JP2004145548A - 情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Ishihara
石原 啓
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Abstract

【課題】大容量化を図るべく複数のユニットを積層させる場合に、各ユニットから出力されるそれぞれの再生像の間で出力ムラ(輝度ムラ)が生じないようにする。
【解決手段】樹脂製コア層3と、樹脂製コア層3の両面に積層された樹脂製クラッド層2とからなり、樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2との界面の少なくとも一方に情報用凹凸部を有する光導波部材232を1個又は複数個積層させてなる複数のユニット4を備え、各ユニット4が表面を密着させて固定されている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路デバイスを用いて構成される情報記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、樹脂製コア層と樹脂製クラッド層とからなり、樹脂製コア層と樹脂製クラッド層との界面に再生像を得るための情報を含む情報用凹凸部を有する光導波部材を、1個又は複数個積層させてなる光メモリ素子(情報記録媒体)が提案されている。
【0003】
このような光メモリ素子では、例えば、光導波路としてのコア層に入射端面を介して光を導入すると、その導入光が界面の凹凸部分で散乱しながら伝播する。このときの散乱光(再生光)は導入光に対して上下方向(交差する方向)のそれぞれに伝搬(透過)していき、最終的に光メモリ素子の両面部から外部へ放出され、凹凸パターンに応じた画像が結像することになる。
【0004】
ところで、このような光メモリ素子では、記録容量(情報量)を上げるために、できるだけ積層数を増やすことが望まれているが、1つの製造工程で積層できる数には限界がある。
このため、本出願人は、樹脂製コア層と樹脂製クラッド層とを可能な限り積層させてユニット化したものを複数個作製した後、これらのユニットを積み上げることで積層数を増やして、大容量化を図ることを提案している(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−222592号公報(段落番号0054)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各ユニットを積み上げて積層させる場合、ユニット同士を固定すべく、例えば各ユニット間に接着層を設けて接着したり、各ユニット間に接着層を設けずに積み上げた後、各ユニットを連結しうるように各ユニットの側面に接着層を設けて接着したりすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、各ユニット間に接着層を設けて接着する場合、各ユニットから外部へ向けて出射される散乱光(再生光)が接着層によって散乱してしまい、目的とする画像が結像しなくなってしまうおそれがある。
また、接着層による散乱を防ぐために、情報用凹凸部が形成されている情報記録領域に対応する箇所には接着層を設けないことも考えられるが、この場合には、各ユニット間に存在する空気層によって再生光の一部が反射してしまい、再生光の光量が低下してしまうおそれがある。
【0008】
ここで、複数のユニットを積み上げて積層させる場合、各ユニットから外部へ向けて出射される再生光が何層の空気層を通過していくかは各ユニットが積層されている位置によって異なることになる。このため、各ユニットから出力される再生光の出力(光量)に差が出てしまい[即ち、読取装置(例えばCCD)に近い側のユニットから出射される再生光の光量は、遠い側のユニットから出射される再生光の光量よりも大きくなる]、この結果、各ユニットから出力されるそれぞれの再生像の間で出力差(輝度差)が生じてしまうことになる。
【0009】
さらに、各ユニット間に接着層を設けて接着する場合には、ユニットを積み上げる際に、不均一に圧力がかかってしまうこと等が原因となって、接着層の膜厚が不均一になってしまうおそれがある。この結果、各ユニットに傾きが生じてしまうことになり、この場合にはユニット毎に入射光の傾きを調整することが必要になってしまう。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、大容量化を図るべく、複数のユニットを積層させる場合に、再生光が散乱などの影響を受けずに結像され、各ユニットから出力されるそれぞれの再生像の間で出力ムラ(輝度ムラ)が生じないようにした、情報記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、大容量化を図るべく、複数のユニットを積層させる場合に、各ユニットの傾き(傾き量)を小さく抑えることができるようにした、情報記録媒体及びその製造方法を提供することも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の情報記録媒体は、樹脂製コア層と、樹脂製コア層の両面に積層された樹脂製クラッド層とからなり、樹脂製コア層と樹脂製クラッド層との界面の少なくとも一方に情報用凹凸部を有する光導波部材を1個又は複数個積層させてなる複数のユニットを備え、各ユニットが、表面を密着させて固定されていることを特徴としている(請求項1)。
【0013】
好ましくは、各ユニットを、それぞれ最外層に樹脂層を備えるものとし、樹脂層の表面を密着させて固定させる(請求項2)。
また、各ユニットの端面を覆うように被覆材を設けるのも好ましい(請求項3)。
さらに、被覆材を樹脂材とし、この樹脂材によって各ユニットと各ユニットを保護する保護部材とを結合するのも好ましい(請求項4)。
【0014】
本発明の情報記録媒体の製造方法は、コア層と、コア層の両面に積層されたクラッド層とからなり、コア層とクラッド層との界面の少なくとも一方に情報用凹凸部を有する光導波部材を1個又は複数個積層させて複数のユニットを作製するユニット作製工程と、各ユニットを積み上げて圧着する圧着工程とを備えることを特徴としている(請求項5)。
【0015】
好ましくは、圧着工程の前に、各ユニットの表面を平滑化処理する平滑化処理工程を備えるものとする(請求項6)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子,光メモリ,多層光メモリ)及びその製造方法について、図1〜図9を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる情報記録媒体としての光メモリ素子[積層型(平面型)の光メモリ素子;積層導波路型ホログラム素子,MWH素子]は、基本的には、図7(B)に示すように、樹脂製コア層3と、樹脂製コア層3の両面に積層された樹脂製クラッド層2とからなり、樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2との界面の少なくとも一方に再生像を得るための情報を含む情報用凹凸部6を有する光導波部材232を1個又は複数個(ここでは3個)有してなる積層体を、薄膜基体(基体)5,5′により挟み込んだサンドイッチ構造としている。
【0017】
なお、符号3Xa,3Xb,3Xcは接着剤として機能するコア層(コア材)を示しており、また、符号2Xは接着剤として機能するクラッド層(クラッド材)を示している。
このように、光メモリ素子4を、樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2とを積層させてなる積層体(光導波部材232)の両面(上下面)に薄膜基体5,5′を設け、薄膜基体5,5′で挟み込んだ構造(サンドイッチ構造)とすれば、コア層3の反りや撓み(撓み量)を所定値以下に抑えることができるため好ましい。
【0018】
なお、情報用凹凸部6は、強度,位相,角度などに関する情報を含むものとして構成される。情報用凹凸部6は、例えば強度情報と位相情報とを含むものである場合もあるし、強度情報と角度情報とを含むものである場合もあるし、強度情報のみを含むものである場合もある。また、再生像とは、このような情報用凹凸部6からの散乱光によって形成される光の濃淡であれば良く、どのような像であっても良い。
【0019】
ここで、薄膜基体5,5′としては、樹脂フィルムを用いるのが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリカーボネート,アートン(JSR社製)などの非晶質ポリオレフィン,PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルムを用いるのが好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られやすいので好適)である。また、薄膜基体5,5′としては、再生光波長に対して透明のものを用いる。
【0020】
なお、薄膜基体5,5′は、樹脂フィルムに限られるものではなく、積層体(光メモリ素子10)の反り(撓み)を抑えることができる(曲げを保持できる)基体として機能しうる材料によって構成されれば良く、例えばガラス,誘電体など各種の材料を用いることができる。
但し、製造工程上、貼着(ラミネート)を行うなど柔軟性(可撓性)が要求される場合は、樹脂製とするのが好ましい。各種の硬化性樹脂を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かして塗布し乾燥させたりして樹脂製薄膜基体としてもよいが、樹脂フィルムを用いると、スタンパに対する貼着、剥離を繰り返して行ないやすく、生産性、作業性の点で好ましい。
【0021】
ところで、上述のような薄膜基体5,5′によって挟み込んだサンドイッチ構造の光メモリ素子4を作製するには、第1の薄膜基体5上に、樹脂製クラッド層2と樹脂製コア層3とを順に積層した後で、その上に第2の薄膜基体5′を設けることになる。
この場合、第2の薄膜基体5′を設ける前は、第1の薄膜基体5上に樹脂からなるコア層3やクラッド層2が積層させている非対称構造であるため、一方向に反り易い状態になっている。第2の薄膜基体5′を設ける前に反った状態になっていた場合に、反った状態のままで第2の薄膜基体5′を設けてしまうと、反った状態が保たれてしまい、たとえサンドイッチ構造にしたとしても、反った状態の光メモリ素子4になってしまう。
