JP4085228B2 - 金属被覆粉体及びその製造方法 - Google Patents

金属被覆粉体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、広い温度範囲で高い導電性を示し、高い耐熱性、良好な耐久性を有した金属被覆粉体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、電子部品の小型化・薄型化と省力化、鉛フリー化への要請から、基板等の電気的接続にハンダを用いない導電ぺーストによる方式が行われるようになってきた。携帯電話等の普及に伴い、液晶表示モジュール等の高精密化と高信頼性に対する要求が進む中で、益々広い温度範囲で高い導電性を有した導電ぺーストが必要とされ、つまりは、高い耐熱性と良好な耐久性を有した導電性粉体への要求が高まってきている。
【0003】
従来こうした導電性粉体は、金属粉かあるいは金属被覆無機粉体が使用されていたが、銅、ニッケル、銀、金といった金属粉は、比重が大きく、ぺースト母材中での分散性が悪いという問題点があった。アルミナ、ケイ酸アルミナ、シリカ、ガラス、雲母のような絶縁性無機粉体を、種々の金属でコートして製造した金属被覆無機粉体は、べースフィラーとなる無機粉体の比重が金属よりも低く、形状の自由度が大きく広い分野に応用が期待できるため、様々な製造手法が検討され、無電解メッキ法などにより実用化されていた。なかでも、すでに本発明者らは、還元作用を持つケイ素重合体を用いて表面を処理した無機粉体に金属イオンを含む溶液を接触させると、粉体表面で金属コロイドが生成・保持されることを見いだし、これを利用した密着性のよい金属被膜無機粉体の製造方法を提示している。
【0004】
最近、液晶表示部とドライバー間の微細電極同士の接続に異方導電性ぺーストや異方導電性接着フィルムを使用した複数電極一括接続方式が汎用的に行われつつある。この方法は、相対峙する回路間に導電性粉体を所定量含有したべース絶縁性高分子からなる接続部材層を設け、高温加圧状態にすることにより、回路間の電気的接続と同時に隣接する回路間は絶縁接着固定する。このため、導電性粉体は高温に曝されることになる。しかも、接着成分であるぺースト母材と導電性粉体の熱膨張係数が異なることから、温度変化に対する抵抗値変化が大きくなり、電気的接続の信頼性に問題が持ち上がってきた。
【0005】
金属粉体や金属被覆無機粉体の熱膨張係数は、ペースト母材となる高分子材料に較べて一桁程度小さいため、高温時においては金属粉体の膨張率はペースト母材に較べて少なく、接続回路間隙間の変化に対して追随性がないので、回路への金属粉体の接触面積や接触点数が減少し、接続抵抗の増加や導通不良を生じる恐れがあった。すなわち、導電性粉体を金属粉体や金属被覆無機粉体とした場合、初期の導電接続性が得られたとしても、温度変化を含む長期信頼性に劣るという欠点を有していた。
【0006】
ポリスチレン樹脂粉末やポリアクリレート樹脂粉末のような有機樹脂粉末は、ペースト母材と同様、高い熱膨張係数を持つ。こうした有機樹脂粉末をメッキすることで金属被覆樹脂粉末を得ることは、すでに行われていた(特公平2−25431号公報、特公平6−96771号公報)。ところが、この場合は、金属と樹脂粉末間の熱膨張係数の相違から被覆金属と樹脂粉末の間の密着性に問題があった。そのため、シランカップリング剤(例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)の様なシランモノマーを用いる方法(特開昭61−257479号公報、特開昭62−297471号公報)やNaBH4のような還元剤を使用したパラジウムコロイドゾルを使用する方法(特開昭63−79975号公報)、あるいは粉体表面のエッチング処理等が提案されてはいたが、必ずしも良好な金属被覆樹脂粉末は得られていなかった。例えば、熊倉ら(特開平8−193186号公報)は、ジビニルベンゼンやベンゾグアナミンのような樹脂を金属で被覆した異方性導電接着剤用導電粒子を開発しているが、内層よりも外層が柔らかい絶縁粒子を用いている場合、熱圧着後の初期やエージング後の抵抗値が粒子径等のささいな違いで変動し、金を最外層としてもつ金属被覆粒子を用いた電気的接続方式としては、Ωレベルという悪い導電性を示すことからも明らかである。
【0007】
また、そうした有機樹脂はそのものの耐熱性が劣り、高温時に有機樹脂の分解や劣化が起こるため、高温での使用は制限されていた。特に、200℃以上の温度でも金属と有機樹脂の間の剥離が起こらない高い耐熱性を持った導電性粉体は得られていなかった。このように、有機樹脂を導電性粉体の核に用いた場合にも、導電性粉体そのものの劣化による導電特性の劣化が起こるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の事情を改善するためになされたもので、高い温度でも粉体と金属間の密着性の良い金属被膜を持ち、プラスチックやゴムに混合・成形した後でも高い導電性、高い耐熱性、良好な耐久性を有しているため、プラスチックやゴム等高耐熱性高分子に配合することにより、信頼性の高いコネクターや導電ペースト材料の原料とすることができる金属被覆粉体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金属で被覆した導電性粉体において、外層を内層よりも硬く、低い熱膨張率を特たせた導電性粉体、特に酸化ケイ素重合体からなる粉体を金属で被覆した構造を持つ導電性粉体とすることが有効であることを知見した。
【0010】
ケイ素重合体は、炭素に比べてケイ素が高い金属性を持ち、酸化ケイ素が高い耐酸化性を持つため、有機樹脂ではとうてい得られない高い耐熱性を持ち、さらにケイ素上への有機基の導入により低温での柔軟性、良好な薄膜形成特性を示す広い温度で使用可能な非常に興味深い素材である。また、ある種のケイ素重合体、例えばポリシランは炭化ケイ素セラミック材料の前駆体として、ポリシロキサンは酸化ケイ素セラミック材料の前駆体として、熱処理等により非常に耐熱性に優れた材料になることも良く知られている。さらに、Si−Si結合及び/又はSi−H結合を有するケイ素重合体、特にポリシランあるいはSi原子に直接結合した水素原子を有する重合体は、還元性を持つことが知られている。特に、熱膨張係数において、ニッケルや金などの金属では、合金化によっても変化する領域は10-4〜10-5-1と高々1桁の変化であるのに対し、酸化ケイ素重合体は、ケイ素上の有機置換基の種類や酸化ケイ素主鎖中の分岐構造の多少により、10-6-1(SiO2)から10-3-1(鎖状ジメチルポリシロキサン)まで、3桁の間で大きく変えることが可能であることが知られている。
【0011】
本発明者は、導電性粉体の製造において、核となる粉体として、外層と内層で異なる熱膨張率を持つ酸化ケイ素重合体を用いることで熱膨張係数を制御した耐熱性に優れる酸化ケイ素重合体粉体とし、この表面を金属で被覆した金属被覆粉体にすれば、熱膨張率の相違を吸収し、剥離を防ぐために効果的であることを見出した。これを導電ペーストの原料として用いれば、比重が金属に比べて低いためにペースト母材への分散性や分散安定性に優れ、回路の接続において、加熱加圧による導電性粉体の適度な変形による接触面積の向上や、熱膨張率の相違を吸収し剥離を防ぐために効果的であり、核粉体の内層とペースト母材の熱膨張係数が近似していることから、ペースト剤の熱膨張により接続回路の間隔が大きくなっても、導電性粉体の熱膨張により接続回路間隔の広がりに追随できるため、導電性粉体と回路間の電気的接続状態が良好に保たれるので、温度に対する電気抵抗率の変化は極めて小さくできることを見出した。
