JP2002097187A - ポリフェノール類の抽出方法および該方法の行程で得られるポリフェノール金属塩 - Google Patents

ポリフェノール類の抽出方法および該方法の行程で得られるポリフェノール金属塩

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源一郎 野中
Kanji Ishimaru
幹二 石丸
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USAIEN SEIYAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物抽出液中のポリフェノール類を選択的且
つ効率良く分離する方法であって、(a)抽出液にアスコ
ルビン酸を添加し、ついでアルカリ金属を加え、ポリフ
ェノールの金属塩を沈殿させる方法、及び(b)ポリフェ
ノール金属塩を脱塩し、遊離のポリフェノール類を得る
方法。 【解決手段】 植物抽出液に予めアスコルビン酸を添加
することにより、ポリフェノール類のアルカリによる着
色、分解が防止され、ほぼ定量的にポリフェノール金属
塩の沈殿を得ることができる。本金属塩のうち、特にカ
ルシウム塩はポリフェノール部の有する抗酸化、抗菌、
消臭などの作用の他に、カルシウム剤としてそのままの
利用が可能である。さらに、本金属塩は容易に脱塩がで
きることから、特別の有機溶媒及び煩雑なクロマトグラ
フィー等を使用することなく、安全で効率的且つ工業的
なポリフェノールの製造が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリ溶液に極め
て不安定で容易に分解し易い植物ポリフェノール類をア
スコルビン酸を添加することにより安定化し,アルカリ
金属あるいはアルカリ金属塩を加えることにより、それ
らの金属塩として分別沈殿させ、さらにこれを脱塩し、
ポリフェノール類を抽出する製造方法に関する。さらに
は、新規なポリフェノールの金属塩、特に生体に安全な
カルシウム塩及びマグネシウム塩に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェノール類は植物界に広く分布
し、なかでも多くの天然食品、例えば、各種の茶,果物
類、野菜類などに含まれており,古くから健康維持のた
めに広く利用されている。
【0003】近年,茶、柿、ブドウ、リンゴ、ソバに含
まれるポリフェノール類には様々な生理活性が見出され
ており、新たな機能性物質として注目されている。
【0004】例えば抗酸化作用(特開平4−2026
2)、腸内有害菌の増殖阻害作用(特開平2−2959
23)、血糖降下作用(特開平4−253918)、プ
ラーク形成阻害作用(特開平3−86814)、抗歯周
病及び口臭予防効果(特開平3−218320)、シュ
クラーゼ活性阻害作用(特開平5−17364)、ビフ
ィズス菌増殖促進作用(特開平5−339117)、ヒ
アルロニダーゼ活性阻害作用(特開平6−9391)な
ど多様な機能が報告されており、現在、各種食品への添
加応用がなされている。
【0005】植物ポリフェノールのなかでも、特に茶ポ
リフェノール類製造方法に関してはこれまでに種々の報
告がなされている。
【0006】例えば茶葉を(1)有機溶媒を用いて抽出
する方法(特開平5−79071)、(2)ベタインを
添加して抽出する方法(特開平7−196645)及び
茶抽出液からポリフェノール類を(3)限外濾過に付
し、分子量の差を利用して分画する方法(特開平2−6
499)、(4)カラムクロマトグラフィーで分画する
方法(特開平2−311374)、(5)有機溶媒で分
配する方法(特開平4−182480)、(6)ゲルビ
ーズへの吸着を利用する方法(特開平5−79071)
などがある。
【0007】上記方法のうち、(1)および(2)は茶
葉からのポリフェノール類の抽出効率を高めたに過ぎ
ず,抽出液中には少々のカフェイン、蛋白質,アミノ
酸,炭水化物などの夾雑物が含まれており,高純度のポリ
フェノール類の分離法とは言い難い。また、(4)、
(5)、(6)の方法は引火性があり、毒性の強い有機
溶媒を使用する点で、安全とは言えず、さらに(3)、
(4)、(6)は高価なクロマト担体あるいは装置と共
に、煩雑な操作を必要とする点で問題が有り、いづれも
大量分取を目的とする工業化には多大のコストと労力を