【0022】
そこで、サンドイッチ構造の光メモリ素子4を作製する光メモリ素子作製プロセスを、例えば光透過性スタンパを用いた光メモリ素子作製プロセスとするのが好ましい。なお、光メモリ素子作製プロセスはこれに限られるものではない。
ここで、光透過性スタンパの構成及び作製方法について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0023】
光透過性スタンパ13は、後述するように光メモリ素子4を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過しうるものとして構成される。
この光透過性スタンパ(光メモリ素子作製用スタンパ)13は、例えば図4に示すように、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を刻まれたスタンパ面を有するスタンパ層としてのクラッド層10と、接着層としてのコア層11と、ベース(基体,ベース層,基体層)としての樹脂フィルム(樹脂フィルム層,樹脂製基体層,ベースフィルム層)12とを備える3層構造となっており、クラッド層10にコア層11を介して樹脂フィルム12が接着されて構成される。
【0024】
このように、本実施形態では、光透過性スタンパ13を、クラッド層10、コア層11及び樹脂フィルム12により構成し、可撓性を有するフィルム状スタンパ(フィルムスタンパ)として構成している。
ここでは、クラッド層10,コア層11及び樹脂フィルム12は、いずれも、使用光波長域[光メモリ素子を製造する際にコア材やクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)の波長域]において透明のもの(即ち、光を透過できるもの)を用いている。このため、クラッド層10を光透過性クラッド層(例えば紫外線透過性クラッド層)、コア層11を光透過性コア層(例えば紫外線透過性コア層)、樹脂フィルム12を光透過性樹脂フィルム(例えば紫外線透過性樹脂フィルム)という。
【0025】
このうち、クラッド層10を形成するクラッド材としては、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂材)を使用し、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を形成された金属製スタンパ(例えばニッケル製スタンパ)1のスタンパ面(凹凸パターン,凹凸形状)上に、この紫外線硬化性樹脂材を塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層10を形成する。
【0026】
樹脂フィルム(ベースフィルム)12としては、例えば、ポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製,登録商標)などの非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルム12が好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られやすいので好適)である。特に、アートンよりも剛性のあるPETやポリカーボネートが好ましい。
【0027】
また、ここでは、樹脂フィルム12として、枚葉のフィルムを用いているが、連続フィルムを用いても良い。つまり、フィルム上へのクラッド材、コア材のダイコータ,マイクログラビア,バーコータ等による塗布、スタンパを加圧した状態でのコア材,クラッド材の硬化等のプロセスを組み合わせることにより、基体としての樹脂フィルム上にコア層及びクラッド層を積層させて、光透過性スタンパ13を作製しても良い。
【0028】
コア層11は、クラッド層10と樹脂フィルム12とを接着する接着剤として機能するものであり、紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材により形成される。このようにしているのは、コア材11は後述の光メモリ素子の材料として用いられるものであるため、材料を共用化でき、また、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなるコア材11は樹脂フィルム12との接着性に優れており、好適であるからである。
【0029】
なお、ここでは、コア層(コア材)11やクラッド層(クラッド材)10という用語を用いているが、これらは単に後述するような光メモリ素子を構成するコア層(コア材)やクラッド層(クラッド材)と同様の樹脂を用い、光メモリ素子を製造する場合と同様の方法で塗布したり、硬化させたりするようにして、材料や製造設備を共用しているため、便宜上、このような用語を用いているにすぎず、光メモリ素子のように所定の屈折率のコア層(コア材)及びクラッド層(クラッド材)を用いることを意味するものではない。
【0030】
また、ここでは、クラッド層10に金属性スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア材11を介して樹脂フィルム12に接着しているが、これに限られるものではなく、クラッド層10に金属性スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フィルム12に接着しても良いし(この場合、クラッド層と樹脂フィルムとの2層構造となる)、また、コア層に金属性スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フィルムに接着しても良いし、さらに、コア層に金属性スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア材を介して樹脂フィルムに接着しても良い(この場合、コア層と樹脂フィルムとの2層構造となる)。
【0031】
また、コア材11やクラッド材10は、塗布時には液体で(流動性があり)、その後、硬化させることのできる樹脂であれば何でも良く、上述の紫外線硬化性樹脂以外の光硬化性樹脂や熱を加えることで硬化する熱硬化性樹脂等の所望の硬化性樹脂を適用してもよい。また、熱溶融性樹脂を用いても良い。
特に、金属製スタンパ1による転写を行なうクラッド材(クラッド層)10は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、上記の紫外線硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系,エポキシ系,チオール系の各樹脂などがよい。
【0032】
一方、接着剤(接着層)としてのコア材(コア層)11は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、使用光波長域で透明で、且つ、接着後に簡単に剥がれないものであれば、どのようなものを適用しても良い。例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等がある。但し、樹脂フィルムやクラッド層との材質を考慮して接着相性の良い組み合わせを選定するのが好ましい。
【0033】
さらに、光透過性スタンパ13を保持する基体を樹脂フィルム12により構成しているのは、金属製スタンパ1上への貼着、剥離を行ないやすく、生産性、作業性の点で好ましいからであるが、樹脂フィルム12に限られるものではなく、例えば各種の硬化性樹脂を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かして塗布し、乾燥させたりして、樹脂製基体を構成しても良い。
【0034】
また、ここでは、クラッド層10、コア層11及び樹脂フィルム12により構成される光透過性スタンパ13をフィルム状のものとして構成しているが、必ずしもフィルム状のものである必要はなく、例えばフィルム状のものよりも厚さが厚いプレート状のもの(プレート状スタンパ,プレートスタンパ)であっても良く、その厚さは特に問題とならない。
【0035】
このように、光透過性スタンパ13は、光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過できるものであれば、その材料や厚さ等は上述のものに限られない。例えば、光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する紫外線(UV光)を透過するものとしては、樹脂のほか、ガラスや石英などもあり、これらを材料として光透過性スタンパ13を構成しても良い。但し、光メモリ素子の製造工程上、光透過性スタンパ13の貼着(ラミネート)を行なう必要がある等、光透過性スタンパ13に柔軟性が要求される場合や光メモリ素子の製造工程と同様の工程により光透過性スタンパ13を製造する場合には、光透過性スタンパ13は樹脂製とするのが好ましい。
【0036】
また、本実施形態では、後述するように、コア材11及びクラッド材10として紫外線硬化性樹脂を用いるため、光透過性スタンパ13は少なくとも紫外線を透過しうる紫外線透過性スタンパであれば良い。
また、本実施形態では、光透過性スタンパ(フィルムスタンパ,プレートスタンパ)13を平面状とした平面状スタンパとして用いているが、これに限られるものではなく、例えば可撓性のあるフィルム状の光透過性スタンパをロールに巻き付けることによりロール状としたロール状スタンパ(ロールスタンパ)として用いても良い。このようにロールスタンパとすれば、スタンパからの転写プロセスの生産性を向上させることができるようになる。
【0037】
次に、このように構成される光透過性スタンパ13の製造方法について説明する。
まず、図5(A)に示すように、結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を転写しうるように、凹凸パターンを表面に刻まれた金属製スタンパ(例えばニッケル製スタンパ等,原盤,硬質スタンパ)1の凹凸パターンを有するスタンパ面上に、所定の膜厚(例えば約6μm)となるようにクラッド材(液状クラッド樹脂)10を塗布して、完全に硬化させる。このようにしてクラッド材10を完全硬化させると、表面に凹凸パターンを有する金属製スタンパ1から凹凸パターンが転写されて、凹凸パターンを有する樹脂製のクラッド層(スタンパ層)10が形成される(転写工程)。なお、クラッド層10として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。また、この凹凸パターンは、実際には、例えばCD(コンパクトディスク)におけるピットのように平面上に散在している。