【0012】
従って、本発明は、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金属で被覆した導電性粉体であって、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子が、ム状酸化ケイ素重合体−レジン状酸化ケイ素重合体という多層構造を持つ導電性粉体を提供する。また、本発明は、無電解メッキ法による内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金属で被覆した金属被覆粉体を製造する方法において、
(1)ゴム状ケイ素重合体粉体の表面をレジン状ケイ素重合体で覆った酸化ケイ素重合体からなる粉体を還元性を有するケイ素重合体で処理し、粉体の最表面に還元性ケイ素重合体の層を形成する工程、
(2)工程(1)の粉体を、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理することで、還元性ケイ素重合体表面に金属コロイドを析出させる工程、
(3)この金属コロイドを触媒として、工程(2)の粉体に無電解メッキを行い、粉体表面に金属を析出させる工程
を含むことを特徴とする外層が内層よりも低い熱膨張率を持つ導電性粉体の製造方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、安価で簡便な工程により、広い温度範囲で高い導電性、高い耐熱性、良好な耐久性を有した金属被覆粉体を得ることができる。この導電性粉体は、プラスチックやゴム等高耐熱性高分子に配合することにより、信頼性の高い異方並びに等方導電接続が可能なコネクターや導電ペースト材料の原料として広い応用をもっている。
【0014】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0015】
本発明の導電性粉体は、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金属で被覆した導電性粉体において、外層が内層よりも硬く、低い熱膨張率を持つことを特徴とした導電性粉体であり、特に耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、撥水性、潤滑性等を持つ高機能性の酸化ケイ素重合体粉体を核として、その表面を金属で被覆した金属被覆粉体である。
【0016】
通常、導電ペーストとするときのベースとなるペースト樹脂は、線膨張係数が、エポキシ樹脂(5〜7)、シリコーン樹脂(8〜30)、ポリエステル樹脂(6〜10)で分かるように、5〜30×10-5-1のものが用いられる。なお、括弧内は線膨張係数;×10-5-1を示す。
【0017】
そこで、核となる粉体で、内層は、線膨張係数が、5〜30×10-5-1、外層は線膨張係数が、0.4〜20×10-5-1で、内層と外層の線膨張係数の差が3×10-5-1以上であるものが望ましい。
【0018】
より具体的には、内層を空洞、あるいはアクリル樹脂(5〜9)、ポリスルフォン樹脂(5.2〜5.6)、ポリスチレン樹脂(6〜8)、ポリカーボネート樹脂(6.6)、アクリルニトリル−ブタジエン樹脂(6.5〜11)、ゴム状酸化ケイ素重合体(8〜30)、ウレタン樹脂(10〜20)、ポリエチレン樹脂(11〜20)、ポリブチレン樹脂(15)などにて形成でき、外層を、ケイ酸塩含有ガラス(0.4〜1)、ポリイミド(1.5)、メラミン樹脂(2〜4)、レジン状の酸化ケイ素重合体(2〜5)、アクリルニトリル−スチレン樹脂(3.6〜3.8)、フェノール樹脂(2.5〜6)などの粉体にて形成できる。なお、括弧内は、線膨張係数;×10-5-1を示す。
【0019】
特に、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子としては、ゴム/レジンの複合体などが利用できる。ゴム状酸化ケイ素重合体は、シリコーンゴムパウダーの名称でKMP597、KMP598、KMP594として市販されており、レジン状酸化ケイ素重合体をこのゴム状酸化ケイ素重合体に積層すればよい。すでに積層された構造の粉体は、シリコーン複合パウダーの名称で、KMP600、X−52−1139Gとして信越化学工業(株)より市販されている。
【0020】
シリコーンゴムパウダーは、直鎖状のジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ、シリコーンゴムの微粉末である。他のゴムに比較して、耐熱性、耐寒性、耐侯性に優れ、−50℃〜250℃の広い温度範囲でゴム弾性を示す。シリコーンレジンは、Si−O結合が三次元網目状に架橋した構造を持ち、とりわけ耐熱性に優れ、400℃でも重量変化はほとんど無く、熱溶融もせず、多くの有機溶剤に膨潤、溶解しない。シリコーン複合パウダーは、球状シリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆したもので、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、潤滑性に優れている。かかるシリコーン複合パウダーの構造・製法は特開平10−120903号公報に記載されている。
【0021】
酸化ケイ素重合体の熱膨張係数の変化する傾向は、ケイ素上の置換基では、メチル基<フェニル基であり、分岐構造では、(SiO2)<(R6SiO3/2)<(R6SiO)<(R6SiO1/2)である(但し、R6は後述する通り)。そこで、粉体核の外層部は、被覆する金属の熱膨張係数に近く、粉体核の内層部は、導電ペーストのぺースト母材の熱膨張係数に近いことが特に望ましいため、ゴム状酸化ケイ素重合体粉体をレジン状酸化ケイ素重合体で被覆した粉体が望ましい。
【0022】
ゴム状酸化ケイ素重合体粉体としては、下記式(3)で表わされる鎖状オルガノポリシロキサンブロックを有するゴム弾性を持つポリシロキサン硬化物が挙げられる。
(R5 2SiO)r (3)
(式中、R5は非置換又は置換の一価炭化水素基、rは5≦r≦5,000の整数である。)
【0023】
ここで、R5が脂肪族又は脂環式炭化水素基の場合、炭素数は1〜12、好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、R5が芳香族炭化水素基の場合、炭素数は6〜14、より好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。さらには、エポキシ基、メルカプト基、アクリロキシ基、アルコキシ基などの反応性基などで置換されたものでもよいが、R5の90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0024】
