Patents
導電性粉体の製造方法Info
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Abstract
合物で処理し、粉体表面にケイ素系高分子化合物層を形
成した後、この粉体を凝集のない状態で水中に分散さ
せ、次いでこの粉体を標準酸化還元電位0.54V以上
の金属からなる金属塩で処理して、上記ケイ素系高分子
化合物層上に上記金属のコロイドを析出させ、その後無
電解メッキ液で処理して、上記粉体の最表面に金属膜を
析出させることを特徴とする金属により被覆された導電
性粉体の製造方法。 【効果】 本発明によれば、効率よく均一なメッキ層を
全面に持つ金属被覆粉体を確実に得ることができ、得ら
れた金属被覆粉体の導電性が高いものである。
Description
れた導電性粉体の製造方法に関する。
粉体、特に、絶縁性粉体や低い導電性の粉体を金属で被
覆して製造した高い導電性を持つ金属被覆粉体は、ベー
スフィラーとなる粉体素材の選択の自由度が大きく、導
電性フィラー、導電性接着剤、異方導電性フィルム等の
原料として広い分野に応用が期待できるため、様々な製
造手法が検討され、中でも無電解メッキによる手法が主
に実用化されていた。
硫酸銅溶液に浸漬した鉄片上に銅を析出させ錆を防止し
たり、還元剤溶液を添加した硝酸銀溶液にガラスを浸し
て銀鏡を作製したりする等、古くから行われていた。し
かし、電気メッキに劣らない無電解メッキ法として確立
されたのは、無電解ニッケルメッキからである。
らにより1944年に次亜リン酸ナトリウム水溶液中で
の電気メッキ反応中に偶然発見され、1946年に特許
としてプロセスが公表されている(A.Brenne
r;J.of Research of N.B.
S.,37,1(1946),米国特許第2,532,
283号(1950))。陽極から金属の補給が行われ
る電解メッキと異なり、無電解メッキは、金属の析出の
進行と共に変動する金属塩や還元剤を補充する必要があ
るため、その補充方法がG.Gutzeitらにより改
良され(G.Gutzeit;米国特許第2,658,
841号(1953))、現在では工業用メッキとして
広く用いられている(W.H.Safranek,Th
e Properties of Electrode
posited Metals andAlloys,
2nd Ed.American Electropl
aters and Surface Finishe
rs Soc.,(1986))。
いては、活性化処理工程と称する、無電解メッキを開始
させる触媒を粉体に付着させる前処理工程が必須であ
る。通常、この工程は、次のように行われていた。粉体
を無電解メッキする前に、塩化第一錫の水溶液と接触さ
せて粉体に錫イオンを吸着させた後、塩化パラジウムの
水溶液に接触させて、錫イオンの還元作用により粉体表
面にパラジウムコロイドを吸着させる。このパラジウム
コロイドが無電解メッキを開始させる触媒として作用
し、粉体表面に金属が付着する。但し、スズ塩は腐食性
があるため、残留するスズ塩を除くために、無電解メッ
キ開始前に洗浄が必要であるが、あまり洗浄を頻繁に行
うと、パラジウムコロイドまで減少し、無電解メッキが
進みにくくなるという問題点と、粉体と金属の間の密着
性不足から金属が剥離し、導電性が低下するという問題
があった。
着性のよい金属被膜を持つ粉体を製造するために、すで
に次のような方法が行われていた。即ち、(1)粉体を
エッチングして表面に凸凹を作り、無電解メッキを行
う、(2)粉体をシランカップリング剤(例えば、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン)のようなシランモ
ノマーで処理してから無電解メッキを行う(特公昭60
−33133号公報、1985年)、(3)粉体をエポ
キシ樹脂のような有機樹脂で処理してから無電解メッキ
を行う(特開昭61−64882号公報、1986年)
等が提案されてはいたが、必ずしも良好な金属被覆粉体
は得られていなかった。
は、粉体粒子が二次的な力で多数集まっている状態であ
り、個々の粒子は独立性を保ち、合併してはいないか
ら、わずかな力で分離する。触媒接触前に凝集状態であ
ると、粉体粒子の接触部には金属が析出せず、また無電
解メッキ前に凝集状態であると、わずかな力でメッキ金
属の剥離が起こる。つまり、いずれも粉体に凝集がある
と、これにメッキを行った場合、金属に被覆されない個
所を持つ粉体となり、良好な導電性が発現しないという
問題点である。
てケイ素が金属性と電子非局在性を持つため、高い耐熱
性と柔軟性、良好な薄膜形成特性を示す非常に興味深い
ポリマーである。中でも、Si−Si結合あるいはSi
−H結合を有するケイ素系高分子、より具体的には、S
i−Si結合あるいはSi−H結合を有するポリシラ
ン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザ
ン、特にポリシランあるいはSi原子に直接結合した水
素原子を有するポリシロキサンは、還元性を持つ高分子
として知られている。また、ある種のケイ素系高分子、
例えばポリシランは炭化ケイ素セラミック材料の前駆体
