JP2005088444A - 光透過性スタンパの製造方法及び光メモリ素子の製造方法 - Google Patents

光透過性スタンパの製造方法及び光メモリ素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 例えば樹脂材の塗布面積よりも小さいスタンパ原版を用いて光透過性スタンパを製造するような場合やスタンパ原版をずらして光透過性スタンパを製造するような場合であっても、光メモリ素子を製造する際にラミネート不良を生じない良好な品質の光透過性スタンパを製造できるようにする。
【解決手段】 表面に凹凸パターンを有する硬化性樹脂層16を備える光透過性スタンパの製造方法を、基体上に硬化性樹脂材16を塗布する工程と、塗布された硬化性樹脂材16上にスタンパ原版13Aを載置する工程と、スタンパ原版13Aが載せられている部分以外の硬化性樹脂材16を除去する工程と、硬化性樹脂材16を硬化させる工程と、スタンパ原版13Aを分離する工程とを含むものとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光透過性スタンパの製造方法及び光メモリ素子の製造方法に関し、特に、多層構造の光メモリ素子を製造するのに用いて好適の光透過性スタンパの製造方法及び光メモリ素子の製造方法に関する。
近年、大容量の多層構造の光メモリ素子(多層光メモリ)を容易かつ安価に製造できるようにし、凹凸パターンを簡易に形成できるようにすべく、コア層及びクラッド層を樹脂により形成することが提案されている。
このような樹脂製の多層光メモリは、例えば、樹脂フィルム等の基体上に、樹脂製のコア層、及び、スタンパの凹凸パターンを転写された樹脂製のクラッド層を順に積層させて作製される。
この場合、例えばニッケルNiなどの金属からなる金属製スタンパ(ニッケル製スタンパ)を用いるのが一般的である。
しかしながら、このような金属製スタンパは、一般に高価であり、また、このような金属製スタンパを用いて樹脂製の光メモリ素子を製造する場合、金属製スタンパの保守・管理やクリーニング等の負担は大きい。
また、例えば、コア材やクラッド材を光硬化性樹脂とする場合、この金属製スタンパは光硬化性樹脂を硬化させるための光を透過しないため、コア層の表面に塗布されたクラッド材に金属製スタンパの凹凸パターンを転写する際には、この硬化させたいクラッド材に基体としての樹脂フィルム側(金属製スタンパの反対側)から光を照射しなければならない。
このように金属製スタンパを用いる場合には、基体としての樹脂フィルム側から光を照射することになるため、多層構造の光メモリ素子を製造する場合、前の工程で光を照射することにより硬化させて積層されている光硬化性樹脂層を透過した光(透過光)が、今回の工程で光を照射して硬化させたい光硬化性樹脂に照射されることになる。このため、既に光を照射して硬化させた光硬化性樹脂層に光が吸収されてしまい、特に積層数を増やせば増やすほど、今回の工程で硬化させたい光硬化性樹脂に光を照射するのが難しくなり、これにより、光硬化性樹脂に金属製スタンパの凹凸パターンを転写するのが困難になる。
また、積層数を増やしていくとクラッド層及びコア層を積層した積層体の膜厚が厚くなって撓みにくくなり、さらに金属製スタンパも撓みにくいため、クラッド層及びコア層を積層させていく際に、クラッド層及びコア層からなる積層体を金属製スタンパから剥離(分離)するのが難しくなる。
このため、光メモリ素子の大容量化を実現すべく積層数を増やそうとしても、今回の工程で硬化させたい光硬化性樹脂に確実に光を照射して硬化させるようにする一方、クラッド層及びコア層からなる積層体を金属製スタンパから剥離(分離)しやすくするためには、積層できる層数に限界があるため、上述のような製造方法では所定積層数(例えば2〜3層)以上積層させるのは難しく、連続して所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層させるのは困難である。
この場合、樹脂フィルム等の基体上にクラッド層及びコア層をそれぞれ2〜3層ずつ合計4〜6層積層した積層体を複数作製し、これらの積層体を積み重ねて接着することで、所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層させた多層構造の光メモリ素子を製造することになる。
しかしながら、この場合、クラッド層及びコア層からなる積層体を作製したら、これを金属製スタンパから剥離(分離)する必要があるため、複数の積層体のそれぞれに樹脂フィルム等の基体を貼り着けることが必要になる。このため、当然のことながら、樹脂フィルム等の基体を貼り着けた複数の積層体を接着して製造される光メモリ素子の厚さは樹脂フィルム等の基体の分だけ厚くなってしまうため、光メモリ素子の薄型化(小型化)の点からは好ましくない。
また、このような光メモリ素子の製造方法では、クラッド層及びコア層をそれぞれ2〜3層ずつ合計4〜6層積層した積層体の作製の際にも、積層体同士を積み重ねて接着する際にも、それぞれ位置合わせが必要になる等、手間と時間がかかり、製造工程の効率化を図る点では好ましくない。
そこで、光メモリ素子の製造工程(特に、コア層及びクラッド層を積層する工程)の効率化,簡略化を図り、また、反りの発生を抑制し、コア層及びクラッド層からなる積層体のスタンパからの剥離(分離)を容易にしながら、大容量化を実現すべく積層数を増やして多層化できるようにすべく、本発明者らは、クラッド材又はコア材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを用いて多層構造の光メモリ素子を製造することを提案している(特許文献1参照)。
このような光透過性スタンパを用いて光メモリ素子を製造する場合、例えば、コア層又はクラッド層を形成すべく光硬化性樹脂材(クラッド材又はコア材)を塗布し、その上に光透過性スタンパをラミネートした後、光を照射して光硬化性樹脂材を硬化させ、光透過性スタンパを剥離して、光透過性スタンパの凹凸パターンをコア層又はクラッド層となる光硬化性樹脂材に転写することになる。
特開2002−120286号公報
ところで、上述の光透過性スタンパを用いて光メモリ素子を作製する方法としては、種々の方法が考えられる。
例えば、複数層分のパターンを有する1つの金属製スタンパから1枚の光透過性スタンパを作製した上で、この1枚の光透過性スタンパを用いて、光メモリ素子の各層のパターンを有する1つの光導波路部材を形成し、これを各層毎に切断した上で、これらを積層させて複数層の光メモリ素子を作製することが考えられる。
しかしながら、このようにして光メモリ素子を作製する場合、光導波路部材を切断するのに光メモリ素子作製用ベース基板から分離させることが必要になるため、1つの光導波路部材を作製した段階で樹脂フィルム等の基体を貼り付けなくてはならず、このように樹脂フィルム等の基体を貼り付けたものを切断し、積層させると、各層の間に樹脂フィルム等の基体が入ってしまい、この分だけ光メモリ素子の厚さが厚くなってしまう。また、光導波路部材を切断する工程が入ると、複数の層を連続的に形成していくことができないため、効率的でなく、製造工程も複雑になる。このため、現実的にこのような方法を採用することはできない。
また、例えば、複数層分のパターンを有する1つの金属製スタンパから1枚の光透過性スタンパを作製した上で、1つの光導波路部材を形成する毎に、光透過性スタンパの位置をずらしながら複数層の光メモリ素子を作製することも考えられる。つまり、例えば、各層のパターンを有する1枚の光透過性スタンパを用い、光メモリ素子の各層のパターンを有する第1光導波路部材を形成し、この第1光導波路部材に含まれる1層目のパターンの上に2層目のパターンが形成されるように、光透過性スタンパの位置をずらした上で、この第1光導波路部材上に光メモリ素子の各層のパターンを有する第2光導波路部材を形成するというように、1つの光導波路部材を形成する毎に、光透過性スタンパの位置をずらしながら複数層の光メモリ素子を作製することも考えられる。
しかしながら、このような方法では、1つの光導波路部材を形成する毎に光透過性スタンパの位置をずらさなくてはならず、正確に位置合わせを行なうのは難しい。また、同時に複数個の光メモリ素子を作製するのは難しいため、歩留まりが悪く、また、製造効率も悪い。このため、現実的にこのような方法を採用することはできない。
また、複数層分のパターンを有する1枚の金属製スタンパから作製される1枚の光透過性スタンパを所望の大きさに切断し、このように切断したものをスタンパとして用いて複数層の光メモリ素子を作製することも考えられる。
しかしながら、このような方法では、同時に複数個の光メモリ素子を作製することができないため、歩留まりが悪く、また、製造効率も悪い。さらに、複数層を積層して形成していく際にはスタンパの位置合わせを正確に行なわなくてはならないが、どのようにして精度良く位置合わせを行なうかも問題となる。
また、スタンパ片の凹凸パターンを有する面の面積が、光メモリ素子を作製する際に凹凸パターンを転写すべく塗布される光硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さいため(即ち、切断片のエッジの部分で段差ができるため)、スタンパ片の凹凸パターンを転写する場合に、以下のような問題が生じる。
まず、スタンパ片をラミネートする際に、ラミネートローラによって圧力が加えられると、塗布された光硬化性樹脂材の一部が、スタンパ片の周りで押し出され、盛り上がってしまう。このように盛り上がった状態で光硬化性樹脂材を硬化させると、スタンパ片の側面を覆った状態で硬化してしまうため、スタンパ片を剥離(分離)させることが困難になる。
また、たとえスタンパ片を剥離できたとしても、スタンパ片の周りで押し出されて盛り上がってしまった部分(盛上部)の膜厚だけが非常に厚くなってしまう。このため、その上にさらに積層を続けることが難しくなってしまう。
なお、光メモリ素子を作製する際に、例えば、凹凸パターンを転写すべく塗布される光硬化性樹脂材に、複数層の凹凸パターンを有する1枚の光透過性スタンパの一部が重なり合うようにずらして凹凸パターンの転写を行なうような場合にも、光透過性スタンパのエッジの部分で段差ができるため(即ち、光透過性スタンパのラミネート面積が、凹凸パターンを転写すべく塗布される光硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さいため)、上述の場合と同様の問題が生じうる。また、光透過性スタンパをラミネートする際の位置合わせをどのようにして精度良く行なうかも問題となる。
ところで、短時間で、効率的に、同一の光メモリ素子を大量に作製できるようにすべく、例えば複数層分の凹凸パターンを有する金属製スタンパから凹凸パターンを転写して、複数層分の凹凸パターンを有する複数のスタンパ原版を作製し、それぞれのスタンパ原版を切断して各層の凹凸パターンを有する切断片とし、これらの切断片のうち同一パターンを有するものを用いて凹凸パターンを再転写して、同一層のパターンを複数有する1枚の光透過性スタンパを作製することも考えられる。
ここで、スタンパ原版の切断片の凹凸パターンを転写するには、光透過性スタンパ作製用ベース基板上に硬化性樹脂材を塗布し、この上に同一パターンを有する複数の切断片をラミネートした上で、硬化性樹脂材を硬化させ、凹凸パターンを転写することが考えられる。
しかしながら、このように切断片の凹凸パターンを転写する場合にも、切断片のエッジの部分で段差ができるため(即ち、スタンパ原版としての切断片の凹凸パターンを有する面の面積が、凹凸パターンを転写すべく塗布される硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さいため)、上述の光メモリ素子を作製する場合と同様の問題が生じうる。
つまり、切断片をラミネートする際に、ラミネートローラによって圧力が加えられると、塗布された硬化性樹脂材の一部が、切断片の周りで押し出され、盛り上がってしまう。このように盛り上がった状態で硬化性樹脂材を硬化させると、切断片の側面を覆った状態で硬化してしまうため、切断片を剥離(分離)させることが困難になる。
また、たとえ切断片を剥離できたとしても、図7に示すように、作製された光透過性スタンパ100は、切断片の周りで押し出されて盛り上がってしまった部分(盛上部100A)の膜厚だけが非常に厚くなったものになってしまう。このため、このような光透過性スタンパ100の凹凸パターンを転写して光メモリ素子101を作製しようとすると、図8に示すように、盛上部と盛上部との間で気泡が混入し、ラミネート不良となってしまうため、良好な品質の光メモリ素子を作製するのは難しい。
なお、光透過性スタンパを作製する際に、例えば、凹凸パターンを転写すべく塗布される硬化性樹脂材に、スタンパ原版の一部が重なり合うようにずらして凹凸パターンの転写を行なうような場合には、スタンパ原版のエッジの部分で段差ができてしまうため(即ち、スタンパ原版のラミネート面積が、凹凸パターンを転写すべく塗布される硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さいため)、上述の場合と同様の問題が生じうる。
また、切断片やスタンパ原版をラミネートする際の位置合わせをどのようにして精度良く行なうかも問題となる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、例えば樹脂材の塗布面積よりも小さいスタンパ原版を用いて光透過性スタンパを製造するような場合やスタンパ原版をずらして光透過性スタンパを製造するような場合であっても、光メモリ素子を製造する際にラミネート不良を生じない良好な品質の光透過性スタンパを製造できるようにした、光透過性スタンパの製造方法を提供することを目的とする。
また、クラッド材又はコア材の塗布面積よりも小さい光透過性スタンパを用いて光メモリ素子を製造するような場合や光透過性スタンパをずらして光メモリ素子を製造するような場合であっても、良好な品質の光メモリ素子を製造できるようにした、光メモリ素子の製造方法を提供することも目的とする。
このため、本発明の光透過性スタンパの製造方法は、表面に凹凸パターンを有する硬化性樹脂層を備える光透過性スタンパの製造方法であって、基体上に硬化性樹脂材を塗布する工程と、塗布された硬化性樹脂材上にスタンパ原版を載置する工程と、スタンパ原版が載せられている部分以外の硬化性樹脂材を除去する工程と、硬化性樹脂材を硬化させる工程と、スタンパ原版を分離する工程とを含むことを特徴としている。
ここで、硬化性樹脂材が、光硬化性樹脂材であり、スタンパ原版が、光硬化性樹脂材を硬化させるための光を透過しうるものとして構成され、硬化性樹脂材を硬化させる工程において、スタンパ原版の裏面側から光を照射して光硬化性樹脂材を硬化させるように構成するのが好ましい。
特に、スタンパ原版が、凹凸パターンを有する面の面積が硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さくなるように構成されている場合に本発明を用いると効果的である。
また、塗布工程において塗布される硬化性樹脂材の膜厚は100μm以下であるのが好ましい。
また、本発明の光透過性スタンパの製造方法は、表面に凹凸パターンを有する硬化性樹脂層を備える光透過性スタンパの製造方法であって、硬化性樹脂材を塗布する工程と、塗布された硬化性樹脂材上にスタンパ原版を載置する工程と、硬化性樹脂材を硬化させる工程と、スタンパ原版を分離する工程とを含み、スタンパ原版の凹凸パターンを有する面の面積が硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さい場合、スタンパ原版を載置する工程の後に、硬化性樹脂材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を行なうことを特徴としている。
特に、スタンパ原版が、アライメントマークを備え、スタンパ原版を載置する工程で、アライメントマークによりスタンパ原版の位置合わせを行なうようにするのが好ましい。