その製造は、式(3)のポリシロキサンを主成分として、アルコキシシリル基とヒドロキシシリル基間の縮合反応、ビニルシリル基とヒドロシリル基間の付加反応、ビニルシリル基と過酸化物によるラジカル反応等により架橋・硬化させればよい。特に本粉体を水中分散体にするには、オルガノポリシロキサンと硬化触媒からなる組成物に水と界面活性剤を添加してエマルジョン粒子として硬化させればよい。
【0025】
次いで、このゴム状酸化ケイ素重合体粉体にレジン状酸化ケイ素重合体を被覆する。
【0026】
このレジン状酸化ケイ素重合体としては、下記式(4)で表わされるポリオルガノシルセスキオキサン化合物が挙げられる。
(R6SiO3/2s (4)
(式中、R6は水素原子、又は非置換もしくは置換一価炭化水素基、sは2≦s≦1,000の整数である。)
【0027】
ここで、R6は水素原子又は一価炭化水素基であるが、R6が脂肪族または脂環式炭化水素の場合、炭素数は1〜12、好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、R6が芳香族炭化水素基の場合、炭素数は6〜14、より好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。さらには、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、アルコキシ基などの反応性基にて置換されていてもよいが、R6の50モル%以上がメチル基であることが好ましく、また、(R6SiO3/2)単位の他に、その被覆性を損なわない範囲で少量の(R6 2SiO)単位、(R6 3SiO1/2)単位、(SiO2)単位が含有されていてもよい。
【0028】
その製造は、ゴム状酸化ケイ素重合体の水分散液に、アルカリ性条件下にトリアルコキシシランを添加し、加水分解、縮合させればよい。この反応終了後、濾過、遠心分離、スプレードライ、加熱乾燥等による水分の除去により、ゴム状酸化ケイ素重合体粉体をレジン状酸化ケイ素重合体で被覆した粉体が得られる。
【0029】
形状は粉末状、繊維状、フレーク状等、形状によらないが、メッキする金属(ニッケル、金等)の使用量を最少にし、シリコーンゴム等に高充填するためには、同一粒径では最も比表面積の低くなる球状が望ましい。
【0030】
粉体の粒径は、望ましくは0.01〜1000μm、より望ましくは0.1〜100μmである。0.01μm未満では、比表面積が高くなるため、メッキ金属の量が多くなり、高価となる場合がある。また、1000μmより大きいと、導電ペーストとして使用する場合のペースト母材に混合しにくくなる場合がある。なお、レジン状酸化ケイ素重合体の厚さは0.1μm〜10μmとすることができる。
【0031】
本発明の製造方法においては、この酸化ケイ素重合体粉体を、還元性を有するケイ素重合体(ケイ素系高分子化合物)で処理し、粉体の最表面に還元性ケイ素重合体(ケイ素系高分子化合物)の層を形成する。
【0032】
この場合、上記粉体を処理するケイ素系高分子化合物としては、還元作用を有するものを使用する。還元作用を持つケイ素系高分子化合物は、Si−Si結合あるいはSi−H結合を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンの中から選ばれるものとすることができ、中でもポリシラン、あるいはSi原子に直接結合した水素原子を有するポリシロキサンが好適に用いられる。
【0033】
ここで、分子中にSi−Si結合を有するケイ素系高分子化合物としては、ポリシランが好ましく用いられ、下記一般式(1)で表されるポリシランが好適である。
(R1 m2 npSi)q (1)
(但し、式中R1、R2は水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基、XはR1、アルコキシ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子を示し、mは0.1≦m≦2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5であり、かつ1≦m+n+p≦2.5を満足する数である。qは4≦q≦100,000を満足する整数である。)
【0034】
上記式(1)のポリシランにおいて、R1、R2は、水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、R1とR2とは互いに同一であっても異なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式炭化水素の場合、炭素数1〜12、好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては炭素数6〜14,より好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。Xは、R1と同様の基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4のもの、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が用いられる。
【0035】
mは0.1≦m≦2、特に0.5≦m≦1、nは0≦n≦1、特に0.5≦n≦1、pは0≦p≦0.5、特に0≦p≦0.2であり、かつ1≦m+n+p≦2.5、特に1.5≦m+n+p≦2を満足する数であり、qは4≦q≦100,000、特に10≦q≦10,000の範囲の整数である。
【0036】
また、ケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するケイ素系高分子化合物としては、側鎖にSi−H基、主鎖にSi−O−Si結合を持つ下記一般式(2)で表されるポリシロキサンが好適に用いられる。
(R3 a4 bcSiOde (2)
(但し、式中R3、R4は水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、aは0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0.5≦d≦1.95であり、かつ2≦a+b+c+d≦3.5を満足する数である。eは2≦e≦100,000を満足する整数である。)
【0037】
上記式(2)のポリシロキサンにおいて、R3、R4は、水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、R3とR4と互いに同一であっても異なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式炭化水素の場合、炭素数1〜12、好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14、より好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。なお、置換炭化水素基としては、上記に例示した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4のもの、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0038】