として、ポリシロキサンは酸化ケイ素セラミック材料の
前駆体として、熱処理等により非常に耐熱性に優れた材
料になることもよく知られていた。
イ素系高分子で表面を処理した粉体を用いると、塩化ス
ズを用いなくとも、粉体表面に金属コロイドが生成・保
持されることを見出し(Synthetic Meta
ls,97,273(1998))、この粉体に無電解
メッキを行うと、イオン性の金属をほとんど含まない密
着性のよい金属被膜粉体が製造できることを見出し(特
開平11−132501号公報、特開平11−1325
02号公報)、その方法を提示しているが、上記粉体の
凝集の点はなお問題である。
凝集のない粉体を無電解メッキすることにより、導電性
に優れる金属被覆された導電性粉体の製造方法を提供す
ることを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った
結果、還元作用を持つケイ素系高分子処理粉体を超音波
撹拌等の手段で凝集のない状態で水中に分散させ、無電
解メッキの触媒となる標準酸化還元電位0.54V以上
の金属からなる金属塩を含む溶液で処理した後に、無電
解メッキすることにより、良好な導電性を持つ金属で被
覆された粉体が得られることを知見し、本発明をなすに
至った。
ケイ素系高分子化合物で処理し、粉体表面にケイ素系高
分子化合物層を形成した後、この粉体を凝集のない状態
で水中に分散させ、次いでこの粉体を標準酸化還元電位
0.54V以上の金属からなる金属塩で処理して、上記
ケイ素系高分子化合物層上に上記金属のコロイドを析出
させ、その後無電解メッキ液で処理して、上記粉体の最
表面に金属膜を析出させることを特徴とする金属により
被覆された導電性粉体の製造方法を提供する。
本発明の金属により被覆された導電性粉体の製造方法
は、下記工程(1)〜(3)を有する。 (1)粉体を、還元性を有するケイ素系高分子で処理
し、粉体表面にケイ素系高分子の層を形成する工程。 (2)工程(1)の粉体を、凝集のない状態で水中に分
散させる工程。 (3)工程(2)の粉体を、標準酸化還元電位0.54
V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理すること
で、粉体の表面にあるケイ素系高分子上に金属コロイド
を析出させた後、無電解メッキ液で処理し、粉体の最表
面に金属膜を析出させる工程。
リカ、アルミナ、マイカ、ケイ酸アルミナ、ガラスのよ
うな絶縁性無機粉体、フェノール樹脂、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
アクリルエステル樹脂、アクリルニトリル樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリアセタール樹脂、アルキッド樹脂、メラミ
ン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリジアリールフタレート樹脂、ポリキシレン樹脂のよ
うな絶縁性有機粉体、酸化チタン、酸化亜鉛のような半
導電性粉体、カーボン、ポリアニリン樹脂、ポリアセチ
レン樹脂、ポリチオフェン樹脂、ポリピロール樹脂のよ
うな低い導電性の粉体が挙げられる。形状は粉末状、繊
維状、フレーク状等、形状によらないが、メッキする金
属の使用量を最少にし、樹脂やゴム等を導電性にするた
めに高充填するためには、同一粒径では最も比表面積の
低くなる球状が望ましい。粉体の粒径は、0.01〜
1,000μm、より望ましくは0.1〜100μmで
ある。0.01μmより小さいと比表面積が高くなるた
め、メッキ金属の量が多くなり、高価となり、経済的に
得策ではない。また、1,000μmより大きいと樹脂
やゴム等に混合しにくくなる場合が生じる。
系高分子化合物としては、Si−Si結合又はSi−H
結合を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロ
キサン、ポリシラザンの中から選ばれるものとすること
ができ、中でもポリシラン、あるいはケイ素原子に直接
結合した水素原子(Si−H基)を有するポリシロキサ
ンが好適に用いられる。
Si−Si結合を持つ下記一般式(1)で表される高分
子化合物が好適である。 (R1 mR2 nXpSi)q (1) (式中、R1,R2は水素原子又は置換もしくは非置換の
一価炭化水素基、XはR 1、アルコキシ基、ハロゲン原
子、酸素原子又は窒素原子を示し、mは0.1≦m≦
2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5、1≦m+n
+p≦2.5を満足する数、qは2≦q≦100,00
0を満足する整数である。)
R1,R2は、水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭
化水素基であり、R1とR2とは互いに同一であっても異
なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂
肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基が用いられる。脂肪