【0038】
その後、図5(B)に示すように、その表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、接着剤として機能しうる紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材(液状コア樹脂,液状光硬化性樹脂)11を塗布する。なお、コア層11として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
【0039】
なお、コア材11やクラッド材10の塗布方法には、例えば、スピンコート法,ブレードコート法,グラビアコート法,ダイコート法等があるが、塗布膜厚と均一性を満足すればどのような塗布方法を用いてもよい。
次に、このコア層11の表面上に、例えば図5(B)に示すように、気泡が入らないようにベース(基体)としての樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)12をロール等で加圧しながら載置する。つまり、クラッド材10にコア材11を介して樹脂フィルム12を貼着(ラミネート)する。
【0040】
なお、このように、コア層(樹脂層)11上に樹脂フィルム(フィルム状部材)12をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって樹脂フィルム12をコア層11に対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置するようにしているが、この際にコア層11の膜厚が変動しないようにするためには、コア層(樹脂層)11が塗布されている面(クラッド層11の上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら樹脂フィルム(フィルム状部材)12を貼着するのが好ましい。
【0041】
次いで、図5(B)に示すように、上述のように樹脂フィルム12を貼着した状態で、樹脂フィルム12側(金属製スタンパ1の反対側)から紫外線を照射してコア材11を完全に硬化させれば、樹脂製のコア層11が形成されるとともに、樹脂フィルム12とクラッド層10とがコア層11を介して接着される。このように、凹凸パターンを転写されたクラッド層10に樹脂フィルム12を接着する工程を、接着工程という。
【0042】
そして、図5(C)に示すように、金属製スタンパ1からコア層11とクラッド層10と樹脂フィルム12とを一体として剥離(分離)し(分離工程)、図5(D)に示すように、樹脂フィルム12を樹脂製基体層とし、その上に樹脂製のコア層11、さらにその上に金属製スタンパ1の凹凸パターン(以下、単に「凹凸」ともいう)を転写(形成)した樹脂製のクラッド層10が積層された、光メモリ素子製造用の光透過性スタンパ(ここでは、フィルムスタンパ)13が作製される。
【0043】
本実施形態では、さらに、図5(D)に示すように、金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写した樹脂製のクラッド層10の凹凸パターンを有する面に対して、紫外線を照射して、さらに硬化させることで、クラッド層2に形成される凹凸パターン(凹凸形状;ピット)の接着性をより低下させるようにしている(これをオーバキュア処理という)。好ましくは、例えば約120℃程度の高温処理を行なう。この高温処理時間は、約1時間程度とするのが好ましい。これにより、さらに接着性を低下させることができる(これもオーバキュア処理という)。このようなオーバキュア処理を行なうことで、光メモリ素子を構成するコア材又はクラッド材からの光透過性スタンパ13の剥離性を向上させるようにしている。
【0044】
次に、このようにして作製される光透過性スタンパ13を用いて、薄膜基体として樹脂フィルム5,5′を用いた場合の光メモリ素子の作製プロセス(光メモリ素子の製造方法)について説明する。
本光メモリ素子作製プロセスの概略を説明すると、本プロセスでは、まずガラス等の基板(≠基体)上に薄膜基体5を設け、その上に樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2を積層させていく。最後に、その上に薄膜基体5′を設けて、サンドイッチ構造を完成した状態で、基板から薄膜基体5,5′にサンドイッチされた構造の光メモリ素子4を剥離する。
【0045】
以下、光メモリ素子作製プロセスについて、図6(A)〜(E)を参照しながら、さらに詳述する。
始めに、図6(A)に示すように、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約5μm)となるようにクラッド材(液状クラッド樹脂)2Xを塗布する。
【0046】
このクラッド材2Xとしては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂材)から成るものを使用し、このように光メモリ素子作製用ベース基板21の表面上へ塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層2Xを形成する。なお、クラッド層2Xとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
【0047】
ここでは、光メモリ素子作製用ベース基板21として、例えば数mm厚のガラス基板,ポリカーボネートからなる基板,アートン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィンからなる基板等の硬質基板(例えば厚さ約0.1mm〜約3mm程度、好ましくは約1mm程度)を用いる。
このような硬質基板を用いているのは、以下の理由による。
【0048】
つまり、後述するように、基板21上に樹脂製コア層3や樹脂製クラッド層2を積層させていく間は、サンドイッチ構造が構成されないので、コア層3やクラッド層2を構成する樹脂中の内部応力が基板を一方向に反らせる方向に働くことになる。
この場合、基板21の強度が十分でない場合には、基板21に反りが生じてしまい、この反りが大きくなると、樹脂の塗布や樹脂フィルムの貼着等のプロセスが行なえなくなる。
【0049】
また、基板21が反った状態のまま薄膜基体5を設けてサンドイッチ構造を完成させ、これを基板21から剥離させると、サンドイッチ構造の光メモリ素子4を作製できるものの、反りが保たれたままの状態となってしまう。
このため、樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2の積層を行っている間も基板21の反りを抑えるべく、基板21として硬質基板を用いているのである。
【0050】
これにより、硬質基板21の強度によって、樹脂製コア層3や樹脂製クラッド層2の積層を行っている間も、クラッド材やコア材としての紫外線硬化性樹脂材が硬化時に収縮し、基板21の反り(反曲,カール)が生じるのを抑えることができる。
一方、上述のように硬質基板21を用いることができるのは、以下の理由による。
【0051】
つまり、基板は、最終的には光メモリ素子4から外されてしまうものであるため、基板の厚さや重さは、光メモリ素子4の厚みや重さに影響を与えることはない。従って、厚さや重さのある基板21を用いたとしても、光メモリ素子4の実用性を失うことないため、基板として、反りが発生しないだけの十分な強度を持つものとすることが可能である。
【0052】
また、金属性スタンパを用いる場合に、ベース基板を硬質基板とすると、金属性スタンパを曲げる(撓ませる)のが難しいため、金属製スタンパからクラッド層及びコア層からなる積層体を剥離(分離)させるのが困難である。このため、ベース基板として硬質基板を用いることはできなかったが、本実施形態では、柔軟性(可撓性)のある光透過性の樹脂スタンパ(フィルムスタンパ)13を用いるため、積層体からのスタンパ13の剥離(分離)は容易であるから、ベース基板として硬質基板を用いるのが可能になったのである。
【0053】
なお、光メモリ素子作製用ベース基板21は、クラッド材2やコア材3として用いられる紫外線硬化性樹脂材に紫外線を照射した際の紫外線硬化性樹脂の収縮に耐え、クラッド層2やコア層3が反らないだけの強度を備えるものであれば良い。
次に、このようにクラッド材2Xを完全硬化させた後、図6(A)に示すように、その表面上に、紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材(液状コア樹脂)3Xaを所定の膜厚(完全硬化時に約1.8μm程度)になるように塗布する。なお、コア層3Xaとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
【0054】
次いで、このようにしてコア材3Xaを塗布した後、図6(A)に示すように、コア材3Xaの表面上に、薄膜基体(ベース)となる樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5を、気泡が入らないように例えばロール等を用いて加圧しながら載置する。つまり、クラッド層2Xにコア材3Xaを介して樹脂フィルム5を貼着(ラミネート)する。
【0055】
なお、このように、コア材(樹脂材)3Xa上に樹脂フィルム(フィルム状部材)5をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって樹脂フィルム5をコア材3Xaに対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置するようにしているが、この際にコア材3Xaの膜厚が変動しないようにするためには、コア材(樹脂材)3Xaが塗布されている面(クラッド材2Xの上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら樹脂フィルム(フィルム状部材)5を貼着するのが好ましい。
【0056】
かかる状態で、紫外線を照射してコア材3Xaを完全硬化させれば、樹脂製のコア層3Xaが形成されるとともに、樹脂フィルム5とコア層3Xaとが接着される。