aは0.1≦a≦2、特に0.5≦a≦1、bは0≦b≦1、特に0.5≦b≦1、cは0.01≦c≦1、特に0.1≦c≦1、dは0.5≦d≦1.95、特に1≦d≦1.5であり、かつ2≦a+b+c+d≦3.5、好ましくは2≦a+b+c+d≦3.2を満足する数である。eは2≦e≦100,000、好ましくは10≦e≦10,000の範囲の整数である。
【0039】
本発明において、上記粉体をケイ素系高分子化合物で処理し、粉体表面に該ケイ素系高分子化合物の層を形成させる工程は、ケイ素系高分子化合物を有機溶剤に溶解させ、この溶液中に粉体を、あるいは粉体中に溶液を投入混合した後に有機溶剤を除くことで、粉体の表面にケイ素系高分子化合物の層を形成することができる。
【0040】
この工程において、ケイ素系高分子化合物を溶解させる有機溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族系炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、酢酸エチルのようなエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのような非プロトン性極性溶媒、その他、ニトロメタン、アセトニトリル等が好適に用いられる。
【0041】
ケイ素系高分子化合物含有溶液の濃度は、0.01〜50%(重量%、以下同様)、好ましくは0.01〜30%、特に1〜10%が好適であり、濃度が低すぎると、ケイ素系高分子層が薄くなり粉体表面に均一に形成しにくく、また大量の溶剤を使用するのでコストの上昇を招く場合がある。また、濃度が高すぎると、ケイ素系高分子化合物を粉体表面全面に十分形成できないおそれがある。
【0042】
最後に、温度を上げたり、減圧にすることにより、溶媒を留去させる。通常は、溶媒の沸点以上の温度で、たとえば1〜100mmHgという減圧下で40〜200℃程度の温度に攪拌することにより乾燥することは効果的である。この後、しばらく乾燥雰囲気下で、あるいは減圧下で40〜200℃程度の温度にて静置することで、溶剤を効果的に留去乾燥することにより、還元性ケイ素重合体処理酸化ケイ素重合体粉体を製造できる。
【0043】
ケイ素系高分子化合物層の厚さは、0.001〜1.0μm、望ましくは0.01〜0.1μmが好適である。0.001μmより薄いと、ケイ素系高分子化合物層を粉体表面に均一に形成しにくくなるため、メッキが起こらない部分ができるおそれがある。また、1.0μmより厚いと、ケイ素系高分子化合物層が厚くなり、使用するケイ素系高分子化合物の量が多くなって高価となり、経済的に不利が生じる場合がある。
【0044】
なお、上記シリカ粉体は、ケイ素系高分子化合物処理により疎水性となる。このため、金属塩を溶解させる溶媒との親和性が低下し、液中に分散しないため、金属塩還元反応の効率が低下することがある。このことによって起こる金属塩還元反応の効率の低下は、界面活性剤を添加して向上させることができる。界面活性剤としては、発泡を起こさず表面張力のみを下げるものが望ましく、サーフィノール104、420、504(日信化学工業(株)製)等の非イオン界面活性剤を好適に用いることができる。
【0045】
また、必要に応じてCFシラン(カーボンファンクショナルシラン)類を併用してもよい。カーボンファンクショナル(CF)シランとしては、下記一般式(5)で表わされるものが好適に用いられる。
Y−(CH2b−SiRa(OR)3-a (5)
(式中、Yはビニル官能基、エポキシ官能基、アミノ官能基、メルカプト官能基、メタクリロキシ官能基、アクリロキシ官能基等の官能基、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基、bは0〜3の整数、aは0又は1である。)
【0046】
ここで、Rは上記R1、R2と同様の一価炭化水素基を挙げることができるが、特に炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。なお、ビニル官能基としては、CH2=CH−等が挙げられ、エポキシ官能基としてはγ−グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられ、アミノ官能基としてはNH2−、NH2CH2CH2NH−等が挙げられ、メルカプト官能基としてはメルカプト基、メタクリロキシ官能基、アクリロキシ官能基としてはメタクリロキシ基、アクリロキシ基等が挙げられる。
【0047】
このような上記式(5)のCFシランとして具体的には、ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学工業社製)、ビニルトリエトキシシラン(KBE−1003、信越化学工業社製)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM−303、信越化学工業社製)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学工業社製)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602、信越化学工業社製)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603、信越化学工業社製)、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(KBE−803、信越化学工業社製)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業社製)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学工業社製)等を挙げることができる。これらの中では、特にヘテロ基含有CFシランであるKBM−602、KBM−603、KBE−803、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−902)、KBM−903、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−602)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−603)、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−902)、KBE−903が好適に用いられる。
【0048】
CFシランの添加量は、ポリシラン100重量部に対して0.01〜200重量部、特に0.1〜10重量部であることが望ましい。添加量が上記値より少ないと十分な接着性が得られない場合があり、上記値より多いと成膜性が悪くなり、逆に接着性の低下をもたらす場合がある。
【0049】
次に、第2工程は、上記第1工程で得られたシリカ表面にケイ素系高分子化合物層が形成された粉体を標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理し、ケイ素系高分子化合物層上に該金属コロイドを析出させる工程である。これは、ケイ素系高分子化合物処理粉体の表面を金属塩を含む溶液と接触させるもので、この処理では、ケイ素系高分子化合物の還元作用により、金属コロイドがケイ素系高分子化合物の被膜表面に形成され、金属被膜が形成されるものである。
【0050】