族又は脂環式炭化水素基の場合、炭素数1〜12、好ま
しくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳
香族炭化水素基としては、炭素数6〜14、より好まし
くは6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、
トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェ
ネチル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基として
は、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一
部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、
アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフル
オロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルア
ミノフェニル基等が挙げられる。Xは、上記したよう
に、R1と同様の基、アルコキシ基、ハロゲン原子など
であり、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ
基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4のもの、ハロゲ
ン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙
げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が用いられる。
2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5、特に0≦p
≦0.2であり、かつ、1≦m+n+p≦2.5、特に
1.5≦m+n+p≦2を満足する数であり、qは2≦
q≦100,000、特に10≦q≦10,000の範
囲の整数である。
有するポリシロキサンとしては、側鎖にSi−H基、主
鎖にSi−O−Si結合を持つ下記式(2)で表される
オルガノポリシロキサンが挙げられる。 (R3 aR4 bHcSiOd)e (2) (式中、R3,R4は水素原子、置換もしくは非置換の一
価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、
aは0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.01≦
c≦1、dは0.5≦d<1.95、2≦a+b+c+
d≦2.5を満足する数、eは2≦e≦100,000
を満足する整数である。)
R3,R4は、水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭
化水素基であり、R3とR4とは互いに同一であっても異
なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂
肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基が用いられる。脂肪
族又は脂環式炭化水素基の場合、炭素数1〜12、好ま
しくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、ビニ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ
る。芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14、より
好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフェニ
ル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル
基、フェネチル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素
基としては、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素
原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、ア
ミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えば
モノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジ
メチルアミノフェニル基等が挙げられる。アルコキシ基
としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等
の炭素数1〜4のもの、ハロゲン原子としてはフッ素原
子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、通常メトキシ
基、エトキシ基が用いられる。
2、bは0≦b≦1、cは0.01≦c≦1、特に0.