ここで、樹脂フィルム5は、使用光波長域(コア層3を導波させるレーザ光の波長域)で透明で(散乱光を透過でき)、光学的な特性や膜厚の均一性,力学的な強度などが許す限り、できるだけ薄い方が良い。これは、上記の凹凸で散乱した散乱光を最終的に外部へ放出できるようにするためと、最終的に製造される光メモリ素子4′の厚さを薄くするためであるが、本実施形態では、それだけでなく、樹脂フィルム5とクラッド層2Xとの間にあるコア材3Xa内に気泡が入りにくくするためでもある。
【0057】
即ち、コア材3Xaの塗布されたクラッド層2X上に樹脂フィルム5を貼着する工程で、樹脂フィルム5の厚みが薄いと柔軟性(可撓性)に優れるため、樹脂フィルム5を曲げながら少しずつ接触させてゆくことによって、載置面積をゆっくりと増加させることが可能になり、クラッド材2X内に気泡が混入してその部分の屈折率や膜厚が変化してしまう等の影響を抑止することができるのである。
【0058】
このため、樹脂フィルム5には、例えば、ポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルム5が好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られやすいので好適)で、これらのいずれかを熱延伸或いは溶媒キャスト等の方法で、例えば100μm以下の厚さにしたものがよい。
【0059】
これ以上厚さが厚いと、樹脂フィルム5の柔軟性(可撓性)が乏しくなり樹脂フィルム5をコア材3Xa上に載置する際に気泡が混入しやすくなってしまう。逆に、樹脂フィルム5の厚みが極端に薄い場合、例えば1μmよりも薄いような場合は、クラッド層2及びコア層3からなる積層体を光メモリ素子作製用ベース基板21から剥離(分離)する際に、樹脂フィルム5が積層体を保持する機能を果たし得なくなることがあるので好ましくない。
【0060】
なお、上述の工程では、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、クラッド層2Xを形成し、これにコア材3Xaを介して樹脂フィルム5を貼着しているが、これに限られるものではなく、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、クラッド層2Xを形成し、これに接着剤として機能するクラッド材を介して樹脂フィルム5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、クラッド層を介して樹脂フィルム5が積層されることになる。
【0061】
また、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、コア層を形成し、これに接着剤として機能するクラッド材を介して樹脂フィルム5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、コア層、クラッド層を介して樹脂フィルム5が積層されることになる。
さらに、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、コア層を形成し、これに接着剤として機能するコア材を介して樹脂フィルム5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板上に、コア層を介して樹脂フィルム5が積層されることになる。
【0062】
なお、これらは、いずれも光メモリ素子作製用ベース基板上に、基体としての樹脂フィルム5を接着するものであるため、これらを基体接着工程という。
ここで、接着剤(接着層)としてのコア材(コア層)又はクラッド材(クラッド層)は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、樹脂フィルム5や光メモリ素子作製用ベース基板21の材質を考慮して接着相性の良い組み合わせを選定すれば良い。このため、例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等を用いることができる。
【0063】
次に、図6(B)に示すように、上述の樹脂フィルム5上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、紫外線硬化性樹脂材からなるコア材(液状コア樹脂)3Xbを塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のコア層3Xbを形成する。
なお、上述の2つのコア層3Xa,3Xbは、後述するコア層3と異なり凹凸パターンが設けられておらず、専らクラッド層2Xと樹脂フィルム5との間の接着のために用いられ、情報再生層としては機能しない。また、上述のクラッド層2Xも、後述するクラッド層2と異なり光導波路デバイスを構成するものではなく、専ら光メモリ素子作製用ベース基板としてのガラス基板21等とコア層3Xaとの接着のために用いられている。
【0064】
次いで、図6(C)に示すように、このコア層3Xbの表面上に、所定の膜厚(例えば、完全硬化時に約15〜約20μm)となるようにクラッド材(液状クラッド樹脂)2を塗布する。このクラッド材2としては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材)から成るものを使用し、コア層3Xbの表面上に塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層2を形成する。なお、クラッド層2として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
【0065】
このようにクラッド材2を完全硬化させた後、図6(C)に示すように、その表面上に、クラッド層2よりも屈折率の大きい紫外線硬化性樹脂材から成るコア材(液状コア樹脂)3を所定の膜厚(完全硬化時に約1.8μm程度)になるように塗布する。なお、コア層3として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
【0066】
次いで、このようにしてコア材3を塗布した後、図6(C)に示すように、その表面上に、結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凸形状;ピット)を表面に刻まれた光透過性スタンパ(フィルムスタンパ,樹脂製スタンパ)13をラミネート(貼着)する。
なお、このように、コア材(樹脂材)3上に光透過性スタンパ(フィルム状部材)13をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって光透過性スタンパ13をコア材3に対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置することになるが、この際にコア材3の膜厚が変動しないようにするためには、コア材(樹脂材)3が塗布されている面(クラッド材2の上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら光透過性スタンパ(フィルム状部材)13を貼着するのが好ましい。
【0067】
かかる状態で、図6(D)に示すように、ラミネートされた光透過性の樹脂製スタンパ13の裏面側(樹脂フィルム12側,凹凸パターンを有する面の反対側)から紫外線を照射して、この光透過性スタンパ13を透過した紫外線によってコア材3を一部不完全硬化させる。
ここで、一部不完全硬化とは、コア材の一部のみが完全には硬化せずに不完全に硬化することをいい、例えば空気に触れているために硬化の遅いコア層のエッジ部のみが完全には硬化せずに不完全に硬化する状態をいう。
【0068】
このように、コア層3を完全硬化させずに一部不完全硬化としているのは、光透過性スタンパ13をラミネートした状態でコア層3を完全に硬化させてしまうと、コア層3から光透過性スタンパ13を剥離させることができなくなるからである。
次に、図6(E)に示すように、光透過性の樹脂製スタンパ13を光メモリ媒体用ベース基板21上に積層された積層体のコア層3から剥離(分離)した後、光透過性の樹脂製スタンパ13の凹凸パターン(以下、単に「凹凸」ともいう)が転写(形成)された樹脂製のコア層3に対して紫外線を照射して、コア層3を完全硬化させる。これにより、光メモリ媒体用ベース基板21上に樹脂製のクラッド層2、さらにその上に光透過性の樹脂製スタンパ13の凹凸パターンを転写された樹脂製のコア層(記録層,光導波路)3が積層される。なお、この凹凸パターンは、実際には、例えばCD(コンパクトディスク)におけるピットのように平面上に散在している。
【0069】
次に、コア層3の表面上に、所定の膜厚(例えば、完全硬化時に約15〜約20μm)となるように、コア層3よりも屈折率の小さい紫外線硬化性樹脂材からなるクラッド材(液状クラッド樹脂)2を塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層2を形成する。
以後、上述と同様の処理(図6(C)〜(E)に示す処理)を繰り返すことで、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、例えば基体としての樹脂フィルム等を介在させることなく、コア層3及びクラッド層2を連続して所望の積層数(例えば100層程度)になるまで積層する。
【0070】
なお、上述のように、基体としての樹脂フィルム5上にクラッド層2及びコア層3を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成する工程を、積層体形成工程という。
ところで、本実施形態では、図7(A)に示すように、上述のようにして所望の積層数だけ積層させた後、最後に積層したクラッド層2(最上層のクラッド層2d)の表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、紫外線硬化性樹脂材からなるコア材(液状コア樹脂)3Xcを塗布する。
【0071】
次いで、このようにしてコア材3Xcを塗布した後、図7(A)に示すように、コア材3Xcの表面上に、基体(ベース)となる樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5′を、気泡が入らないように例えばロール等を用いて加圧しながら貼着(ラミネート)する。