また、本発明の光メモリ素子の製造方法は、クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、光硬化性樹脂からなるクラッド材又はコア材を塗布する工程と、クラッド材又はコア材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光を照射してクラッド材又はコア材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層又はコア層を形成する工程とを含み、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がクラッド材又はコア材の塗布面積よりも小さい場合、スタンパを載置する工程の後に、クラッド材又はコア材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を行なうことを特徴としている。
特に、除去工程は、スタンパが載せられている部分以外のクラッド材又はコア材を除去するように構成するのが、製造工程が簡単になる点で好ましい。
ここで、除去工程では、クラッド材又はコア材を洗浄して除去するのが好ましい。
また、塗布工程において塗布されるクラッド材又はコア材の膜厚が、100μm以下であるのが好ましい。
さらに、光透過性スタンパが、アライメントマークを備え、スタンパを載置する工程で、アライメントマークにより光透過性スタンパの位置合わせを行なうようにするのが好ましい。
特に、基体又は光透過性スタンパ作製用基板が、アライメントマークを備え、スタンパを載置する工程で、光透過性スタンパのアライメントマークと基体又は基板のアライメントマークとにより基板又は基体と光透過性スタンパとの間の位置合わせを行なうのが好ましい。
また、光透過性スタンパのアライメントマークが孔であり、孔に挿通しうるピンを有し、基体を所定位置に載置するテーブルを備え、スタンパを載置する工程で、ピンに孔を挿通することにより光透過性スタンパの位置合わせを行なうのも好ましい。
なお、光メモリ素子の製造方法の態様としては、以下のものがある。
(1)クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、硬質基板上に光硬化性樹脂からなるクラッド層を形成する工程と、クラッド層上に光硬化性樹脂からなるコア材を塗布する工程と、コア材上に、表面に凹凸パターンを有し、コア材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がコア材の塗布面積よりも小さい場合、コア材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程と、光透過性スタンパの裏面側から光を照射してコア材を硬化させ、凹凸を有するコア層を形成する工程とを含む。
(2)クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、硬質基板上に光硬化性樹脂からなるコア層を形成する工程と、コア層上に光硬化性樹脂からなるクラッド材を塗布する工程と、クラッド材上に、表面に凹凸パターンを有し、クラッド材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がクラッド材の塗布面積よりも小さい場合、クラッド材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程と、光透過性スタンパの裏面側から光を照射してクラッド材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層を形成する工程とを含む。
(3)クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、基体上にクラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成する積層体形成工程と、硬質基板から基体と積層体とを一体として分離する積層体分離工程とを含み、積層体形成工程が、光硬化性樹脂からなるクラッド層を形成する工程と、クラッド層上に光硬化性樹脂からなるコア材を塗布する工程と、コア材上に、表面に凹凸パターンを有し、コア材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がコア材の塗布面積よりも小さい場合、コア材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程と、光透過性スタンパの裏面側から光を照射してコア材を硬化させ、凹凸を有するコア層を形成する工程と、凹凸を有するコア層から光透過性スタンパを分離する工程とを含む。
(4)クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、硬質基板上に基体を接着する基体接着工程と、基体上にクラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成する積層体形成工程と、硬質基板から基体と積層体とを一体として分離する積層体分離工程とを含み、積層体形成工程が、光硬化性樹脂からなるコア層を形成する工程と、コア層上に光硬化性樹脂からなるクラッド材を塗布する工程と、クラッド材上に、表面に凹凸パターンを有し、クラッド材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がクラッド材の塗布面積よりも小さい場合、クラッド材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程と、光透過性スタンパの裏面側から光を照射してクラッド材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層を形成する工程と、凹凸を有するクラッド層から光透過性スタンパを分離する工程とを含む。
以上詳述したように、本発明の光透過性スタンパの製造方法によれば、例えば樹脂材の塗布面積よりも小さいスタンパ原版を用いて光透過性スタンパを製造するような場合やスタンパ原版をずらして光透過性スタンパを製造するような場合であっても、スタンパ原版が載せられている部分以外の樹脂材(少なくとも樹脂材の表面から盛り上がった盛上部)を除去するため、光メモリ素子を製造する際にラミネート不良を生じない良好な品質の光透過性スタンパを製造できるようになるという利点がある。
また、例えば複数層分の凹凸パターンを有する金属製スタンパから凹凸パターンを転写して、複数層分の凹凸パターンを有する複数のスタンパ原版を作製し、それぞれのスタンパ原版を切断して各層の凹凸パターンを有する切断片とし、これらの切断片のうち同一パターンを有するものを用いて凹凸パターンを再転写して、同一層のパターンを複数有する1枚の光透過性スタンパを製造する際に、スタンパ原版を容易に剥離(分離)させることができ、また、良好な品質のスタンパを製造できるようになるという利点もある。この結果、短時間で、効率的に、同一の光メモリ素子を大量に製造できることになる。
また、本光メモリ素子の製造方法によれば、例えばクラッド材又はコア材の塗布面積よりも小さい光透過性スタンパを用いて光メモリ素子を製造するような場合や光透過性スタンパをずらして光メモリ素子を製造するような場合であっても、光透過性スタンパが載せられている部分以外のクラッド材又はコア材(少なくともクラッド材又はコア材の表面から盛り上がった盛上部)を除去するため、良好な品質の光メモリ素子を製造できるようになるという利点がある。
以下、本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパの製造方法及び光メモリ素子の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(A)光透過性スタンパの製造方法
まず、本実施形態にかかる光透過性スタンパの製造方法の概略を説明する。
本実施形態では、例えば図2(A),(B)に示すように、複数層分(ここでは8層分)のパターンを有する金属製スタンパ1から凹凸パターンを転写して、複数層分(ここでは8層分)の凹凸パターンを有する複数枚のスタンパ原版13を作製し(スタンパ原版作製工程)、図2(B),(C)に示すように、それぞれのスタンパ原版13を切断して各層の凹凸パターンを有する切断片13Aとし(スタンパ原版切断工程,切断片作製工程)、これらの切断片13Aのうち同一パターンを有するものを用いて凹凸パターンを転写(再転写)して、図2(D),(E)に示すように、同一層のパターンを複数有する1枚の光透過性スタンパ14を作製する(スタンパ原版転写工程,光透過性スタンパ作製工程)。
(1)スタンパ原版製造工程(スタンパ原版作製工程,スタンパ原版切断工程)
まず、図3(A)に示すように、結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を転写しうるように、凹凸パターンを表面に刻まれた金属製スタンパ(例えばニッケル製スタンパ等,原盤,硬質スタンパ)1の凹凸パターンを有するスタンパ面上に、所定の膜厚(例えば約6μm)となるようにクラッド材(液状クラッド樹脂)10を塗布して、完全に硬化させる。このようにしてクラッド材10を完全硬化させると、表面に凹凸パターンを有する金属製スタンパ1から凹凸パターンが転写されて、凹凸パターンを有する樹脂製のクラッド層(スタンパ層)10が形成される(転写工程)。なお、クラッド層10として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。また、この凹凸パターンは、実際には、例えばCD(コンパクトディスク)におけるピットのように平面上に散在している。
なお、ここでは、クラッド材2に金属性スタンパ1の凹凸パターンを転写しているが、これに限られるものではなく、例えばコア材を塗布し、これに金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写するようにしても良い。
その後、図3(B)に示すように、その表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、接着剤として機能しうる紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材(液状コア樹脂,液状光硬化性樹脂)11を塗布し、不完全硬化させる。なお、コア層11として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
ここで、不完全硬化とは、塗布されたコア材の全体を不完全に硬化させることをいう。このように、コア材11を不完全硬化させることで、コア材11を塗布することにより形成される塗布膜の粘度を上げて、後述するように樹脂フィルム12をラミネート(貼着)する際に、コア材11により形成される接着層の膜厚変動が生じないようにしているのである。
なお、ここでは、後述するように、塗布されたコア層11の表面上に樹脂フィルム12をラミネートする際に接着層の膜厚変動が生じないように、コア材11を不完全硬化させているが、コア材11を不完全硬化させるのは必須でなく、この工程は省略することもできる。
例えば、コア層11上に樹脂フィルム12をラミネートする際には、ローラによって樹脂フィルム12を加圧することでコア層11上にラミネートしていくが、樹脂フィルム12がローラによって加圧される直前まで、樹脂フィルム12が接着層としてのコア層11と接しないように樹脂フィルム12を保持する保持機構を設ければ、コア材11を不完全硬化させなくても接着層の膜厚変動を生じさせないようにしながら、コア層11上に樹脂フィルム12をラミネートすることができる。
なお、コア材11やクラッド材10の塗布方法には、例えば、スピンコート法,ブレードコート法,グラビアコート法,ダイコート法等があるが、塗布膜厚と均一性を満足すればどのような塗布方法を用いてもよい。
次に、このコア層11の表面上に、例えば図3(B)に示すように、気泡が入らないようにベース(基体)としての樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)12をローラ等で加圧しながら載置する。つまり、クラッド材10にコア材11を介して樹脂フィルム12を貼着(ラミネート)する。
次いで、図3(B)に示すように、上述のように樹脂フィルム12を貼着した状態で、樹脂フィルム12側(金属製スタンパ1の反対側)から紫外線を照射してコア材11を完全に硬化させれば、樹脂製のコア層11が形成されるとともに、樹脂フィルム12とクラッド層10とがコア層11を介して接着される。このように、凹凸パターンを転写されたクラッド層10に樹脂フィルム12を接着する工程を、接着工程という。
そして、図3(C)に示すように、金属製スタンパ1からコア層11とクラッド層10と樹脂フィルム12とを一体として剥離(分離)し(分離工程)、図3(D)に示すように、樹脂フィルム12を樹脂製基体層とし、その上に樹脂製のコア層11、さらにその上に金属製スタンパ1の凹凸パターン(以下、単に「凹凸」ともいう)を転写(形成)した樹脂製のクラッド層10が積層された、光透過性スタンパ製造用のスタンパ原版(ここでは、フィルム状スタンパ原版)13が作製される。
本実施形態では、さらに、図3(D)に示すように、金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写した樹脂製のクラッド層10の凹凸パターンを有する面に対して、紫外線を照射して、さらに硬化させることで、クラッド層2に形成される凹凸パターン(凹凸形状;ピット)の接着性をより低下させるようにしている(これをオーバキュア処理という)。好ましくは、例えば約120℃程度の高温処理を行なう。この高温処理時間は、約1時間程度とするのが好ましい。これにより、さらに接着性を低下させることができる(これもオーバキュア処理という)。このようなオーバキュア処理を行なうことで、後述の光透過性スタンパを製造する際にコア材又はクラッド材からのスタンパ原版13の剥離性を向上させるようにしている。
このようにして作製されるスタンパ原版13は、光透過性スタンパを製造するのに用いられるものであり、ここでは、後述する光透過性スタンパと同様に、後述するように光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過しうるものとして構成される。このため、光透過性スタンパ原版ともいう。
このスタンパ原版は、例えば図4に示すように、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を刻まれたスタンパ面を有するスタンパ層としてのクラッド層10と、接着層としてのコア層11と、ベース(基体,ベース層,基体層)としての樹脂フィルム(樹脂フィルム層,樹脂製基体層,ベースフィルム層)12とを備える3層構造となっており、クラッド層10にコア層11を介して樹脂フィルム12が接着されて構成される。このように、本実施形態では、スタンパ原版13を、クラッド層10、コア層11及び樹脂フィルム12により構成し、可撓性を有するフィルム状スタンパ原版として構成している。
ここでは、クラッド層10,コア層11及び樹脂フィルム12は、いずれも、使用光波長域[光メモリ素子を製造する際にコア材やクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)の波長域]において透明のもの(即ち、光を透過できるもの)を用いている。このため、クラッド層10を光透過性クラッド層(例えば紫外線透過性クラッド層)、コア層11を光透過性コア層(例えば紫外線透過性コア層)、樹脂フィルム12を光透過性樹脂フィルム(例えば紫外線透過性樹脂フィルム)という。
このうち、クラッド層10を形成するクラッド材としては、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂材)を使用し、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を形成された金属製スタンパ(例えばニッケル製スタンパ)1のスタンパ面(凹凸パターン,凹凸形状)上に、この紫外線硬化性樹脂材を塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層10を形成する。
樹脂フィルム(ベースフィルム)12としては、例えば、ポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製,登録商標)などの非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルム12が好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られやすいので好適)である。特に、アートンよりも剛性のあるPETやポリカーボネートが好ましい。
