JP2002120286A - 光透過性スタンパ及びその製造方法並びに光メモリ素子の製造方法及び光メモリ素子 - Google Patents

光透過性スタンパ及びその製造方法並びに光メモリ素子の製造方法及び光メモリ素子

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JP2002120286A
JP2002120286A JP2001042362A JP2001042362A JP2002120286A JP 2002120286 A JP2002120286 A JP 2002120286A JP 2001042362 A JP2001042362 A JP 2001042362A JP 2001042362 A JP2001042362 A JP 2001042362A JP 2002120286 A JP2002120286 A JP 2002120286A
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stamper
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optical memory
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JP2001042362A
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Hiroshi Ishihara
啓 石原
Yasutsugu Yamauchi
康嗣 山内
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コア層及びクラッド層を樹脂製にし、上記の
凹凸パターンを簡易に形成できるようにして、光メモリ
素子を容易かつ安価に実現できるようにする場合に、光
メモリ素子の製造工程(特に、コア層及びクラッド層を
積層する工程)の効率化,簡略化を図りながら、大容量
化を実現すべく積層数を増やして多層化できるようにす
る。 【解決手段】 光メモリ素子作製用スタンパを、光透過
性の樹脂フィルム12と、樹脂フィルム12上に形成さ
れ、表面に凹凸パターンを有する光透過性の硬化性樹脂
10とを備えるものとして構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光透過性スタンパ
及びその製造方法並びに光メモリ素子の製造方法に関
し、特に、光導波路デバイスを用いた光メモリ素子を製
造するのに用いて好適の、光透過性スタンパ及びその製
造方法並びに光メモリ素子の製造方法及び光メモリ素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、予め所定の散乱光を生じるように
パターンが刻まれた平面型(カード型)の光導波路中に
光を導入し、光導波面の外部に画像を結像させる技術が
提案されている(IEEE Photon. Technol. Lett., Vol.
9, pp.958-960, July 1997等参照)。
【0003】即ち、例えば、図7に模式的に示すよう
に、光導波路として機能するように、屈折率や膜厚を調
整されたコア層101と、このコア層101を挟む形で
その両側(両面部)に設けられた(第1、第2の)クラ
ッド層102とを備えてなるカード型のスラブ型光導波
路デバイス100において、コア層101とクラッド層
102との界面に微細な凹凸が存在していた場合、コア
層(光導波路)101にレンズ103を介して光(レー
ザ光)を導入すると、導入光の一部がその凹凸部分で散
乱し、散乱光がクラッド層102を通じて外部に出てく
る。
【0004】従って、光導波面(光導波路101)から
所定距離に特定の画像が結像するような光の散乱強度と
位相とを計算し、その計算に応じた微細な凹凸パターン
を予めコア層101に刻み込んでおけば、光導波面の外
部に所望の画像を結像させることができる。つまり、コ
ア層101は情報の記録層として機能することになる。
【0005】そして、例えば、光導波面の外部に出てき
た散乱光を上記所定距離に設置したCCD受像機104
により受光して、結像画像を2次元のディジタルパター
ン(例えば明暗の2値パターン、もしくは明度(グレイ
スケール)による多値のパターン等)化してディジタル
信号化すれば、既存のディジタル画像処理装置(図示省
略)で結像画像に対して所望の画像処理を実施できるよ
うになる。
【0006】また、例えば、上記のクラッド層102/
コア層101/クラッド層102を繰り返し積層して、
光導波路(記録層)101を複数個積層した場合、或る
光導波路101で散乱した光は、別の光導波路101を
横切ることになるが、通常、コア層101とクラッド層
102の屈折率差が極めて小さいので、その散乱光が別
の光導波路101に形成された凹凸で再散乱することは
殆ど無く、結像画像が乱れることはない。従って、積層
数に比例して数多くの画像やパターンを結像できること
になる。
【0007】つまり、光導波路デバイス100は、その
積層数に比例した容量を有する光メモリ素子(ROM等
の記録媒体)として使用できるのである。なお、この光
メモリ素子は、理論上では、1層で約1ギガバイト程度
の容量を持たせることができ、100層程度まで積層す
ることが可能であるといわれており、将来的には動画像
の記録等に十分対応できる大容量ROMとして使用され
ることが有望視されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、光導
波路デバイス100のコア層101における上記の微細
な凹凸パターンは、例えば、次のような手法で形成され
る。即ち、まず(第1の)クラッド層102となる平板
状のガラス等の上にフォトレジストを塗布し、光あるい
は電子線等の露光とその現象によりそのガラス(クラッ
ド層102)上に、結像させたい像に応じたピット(凹
凸パターン)を形成する。
【0009】その後、その凹凸パターン上にコア層10
1を形成する。これにより、凹凸パターンの形成された
コア層101が作製され、このコア層101上にさらに
第2のクラッド層102を形成することにより、1層分
の光導波路デバイス(光メモリ素子)100が作製され
る。そして、上記と同様に、クラッド層102上に露光
と現像によって凹凸パターンを形成し、その上にコア層
101を形成することを繰り返し行なうことで、多層構
造の光メモリ素子(以下、「多層光メモリ」ということ
がある。)が作製される。
【0010】しかし、このような露光と現像とを用いた
手法では、1層分の光メモリ素子100の作製に非常に
時間とコストがかかってしまうので、大容量の多層光メ
モリを作製するには、膨大な時間とコストがかかってし
まうことになる。このため、上記の凹凸パターンを簡易
に形成できるようにして、光メモリ素子を容易かつ安価
に製造できるようにすべく、コア層及びクラッド層を樹
脂製にすることが提案されている。
【0011】例えば、樹脂フィルム等の基体上に、樹脂
製のコア層、及び、スタンパの凹凸パターンを転写され
た樹脂製のクラッド層を順に積層させて多層構造の光メ
モリ素子とすることが考えられる。このような光メモリ
素子は、例えば、以下のようにして製造することが考え
られる。
【0012】つまり、例えば、図8(A)に示すよう
に、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹
凸パターン(凹凸形状;ピット)の刻まれたスタンパ5
0上にコア材としての紫外線硬化性樹脂材を塗布し、こ
れを硬化させて樹脂製のコア層51を形成する。次に、
コア層51の表面上にクラッド材としての紫外線硬化性
樹脂材を塗布し、クラッド材を硬化させて樹脂製のクラ
ッド層52を形成する。
【0013】次いで、図8(B)に示すように、クラッ
ド層52上に接着剤としての紫外線硬化性樹脂材(クラ
ッド材52)を塗布し、基体となる樹脂フィルム53を
貼着(ラミネート)した後、樹脂フィルム53側(金属
製スタンパ50とは反対側)から紫外線を照射して接着
剤としての紫外線硬化性樹脂材を硬化させて、クラッド
層52と樹脂フィルム53とを接着する。
【0014】そして、図8(C)に示すように、スタン
パ50からコア層51とクラッド層52と樹脂フィルム
53とからなるコア/クラッド/樹脂フィルム部材(コ
ア層及びクラッド層からなる積層体)54を一体に剥離
(分離)する。その後、同様に、図8(D)に示すよう
に、他のスタンパ50′上にコア材を塗布し、これを硬
化させて樹脂製のコア層51′を形成し、次に、コア層
51′上にクラッド層52′を形成する。次に、図8
(E)に示すように、クラッド層52′上に接着剤とし
ての紫外線硬化性樹脂材(クラッド材52′)を塗布
し、コア/クラッド/樹脂フィルム部材54を貼着(ラ
ミネート)した後、樹脂フィルム53側(金属製スタン
パ50とは反対側)から紫外線を照射して接着剤として
の紫外線硬化性樹脂材を硬化させて、クラッド層52′
とコア/クラッド/樹脂フィルム部材54とを接着す
る。そして、図8(F)に示すように、スタンパ50′
からコア/クラッド/コア/クラッド/樹脂フィルム
(コア層及びクラッド層からなる積層体)54′を一体
に剥離(分離)する。
【0015】以後、このような工程を繰り返すことによ
り、多層構造の樹脂製光メモリ素子を製造することが考
えられる。ここで、このような光メモリ素子の製造方法
において用いられるスタンパ(光メモリ素子作製用スタ
ンパ)50としては、例えばニッケルNiなどの金属か
らなる金属製スタンパ(ニッケル製スタンパ)が一般的
である。
【0016】しかし、このような金属製スタンパ50
は、一般に高価であり、また、このような金属製スタン
パ50を用いて樹脂製の光メモリ素子55を製造する場
合、金属製スタンパ50の保守・管理やクリーニング等
の負担は大きい。また、例えば、コア材やクラッド材を
光硬化性樹脂とする場合、この金属製スタンパ50は光
硬化性樹脂を硬化させるための光を透過しないため、コ
ア層51の表面に塗布されたクラッド材52に金属製ス
タンパ50の凹凸パターンを転写する際には、図8
(B),(E)に示すように、この硬化させたいクラッ
ド材52,52′に基体としての樹脂フィルム53側
(金属製スタンパ50の反対側)から光を照射しなけれ
ばならない。
【0017】このように金属製スタンパ50を用いる場
合には、図8(B),(E)に示すように、基体として
の樹脂フィルム53側から光を照射することになるた
め、多層構造の光メモリ素子55を製造する場合、前の
工程で光を照射することにより硬化させて積層されてい
る光硬化性樹脂層(ここではコア層51,クラッド層5
2)を透過した光(透過光)が、今回の工程で光を照射
して硬化させたい光硬化性樹脂(ここではクラッド材5
2′)に照射されることになる。つまり、今回の工程で
光を照射して硬化させたい光硬化性樹脂(ここではクラ
ッド材52′)には、既に積層されている光硬化性樹脂
層(コア層51,クラッド層52)を通じて光を照射す
ることになる。このため、既に光を照射して硬化させた
光硬化性樹脂層(コア層51,クラッド層52)に光が
吸収されてしまい、特に積層数を増やせば増やすほど、
今回の工程で硬化させたい光硬化性樹脂(ここではクラ
ッド材52′)に光を照射するのが難しくなり、これに
より、光硬化性樹脂(ここではクラッド材52′)に金
属製スタンパ50の凹凸パターンを転写するのが困難に
なる。
【0018】また、積層数を増やしていくとクラッド層
及びコア層を積層した積層体の膜厚が厚くなって撓みに
くくなり(曲がりにくくなり)、さらに金属製スタンパ
50も撓みにくい(曲がりにくい)ため、クラッド層及
びコア層を積層させていく際に、クラッド層及びコア層
からなる積層体を金属製スタンパから剥離(分離)する
のが難しくなる。
【0019】このため、光メモリ素子の大容量化を実現
すべく積層数を増やそうとしても、今回の工程で硬化さ
せたい光硬化性樹脂(ここではクラッド材)に確実に光
を照射して硬化させるようにする一方、クラッド層及び
コア層からなる積層体を金属製スタンパから剥離(分
離)しやすくするためには、積層できる層数に限界があ
るため、上述のような製造方法では所定積層数(例えば
2〜3層)以上積層させるのは難しく、連続して所望の
積層数(例えば100層程度)だけ積層させるのは困難
である。
【0020】この場合、樹脂フィルム等の基体上にクラ
ッド層及びコア層をそれぞれ2〜3層ずつ合計4〜6層
積層した積層体を複数作製し、これらの積層体を積み重
ねて接着することで、所望の積層数(例えば100層程
度)だけ積層させた多層構造の光メモリ素子を製造する
ことになる。しかしながら、この場合、クラッド層及び
コア層からなる積層体を作製したら、これを金属製スタ
ンパ50から剥離(分離)する必要があるため、複数の
積層体のそれぞれに樹脂フィルム等の基体を貼り着ける
ことが必要になる。このため、当然のことながら、樹脂
フィルム等の基体を貼り着けた複数の積層体を接着して
製造される光メモリ素子の厚さは樹脂フィルム等の基体
の分だけ厚くなってしまうため、光メモリ素子の薄型化
(小型化)の点からは好ましくない。
【0021】また、このような光メモリ素子の製造方法
では、クラッド層及びコア層をそれぞれ2〜3層ずつ合
計4〜6層積層した積層体の作製の際にも、積層体同士
を積み重ねて接着する際にも、それぞれ位置合わせが必
要になる等、手間と時間がかかり、製造工程の効率化を
図る点では好ましくない。ところで、上述のような光メ
モリ素子の製造方法では、樹脂フィルム等の基体上にク
ラッド層及びコア層を積層させていく際には、クラッド
材やコア材の硬化収縮による反りが蓄積されていき、積
層体に反りが生じてしまう。このような反りの発生を防
止するためには、基体を樹脂フィルムや薄い樹脂基板等
により構成しないで、(1)ガラス基板等の硬質基板を
使用するか、又は、(2)樹脂フィルムや薄い樹脂基板
を用いるとしても、別途、反りの発生を抑制するための
方策を講じることが必要になる。
【0022】しかしながら、(1)のガラス基板等の硬
質基板を使用する場合は、硬質基板及び金属製スタンパ
の双方が撓みにくいため(曲がりにくいため)、クラッ
ド層及びコア層を積層させていく際に、クラッド層及び
コア層からなる積層体を金属製スタンパから剥離(分
離)させるのが難しい。一方、(2)の樹脂フィルムや
薄い樹脂基板を用いる場合には、積層体を金属製スタン
パから剥離させるのは容易であるとしても、反りの発生
を抑制するために、基体のクラッド層やコア層を積層す
る側とは反対側の面に、同等の収縮率を有する部材を貼
り付けたり、又は、基体の両面に交互にクラッド層及び
コア層を積層する等の方策を講じること(例えば特願平
11−351541号)が考えられるが、積層数が増え
ることになるし、また製造工程の簡略化の点からも好ま
しくない。
【0023】本発明はこのような課題に鑑み創案された
もので、コア層及びクラッド層を樹脂製にし、上記の凹
凸パターンを簡易に形成できるようにして、光メモリ素
子を容易かつ安価に実現できるようにする場合に、光メ
モリ素子の製造工程(特に、コア層及びクラッド層を積
層する工程)の効率化,簡略化を図りながら、大容量化
を実現すべく積層数を増やして多層化できるようにし
た、光透過性スタンパ及びその製造方法並びに光メモリ
素子の製造方法及び光メモリ素子を提供することを目的
とする。
【0024】また、コア層及びクラッド層を積層させる
際に、反りの発生を抑制しながら、コア層及びクラッド
層からなる積層体のスタンパからの剥離(分離)を容易
にすることも目的とする。さらに、基体の数をできるだ
け少なくして光メモリ素子の薄型化(小型化)を図れる
ようにしながら、大容量化を図るべくクラッド層及びコ
ア層の積層数を増やすことができるようにすることも目
的とする。
【0025】また、スタンパを、容易に、かつ、安価に
作製できるようにするとともに、スタンパの保守・管理
を容易に行なえるようにすることも目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の
光透過性スタンパは、光透過性の樹脂フィルムと、樹脂
フィルム上に形成され、表面に凹凸パターンを有する光
透過性の硬化性樹脂層とを備えることを特徴としてい
る。請求項2記載の本発明の光透過性スタンパは、表面
に凹凸パターンを有する光透過性樹脂により構成される
ことを特徴としている。
【0027】請求項3記載の本発明の光透過性スタンパ
の製造方法は、表面に凹凸パターンを有する硬質スタン
パから凹凸パターンを光透過性の硬化性樹脂に転写する
転写工程と、転写工程で凹凸パターンを転写された硬化
性樹脂に光透過性の樹脂フィルムを接着する接着工程
と、接着工程で接着された樹脂フィルムと硬化性樹脂と
を一体として分離する分離工程とを備えることを特徴と
している。
【0028】特に、分離工程において一体として分離し
た樹脂フィルム及び硬化性樹脂を所望の大きさに切断し
て複数枚の樹脂フィルム及び硬化性樹脂とする切断工程
を含むものとするのが好ましい(請求項4)。また、切
断工程において作製された複数枚の樹脂フィルム及び硬
化性樹脂をベース上に並置する並置工程を含むものとす
るのも好ましい(請求項5)。
【0029】さらに、並置工程において並置された複数
枚の硬化性樹脂の凹凸パターンを他の光透過性の硬化性
樹脂に再転写する再転写工程を含むものとするのも好ま
しい(請求項6)。また、再転写工程で凹凸パターンを
転写された他の硬化性樹脂に光透過性の樹脂フィルムを
接着する接着工程と、接着工程で接着された樹脂フィル
ムと他の硬化性樹脂とを一体として分離する分離工程と
を備えるものとするのも好ましい(請求項7)。
【0030】特に、硬化性樹脂が、光硬化性樹脂により
構成され、剥離工程の後に、硬化性樹脂の凹凸パターン
を有する面に光を照射して硬化させるように構成するの
が好ましい(請求項8)。請求項9記載の本発明の光メ