要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般に植物の抽出液中
には常成分としての炭水化物,蛋白質,アミノ酸,ミネ
ラルなど極めて多種多様の成分が混在している。また、
茶葉には特殊成分としてカフェインなどが含まれてい
る。本発明はこのような複雑な成分を含む植物抽出液か
ら、引火性で毒性のある有機溶媒を全く使用せずに、安
価で簡便且つ効率的にポリフェノール類のみを選択的に
抽出することを課題としている。また、本発明は現在、
社会的に問題とされている骨粗鬆症予防に有効且つ安全
なポリフェノール類のカルシウム塩の製造を目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
すべく鋭意研究した結果、予め植物抽出液にアスコルビ
ン酸を添加した後,アルカリ金属あるいはアルカリ金属
塩を加え、pH6−11に調整するとポリフェノール類の
みが金属塩として選択的に効率良く沈殿することを見出
した。さらに、この金属塩を脱塩すると、遊離のポリフ
ェノールが得られることを知見し、本発明を完成するに
至った。
【0010】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
で、(a)植物原料の乾燥重量に対して0.5重量%以上
5重量%以下のアスコルビン酸を添加し、ついでアルカ
リ金属あるいはアルカリ金属塩を加えpH6−11に調整
することにより、ポリフェノール類を選択的に沈殿させ
る方法、(b)ポリフェノール金属塩を弱酸性溶液に溶解
させ,脱塩し、遊離のポリフェノールを回収することを
特徴とする製造方法に関する。さらに、該方法の行程で
得られるポリフェノールの金属塩に関する。
【0011】
【作用】一般にポリフェノールを含有する植物抽出液は
アルカリ性にすると溶液あるいは空気中の酸素により容
易に酸化され、ポリフェノールの高分子分解物を生じ
る。しかしながら、抽出液に予めアスコルビン酸を添加
しておくとアルカリによる分解は全く認められない。こ
れはアスコルビン酸の強力な抗酸化性に基づくものであ
り,アスコルビン酸が先に酸化されることにより、ポリ
フェノールの酸化を防止していることを示している。さ
らに、沈殿を生じる金属塩はいずれも2価(カルシウ
ム,マグネシウム,バリウム,鉛)あるいは3価(アルミ
ニウム)であることから、ポリフェノールの構造中のカ
テコールあるいはピロガロール環と化学的なキレート結
合をしていることが示される。
【0012】従って、これらのアルカリ金属による沈殿
法は分子構造中にカテコールあるいはピロガロール基を
有するすべてのポリフェノール類に適用することができ
る。
【0013】
【好適な実施態様】本発明で得られるポリフェノール類
は下記の化1のカテキン類、化3のプロアントシアニジ
ン類及び化4のフラボノイド類に代表される。
【0014】
【化1】
【0015】化1中、R1はH又はOHを示し、R2はH又は化
2を示す。
【0016】
【化2】
【0017】化1で示されるカテキン類の具体例として
は以下のものがある。 (1)(−)−エピカテキン(化1中、R1=H, R2=Hのも
の) (2)(−)−エピガロカテキン(化1中、R1=OH, R2=
Hのもの) (3)(−)−エピカテキンガレート(化1中、R1=H,
R2=化2のもの) (4)(−)−エピガロカテキンガレート(化1中、R1
=OH, R2=化2のもの)
【0018】
【化3】
【0019】化3中、R3はH又はOHを示し、R4はH又は化
2を示し、R3及びR4は同一であっても異なっていても構
わない。
【0020】化3で示されるプロアントシアニジン類の
具体例としては以下のものがある。 (1)プロシアニジンB1(化3中、n=0, R2=R3=Hのも
の) (2)プロデルフィニジンB2(化3中、n=0, R3=OH, R4
=化2のもの) (3)プロシアニジンポリマー(化3中、n=1−10, R3=
R4=Hのもの) (4)プロデルフィニジンポリマー(化3中、n=1−10,
R3=OH, R4=化2のもの)
【0021】
【化4】
【0022】化4中、R5はH又はOHを示し、R6は糖を示
す。
【0023】化4で示されるフラボノイド類の具体例と
しては以下のものがある。 (1)ルチン(化4中、R5=H, R6=グルコラムノースの
もの) (2)ミリシトリン(化4中、R5=OH, R6=ラムノースの