また、ここでは、樹脂フィルム12として、枚葉のフィルムを用いているが、連続フィルムを用いても良い。つまり、フィルム上へのクラッド材、コア材のダイコータ,マイクログラビア,バーコータ等による塗布、スタンパを加圧した状態でのコア材,クラッド材の硬化等のプロセスを組み合わせることにより、基体としての樹脂フィルム上にコア層及びクラッド層を積層させて、スタンパ原版13を作製しても良い。
コア層11は、クラッド層10と樹脂フィルム12とを接着する接着剤として機能するものであり、紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材により形成される。このようにしているのは、コア材11は後述の光メモリ素子の材料として用いられるものであるため、材料を共用化でき、また、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなるコア材11は樹脂フィルム12との接着性に優れており、好適であるからである。
ところで、このようなスタンパ原版13には、アライメントマーク(位置決め部,位置決めマーク;例えば画像認識可能なアライメントマーク)が形成されている。ここでは、後述するように、スタンパ原版13は切断されて、各層の凹凸パターンを有する切断片とされるため、スタンパ原版13を切断して形成されるそれぞれの切断片にアライメントマークが形成されるようにしている。
そして、上述のように、光透過性スタンパを製造する際に、このスタンパ原版13(切断片)のアライメントマークと、後述するベースフィルム(基体)又は基板に形成されるアライメントマーク(位置決め部,位置決めマーク;例えば画像認識可能なアライメントマーク)と重ね合わせることで(例えばCCDカメラ等の受像機を用いた画像認識的な手法によって行なう)、スタンパ原版13を載置する際の位置合わせを、簡単に、かつ、正確に行なえるようになっている。
なお、スタンパ原版13の位置合わせは、これに限られるものではない。
例えば、スタンパ原版13の端部に複数の孔(パンチ孔,ピン孔,アライメントマーク,位置決め部,位置決め孔)を設ける。また、ベースフィルムを所定位置に載置するテーブル上に、これらの複数の孔に挿通しうる複数のピン(位置決めピン,位置決め部材)を設け、これらの複数のピンに複数の孔を差し込むことで、スタンパ原版13の位置決めを機械的に行なうようにしても良い。
この場合、予め、このスタンパ原版13の位置決めに用いる複数のピンの位置を基準にしてベースフィルムの位置合わせを行なって、ベースフィルムをテーブル上の所定位置に載置させておき、このようにして位置決めされたベースフィルム上に、ピンに対して孔を差し込みながらスタンパ原版13を載置すれば良い。なお、ベースフィルムの位置合わせは、種々の方法によって行なうことができ、例えばCCDカメラ等の受像機を用いた画像認識的な手法によって行なえば良い。
これによれば、上述のように、例えばスタンパ原版13上に画像認識可能なアライメントマークを設ける場合には、このアライメントマーク部分には紫外線が照射されないようにするため、接着層のアライメントマークに相当する部分が十分に硬化しないまま、スタンパ原版13が剥離されることになるのに対し、このような不十分な硬化部分ができないようにすることができる。
なお、ここでは、コア層(コア材)11やクラッド層(クラッド材)10という用語を用いているが、これらは単に後述するような光メモリ素子を構成するコア層(コア材)やクラッド層(クラッド材)と同様の樹脂を用い、光メモリ素子を製造する場合と同様の方法で塗布したり、硬化させたりするようにして、材料や製造設備を共用しているため、便宜上、このような用語を用いているにすぎず、光メモリ素子のように所定の屈折率のコア層(コア材)及びクラッド層(クラッド材)を用いることを意味するものではない。
また、ここでは、クラッド層10に金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア材11を介して樹脂フィルム12に接着しているが、これに限られるものではなく、クラッド層10に金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フィルム12に接着しても良いし(この場合、クラッド層と樹脂フィルムとの2層構造となる)、また、コア層に金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フィルムに接着しても良いし、さらに、コア層に金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア材を介して樹脂フィルムに接着しても良い(この場合、コア層と樹脂フィルムとの2層構造となる)。
また、コア材11やクラッド材10は、塗布時には液体で(流動性があり)、その後、硬化させることのできる樹脂であれば何でも良く、上述の紫外線硬化性樹脂以外の光硬化性樹脂や熱を加えることで硬化する熱硬化性樹脂等の所望の硬化性樹脂を適用してもよい。また、熱溶融性樹脂を用いても良い。
特に、金属製スタンパ1による転写を行なうクラッド材(クラッド層)10は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、上記の紫外線硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系,エポキシ系,チオール系の各樹脂などがよい。
一方、接着剤(接着層)としてのコア材(コア層)11は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、使用光波長域で透明で、且つ、接着後に簡単に剥がれないものであれば、どのようなものを適用しても良い。例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等がある。但し、樹脂フィルムやクラッド層との材質を考慮して接着相性の良い組み合わせを選定するのが好ましい。
さらに、スタンパ原版13を保持する基体を樹脂フィルム12により構成しているのは、金属製スタンパ1上への貼着、剥離を行ないやすく、生産性、作業性の点で好ましいからであるが、樹脂フィルム12に限られるものではなく、例えば各種の硬化性樹脂を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かして塗布し、乾燥させたりして、樹脂製基体を構成しても良い。
また、ここでは、クラッド層10、コア層11及び樹脂フィルム12により構成されるスタンパ原版13をフィルム状のものとして構成しているが、必ずしもフィルム状のものである必要はなく、例えばフィルム状のものよりも厚さが厚いプレート状のもの(プレート状スタンパ原版)であっても良く、その厚さは特に問題とならない。
このように、スタンパ原版13は、光透過性スタンパを製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過できるものであれば、その材料や厚さ等は上述のものに限られない。例えば、光透過性スタンパを製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する紫外線(UV光)を透過するものとしては、樹脂のほか、ガラスや石英などもあり、これらを材料としてスタンパ原版13を構成しても良い。但し、光透過性スタンパの製造工程上、スタンパ原版13の貼着(ラミネート)を行なう必要がある等、スタンパ原版13に柔軟性が要求される場合や光メモリ素子の製造工程と同様の工程によりスタンパ原版13を製造する場合には、スタンパ原版13は樹脂製とするのが好ましい。
また、本実施形態では、後述するように、光透過性スタンパを構成するコア材及びクラッド材として紫外線硬化性樹脂を用いるため、スタンパ原版13は少なくとも紫外線を透過しうる紫外線透過性スタンパ原版であれば良い。なお、光透過性スタンパを、紫外線硬化性樹脂以外の光硬化性樹脂や熱を加えることで硬化する熱硬化性樹脂等の所望の硬化性樹脂を用いて作製する場合には、紫外線を透過しうるものでなくても良い。
ところで、本実施形態では、さらに、上述のようにして作製されたスタンパ原版13を切断して、各層の凹凸パターンを有する複数枚の切断片13Aとするようにしている(スタンパ原版切断工程)。つまり、本実施形態では、複数層分(複数枚,複数種類)のデータを1枚の金属製スタンパ1上に凹凸パターンとしてパターニングしておき、上述のようにして、この金属製スタンパ1の凹凸パターンを転写して複数層分の凹凸パターンを有する光透過性の樹脂製スタンパ原版13を作製し、これを所望の大きさに切断して、各層の凹凸パターンを有する複数枚の切断片13Aとするようにしている。
このように、1枚の金属製スタンパ1から複数枚のスタンパ原版13(切断片13A)を作製するようにすれば、スタンパ原版13の製造コストを低く抑えることができ、これにより、光メモリ素子作製コストも低く抑えられ、ひいては光メモリ素子の価格を下げることが可能となる。
つまり、一般に、金属製スタンパ1は、その大きさにかかわらず製造コストが高く、光メモリ素子作製コスト全体の中での金属製スタンパ1の製造コストの占める割合は大きいため、金属製スタンパ1をたくさん作ると、金属製スタンパ1の製造コストの影響で、光メモリ素子が高価なものとなってしまう。特に、本実施形態にかかる光メモリ素子のように、層数が多いもの(例えば多いものでは100層程度)では、各層毎に異なる別々のスタンパ原版13を作製することが必要であるため、金属製スタンパ1の製造コストの光メモリ素子の価格に与える影響は大きい。このため、金属製スタンパの数を減らすのは、コスト低減の重要なポイントとなる。
これに対し、上述のように、1枚の金属製スタンパ1から複数枚の光透過性の樹脂製スタンパ原版13を作製するようにすれば、スタンパ原版13の製造コスト(光メモリ素子作製コスト)を低く抑え、光メモリ素子の価格を下げることができるのである。
また、本実施形態にかかるスタンパ原版13の構造及びその製造方法によれば、光透過性スタンパ14を製造する際にクラッド材やコア材を硬化させるための光を透過させうるスタンパ原版13を金属製スタンパ1の凹凸パターンを硬化性樹脂材に転写するだけで製造できるため、スタンパ原版13を容易に作製できる。
また、スタンパ原版13を、表面に凹凸を有する光透過性樹脂により構成しているため、柔軟性(可撓性)があり、光透過性スタンパ14を構成するクラッド層及びコア層からなる積層体から剥離(分離)し易くなる。
なお、光透過性の樹脂製スタンパ原版13は、金属製スタンパ1に比べて安価なので使い捨てとすることもでき、劣化したら捨ててしまえば良いため、金属製スタンパ1のようにクリーニング等の必要もなく、保守・管理も容易である。また、光透過性の樹脂製スタンパ原版13を用いるようにすれば、樹脂製スタンパの耐久性にもよるが、一般には金属製スタンパ1は数回使用するだけで済むため、金属製スタンパ1の保守・管理やクリーニング等も容易になる。
また、光透過性の樹脂製スタンパ原版13の材料として、上述のようにクラッド材10やコア材11を用いれば、光メモリ素子の材料と同じ材料を用い、同じ製造設備を用いて製造できることになるため、専用の材料を調達することなく、既存の設備を用いて光透過性の樹脂製スタンパ原版13を製造できるという利点がある。つまり、後述の光メモリ素子を製造する場合と同じ材料を用いれば、スタンパ原版作製用の材料を別途調達する必要がなく(即ち、使用材料点数を増加することなく)、さらに光メモリ素子を製造する場合と同様の方法で塗布したり、硬化させたりすることができるため、スタンパ原版13を製造するために別途製造設備を設けることなく、光メモリ素子を製造するために用いられる製造設備を用い、同様の方法でスタンパ原版13を簡易に製造することができることになる。
なお、ここでは、金属製スタンパ1の凹凸パターンを、後述する光メモリ素子の製造方法と同様の方法により転写するようにしているが、スタンパ原版13の製造方法はこれに限られるものではなく、例えば、金属製スタンパ1から、例えば上述の樹脂フィルム4の材料と同様の材料、即ちポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の材料を用いて、例えば射出成形等によりスタンパ原版13を製造しても良い。これにより、クラッド材10やコア材11を硬化させるための光を透過させることができ、柔軟性(可撓性)があり、さらにクラッド層及びコア層からなる積層体から剥離(分離)し易い、一体成形のスタンパ原版13を製造できることになる。また、例えばスタンパ原版13は金属製であっても良い。
(2)スタンパ原版転写工程
ところで、上述のように、1枚の金属製スタンパ1から作製されるスタンパ原版13を所望の大きさに切断し、このように切断したもの(切断片)をスタンパとして用いて複数層の光メモリ素子を作製することとすると、上述の「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したような問題がある。
このため、本実施形態では、上述のようにして製造されるスタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写(再転写)して光透過性スタンパを作製するようにしている(スタンパ原版転写工程,再転写工程)。
このスタンパ原版転写工程では、後述する光メモリ素子の製造方法における転写工程と同様に、光透過性スタンパ作製用ベース基板上に硬化性樹脂材を塗布し、この上にスタンパ原版をラミネートした上で、硬化性樹脂材を硬化させて、凹凸パターンを転写している。
以下、スタンパ原版13の切断片13Aを用いて光透過性スタンパ13を製造する方法について図1を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態では、スタンパ原版13の切断片13Aを剥離しやすくするために、凹凸パターン(凸形状;ピット)をコア材に転写するようにしている。これは、一般にクラッド材は硬化が早すぎるため、切断片13Aを容易に剥離させることができる程度に硬化させるのが難しいからである。
始めに、図1(A)に示すように、光透過性スタンパ作製用ベース基板(ベース材)20上に、接着剤として機能しうる紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)からなるクラッド材(液状クラッド樹脂,液状光硬化性樹脂)15Xを塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層15Xを形成する。なお、クラッド層15Xとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
ここでは、光透過性スタンパ作製用ベース基板20として、例えばニッケル等の金属板,ガラス基板,ポリカーボネートからなる基板(ポリカーボネート基板),アートン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィンからなる基板(非晶質ポリオレフィン基板)等の硬度の高い材質の硬質基板(例えば厚さ約0.1mm〜約3mm程度、好ましくは約1mm程度)を用いる。
なお、この光透過性スタンパ作製用ベース基板としての硬質基板20には、射出成形やエッチング等によりアライメントマーク(位置決めマーク)が形成される。そして、後述するように、このアライメントマークと、スタンパ原版13の切断片13Aのアライメントマーク(位置決めマーク)とを重ね合わせることで、スタンパ原版13の位置合わせを容易に、かつ、正確に行なえるようになっている。
次に、このようにして形成したクラッド層15X上に、図1(A)に示すように、所定の膜厚(例えば、完全硬化時に約1.8μm)となるように、接着剤として機能しうる紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)からなるコア材(液状コア樹脂,液状光硬化性樹脂)16Xaを塗布する。なお、コア層16Xaとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