1≦c≦1、dは0.5≦d<1.95であり、かつ、
2≦a+b+c+d≦2.5、特に2≦a+b+c+d
≦2.2を満足する数である。eは2≦e≦100,0
00、特に10≦e≦10,000の範囲の整数であ
る。
法としては、特に限定されないが、溶剤等の液体を用い
る湿式法、用いない乾式法などが採用されるが、中でも
湿式法が好ましく、特にケイ素系高分子を溶剤に溶解さ
せ、希釈した状態で粉体と混合し、このスラリーを容器
内で撹拌羽根を回転させて分散接触させる撹拌式や、気
流中にこのスラリーを分散させ瞬時に乾燥させる噴霧式
が好適に用いられる。
させる有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族系炭化水素、ヘキサン、オクタン、シクロヘキ
サンのような脂肪族系炭化水素溶剤、テトラヒドロフラ
ン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、酢酸エチ
ルのようなエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド
のような非プロトン性極性溶媒、その他、ニトロメタ
ン、アセトニトリル等が好適に用いられる。
より留去したり、濾過したりして溶剤を除く。更に、溶
剤の沸点以上の温度で、例えば1〜100mmHgとい
う減圧下にて40〜200℃程度の温度で撹拌すること
により乾燥させることは、凝集防止に効果的である。
1.0μm、望ましくは0.01〜0.1μmである。
0.001μmより薄いと、粉体を完全に被うことがで
きなくなるため、メッキが起こらない部分ができるおそ
れがある。また、1.0μmより厚いと、ケイ素系高分
子の量が多くなり、高価となるおそれが生じる。このよ
うにして、ケイ素系高分子処理粉体を製造できる。
を、凝集のない状態で水中に分散させる工程である。
た撹拌器、回転子と音波のエネルギーを用いて撹拌する
ホモジナイザー、超音波発生装置等が利用できるが、特
に超音波を好適に用い得る。
ない音波の振動数を持つものをいう。超音波は、音波と
同様音響学の諸法則に従うが、振動数が大きく波長が短
く、エネルギー密度が普通の音波より著しく大きいもの
が得られる。1919年、P.Langevinが水晶
やチタン酸バリウムのピエゾ電気効果を利用して強力な
超音波の発生に成功し、熱作用、乳化作用、分散作用が
あることが知られている。液体中に存在する粉体粒子に
超音波を当てると、キャビテーションと呼ばれる、圧力
の減少による気泡が生成する現象を引き起こし、この気
泡は成長したりつぶれて消滅したりする。気泡が消滅す
る時に10-6秒程度の短時間であるが、数千気圧の圧力
を生ずることが知られている。この現象に伴う機械的な
力、溶存気体の放出と活性化が起こる。
置、超音波洗浄装置の名称で市販されており、容易に入
手できる。分散させる粉体を水中に投入混合後、超音波
脱気装置の場合は、超音波発生部を液中に投入し、超音
波洗浄装置の場合は、洗浄槽に容器ごと投入すればよ
い。超音波の振動数としては、10〜5,000kH
z、より望ましくは20〜200kHzとすることが好
ましく、時間は10秒〜30分が好適である。
により疎水性となり、水に濡れないため、水中分散の効
率が低下することがある。この場合は、界面活性剤を添
加して分散の効率を向上させることができる。界面活性
剤としては、発泡を起こさず表面張力のみを下げるもの
が望ましく、サーフィノール104,420,504
(日信化学工業(株)製)等の非イオン性界面活性剤を
好適に用いることができる。
態で水中に分散させたケイ素系高分子処理粉体を、まず
金属塩を含む溶液と接触させ、ケイ素系高分子の還元作
用により金属コロイドをこの膜表面に形成させ、次いで
洗浄により、還元されなかった金属塩を除き、再度水中
あるいは無電解メッキ溶液中に分散させ、無電解メッキ
反応により、粉体の最表面に金属を析出させる。
4V以上の金属が用い得る。より具体的には、金(標準
酸化還元電位1.5V)、パラジウム(標準酸化還元電
位0.99V)、銀(標準酸化還元電位0.8V)等の