ここで、金属コロイドを形成させる金属塩としては、標準酸化還元電位0.54V以上の金属で、特に、金(標準酸化還元電位1.50V)、パラジウム(標準酸化還元電位0.99V)、銀(標準酸化還元電位0.80V)等の塩が好適に用いられる。なお、標準酸化還元電位が0.54Vより低い銅(標準酸化還元電位0.34V)、ニッケル(標準酸化還元電位−0.25V)等の塩では、本ケイ素系高分子で還元し難い。
【0051】
金塩としては、Au+、Au3+を含んでなるもので、具体的にはNaAuCl2、NaAuCl4、NaAu(CN)2、NaAu(CN)4等が例示される。パラジウム塩としてはPd2+を含んでなるもので、通常Pd−Z2の形で表すことができる。Zは、Cl、Br、I等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークレート、ナイトレート、スルフォネート、オキサイド等の塩である。具体的には、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH32、Pd(OCOCF32、PdSO4、Pd(NO32、PdO等が例示される。銀塩としては、溶剤に溶解しAg+を生成させうるもので、通常Ag−Zの形で表すことができる。Zは、ボレート、ホスフェート、パークレート、スルフォネート等の塩である。具体的には、AgBF4、AgClO4、AgPF6、AgBPh4、Ag(CF3SO3)、AgNO3等が好適に用いられる。
【0052】
粉体を金属塩溶液で処理する方法としては、ケイ素系高分子化合物を溶解せず、かつ金属塩を溶解又は分散させることができる溶剤を用いて金属塩を含む溶液を調製し、この溶液にケイ素系高分子化合物膜で被覆された粉体を投入して金属塩と接触させる方法が好適である。このように処理することにより、ケイ素系高分子化合物で被覆された粉体のケイ素系高分子化合物被膜表面に金属塩が吸着されると同時に還元されたコロイドとして担持された金属被覆粉体が形成される。
【0053】
ここで、ケイ素系高分子化合物を溶解せず、かつ金属塩を溶解又は分散させることができる溶剤としては、水やアセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミドのような非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、中でも水が好適に用いられる。
【0054】
金属塩の濃度は、塩を溶解させる溶剤によって異なるが、0.01%〜塩の飽和溶液までが用られる。0.01%未満では、メッキ触媒となる金属コロイドの量が十分でなく、また飽和溶液を超えると、固体塩の析出があり好ましくない。溶剤が水の場合、0.01〜20%、より好ましくは0.1〜5%がよく用いられる。
【0055】
上記ケイ素系高分子処理粉体を、室温から70℃の温度で、0.1〜120分、より好ましくは1〜15分程度、金属塩溶液に浸漬すればよい。これによりケイ素系高分子表面に金属コロイドが析出した粉体が製造できる。
【0056】
上記金属塩を含む溶液の処理は、界面活性剤の存在下又は非存在下に行うものであるが、特に界面活性剤の存在下に行うことが望ましい。即ち、粉体は、ケイ素系高分子処理により疎水性となっている。このため、金属塩を溶解させた溶液との親和性が低下し、溶液中に分散しないため、金属コロイド生成反応の効率が低下していることがある。この場合は、界面活性剤を添加して向上させるのがよく、これにより、ケイ素系高分子化合物処理粉体を金属塩を含む溶液に短時間に分散させることができる。
【0057】
ここで、界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤を用いることができる。陰イオン界面活性剤としては、スルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル塩系を用いることができる。また、陽イオン界面活性剤としては、アンモニウム塩系、アルキルアミン塩系、ピリジニウム塩系を用いることができる。また、両性イオン界面活性剤としては、ベタイン系、アミノカルボン酸系、アミンオキシド系を用いることができる。また、非イオン界面活性剤としては、エーテル系、エステル系、シリコーン系を用いることができる。
【0058】
より具体的には、陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルフォコハク酸エステル、ポリオキシエチレン硫酸アルキル塩、アルキルリン酸エステル、長鎖脂肪酸セッケンを用いることができる。また、陽イオン界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化アルキルピリジニウム塩を用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、ベタイン系スルフォン酸塩、ベタイン系アミノカルボン酸アミン塩を用いることができる。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンを用いることができる。また、市販されているこうした界面活性剤を混合した水溶液、例えば、商品名ママレモン(ライオン(株)製)などを利用することができる。
【0059】
界面活性剤を添加する場合、界面活性剤の添加量は、界面活性剤溶液又は界面活性剤を含む金属塩溶液に上記ケイ素系高分子被覆粉体が均一に分散する量であることがよく、金属塩溶液100重量部に対して0.0001〜10重量部、特に0.001〜1重量部、とりわけ0.01〜0.5重量部の範囲で使用するのが望ましい。界面活性剤の添加量が少なすぎると効果が乏しい場合があり、多すぎるとメッキの付きまわり性に悪影響を与えたり、メッキ後の金属の変色等の原因となることがある。
【0060】
処理方法としては、先ずケイ素系高分子処理粉体を、界面活性剤あるいは水により希釈した界面活性剤と接触させ、撹拌して分散させ、次いで金属塩を含む溶液と接触させることが好ましく、これによりケイ素系高分子化合物の還元作用により金属コロイドをこの膜表面に形成させる反応を速やかに進めることができる。
【0061】
界面活性剤を使用しない場合は、ケイ素系高分子処理粉体を溶剤と接触させ、十分に撹拌して分散させることが好ましい。
【0062】
こうした処理の後は、金属塩を含まない上記と同様の溶剤で処理し、還元されず、粉体にただ吸着されただけの金属塩を除き、最後にこの粉体から不要な溶剤を除去することで金属コロイド被覆粉体を得ることができる。
【0063】
本発明においては、上記のように粉体に前処理を行った後、得られた表面に触媒金属核が付与された(金属コロイドで被覆された)粉体を無電解メッキするものである。
【0064】
ここで、この無電解メッキ液は、必須成分であるメッキ金属塩と還元剤と任意成分である錯化剤、pH調整剤、界面活性剤を含む。
【0065】