モリ素子の製造方法は、クラッド層及びコア層を複数積
層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造
方法であって、例えば硬質基板又は樹脂フィルム等の基
体(ベース基体)上に、光硬化性樹脂からなるクラッド
材又はコア材を塗布し、表面に凹凸パターンを有するス
タンパを載置したのち、光を照射してクラッド材又はコ
ア材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層又はコア層を
形成する工程を含み、スタンパが、光硬化性樹脂を硬化
させるための光を透過しうる光透過性スタンパにより構
成され、クラッド材又はコア材を硬化させるのに、スタ
ンパの裏面側から光を照射することを特徴としている。
【0031】好ましくは、光透過性スタンパを、表面に
凹凸パターンを有する光硬化性樹脂を備えるものとして
構成する(請求項10)。請求項11記載の本発明の光
メモリ素子の製造方法は、クラッド層及びコア層を複数
積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製
造方法であって、硬質基板上に光硬化性樹脂からなるク
ラッド層を形成する工程と、クラッド層上に光硬化性樹
脂からなるコア材を塗布する工程と、コア材上に、表面
に凹凸パターンを有し、光硬化性樹脂を硬化させるため
の光を透過しうる樹脂製スタンパを載置する工程と、樹
脂製スタンパの裏面側から光を照射してコア材を硬化さ
せ、凹凸を有するコア層を形成する工程とを含むことを
特徴としている。
【0032】請求項12記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法は、クラッド層及びコア層を複数積層してなる
光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であっ
て、硬質基板上に光硬化性樹脂からなるコア層を形成す
る工程と、コア層上に光硬化性樹脂からなるクラッド材
を塗布する工程と、クラッド材上に、表面に凹凸パター
ンを有し、光硬化性樹脂を硬化させるための光を透過し
うる樹脂製スタンパを載置する工程と、樹脂製スタンパ
の裏面側から光を照射してクラッド材を硬化させ、凹凸
を有するクラッド層を形成する工程とを含むことを特徴
としている。
【0033】請求項13記載の本発明の光メモリの製造
方法は、クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メ
モリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、
硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、基体上に
クラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有
する積層体を形成する積層体形成工程と、硬質基板から
基体と積層体とを一体として分離する積層体分離工程と
を含み、積層体形成工程が、光硬化性樹脂からなるクラ
ッド層を形成する工程と、クラッド層上に光硬化性樹脂
からなるコア材を塗布する工程と、コア材上に、表面に
凹凸パターンを有し、光硬化性樹脂を硬化させるための
光を透過しうる樹脂製スタンパを載置する工程と、樹脂
製スタンパの裏面側から光を照射して前記コア材を硬化
させ、凹凸を有するコア層を形成する工程と、凹凸を有
するコア層から樹脂製スタンパを分離する工程とを含む
ことを特徴としている。
【0034】請求項14記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法は、クラッド層及びコア層を複数積層してなる
光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であっ
て、硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、基体
上にクラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数
を有する積層体を形成する積層体形成工程と、硬質基板
から基体と積層体とを一体として分離する積層体分離工
程とを含み、積層体形成工程が、光硬化性樹脂からなる
コア層を形成する工程と、コア層上に光硬化性樹脂から
なるクラッド材を塗布する工程と、クラッド材上に、表
面に凹凸パターンを有し、光硬化性樹脂を硬化させるた
めの光を透過しうる樹脂製スタンパを載置する工程と、
樹脂製スタンパの裏面側から光を照射して前記クラッド
材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層を形成する工程
と、凹凸を有するクラッド層から樹脂製スタンパを分離
する工程とを含むことを特徴としている。
【0035】好ましくは、樹脂製スタンパが、アライメ
ントマークを備え、樹脂製スタンパを載置する工程で、
アライメントマークにより基体と樹脂製スタンパとの間
の位置合わせを行なうようにする(請求項15)。ま
た、基体が、アライメントマークを備え、樹脂製スタン
パを載置する工程で、樹脂製スタンパのアライメントマ
ークと基体のアライメントマークとにより基体と樹脂製
スタンパとの間の位置合わせを行なうのが好ましい(請
求項16)。
【0036】ここで、基体及び樹脂製スタンパのアライ
メントマークは、画像認識可能なアライメントマークと
し、例えばCCDカメラ等の受像機を用いて、基体のア
ライメントマークと樹脂製スタンパのアライメントマー
クとが重なり合うようにすることで、基体と樹脂製スタ
ンパとの間の位置合わせを行なうのが好ましい。また、
樹脂製スタンパのアライメントマークを孔により構成
し、また、この孔に挿通しうるピンを有し、基体を所定
位置に載置するテーブルを備えるものとし、樹脂製スタ
ンパを載置する工程で、ピンに孔を挿通することにより
基体と樹脂製スタンパとの間の位置合わせを行なうのも
好ましい(請求項17)。
【0037】また、基体が、樹脂フィルムにより構成さ
れ、所望の積層数を有する積層体上に樹脂フィルムを接
着するように構成するのが好ましい(請求項18)。請
求項19記載の本発明の光メモリ素子は、光硬化性樹脂
からなるクラッド層及び光硬化性樹脂からなるコア層が
連続して複数積層されてなる積層体を基体としての樹脂
フィルムで挟んだ構造を有することを特徴としている。
【0038】好ましくは、樹脂フィルムがアライメント
マークを有する(請求項20)。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態にかか
る光透過性スタンパ及びその製造方法並びに光メモリ素
子の製造方法及び光メモリ素子について、図面を参照し
ながら詳細に説明する。 (1)光透過性スタンパの構造 本実施形態にかかる光透過性スタンパは、光メモリ素子
を製造するのに用いられるものであり、後述するように
光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬
化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過しう
るものとして構成される。
【0040】この光透過性スタンパ(光メモリ素子作製
用スタンパ)は、例えば図1に示すように、表面に結像
させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹
凸形状;ピット)を刻まれたスタンパ面を有するスタン
パ層としてのクラッド層10と、接着層としてのコア層
11と、ベース(基体,ベース層,基体層)としての樹
脂フィルム(樹脂フィルム層,樹脂製基体層,ベースフ
ィルム層)12とを備える3層構造となっており、クラ
ッド層10にコア層11を介して樹脂フィルム12が接
着されて構成される。
【0041】このように、本実施形態では、光透過性ス
タンパ13を、クラッド層10、コア層11及び樹脂フ
ィルム12により構成し、可撓性を有するフィルム状ス
タンパ(フィルムスタンパ)として構成している。ここ
では、クラッド層10,コア層11及び樹脂フィルム1
2は、いずれも、使用光波長域[光メモリ素子を製造す
る際にコア材やクラッド材を硬化させるために照射する
光(例えば紫外線)の波長域]において透明のもの(即
ち、光を透過できるもの)を用いている。このため、ク
ラッド層10を光透過性クラッド層(例えば紫外線透過
性クラッド層)、コア層11を光透過性コア層(例えば
紫外線透過性コア層)、樹脂フィルム12を光透過性樹
脂フィルム(例えば紫外線透過性樹脂フィルム)とい
う。
【0042】このうち、クラッド層10を形成するクラ
ッド材としては、紫外線(UV光)を照射することによ
り硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性
樹脂材)を使用し、表面に結像させたい画像(情報)に
応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を形成
された金属製スタンパ(例えばニッケル製スタンパ)1
のスタンパ面(凹凸パターン,凹凸形状)上に、この紫
外線硬化性樹脂材を塗布した後、紫外線を照射して完全
に硬化させることで樹脂製のクラッド層10を形成す
る。
【0043】樹脂フィルム(ベースフィルム)12とし
ては、例えば、ポリカーボネート,アートン(JSR株
式会社製,登録商標)などの非晶質ポリオレフィンや、
PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリ
エチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PEN
はさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルム1
2が好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一
な厚みのフィルムを得られやすいので好適)である。特
に、アートンよりも剛性のあるPETやポリカーボネー
トが好ましい。
【0044】また、ここでは、樹脂フィルム12とし
て、枚葉のフィルムを用いているが、連続フィルムを用
いても良い。つまり、フィルム上へのクラッド材、コア
材のダイコータ,マイクログラビア,バーコータ等によ
る塗布、スタンパを加圧した状態でのコア材,クラッド
材の硬化等のプロセスを組み合わせることにより、基体
としての樹脂フィルム上にコア層及びクラッド層を積層
させて、光透過性スタンパ13を作製しても良い。
【0045】コア層11は、クラッド層10と樹脂フィ
ルム12とを接着する接着剤として機能するものであ
り、紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコ
ア材により形成される。このようにしているのは、コア
材11は後述の光メモリ素子の材料として用いられるも
のであるため、材料を共用化でき、また、光硬化性樹脂
や熱硬化性樹脂等からなるコア材11は樹脂フィルム1
2との接着性に優れており、好適であるからである。
【0046】ところで、このような光透過性スタンパ1
3には、その端部にアライメントマーク(位置決め部,
位置決めマーク;例えば画像認識可能なアライメントマ
ーク)が形成されている。そして、後述するように、光
メモリ素子を製造する際に、この光透過性スタンパ13
のアライメントマークと、後述するベースフィルム(基
体)に形成されるアライメントマーク(位置決め部,位
置決めマーク;例えば画像認識可能なアライメントマー
ク)と重ね合わせることで(例えばCCDカメラ等の受
像機を用いた画像認識的な手法によって行なう)、光透
過性スタンパ13を載置する際の位置合わせを、簡単
に、かつ、正確に行なえるようになっている。
【0047】なお、光透過性スタンパ13の位置合わせ
は、これに限られるものではない。例えば、光透過性ス
タンパ13の端部に複数の孔(パンチ孔,ピン孔,アラ
イメントマーク,位置決め部,位置決め孔)を設ける。
また、ベースフィルムを所定位置に載置するテーブル上
に、これらの複数の孔に挿通しうる複数のピン(位置決
めピン,位置決め部材)を設け、これらの複数のピンに
複数の孔を差し込むことで、光透過性スタンパ13の位
置決めを機械的に行なうようにしても良い。
【0048】この場合、予め、この光透過性スタンパ1
3の位置決めに用いる複数のピンの位置を基準にしてベ
ースフィルムの位置合わせを行なって、ベースフィルム
をテーブル上の所定位置に載置させておき、このように
して位置決めされたベースフィルム上に、ピンに対して
孔を差し込みながら光透過性スタンパ13を載置すれば
良い。なお、ベースフィルムの位置合わせは、種々の方
法によって行なうことができ、例えばCCDカメラ等の
受像機を用いた画像認識的な手法によって行なえば良
い。
【0049】これによれば、上述のように、例えば光透
過性スタンパ13上に画像認識可能なアライメントマー
クを設ける場合には、このアライメントマーク部分には
紫外線が照射されないようにするため、接着層のアライ
メントマークに相当する部分が十分に硬化しないまま、
光透過性スタンパ13が剥離されることになるのに対
し、このような不十分な硬化部分ができないようにする
ことができる。
【0050】なお、ここでは、コア層(コア材)11や
クラッド層(クラッド材)10という用語を用いている
が、これらは単に後述するような光メモリ素子を構成す
るコア層(コア材)やクラッド層(クラッド材)と同様
の樹脂を用い、光メモリ素子を製造する場合と同様の方
法で塗布したり、硬化させたりするようにして、材料や
製造設備を共用しているため、便宜上、このような用語
を用いているにすぎず、光メモリ素子のように所定の屈
折率のコア層(コア材)及びクラッド層(クラッド材)
を用いることを意味するものではない。
【0051】また、ここでは、クラッド層10に金属性
スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコ
ア材11を介して樹脂フィルム12に接着しているが、
これに限られるものではなく、クラッド層10に金属性
スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのク
ラッド材を介して樹脂フィルム12に接着しても良いし
(この場合、クラッド層と樹脂フィルムとの2層構造と
なる)、また、コア層に金属性スタンパ1の凹凸パター
ンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フ
ィルムに接着しても良いし、さらに、コア層に金属性ス
タンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア
材を介して樹脂フィルムに接着しても良い(この場合、
コア層と樹脂フィルムとの2層構造となる)。
【0052】また、コア材11やクラッド材10は、塗
布時には液体で(流動性があり)、その後、硬化させる
ことのできる樹脂であれば何でも良く、上述の紫外線硬
化性樹脂以外の光硬化性樹脂や熱を加えることで硬化す
る熱硬化性樹脂等の所望の硬化性樹脂を適用してもよ
い。また、熱溶融性樹脂を用いても良い。特に、金属製
スタンパ1による転写を行なうクラッド材(クラッド
層)10は、屈折率が特定値のものを用いる必要はな
く、上記の紫外線硬化性樹脂を適用するのが好ましく、
例えば、アクリル系,エポキシ系,チオール系の各樹脂
などがよい。
【0053】一方、接着剤(接着層)としてのコア材
(コア層)11は、屈折率が特定値のものを用いる必要
はなく、使用光波長域で透明で、且つ、接着後に簡単に
剥がれないものであれば、どのようなものを適用しても
良い。例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホッ
トメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可
能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シ
アノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等があ
る。但し、樹脂フィルムやクラッド層との材質を考慮し
て接着相性の良い組み合わせを選定するのが好ましい。
【0054】さらに、光透過性スタンパ13を保持する
基体を樹脂フィルム12により構成しているのは、金属
製スタンパ1上への貼着、剥離を行ないやすく、生産
性、作業性の点で好ましいからであるが、樹脂フィルム
12に限られるものではなく、例えば各種の硬化性樹脂
を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かして塗布し、
乾燥させたりして、樹脂製基体を構成しても良い。
【0055】また、ここでは、クラッド層10、コア層
11及び樹脂フィルム12により構成される光透過性ス
タンパ13をフィルム状のものとして構成しているが、
必ずしもフィルム状のものである必要はなく、例えばフ
ィルム状のものよりも厚さが厚いプレート状のもの(プ
レート状スタンパ,プレートスタンパ)であっても良
く、その厚さは特に問題とならない。
【0056】このように、光透過性スタンパ13は、光
メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化
させるために照射する光(例えば紫外線)を透過できる
ものであれば、その材料や厚さ等は上述のものに限られ
ない。例えば、光メモリ素子を製造する際にコア材又は
クラッド材を硬化させるために照射する紫外線(UV
光)を透過するものとしては、樹脂のほか、ガラスや石
英などもあり、これらを材料として光透過性スタンパ1
3を構成しても良い。但し、光メモリ素子の製造工程
上、光透過性スタンパ13の貼着(ラミネート)を行な