このようにしてコア材16Xaを塗布した後、図1(A)に示すように、コア材11の表面上に、ベース(基体)となる樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)17を、気泡が入らないように例えばロール等を用いて加圧しながら載置する。つまり、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上にコア材16Xaを介して樹脂フィルム17を貼着(ラミネート)する。
なお、このように、コア材(樹脂材)16Xa上に樹脂フィルム(フィルム状部材)17をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって樹脂フィルム17をコア材16Xaに対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置するようにしているが、この際にコア材16Xaの膜厚が変動しないようにするためには、コア材(樹脂材)16Xaが塗布されている面(基板の上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら樹脂フィルム(フィルム状部材)17を貼着するのが好ましい。
次いで、上述のように樹脂フィルム17を貼着した状態で、樹脂フィルム17側から紫外線を照射してコア材16Xaを完全に硬化させれば、樹脂製のコア層16Xaが形成されるとともに、樹脂フィルム17とコア層16Xaとが接着される。
ここで、樹脂フィルム17としては、例えば、ポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製,登録商標)などの非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルム17が好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られやすいので好適)である。特に、アートンよりも剛性のあるPETやポリカーボネートが好ましい。
なお、上述の工程では、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、コア層16Xaを形成し、これに樹脂フィルム17を貼着しているが、これに限られるものではなく、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、クラッド層を形成し、これに樹脂フィルム17を貼着しても良い。また、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、コア層を形成し、これに接着剤として機能するクラッド材を介して樹脂フィルム17を貼着しても良い。この場合、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、コア層、クラッド層を介して樹脂フィルム17が積層されることになる。さらに、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、クラッド層を形成し、これに接着剤として機能するコア材を介して樹脂フィルム17を貼着しても良い。この場合、光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、クラッド層、コア層を介して樹脂フィルム17が積層されることになる。なお、これらは、いずれも光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に、基体としての樹脂フィルム17を接着するものであるため、これらを基体接着工程という。
ここで、接着剤(接着層)としてのコア材(コア層)又はクラッド材(クラッド層)は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、樹脂フィルム17や光透過性スタンパ作製用ベース基板20の材質を考慮して接着相性の良い組み合わせを選定すれば良い。このため、例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等を用いることができる。
次に、図1(A)に示すように、上述の樹脂フィルム17上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、紫外線硬化性樹脂材からなるコア材(液状コア樹脂)16Xbを塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のコア層16Xbを形成する。なお、コア層16Xbとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
次いで、図1(B)に示すように、このコア層16Xbの表面上に、所定の膜厚(例えば、完全硬化時に約1〜約2μm)となるようにコア材(液状コア樹脂)16を塗布する。
なお、ここでは、コア16にスタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写すべく、コア材16を塗布しているが、これに限られるものではなく、例えばクラッド材を塗布し、これにスタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写するようにしても良い。
このようにコア材16を塗布した後、図1(B),(C)に示すように、その表面上に、スタンパ原版13の切断片13Aをラミネート(貼着)する。
ここでは、コア材16の表面上にスタンパ原版13の切断片13Aをラミネートした後、スタンパ原版13の切断片13Aに形成されたアライメントマークと光透過性スタンパ作製用ベース基板20に形成されたアライメントマークとを重ね合わせるようにして、光透過性スタンパ作製用ベース基板20に対するスタンパ原版13の切断片13Aの位置合わせを行なうようになっている。これにより、切断片13Aの凹凸パターンを転写する樹脂フィルム17上での位置を正確に合わせることができるため、切断片13Aから凹凸パターンを転写されて作製される各層毎の光透過性スタンパ14において、凹凸パターンの転写される位置を正確に合わせることができるようになる。なお、ここでは、光透過性スタンパ作製用ベース基板20にアライメントマークを設けているが、基体としての樹脂フィルム17にアライメントマークを設け、これを用いてスタンパ原版13の切断片13Aの位置合わせを行なうようにしても良い。
このようにして、光透過性スタンパ作製用ベース基板20に対するスタンパ原版13の切断片13Aの位置合わせを行なった後に(アライメント後に)、スタンパ原版13の切断片13Aの下側にあるコア材16が押し出されるように、さらに例えばロール等によって圧力を加えるのが好ましい。これにより、切断片13Aとコア材16との間に気泡が入ってしまった場合にも、気泡が完全に取り除かれることになる。
このようにして、スタンパ原版13の切断片13Aをコア材16上にラミネートすると、スタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを有する面の面積がクラッド材の塗布面積よりも小さいため(即ち、スタンパ原版13の切断片13Aのエッジのところで段差ができるため)、図1(C)に示すように、ラミネートする際の圧力によって、スタンパ原版13の切断片13Aの下側にあったコア材16が、スタンパ原版13の切断片13Aの周りに押し出され、コア材16の表面から盛り上がって盛上部16Aができてしまうことになる。
このため、本実施形態では、スタンパ原版13の切断片13Aをコア材16上にラミネートした後、塗布されたコア材16を硬化させる前に、図1(D)に示すように、基板20上に形成されたコア層16Xb上に塗布されたコア材16のうち、スタンパ原版13の切断片13Aが載せられている部分以外(即ち、スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外)の部分を除去するようにしている(除去工程)。このように、塗布されたコア材16を硬化させる前に除去するようにしているのは、コア材16を硬化させた後では除去するのが容易でないからである。
この除去工程では、少なくとも、スタンパ原版13の切断片13Aをコア材16の表面上にラミネートする際の圧力によって、スタンパ原版13の切断片13Aの周りに押し出されて、コア材16の表面から盛り上がった盛上部16Aが除去されるようにすれば良い。
このように、スタンパ原版13の切断片13Aで覆われていない部分のコア材16を除去することとすると、スタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンが転写される光透過性スタンパ14の表面(切断片13Aが載せられた部分の光透過性スタンパ14の表面)と、コア材16が除去されたことで露出したコア層16Xbの表面(切断片13Aが載せられなかった部分の光透過性スタンパ14の表面)との間に段差が生じてしまうことになる。この段差が大きすぎると、光メモリ素子を作製すべく光透過性スタンパ14をラミネートする際に、気泡を巻き込む原因となってしまう。そして、この段差はコア材(光硬化性樹脂材)16の膜厚によって決まる。
このため、スタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写すべく塗布されるコア材(硬化性樹脂材)16の膜厚は、100μm以下とするのが好ましい。より好ましくは、10μm以下とする。なお、コア材材16の膜厚は、光メモリ素子を作製する際に光透過性スタンパ14の凹凸パターンが転写される樹脂材(コア材又はクラッド材)の膜厚に応じて決められる。
一方、コア材16の膜厚は、1nm以上とするのが好ましい。コア材16の膜厚が薄すぎると、スタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写するのに必要な膜厚を確保することができないからである。
ここで、塗布されたコア材16を除去するには、例えば溶解液による洗浄、拭き取り、吸い取り、吹き飛ばしなどの方法を用いれば良い。特に、溶解液による洗浄方法を用いるのが好ましい。
溶解液としては有機溶剤(エタノール、アセトン、トルエン等)が用いることができる。なお、溶解液はこれに限られるものではなく、スタンパ原版13の切断片13Aを溶解させずに、塗布された液体状のコア材16(硬化させる前のコア材)のみを溶解させうるものであれば良い。
また、溶解液による洗浄方法としては、例えば、コア材が塗布され、スタンパ原版13の切断片13Aが載せられた基板上の全面に溶解液を垂らして、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外のコア材16(スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を溶解させ、その後、基板20を回転させて遠心力により溶解液を基板から取り除く方法などを用いれば良い。特に、このような溶解液を垂らし、基板20を回転させて溶解液を取り除くという工程を繰り返し行なうことによって、より完全に洗浄を行なうことができる。
拭き取りとは、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外のコア材16(スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を拭き取る方法である。例えば、コア材(樹脂材)16を拭き取るコア材拭取部材(樹脂材拭取部材,コア材除去部材,樹脂材除去部材)を、所定圧力で基板に押し当てた状態で、コア材16の塗布面に沿って移動させることで、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外のコア材16(スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を除去するようにすれば良い。
ここで、コア材拭取部材としては、例えば、コア(樹脂材)16を吸収しうる吸収体、例えばナイロン,ポリエステル等を原料とした超微細繊維で構成された部材、溶解液(例えばエタノールやアセトン等の有機溶剤)を含ませて構成された部材などを用いることができる。
吸い取りとは、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外のコア材16(スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を吸引して除去する方法である。例えば、吸引ポンプに接続されたノズル状部材を、コア材(樹脂材)16に近づける、もしくは接触させることによって、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外のコア材16(スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を除去するようにすれば良い。
吹き飛ばしとは、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外の樹脂材(ここではコア材16;スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を、高圧ガスの吹き付けによって除去する方法である。ガスとしては、空気、窒素等が用いられる。例えば、加圧ポンプにより加圧された空気又は窒素を、ノズル状部材を介してコア材(樹脂材)16に吹き付けて、載置されたスタンパ原版13の切断片13Aの下側以外のコア材16(スタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外のコア材)を除去するようにすれば良い。
このようにしてコア材16を除去した後、かかる状態で、図1(D)に示すように、ラミネートされたスタンパ原版13の切断片13Aの裏面側(樹脂フィルム17側,凹凸パターンを有する面の反対側)から紫外線を照射して、このスタンパ原版13の切断片13Aを透過した紫外線によってコア材16を完全硬化させる(コア材硬化工程,硬化性樹脂材硬化工程)。
本実施形態では、上述のようにスタンパ原版13の切断片13Aをラミネートした後にスタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外の部分のコア材16を除去しているため、スタンパ原版13の切断片13Aを貼着した状態でコア材16を完全硬化させても、スタンパ原版13の切断片13Aを剥離させることは可能である。
これに対し、コア材16を除去しないでスタンパ原版13の切断片13Aをラミネートし、コア材16を完全硬化させてしまうと、盛上部16Aがスタンパ原版13の切断片13Aの側面を覆った状態で硬化してしまうために、コア層16からスタンパ原版13の切断片13Aを剥離させることができなくなってしまう。これを防ぐために、例えば、ここの工程ではコア材16を一部不完全硬化(コア材16の一部のみが完全には硬化せずに不完全に硬化すること;例えば空気に触れているために硬化の遅いコア層16のスタンパ原版13の切断片13Aに覆われていない部分のみが完全には硬化せずに不完全に硬化する状態)させ、この状態でコア層16からスタンパ原版13の切断片13Aを剥離(分離)させるようにすることも考えられるが、盛上部16Aは他の部分よりも膜厚が厚く、他の部分よりも速く硬化してしまうため、一部不完全硬化の状態にするための硬化条件の設定が非常に困難である。
このため、上述のようにスタンパ原版13の切断片13Aで覆われている部分以外の部分のコア材16を除去するようにしたことで、その後の製造工程の簡素化を図ることができるようになる。また、例えば一部不完全硬化させるために条件設定などを行なう必要がなくなり、単純に完全硬化させてしまえば良いため、製造が容易、かつ簡単になる。
次に、図1(E)に示すように、スタンパ原版13の切断片13Aを光透過性スタンパ作製用ベース基板20上に積層された積層体のコア層16から剥離(分離)する(スタンパ原版分離工程)。これにより、光透過性スタンパ作製用ベース基板20にクラッド層15及びコア層16Xaを介して接着された樹脂フィルム17上に、樹脂製のコア層16Xb、さらにその上にスタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターン(以下、単に「凹凸」ともいう)を転写された樹脂製のコア層16が積層される。なお、この凹凸パターンは、実際には、例えばCD(コンパクトディスク)におけるピットのように平面上に散在している。