メッキ金属塩の金属としては、例えば、ニッケル、銅、銀、コバルト、タングステン、鉄、亜鉛、金、白金、パラジウムなどの金属を含んでなるものが好適に用いられる。この単独の金属の他、合金、例えば、Ni−Co,Ni−W,Ni−Fe,Co−W,Co−Fe,Ni−Cu,Ni−P,Au−Pd,Au−Pt,Pd−Ptなどから構成させることもできる。かかる合金被膜を形成させるには、所望に応じた複数の金属塩を添加すればよい。金属塩としては、特には、ニッケル塩が望ましい。更に、無電解メッキ液は、次亜リン酸ナトリウム、ホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウムのようなpH調整剤、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウムのような錯化剤を含む。メッキ金属塩液と還元剤液の配合割合は、それらの組み合わせにより異なるため一概に決定できないが、還元剤が酸化等による無効分解で消費されるため金属塩より過剰に用いられ、通常は金属塩の1.1〜5倍モル程度の還元剤が使用される。
【0066】
なお、通常は無電解メッキ液として市販されており、安価に入手することができる。
【0067】
ここで、無電解ニッケルメッキ液について更に詳述すると、この無電解ニッケルメッキ液は、通常、水溶性ニッケル塩、錯化剤、pH調整剤、リン系還元剤を含むものである。
【0068】
この場合、ニッケル塩としては、従来より知られている公知の硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなどを用いることができ、それらの塩濃度は、メッキ浴全体で0.5〜0.01mol/l、好ましくは0.3〜0.05mol/lとすればよい。ニッケル塩濃度が高すぎると、僅かなpHの変化、錯化剤の濃度変化で水酸化物の生成が生じて浴寿命が短くなること、補充の際に局所的なニッケル塩濃度の偏在を生じさせやすくメッキ斑が生じやすくなるおそれがあり、ニッケル塩濃度が低すぎると、補充する液量が多くなって、メッキ中の浴容量の変化が大きくなり実用的でなくなる場合が生じる。
【0069】
錯化剤としては、ヒドロキシカルボン酸及びその塩、リン酸塩、アンモニウム塩、カルボン酸及びその塩、アミノ基とカルボキシル基を有するアミン類及びその塩など公知のものを用いることができるが、メッキ浴のpHが変化しても水酸化ニッケルを生じさせず、かつニッケルとの錯イオンが安定すぎてニッケルを還元析出できなくならないような、クエン酸アンモニウム、酒石酸ナトリウムなどのヒドロキシカルボン酸塩や酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、グリシンなどのアミノ基とカルボキシル基を有するアミン類などが好適である。それらの濃度は、ニッケル塩及びpH調整剤濃度と密接な関係があるが、メッキ浴全体で1.5〜0.03mol/lの範囲で用いることができ、メッキ浴全体で0.2〜0.15mol/lとするのが好ましい。1.5mol/lより多いとニッケル塩に対して大過剰となり無駄であり、0.03mol/lより少ないとpHの変化に対して不安定で、ニッケル水酸化物生成の抑止効果が薄い場合が生じる。
【0070】
pH調整剤としては、安価で入手の容易な公知のものを用いればよいが、pHの変化に対してリン系還元剤によるニッケル錯イオンの還元性を大きく変えない水酸化アンモニウム(アンモニア水溶液)や水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリなどを好適に用いることができる。pH調整剤の濃度は、処理中のメッキ浴pHの変化、処理時間、補充量から定めればよい。pHが3より低いとメッキ反応が生じにくくメッキ時間が長くなるおそれがあり、またpHが10を超えるとニッケル錯体が不安定となり、ニッケル水酸化物の析出が起こりやすいことと、メッキ析出反応が早すぎてニッケルの異常析出が生じて浴分解してしまうおそれがあるため、pHは3〜10の間にコントロールすることが好ましい。
【0071】
リン系還元剤としては、次亜リン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩が使用され、通常は次亜リン酸ナトリウムが用いられる。その濃度は、ニッケル塩に対して1.01〜5倍モル、より望ましくは1.5〜3倍モルで、メッキ浴全体で0.001〜2.5mol/lモル、特に0.1〜1mol/lモルの範囲をとることが望ましい。
【0072】
本発明では、必要に応じて上記無電解メッキ液による処理を界面活性剤の存在下で行うことができる。この場合、無電解メッキ液に投入する粉体を、界面活性剤で前処理したり、無電解メッキ処理液に界面活性剤を投入してメッキ処理することが好ましく、これにより無電解メッキ反応時に副生する水素の泡のためにメッキが良好に進まず、粉体表面への金属の付きまわり性が悪化することを防止でき、ケイ素系高分子化合物膜で被覆された粉体を金属でムラなく良好に被覆することができる。
【0073】
この場合、無電解メッキ処理時に使用する界面活性剤は、最初の金属塩処理(金属塩を含む溶液での処理)時に用いたものと同様なものでも異なるものでもよいが、異なる種類の界面活性剤を用いるのがより好ましい。例えば、金属塩水溶液との接触改良にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの陰イオン界面活性剤を用い、無電解メッキ処理の前に、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルやポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンの非イオン界面活性剤を用いると好適である。中でも、具体的な界面活性剤としては、発泡を助けず表面張力のみを下げるものが望ましく、サーフィノール104,420,504(日信化学工業(株)製)等の非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。特に、発泡によるメッキの効率の低下は、KS−538(信越化学工業(株)製)等のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤のような消泡作用を持ち表面張力を下げる消泡性界面活性剤を添加して防止することができる。
【0074】
界面活性剤の添加量は、同様に、上記粉体が無電解メッキ液中に均一に分散し得ると共に、無電解メッキの進行により生じる水素ガス等の泡が粉体に付着してメッキを妨げることのない量であることがよく、メッキ液100重量部に対して0.0001〜10重量部、特に0.001〜1重量部、とりわけ0.01〜0.5重量部の範囲で使用するのが望ましい。界面活性剤の添加量が少なすぎると効果が乏しい場合があり、多すぎるとメッキの付きまわり性に悪影響を与えたり、メッキ後の金属の変色等の原因となることがある。
【0075】
なお、無電解メッキ法としては、常法を採用することができ、例えば上記第2工程の粉体をメッキ液中に分散させる等の方法を採用することができる。あるいは、メッキ液を還元剤、pH調整剤、錯化剤などを含有した水溶液と金属塩水溶液に分離し、粉体は、還元剤、pH調整剤、錯化剤などを含有した水溶液に分散し、メッキの最適な温度に保温しておく。これに金属塩水溶液を気体と同伴させて、粉体の分散した還元剤含有水溶液に加える等の方法を採用することができる。メッキ温度は、メッキ液の種類に応じて選定され、例えば無電解ニッケルメッキ液の場合、メッキ温度は、15〜100℃とし得るが、より望ましくは、浴中の金属イオン拡散速度が速くメッキ金属の付きまわりがよく、かつ浴成分の揮発による減少、溶媒の減少などが比較的少ない40〜95℃で、好ましくは65〜85℃で管理する。40℃より低いとメッキ反応の進行が非常に遅く実用的でなく、95℃より高いと溶媒に水を用いていることから溶媒の蒸発が激しく、浴管理が難しくなる場合がある。なお、メッキ時間は、必要とするメッキ膜厚により選定される。