う必要がある等、光透過性スタンパ13に柔軟性が要求
される場合や光メモリ素子の製造工程と同様の工程によ
り光透過性スタンパ13を製造する場合には、光透過性
スタンパ13は樹脂製とするのが好ましい。
【0057】また、本実施形態では、後述するように、
コア材11及びクラッド材10として紫外線硬化性樹脂
を用いるため、光透過性スタンパ13は少なくとも紫外
線を透過しうる紫外線透過性スタンパであれば良い。ま
た、本実施形態では、光透過性スタンパ(フィルムスタ
ンパ,プレートスタンパ)13を平面状とした平面状ス
タンパとして用いているが、これに限られるものではな
く、例えば可撓性のあるフィルム状の光透過性スタンパ
をロールに巻き付けることによりロール状としたロール
状スタンパ(ロールスタンパ)として用いても良い。こ
のようにロールスタンパとすれば、スタンパからの転写
プロセスの生産性を向上させることができるようにな
る。
【0058】(2)光透過性スタンパの製造方法 まず、図2(A)に示すように、結像させたい画像(情
報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)
を転写しうるように、凹凸パターンを表面に刻まれた金
属製スタンパ(例えばニッケル製スタンパ等,原盤,硬
質スタンパ)1の凹凸パターンを有するスタンパ面上
に、所定の膜厚(例えば約6μm)となるようにクラッ
ド材(液状クラッド樹脂)10を塗布して、完全に硬化
させる。このようにしてクラッド材10を完全硬化させ
ると、表面に凹凸パターンを有する金属製スタンパ1か
ら凹凸パターンが転写されて、凹凸パターンを有する樹
脂製のクラッド層(スタンパ層)10が形成される(転
写工程)。なお、クラッド層10として機能する所望の
樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を
採っても良い。また、この凹凸パターンは、実際には、
例えばCD(コンパクトディスク)におけるピットのよ
うに平面上に散在している。
【0059】その後、図2(B)に示すように、その表
面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μ
m)となるように、接着剤として機能しうる紫外線硬化
性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材(液状コア
樹脂,液状光硬化性樹脂)11を塗布し、不完全硬化さ
せる。なお、コア層11として機能する所望の樹脂材を
溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても
良い。
【0060】ここで、不完全硬化とは、塗布されたコア
材の全体を不完全に硬化させることをいう。このよう
に、コア材11を不完全硬化させることで、コア材11
を塗布することにより形成される塗布膜の粘度を上げ
て、後述するように樹脂フィルム12をラミネート(貼
着)する際に、コア材11により形成される接着層の膜
厚変動が生じないようにしているのである。
【0061】なお、ここでは、後述するように、塗布さ
れたコア層11の表面上に樹脂フィルム12をラミネー
トする際に接着層の膜厚変動が生じないように、コア材
11を不完全硬化させているが、コア材11を不完全硬
化させるのは必須でなく、この工程は省略することもで
きる。例えば、コア層11上に樹脂フィルム12をラミ
ネートする際には、ローラによって樹脂フィルム12を
加圧することでコア層11上にラミネートしていくが、
樹脂フィルム12がローラによって加圧される直前ま
で、樹脂フィルム12が接着層としてのコア層11と接
しないように樹脂フィルム12を保持する保持機構を設
ければ、コア材11を不完全硬化させなくても接着層の
膜厚変動を生じさせないようにしながら、コア層11上
に樹脂フィルム12をラミネートすることができる。
【0062】なお、コア材11やクラッド材10の塗布
方法には、例えば、スピンコート法,ブレードコート
法,グラビアコート法,ダイコート法等があるが、塗布
膜厚と均一性を満足すればどのような塗布方法を用いて
もよい。次に、このコア層11の表面上に、例えば図2
(B)に示すように、気泡が入らないようにベース(基
体)としての樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベー
スフィルム)12をローラ等で加圧しながら載置する。
つまり、クラッド材10にコア材11を介して樹脂フィ
ルム12を貼着(ラミネート)する。
【0063】次いで、図2(B)に示すように、上述の
ように樹脂フィルム12を貼着した状態で、樹脂フィル
ム12側(金属製スタンパ1の反対側)から紫外線を照
射してコア材11を完全に硬化させれば、樹脂製のコア
層11が形成されるとともに、樹脂フィルム12とクラ
ッド層10とがコア層11を介して接着される。このよ
うに、凹凸パターンを転写されたクラッド層10に樹脂
フィルム12を接着する工程を、接着工程という。
【0064】そして、図2(C)に示すように、金属製
スタンパ1からコア層11とクラッド層10と樹脂フィ
ルム12とを一体として剥離(分離)し(分離工程)、
図2(D)に示すように、樹脂フィルム12を樹脂製基
体層とし、その上に樹脂製のコア層11、さらにその上
に金属製スタンパ1の凹凸パターン(以下、単に「凹
凸」ともいう)を転写(形成)した樹脂製のクラッド層
10が積層された、光メモリ素子製造用の光透過性スタ
ンパ(ここでは、フィルムスタンパ)13が作製され
る。
【0065】本実施形態では、さらに、図2(D)に示
すように、金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写した
樹脂製のクラッド層10の凹凸パターンを有する面に対
して、紫外線を照射して、さらに硬化させることで、ク
ラッド層2に形成される凹凸パターン(凹凸形状;ピッ
ト)の接着性をより低下させるようにしている(これを
オーバキュア処理という)。好ましくは、例えば約12
0℃程度の高温処理を行なう。この高温処理時間は、約
1時間程度とするのが好ましい。これにより、さらに接
着性を低下させることができる(これもオーバキュア処
理という)。このようなオーバキュア処理を行なうこと
で、光メモリ素子を構成するコア材又はクラッド材から
の光透過性スタンパ13の剥離性を向上させるようにし
ている。
【0066】(3)光透過性スタンパ13による作用・
効果等 本実施形態にかかる光透過性スタンパの構造及びその製
造方法によれば、光メモリ素子を製造する際にクラッド
材やコア材を硬化させるための光を透過させうる光透過
性スタンパ(フィルムスタンパ)13を、金属製スタン
パ1の凹凸パターンを硬化性樹脂に転写するだけで製造
できるため、スタンパを容易に作製できるという利点が
ある。
【0067】また、光透過性スタンパ13を、表面に凹
凸を有する光透過性樹脂により構成しているため、柔軟
性(可撓性)があり、光メモリ素子を構成するクラッド
層及びコア層からなる積層体から剥離(分離)し易いと
いう利点もある。さらに、高価な金属製スタンパ1は1
枚作れば良く、1枚の金属製スタンパ1から複数枚の光
透過性の樹脂製スタンパ(フィルムスタンパ)13を作
製できるため、安価にスタンパを作製できるという利点
もある。つまり、複数層(例えば10層)の異なる情報
層を積層する場合、複数枚(例えば10枚)の金属製ス
タンパ1を作製する必要がなく、複数層分(例えば10
層分)のデータを1枚の金属製スタンパ1に記録すれ
ば、1枚の金属製スタンパ1から複数種類(例えば10
種類)の光透過性スタンパ13を切り出して作れるた
め、複数枚のスタンパを安価に作製でき、スタンパの作
製にかかるコストを低く抑えることができるのである。
例えば積層数を増やして100層程度にしたい場合に、
100層分のスタンパを安価に作製でき、スタンパの作
製コストを低減することができる。
【0068】この場合、上述の光透過性スタンパの製造
方法は、上述のようにして作製される1枚の光透過性の
樹脂製スタンパ(樹脂フィルム及び硬化性樹脂;この大
きさは金属製スタンパの大きさに相当する)1を、所望
の大きさに切断して複数枚とする切断工程を含むものと
し、これにより、1枚の金属製スタンパ1から複数層分
(複数枚,複数種類)の光透過性の樹脂製スタンパ(フ
ィルムスタンパ)13を作製するようにすれば良い。
【0069】ここで、所望の大きさは、例えば媒体の大
きさによって決定する。例えば媒体の大きさがクレジッ
トカードサイズならば、所望の大きさもクレジットカー
ドサイズとする。この場合、金属製スタンパ1上には、
複数層分(複数枚,複数種類)の樹脂製スタンパ13を
作製するのに必要なデータを、所望の範囲(例えば各層
毎のデータをパターニングするのに必要な範囲)毎に領
域を分けて、凹凸パターンとしてパターニングしてお
く。
【0070】このように、1枚の金属製スタンパ1から
複数枚の光透過性の樹脂製スタンパ13を作製するよう
にすれば、スタンパの製造コストを低く抑えることがで
き、これにより、光メモリ素子作製コストも低く抑えら
れ、ひいては光メモリ素子の価格を下げることができる
こととなる。つまり、一般に、金属製スタンパ1は、そ
の大きさにかかわらず製造コストが高く、光メモリ素子
作製コスト全体の中での金属製スタンパ1の製造コスト
の占める割合は大きいため、金属製スタンパ1をたくさ
ん作ると、金属製スタンパ1の製造コストの影響で、光
メモリ素子が高価なものとなってしまう。特に、本実施
形態にかかる光メモリ素子のように、層数が多いもの
(例えば多いものでは100層程度)では、各層毎に異
なる別々のスタンパを作製することが必要であるため、
金属製スタンパ1の製造コストの光メモリ素子の価格に
与える影響は大きい。このため、金属製スタンパの数を
減らすのは、コスト低減の重要なポイントとなる。
【0071】これに対し、上述のように、1枚の金属製
スタンパ1から複数枚の光透過性の樹脂製スタンパ13
を作製するようにすれば、スタンパの製造コスト(光メ
モリ素子作製コスト)を低く抑え、光メモリ素子の価格
を下げることができるのである。このように1枚の金属
製スタンパ1から複数種類の光透過性の樹脂製スタンパ
13を作製できるため、光メモリ素子を製造するのに、
同時に複数の光メモリ素子製造装置(光メモリ素子作製
装置)を稼動させることができるため、スタンパの作製
コストを低減しながら、光メモリ素子の製造効率を上げ
ることができる。
【0072】つまり、一般に1枚の金属製スタンパ1の
凹凸パターンを形成する面は複数種類の凹凸パターンを
形成するのに十分な面積を有しているにもかかわらず、
1つの光メモリ素子製造装置で光メモリ素子を製造する
際には、複数の凹凸パターンを同時に使用することはで
きないため、結局、1枚の金属製スタンパ1に複数種類
の凹凸パターンを形成しても、光メモリ素子の製造効率
を上げることはできないが、1枚の金属製スタンパ1か
ら複数種類の光透過性の樹脂製スタンパ13を作製する
ことで、複数のスタンパを同時に使用できるようにな
り、スタンパの作製コストを低減しながら、光メモリ素
子の製造効率を上げることができるようになる。
【0073】なお、上述したように、1枚の金属製スタ
ンパ1から作製される1枚の光透過性の樹脂製スタンパ
13を所望の大きさに切断し、このように切断したもの
をスタンパとして用いるようにしても良いが、これに限
られるものではなく、例えば1枚の金属製スタンパ1か
ら作製される1枚の光透過性の樹脂製スタンパ13を所
望の大きさに切断し、切断された複数枚の樹脂製スタン
パ(樹脂フィルム及び硬化性樹脂)13′を1枚のベー
ス上に並置し(並置工程)、これをスタンパとして用い
るようにしても良い。
【0074】この場合、まず、1枚の金属製スタンパ1
から複数層分(複数枚,複数種類)の光透過性の樹脂製
スタンパ13を作製する場合、金属製スタンパ1上に
は、複数層分(複数枚,複数種類)の樹脂製スタンパ1
3を作製するのに必要なデータを、所望の範囲(例えば
各層毎のデータをパターニングするのに必要な範囲)毎
に領域を分けて、凹凸パターンとしてパターニングして
おく。
【0075】次に、上述の光透過性スタンパの製造方法
と同様に、このような1枚の金属製スタンパ1から凹凸
パターンを転写して、この金属製スタンパ1の大きさに
相当する大きさの1枚の樹脂製スタンパ(樹脂フィルム
及び硬化性樹脂)13を作製する(転写工程,接着工
程,分離工程)。次いで、この1枚の樹脂製スタンパ1
3を所望の大きさ(例えば各層毎のデータをパターニン
グするのに必要な範囲)に分けて切断して(切断工
程)、複数枚の樹脂製スタンパ片(樹脂フィルム及び硬
化性樹脂)13′とする。
【0076】次いで、このようにして切断された複数枚
の樹脂製スタンパ片13′を、1枚のベース(例えばガ
ラス基板,樹脂基板,樹脂フィルム等;ベース基板,ベ
ースフィルム)上に並置し、接着剤で接着して(貼り合
わせ)、各層に対応するスタンパ部分を有する1枚の大
きな光透過性スタンパを作製する。ここで、ベースの大
きさは任意であるが、例えば金属製スタンパ1の大きさ
と同程度の大きさとする。つまり、例えば金属製スタン
パ1が直径約15cmであるとすると、ベースを正方形
とする場合、その一辺を約20cmとする。
【0077】また、ベース上へ並置する際には、金属製
スタンパ1上に作製された状態の配置と同じ配置で並べ
ても良いし、金属製スタンパ1上に作製された状態の配
置とは異なる所望の配置に並べ替えて配置しても良い。
例えば、金属製スタンパ1上には同じ凹凸パターンを連
続させて形成しておき、ベース上に並置する際に、同一
層の凹凸パターンを有するものを集めて、所望の範囲
(例えば各層毎のデータをパターニングするのに必要な
範囲)毎に領域を分けて、配置するようにしても良い。
【0078】また、金属製スタンパ1上に作製された状
態の配置とは異なる所望の配置に並べ替えて配置する場
合としては、例えば、以下のようにすれば良い。つま
り、金属製スタンパ1上に光メモリ素子の各層を構成す
る凹凸パターンを領域を分けて形成し、この金属製スタ
ンパ1を用いて、各層の凹凸パターンを有する光透過性
スタンパを複数枚作製する。次に、これらの複数枚の光
透過性スタンパをそれぞれ各層の凹凸パターンを有する
領域毎に切断し、同一層の凹凸パターンを有するものを
集めて、同一のベース上に並置して、一の層の凹凸パタ
ーンを複数備える光透過性スタンパを各層毎に作製す
る。
【0079】このような各層毎の光透過性スタンパを用
いれば、一の層の凹凸パターンを複数備える積層体(ク
ラッド層及びコア層を積層させてなるクラッド/コア部
材;樹脂フィルムを含む場合もある)を各層毎に作製す
ることができ、これらの各層毎の積層体を積層させた後
にまとめてカット(切断)するだけで、複数層の凹凸パ
ターンを積層させた同一の光メモリ素子を複数作製でき
るようになる。したがって、以下のような作用,効果が
ある。
【0080】つまり、光メモリ素子の各層を構成する凹
凸パターンを有する金属製スタンパ1を用いて光メモリ
素子を作製する場合には、例えば、この金属製スタンパ
1を用いて各層の凹凸パターンを有する積層体を複数枚
作製し、それぞれ各層の凹凸パターン毎に切断した後、
各層の凹凸パターンを積層させて、複数層の凹凸パター
ンを積層させた光メモリ素子を作製することになるが、
これでは、特に、同一の光メモリ素子を大量に作製する
場合には、切断された各層の凹凸パターンを積層させる
工程を繰り返し行なう必要があり、積層させる際には正
確に位置合わせを行なわなくてはならないため、時間が
かかり、効率的でない。これに対し、上述のような方法
によって光メモリ素子を作製すれば、位置合わせが比較
的容易であり、短時間で、効率的に、同一の光メモリ素
子を大量に作製できるようになる。
【0081】なお、ここでは、金属製スタンパ1から凹
凸パターンを転写されて作製された1枚の樹脂製スタン
パ13を切断し、複数枚の樹脂製スタンパ13を1枚の
ベース上に並置し、接着して、これを光透過性スタンパ
としているが、これに限られるものではなく、金属製ス
タンパ1から凹凸パターンを転写されて作製された1枚
の樹脂製スタンパ13を切断し、複数枚の樹脂製スタン
パ13を1枚のベース上に並置し、接着したものを、1
枚の転写用スタンパとして用い、この1枚の転写用スタ
ンパの凹凸パターンを他の光透過性の硬化性樹脂に再転
写して(再転写工程)、各層に対応するスタンパ部分を
有する1枚の大きな光透過性スタンパを作製するように
しても良い。
【0082】このように、さらに他の光透過性の硬化性
樹脂に再転写しているのは、金属製スタンパ1から転写
して作製される樹脂製スタンパ13をベース上に接着し
たものを、そのまま光透過性スタンパとして用いると、
ベース及び接着剤等によって膜厚が厚くなっているた
め、光透過性が良好とはいえない場合があるためであ
る。
【0083】さらに、光透過性の樹脂製スタンパ13
は、金属製スタンパ1に比べて安価なので使い捨てとす
ることもでき、劣化したら捨ててしまえば良いため、金
属製スタンパ1のようにクリーニング等の必要もなく、
保守・管理も容易である。また、光透過性の樹脂製スタ
ンパ13を用いるようにすれば、樹脂製スタンパの耐久
性にもよるが、一般には金属製スタンパ1は数回使用す
るだけで済むため、金属製スタンパ1の保守・管理やク
リーニング等も容易になる。
【0084】また、光透過性の樹脂製スタンパ13の材
料として、上述のようにクラッド材10やコア材11を
用いれば、光メモリ素子の材料と同じ材料を用い、同じ
製造設備を用いて製造できることになるため、専用の材
料を調達することなく、既存の設備を用いて光透過性の
樹脂製スタンパ13を製造できるという利点がある。つ
まり、後述の光メモリ素子を製造する場合と同じ材料を
用いれば、スタンパ作製用の材料を別途調達する必要が
なく(即ち、使用材料点数を増加することなく)、さら
に光メモリ素子を製造する場合と同様の方法で塗布した