塩が好適に用いられ、標準酸化還元電位が0.54Vよ
り低い銅(標準酸化還元電位0.34V)、ニッケル
(標準酸化還元電位−0.25V)等の塩では、本ケイ
素系高分子で還元することができない。
Au3+を含んでなるもので、NaAuCl3,NaAu
(CN)2,NaAu(CN)4等が好適に用いられる。
るもので、通常Pd−Z2の形で表し得る。Zとして
は、Cl,Br,Iのようなハロゲン、アセテート、ト
リフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボ
ネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェー
ト、オキサイド等が挙げられる。パラジウム塩の例とし
ては、PdCl2,PdBr2,PdI2,Pd(OCO
CH3)2,Pd(OCOCF3)2,PdSO4,Pd
(NO3)2,PdO等が好適に用いられる。
で、通常Ag−Zの形で表し得る。Zとしては、パーク
ロレート、ボレート、ホスフェート、スルフォネート等
が挙げられる。銀塩の例としては、AgBF4,AgC
lO4,AgPF6,AgBPh4,Ag(CF3S
O3),AgNO3等が好適に用いられる。
ン、メチルエチルケトンのようなケトン類、メタノー
ル、エタノールのようなアルコール類、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリ
ックトリアミドのような非プロトン性極性溶媒等が挙げ
られ、好適には水が用いられる。濃度は、塩を溶解させ
る溶媒によって異なるが、0.01%〜塩の飽和溶液ま
でが用い得る。0.01%より低いと、メッキ触媒の効
果が十分でなく、また飽和溶液以上では、固体塩の析出
があり、好ましくない。溶媒が水の場合、0.01〜2
0重量%、より好ましくは0.1〜5重量%が好まし
い。必要に応じて、塩化スズのような他の金属塩を併用
してもよい。
度で0.1〜120分、より好ましくは1〜30分程
度、ケイ素系高分子処理粉体−分散水を金属塩溶液と混
合撹拌すればよい。これにより、ケイ素系高分子表面に
金属コロイドが析出した粉体が製造できる。続いて、金
属塩を含まない溶剤で洗浄することにより、粉体に担持
されなかった不要な金属塩を除く。
水又は無電解メッキ溶液中に凝集のない状態で分散さ
せ、無電解メッキを行う。この時、必要に応じて、モー
ターに撹拌翼を取り付けた撹拌器、回転子と音波のエネ
ルギーを用いて撹拌するホモジナイザー、超音波発生装
置が利用できる。なお、粉体を水に分散させた場合は、
これに無電解メッキ液を投入すればよい。また、超音波
撹拌を行って凝集のない状態で分散させる場合の条件
は、上述した場合と同様である。
完全に表面を金属で被覆された粉体を得ることができ
る。
金、パラジウム、白金、ロジウムの金属を含んでなるも
のが好適に用いられる。こうしたメッキ液は、通常メッ
キ金属塩に次亜リン酸ナトリウム、ホルマリン、ヒドラ
ジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリ
ウムのようなpH調整剤、フェニレンジアミンや酒石酸
ナトリウムカリウムのような錯化剤を含む。通常は無電
解メッキ液として市販されており、安価に入手すること
ができる。温度は15〜100℃で、接触時間は1分〜
16時間が好適に用い得る。より望ましくは、25〜8
5℃で10〜60分で処理される。メッキ層の厚さは、
0.01〜10.0μm、望ましくは0.1〜2.0μ
mである。0.01μmより薄いと、粉体を完全に被
い、かつ十分な硬度や強度が得られにくくなるおそれが
ある。また、10.0μmより厚いと、メッキの量が多
くなり、かつ比重が高くなるため、高価となり経済的に
不利となる場合が生じる。
ら、必要に応じてアセトンやアルコールで洗浄し、不要
な溶媒を乾燥除去することで、金属被覆粉体を得ること
ができる。乾燥温度は、通常0〜150℃、常圧又は減
圧で行うのが好ましい。
に耐熱性の高い粉体を用いた場合は、必要に応じて、こ
の金属被覆粉体を高温処理することにより、セラミック
層からなる絶縁層を形成させてもよい。高温処理は、通