その後、図1(F)に示すように、樹脂フィルム17上に積層された樹脂製のコア層16Xb、凹凸パターンを転写された樹脂製のコア層16を、光透過性スタンパ作製用ベース基板20から剥離(分離)する(光透過性スタンパ分離工程)。これにより、樹脂フィルム17と、樹脂製のコア層16Xa,16Xbと、凹凸パターンを転写された樹脂製のコア層16とからなる光透過性スタンパ14が作製される。
このようにして作製される光透過性スタンパ14は、光メモリ素子を製造するのに用いられるものであり、後述するように光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過しうるものとして構成される。
この光透過性スタンパ(光メモリ素子作製用スタンパ)14は、例えば図1(F)に示すように、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を刻まれたスタンパ面を有するスタンパ層としてのコア層16と、接着層としてのコア層16Xa,16Xbと、ベース(基体,ベース層,基体層)としての樹脂フィルム(樹脂フィルム層,樹脂製基体層,ベースフィルム層)17とを備える構造となっており、コア層16にコア層16Xbを介して樹脂フィルム17が接着されて構成される。
このように、本実施形態では、光透過性スタンパ14を、コア層16,16Xa,16Xb及び樹脂フィルム17により構成し、可撓性を有するフィルム状スタンパとして構成している。
ここでは、コア層16,16Xa,16Xb及び樹脂フィルム17は、いずれも、使用光波長域[光メモリ素子を製造する際にコア材やクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)の波長域]において透明のもの(即ち、光を透過できるもの)を用いている。このため、コア層16を光透過性コア層(例えば紫外線透過性コア層)、樹脂フィルム17を光透過性樹脂フィルム(例えば紫外線透過性樹脂フィルム)という。
このうち、コア層16を形成するコア材としては、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂材)を使用し、表面に結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凹凸形状;ピット)を形成されたスタンパ原版13の切断片13Aをラミネートした状態で、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のコア層16を形成する。
コア層16Xbは、コア層16と樹脂フィルム17とを接着する接着剤として機能するものであり、紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材により形成される。このようにしているのは、コア材は後述の光メモリ素子の材料として用いられるものであるため、材料を共用化でき、また、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなるコア材は樹脂フィルム17との接着性に優れており、好適であるからである。
ところで、このような光透過性スタンパ14には、アライメントマーク(位置決め部,位置決めマーク;例えば画像認識可能なアライメントマーク)が形成されている。そして、後述するように、光メモリ素子を製造する際に、この光透過性スタンパ14のアライメントマークと、後述するベースフィルム(基体)又は基板に形成されるアライメントマーク(位置決め部,位置決めマーク;例えば画像認識可能なアライメントマーク)と重ね合わせることで(例えばCCDカメラ等の受像機を用いた画像認識的な手法によって行なう)、光透過性スタンパを載置する際の位置合わせを、簡単に、かつ、正確に行なえるようになっている。
なお、光透過性スタンパ14の位置合わせは、これに限られるものではない。
例えば、光透過性スタンパ14の端部に複数の孔(パンチ孔,ピン孔,アライメントマーク,位置決め部,位置決め孔)を設ける。また、ベースフィルムを所定位置に載置するテーブル上に、これらの複数の孔に挿通しうる複数のピン(位置決めピン,位置決め部材)を設け、これらの複数のピンに複数の孔を差し込むことで、光透過性スタンパの位置決めを機械的に行なうようにしても良い。
この場合、予め、この光透過性スタンパ14の位置決めに用いる複数のピンの位置を基準にしてベースフィルムの位置合わせを行なって、ベースフィルムをテーブル上の所定位置に載置させておき、このようにして位置決めされたベースフィルム上に、ピンに対して孔を差し込みながら光透過性スタンパを載置すれば良い。なお、ベースフィルムの位置合わせは、種々の方法によって行なうことができ、例えばCCDカメラ等の受像機を用いた画像認識的な手法によって行なえば良い。
これによれば、上述のように、例えば光透過性スタンパ14上に画像認識可能なアライメントマークを設ける場合には、このアライメントマーク部分には紫外線が照射されないようにするため、接着層のアライメントマークに相当する部分が十分に硬化しないまま、光透過性スタンパが剥離されることになるのに対し、このような不十分な硬化部分ができないようにすることができる。
なお、ここでは、コア層(コア材)やクラッド層(クラッド材)という用語を用いているが、これらは単に後述するような光メモリ素子を構成するコア層(コア材)やクラッド層(クラッド材)と同様の樹脂を用い、光メモリ素子を製造する場合と同様の方法で塗布したり、硬化させたりするようにして、材料や製造設備を共用しているため、便宜上、このような用語を用いているにすぎず、光メモリ素子のように所定の屈折率のコア層(コア材)及びクラッド層(クラッド材)を用いることを意味するものではない。
また、ここでは、コア層16にスタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア材16Xbを介して樹脂フィルム17に接着しているが、これに限られるものではなく、クラッド層にスタンパ原版13の切断片13Aの凹凸パターンを転写し、接着剤としてのコア材を介して樹脂フィルム17に接着しても良いし(この場合、クラッド層とコア層と樹脂フィルムとの3層構造となる)、また、コア層にスタンパ原版13の切断片13′の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フィルムに接着しても良いし、さらに、クラッド層にスタンパ原版13の切断片13′の凹凸パターンを転写し、接着剤としてのクラッド材を介して樹脂フィルムに接着しても良い(この場合、クラッド層と樹脂フィルムとの2層構造となる)。
また、コア材やクラッド材は、塗布時には液体で(流動性があり)、その後、硬化させることのできる樹脂であれば何でも良く、上述の紫外線硬化性樹脂以外の光硬化性樹脂や熱を加えることで硬化する熱硬化性樹脂等の所望の硬化性樹脂を適用してもよい。また、熱溶融性樹脂を用いても良い。
特に、スタンパ原版13の切断片13Aによる転写を行なうコア材(コア層)16は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、上記の紫外線硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系,エポキシ系,チオール系の各樹脂などがよい。
一方、接着剤(接着層)としてのコア材(コア層)16Xa,16Xaは、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、使用光波長域で透明で、且つ、接着後に簡単に剥がれないものであれば、どのようなものを適用しても良い。例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等がある。但し、樹脂フィルムやクラッド層との材質を考慮して接着相性の良い組み合わせを選定するのが好ましい。
さらに、光透過性スタンパ14を保持する基体を樹脂フィルム17により構成しているのは、スタンパ原版13の切断片13Aの貼着、剥離を行ないやすく、生産性、作業性の点で好ましいからであるが、樹脂フィルム17に限られるものではなく、例えば各種の硬化性樹脂を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かして塗布し、乾燥させたりして、樹脂製基体を構成しても良い。
また、ここでは、クラッド層16,16Xa,16Xb及び樹脂フィルム17により構成される光透過性スタンパ14をフィルム状のものとして構成しているが、必ずしもフィルム状のものである必要はなく、例えばフィルム状のものよりも厚さが厚いプレート状のもの(プレート状スタンパ,プレートスタンパ)であっても良く、その厚さは特に問題とならない。
このように、光透過性スタンパ14は、光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する光(例えば紫外線)を透過できるものであれば、その材料や厚さ等は上述のものに限られない。例えば、光メモリ素子を製造する際にコア材又はクラッド材を硬化させるために照射する紫外線(UV光)を透過するものとしては、樹脂のほか、ガラスや石英などもあり、これらを材料として光透過性スタンパを構成しても良い。但し、光メモリ素子の製造工程上、光透過性スタンパの貼着(ラミネート)を行なう必要がある等、光透過性スタンパに柔軟性が要求される場合や光メモリ素子の製造工程と同様の工程により光透過性スタンパを製造する場合には、光透過性スタンパは樹脂製とするのが好ましい。
また、本実施形態では、後述するように、光メモリ素子を構成するコア材及びクラッド材として紫外線硬化性樹脂を用いるため、光透過性スタンパは少なくとも紫外線を透過しうる紫外線透過性スタンパであれば良い。
したがって、本実施形態にかかる光透過性スタンパの製造方法によれば、例えばコア材(樹脂材)16の塗布面積よりも小さいスタンパ原版13の切断片13Aを用いて光透過性スタンパ14を製造するような場合であっても、スタンパ原版13の切断片13Aが載せられている部分以外のコア材16(少なくともコア材16の表面から盛り上がった盛上部16A)を除去するため、光メモリ素子を製造する際にラミネート不良を生じない良好な品質の光透過性スタンパ14を製造できるようになるという利点がある。
また、例えば複数層分の凹凸パターンを有する金属製スタンパ1から凹凸パターンを転写して、複数層分の凹凸パターンを有する複数のスタンパ原版13を作製し、それぞれのスタンパ原版13を切断して各層の凹凸パターンを有する切断片13Aとし、これらの切断片13Aのうち同一パターンを有するものを用いて凹凸パターンを再転写して、同一層のパターンを複数有する1枚の光透過性スタンパ14を製造する際に、スタンパ原版13の切断片13Aを容易に剥離(分離)させることができ、また、良好な品質のスタンパを製造できるようになるという利点もある。この結果、短時間で、効率的に、同一の光メモリ素子を大量に製造できることになる。
なお、上述の実施形態では、光透過性スタンパ14を作製する際に、スタンパ原版13としての切断片13Aの凹凸パターンを有する面(スタンパ面)の面積がコア材(樹脂材)16の塗布面積よりも小さい場合に本発明を適用する場合を説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、スタンパ原版のスタンパ面の面積が、樹脂材の塗布面積と同一である場合、又は樹脂材の塗布面積よりも大きい場合にも本発明を適用することができる。つまり、スタンパ原版のスタンパ面の面積が、樹脂材の塗布面積と同一である場合、又は樹脂材の塗布面積よりも大きい場合であっても、スタンパ原版を、塗布された樹脂材の表面の一部を覆うようにスタンパ原版をずらして凹凸パターンの転写を行なうような場合にも、スタンパ原版のエッジの部分で段差ができる点で(即ち、スタンパ原版のラミネート面積が、凹凸パターンを転写すべく塗布される樹脂材の塗布面積よりも小さい点で)、上述の実施形態の場合と同様であるため、本発明を適用することができる。この場合、スタンパ原版をラミネートする際に基板のエッジよりも外側に樹脂材がはみ出してしまう場合がある。この点を考慮すると、ラミネート工程の前に、基板周縁部上に塗布されたクラッド材又はコア材を除去(例えば洗浄、拭き取り)するか、又は、ラミネート工程の後に、基板のエッジよりも外側にはみ出した樹脂財のはみ出し部を除去(例えば洗浄)するのが好ましい。
また、上述の実施形態では、スタンパ原版13を切断して切断片13Aとし、切断片13Aの凹凸パターンを転写して光透過性スタンパ14を作製するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、複数層分のパターンを有する金属製スタンパから凹凸パターンを転写して、複数層分のパターンを有する第1スタンパ原版を作製し、作製された第1スタンパ原版を切断して各層の凹凸パターンを有する切断片とし、これらの切断片のうち同一パターンを有するものを1枚のベース(例えば樹脂フィルム等の基体)上に並置し、接着して、第2スタンパ原版を作製した上で、この第2スタンパ原版の凹凸パターンを再転写して、同一層のパターンを複数有する1枚の光透過性スタンパを作製するようにしても良い。
この場合、例えば、第1スタンパ原版の切断片にアライメントマークを設けるとともに、樹脂フィルム等のベースにアライメントマークを設け、切断片をベース上に並置する際に、切断片のアライメントマークとベースのアライメントマークとを用いて切断片の位置合わせを行なうようにすれば良い。また、光透過性スタンパを作製する際の第2スタンパ原版の位置合わせは、光透過性スタンパの基体となる樹脂フィルムや光透過性スタンパ作製用基板に設けられるアライメントマークと、第2スタンパ原版に設けられるアライメントマーク(例えば上述の切断片やベースのアライメントマーク)とを用いて行なうようにすれば良い。このほか、上述の実施形態と同様のアライメント方法を用いることもできる。
また、上述の実施形態では、光透過性スタンパ14の製造工程に、スタンパ原版13(切断片13A)を載置する工程の後に、コア材(硬化性樹脂材)16の表面から盛り上がった盛上部16Aを除去する工程を含むものとして説明しているが、この工程は、スタンパ原版13(切断片13A)の凹凸パターンを有する面の面積がコア材(硬化性樹脂材)16の塗布面積よりも小さい場合にのみ行なうようにしても良い。つまり、スタンパ原版13(切断片13A)の凹凸パターンを有する面の面積がコア材(硬化性樹脂材)16の塗布面積よりも小さいか否かによって、除去工程を行なうか否かを決めるようにしても良い。
(3)上述の光透過性スタンパを用いた光メモリ素子の製造方法
次に、上述のようにして作製した光透過性スタンパ14を用いて光メモリ素子を製造する方法について、図5を参照しながら説明する。
なお、本実施形態では、クラッド層に光透過性スタンパ(樹脂スタンパ,フィルムスタンパ)をラミネートして凹凸パターンを転写(これをクラッド転写,クラッド転写法という)するようにしている。また、本実施形態では、まずガラス等の基板(≠基体)上に薄膜基体を設け、その上に樹脂製コア層と樹脂製クラッド層を積層させていく。最後に、その上に薄膜基体を設けて、サンドイッチ構造を完成した状態で、基板から薄膜基体にサンドイッチされた構造の光メモリ素子を剥離するようにしている。
始めに、図5(A)に示すように、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、例えばスピンコート法によって、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約5μm)となるようにクラッド材(液状クラッド樹脂)2Xを塗布する。
このクラッド材2Xとしては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂材)から成るものを使用し、このように光メモリ素子作製用ベース基板21の表面上へ塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のクラッド層2Xを形成する。なお、クラッド層2Xとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