り、硬化させたりすることができるため、光透過性スタ
ンパ13を製造するために別途製造設備を設けることな
く、光メモリ素子を製造するために用いられる製造設備
を用い、同様の方法で光透過性スタンパ13を簡易に製
造することができることになる。
【0085】また、本光透過性スタンパを用いて光メモ
リ素子を製造すれば、コア層及びクラッド層を樹脂製に
し、上記の凹凸パターンを簡易に形成できるようにし
て、光メモリ素子を容易かつ安価に実現できるようにす
る場合に、後述するように、光透過性の樹脂製スタンパ
13の裏面側から紫外線を照射することができるため、
積層数を増やしていっても、常に硬化させたいコア材3
[図3(E)中、符号3′で示す]に紫外線を照射させ
ることができるようになり、光メモリ素子の製造工程
(特に、コア層及びクラッド層を積層する工程)の効率
化,簡略化を図りながら、大容量化を実現すべく積層数
を増やして所望の積層数(例えば100層程度)まで多
層化した光メモリ素子を製造できるようになる。
【0086】なお、ここでは、金属製スタンパ1の凹凸
パターンを、後述する光メモリ素子の製造方法と同様の
方法により転写するようにしているが、光透過性スタン
パ13の製造方法はこれに限られるものではなく、例え
ば、金属製スタンパ1から、例えば上述の樹脂フィルム
4の材料と同様の材料、即ちポリカーボネート,アート
ン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィン
や、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN
(ポリエチレンナフタレート)等の材料を用いて、例え
ば射出成形等により光透過性スタンパ13を製造しても
良い。これにより、クラッド材10やコア材11を硬化
させるための光を透過させることができ、柔軟性(可撓
性)があり、さらにクラッド層及びコア層からなる積層
体から剥離(分離)し易い、一体成形の光透過性スタン
パ13を製造できることになる。(4)光メモリ素子の
製造方法及びこの方法により製造される光メモリ素子次
に、上述のようにして製造される光透過性スタンパ13
を用いて、コア層とクラッド層との界面のパターニング
を行ないながら、コア層及びクラッド層を積層させて光
メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法につい
て、図3に示す模式的側面図を参照しながら説明する。
【0087】本実施形態では、光透過性の樹脂製スタン
パ13を剥離しやすくするために、結像させたい画像
(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凸形状;ピッ
ト)を、コア材に転写するようにしている。これは、一
般にクラッド材は硬化が早すぎるため、光透過性の樹脂
製スタンパ13を容易に剥離させることができる程度に
硬化させるのが難しいからである。
【0088】始めに、図3(A)に示すように、光メモ
リ媒体用ベース基板(ベース材)20上に、所定の膜厚
(例えば、完全硬化時に約15〜約20μm)となるよ
うにクラッド材(液状クラッド樹脂)2を塗布する。こ
のクラッド材2としては、本実施形態では、紫外線(U
V光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂
材(UV樹脂材)から成るものを使用し、このように光
メモリ媒体用ベース基板20の表面上へ塗布した後、紫
外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッ
ド層2を形成する。なお、クラッド層2として機能する
所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる
手法を採っても良い。
【0089】ここでは、光メモリ媒体用ベース基板20
として、例えばガラス基板,ポリカーボネートからなる
基板(ポリカーボネート基板),アートン(JSR株式
会社製)などの非晶質ポリオレフィンからなる基板(非
晶質ポリオレフィン基板)等の硬度の高い材質の硬質基
板(例えば厚さ約0.1mm〜約3mm程度、好ましく
は約1mm程度)を用いる。
【0090】これにより、光メモリ媒体用ベース基板2
0の強度によって、光メモリ媒体用光メモリ媒体用ベー
ス基板20上に、クラッド層2及びコア層3を積層させ
ていく際に、クラッド材2やコア材3としての紫外線硬
化性樹脂材が硬化時に収縮し、反り(反曲,カール)が
生じるのを防止できることになる。なお、光メモリ媒体
用ベース基板20は、クラッド材2やコア材3として用
いられる紫外線硬化性樹脂材に紫外線を照射した際の紫
外線硬化性樹脂の収縮に耐え、クラッド層2やコア層3
が反らないだけの強度を備えるものであれば何でも良
い。
【0091】上述のように硬質基板を用いることができ
るのは、以下の理由による。つまり、金属性スタンパを
用いる場合に、光メモリ媒体用ベース基板20を硬質基
板とすると、金属性スタンパを曲げる(撓ませる)のが
難しいため、金属製スタンパからクラッド層2及びコア
層3からなる積層体を剥離(分離)させるのが困難であ
る。このため、光メモリ媒体用ベース基板20として硬
質基板を用いることはできなかったが、本実施形態で
は、柔軟性(可撓性)のある光透過性の樹脂スタンパ
(フィルムスタンパ)13を用いるため、積層体からの
スタンパの剥離(分離)は容易であるから、光メモリ媒
体用ベース基板20として硬質基板を用いるのが可能に
なったのである。
【0092】このように硬質基板上にクラッド層及びコ
ア層を積層させていくため、反りが生じないように基体
(例えば樹脂フィルム等)の表面側と裏面側とに交互に
クラッド層やコア層を積層させていく必要がなくなり、
クラッド層及びコア層を連続して積層させていくことが
できるようになる。なお、この光メモリ媒体用ベース基
板としての硬質基板20には、射出成形やエッチング等
によりアライメントマーク(位置決めマーク)が形成さ
れる。そして、後述するように、光メモリ素子を製造す
る際に、この光透過性スタンパ13のアライメントマー
クと、後述するベースフィルム(基体)12に形成され
るアライメントマーク(位置決めマーク)と重ね合わせ
ることで、光透過性スタンパ13の位置合わせを容易
に、かつ、正確に行なえるようになっている。
【0093】次に、このようにクラッド材2を完全硬化
させた後、図3(B)に示すように、その表面上に、ク
ラッド層2よりも屈折率の大きい紫外線硬化性樹脂材か
ら成るコア材(液状コア樹脂)3を所定の膜厚(完全硬
化時に約1.8μm程度)になるように塗布した後、紫
外線を照射して不完全硬化させる。なお、コア層3とし
て機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・
乾燥させる手法を採っても良い。
【0094】ここで、不完全硬化とは、塗布された全コ
ア材の半分程度を硬化させることをいう。このように、
コア材3を不完全硬化させることで、コア材3を塗布す
ることにより形成される塗布膜の粘度を上げて、後述す
るように光透過性スタンパ13をラミネート(貼着)す
る際に、コア材3により形成される接着層の膜厚変動が
生じないようにしているのである。
【0095】なお、ここでは、後述するように、塗布さ
れたコア層3の表面上に光透過性スタンパ13をラミネ
ートする際に接着層の膜厚変動が生じないように、コア
材3を不完全硬化させているが、コア材3を不完全硬化
させるのは必須でなく、この工程は省略することもでき
る。例えば、コア層3上に光透過性スタンパ13をラミ
ネートする際には、ローラによって光透過性スタンパ1
3を加圧することでコア層3上にラミネートしていく
が、光透過性スタンパ13がローラによって加圧される
直前まで、光透過性スタンパ13が接着層としてのコア
層3と接しないように光透過性スタンパ13を保持する
保持機構を設ければ、コア材3を不完全硬化させなくて
も接着層の膜厚変動を生じさせないようにしながら、コ
ア層3上に光透過性スタンパ13をラミネートすること
ができる。
【0096】次いで、このようにしてコア材2を不完全
硬化させた後、図3(C)に示すように、その表面上
に、結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パタ
ーン(凸形状;ピット)を表面に刻まれた光透過性スタ
ンパ(フィルムスタンパ,樹脂製スタンパ)13を載置
する。ここでは、光透過性スタンパ13に形成されたア
ライメントマークと光メモリ媒体用ベース基板20に形
成されたアライメントマークとを重ね合わせるようにし
て、光メモリ媒体用ベース基板20に対する光透過性ス
タンパ13の位置合わせを行ないながら、コア層3の表
面上に光透過性の樹脂製スタンパ13をラミネート(貼
着)するようになっている。これにより、光透過性の樹
脂製スタンパ13から凹凸パターンを転写される複数の
コア層3間の位置合わせ(アライメント)が容易に、か
つ、正確に行なえるようになる。
【0097】かかる状態で、図3(B)に示すように、
ラミネートされた光透過性の樹脂製スタンパ13の裏面
側(樹脂フィルム12側,凹凸パターンを有する面の反
対側)から紫外線を照射して、この光透過性スタンパ1
3を透過した紫外線によってコア材3を一部不完全硬化
させる。ここで、一部不完全硬化とは、コア材の一部の
みが完全には硬化せずに不完全に硬化することをいい、
例えば空気に触れているために硬化の遅いコア層のエッ
ジ部のみが完全には硬化せずに不完全に硬化する状態を
いう。
【0098】このように、コア層3を完全硬化させずに
一部不完全硬化としているのは、光透過性スタンパ13
をラミネートした状態でコア層3を完全に硬化させてし
まうと、コア層3から光透過性スタンパ13を剥離させ
ることができなくなるからである。次に、図3(C)に
示すように、光透過性の樹脂製スタンパ13を光メモリ
媒体用ベース基板20上に積層された積層体のコア層3
から剥離(分離)した後、光透過性の樹脂製スタンパ1
3の凹凸パターン(以下、単に「凹凸」ともいう)が転
写(形成)された樹脂製のコア層3に対して紫外線を照
射して、コア層3を完全硬化させる。これにより、光メ
モリ媒体用ベース基板20上に樹脂製のクラッド層2、
さらにその上に光透過性の樹脂製スタンパ13の凹凸パ
ターンを転写された樹脂製のコア層(記録層,光導波
路)3が積層される。なお、この凹凸パターンは、実際
には、例えばCD(コンパクトディスク)におけるピッ
トのように平面上に散在している。
【0099】次に、図3(D)に示すように、コア層3
の表面上に、所定の膜厚(例えば、完全硬化時に約15
〜約20μm)となるように、コア層3よりも屈折率の
小さい紫外線硬化性樹脂材からなるクラッド材(液状ク
ラッド樹脂)2′を塗布した後、紫外線を照射して完全
に硬化させることで樹脂製のクラッド層2′を形成す
る。これにより、光メモリ媒体用ベース基板20上に、
クラッド層2、コア層3、クラッド層2′を積層した積
層体として1層分の光メモリ素子(クラッド/コア/ク
ラッド部材,スラブ型光導波路デバイス)232′が形
成される。
【0100】このようにクラッド材2′を完全硬化させ
た後、図3(D)に示すように、その表面上に、クラッ
ド層2′よりも屈折率の大きい紫外線硬化性樹脂材から
成るコア材(液状コア樹脂)3′を所定の膜厚(完全硬
化時に約1.8μm程度)になるように塗布した後、紫
外線を照射して不完全硬化させる。なお、ここでは、後
述するように、塗布されたコア層3′の表面上に光透過
性スタンパ13′をラミネートする際に接着層の膜厚変
動が生じないように、コア材3′を不完全硬化させてい
るが、コア材3′を不完全硬化させるのは必須でなく、
この工程は省略することもできる。
【0101】例えば、コア層3′上に光透過性スタンパ
13′をラミネートする際には、ローラによって光透過
性スタンパ13′を加圧することでコア層3′上にラミ
ネートしていくが、光透過性スタンパ13′がローラに
よって加圧される直前まで、光透過性スタンパ13′が
接着層としてのコア層3′と接しないように光透過性ス
タンパ13′を保持する保持機構を設ければ、コア材
3′を不完全硬化させなくても接着層の膜厚変動を生じ
させないようにしながら、コア層3′上に光透過性スタ
ンパ13′をラミネートすることができる。
【0102】次いで、このようにしてコア材3′を不完
全硬化させた後、図3(E)に示すように、その表面上
に、別の結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸
パターン(凸形状;ピット)を表面に刻まれた光透過性
スタンパ13′を載置する。かかる状態で、ラミネート
された光透過性スタンパ13′の裏面側から紫外線を照
射して、この光透過性スタンパ13′を透過した紫外線
によってコア材3′を一部不完全硬化させる。
【0103】このように、光透過性スタンパ13′が透
明であり、光透過性スタンパ13′の裏面側から紫外線
(UV)を照射することができるため、今回の工程で硬
化させたいコア材3′とは別の前の工程で既に硬化され
て積層されているコア層3やクラッド層2による紫外線
吸収(UV吸収)の影響を受けずに、今回の工程で硬化
させたいコア材3′を確実に紫外線照射して硬化させる
ことができるようになる。これにより、従来よりもはる
かに積層数を増やすことができ、膜厚の制限を受けるこ
となく、所望の積層数(例えば100層程度)の光メモ
リ素子を製造できることになる。
【0104】以後、上述と同様の処理を繰り返すこと
で、光メモリ媒体用ベース基板20上に、例えば基体と
してのベースフィルム等を介装することなく、クラッド
層2及びコア層3を連続して所望の積層数(例えば10
0層程度)まで積層させて光メモリ素子を作製する。こ
れにより、クラッド/コア/クラッド部材232′を複
数積層させてなる所望の積層数(例えば100層程度)
の光メモリ素子が製造される。つまり、光メモリ媒体用
ベース基板20上に積層されたクラッド層2、コア層
3、クラッド層2′からなる積層体としての1層分の光
メモリ素子(クラッド/コア/クラッド部材)232′
に、他の凹凸パターンを転写されたコア層3′を積層
し、以後、順にクラッド層及びコア層を積層していくこ
とで、クラッド/コア/クラッド部材を複数積層させて
なる所望の積層数(例えば100層程度)の光メモリ素
子が製造されることになる。
【0105】ここでは、光メモリ媒体用ベース基板20
上に接着された状態の光メモリ素子が得られるため、予
め光メモリ媒体用ベース基板20としてカード形状の硬
質基板を用意しておけば、そのまま光カード等の光メモ
リ媒体とすることができる。もちろん、光カードとする
ためには、光メモリ媒体用ベース基板上に積層された光
メモリ素子の一部に例えば45°の切削面を形成し、さ
らに表面に保護フィルムを貼ったり、樹脂コートしたり
する等の工程が必要になる。
【0106】ところで、上述の説明において、コア材3
には、塗布時には液体で(流動性があり)、その後、硬
化させることのできる樹脂であれば、どのような樹脂を
適用しても良く、例えば、紫外線硬化性樹脂以外の光硬
化性樹脂や熱を加えることで硬化する熱硬化性樹脂等の
所望の硬化性樹脂を適用してもよい。ただし、上述のご
とくスタンパによる転写を行なう場合には、上記の紫外
線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂を適用するのが好まし
く、例えば、アクリル系,エポキシ系,チオール系の各
樹脂などが好ましい。
【0107】また、クラッド材2は、透明で屈折率がコ
ア材3よりも僅かに小さい物質(例えば樹脂)であれば
何でも良いが、上述のように紫外線硬化性樹脂等の各種
樹脂製のクラッド材とするのが好ましい。また、コア材
3やクラッド材2の塗布方法には、例えば、スピンコー
ト法,ブレードコート法,グラビアコート法,ダイコー
ト法等があるが、塗布膜厚と均一性を満足すればどのよ
うな塗布方法を用いてもよい。
【0108】上述のような光メモリ素子の製造方法によ
って製造される光メモリ素子は、以下のような構造を有
する。つまり、図4に示すように、ベース基板としての
硬質基板20(これが、光メモリカード等の光メモリ媒
体のベース材となる)上に、樹脂フィルム等の基体を介
在させることなく、樹脂製のクラッド層2(2a,2
b,2c,2d)、凹凸を有する樹脂製のコア層3(3
a,3b,3c)を連続して所望の積層数(ここではコ
ア層を4つ、クラッド層を3つ、合計7つ)だけ積層さ
せてなる光メモリ素子4が製造される。
【0109】これにより、樹脂製コア層3と、この樹脂
製コア層3の両面部に積層された樹脂製クラッド層2と
を備えるとともに、これらの樹脂製コア層3と樹脂製ク
ラッド層2との界面の少なくとも一方に凹凸部の設けら
れたスラブ型光導波路デバイス(光導波部材)が複数個
積層されて、積層数に応じた記憶容量を有する多層構造
の光メモリ素子4が製造されることになる。つまり、こ
のようにして製造される光メモリ素子によれば、クラッ
ド層及びコア層の間に樹脂フィルム等の基体を設けず
に、所望の積層数(例えば100層程度)までクラッド
層及びコア層を連続して積層されて構成されるため、光
メモリ素子の厚さ(膜厚)が薄くなり、その小型化を図
れるようになるとともに、光メモリ素子の大容量化を実
現することができるという利点がある。
【0110】なお、ここでは、図4に示すように、光メ
モリ素子4は、クラッド層2a,コア層3a,クラッド
層2bにより1個の光導波部材2a3a2bが形成さ
れ、またクラッド層2b,コア層3b,クラッド層2c
により他の1個の光導波部材2b3b2cが形成され
る。すなわち、クラッド層2bは、コア層3a,3bの
両方のクラッド層を兼ねている。このように、この光メ
モリ素子4においては、クラッド層2は1層でその両側
に位置するコア層3のクラッド層2を兼ねている。この
ため、1層分の光メモリ素子(クラッド/コア/クラッ