なお、このように、コア材(樹脂材)3Xc上に樹脂フィルム(フィルム状部材)5′をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって樹脂フィルム5′をコア材3Xcに対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置することになるが、この際にコア材3Xcの膜厚が変動しないようにするためには、コア材(樹脂材)3Xcが塗布されている面(クラッド材2の上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら樹脂フィルム(フィルム状部材)5′を貼着するのが好ましい。
【0072】
かかる状態で、紫外線をさらに照射してコア材3Xcを完全硬化させれば、樹脂製のコア層3Xcが形成されるとともに、樹脂フィルム5′とコア層3Xcとが接着される。
その後、このようにして作製される光メモリ素子(即ち、紫外線硬化性樹脂層としてのクラッド層2及びコア層3を積層した積層体を樹脂フィルム5,5′で挟んだ構造体)4は、図7(B)に示すように、これらの樹脂フィルム5,5′によって支持しながら、積層体と樹脂フィルム5,5′を一体として光メモリ素子作製用ベース基板21から剥離(分離)する。なお、このように、光メモリ素子作製用ベース基板21から基体としての樹脂フィルム5,5′と積層体とを一体として分離する工程を、積層体分離工程という。
【0073】
なお、本実施形態では、コア材3Xa,3Xb,3Xcやクラッド材2Xを介して樹脂フィルム5,5′を接着しているため、上述のようにして作製される光メモリ素子4は、コア層3Xa,3Xb,3Xc及びクラッド層2Xを備えるものとして構成される。
以上の説明において、コア材3には、塗布時には液体で、その後、硬化させることのできる樹脂であればどのような樹脂を適用してもよいが、好適な物質としては、例えば紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられる。ただし、上述のごとくスタンパによる転写を行なう場合には、光硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系光硬化性樹脂(アクリル系硬化性樹脂),エポキシ系光硬化性樹脂(エポキシ系硬化性樹脂),チオール系光硬化性樹脂(チオール系硬化性樹脂)などが好ましい。
【0074】
また、上記のクラッド材2は、透明で屈折率がコア材3よりも僅かに小さい物質(樹脂)であれば何でも良いが、各種樹脂製のクラッド材2を塗布すると簡便である。例えば紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂から成るクラッド材2は樹脂フィルム5との接着性に優れ、好適である。特に、光硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系光硬化性樹脂(アクリル系硬化性樹脂),エポキシ系光硬化性樹脂(エポキシ系硬化性樹脂),チオール系光硬化性樹脂(チオール系硬化性樹脂)などが好ましい。
【0075】
また、コア材3、クラッド材2の塗布方法には、例えば、スピンコート法,ブレードコート法,グラビアコート法,ダイコート法等があるが、塗布膜厚と均一性を満足すればどのような塗布方法を用いてもよい。
なお、クラッド層2は上記説明のように1層として形成しても良いが、膜厚を安定させるために2層に分けて形成してもよい。
【0076】
このように、本実施形態では、積層されたコア層3とクラッド層2とがいずれも樹脂製で、しかも、凹凸の形成されるコア層(コア材)3に光や熱等で硬化しうる硬化性樹脂を用いているので、従来のようにフォトレジストの露光,現像処理等を用いなくても、スタンパからの転写によって、コア層3とクラッド層2との界面に容易に所望形状の凹凸部6を形成することが可能になる。
【0077】
ここで、このようにして作製される光メモリ素子4には、情報記録領域(即ち、樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2との両層の界面に設けられる情報用凹凸部6が形成されている領域)に記録されている情報を読み出すための入射光(再生光)を樹脂製コア層3へ導くための入射端面(入射光導入端面)が形成される。
【0078】
ここでは、円形スタンパを用いて作製される光メモリ素子4から所望の大きさになるように切り出した個々の光メモリ素子4の90度(光導波部材323の表面とのなす角度が90度)の端面を入射端面(90度入射端面)としている。
なお、入射光を樹脂製コア層3へ導くための入射端面は、これに限られるものではなく、種々のものが考えられる。例えば、光メモリ素子4の一方の端面を45度(光導波部材の表面とのなす角度が45度)に切断し、必要に応じて反射膜を形成してミラー端面(傾斜端面,マイクロミラー)とし、このミラー端面を入射端面(45度入射端面)としても良い。この場合、光メモリ素子4の表面に対して垂直な方向から、この45度入射端面に向かって光を入射させ、45度入射端面で反射させて入射光を樹脂製コア層3へと導くことになる。
【0079】
このようにして作製された光メモリ素子4では、例えば、光導波路としてのコア層3に入射端面を介して光を導入すると、その導入光が界面の凹凸部分で散乱しながら伝播する。このときの散乱光は導入光に対して上下方向(交差する方向)のそれぞれに伝搬(透過)していき、最終的に光メモリ素子の両面部から外部へ放出され、凹凸パターンに応じた画像が結像することになる。
【0080】
また、上述のものでは、薄膜基体としての樹脂フィルム5として、枚葉のフィルムを用いた方式を説明したが、連続フィルムによる実施も可能である。フィルム上へのコア、クラッド材のダイコータ、マイクログラビア、バーコータ等による塗布、スタンパを加圧した状態でのコア、クラッド材の硬化等のプロセスを組み合わせることにより、支持体上にクラッド/コア部材を積層した構造体を作製することができる。また、スタンパとしてロールに巻き取り可能な形に加工したロールスタンパを用いることにより、スタンパからの転写プロセスの生産性を向上させることも可能である。
【0081】
なお、上述の実施形態では、コア層3に光透過性スタンパ13をラミネートして凹凸パターンを転写(これをコア転写,コア層転写法という)しているが、これに限られるものではなく、クラッド層2に光透過性スタンパ(樹脂スタンパ,フィルムスタンパ)をラミネートして凹凸パターンを転写(これをクラッド転写,クラッド層転写法という)するようにしても良い。
【0082】
このクラッド転写により製造された光メモリ素子によって出力される画像を、コア転写により製造された光メモリ素子によって出力される画像と比べると、クラッド転写により製造された光メモリ素子の出力画像ではホログラムの虚像が観察されず(例えば像が2重に見える現象がなくなる)、画質が優れたものとなる。
【0083】
ここで、コア層の方がクラッド層よりも薄いため、ラミネート時に膜厚変動しにくく、ラミネート条件を広く選べるという点では、上述の実施形態におけるコア転写の方が好ましい。
しかし、ラミネート条件を最適なものとすれば、クラッド層転写方法によっても、良好な転写を行なえるようになる。
【0084】
このため、このようにしてラミネート条件を設定すれば、クラッド層の厚さが厚くても薄くても(厚さにかかわらず)、良好な転写を行なえるため、クラッド層は厚いまま転写することもできるし、又は、まず所定の厚さのクラッド層を硬化させた上に、転写用に薄くクラッド材を塗布し、この薄く塗布されたクラッド材に転写することもできることになる。
【0085】
また、光メモリ素子の製造方法は、上述の実施形態のものに限られない。つまり、上述の実施形態にかかる光メモリ素子の製造方法は、基板上に基体(樹脂フィルム)を接着した後に、基体(樹脂フィルム)上にクラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成しているが、これに限られるものではなく、例えば、基板上に基体(樹脂フィルム)を接着することなく、基板上に、直接、クラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成しても良い。
【0086】
ところで、本実施形態では、上述のようにして製造(作製)される光メモリ素子4は、円形スタンパを用いて作製されるため、作製された光メモリ素子4は所望の大きさになるように切り出される。
ここで、上述のようにして製造(作製)される光メモリ素子4は、1個又は複数個の光導波部材232を有する積層体が基体としての樹脂フィルム5,5′によって挟み込まれているため、当然のことながら、切り出された個々の光メモリ素子4も、1個又は複数個の光導波部材232を有する積層体の両面(上面及び下面)が基体としての樹脂フィルム5,5′で挟み込まれた構造になっている。
【0087】
なお、本実施形態では、コア材3Xa,3Xb,3Xcやクラッド材2Xを介して樹脂フィルム5,5′を接着しているため、上述のようにして作製される光メモリ素子4は、コア層3Xa,3Xb,3Xc及びクラッド層2Xを備えるものとして構成される。
そして、本実施形態では、このようにして切り出された個々の光メモリ素子4のそれぞれを1ユニット(1ブロック)とし、図1に示すように、これらのユニット(ブロック)としての光メモリ素子4を2以上(複数)積み上げた(積層した)後、さらに保護フィルムを貼ったり、樹脂コートしたりする等の工程を経て、例えば光メモリカードなどの媒体(光メモリ)として用いられる光メモリ素子4′としている。なお、光メモリ素子4′は、ユニットを積層したものであるため、ユニット積層体ともいう。
【0088】
なお、図1では、3つのユニット(光メモリ素子4)を積み上げた光メモリ素子4′を示している。また、図1では、各光メモリ素子4は1個の光導波部材232のみを備えるものとして示しているが、これは説明を分かり易くするためであり、実際には、各ユニット(光メモリ素子4)は1個又は複数個の光導波部材232を積層させた積層体を備えて構成される。
【0089】
例えば、25個(25層)の光導波部材232を有する積層体を備える光メモリ素子4を作製し、所望の大きさに切り出してユニット(25層積層ユニット)とする。そして、4つのユニットを積み上げて、100個(100層)の光導波部材232を有する媒体としての光メモリ素子4′(100層媒体)を作製する。
【0090】
この場合、基板上に積層するのは25層までで良く、作製中に発生する反りも小さくて済むので、作製時の基板として1〜2mm程度の薄い基板(例えばガラス基板)を用いることができるという利点がある。