ここでは、光メモリ素子作製用ベース基板21として、例えば数mm厚のガラス基板,ポリカーボネートからなる基板,アートン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィンからなる基板等の硬質基板(例えば厚さ約0.1mm〜約3mm程度、好ましくは約1mm程度)を用いる。これにより、基板の強度によって、クラッド層及びコア層を積層させていく際に、クラッド材やコア材としての紫外線硬化性樹脂材が硬化時に収縮し、反り(反曲,カール)が生じるのを防止できることになる。なお、光メモリ素子作製用ベース基板21は、クラッド材やコア材として用いられる紫外線硬化性樹脂材に紫外線を照射した際の紫外線硬化性樹脂の収縮に耐え、クラッド層やコア層が反らないだけの強度を備えるものであれば良い。
上述のように硬質基板を用いることができるのは、以下の理由による。つまり、金属性スタンパを用いる場合に、ベース基板を硬質基板とすると、金属性スタンパを曲げる(撓ませる)のが難しいため、金属製スタンパからクラッド層及びコア層からなる積層体を剥離(分離)させるのが困難である。このため、ベース基板として硬質基板を用いることはできなかったが、本実施形態では、柔軟性(可撓性)のある光透過性の樹脂スタンパ(フィルムスタンパ)14を用いるため、積層体からのスタンパ14の剥離(分離)は容易であるから、ベース基板として硬質基板を用いるのが可能になったのである。
このように硬質基板上にクラッド層及びコア層を積層させていくため、反りが生じないように基体(例えば樹脂フィルム等)の表面側と裏面側とに交互にクラッド層やコア層を積層させていく等の反りの発生を抑制するための方策をとる必要がなくなり、基体としての樹脂フィルム等を介在させることなく、クラッド層及びコア層を連続して積層させていくことができるため、基体としての樹脂フィルム等の数をできるだけ少なくして光メモリ素子の膜厚を薄くしながら、大容量化を図るべく所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層した多層構造の実用的な光メモリ素子を製造できるようになる。
なお、この光メモリ素子作製用ベース基板としての硬質基板21には、射出成形やエッチング等によりアライメントマーク(位置決めマーク)が形成される。そして、後述するように、光メモリ素子を製造する際に、光透過性スタンパ14のアライメントマークと、後述するベースフィルム(基体)に形成されるアライメントマーク(位置決めマーク)と重ね合わせることで、光透過性スタンパ14やベースフィルムの位置合わせを容易に、かつ、正確に行なえるようになっている。
次に、このようにクラッド材2Xを完全硬化させた後、図5(A)に示すように、その表面上に、例えばスピンコート法によって、紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂材)から成るコア材(液状コア樹脂)3Xaを所定の膜厚(完全硬化時に約1.8μm程度)になるように塗布する。なお、コア層3Xaとして機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
次いで、このようにしてコア材3Xaを塗布した後、図5(A)に示すように、コア材3Xaの表面上に、薄膜基体(ベース)となる樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5を、気泡が入らないように例えばロール等を用いて加圧しながら載置する。つまり、クラッド層2Xにコア材3Xaを介して樹脂フィルム5を貼着(ラミネート)する。
なお、このように、コア材(樹脂材)3Xa上に樹脂フィルム(フィルム状部材)5をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって樹脂フィルム5をコア材3Xaに対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置するようにしているが、この際にコア材3Xaの膜厚が変動しないようにするためには、コア材(樹脂材)3Xaが塗布されている面(クラッド材2Xの上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら樹脂フィルム(フィルム状部材)5を貼着するのが好ましい。
かかる状態で、紫外線を照射してコア材3Xaを完全硬化させれば、樹脂製のコア層3Xaが形成されるとともに、樹脂フィルム5とコア層3Xaとが接着される。
ここで、樹脂フィルム5は、使用光波長域(光メモリ素子のコア層を導波させるレーザ光の波長域)で透明で(散乱光を透過でき)、光学的な特性や膜厚の均一性,力学的な強度などが許す限り、できるだけ薄い方が良い。これは、上記の凹凸で散乱した散乱光を最終的に外部へ放出できるようにするためと、最終的に製造される光メモリ素子の厚さを薄くするためであるが、本実施形態では、それだけでなく、樹脂フィルム5とクラッド層2Xとの間にあるコア材3Xa内に気泡を入りにくくするためでもある。
即ち、コア材3Xaの塗布されたクラッド層2X上に樹脂フィルム5を貼着する工程で、樹脂フィルム5の厚みが薄いと柔軟性(可撓性)に優れるため、樹脂フィルム5を曲げながら少しずつ接触させてゆくことによって、載置面積をゆっくりと増加させることが可能になり、クラッド材2X内に気泡が混入してその部分の屈折率や膜厚が変化してしまう等の影響を抑止することができるのである。
このため、樹脂フィルム(薄膜基体)5には、例えば、ポリカーボネート,アートン(JSR株式会社製)などの非晶質ポリオレフィンや、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)等の光学特性に優れる(PENはさらに耐熱性にも優れる)熱可塑性の樹脂フィルム5が好適(特に、上記のPETやPENはいずれも均一な厚みのフィルムを得られやすいので好適)で、これらのいずれかを熱延伸或いは溶媒キャスト等の方法で、例えば100μm以下の厚さにしたものがよい。
これ以上厚さが厚いと、樹脂フィルム5の柔軟性(可撓性)が乏しくなり樹脂フィルム5をコア材3Xa上に載置する際に気泡が混入しやすくなってしまう。逆に、樹脂フィルム5の厚みが極端に薄い場合、例えば1μmよりも薄いような場合は、クラッド層2及びコア層3からなる積層体を光メモリ素子作製用ベース基板21から剥離(分離)する際に、樹脂フィルム5が積層体を保持する機能を果たし得なくなることがあるので好ましくない。
なお、上述の工程では、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、クラッド層2Xを形成し、これにコア材3Xaを介して樹脂フィルム5を貼着しているが、これに限られるものではなく、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、クラッド層2Xを形成し、これに接着剤として機能するクラッド材を介して樹脂フィルム5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、クラッド層を介して樹脂フィルム5が積層されることになる。また、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、コア層を形成し、これに接着剤として機能するクラッド材を介して樹脂フィルム5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、コア層、クラッド層を介して樹脂フィルム5が積層されることになる。さらに、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、コア層を形成し、これに接着剤として機能するコア材を介して樹脂フィルム5を貼着しても良い。この場合、光メモリ素子作製用ベース基板上に、コア層を介して樹脂フィルム5が積層されることになる。なお、これらは、いずれも光メモリ素子作製用ベース基板上に、基体としての樹脂フィルム5を接着するものであるため、これらを基体接着工程という。
ここで、接着剤(接着層)としてのコア材(コア層)又はクラッド材(クラッド層)は、屈折率が特定値のものを用いる必要はなく、樹脂フィルム5や光メモリ素子作製用ベース基板21の材質を考慮して接着相性の良い組み合わせを選定すれば良い。このため、例えば、光硬化型,熱硬化型,室温硬化型,ホットメルト型,2液混合型等の各種の型の接着剤が適用可能であり、材質としては、アクリル系,エポキシ系,シアノアクリレート系,ウレタン系,オレフィン系等を用いることができる。
次に、図5(A)に示すように、上述の樹脂フィルム5上に、例えばスピンコート法によって、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、紫外線硬化性樹脂材からなるコア材(液状コア樹脂)3Xbを塗布した後、紫外線を照射して完全に硬化させることで樹脂製のコア層3Xbを形成する。
なお、上述の2つのコア層3Xa,3Xbは、後述するコア層3と異なり凹凸パターンが設けられておらず、専らクラッド層2Xと樹脂フィルム5との間の接着のために用いられ、情報再生層としては機能しない。また、上述のクラッド層2Xも、後述するクラッド層2と異なり光導波路デバイスを構成するものではなく、専ら光メモリ素子作製用ベース基板としてのガラス基板21等とコア層3Xaとの接着のために用いられている。
次いで、図5(B)に示すように、このコア層3Xbの表面上に、後述するクラッド層2よりも屈折率の大きい紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂)から成るコア材(液状コア樹脂)3を例えばスピンコート法によって所定の膜厚(完全硬化時に約1.8μm程度)になるように塗布する(塗布工程)。そして、塗布されたコア材3に紫外線を照射して完全に硬化させて(硬化工程)、樹脂製のコア層3を形成する。なお、塗布工程及び硬化工程は、コア層3を形成する工程であるため、これらをまとめてコア層形成工程という。
ここでは、コア材3としては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂)を使用する。なお、コア層3として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
次に、このコア層3の表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約15μm〜20μm程度)となるように、例えばスピンコート法によって、紫外線硬化性樹脂材からなるクラッド材(液状クラッド樹脂)2を塗布する(塗布工程)。ここでは、クラッド材2としては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂)を使用する。なお、クラッド層2として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
このようにしてクラッド材2を塗布した後、図5(C)に示すように、その表面上に、結像させたい画像(情報)に応じた所望の凹凸パターン(凸形状;ピット)を表面に刻まれた光透過性の樹脂製スタンパ(フィルムスタンパ,光透過性スタンパ)14をラミネート(貼着)する。
なお、このように、クラッド材(樹脂材)2上に光透過性スタンパ(フィルム状部材)14をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって光透過性スタンパ14をクラッド材2に対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置することになるが、この際にクラッド材2の膜厚が変動しないようにするためには、クラッド材(樹脂材)2が塗布されている面(コア層3Xbの上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら光透過性スタンパ14を貼着するのが好ましい。
かかる状態で、図5(D)に示すように、ラミネートされた光透過性スタンパ14の裏面側(凹凸パターンを有する面の反対側)から紫外線を照射して、この光透過性スタンパ14を透過した紫外線によってクラッド材2を一部不完全硬化させる。
ここで、一部不完全硬化とは、クラッド材2の一部のみが完全には硬化せずに不完全に硬化することをいい、例えば空気に触れているために硬化の遅いクラッド層のエッジ部のみが完全には硬化せずに不完全に硬化する状態をいう。
このように、クラッド層2を完全硬化させずに一部不完全硬化としているのは、光透過性スタンパ14をラミネートした状態でクラッド層2を完全に硬化させてしまうと、クラッド層2から光透過性スタンパ14を剥離させることができなくなるからである。
次に、図5(E)に示すように、光透過性スタンパ14を光メモリ素子作製用ベース基板21上に積層された積層体のクラッド層2から剥離(分離)する。これにより、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、樹脂製のコア層3Xb、さらにその上に光透過性の樹脂製スタンパ14の凹凸パターン(以下、単に「凹凸」ともいう)を転写された樹脂製のクラッド層(記録層,光導波路)2が積層される。なお、この凹凸パターンは、実際には、例えばCD(コンパクトディスク)におけるピットのように平面上に散在している。
このようにクラッド層2に凹凸パターンを転写した後、クラッド層2の表面上に、図5(F)に示すように、例えばスピンコート法によって、クラッド層2よりも屈折率の大きい紫外線硬化性樹脂材(光硬化性樹脂)から成るコア材(液状コア樹脂)3を所定の膜厚(完全硬化時に約1.8μm程度)になるように塗布する(塗布工程)。そして、塗布されたコア材3に紫外線を照射して完全に硬化させて(硬化工程)、樹脂製のコア層3を形成する。なお、塗布工程及び硬化工程は、コア層3を形成する工程であるため、これらをまとめてコア層形成工程という。
ここでは、コア材3としては、本実施形態では、紫外線(UV光)を照射することにより硬化する紫外線硬化性樹脂材(UV樹脂材,光硬化性樹脂)を使用する。なお、コア層3として機能する所望の樹脂材を溶媒に溶解したものを塗布・乾燥させる手法を採っても良い。
以後、上述と同様の処理[図5(B)〜(F)に示す処理]を繰り返すことで、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、例えば基体としての樹脂フィルム等を介在させることなく、コア層3及びクラッド層2を連続して所望の積層数(例えば100層程度)になるまで積層する。
ここでは、光透過性スタンパ14に形成されたアライメントマーク(位置決めマーク)と基体としての樹脂フィルム5に形成されたアライメントマーク(位置決めマーク)とを重ね合わせるようにして、光透過性スタンパ14の位置合わせを行ないながら、コア層3の表面上に光透過性の樹脂製スタンパ14をラミネート(貼着)するようになっている。これにより、光透過性の樹脂製スタンパ14から凹凸パターンを転写される複数のコア層3間の位置合わせ(アライメント)が容易に、かつ、正確に行なえるようになる。なお、ここでは、樹脂フィルム5に形成されたアライメントマークの代わりに、光メモリ素子作製用ベース基板21に形成されたアライメントマークを用いて、光透過性スタンパ14の位置合わせをしても良い。
なお、上述のように、基体としての樹脂フィルム5上にクラッド層2及びコア層3を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成する工程を、積層体形成工程という。
ところで、本実施形態では、図6(A)に示すように、上述のようにして所望の積層数だけ積層させた後、最後に積層したクラッド層(最上層のクラッド層)2の表面上に、所定の膜厚(例えば完全硬化時に約1.8μm)となるように、例えばスピンコート法によって紫外線硬化性樹脂材からなるコア材(液状コア樹脂)3Xcを塗布する。
次いで、このようにしてコア材3Xcを塗布した後、図6(A)に示すように、コア材3Xcの表面上に、基体(ベース)となる樹脂フィルム(樹脂製フィルム部材,ベースフィルム)5′を、気泡が入らないように例えばロール等を用いて加圧しながら貼着(ラミネート)する。
なお、このように、コア材(樹脂材)3Xc上に樹脂フィルム(フィルム状部材)5′をラミネートする際には、例えばロール(貼合ロール)によって樹脂フィルム5′をコア材3Xcに対して押し付けて加圧しながら(押圧力を作用させながら)載置することになるが、この際にコア材3Xcの膜厚が変動しないようにするためには、コア材(樹脂材)3Xcが塗布されている面(クラッド材2の上面)とロールとの間の距離を一定に保ちながら樹脂フィルム(フィルム状部材)5′を貼着するのが好ましい。