ド部材)を複数積層させてなる所望の積層数(例えば1
00層程度)の光メモリ素子とは、1つのクラッド層2
と1つのコア層3とで光メモリ素子の1層分と考え、こ
れが所望の積層数(例えば100層程度)まで積層され
てなる光メモリ素子であると見ることもできる。
【0111】また、このような光メモリ素子4では、光
導波路としてのコア層3に光を導入すると、その導入光
が界面の凹凸部分で散乱しながら伝播する。このときの
散乱光は導入光に対して上下方向(交差する方向)のそ
れぞれに伝播(透過)していき、最終的に光メモリ素子
4の両面部から外部へ放出され、凹凸パターンに応じた
画像が結像することになる。
【0112】(5)光メモリ素子の製造方法による作用
・効果等 本実施形態にかかる光メモリ素子の製造方法によれば、
コア層3とクラッド層2とがいずれも樹脂製なので、従
来のようにフォトレジストの露光と現像とを用いること
なく、光透過性の樹脂製スタンパ13からの転写により
凹凸のついたコア層3を簡単に形成することができ、光
メモリ素子4を、極めて容易に、かつ短時間で大量生産
することが可能となり、さらにコア層3及びクラッド層
2を多層に積層した多層構造の光メモリ素子4を安価、
かつ、早期に提供できるようになるという利点がある。
【0113】また、光透過性の樹脂製スタンパ13を用
いており、光透過性の樹脂製スタンパ13の裏面側から
紫外線を照射することができるため、積層数を増やして
いっても、常に硬化させたいコア材3[図3(E)中、
符号3′で示す]に紫外線を照射させることができるよ
うになり、これにより、積層数を増やして、所望の積層
数(例えば100層程度)とした多層化構造の光メモリ
素子4を製造できるという利点がある。
【0114】つまり、金属製スタンパ1を用いる場合に
は、金属製スタンパ1は光を透過しないため、既に積層
されたコア層やクラッド層を透過した紫外線によってコ
ア材を硬化させることになるが、ある程度以上の膜厚に
なると、硬化させたいコア材まで紫外線が届かず、金属
製スタンパ1からの転写を行なえなくなるのに対し、本
実施形態のように、光透過性の樹脂製スタンパ13を用
いる場合は、コア材3を硬化させるための紫外線をスタ
ンパ13を透過させて照射することができるため、膜厚
の制限を受けることなく、積層数を増やして、所望の積
層数(例えば100層程度)を有する多層化構造の光メ
モリ素子4を製造することができるようになる。
【0115】また、光メモリ媒体用ベース基板20上
に、クラッド層2及びコア層3を直接積層させていくこ
とができるため、光メモリ素子4の製造工程を簡略化す
ることができるという利点がある。つまり、例えば反り
の発生を抑制しながら、所望の積層数を有する多層化構
造の光メモリ素子を製造するために、クラッド層とコア
層とを2〜3層ずつ積層した積層体を複数作製し、これ
らを積み重ねて接着したり、基体の両面に交互にクラッ
ド層及びコア層を積層させていく等の工程を行なうこと
なく、単に光メモリ媒体用ベース基板20上に積層させ
ていくだけで良いため、光メモリ素子4の製造工程を簡
略化することができることになる。
【0116】さらに、光メモリ媒体用ベース基板20と
して硬質基板を用いており、例えば反りが生じてしまう
のを考慮してクラッド層2やコア層3の間に樹脂フィル
ム等を介在させることなく、硬質基板20上にクラッド
層2及びコア層3を積層させていくことができるため、
基体としての樹脂フィルム等の数をできるだけ少なくし
て光メモリ素子4の膜厚を薄くしながら、大容量化を図
るべく所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層し
た多層構造の実用的な光メモリ素子4を製造できるよう
になるという利点もある。
【0117】なお、ここでは、光メモリ媒体用ベース基
板20として硬質基板を用いているが、金属製スタンパ
1を用いる場合と同様に例えば樹脂フィルム等の基体を
ベース基体として使用しても良い。これにより、所望の
積層数を有する光メモリ素子4を製造できるようにな
る。この場合、多層化に伴いクラッド層2又はコア層3
を構成する樹脂の硬化時の収縮反りが蓄積して大きくな
っていくので、金属製スタンパ1を用いた場合と同様
に、適宜、フィルムを挟んで反りを抑えるために、基体
のクラッド層やコア層を積層する側とは反対側の面に、
同等の収縮率を有する部材を貼り付けたり、又は、基体
の両面に交互にクラッド層及びコア層を積層する等の方
策を講じる必要がある(例えば特願平11−35154
1号)。
【0118】(6)光メモリ素子の製造方法及びこの製
造方法により製造される光メモリ素子の変形例 次に、光メモリ素子の製造方法の変形例について、図
5,図6を参照しながら説明する。本変形例にかかる光
メモリ素子の製造方法は、上述の実施形態にかかる光メ
モリ素子の製造方法のように、クラッド層2やコア層3
をベース材としての光メモリ媒体用ベース基板20上に
直接積層させていくのに代えて、光メモリ素子作製用ベ
ース基板上にクラッド層2及びコア層3を積層してなる
光メモリ素子4′を、ベース基板から剥離させ、剥離さ
せた光メモリ素子4′にベース材を接着することで補強
するようにした点が異なる。
【0119】つまり、本光メモリ素子の製造方法では、
図6(B)に示すように、最終的に光メモリ素子作製用
ベース基板21から光メモリ素子4′を剥離するため、
光メモリ素子4′を構成するクラッド層2やコア層3を
支持するための基体(支持基体,ベース)として樹脂フ
ィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5を貼
着するようにしている。
【0120】ここでは、後述するように[図5(A)〜
(E)参照]、光メモリ素子作製用ベース基板21上
に、クラッド層2を形成した後、このクラッド層2にコ
ア材3を介して樹脂フィルム5を貼着するようにしてい
る。そして、このようにして光メモリ素子作製用ベース
基板20に貼着した樹脂フィルム5上に、上述の場合と
同様に、クラッド層2及びコア層3を順次積層させてい
くようにしている。なお、ここでは、樹脂フィルム5と
最初に積層されるクラッド層2とはコア材3を介して貼
着するようにしている。
【0121】なお、本変形例では、上述の実施形態の場
合と同様に、光透過性スタンパ13を剥離しやすくする
ために、結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸
パターン(凹凸形状;ピット)を、コア材3に転写する
ようにしている。次に、本変形例にかかる光メモリ素子
の製造方法について、図5を参照しながら説明する。
【0122】始めに、図5(A)に示すように、光メモ
リ素子作製用ベース基板21上に、所定の膜厚(例えば
完全硬化時に約5μm)となるようにクラッド材(液状
クラッド樹脂)2Xを塗布する。このクラッド材2Xと
しては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射する
ことにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,
光硬化性樹脂材)から成るものを使用し、このように光
メモリ素子作製用ベース基板21の表面上へ塗布した
後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製の
クラッド層2Xを形成する。なお、クラッド層2Xとし
て機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・
乾燥させる手法を採っても良い。
【0123】ここでは、光メモリ素子作製用ベース基板
21として、例えばガラス基板,ポリカーボネートから
なる基板,アートン(JSR株式会社製)などの非晶質
ポリオレフィンからなる基板等の硬質基板(例えば厚さ
約0.1mm〜約3mm程度、好ましくは約1mm程
度)を用いる。これにより、基板の強度によって、クラ
ッド層2及びコア層3を積層させていく際に、クラッド
材2やコア材2としての紫外線硬化性樹脂材が硬化時に
収縮し、反り(反曲,カール)が生じるのを防止できる
ことになる。なお、光メモリ素子作製用ベース基板21
は、クラッド材2やコア材3として用いられる紫外線硬
化性樹脂材に紫外線を照射した際の紫外線硬化性樹脂の
収縮に耐え、クラッド層2やコア層3が反らないだけの
強度を備えるものであれば良い。
【0124】上述のように硬質基板を用いることができ
るのは、以下の理由による。つまり、金属性スタンパを
用いる場合に、ベース基板を硬質基板とすると、金属性
スタンパを曲げる(撓ませる)のが難しいため、金属製
スタンパからクラッド層及びコア層からなる積層体を剥
離(分離)させるのが困難である。このため、ベース基
板として硬質基板を用いることはできなかったが、本実
施形態では、柔軟性(可撓性)のある光透過性の樹脂ス
タンパ(フィルムスタンパ)13を用いるため、積層体
からのスタンパ13の剥離(分離)は容易であるから、
ベース基板として硬質基板を用いるのが可能になったの
である。
【0125】このように硬質基板上にクラッド層及びコ
ア層を積層させていくため、反りが生じないように基体
(例えば樹脂フィルム等)の表面側と裏面側とに交互に
クラッド層やコア層を積層させていく等の反りの発生を
抑制するための方策をとる必要がなくなり、基体として
の樹脂フィルム等を介在させることなく、クラッド層及
びコア層を連続して積層させていくことができるため、
基体としての樹脂フィルム等の数をできるだけ少なくし
て光メモリ素子4′の膜厚を薄くしながら、大容量化を
図るべく所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層
した多層構造の実用的な光メモリ素子4′を製造できる
ようになる。
【0126】次に、このようにクラッド材2Xを完全硬
化させた後、図5(A)に示すように、その表面上に、
紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材
(液状コア樹脂)3Xaを所定の膜厚(完全硬化時に約
1.8μm程度)になるように塗布した後、紫外線を照
射して不完全硬化させる。なお、コア層3Xaとして機
能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥
させる手法を採っても良い。
【0127】ここで、不完全硬化とは、塗布された全コ
ア材の半分程度を硬化させることをいう。このように、
コア材3Xaを不完全硬化させることで、コア材3Xa
を塗布することにより形成される塗布膜の粘度を上げ
て、後述するようにベースフィルムをラミネート(貼
着)する際に、コア材3Xaにより形成される接着層の
膜厚変動が生じないようにしているのである。
【0128】なお、ここでは、後述するように、塗布さ
れたコア層3Xaの表面上に樹脂フィルム5をラミネー
トする際に接着層の膜厚変動が生じないように、コア材
3Xaを不完全硬化させているが、コア材3Xaを不完
全硬化させるのは必須でなく、この工程は省略すること
もできる。例えば、コア層3Xa上に樹脂フィルム5を
ラミネートする際には、ローラによって樹脂フィルム5
を加圧することでコア層3Xa上にラミネートしていく
が、樹脂フィルム5がローラによって加圧される直前ま
で、樹脂フィルム5が接着層としてのコア層3Xaと接
しないように樹脂フィルム5を保持する保持機構を設け
れば、コア材3Xaを不完全硬化させなくても接着層の
膜厚変動を生じさせないようにしながら、コア層3Xa
上に樹脂フィルム5をラミネートすることができる。
【0129】次いで、このようにしてコア材3Xaを不
完全硬化させた後、図5(A)に示すように、コア材3
Xaの表面上に、基体(ベース)となる樹脂フィルム
(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5を、気泡が
入らないように例えばローラ等を用いて加圧しながら貼
着(ラミネート)していく。つまり、クラッド層2Xに
コア材3Xaを介して樹脂フィルム5を貼着(ラミネー
ト)する。
【0130】かかる状態で、紫外線をさらに照射してコ
ア材3Xaを完全硬化させれば、樹脂製のコア層3Xa
が形成されるとともに、樹脂フィルム5とコア層3Xa
とが接着される。ここで、樹脂フィルム5は、使用光波
長域(コア層2を導波させるレーザ光の波長域)で透明
で(散乱光を透過でき)、光学的な特性や膜厚の均一
性,力学的な強度などが許す限り、できるだけ薄い方が
良い。これは、上記の凹凸で散乱した散乱光を最終的に
外部へ放出できるようにするためと、最終的に製造され
る光メモリ素子4′の厚さを薄くするためであるが、本
実施形態では、それだけでなく、樹脂フィルム5とクラ
ッド層2Xとの間にあるコア材3Xa内に気泡を入りに
くくするためでもある。
【0131】即ち、コア材3Xaの塗布されたクラッド
層2X上に樹脂フィルム5を貼着する工程で、樹脂フィ
ルム5の厚みが薄いと柔軟性(可撓性)に優れるため、
樹脂フィルム5を曲げながら少しずつ接触させてゆくこ
とによって、載置面積をゆっくりと増加させることが可
能になり、クラッド材2X内に気泡が混入してその部分
の屈折率や膜厚が変化してしまう等の影響を抑止するこ
とができるのである。
【0132】このため、樹脂フィルム5には、例えば、
ポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製)など
の非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレ
フタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等
の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れ
る)熱可塑性の樹脂フィルム5が好適(特に、上記のP
ETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られ
やすいので好適)で、これらのいずれかを熱延伸或いは
溶媒キャスト等の方法で、例えば100μm以下の厚さ
にしたものがよい。
【0133】これ以上厚さが厚いと、樹脂フィルム5の
柔軟性(可撓性)が乏しくなり樹脂フィルム5をコア材
3Xa上に載置する際に気泡が混入しやすくなってしま
う。逆に、樹脂フィルム5の厚みが極端に薄い場合、例
えば1μmよりも薄いような場合は、クラッド層2及び
コア層3からなる積層体を光メモリ素子作製用ベース基
板21から剥離(分離)する際に、樹脂フィルム5が積
層体を保持する機能を果たし得なくなることがあるので
好ましくない。
【0134】なお、上述の工程では、光メモリ素子作製
用ベース基板21上に、クラッド層2Xを形成し、これ
にコア材3Xaを介して樹脂フィルム5を貼着している
が、これに限られるものではなく、光メモリ素子作製用
ベース基板21上に、クラッド層2Xを形成し、これに
接着剤として機能するクラッド材を介して樹脂フィルム
5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベ
ース基板21上に、クラッド層を介して樹脂フィルム5
が積層されることになる。また、光メモリ素子作製用ベ
ース基板21上に、コア層を形成し、これに接着剤とし
て機能するクラッド材を介して樹脂フィルム5を貼着し
ても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板2
1上に、コア層、クラッド層を介して樹脂フィルム5が
積層されることになる。さらに、光メモリ素子作製用ベ
ース基板21上に、コア層を形成し、これに接着剤とし
て機能するコア材を介して樹脂フィルム5を貼着しても
良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板上に、
コア層を介して樹脂フィルム5が積層されることにな
る。なお、これらは、いずれも光メモリ素子作製用ベー
ス基板上に、基体としての樹脂フィルム5を接着するも
のであるため、これらを基体接着工程という。
【0135】ここで、接着剤(接着層)としてのコア材
(コア層)又はクラッド材(クラッド層)は、屈折率が
特定値のものを用いる必要はなく、樹脂フィルム5や光
メモリ素子作製用ベース基板21の材質を考慮して接着
相性の良い組み合わせを選定すれば良い。このため、例
えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト
型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であ
り、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノア
クリレート系,ウレタン系,オレフィン系等を用いるこ
とができる。
【0136】次に、図5(B)に示すように、上述の樹
脂フィルム5上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約
1.8μm)となるように、紫外線硬化性樹脂材からな
るコア材(液状コア樹脂)3Xbを塗布した後、紫外線
を照射して完全に硬化させることで樹脂製のコア層3X
bを形成する。なお、上述の2つのコア層3Xa,3X
bは、後述するコア層3と異なり凹凸パターンが設けら
れておらず、専らクラッド層2Xと樹脂フィルム5との
間の接着のために用いられ、情報再生層としては機能し
ない。また、上述のクラッド層2Xも、後述するクラッ
ド層2と異なり光導波路デバイスを構成するものではな
く、専ら光メモリ素子作製用ベース基板としてのガラス
基板21等とコア層3Xaとの接着のために用いられて
いる。
【0137】次いで、図5(C)に示すように、このコ
ア層3Xbの表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時
に約15μm〜20μm程度)となるように、紫外線硬