また、このように光導波部材232を25層積層させた積層体を備えるユニット(光メモリ素子4)を4つ用意し、これらのユニットを積み上げて100層の光導波部材232を有する媒体(光メモリ素子4′)を作製すれば、光導波部材232を100層積層させて媒体(光メモリ素子4′)を作製する場合と比べて歩留まりの低下を抑えることができるという利点もある。
【0091】
ここで、各ユニット4において、光導波部材232を積層してなる積層体の厚さ(即ち、基体としての樹脂フィルム5,5′間に挟まれている積層体の厚さ)は、2mm以下(より好ましくは1.5mm以下)であるのが好ましい。
これは、作製プロセス上の問題である。つまり、積層数を増やしていくと、徐々に反りが大きくなっていくが、積層体の厚さが2mm以下(より好ましくは1.5mm以下)であれば、作製中に発生する反りの大きさを許容範囲内に抑えることができるからである。このように反りの大きさを許容範囲内に抑えることで、ドライブに光メモリ素子4′を装着して情報を再生する際に、正確、かつ、確実に、各ユニット4に記録されている情報を読み取ることができることになる。
【0092】
一方、2以上のユニット4を積み上げて光メモリ素子4′を作製する場合、積み上げるユニット数が多いと、各ユニット4には基体としての樹脂フィルム5,5′が含まれているため、その分だけ光メモリ素子4′全体の厚さは厚くなってしまう。この場合、各ユニット4に含まれる積層体の厚さがあまりに薄いと(即ち、積層体に含まれる光導波部材232の数が少ないと)、各ユニット4の記録容量が小さい(ひいては、各ユニット4を積み上げて作製される光メモリ素子4′全体の記録容量も小さい)にもかかわらず、光メモリ素子4′の厚さが無駄に厚くなってしまうことになる。
【0093】
このため、各ユニット4において、光導波部材232を積層してなる積層体の厚さ(即ち、基体としての樹脂フィルム5,5′間に挟まれている積層体の厚さ)は、少なくとも0.1mm以上であるのが好ましい。
なお、コア層3,クラッド層2の膜厚については、コア層3,クラッド層2が光導波路として機能するだけの膜厚であればよく、例えば、使用光波長域が可視光の波長域であれば、コア層3はおおよそ0.5〜3.0μm程度になると考えられる。この場合、クラッド層2の膜厚に関しては特に制限は無いが、全体の厚さを薄くすることを考慮すれば、100μm以下にするのが好ましい。あえて下限を規定するなら、0.1μm以上になると思われる。
【0094】
ところで、基体は、厚さの薄いものとするのが好ましい。具体的には、基体の厚さ(膜厚)は、500μm以下(好ましくは250μm以下、より好ましくは100μm以下)とするのが好ましい。なお、厚さの薄い基体は、薄膜状であるため、薄膜基体ともいう。
このように、基体の厚さを薄くするのは、以下の理由による。
【0095】
光メモリ素子4に記録されている信号(情報)の読み出しを行なう際には、CCD等の検出器を読出対象としてのコア層3に、できるだけ近づけたい。具体的には、例えば5mm以内とする必要がある。この距離が遠いと、信号が弱くなり、S/N比が小さくなってしまう。
本実施形態では、基体が各ユニット(光メモリ素子4)の上下にある構造なので、光メモリ素子4′の上側から記録情報(信号)を読み出す場合には、光メモリ素子4′の最も下側のユニット(最下ユニット)からの信号は、基体の厚さだけを考えても、次式により求められる厚さ以上(距離以上)は、CCD等の検出器から離れることになる。
【0096】
(ユニット数−1)×基体厚さ×2+基体厚さ
例えば、基体の厚さが1mmであると、6ユニット積層する場合、最下ユニットの読出対象としてのコア層からCCD等の検出器までは最低でも1cm以上離れてしまうことになり、これでは、実用的なS/N比が得られない。
このため、S/N比が小さくならないようにして実用的なS/N比が得られるようにすべく、上述のように、基体の厚さ(膜厚)は、500μm以下(好ましくは250μm以下、より好ましくは100μm以下)とするのが好ましい。
【0097】
一方、基体は、10μm以上の厚さとするのが好ましい。
要するに、基体の厚さは、10μm〜500μm(10μm〜250μm,10μm〜100μm)の範囲内とするのが好ましい。
特に、基体を樹脂フィルム5,5′とする場合には、上述のようなポリカーボネート等の樹脂フィルムを熱延伸、或いは溶媒キャスト等の方法で、例えば10μm以上500μm以下(好ましくは100μm以下)の厚さにすれば良い。
【0098】
また、基体は、撓み方向に対する強度(曲げ強度)は特に重要ではないが、圧縮・引張方向に対する強度(引張強度,圧縮強度)は重要である。このため、基体としては、弾性係数(ヤング率)が9.8×10Pa以上(好ましくは4.9×10Pa以上)の材料を用いるのが望ましい。具体的な材料としては、例えばポリカーボネートフィルム,アートンフィルムなどが挙げられる。
【0099】
さらに、基体の屈折率は、コアやクラッドの屈折率にできるだけ近い方が望ましい。これは、基体の屈折率と、積層体を構成するコア3やクラッド2の屈折率との間に大きな差があると、基体と積層体との界面で出力光(信号光)が反射等して、信号光(出力光)の光量が低下してしまうし、S/Nも低下してしまうからである。
【0100】
このため、積層体を構成するコア又はクラッドの屈折率と、基体を構成する材料の屈折率との差は、いずれも0.2以下であることが望ましい。つまり、コアと基体との屈折率差が0.2以下であり、かつ、クラッドと基体との屈折率差が0.2以下であることが好ましい。
ところで、本実施形態では、複数のユニット4を積み上げて(積層して)媒体(光メモリ素子4′)を作製するのに、図1に示すように、一のユニット4の表面(最上面又は最下面)と、他のユニット4の表面(最下面又は最上面)とを対向させ、各ユニット4間に空気層ができないように密着させる(ユニット4の表面同士を密着させる)ことで、各ユニット4を固定している。つまり、本実施形態では、例えばユニット4の表面に接着剤を塗布して接着剤による化学結合によって各ユニット4を固定するのではなく、各ユニット4を密着させて固定している。
【0101】
ここで、本実施形態では、上述のようにして作製される各ユニット4は、図7(B)に示すように、コア層3Xa,3Xb,3Xc及びクラッド層2Xを備えるものとして構成され、ユニット4の一側の表面はクラッド層2Xとなっているが、他側の表面は樹脂フィルム5′となっている。このため、図1に示すように、樹脂フィルム5′の表面を平滑化すべく、後述するような平滑化処理を行なって樹脂層7を形成した上で、各ユニット4を積層させて密着固定している。なお、作製される各ユニット4の表面が例えばクラッド材やコア材などの樹脂材となっている場合には、特に平滑化処理を行なわずに、そのまま積層させて、密着固定させることができる。
【0102】
具体的には、本実施形態では、各ユニット4を密着固定するために、複数のユニット4を積み上げた状態で、各ユニット4間の空気が除去されるように(各ユニット4間から気泡が抜けるように)、積層したユニット4(ユニット積層体)の上面側及び下面側から表面に均一に所定の圧力を加えることで、複数のユニット4を圧着するようにしている(圧着処理)。
【0103】
特に、この圧着処理の際には、各ユニット4の情報用凹凸部6が形成されているデータ領域(再生領域,情報記録領域)に対応する領域に気泡が入ってしまうと、再生像が劣化してしまうことになるので、この領域には気泡が入らないようにする必要がある。
上述のようにしてユニット4同士を固定する場合、ユニット4同士を固定するのに接着剤等は不要であるため、各ユニット4間に接着層を設ける場合のように、接着層によって信号光(再生光)が散乱されてしまうことがない。
【0104】
また、各ユニット4の情報用凹凸部6が形成されている情報記録領域に対応する領域以外の領域に接着層を設ける場合のように、ユニット4間に存在する空気層のために信号光(再生光)の光量が低下してしまうこともない。
さらに、上述のように、一のユニット4の表面上に他のユニット4の表面を密着させて固定するため、各ユニット4は平行な状態で積層されることになる。したがって、各ユニット4間に接着層を設ける場合のように、接着層の膜厚むらによってユニット4(具体的にはユニット4を構成するコア層3)が傾いてしまうようなこともない。このため、各ユニット4に記録されている情報を再生する際に、ユニット4毎に入射光の傾き調整を行なう必要がなく、情報の読み取りを簡易な操作で、かつ、短時間で行なえ、読取装置(ドライブ)の構成を簡略化できる。
【0105】
ところで、上述のように、各ユニット4を圧着することで密着固定する場合、当然のことながら、圧力を除いた後も密着した状態が保持されるようにしなければならない。
例えば、ユニット4の表面に凹凸や傷などがある場合(粗度が大きい場合)には、ユニット4間に空気が入ってしまうため、密着した状態を保つことができない。
【0106】
このため、ユニット4の表面に凹凸や傷などがある場合(粗度が大きい場合)には、各ユニット4の表面(各ユニット4の密着させる面)に、例えば樹脂材を均一に塗布する等により、平滑化処理する必要がある。
ここで、平滑化処理のために用いる樹脂材(平滑化処理用樹脂材)7は、ユニットを構成するコア材,クラッド材,樹脂フィルムの屈折率との差が小さいものであることが望ましい。例えば、平滑化処理用樹脂材7の屈折率とユニット4を構成するコア材3等の屈折率との間の屈折率差が、約0.2以下になるようにするのが好ましい。これは、屈折率差が大きいと、再生光の光量が低下してしまうからである。このため、平滑化処理用樹脂材7としては、ユニット4を構成するコア材3やクラッド材2を用いれば良い。
【0107】
例えば、紫外線硬化樹脂をユニット4の表面に塗布したのち、これを硬化させることによって樹脂層7を形成することで、ユニット4の表面の凹凸や傷などを埋めて平滑化することができる。なお、樹脂層7は平滑面を有するため、平滑化層ともいう。また、上述のようにして作製される各ユニット4の一側の表面を構成するクラッド層2Xは、光メモリ素子作製用ベース基板21上に形成されるため、その表面は平滑面になっている。このため、クラッド層2Xも平滑化層ともいう。
【0108】
例えば、各ユニット4の最外層が樹脂フィルムのような場合には、一般に表面に凹凸や傷などがあるため、その表面に樹脂を塗布することによって樹脂層7を形成することによって平滑化処理を行なうことになる。