【0076】
このようにして、粉体上に金属層を形成できる。本工程の後に、金属層が酸化されないうちにすぐに別の金属層を形成させてもよい。かかる金属を形成させるために用いる無電解メッキ液は、上記の方法により調製したものを用いればよいが、その際に添加する金属塩の金属としては、例えば、金、白金、パラジウムなどが挙げられ、単独の金属の他、合金、例えばAu−Pd、Au−Pt、Pd−Ptなどから構成させることができる。この中で、金が安定性、導電性の面から最も望ましい。
【0077】
最初の金属層を形成させた粉体に対する次の金属層の表面被膜を形成する方法としては、無電解メッキ、電気メッキ、置換メッキのいずれの方法でもよい。無電解メッキの場合は、上記のメッキ工程と同様の方法で行うことができる。なお、メッキ工程終了後に不要な金属塩、還元剤、錯化剤、界面活性剤等を除くため、十分な洗浄を行うとよい。
【0078】
ここで、最初の金属層をニッケル層とし、その上に形成する金属層を金層とすることが、導電性、耐食性等の点から好ましい。
【0079】
こうして得られた導電性粉体において、金属層の厚さは、0.01〜10.0μm、望ましくは0.1〜2.0μmである。0.01μm未満では、粉体を完全に被い、かつ十分な硬度や耐食性が得られ難くなる場合がある。また、10.0μmより厚いと金属の量が多くなり、比重が高くなり、また高価となる問題が生じる場合がある。なお、ニッケル−金の金属層構成とする場合、金層の厚さは0.001〜1μm、望ましくは0.01〜0.1μmである。0.001μm未満では、抵抗率が高くなるため、配合時に十分導電性が得られにくくなるおそれがあり、また1μmを超えると、金の量が多くなって高価となる。
【0080】
上記メッキ処理した後、必要に応じ、この金属被覆粉体を、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性気体、あるいは水素、アルゴン−水素、アンモニア等の還元性気体の存在下に200℃以上の温度で熱処理することが望ましい。不活性気体、あるいは還元性気体処理条件は、通常200〜900℃、処理時間は1分〜24時間が好適に用い得る。より望ましくは200〜500℃で処理時間は30分〜4時間行うのがよい。これにより、粉体と金属間にあるケイ素系高分子の一部あるいは全部がセラミックに変化し、より高い耐熱性と絶縁性と密着性を持つことになる。このときの雰囲気を水素のような還元系で行うことにより、金属中の酸化物を減少させ、ケイ素系高分子を安定な構造に変えることで、粉体、特にシリカと金属が強固に結合し、高い導電性を示す粉体を得ることができる。
【0081】
こうして得られた導電性粉体は、ゴム状酸化ケイ素重合体−レジン状酸化ケイ素重合体−金属という構造を持つ金属被覆粉体である。これは、高い導電性、高い耐熱性、良好な耐久性を有した金属被覆粉体であるため、プラスチックやゴム等高耐熱性高分子に配合することにより、信頼性の高いコネクターや導電ぺースト材料の原料とすることができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、広い温度範囲で良好な導電性を有する金属被覆粉体を得ることができる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0084】
[合成例] ポリシランの製造方法
フェニルハイドロジェンポリシラン(以下、PPHSと略記する)を、以下の方法により製造した。
【0085】
アルゴン置換したフラスコ内にビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムのTHF溶液にメチルリチウムのジエチルエーテル溶液を添加し30分室温で反応させた後、溶剤を減圧にて留去することで、系内で触媒を調整した。これに、フェニルトリヒドロシランを触媒の10,000倍モル添加し、100℃から150℃で3時間、次いで200℃で8時間加熱攪拌を行った。生成物をトルエンに溶解させ、塩酸水洗を行うことで、触媒を失活除去した。このトルエン溶液に硫酸マグネシウムを加え水分を除去し、濾過した。これにより、ほぼ定量的に重量平均分子量1,200、ガラス転移点65℃のPPHSを得た。
【0086】
[実施例1]
酸化ケイ素重合体粉体のポリシラン処理
酸化ケイ素重合体粉体としては、シリコーン複合パウダーX−52−1139G(信越化学工業(株)製;平均粒径12μm;粒径分布2〜30μm;真比重1.00;ゴム状ケイ素重合体粉体の表面をレジン状ケイ素重合体が被覆している。)を用いた。PPHS0.5gをトルエン200gに溶解させ、この溶液をシリコーン複合パウダー100gに加え、1時間攪拌した。ロータリーエバポレーターにて、60℃の温度、45mmHgの圧力で、トルエンを留去させ乾燥させた。
【0087】
パラジウムコロイド析出粉体の製造
ポリシラン処理粉体は疎水化され、水に投入すると水表面に浮くようになる。界面活性剤として、サーフィノール504(日信化学工業(株)製界面活性剤)の0.5%水溶液50gにこの処理粉体100gを投入し、攪拌し水中に分散させた。
【0088】
パラジウム処理は、上記粉体−水分散体150gに対し1%PdCl2水溶液を70g(塩化パラジウムとして0.7g、パラジウムとして0.4g)添加して、30分攪拌後、ろ過し、水洗した。これらの処理により、粉体表面はパラジウムコロイドが付着した黒灰色に着色した粉体が得られた。この粉体はろ過により単離し、水洗後直ちにメッキ化を行った。
【0089】
パラジウムコロイド析出粉体のニッケルメッキ化
ニッケルメッキ用還元液として、イオン交換水で希釈した次亜リン酸ナトリウム2.0M、酢酸ナトリウム1.0M、グリシン0.5Mの混合溶液100gを用いた。パラジウムコロイド析出粉体を、KS−538(信越化学工業(株)製消泡剤)0.5gと共にニッケルメッキ還元液中に分散させた。攪拌しながら液温を室温から65℃に上げた。イオン交換水で希釈した水酸化ナトリウム2.0Mを空気ガスにより同伴させながら滴下し、同時にイオン交換水で希釈した硫酸ニッケル1.0Mを窒素ガスにより同伴させながら、還元液中に滴下した。これにより、細かい発泡とともに粉体が黒色となり、粉体表面に金属ニッケルが析出した。この粉体は、全面に金属ニッケルが析出していた。
【0090】
ニッケルメッキ粉体の金メッキ化
金メッキ液として、高純度化学研究所製金メッキ液K−24N100gを希釈せずに用いた。全面に金属ニッケルが析出した粉体を、金メッキ液中に分散させた。攪拌しながら液温を室温から95℃に上げると、細かい発泡とともに粉体が金色となり、粉体表面に金が析出した。
【0091】
メッキ水底に沈殿した粉体は、濾過、水洗、乾燥(50℃で30分)の後、水素で、置換された電気炉で300℃で1時間焼成した。実体顕微鏡観察により、粉体全表面が金により覆われた粉体が得られていることが分かった。この粉体は、IPC分析により、パラジウム、ニッケル、金が検出された。顕微鏡により観察した外観は黄色、比重は2.5で、各層の厚みは、金層0.03μm、ニッケル層0.25μmであった。