化性樹脂材からなるクラッド材(液状クラッド樹脂)2
を塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させること
で樹脂製のクラッド層2を形成する。以後、図5
(D),(E)に示すように、上述の実施形態にかかる
光メモリの製造方法の場合と同様の処理を繰り返すこと
で、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、例えば基
体としての樹脂フィルム等を介在させることなく、コア
層3及びクラッド層2を連続して所望の積層数(例えば
100層程度)になるまで積層する。
【0138】ここでは、光透過性スタンパ13に形成さ
れたアライメントマーク(位置決めマーク)と基体とし
ての樹脂フィルム5に形成されたアライメントマーク
(位置決めマーク)とを重ね合わせるようにして、光透
過性スタンパ13の位置合わせを行ないながら、コア層
3の表面上に光透過性の樹脂製スタンパ13をラミネー
ト(貼着)するようになっている。これにより、光透過
性の樹脂製スタンパ13から凹凸パターンを転写される
複数のコア層3間の位置合わせ(アライメント)が容易
に、かつ、正確に行なえるようになる。なお、ここで
は、樹脂フィルム5にアライメントマークを設けている
が、光メモリ素子作製用ベース基板21にアライメント
マークを設けても良い。
【0139】なお、上述のように、基体としての樹脂フ
ィルム5上にクラッド層2及びコア層3を順次積層して
所望の積層数を有する積層体を形成する工程を、積層体
形成工程という。ところで、本変形例では、図6(A)
に示すように、上述のようにして所望の積層数だけ積層
させた後、最後に積層したクラッド層2(最上層のクラ
ッド層2d)の表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化
時に約1.8μm)となるように、紫外線硬化性樹脂材
からなるコア材(液状コア樹脂)3Xcを塗布した後、
紫外線を照射して不完全硬化させる。
【0140】なお、ここでは、後述するように、塗布さ
れたコア層3Xcの表面上に樹脂フィルム5′をラミネ
ートする際に接着層の膜厚変動が生じないように、コア
材3Xcを不完全硬化させているが、コア材3Xcを不
完全硬化させるのは必須でなく、この工程は省略するこ
ともできる。例えば、コア層3Xc上に樹脂フィルム
5′をラミネートする際には、ローラによって樹脂フィ
ルム5′を加圧することでコア層3Xc上にラミネート
していくが、樹脂フィルム5′がローラによって加圧さ
れる直前まで、樹脂フィルム5′が接着層としてのコア
層3Xcと接しないように樹脂フィルム5′を保持する
保持機構を設ければ、コア材3Xcを不完全硬化させな
くても接着層の膜厚変動を生じさせないようにしなが
ら、コア層3Xc上に樹脂フィルム5′をラミネートす
ることができる。
【0141】次いで、このようにしてコア材3Xcを不
完全硬化させた後、図6(A)に示すように、コア材3
Xcの表面上に、基体(ベース)となる樹脂フィルム
(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5′を、気泡
が入らないように例えばローラ等を用いて加圧しながら
貼着(ラミネート)する。かかる状態で、紫外線をさら
に照射してコア材3Xcを完全硬化させれば、樹脂製の
コア層3Xcが形成されるとともに、樹脂フィルム5′
とコア層3Xcとが接着される。
【0142】このように樹脂フィルム5′を貼着して、
クラッド層2及びコア層3を所望の積層数だけ積層させ
て形成した積層体を樹脂フィルム5,5′で挟み込んだ
構造としているのは、紫外線硬化性樹脂材からなるコア
層3及びクラッド層2はもろいため、これらを樹脂フィ
ルム5,5′により保持するためである。その後、この
ようにして作製される光メモリ素子(即ち、紫外線硬化
性樹脂層としてのクラッド層2及びコア層3を積層した
積層体を樹脂フィルム5,5′で挟んだ構造体)は、図
6(B)に示すように、これらの樹脂フィルム5,5′
によって支持しながら、積層体と樹脂フィルム5,5′
を一体として光メモリ素子作製用ベース基板21から剥
離(分離)する。なお、このように、光メモリ素子作製
用ベース基板21から基体としての樹脂フィルム5,
5′と積層体とを一体として分離する工程を、積層体分
離工程という。
【0143】そして、このようにして光メモリ素子作製
用ベース基板21から剥離した光メモリ素子4′の一部
に例えば45°切削面を形成し、さらに保護フィルムを
貼ったり、樹脂コートしたりする等の工程を経て、例え
ば光メモリカード等の光メモリ媒体が作製される。な
お、上述のように樹脂フィルム5,5′で挟み込んだ構
造としているのは、紫外線硬化性樹脂材からなるコア層
3及びクラッド層2はもろく、積層体を分離する際に端
部に生じた裂け目が容易に全体に広がってしまうからで
あるが、これを防ぐ方法はこれに限られるものではな
い。例えば、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、
基体としての樹脂フィルムを設けることなく、コア層3
及びクラッド層2を積層させて積層体を形成する場合に
は、積層体はそのままではもろいので、分離時(剥離
時)に、これらのコア層3及びクラッド層2の端部を粘
着テープ等で保護し、剥離後に粘着テープを切断するよ
うにしても良い。
【0144】また、上述のようにして光メモリ素子作製
用ベース基板21から剥離した光メモリ素子4′は、樹
脂フィルム5,5′で挟み込んだ構造としているため、
そのまま例えば45°切削面を形成する等のその後の工
程を行なうようにしているが、これに限られるものでは
ない。例えば、光メモリ素子作製用ベース基板21上
に、基体としての樹脂フィルムを設けることなく、コア
層3及びクラッド層2を積層させて積層体を形成する場
合には、積層体はそのままではもろいので、ベース材
(例えばアートン製フィルム、ポリカーボネート製フィ
ルム、アートン製基板、ポリカーボネート製基板、ガラ
ス製基板等)に接着することで補強した後、その後の工
程を行なうようにしても良い。この場合、ベース材は、
両面に接着しても良いし、片面だけに接着しても良い。
【0145】ところで、上述の説明において、コア材3
には、塗布時には液体で(流動性があり)、その後、硬
化させることのできる樹脂であれば、どのような樹脂を
適用しても良く、例えば、紫外線硬化性樹脂以外の光硬
化性樹脂や熱を加えることで硬化する熱硬化性樹脂等の
所望の硬化性樹脂を適用してもよい。ただし、上述のご
とくスタンパによる転写を行なう場合には、上記の紫外
線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂を適用するのが好まし
く、例えば、アクリル系,エポキシ系,チオール系の各
樹脂などが好ましい。
【0146】クラッド材2は、透明で屈折率がコア材3
よりも僅かに小さい物質(例えば樹脂)であれば何でも
良いが、上述のように紫外線硬化性樹脂等の各種樹脂製
のクラッド材とするのが好ましい。また、コア材3やク
ラッド材2の塗布方法には、例えば、スピンコート法,
ブレードコート法,グラビアコート法,ダイコート法等
があるが、塗布膜厚と均一性を満足すればどのような塗
布方法を用いてもよい。
【0147】さらに、コア層3やクラッド層2の膜厚に
ついては、コア層,クラッド層が光導波路として機能す
るだけの膜厚であれば良く、例えば使用光波長域が可視
光の波長域であれば、コア層3は約0.5〜3.0μm
程度であれば良い。この場合、クラッド層2の膜厚に関
しては特に制限はないが、全体の厚さを薄くすることを
考慮すれば、約100μm以下にするのが好ましい。あ
えて下限を規定するなら、0.1μm以上にするのが好
ましい。
【0148】さらに、基体は、光メモリ素子を保持する
ものとして機能しうる物質であれば良く、樹脂、金属な
ど各種のものを用いることができるが、製造工程上、貼
着(ラミネート)を行なう等、柔軟性が要求される場合
には、樹脂製の基体とするのが好ましい。また、各種の
硬化性樹脂を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かし
て塗布し、乾燥させたりして、樹脂製基体を構成しても
良いが、樹脂フィルム5,5′を用いれば貼着を行ない
やすく、作業性の点で好ましい。
【0149】また、一般に樹脂フィルム5,5′は、そ
の製造工程で、無機粒子等の光学的には散乱体として機
能するものがフィルム内に混入される。フィルム内の散
乱体による光の散乱が信号の読み取りに影響を与えるよ
うな場合には、フィルムとして遮光性フィルムを用いる
か、もしくはフィルムとコア層(又はクラッド層)との
間に遮光膜を設けることが好ましい。これにより、樹脂
フィルム5,5′内への光の伝播、もしくはフィルム内
での散乱光の信号光への干渉を防ぐことができるように
なる。この場合、基体としての樹脂フィルム5,5′を
遮光性のものとする方が、光メモリ素子4′を薄くする
ことができ、製造工程も簡素化することができ、好まし
い。
【0150】ここで、遮光性フィルム及び遮光膜として
は、例えばカーボンを樹脂中に練りこんだり、色素を添
加したりして作製したPETフィルムなどが挙げられ
る。なお、遮光フィルム又は遮光膜が作用する波長域に
ついては、再生に用いる導入光の波長を遮光することが
できれば十分であり、可視光域全てを遮光する必要はな
い。遮光性能については、フィルムの厚さ方向で、90
%以上の光を遮断することができれば良いが、99%以
上の光を遮断することができれば、より望ましい。
【0151】また、ここでは、樹脂フィルム5,5′と
して、枚葉のフィルムを用いた方式について説明した
が、連続フィルムを用いた方式とすることもできる。つ
まり、フィルム上へのクラッド材、コア材のダイコー
タ,マイクログラビア,バーコータ等による塗布、スタ
ンパを加圧した状態でのコア材,クラッド材の硬化等の
プロセスを組み合わせることにより、基体としての樹脂
フィルム5,5′に挟み込んだコア層及びクラッド層か
らなる積層体を作製することができる。
【0152】上述のような光メモリ素子の製造方法によ
って製造される光メモリ素子は、以下の構造を有する。
つまり、図6(B)に示すように、基体としての樹脂フ
ィルム5上に、クラッド層2、コア層3を連続して所望
の積層数(例えば100層程度)だけ積層させてなる
(即ち、クラッド/コア/クラッド部材を所望数だけ積
層させてなる)光メモリ素子4′が製造される。また、
光メモリ素子4′を構成する基体としての樹脂フィルム
5には、アライメントマークが形成されている。さら
に、樹脂フィルム等の基体を介在させることなく、クラ
ッド層2及びコア層3を連続して所望の積層数(例えば
100層程度)だけ積層された積層体(即ち、クラッド
/コア/クラッド部材を所望数だけ積層された積層体)
を、積層体の下層側に設けられた樹脂フィルム5と積層
体の最上層にラミネートした樹脂フィルム5′との間に
所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層された積
層体を挟み込んだ構造になる。
【0153】なお、ここでは、光メモリ素子作製用ベー
ス基板21上に積層させていくため、光メモリ素子作製
用ベース基板21と樹脂フィルム5とを接着するため
に、クラッド層2X及びコア層3Xaを形成しているた
め、基体としての樹脂フィルム5の下側にコア層2X及
びクラッド層3Xaが形成されたものとなるが、この場
合であっても、コア層2X及びクラッド層3Xaが残っ
ているだけで、少なくともクラッド層及びコア層が連続
して複数積層されてなる積層体を基体としての樹脂フィ
ルムで挟んだ構造を有することになる。
【0154】したがって、本変形例により製造される光
メモリ素子によれば、クラッド層及びコア層の間に樹脂
フィルム等の基体を設けずに(積層体の両面に接着する
基体のみとして基体数をできるだけ少なくして)、所望
の積層数(例えば100層程度)までクラッド層及びコ
ア層を連続して積層されて構成されるため、光メモリ素
子の厚さ(膜厚)が薄くなり、その小型化を図れるよう
になるとともに、光メモリ素子の大容量化を実現するこ
とができるという利点がある。
【0155】なお、このような光メモリ素子4′では、
クラッド層/コア層/クラッド層が1個の光導波部材を
形成し、またクラッド層/コア層/クラッド層が他の1
個の光導波部材を形成する。すなわち、クラッド層は、
コア層の両方のクラッド層を兼ねている。このように、
この光メモリ素子においては、クラッド層は1層でその
両側に位置するコア層のクラッド層を兼ねる。
【0156】なお、ここでは、図6(B)に示すよう
に、光メモリ素子4′は、クラッド層2a,コア層3
a,クラッド層2bにより1個の光導波部材2a3a2
bが形成され、またクラッド層2b,コア層3b,クラ
ッド層2cにより他の1個の光導波部材2b3b2cが
形成され、クラッド層2c,コア層3c,クラッド層2
dにより他の1個の光導波部材2c3c2dが形成され
る。すなわち、クラッド層2b,2cは、コア層3a,
3b,3cの両方のクラッド層を兼ねている。このよう
に、この光メモリ素子4′においては、クラッド層2は
1層でその両側に位置するコア層3のクラッド層2を兼
ねている。
【0157】また、このような光メモリ素子4′では、
光導波路としてのコア層3に光を導入すると、その導入
光が界面の凹凸部分で散乱しながら伝播する。このとき
の散乱光は導入光に対して上下方向(交差する方向)の
それぞれに伝播(透過)していき、最終的に光メモリ素
子4′の両面部から外部へ放出され、凹凸パターンに応
じた画像が結像することになる。なお、このように光メ
モリ素子4′の両面部から散乱光を放出させる必要がな
い場合、例えば、一方の面側のみにCCD受像器を設置
する場合は、他方の面側の樹脂フィルムについては、必
ずしも使用光波長域で透明である必要はない。
【0158】したがって、本変形例にかかる光メモリ素
子の製造方法によれば、上述の光メモリ素子の製造方法
による硬化と同様の効果が得られる。また、光メモリ素
子作製用ベース基板21上に積層された積層体を、光メ
モリ素子作製用ベース基板21から剥離(分離)し、例
えば光メモリカード等の光メモリ媒体のベース材に接着
する場合等に、例えば積層体に裂け目が広がっったりす
ることなく、光メモリ素子作製用ベース基板21から積
層体を容易に、かつ、確実に剥離(分離)させることが
できるという利点がある。
【0159】また、上述のようにして製造される光メモ
リ素子4′は、樹脂フィルム5,5′の間に所望の積層
数(例えば100層程度)だけ積層した積層体を挟み込
んだ構造になり、クラッド層2やコア層3の間には樹脂
フィルム等は介在されないため、光メモリ素子4′の膜
厚を薄くすることができ、多層構造の実用的な光メモリ
素子4′を製造できるようになるという利点もある。
【0160】(6)光メモリ素子の製造方法及びこの製
造方法により製造される光メモリ素子の他の変形例 次に、光メモリ素子の製造方法の他の変形例について説
明する。本他の変形例にかかる光メモリ素子の製造方法
は、上述の実施形態にかかる光メモリ素子の製造方法が
コア層に光透過性スタンパをラミネートして転写する
(これをコア転写,コア層転写法という)のに対し、ク
ラッド層に光透過性スタンパ(樹脂スタンパ,フィルム
スタンパ)をラミネートして転写する(これをクラッド
転写,クラッド層転写法という)ものである。
【0161】つまり、本他の変形例にかかる光メモリ素
子の製造方法は、上述の実施形態にかかる製造方法と同
様に、硬質基板上に光硬化性樹脂からなるコア層を形成
する工程と、コア層上に光硬化性樹脂からなるクラッド
材を塗布する工程と、クラッド材上に、表面に凹凸パタ
ーンを有し、光硬化性樹脂を硬化させるための光を透過
しうる樹脂製スタンパを載置する工程と、樹脂製スタン
パの裏面側から光を照射してクラッド材を硬化させ、凹
凸を有するクラッド層を形成する工程とを含むものとし
て構成される。
【0162】また、上述の変形例にかかる製造方法と同
様に、硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、基
体上にクラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層
数を有する積層体を形成する積層体形成工程と、硬質基
板から基体と積層体とを一体として分離する積層体分離
工程とを含み、積層体形成工程が、光硬化性樹脂からな
るコア層を形成する工程と、コア層上に光硬化性樹脂か
らなるクラッド材を塗布する工程と、クラッド材上に、
表面に凹凸パターンを有し、光硬化性樹脂を硬化させる
ための光を透過しうる樹脂製スタンパを載置する工程
と、樹脂製スタンパの裏面側から光を照射してクラッド
材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層を形成する工程
と、凹凸を有するクラッド層から樹脂製スタンパを分離
する工程とを含むものとして構成することもできる。
【0163】このように、クラッド転写により製造され
た光メモリ素子によって出力される画像を、コア転写に
より製造された光メモリ素子によって出力される画像と
比べると、クラッド転写により製造された光メモリ素子
の出力画像ではホログラムの虚像が観察されず(例えば
像が2重に見える現象がなくなる)、画質が優れたもの
となるという利点がある。
【0164】ここで、コア層の方がクラッド層よりも薄
いため、ラミネート時に膜厚変動しにくく、ラミネート
条件を広く選べるという点では、上述の実施形態におけ
るコア転写の方が好ましい。しかし、ラミネート条件に
ついては、紫外線照射時にフィルタを用いたり、又は、
光源との距離を長くしたりすること等によって、紫外線
照射強度を小さくし、クラッド材の硬化速度を遅くする
ことが可能であり、これにより、ラミネート条件を最適