かかる状態で、紫外線をさらに照射してコア材3Xcを完全硬化させれば、樹脂製のコア層3Xcが形成されるとともに、樹脂フィルム5′とコア層3Xcとが接着される。
その後、このようにして作製される光メモリ素子(即ち、紫外線硬化性樹脂層としてのクラッド層2及びコア層3を積層した積層体を樹脂フィルム5,5′で挟んだ構造体)4は、図6(B)に示すように、これらの樹脂フィルム5,5′によって支持しながら、積層体と樹脂フィルム5,5′を一体として光メモリ素子作製用ベース基板21から剥離(分離)する。なお、このように、光メモリ素子作製用ベース基板21から基体としての樹脂フィルム5,5′と積層体とを一体として分離する工程を、積層体分離工程という。
このようにして作製される光メモリ素子[積層型(平面型)の光メモリ素子;積層導波路型ホログラム素子,MWH素子]4は、図6(B)に示すように、樹脂製コア層3と、樹脂製コア層3の両面に積層された樹脂製クラッド層2とからなり、樹脂製コア層3と樹脂製クラッド層2との界面の少なくとも一方に再生像を得るための情報を含む情報用凹凸部6を有する光導波部材を1個又は複数個有してなる積層体を、薄膜基体(基体)としての樹脂フィルム5,5′により挟み込んだサンドイッチ構造となる。
つまり、図6(B)に示すように、基体としての樹脂フィルム5上に、クラッド層2、コア層3を連続して所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層させてなる(即ち、クラッド/コア/クラッド部材を所望数だけ積層させてなる)光メモリ素子4が製造される。また、光メモリ素子4を構成する基体としての樹脂フィルム5には、アライメントマークが形成されている。さらに、樹脂フィルム等の基体を介在させることなく、クラッド層2及びコア層3を連続して所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層された積層体(即ち、クラッド/コア/クラッド部材を所望数だけ積層された積層体)を、積層体の下層側に設けられた樹脂フィルム5と積層体の最上層にラミネートした樹脂フィルム5′との間に所望の積層数(例えば100層程度)だけ積層された積層体を挟み込んだ構造になる。
なお、情報用凹凸部6は、強度,位相,角度などに関する情報を含むものとして構成される。情報用凹凸部6は、例えば強度情報と位相情報とを含むものである場合もあるし、強度情報と角度情報とを含むものである場合もあるし、強度情報のみを含むものである場合もある。また、再生像とは、このような情報用凹凸部6からの散乱光によって形成される光の濃淡であれば良く、どのような像であっても良い。
そして、このようにして作製された光メモリ素子4の一部に例えば45°切削面を形成し、さらに保護フィルムを貼ったり、樹脂コートしたりする等の工程を経て、例えば光メモリカード等の光メモリ媒体が作製される。
このようにして作製された光メモリ素子4では、例えば、光導波路としてのコア層3に入射端面を介して光を導入すると、その導入光が界面の凹凸部分で散乱しながら伝播する。このときの散乱光は導入光に対して上下方向(交差する方向)のそれぞれに伝播(透過)していき、最終的に光メモリ素子4の両面部から外部へ放出され、凹凸パターンに応じた画像が結像することになる。なお、このように光メモリ素子4の両面部から散乱光を放出させる必要がない場合、例えば、一方の面側のみにCCD受像器を設置する場合は、他方の面側の樹脂フィルムについては、必ずしも使用光波長域で透明である必要はない。
上述のように、クラッド転写により作製された光メモリ素子4の出力画像は、コア転写により製造された光メモリ素子4の出力画像と比べて、ホログラムの虚像が観察されず(例えば像が2重に見える現象がなくなる)、画質が優れたものとなる。
さらに、クラッド転写により光メモリ素子4を作製する場合、塗布されるクラッド層2の膜厚は厚いため、膜厚の薄いコア層3に光透過性スタンパ13の凹凸パターンを転写する場合よりも、光透過性スタンパ13のアライメントが行ないやすい。
なお、上述のように樹脂フィルム5,5′で挟み込んだ構造としているのは、紫外線硬化性樹脂材からなるコア層3及びクラッド層2はもろく、積層体を分離する際に端部に生じた裂け目が容易に全体に広がってしまうからであるが、これを防ぐ方法はこれに限られるものではない。例えば、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、基体としての樹脂フィルムを設けることなく、コア層3及びクラッド層2を積層させて積層体を形成する場合には、積層体はそのままではもろいので、分離時(剥離時)に、これらのコア層3及びクラッド層2の端部を粘着テープ等で保護し、剥離後に粘着テープを切断するようにしても良い。
また、上述のようにして光メモリ素子作製用ベース基板21から剥離した光メモリ素子4は、樹脂フィルム5,5′で挟み込んだ構造としているため、そのまま例えば45°切削面を形成する等のその後の工程を行なうようにしているが、これに限られるものではない。例えば、光メモリ素子作製用ベース基板21上に、基体としての樹脂フィルムを設けることなく、コア層3及びクラッド層2を積層させて積層体を形成する場合には、積層体はそのままではもろいので、ベース材(例えばアートン製フィルム、ポリカーボネート製フィルム、アートン製基板、ポリカーボネート製基板、ガラス製基板等)に接着することで補強した後、その後の工程を行なうようにしても良い。この場合、ベース材は、両面に接着しても良いし、片面だけに接着しても良い。
以上の説明において、コア材3には、塗布時には液体で(流動性があり)、その後、硬化させることのできる樹脂であればどのような樹脂を適用してもよいが、好適な物質としては、例えば紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられる。ただし、特に、光硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系光硬化性樹脂(アクリル系硬化性樹脂),エポキシ系光硬化性樹脂(エポキシ系硬化性樹脂),チオール系光硬化性樹脂(チオール系硬化性樹脂)などが好ましい。
また、上記のクラッド材2は、透明で屈折率がコア材3よりも僅かに小さい物質(樹脂)であれば何でも良いが、各種樹脂製のクラッド材2を塗布すると簡便である。例えば紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂から成るクラッド材2は樹脂フィルム5との接着性に優れ、好適である。上述のごとくスタンパによる転写を行なう場合には、光硬化性樹脂を適用するのが好ましく、例えば、アクリル系光硬化性樹脂(アクリル系硬化性樹脂),エポキシ系光硬化性樹脂(エポキシ系硬化性樹脂),チオール系光硬化性樹脂(チオール系硬化性樹脂)などが好ましい。
なお、クラッド層2は上記説明のように1層として形成しても良いが、膜厚を安定させるために2層に分けて形成してもよい。
また、コア材3、クラッド材2の塗布方法としては、ここではスピンコート法を用いているが、これに限られるものではなく、塗布膜厚と均一性を満足すればどのような塗布方法を用いてもよく、例えばブレードコート法,グラビアコート法,ダイコート法等を用いても良い。
このように、本実施形態では、積層されたコア層3とクラッド層2とがいずれも樹脂製で、しかも、凹凸の形成されるコア層(コア材)3に光や熱等で硬化しうる硬化性樹脂を用いているので、従来のようにフォトレジストの露光,現像処理等を用いなくても、スタンパからの転写によって、コア層3とクラッド層2との界面に容易に所望形状の凹凸部6を形成することが可能になる。
さらに、コア層3やクラッド層2の膜厚については、コア層,クラッド層が光導波路として機能するだけの膜厚であれば良く、例えば使用光波長域が可視光の波長域であれば、コア層3は約0.5〜3.0μm程度であれば良い。この場合、クラッド層2の膜厚に関しては特に制限はないが、全体の厚さを薄くすることを考慮すれば、約100μm以下にするのが好ましい。あえて下限を規定するなら、0.1μm以上にするのが好ましい。
さらに、上述の実施形態では基体を樹脂フィルム5,5′としているが、基体は、光メモリ素子を保持するものとして機能しうる物質であれば良く、樹脂、ガラス、誘電体、金属など各種のものを用いることができる。但し、製造工程上、貼着(ラミネート)を行なう等、柔軟性が要求される場合には、樹脂製の基体とするのが好ましい。また、各種の硬化性樹脂を塗布後硬化させたり、樹脂を溶剤に溶かして塗布し、乾燥させたりして、樹脂製基体を構成しても良いが、樹脂フィルム5,5′を用いれば貼着を行ないやすく、作業性の点で好ましい。
なお、光メモリ素子4の製造方法は、上述の実施形態のものに限られない。つまり、上述の実施形態にかかる光メモリ素子4の製造方法は、基板上に基体(樹脂フィルム)を接着した後に、基体(樹脂フィルム)上にクラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成しているが、これに限られるものではなく、例えば、基板上に基体(樹脂フィルム)を接着することなく、基板上に、直接、クラッド層及びコア層を順次積層して所望の積層数を有する積層体を形成しても良い。
(B)光メモリ素子の製造方法
上述の実施形態及びその変形例では、本発明を光透過性スタンパの製造方法に適用する場合について説明したが、これに限られるものではなく、本発明は例えば光メモリ素子の製造方法に適用することもできる。
本発明を光メモリ素子の製造方法に適用すると、光メモリ素子の製造方法は、上述の上述の実施形態及び変形例における光透過性スタンパを用いた光メモリ素子の製造方法[上記(A)(3),図5,図6参照]のように、光硬化性樹脂からなるクラッド材又はコア材を塗布する工程と、クラッド材又はコア材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光を照射してクラッド材又はコア材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層又はコア層を形成する工程とを含む光メモリ素子の製造方法において、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がクラッド材又はコア材の塗布面積よりも小さい場合に、スタンパを載置する工程の後に、クラッド材又はコア材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を行なうものとして構成される。
なお、光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積がクラッド材又はコア材の塗布面積よりも小さい場合に、スタンパを載置する工程の後に、クラッド材又はコア材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を行なうこと以外は、上述の実施形態等の光メモリ素子の製造方法と同じである。
ここで、上述の実施形態及びその変形例における光透過性スタンパの製造方法のスタンパ原版転写工程[上記(A)(2),図1参照]において、スタンパ原版を光透過性スタンパとし、スタンパ原版の凹凸パターンを転写される光透過性スタンパを構成するコア材又はクラッド材を、光透過性スタンパの凹凸パターンを転写される光メモリ素子を構成するコア材又はクラッド材とすれば、上述の実施形態及びその変形例におけるスタンパ原版の凹凸パターンを転写して、凹凸パターンを転写されたコア材又はクラッド材(樹脂材)を形成する工程の説明は、光メモリ素子の製造方法において光透過性スタンパの凹凸パターンを転写して、凹凸パターンを転写されたコア材又はクラッド材を形成する工程の説明となる。なお、詳細は上述の実施形態等に光透過性スタンパの製造方法のスタンパ原版転写工程と同じである。
特に、除去工程は、スタンパが載せられている部分以外のクラッド材又はコア材を除去するように構成するのが、製造工程が簡単になる点で好ましい。
また、塗布工程において塗布されるクラッド材又はコア材の膜厚が、100μm以下であるのが好ましい。
したがって、本実施形態にかかる光メモリ素子の製造方法によれば、例えばクラッド材又はコア材の塗布面積よりも小さい光透過性スタンパを用いて光メモリ素子を製造するような場合であっても、光透過性スタンパが載せられている部分以外のクラッド材又はコア材(少なくともクラッド材又はコア材の表面から盛り上がった盛上部)を除去するため、良好な品質の光メモリ素子を製造できるようになるという利点がある。
なお、ここでは、光メモリ素子の製造工程に、スタンパ載置工程の後に、コア材又はクラッド材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を含むものとして説明しているが、この工程は、光透過性スタンパを構成する表面に凹凸パターンを有するスタンパ層の面積がコア材又はクラッド材の塗布面積よりも小さい場合にのみ行なうようにしても良い。つまり、光透過性スタンパを構成する表面に凹凸パターンを有するスタンパ層の面積がコア材又はクラッド材の塗布面積よりも小さいか否かによって、除去工程を行なうか否かを決めるようにしても良い。
ところで、上述の実施形態では、短時間で、効率的に、同一の光メモリ素子を大量に作製できるようにし、位置合わせを比較的容易にするために、スタンパ原版を切断して作製される複数枚の切断片13Aを用い、1枚の樹脂フィルム17等の基体上に塗布されたコア材(硬化性樹脂材)16に凹凸パターンを転写(再転写)して、光透過性スタンパ14を作製するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば1枚の金属製スタンパ1から作製される1枚の光透過性の樹脂製スタンパ(スタンパ原版)13を所望の大きさに切断し、その切断片13Aを1枚のベース(例えばベースフィルム)上に並置し(並置工程)、これをスタンパとして用いることも考えられる。このような場合にも、上述の実施形態及びその変形例にかかる光透過性スタンパの製造方法と同様の方法で光メモリ素子を製造するのが好ましい。
この場合、まず、1枚の金属製スタンパ1から複数層分(複数枚,複数種類)の光透過性の樹脂製スタンパ13を作製する場合、金属製スタンパ1上には、複数層分(複数枚,複数種類)の樹脂製スタンパ13を作製するのに必要なデータを、所望の範囲(例えば各層毎のデータをパターニングするのに必要な範囲)毎に領域を分けて、凹凸パターンとしてパターニングしておく。
次に、上述の光透過性スタンパの製造方法と同様に、このような1枚の金属製スタンパ1から凹凸パターンを転写して、この金属製スタンパ1の大きさに相当する大きさの1枚の樹脂製スタンパ(樹脂フィルム及び硬化性樹脂)13を作製する(転写工程,接着工程,分離工程)。
次いで、この1枚の樹脂製スタンパ13を所望の大きさ(例えば各層毎のデータをパターニングするのに必要な範囲)に分けて切断して(切断工程)、複数枚の樹脂製スタンパ片(樹脂フィルム及び硬化性樹脂)13Aとする。
次いで、このようにして切断された複数枚の樹脂製スタンパ片13Aを、1枚のベース(例えばガラス基板,樹脂基板,樹脂フィルム等;ベース基板,ベースフィルム)上に並置し、接着剤で接着して(貼り合わせ)、各層に対応するスタンパ部分を有する1枚の大きな光透過性スタンパを作製する。
また、ベース上へ並置する際には、金属製スタンパ1上に作製された状態の配置と同じ配置で並べても良いし、金属製スタンパ1上に作製された状態の配置とは異なる所望の配置に並べ替えて配置しても良い。
例えば、金属製スタンパ1上には同じ凹凸パターンを連続させて形成しておき、ベース上に並置する際に、同一層の凹凸パターンを有するものを集めて、所望の範囲(例えば各層毎のデータをパターニングするのに必要な範囲)毎に領域を分けて、配置するようにしても良い。
また、金属製スタンパ1上に作製された状態の配置とは異なる所望の配置に並べ替えて配置する場合としては、例えば、以下のようにすれば良い。
つまり、金属製スタンパ1上に光メモリ素子の各層を構成する凹凸パターンを領域を分けて形成し、この金属製スタンパ1を用いて、各層の凹凸パターンを有する光透過性スタンパを複数枚作製する。次に、これらの複数枚の光透過性スタンパをそれぞれ各層の凹凸パターンを有する領域毎に切断し、同一層の凹凸パターンを有するものを集めて、同一のベース上に並置して、一の層の凹凸パターンを複数備える光透過性スタンパを各層毎に作製する。