【0092】
酸化ケイ素重合体粉体−二ッケル−金構造を持つ導電性粉体の特性
導電性粉体の抵抗率は、4端子を持つ円筒状のセルに粉体を充填し、両末端の面積0.2cm2の端子からSMU−257(ケースレ社製電流源)より1〜10mAの電流を流し、円筒の中央部に0.2cm離して設置した端子から、2000型ケースレ社製ナノボルトメーターで電圧降下を測定することで求めた。抵抗率は、2.2mΩ・cmであった。この粉体を乳鉢にいれ、1分間すり潰し、熱処理(200℃4時間)後の変化を調べたところ、外観、抵抗率の変化はなかった。
【0093】
[比較例1]
比較のため、酸化ケイ素重合体粉体としては、シリコーンゴムパウダーKMP595(信越化学工業(株)製;平均粒径13μm;粒径分布2〜30μm;真比重0.97;ゴム状ケイ素重合体粉体。)を用いた。そのほかは実施例1と同様に操作したところ、速やかにメッキ反応が進行したが、部分的に金属ニッケルや金が析出しない粉体を含んでいたり、凝集したままでメッキが進行し団子状に固まったままメッキされた粉体を得た。抵抗率は、22mΩ・cmであった。この粉体を乳鉢にいれ、1分間すり潰し、熱処理(200℃4時間)後の変化を調べたところ、シリコーンゴムパウダーから金属部が剥離し、抵抗率は200Ω・cm以上と大きく劣化した。
【0094】
[比較例2]
比較のため、酸化ケイ素重合体粉体としては、シリコーンレジンパウダーX−52−1186(信越化学工業(株)製;平均粒径3.5μm;粒径分布1〜6μm;真比重1.36;レジン状ケイ素重合体粉体。)を用いた。そのほかは実施例1と同様に操作したところ、速やかにメッキ反応が進行し、全面に金属ニッケル並びに金が析出したシリカを得た。この粉体を乳鉢にいれ、1分間すり潰し、熱処理(200℃4時間)後の変化を調べたところ、シリコーンレジンパウダーが割れ、金属で被覆されていない部分が露出しており、抵抗率は200Ω・cm以上と大きく劣化した。
【0095】
[実施例2]
実施例1の第三工程において、ニッケルメッキ化シリカの製造を以下のように行った。
【0096】
40mlのイオン交換水中にパラジウム析出粉体2gを若干量のサーフィノールを用いて分散させ、攪拌しながら70℃に加熱した。この分散液に1M/Lの硫酸ニッケル溶液と2M/Lの次亜リン酸ナトリウム溶液おのおの10mlを定量ポンプを用いて20分かけて滴下した。滴下開始後、直ちに懸濁液は黒色に変わり、メッキ反応の開始が確認された。滴下終了後、さらに10分間同温度にて反応を継続、反応液を50℃以下に冷却した後、攪拌停止、直ちに濾過してニッケルメッキ粉体を得た。
【0097】
ニッケルメッキ粉体の金メッキ化
大和化成製ダインゴールド100mlに上記の工程により得られたニッケルメッキ粉体を0.5N HCl溶液で処理し、約2mlのイオン交換水中に分散させたニッケルメッキ粉体2gを投入し、緩やかに攪拌しながら90℃に加熱し、30分反応させた。懸濁液の色が徐々に黄色っぽくなり、金メッキが進行していることが確認された。冷却後、濾過、水洗により金メッキ品を得、濾過、水洗、乾燥(50℃で30分)の後、アルゴン/水素気流中で250℃にて1時間焼成することにより金メッキ粉体を得た。
【0098】
実体顕微鏡観察により、全表面が平滑で均一な金の膜により覆われたシリカが得られていることが分かった。IPC分析により、ニッケル30Wt%、金5Wt%含有していることが分かった。
【0099】
金メッキシリカの電気抵抗率は、2.8mΩ・cmであった。この粉体は、熱劣化試験(空気中250℃で1時間)後も、電気抵抗率は3.7mΩ・cmと良好であった。
【0100】
この粉体を粉体剥離試験機にいれ、1100rpmで1分間剥離試験した後の変化を調べたところ、外観、抵抗率の変化はなかった。さらに、1100rpmで5分間、10分間剥離試験した後の変化を調べたところ、外観がやや黒ずみ、抵抗率は、4.1mΩ・cm、5.9mΩ・cmに変化した。顕微鏡で観察したところ、一部の金とニッケルの界面が剥離し、黒色のニッケルが露出していたが、ケイ素重合体とニッケル界面の剥離は見られなかった。

Claims (7)

  1. 内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金属で被覆した導電性粉体であって、内層とそれを被覆する外層から構成される粒子が、ゴム状酸化ケイ素重合体−レジン状酸化ケイ素重合体という多層構造を持つことを特徴とする導電性粉体。
  2. 無電解メッキ法による内層とそれを被覆する外層から構成される粒子を金属で被覆した金属被覆粉体を製造する方法において、
    (1)ゴム状ケイ素重合体粉体の表面をレジン状ケイ素重合体で覆った酸化ケイ素重合体からなる粉体を還元性を有するケイ素重合体で処理し、粉体の最表面に還元性ケイ素重合体の層を形成する工程、
    (2)工程(1)の粉体を、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理することで、還元性ケイ素重合体表面に金属コロイドを析出させる工程、
    (3)この金属コロイドを触媒として、工程(2)の粉体に無電解メッキを行い、粉体表面に金属を析出させる工程
    を含むことを特徴とする外層が内層よりも低い熱膨張率を持つ導電性粉体の製造方法。
  3. 還元性を有するケイ素系重合体が、Si−Si結合及び/又はSi−H結合を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンの中から選ばれたものである請求項記載の方法。
  4. ポリシランが、下記一般式(1)で表されるものである請求項記載の方法。
    (R1 m2 npSi)q (1)
    (但し、式中R1、R2は水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基、XはR1、アルコキシ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子を示し、mは0.1≦m≦2、nは0≦n≦1、pは0≦p≦0.5であり、かつ1≦m+n+p≦2.5を満足する数である。qは4≦q≦100,000を満足する整数である。)
  5. ポリシロキサンが、下記一般式(2)で表されるものである請求項記載の方法。
    (R3 a4 bcSiOde (2)
    (但し、式中R3、R4は水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、aは0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0.5≦d≦1.95であり、かつ2≦a+b+c+d≦3.5を満足する数である。eは2≦e≦100,000を満足する整数である。)
  6. 無電解メッキ工程が、ニッケル、次いで金層を形成させる工程である請求項乃至のいずれか1項記載の方法。
  7. 無電解メッキ工程後、得られた導電性粉体を200℃以上の温度で熱処理する請求項乃至のいずれか1項記載の方法。
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