なものとすれば、良好な転写を行なえるようになる。
【0165】このため、このようにしてラミネート条件
を設定すれば、クラッド層の厚さが厚くても薄くても
(厚さにかかわらず)、良好な転写を行なえるため、ク
ラッド層は厚いまま転写することもできるし、又は、ま
ず所定の厚さのクラッド層を硬化させた上に、転写用に
薄くクラッド材を塗布し、この薄く塗布されたクラッド
材に転写することもできることになる。
【0166】
【実施例】(実施例1)実施例1は、コア層転写法の実
施例である。表面に画像情報に応じた凹凸形状を有す
る、金属製スタンパとしてのニッケル製スタンパ上に、
クラッド材であるアクリル系紫外線硬化性樹脂(屈折率
n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/c
2照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成し
た。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂
からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、
紫外線を380mJ/cm2照射し、不完全硬化させた
後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR株
式会社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと
貼着した。この上から紫外線を380mJ/cm2照射
して、アートンフィルム部材をコア層に接着しつつ、コ
ア材を完全に硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成し
た。そして、ニッケル製スタンパからクラッド層とコア
層とアートンフィルム部材とを一体として分離(剥離)
し、光透過性スタンパを作製した。
【0167】次に、ガラス基板上にクラッド材であるア
クリル系紫外線硬化性樹脂(屈折率n=1.49)を塗
布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化さ
せ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層
上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂からなるコア材(屈
折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を380mJ
/cm2照射し、不完全硬化させた後、厚さ100μm
のアートンフィルム部材(JSR株式会社製)を、ゴム
ローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上か
ら紫外線を380mJ/cm2照射してコア材を完全に
硬化させ、アートンフィルム部材をコア層に接着した。
【0168】このアートンフィルム部材上に、クラッド
材を塗布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して
硬化させ、15μm厚のクラッド層を形成した。このク
ラッド層上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂からなるコ
ア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を3
80mJ/cm2照射し、不完全硬化させた後、光透過
性スタンパを、転写面がコア材に接する向きに、ゴムロ
ーラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。そして、こ
の光透過性スタンパを通して紫外線を380mJ/cm
2照射して、コア層を部分的に不完全に硬化(一部不完
全硬化)させた後、光透過性スタンパのみを剥離した。
その後、さらに紫外線を380mJ/cm2照射して、
コア層を完全に硬化させた。この結果、1.8μm厚の
コア層が形成された。なお、形成したコア層、クラッド
層の屈折率はそれぞれ1.52,1.51であった。そ
の後、同様にクラッド層及びコア層を形成する工程を5
回繰り返すことにより、5層の多層構造の積層体を作製
した。
【0169】次に、5層の積層体の最上層を構成するコ
ア層上に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化性樹
脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を80
0mJ/cm2照射して硬化させ、18μm厚のクラッ
ド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外
線硬化性樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を
塗布した後、紫外線を380mJ/cm2照射し、不完
全硬化させた後、厚さ100μmのアートンフィルム部
材(JSR株式会社製)を、ゴムローラで圧着しなが
ら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を380m
J/cm2照射してコア材を完全に硬化させ、アートン
フィルム部材をコア層と接着した。
【0170】最後に、ガラス基板からアートンフィルム
部材に挟まれた5層構造の積層体を剥離し、光メモリ素
子を作製した。そして、このようにして作製した光メモ
リ素子をダイシングソーを用いて縦約2cm,横約3c
mの大きさに切断し、この切断した光メモリ素子をサン
プルとし、この光メモリ素子の切断面からレーザ光を導
入し、評価を行なった。
【0171】ここで、レーザ光は、波長が680nm、
強度が約5mWの半導体レーザで、レンズを組み合わせ
て光束が縦約10μm,横約1cmになるように絞っ
て、この光束がサンプルとしての光メモリ素子のコア層
に入るように調整した。この結果、レーザ光はコア層内
を伝播し、凹凸によってわずかに散乱した光は、コア層
と垂直方向に透過して、結像した。この像を光学顕微鏡
を介して観察し、所期の画像(テストパターン)である
ことを確認した。また、5層ある各コア層には異なる画
像が記録されており、レーザ光を導入するコア層を変え
ることによってこれらの画像が互いに影響を与えること
なく、独立に読み出せることを確認した。
【0172】(実施例2)実施例2は、クラッド層転写
法の実施例である。表面に画像情報に応じた凹凸形状を
有する、金属ニッケルとしてのニッケル製スタンパ上
に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折
率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/
cm2照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成
した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂
からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、
紫外線を380mJ/cm2照射し、不完全硬化させた
後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR株
式会社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと
貼着した。この上から紫外線を380mJ/cm2照射
して、アートンフィルム部材をコア層に接しさせつつ、
コア層を完全に硬化させて、1.8μm厚のコア層を形
成した。そして、ニッケル製スタンパからクラッド層と
コア層とアートンフィルム部材とを一体に分離(剥離)
し、光透過性スタンパを作製した。
【0173】次に、ガラス基板上にクラッド材であるア
クリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布
した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化さ
せ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層
上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折
率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアー
トンフィルム部材(JSR株式会社製)を、ゴムローラ
で圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外
線を380mJ/cm2照射して、アートンフィルム部
材をコア層に接しさせつつ、コア層を完全に硬化させ
て、1.8μm厚のコア層を形成した。
【0174】このアートンフィルム部材上に、クラッド
材を塗布した後、光透過性スタンパを転写面がクラッド
材に接する向きに、ゴムローラで圧着しながら、ゆっく
りと貼着した。そして、この光透過性スタンパを通して
紫外線を10mJ/cm2照射して、クラッド層を部分
的に不完全に硬化(一部不完全硬化)させた後、光透過
性スタンパのみを剥離した。その後、さらに紫外線を3
80mJ/cm2照射して、クラッド層を完全に硬化さ
せた。この結果、15μm厚のクラッド層が形成され
た。
【0175】このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬
化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布し
た後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、
1.8μm厚のコア層を形成した。なお、形成したコア
層、クラッド層の屈折率はそれぞれ1.52、1.51
であった。その後、同様にクラッド層及びコア層を形成
する工程を5回繰り返すことにより、5層の多層構造の
積層体を作製した。
【0176】次に、5層の積層体の最上層を構成するコ
ア層上に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂
(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800
mJ/cm2照射して硬化させ、15μm厚のクラッド
層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線
硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布
した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JS
R株式会社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっく
りと貼着した。この上から紫外線を380mJ/cm2
照射してコア材を完全に硬化させ、アートンフィルム部
材をコア層を介してクラッド層に接着した。
【0177】最後に、ガラス基板から、アートンフィル
ム部材に挟まれた5層構造の積層体を剥離し、光メモリ
素子を作製した。そして、このようにして作製した光メ
モリ素子をダイシングソーを用いて縦約2cm,横約3
cmの大きさに切断し、この切断した光メモリ素子をサ
ンプルとし、この光メモリ素子の切断面からレーザ光を
導入し、評価を行なった。
【0178】ここで、レーザ光は、波長が680nm、
強度が約5mWの半導体レーザで、レンズを組み合わせ
て光束が縦約10μm、横約1cmになるように絞っ
て、この光束がサンプルとしての光メモリ素子のコア層
に入るように調整した。この結果、レーザ光はコア層内
を伝播し、凹凸によってわずかに散乱した光は、コア層
と垂直方向に透過して、結像した。この像を光学顕微鏡
を介して観察し、所期の画像(テストパターン)である
ことを確認した。また、5層ある各コア層には異なる画
像が記録されており、レーザ光を導入するコア層を変え
ることによってこれらの画像が互いに影響を与えること
なく、独立に読み出せることを確認した。
【0179】なお、実施例1(コア層転写法)において
は画像が2重になる現象が観察されていたが、実施例2
(クラッド層転写法)ではそのような現象は無く、良好
な画像を得ることができた。
【0180】
【発明の効果】請求項1,2記載の本発明の光透過性ス
タンパによれば、スタンパが樹脂製であるため、容易
に、かつ、安価にスタンパを作製できるようになるとと
もに、スタンパの保守・管理を容易に行なえるという利
点がある。また、本光透過性スタンパを用いて光メモリ
素子を製造すれば、コア層及びクラッド層を樹脂製に
し、凹凸パターンを簡易に形成できるようにして、光メ
モリ素子を容易かつ安価に実現できるようにする場合
に、光透過性スタンパの裏面側から光を照射することが
できるため、積層数を増やしていっても、常に硬化させ
たいコア材又はクラッド材に光を照射させることができ
るようになり、光メモリ素子の製造工程(特に、コア層
及びクラッド層を積層する工程)の効率化,簡略化を図
りながら、大容量化を実現すべく積層数を増やして所望
の積層数(例えば100層程度)まで多層化した光メモ
リ素子を製造できるようになる。
【0181】請求項3記載の本発明の光透過性スタンパ
の製造方法によれば、硬質スタンパから凹凸パターンを
転写して樹脂製スタンパを製造するため、容易に、か
つ、安価にスタンパを作製できるようになるという利点
がある。また、本製造方法により製造される光透過性ス
タンパを用いて光メモリ素子を製造すれば、コア層及び
クラッド層を樹脂製にし、凹凸パターンを簡易に形成で
きるようにして、光メモリ素子を容易かつ安価に実現で
きるようにする場合に、光透過性スタンパの裏面側から
光を照射することができるため、積層数を増やしていっ
ても、常に硬化させたいコア材又はクラッド材に光を照
射させることができるようになり、光メモリ素子の製造
工程(特に、コア層及びクラッド層を積層する工程)の
効率化,簡略化を図りながら、大容量化を実現すべく積
層数を増やして所望の積層数(例えば100層程度)ま
で多層化した光メモリ素子を製造できるようになる。
【0182】請求項4,5記載の本発明の光透過性スタ
ンパの製造方法によれば、例えば一枚の硬質スタンパか
ら複数枚の樹脂製スタンパを製造することができるた
め、複数枚のスタンパを安価に作製でき、スタンパの作
製にかかるコストを低く抑えることができるという利点
がある。請求項6,7記載の本発明の光透過性スタンパ
の製造方法によれば、ベース上に並置することによって
膜厚が厚くなってしまっても、これを再転写すること
で、膜厚の薄いスタンパを作製することができ、光透過
性を良好なものとすることができるという利点がある。
【0183】請求項8記載の本発明の光透過性スタンパ
の製造方法によれば、剥離工程の後に、硬化性樹脂の凹
凸パターンを有する面に光を照射して硬化させるため、
スタンパの凹凸パターンを有する面の接着性が低下する
という利点がある。請求項9記載の本発明の光メモリ素
子の製造方法によれば、コア層及びクラッド層を樹脂製
にし、凹凸パターンを簡易に形成できるようにして、光
メモリ素子を容易かつ安価に実現できるようになるとと
もに、光透過性スタンパの裏面側から光を照射してコア
材を硬化させ、凹凸を有するコア層を形成するため、光
メモリ素子の製造工程(特に、コア層及びクラッド層を
積層する工程)を効率化,簡略化しながら、大容量化を
実現すべく積層数を増やして多層化できるようになると
いう利点がある。また、大容量化を図るべく積層数を増
やす場合に、基体の数をできるだけ少なくして光メモリ
素子の薄型化(小型化)を図れるという利点もある。
【0184】請求項10記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法によれば、光透過性スタンパが光硬化性樹脂に
より構成され、コア層及びクラッド層を構成する光硬化
性樹脂と同様であるため、材料点数を増やすことなく光
透過性スタンパを製造し、さらに光メモリ素子を製造で
きるようになるという利点がある。請求項11記載の本
発明の光メモリ素子の製造方法によれば、硬質基板上
に、クラッド層及び表面に凹凸パターンを有するコア層
を積層させるため、反りの発生を抑制することができる
とともに、光透過性スタンパが、樹脂製であるため、コ
ア層及びクラッド層からなる積層体からスタンパを容易
に剥離(分離)させることができるという利点がある。
【0185】請求項12記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法によれば、硬質基板上に、コア層及び表面に凹
凸パターンを有するクラッド層を積層させるため、反り
の発生を抑制することができるとともに、光透過性スタ
ンパが、樹脂製であるため、コア層及びクラッド層から
なる積層体からスタンパを容易に剥離(分離)させるこ
とができるという利点がある。請求項13記載の本発明
の光メモリ素子の製造方法によれば、硬質基板上に、ク
ラッド層及び表面に凹凸パターンを有するコア層を積層
させるため、反りの発生を抑制することができるととも
に、光透過性スタンパが、樹脂製であるため、コア層及
びクラッド層からなる積層体からスタンパを容易に剥離
(分離)させることができるという利点がある。また、
硬質基板上に、基体を接着し、この基体上にクラッド層
及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体
を形成した後、硬質基板から基体と積層体とを一体とし
て分離するため、硬質基板から基体を分離する場合に積
層体が基体に保持されるようにすることができ、これに
より、例えば積層体に裂け目が広がったりすることな