このような各層毎の光透過性スタンパを用いれば、一の層の凹凸パターンを複数備える積層体(クラッド層及びコア層を積層させてなるクラッド/コア部材;樹脂フィルムを含む場合もある)を各層毎に作製することができ、これらの各層毎の積層体を積層させた後にまとめてカット(切断)するだけで、複数層の凹凸パターンを積層させた同一の光メモリ素子を複数作製できるようになる。
したがって、以下のような作用,効果がある。
つまり、光メモリ素子の各層を構成する凹凸パターンを有する金属製スタンパ1を用いて光メモリ素子を作製する場合には、例えば、この金属製スタンパ1を用いて各層の凹凸パターンを有する積層体を複数枚作製し、それぞれ各層の凹凸パターン毎に切断した後、各層の凹凸パターンを積層させて、複数層の凹凸パターンを積層させた光メモリ素子を作製することになるが、これでは、特に、同一の光メモリ素子を大量に作製する場合には、切断された各層の凹凸パターンを積層させる工程を繰り返し行なう必要があり、積層させる際には正確に位置合わせを行なわなくてはならないため、時間がかかり、効率的でない。これに対し、上述のような方法によって光メモリ素子を作製すれば、位置合わせが比較的容易であり、短時間で、効率的に、同一の光メモリ素子を大量に作製できるようになる。
まず、表面に画像情報に応じた凹凸形状を有する、金属ニッケルからなるニッケル製スタンパ上に、クラッド材であるアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率n=1.49)を塗布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるコア材(屈折率n=1.49)を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(ジェイエスアール株式会社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成し、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。そして、スタンパからクラッド層とコア層とアートンフィルムとを一体に分離し、スタンパ原版(光透過性スタンパ1)を作製した。そして、このスタンパ原版を所定の大きさに切断し、切断片とした。
次に、金属板(光透過性スタンパ作製用基板)上にクラッド材を塗布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、コア材を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm2照射して、フィルム部材をクラッド/コア層と接着した。
次いで、このフィルム部材上に、コア材を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm2照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。その上にコア材を塗布した後、スタンパ原版の切断片を載置し、ラミネートロールにより加圧した。
そして、スタンパ原版の切断片の下側以外に塗布されているコア材を除去すべく、基板全面にエタノールを垂らして、スタンパ原版の切断片の下側以外に塗布されているコア材をエタノールに溶解させた後、基板を回転させて、エタノールを基板上から取り除いた。その後、紫外線を400mJ/cm2照射して硬化させた。その後、スタンパ原版の切断片を剥離した後、金属板から、アートンフィルムをベースにした光透過性スタンパ(光透過性スタンパ2)を剥離した。
次に、ガラス基板上にクラッド材を塗布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、コア材を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm2照射して、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。
このフィルム部材上に、コア材を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm2照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。その上に、クラッド材を塗布した後、光透過性スタンパを、転写面がクラッド材に接する向きに、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から、紫外線を800mJ/cm2照射して、クラッド層を硬化させた後、光透過性スタンパのみを剥離した。この結果、12μm厚のクラッド層が形成された。
このクラッド層上に、コア材を塗布した後、窒素を満たした容器内に入れて、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。この容器内の酸素濃度は1%以下であった。なお、形成したコア層、クラッド層の屈折率はそれぞれ1.52,1.51であった。この工程を4回繰り返すことにより、4層の多層構造を作製した。
次に、クラッド材を塗布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、12μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、コア材を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm2照射して、フィルム部材をコア/クラッド層と接着した。
次いで、ガラス基板から、アートンフィルムに挟まれた4層構造を剥離し、光メモリ素子を作製した。これを、ダイシングソーを用いて、縦2cm、横2cmの大きさに切断してサンプルを作製した。
上述のようにして作製したサンプルに所定の方向からレーザ光を導入し評価を行なった。ここでは、レーザ光は、波長が680nm、強度が約5mWの半導体レーザを用い、レンズを組み合わせて光束を縦が4μm、横が約1cmに絞って、光束がコア層に入るように調整を行った。この結果、レーザ光はコア層内を伝播し、凹凸によってわずかに散乱した光はコア層と垂直方向に透過して、結像した。この像を直接CCD上に投影して観察し、所期の画像(テストパターン)であることを確認した。また、レーザ光を導入するコア層を変えることによって、4層あるコア層に記録されたこれらの画像が互いに影響を与えることなく、それぞれ独立に読み出せることを確認した。
(比較例)
本比較例では、上述の実施例と同様にしてスタンパ原版を作製した。次に、スタンパ原版の切断片の下側以外に塗布されているコア材を除去すること以外は、上述の実施例と同様にして光透過性スタンパを作製した。
つまり、本比較例では、金属板(光透過性スタンパ作製用基板)上にクラッド材を塗布した後、紫外線を800mJ/cm2照射して硬化させ、5μm厚のクラッド層を形成した。このクラッド層上に、コア材を塗布した後、厚さ100μmのアートンフィルム部材(JSR社製)を、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着した。この上から紫外線を800mJ/cm2照射して、フィルム部材をクラッド/コア層と接着した。
このフィルム部材上に、コア材を塗布した後、紫外線を2400mJ/cm2照射して硬化させ、1.8μm厚のコア層を形成した。その上にコア材を塗布した後、スタンパ原版の切断片を載置した。その上からラミネートロールにより加圧した。その後、紫外線を400mJ/cm2照射して硬化させた。スタンパ原版の切断片を剥離した後、金属板から、アートンフィルムをベースにした、光透過性スタンパを剥離した。この光透過性スタンパは、スタンパ原版の切断片の凹凸パターンが転写された部分の周縁部の膜厚が厚くなっていた。
また、このようにして作製した光透過性スタンパを用いて、上述の実施例と同様の方法で光メモリ素子を作製しようとしたところ、光透過性スタンパを転写面がクラッド材に接する向きに、ゴムローラで圧着しながら、ゆっくりと貼着するところまでは同様の工程を進めることができたが、光透過性スタンパのスタンパ原版の切断片の凹凸パターンが転写された部分の周縁部の膜厚が厚いため、この膜厚差が原因となって、貼着時に気泡が混入してしまった。気泡の混入の影響が大きいため、これ以上工程を進めることができず、光メモリ素子を作製することができなかった。
(A)〜(F)は、本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパの製造方法を説明するための模式図である。 (A)〜(E)は、本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパの製造方法の概略を説明するための模式図である。 (A)〜(D)は、本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパを製造するために用いるスタンパ原版の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパを製造するために用いるスタンパ原版の構成を説明するための模式図である。 (A)〜(F)は、本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパを用いた光メモリ素子の製造方法を説明するための模式図である。 (A),(B)は、本発明の一実施形態にかかる光透過性スタンパを用いた光メモリ素子の製造方法を説明するための模式図である。 一般的な光透過性スタンパの製造方法における課題を説明するための模式図である。 一般的な光透過性スタンパの製造方法における課題を説明するための模式図である。
符号の説明
1 金属製スタンパ
2 クラッド層(クラッド材)
2X クラッド層(接着層)
3 コア層(コア材,記録層,光導波路)
3Xa,3Xb,3Xc コア層(接着層)
4 光メモリ素子(スラブ型光導波路デバイス)
5,5′ 樹脂フィルム(基体)
10 クラッド層(クラッド材,スタンパ層)
11 コア層(コア材,接着層,接着剤)
12 樹脂フィルム(基体,基体層)
13 スタンパ原版
13A 切断片
14 光透過性スタンパ(光メモリ素子作製用スタンパ)
15 クラッド層
16 コア層(コア材,スタンパ層)
16Xa,16Xb コア層(コア材,接着層,接着剤)
17 樹脂フィルム(基体,基体層)
20 光透過性スタンパ作製用ベース基板
21 光メモリ素子作製用ベース基板

Claims (15)

  1. 表面に凹凸パターンを有する硬化性樹脂層を備える光透過性スタンパの製造方法であって、
    基体上に硬化性樹脂材を塗布する工程と、
    塗布された硬化性樹脂材上にスタンパ原版を載置する工程と、
    前記スタンパ原版が載せられている部分以外の硬化性樹脂材を除去する工程と、
    前記硬化性樹脂材を硬化させる工程と、
    前記スタンパ原版を分離する工程とを含むことを特徴とする、光透過性スタンパの製造方法。
  2. 前記硬化性樹脂材が、光硬化性樹脂材であり、
    前記スタンパ原版が、前記光硬化性樹脂材を硬化させるための光を透過しうるものとして構成され、
    前記硬化性樹脂材を硬化させる工程において、前記スタンパ原版の裏面側から光を照射して前記光硬化性樹脂材を硬化させることを特徴とする、請求項1記載の光透過性スタンパの製造方法。
  3. 前記スタンパ原版は、凹凸パターンを有する面の面積が前記硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の光透過性スタンパの製造方法。
  4. 前記塗布工程において塗布される前記硬化性樹脂材の膜厚が、100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性スタンパの製造方法。
  5. 表面に凹凸パターンを有する硬化性樹脂層を備える光透過性スタンパの製造方法であって、
    硬化性樹脂材を塗布する工程と、塗布された硬化性樹脂材上にスタンパ原版を載置する工程と、前記硬化性樹脂材を硬化させる工程と、前記スタンパ原版を分離する工程とを含み、
    前記スタンパ原版の凹凸パターンを有する面の面積が前記硬化性樹脂材の塗布面積よりも小さい場合、前記スタンパ原版を載置する工程の後に、前記硬化性樹脂材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を行なうことを特徴とする、光透過性スタンパの製造方法。
  6. 前記スタンパ原版が、アライメントマークを備え、
    前記スタンパ原版を載置する工程で、前記アライメントマークにより前記スタンパ原版の位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過性スタンパの製造方法。
  7. 前記基体又は光透過性スタンパ作製用基板が、アライメントマークを備え、
    前記スタンパ原版を載置する工程で、前記スタンパ原版のアライメントマークと前記基体又は前記基板のアライメントマークとにより前記基体又は前記基板と前記スタンパ原版との間の位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項6記載の光透過性スタンパの製造方法。
  8. 前記スタンパ原版のアライメントマークが孔であり、
    前記孔に挿通しうるピンを有し、前記基体を所定位置に載置するテーブルを備え、
    前記スタンパ原版を載置する工程で、前記ピンに前記孔を挿通することにより前記スタンパ原版の位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項6記載の光透過性スタンパの製造方法。
  9. クラッド層及びコア層を複数積層してなる光メモリ素子を製造する光メモリ素子の製造方法であって、
    光硬化性樹脂からなるクラッド材又はコア材を塗布する工程と、前記クラッド材又は前記コア材を硬化させるための光を透過しうる光透過性スタンパを載置する工程と、光を照射して前記クラッド材又は前記コア材を硬化させ、凹凸を有するクラッド層又はコア層を形成する工程とを含み、
    前記光透過性スタンパの凹凸パターンを有する面の面積が前記クラッド材又は前記コア材の塗布面積よりも小さい場合、前記スタンパを載置する工程の後に、前記クラッド材又は前記コア材の表面から盛り上がった盛上部を除去する工程を行なうことを特徴とする、光メモリ素子の製造方法。
  10. 前記除去工程において、前記スタンパが載せられている部分以外の前記クラッド材又は前記コア材を除去することを特徴とする、請求項9記載の光メモリ素子の製造方法。
  11. 前記塗布工程において塗布される前記クラッド材又は前記コア材の膜厚が、100μm以下であることを特徴とする、請求項9又は10記載の光メモリ素子の製造方法。
  12. 前記除去工程において、前記クラッド材又は前記コア材を洗浄、拭き取り、吸い取り又は吹き飛ばしにより除去することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の光メモリ素子の製造方法。
  13. 前記光透過性スタンパが、アライメントマークを備え、
    前記スタンパを載置する工程で、前記アライメントマークにより前記光透過性スタンパの位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の光メモリ素子の製造方法。
  14. 前記基体又は光透過性スタンパ作製用基板が、アライメントマークを備え、
    前記スタンパを載置する工程で、前記光透過性スタンパのアライメントマークと前記基体又は前記基板のアライメントマークとにより前記基板又は前記基体と前記光透過性スタンパとの間の位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項13記載の光メモリ素子の製造方法。
  15. 前記光透過性スタンパのアライメントマークが孔であり、
    前記孔に挿通しうるピンを有し、前記基体を所定位置に載置するテーブルを備え、
    前記スタンパを載置する工程で、前記ピンに前記孔を挿通することにより前記光透過性スタンパの位置合わせを行なうことを特徴とする、請求項13記載の光メモリ素子の製造方法。
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