常150〜900℃、処理時間は1分〜24時間が好適
に用い得る。より望ましくは、200〜600℃で処理
時間は30分〜4時間行うのがよい。これにより、粉体
と金属間にあるケイ素系高分子は、セラミックに変化さ
せられ、より高い耐熱性と絶縁性と密着性を持つことに
なる。特に、ポリシランを高温処理すると、Si−Si
結合が切断され、様々な元素が入り安定化するため、こ
のときの雰囲気を空気中のような酸化系で行うことによ
り酸化ケイ素のセラミック、またアンモニアガスのよう
な還元性雰囲気下で行うことにより窒化ケイ素のセラミ
ック、アルゴンのような不活性雰囲気下や真空系で行う
ことにより炭化ケイ素のセラミックにすることができ
る。
Ωcmの絶縁性あるいは低い導電性を持つ粉体から、本
発明の無電解メッキによる金属被覆により抵抗率が10
-5〜102Ωcmという高い導電性を持つ粉体が得られ
る。従って、本発明の方法は、安価で簡便な工程によ
り、密着性のよい金属被覆粉体を得ることができるた
め、導電性充填剤等に有用な金属被覆粉体の製造方法と
なり得る。この金属被覆粉体は、優れた導電性と高い導
電安定性を持ち、コネクター等の原料として広い応用を
持っている。
発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。なお、下記例で%は重量%を示
す。
造は、以下の方法によった。アルゴン置換したフラスコ
内にビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウ
ムにメチルリチウムのジエチルエーテル溶液を添加し、
溶剤を減圧にて留去することで、系内で触媒を調製し
た。これに、フェニルシランを触媒の50倍モル添加
し、100〜150℃で3時間、次いで200℃で8時
間加熱撹拌を行った。生成物をトルエンに溶解させ、塩
酸水洗を行うことで、触媒を失活除去した。このトルエ
ン溶液に硫酸マグネシウムを加え、水分を除去し、濾過
した。これにより、ほぼ定量的に重量平均分子量1,2
00のPPHSのトルエン溶液を得た。
製:平均粒径10μm、比表面積0.4m2/g)を用
いた。PPHS0.5gをトルエン65gに溶解させ、
この溶液をUS−10 100gに加え、1時間撹拌
し、スラリーにした。濾過によりトルエンとシリカを分
離した後、より完全にトルエンを除くため、密封型プラ
ネタリーミキサーにて回転させながら80℃の温度、4
5mmHgの圧力で乾燥させた。
表面に浮くようになる。界面活性剤としてサーフィノー
ル504(日信化学工業(株)製界面活性剤)の0.5
%水溶液100gにこの処理シリカ100gを投入し、
撹拌しながら容器の外部から超音波洗浄器(シバタ製S
U−9TH:周波数28kHz)により、5分間超音波
を照射し、水中に分散させた。
し、1%PdCl2・塩酸水溶液を70g(塩化パラジ
ウムとして0.7g、パラジウムとして0.4g)添加
して、15分撹拌後、濾過し、水洗し、再度濾過により
単離した。これらの処理により、シリカ表面にパラジウ
ムコロイドが付着し、黒灰色に着色したパラジウムコロ
イド析出シリカが得られた。 (2)パラジウムコロイド析出粉体の分散 パラジウムコロイド析出シリカ100gをKS−538
(信越化学工業(株)製消泡剤)の0.5%水溶液10
0gに投入し、撹拌しながら容器の外部から超音波洗浄
器により5分間超音波を照射し、水中に分散させた。 (3)無電解ニッケルメッキ 上記パラジウムコロイド析出シリカ−水分散体200g
を、メッキ液500ml(硫酸ニッケル0.3mol/
l、クエン酸アンモニウム0.36mol/l、次亜リ
ン酸アンモニウム0.36mol/lになるようイオン
交換水で希釈したもの)に、添加混合し、撹拌しながら
分散させ、85℃のウォーターバスに浸漬し、浴温をす
ばやく85℃に上げた。しばらくして細かな発泡が始ま
り、浴が深緑色から暗緑色へと変化し、金属ニッケルが
析出したシリカが得られた。この間に要した時間は30
分であった。メッキされたシリカを吸引濾過して分別し
たのち、純水にて水洗、再度濾過して分別したのち、シ