ここで、平滑化層として機能する樹脂層7の厚さは、約1μm〜約10μm程度とするのが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂(例えば粘度:30cps)をスピンコート条件「振り切り速度2000rpmで30秒間」でスピンコート塗布した後、紫外線を照射して硬化させることによって3μmの膜厚の樹脂層を得ることができる。
【0109】
なお、各ユニット4を作製した状態で、各ユニット4の最外層が樹脂層(例えば樹脂製コア層や樹脂製クラッド層)になっている場合には、特に平滑化処理を行なわなくても、各ユニット4の最外層を構成する樹脂層が平滑化層として機能しうることになる。
このように、ユニット4の表面に凹凸や傷などがある場合であっても、各ユニット4の表面を平滑化処理して、平滑化層としての樹脂層7を形成すれば、各ユニット4の最外層を構成する樹脂層7の表面同士を密着させることで、各ユニット4を固定できることになる。
【0110】
また、例えば、上述のようにして作製されるユニット4が僅かながら反っている場合がある。このような場合であっても、ユニット4同士を圧着することで密着させ、圧力を除いた後も密着した状態が保たれるようにするためには、ユニット4を所定の柔軟性(弾性)を有するものとして構成する必要がある。具体的には、ユニット4の曲げ剛性が約0.3N・m以下になるようにすれば良い。
【0111】
この場合、まず、コア層3と、コア層3の両面に積層されたクラッド層2とからなり、コア層3とクラッド層2との界面の少なくとも一方に情報用凹凸部5を有する光導波部材323を1個又は複数個積層させて複数のユニット4を作製し(ユニット作製工程)、次いで、各ユニット4の表面を平滑化処理し(平滑化処理工程)、そして、各ユニット4を積み上げて圧着する(圧着工程)ことになる。
【0112】
ところで、上述のように、本実施形態では、各ユニット4は密着固定されるが、例えば各ユニット4の端面において一部が剥離してしまうと、その箇所から全体に剥離が進行してしまい、最終的には、各ユニット4が分離してしまうおそれがある。
このため、各ユニット4の端面(側面)からの剥離が生じないように、複数のユニット4を積層してなる光メモリ素子4′(ユニット積層体)の端面(特に、ユニットとユニットとの境界部分)を覆うように被覆材8を設けるのが好ましい。特に、被覆材8は、各ユニット4の入射端面以外の端面に形成するのが好ましい。このように、ユニット積層体4′の端面に被覆材8を設けることにより、ユニット4同士の固定強度も高められる。
【0113】
例えば、図2に示すように、複数のユニット4を積み上げた後、積み上げられた複数のユニット4の端面(側面;特にユニット4とユニット4との境界部分)に、硬化性樹脂などの樹脂材(被覆材)8Aを塗布すれば良い。
また、例えば図3に示すように、接着剤8Bを介して保護部材8Cを取り付けても良い。この場合、接着剤8Bと保護部材8Cとが被覆材となる。例えば、接着剤(粘着部)が塗布されたシール状の保護部材(シール部材;被覆材)を貼り付ければ良い。
【0114】
さらに、例えば、複数のユニット4を積み上げた後、積み上げられた複数のユニット4の端面であって、ユニット4とユニット4との間の境界部分に、樹脂材(被覆材)を塗布して、境界部分を封止するようにしても良い。
したがって、本実施形態にかかる光メモリ素子4′(情報記録媒体)によれば、大容量化を図るべく、複数のユニット4を積層させる場合に、各ユニット4から出力されるそれぞれの再生像の間で出力ムラ(輝度ムラ)が生じないようにすることができるという利点がある。また、各ユニット4間に接着層や空気層などが存在しないため、ユニット4が傾いてしまうのを防止することもできる。
【0115】
なお、上述のように構成される複数のユニット4を積層させてなる光メモリ素子4′は、図8に示すように、入射端面30や出力面31を保護すべく、例えば第1突出部32aと第2突出部32bとを有するL字型部材(保護部材)32に固定しても良い。
ここで、L字型部材32は、図8に示すように、光メモリ素子4′よりも再生光(入射光)を入射させる方向(入射方向)に沿って所望の長さだけ長い方形の第1平板状部材(第1平面状部材,入射端面保護部材)32Aと、光メモリ素子4′の厚さよりも所定厚さだけ厚い方形の第2平板状部材(第2平面状部材,出力面保護部材)32Bとを備えるものとして構成される。
【0116】
この場合、光メモリ素子4′の入射端面30側から第1平板状部材32Aの端部が所定長さだけ突出するように、第1平板状部材32A上に光メモリ素子4′と第2平板状部材32Bとを並べて配置し、これらを固定(例えば接着)することで、情報記録媒体33が作製されることになる。この際、第2平板状部材32Bは、光メモリ素子4′の入射端面30に対して反対側の位置に配置される。また、光メモリ素子4′の出力面31に対して反対側の面(裏面)を第1平板状部材32Aの表面に固定する。
【0117】
特に、光メモリ素子(ユニット積層体)4′の端面が覆われるように被覆材8を設けるには、例えば図9(A),(B)に示すように、被覆材8を樹脂材8Aとし、この樹脂材8Aによって、各ユニット4を積層させてなるユニット積層体としての光メモリ素子4′と、保護部材としてのL字型部材32とを結合すれば良い。つまり、例えば図9(A),(B)に示すように、L字型部材32上に光メモリ素子4′を載置した状態で、光メモリ素子4′の側面(入射端面に直交する左右の側面)に樹脂材8Aをモールドして固定すれば良い。
【0118】
このように、光メモリ素子4′の入射端面30側から第1平板状部材32Aの端部が所定長さだけ突出するように配置することで、第1平板状部材32Aの突出した部分が、光メモリ素子4′の入射端面30よりも突出した第1突出部32aとなる。一方、第1平板状部材32A上に光メモリ素子4′よりも所定厚さだけ厚い第2平板状部材32Bを並べて配置することで、第2平板状部材32Bの突出した部分が、光メモリ素子4′の出力面31よりも突出した第2突出部32bとなる。
【0119】
これにより、L字型部材32は、光メモリ素子4′の入射端面30よりも突出した第1突出部32aと、光メモリ素子4′の出力面31よりも突出した第2突出部32bとを備えるものとして構成されることになる。
このように、L字型部材32の第1突出部(保護部材の端部)32aが光メモリ素子4′の入射端面30よりも突き出ているため、情報記録媒体33のハンドリング時に、入射端面30が他の物に直接触れたり、ユーザが入射端面30に直接触れたりすることがないようにすることができ、これにより、入射端面30が保護されることになる。また、L字型部材32の第2突出部32bの厚さが、光メモリ素子4′の厚さよりも厚いため、情報記録媒体33のハンドリング時に、情報記録媒体33を裏返して置いたとしても、出力面31が例えばテーブル等に触れないようにすることができ、これにより、出力面(特にデータ領域)31が保護されることになる。
【0120】
【実施例】
(実施例1)
表面に画像情報に応じた凹凸形状を有する、金属ニッケルからなるスタンパ上に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製、屈折率n=1.51)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと粘着した。この上から紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成し、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。そして、スタンパからクラッド層とコア層とアートンフィルムとを一体に分離し、光透過性スタンパを作製した。
【0121】
次に、1.6mm厚のガラス基板上にクラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm照射して、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。
【0122】
このフィルム部材上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。その上に、アクリル系紫外線硬化からなるクラッド材(屈折率n=1.49)を塗布した後、光透過性スタンパを、転写面がクラッド材に接する向きに、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この際、ローラとガラス基板との距離が一定になるように制御し、クラッド厚が均一になるように調整した。この上から、紫外線を10mJ/cm照射して、クラッド層を部分的に不完全に硬化(一部不完全硬化)させた後、光透過性スタンパのみを剥離した。その後、さらに紫外線を800mJ/cm照射して、クラッド層を完全に硬化させた。この結果、15μm厚のクラッド層が形成された。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。なお、形成したコア層、クラッド層の屈折率はそれぞれ1.52,1.51であった。この工程を25回繰り返すことにより、25層の多層構造を作製した。
【0123】
次に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、15μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと粘着した。この上から紫外線を800mJ/cm照射して、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。
【0124】
さらに、フィルム部材上にコア材を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。
最後に、ガラス基板から、アートンフィルムに挟まれた25層構造を剥離し、光メモリ素子を作製した。この光メモリ素子の最下層にはクラッド層が、最上層にはコア層が設けられており、これらが平滑化層として機能する。
【0125】
これを、ダイシングソーを用いて、縦約1.5cm,横約2.5cmの大きさに切断したもの(ユニット)を4つ用意した。ここで、ユニットの曲げ剛性は5.096×10−4N・mであった。そして、4サンプルを積層した後、上下から圧着処理を行ない、サンプル間の空気層を除去し、100層構造の光メモリ素子を作製した。この場合、少なくとも再生領域には空気層(気泡)は観察されなかった。
【0126】