く、ベース基板から積層体を容易に剥離(分離)させる
ことができるようになるという利点がある。
【0186】請求項14記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法によれば、硬質基板上に、コア層及び表面に凹
凸パターンを有するクラッド層を積層させるため、反り
の発生を抑制することができるとともに、光透過性スタ
ンパが、樹脂製であるため、コア層及びクラッド層から
なる積層体からスタンパを容易に剥離(分離)させるこ
とができるという利点がある。また、硬質基板上に、基
体を接着し、この基体上にクラッド層及びコア層を順次
積層して所望の積層数を有する積層体を形成した後、硬
質基板から基体と積層体とを一体として分離するため、
硬質基板から基体を分離する場合に積層体が基体に保持
されるようにすることができ、これにより、例えば積層
体に裂け目が広がったりすることなく、ベース基板から
積層体を容易に剥離(分離)させることができるように
なるという利点がある。
【0187】請求項15記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法によれば、樹脂製スタンパにアライメントマー
クが設けられており、樹脂製スタンパを載置する際に、
基体と樹脂製スタンパとの間の位置合わせを、容易に、
かつ、正確に行なえるため、所望の散乱光出力を実現し
うる光メモリ素子を短時間で精度良く製造することがで
きるという利点がある。請求項16記載の本発明の光メ
モリ素子の製造方法によれば、基体及び樹脂製スタンパ
にそれぞれアライメントマークが設けられており、樹脂
製スタンパを載置する際に、基体と樹脂製スタンパとの
間の位置合わせを、容易に、かつ、正確に行なえるた
め、所望の散乱光出力を実現しうる光メモリ素子を短時
間で精度良く製造することができるという利点がある。
【0188】請求項17記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法によれば、樹脂製スタンパにアライメントマー
クとして孔が設けられており、さらに、この孔を挿通し
うるピンを有するテーブルを備え、樹脂製スタンパを載
置する際に、基体と樹脂製スタンパとの間の位置合わせ
を、容易に、かつ、正確に行なえるため、所望の散乱光
出力を実現しうる光メモリ素子を短時間で精度良く製造
することができるという利点がある。
【0189】請求項18記載の本発明の光メモリ素子の
製造方法によれば、基体が樹脂フィルムにより構成さ
れ、所望の積層数を有する積層体上に樹脂フィルムを接
着するため、樹脂フィルムの間に積層体を挟んだ構造の
光メモリ素子を製造することができ、これにより、例え
ば積層体に裂け目が広がったりすることなく、ベース基
板から積層体を、より容易に、かつ、より確実に、剥離
(分離)させることができるようになるという利点があ
る。
【0190】請求項19,20記載の本発明の光メモリ
素子によれば、クラッド層及びコア層の間に樹脂フィル
ム等の基体を設けずに、所望の積層数(例えば100層
程度)までクラッド層及びコア層を連続して積層されて
構成されるため、光メモリ素子の厚さ(膜厚)が薄くな
り、その小型化を図れるようになるとともに、光メモリ
素子の大容量化を実現することができるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパ
の全体構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパ
の製造方法を示す模式的断面図であって、(A)はクラ
ッド層及びコア層を形成する工程、(B)は樹脂フィル
ムを接着する工程、(C)は光透過性スタンパを剥離
(分離)する工程、(D)はオーバキュア処理を行なう
工程をそれぞれ示している。
【図3】本発明の一実施形態にかかる光メモリ素子の製
造方法を示す模式的断面図であって、(A)はクラッド
層及びコア層を形成する工程、(B)は光透過性スタン
パから凹凸パターンを転写する工程、(C)は光透過性
スタンパを剥離(分離)する工程、(D)は次のクラッ
ド層及びコア層を形成する工程、(E)は別の光透過性
スタンパから凹凸パターンを転写する工程をそれぞれ示
している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる光メモリ素子の全
体構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる光メモリ素子の製
造方法の変形例を示す模式的断面図であって、(A)は
光メモリ素子作製用ベース基板上に樹脂フィルムを接着
する工程、(B)は樹脂フィルム上にコア層を形成する
工程、(C)はコア層上にクラッド層及びコア層を形成
する工程、(D)は光透過性スタンパから凹凸パターン
を転写する工程、(E)は光透過性スタンパを剥離(分
離)する工程をそれぞれ示している。
【図6】本発明の一実施形態の変形例にかかる光メモリ
素子の製造方法により製造される光メモリ素子の全体構
成を示す模式的断面図であって、(A)は光メモリ素子
作製用ベース基板上に形成した状態、(B)は光メモリ
素子作製用ベース基板から剥離(分離)した状態をそれ
ぞれ示している。
【図7】従来の光メモリ素子の動作原理を説明するため
の模式的斜視図である。
【図8】一般的な光メモリ素子の製造方法を示す模式的
断面図であって、(A)は金属製スタンパ上にコア層及
びクラッド層を形成する工程、(B)は樹脂フィルムを
接着する工程、(C)は金属製スタンパから1層分の積
層体を剥離(分離)する工程、(D)は金属製スタンパ
上に次のコア層及びクラッド層を形成する工程、(E)
はクラッド層上に1層分の積層体を接着する工程、
(F)は金属製スタンパから2層分の積層体を剥離(分
離)する工程をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 金属製スタンパ(硬質スタンパ) 2,2a,2b,2c,2d コア層(コア材,記録
層,光導波路) 2X コア層(接着層) 3,3a,3b,3c クラッド層(クラッド材) 3Xa,3Xb,3Xc クラッド層(接着層) 2a3a2b,2b3b2c,2c3c2d 1層分の
光メモリ素子(積層体) 4,4′ 光メモリ素子(スラブ型光導波路デバイス) 5,5′ 樹脂フィルム(基体) 10 クラッド層(クラッド材,スタンパ層) 11 コア層(コア材,接着層,接着剤) 12 樹脂フィルム(基体,基体層) 13,13′ 光透過性スタンパ(光メモリ素子作製用
スタンパ) 20 光メモリ素子作製用ベース基板(ベース材) 21 光メモリ素子作製用ベース基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H047 KA02 MA03 QA05 RA00 TA05 TA43 TA44 4F209 AA24 AA28 AA44 AG03 AG05 AH73 AJ03 AJ09 PA02 PA15 PB01 PC05 PG05 PQ11

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性の樹脂フィルムと、 前記樹脂フィルム上に形成され、表面に凹凸パターンを
    有する光透過性の硬化性樹脂層とを備えることを特徴と
    する、光透過性スタンパ。
  2. 【請求項2】 表面に凹凸パターンを有する光透過性樹
    脂により構成されることを特徴とする、光透過性スタン
    パ。
  3. 【請求項3】 表面に凹凸パターンを有する硬質スタン
    パから前記凹凸パターンを光透過性の硬化性樹脂に転写
    する転写工程と、 前記転写工程で前記凹凸パターンを転写された前記硬化
    性樹脂に光透過性の樹脂フィルムを接着する接着工程
    と、 前記接着工程で接着された前記樹脂フィルムと前記硬化
    性樹脂とを一体として分離する分離工程とを備えること
    を特徴とする、光透過性スタンパの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記分離工程において一体として分離し
    た前記樹脂フィルム及び前記硬化性樹脂を所望の大きさ
    に切断して複数枚の樹脂フィルム及び硬化性樹脂とする
    切断工程を含むことを特徴とする、請求項3記載の光透
    過性スタンパの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記切断工程において作製された前記複
    数枚の樹脂フィルム及び硬化性樹脂をベース上に並置す
    る並置工程を含むことを特徴とする、請求項4記載の光
    透過性スタンパの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記並置工程において並置された複数枚
    の硬化性樹脂の凹凸パターンを他の光透過性の硬化性樹
    脂に再転写する再転写工程を含むことを特徴とする、請
    求項5記載の光透過性スタンパの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記再転写工程で前記凹凸パターンを転
    写された前記他の硬化性樹脂に光透過性の樹脂フィルム
    を接着する接着工程と、 前記接着工程で接着された前記樹脂フィルムと前記他の
    硬化性樹脂とを一体として分離する分離工程とを備える
    ことを特徴とする、請求項6記載の光透過性スタンパの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記硬化性樹脂が、光硬化性樹脂により
    構成され、 前記剥離工程の後に、前記硬化性樹脂の凹凸パターンを
    有する面に光を照射して硬化させることを特徴とする、
    請求項3〜7のいずれか1項に記載の光透過性スタンパ
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 クラッド層及びコア層を複数積層してな
    る光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であ
    って、 光硬化性樹脂からなるクラッド材又はコア材を塗布し、
    表面に凹凸パターンを有するスタンパを載置したのち、
    光を照射して前記クラッド材又は前記コア材を硬化さ
    せ、凹凸を有するクラッド層又はコア層を形成する工程
    を含み、 前記スタンパが、前記光硬化性樹脂を硬化させるための
    光を透過しうる光透過性スタンパにより構成され、 前記クラッド材又は前記コア材を硬化させるのに、前記
    スタンパの裏面側から光を照射することを特徴とする、
    光メモリ素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記光透過性スタンパが、表面に凹凸
    パターンを有する光硬化性樹脂を備えて構成されること
    を特徴とする、請求項9記載の光メモリ素子の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 クラッド層及びコア層を複数積層して
    なる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法で
    あって、 硬質基板上に光硬化性樹脂からなるクラッド層を形成す
    る工程と、 前記クラッド層上に光硬化性樹脂からなるコア材を塗布
    する工程と、 前記コア材上に、表面に凹凸パターンを有し、前記光硬
    化性樹脂を硬化させるための光を透過しうる樹脂製スタ
    ンパを載置する工程と、 前記樹脂製スタンパの裏面側から光を照射して前記コア
    材を硬化させ、凹凸を有するコア層を形成する工程とを
    含むことを特徴とする、光メモリ素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 クラッド層及びコア層を複数積層して
    なる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法で
    あって、 硬質基板上に光硬化性樹脂からなるコア層を形成する工
    程と、 前記コア層上に光硬化性樹脂からなるクラッド材を塗布
    する工程と、 前記クラッド材上に、表面に凹凸パターンを有し、前記
    光硬化性樹脂を硬化させるための光を透過しうる樹脂製
    スタンパを載置する工程と、 前記樹脂製スタンパの裏面側から光を照射して前記クラ
    ッド材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層を形成する
    工程とを含むことを特徴とする、光メモリ素子の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 クラッド層及びコア層を複数積層して
    なる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法で
    あって、 硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、 前記基体上に前記クラッド層及び前記コア層を順次積層
    して所望の積層数を有する積層体を形成する積層体形成
    工程と、 前記硬質基板から前記基体と前記積層体とを一体として
    分離する積層体分離工程とを含み、 前記積層体形成工程が、 光硬化性樹脂からなるクラッド層を形成する工程と、 前記クラッド層上に光硬化性樹脂からなるコア材を塗布
    する工程と、 前記コア材上に、表面に凹凸パターンを有し、前記光硬
    化性樹脂を硬化させるための光を透過しうる樹脂製スタ
    ンパを載置する工程と、 前記樹脂製スタンパの裏面側から光を照射して前記コア
    材を硬化させ、凹凸を有するコア層を形成する工程と、 前記凹凸を有するコア層から前記樹脂製スタンパを分離
    する工程とを含むことを特徴とする、光メモリ素子の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 クラッド層及びコア層を複数積層して
    なる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法で
    あって、 硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、 前記基体上に前記クラッド層及び前記コア層を順次積層
    して所望の積層数を有する積層体を形成する積層体形成
    工程と、 前記硬質基板から前記基体と前記積層体とを一体として
    分離する積層体分離工程とを含み、 前記積層体形成工程が、 光硬化性樹脂からなるコア層を形成する工程と、 前記コア層上に光硬化性樹脂からなるクラッド材を塗布
    する工程と、 前記クラッド材上に、表面に凹凸パターンを有し、前記
    光硬化性樹脂を硬化させるための光を透過しうる樹脂製
    スタンパを載置する工程と、 前記樹脂製スタンパの裏面側から光を照射して前記クラ
    ッド材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層を形成する
    工程と、 前記凹凸を有するクラッド層から前記樹脂製スタンパを
    分離する工程とを含むことを特徴とする、光メモリ素子
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記樹脂製スタンパが、アライメント
    マークを備え、 前記樹脂製スタンパを載置する工程で、前記アライメン
    トマークにより前記基体と前記樹脂製スタンパとの間の
    位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項13又は
    14記載の光メモリ素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記基体が、アライメントマークを備
    え、 前記樹脂製スタンパを載置する工程で、前記樹脂製スタ
    ンパのアライメントマークと前記基体のアライメントマ
    ークとにより前記基体と前記樹脂製スタンパとの間の位
    置合わせを行なうことを特徴とする、請求項15記載の
    光メモリ素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記樹脂製スタンパのアライメントマ
    ークが孔であり、 前記孔に挿通しうるピンを有し、前記基体を所定位置に
    載置するテーブルを備え、 前記樹脂製スタンパを載置する工程で、前記ピンに前記
    孔を挿通することにより前記基体と前記樹脂製スタンパ
    との間の位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項
    15記載の光メモリ素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記基体が、樹脂フィルムにより構成
    され、 前記所望の積層数を有する積層体上に樹脂フィルムを接
    着することを特徴とする、請求項13〜17のいずれか
    1項に記載の光メモリ素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 光硬化性樹脂からなるクラッド層及び
    光硬化性樹脂からなるコア層が連続して複数積層されて
    なる積層体を基体としての樹脂フィルムで挟んだ構造を
    有することを特徴とする、光メモリ素子。
  20. 【請求項20】 前記樹脂フィルムがアライメントマー
    クを有することを特徴とする、請求項19記載の光メモ
    リ素子。
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