リカが乾かない前に、直ちに次工程へ移った。 (4)無電解金メッキ 金メッキ液として、シアン金酸塩からなる高純度化学研
究所製金メッキ液K−24N10gを用いた。金属ニッ
ケルが析出したシリカを、イオン交換水中に分散させ
た。激しく撹拌しながら、金メッキ液に添加混合し、液
温を室温から95℃に上げると、直ちにシリカが金色と
なり、シリカ表面のニッケルが金に置換された。金メッ
キされたシリカは、濾過、水洗、アセトン洗浄の後、乾
燥(50℃で30分)した。最後に、水素で置換された
電気炉中で250℃,1時間焼成した。
ル、金が検出された。比重は2.91で、元素分析によ
り、シリカ64%、ニッケル29%、金7%であること
がわかった。実体顕微鏡並びに走査型電子顕微鏡により
その表面を観察したところ、シリカの表面は全面金によ
り覆われていることがわかった。金メッキシリカの抵抗
率は、4端子を持つ円筒状のセルに金メッキシリカを充
填し、両末端の面積0.2cm2の端子からSMU−2
57(ケースレ社製電流源)より1〜10mAの電流を
流し、円筒の中央部に0.2cm離して設置した端子か
ら、2000型ケースレ社製ナノボルトメーターで電圧
降下を測定することで求めた。抵抗率は、1.2mΩ・
cmと非常に良好な導電性を示した。
程で、工程(2)を行わない以外は全く同様に行った工
程で金メッキシリカを製造した。この粉体は、比重は
2.89で、元素分析は、シリカ64%、ニッケル29
%、金7%と、実施例の粉体とほぼ同じであるにもかか
わらず、走査型電子顕微鏡により観察したところ、粉体
表面の一部が金で覆われていないことがわかった。ま
た、抵抗率は、5.5mΩ・cmと高く、実施例に比較
して導電性が悪いことがわかった。
層を全面に持つ金属被覆粉体を確実に得ることができ、
得られた金属被覆粉体の導電性が高いものである。
Claims (5)
- 【請求項1】 粉体を還元性を有するケイ素系高分子化
合物で処理し、粉体表面にケイ素系高分子化合物層を形
成した後、この粉体を凝集のない状態で水中に分散さ
せ、次いでこの粉体を標準酸化還元電位0.54V以上
の金属からなる金属塩で処理して、上記ケイ素系高分子
化合物層上に上記金属のコロイドを析出させ、その後無
電解メッキ液で処理して、上記粉体の最表面に金属膜を
析出させることを特徴とする金属により被覆された導電
性粉体の製造方法。 - 【請求項2】 凝集のない状態で粉体を水中に分散させ
る手段として、超音波撹拌を用いた請求項1記載の方
法。 - 【請求項3】 還元性を有するケイ素系高分子化合物
が、Si−Si結合又はSi−H結合を有するポリシラ
ン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザン
の中から選ばれるものである請求項1又は2記載の方
法。 - 【請求項4】 ポリシランが、下記式(1)で表される
ものである請求項3記載の方法。 (R1 mR2 nXpSi)q (1) (式中、R1,R2は水素原子又は置換もしくは非置換の
一価炭化水素基、XはR 1、アルコキシ基、ハロゲン原
子、酸素原子又は窒素原子を示し、mは0.1≦m≦
2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5、1≦m+n
+p≦2.5を満足する数、qは2≦q≦100,00
0を満足する整数である。) - 【請求項5】 ポリシロキサンが、下記式(2)で表さ
れるものである請求項3記載の方法。 (R3 aR4 bHcSiOd)e (2) (式中、R3,R4は水素原子、置換もしくは非置換の一
価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、
aは0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.01≦
c≦1、dは0.5≦d<1.95、2≦a+b+c+
d≦2.5を満足する数、eは2≦e≦100,000
を満足する整数である。)
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