このサンプルの所定の方向からレーザ光を導入して評価を行なった。この際、サンプルを平坦にするためのクランプ機構等は用意せずに測定を行った。レーザ光は、波長が680nm、強度が約5mWの半導体レーザで、レンズを組み合わせて光束を縦4μm、横約1cmに絞って、この光束がコア層に入るように調整を行なった。各層でデータが描画されている領域の幅は6.5mmであった。
【0127】
この結果、レーザ光はコア層内を伝播し、凹凸によってわずかに散乱された光はコア層と垂直方向に透過して、結像した。この像を直接CCD上に投影して観察し、所期の画像(テストパターン)であることを確認した。また、レーザ光を導入するコア層を変えることによって、100層あるコア層に記録されたこれらの画像が互いに影響を与えることなく、それぞれ独立に読み出せることを確認した。
【0128】
各ユニットの再生光輝度を測定したところ、ユニットによる輝度の違いは特に認められなかった。
(比較例)
表面に画像情報に応じた凹凸形状を有する、金属ニッケルからなるスタンパ上に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製、屈折率n=1.51)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成し、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。そして、スタンパからクラッド層とコア層とアートンフィルムとを一体に分離し、光透過性スタンパを作製した。
【0129】
次に、1.6mm厚のガラス基板上にクラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと粘着した。この上から紫外線を800mJ/cm照射して、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。
【0130】
このフィルム部材上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。その上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるクラッド材(屈折率n=1.49)を塗布した後、光透過性スタンパを、転写面がクラッド材に接する向きに、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この際、ローラとガラス基板との距離が一定になるように制御し、クラッド厚が均一になるように調整した。この上から、紫外線を10mJ/cm照射して、クラッド層を部分的に不完全に硬化(一部不完全硬化)させた後、光透過性スタンパのみを剥離した。その後、さらに紫外線を800mJ/cm照射して、クラッド層を完全に硬化させた。この結果、15μm厚のクラッド層が形成された。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。なお、形成されたコア層、クラッド層の屈折率はそれぞれ1.52,1.51であった。この工程を25回繰り返すことにより、25層の多層構造の光メモリ素子を作製した。
【0131】
次に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm照射して硬化させ、15μm厚のクラッド層を形成した、このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと粘着した。この上から紫外線を800mJ/cm照射して、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。最後に、ガラス基板から剥離し、アートンフィルムに挟まれた25層構造の光メモリ素子を作製した。
【0132】
これを、ダイシングソーを用いて、縦約1.5cm、横約2.5cmの大きさに切断したもの(ユニット)を4つ用意した。ここで、ユニットの曲げ剛性は5.096×10−4N・mであった。データ描画領域を覆わないように、4隅にエポキシ系接着剤を同量ディスペンスした後、均等に圧力をかけながら4サンプルを積層接着し、100層構造を作製した。
【0133】
このサンプルの所定の方向からレーザ光を導入して評価を行なった。この際、サンプルを平坦にするためのクランプ機構等は用意せずに測定を行った。レーザ光は、波長が680nm、強度が約5mWの半導体レーザで、レンズを組み合わせて光束を縦が4μm、横が約1cmに絞って、この光束がコア層に入るように調整を行った。各層でデータが描画されている領域の幅は6.5mmであった。
【0134】
この結果、レーザ光はコア層内を伝播し、凹凸によってわずかに散乱された光はコア層と垂直方向に透過して、結像した。この像を直接CCD上に投影して観察し、所期の画像(テストパターン)であることを確認した。また、レーザ光を導入するコア層を変えることによって、100層あるコア層に記録されたこれらの画像が互いに影響を与えることなく、それぞれ独立に読み出せることを確認した、各ユニットの再生光輝度を測定したところ、最もCCDから遠いユニットからの再生光は、最もCCDに近いユニットに比べて約0.8倍と、暗くなっていた。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の情報記録媒体及びその製造方法によれば、大容量化を図るべく、複数のユニットを積層させる場合に、各ユニットから出力されるそれぞれの再生像の間で出力ムラ(輝度ムラ)が生じないようにすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)の端面を被覆材として接着剤で覆った状態を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)の端面を被覆材としての接着剤及び保護部材で覆った状態を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパの全体構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパの製造方法を示す模式的断面図であって、(A)はクラッド層及びコア層を形成する工程、(B)は樹脂フィルムを接着する工程、(C)は光透過性スタンパを剥離(分離)する工程、(D)はオーバキュア処理を行なう工程をそれぞれ示している。
【図6】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)の製造方法を示す模式的断面図であって、(A)は光メモリ素子作製用ベース基板上に樹脂フィルムを接着する工程、(B)は樹脂フィルム上にコア層を形成する工程、(C)はコア層上にクラッド層及びコア層を形成する工程、(D)は光透過性スタンパから凹凸パターンを転写する工程、(E)は光透過性スタンパを剥離(分離)する工程をそれぞれ示している。
【図7】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)の製造方法により製造される光メモリ素子の全体構成を示す模式的断面図であって、(A)は光メモリ素子作製用ベース基板上に形成した状態、(B)は光メモリ素子作製用ベース基板から剥離(分離)した状態をそれぞれ示している。
【図8】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)をL字型部材上に固定した状態を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる情報記録媒体(光メモリ素子)をL字型部材上に樹脂材(被覆材)によって固定した状態を示す模式図であって、(A)は入射端面側から見た図であり、(B)は斜視図である。
【符号の説明】
1 金属製スタンパ(硬質スタンパ)
2 クラッド層(クラッド材)
2X クラッド層(接着層)
3 コア層(コア材,記録層,光導波路)
3Xa,3Xb,3Xc コア層(接着層)
232 光導波部材(1層分の光メモリ素子,積層体)
4 光メモリ素子(ユニット,ブロック)
4′ 光メモリ素子(媒体,ユニット積層体)
5,5′ 樹脂フィルム(基体,薄膜基体)
6 情報用凹凸部(凹凸部)
7 樹脂層
8 被覆材
8A 樹脂材
8B 接着剤
8C 保護部材
10 クラッド層(クラッド材,スタンパ層)
11 コア層(コア材,接着層,接着剤)
12 樹脂フィルム(基体,基体層)
13 光透過性スタンパ(光メモリ素子作製用スタンパ)
21 光メモリ素子作製用ベース基板(ベース材)
30 入射端面
31 出力面
32 L字型部材(保護部材)
32a 第1突出部
32b 第2突出部
32A 第1平板状部材(第1平面状部材,入射端面保護部材)
32B 第2平板状部材(第2平面状部材,出力面保護部材)
33 情報記録媒体

Claims (6)

  1. 樹脂製コア層と、前記樹脂製コア層の両面に積層された樹脂製クラッド層とからなり、前記樹脂製コア層と前記樹脂製クラッド層との界面の少なくとも一方に情報用凹凸部を有する光導波部材を1個又は複数個積層させてなる複数のユニットを備え、
    前記各ユニットが、表面を密着させて固定されていることを特徴とする、情報記録媒体。
  2. 前記各ユニットが、それぞれ最外層に樹脂層を備え、前記樹脂層の表面を密着させて固定されていることを特徴とする、請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 前記各ユニットの端面を覆うように被覆材が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2記載の情報記録媒体。
  4. 前記被覆材が、樹脂材であり、
    前記樹脂材によって、前記各ユニットと前記各ユニットを保護する保護部材とが結合されていることを特徴とする、請求項3記載の情報記録媒体。
  5. コア層と、前記コア層の両面に積層されたクラッド層とからなり、前記コア層と前記クラッド層との界面の少なくとも一方に情報用凹凸部を有する光導波部材を1個又は複数個積層させて複数のユニットを作製するユニット作製工程と、
    前記各ユニットを積み上げて圧着する圧着工程とを備えることを特徴とする、情報記録媒体の製造方法。
  6. 前記圧着工程の前に、前記各ユニットの表面を平滑化処理する平滑化処理工程を備えることを特徴とする、請求項5記載の情報記録媒体の製造方法。
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