もの)
【0024】本発明における植物原料としてはポリフェ
ノール類を含有していることが知られている植物が適用
され、例えば茶,果物,野菜類などが挙げられる。この中
で,茶(Camellia sinensis, Camellia sinensis var.as
samica等)はその葉及び製造工程でできる粉や茶屑の生
又は乾燥物もしくは加熱、揉捻操作を経た加工物、ある
いは生の葉を半発酵したもの、及び完全に発酵したもの
を指す。本発明では緑茶,烏龍茶、紅茶などの茶類が好
ましい。果物及び野菜としてはカキ、ナシ、リンゴ、ブ
ドウ、イチゴ、バナナ、アボガド、ソバ、レンコンなど
があり、また、これらの摘果あるいは間引きした未熟な
ものを使用することができる。
【0025】本発明の抽出液は植物体に対して、重量で
1‐100倍、好ましくは5‐10倍量の水を加え,室
温で1‐3日、もしくは60‐100度で1‐8時間、
好ましくは3‐5時間加熱抽出したもの、あるいは植物
体に対して,重量で1‐100倍、好ましくは5‐20
倍量の40−60容量%の水を含むエタノール又はアセ
トンで室温下、1‐3日もしくは40‐60度で1‐8
時間,好ましくは3‐5時間加熱抽出し、不溶物を遠心
分離あるいは濾紙、フィルター等で濾過して得られる抽
出液からエタノール,アセトンを可及的に留去して得ら
れる水溶液を用いることができる。
【0026】抽出に用いる水は水道水,地下水,精製水あ
るいは蒸留水をそのまま使用することができるが、アル
カリ金属としてカルシウム及びバリウムを使用する場
合、好ましくは溶存する炭酸ガスを除去するため,一旦
煮沸し冷却したものを用いる。
【0027】本発明で抽出液に添加するアスコルビン酸
の量は、植物体に対して、0.1重量%以上10重量%
以下で、好ましくは0.5重量%以上5重量%以下であ
る.アスコルビン酸の添加量が0.1重量%以下の場合
は、アルカリ金属添加により、抽出液は容易に赤褐色に
着色しポリフェノール類の酸化分解を起こす。
【0028】本発明で使用するアルカリ金属としてはカ
ルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム,亜
鉛,鉛などが挙げられ、産業上の廃液処理の問題及び生
体に対する安全性を考慮すると、カルシウム及びマグネ
シウムが好ましい.これらのアルカリ金属は水酸化物と
しての添加が好ましいが、これらは水に難溶であるた
め、その塩化物,硫酸塩あるいは酢酸塩を予め抽出液に
加え、その後水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸水
素ナトリウム,炭酸ナトリウムなどのアルカリを加えて,
pH6−11に調整することができる。なお、カルシウム
及びバリウムの場合はアルカリとして炭酸水素ナトリウ
ム,炭酸ナトリウムなどを用いるとそれらの炭酸塩の沈
殿を生じるため使用することができない。また、アルカ
リ金属の水酸化物は固形のままあるいは水に懸濁状態で
加えることができる。
【0029】抽出液にアルカリ金属を加えてpH6−1
1,好ましくはカルシウム、マグネシウム、バリウム、
亜鉛などの場合はpH7.5−10、アルミニウム,鉛な
どの場合はpH6−7に調整し、完全にポリフェノール類
のアルカリ金属塩を沈殿させる。
【0030】抽出液中のポリフェノール金属塩の沈殿は
遠心分離による分別あるいは濾紙,フィルターなどによ
る濾過後、水でよく洗滌し、アスコルビン酸及び過剰の
アルカリを除くことができる。
【0031】本発明の抽出方法により製造されるポリフ
ェノール金属塩の中で、カルシウム塩はポリフェノール
の有する抗酸化,抗菌、消臭などの機能性が期待される
他、カルシウム不足を補うものとして、骨や歯の成育促
進あるいは骨粗鬆症を予防する食品あるいは医薬品とし
て使用することができる。
【0032】本発明で得たポリフェノール金属塩は重量
で1‐100倍量,好ましくは5‐50倍量の弱酸又は
強酸性溶液に溶解させた後、あるいは水に懸濁した状態
で脱金属することができる。弱酸性溶液としては0.5
−5重量%の酢酸が、また、強酸性溶液としては0.5
−3重量%の塩酸あるいは蟻酸が好ましい.脱金属の方
法としてはこれらの溶液を陽イオン交換樹脂(IR-120B,
IR-124,ローム&ハース社製、ダウエックス50W-X8,ダウ
ケミカル社製等)で処理し、金属を吸着させ、非吸着部
から遊離のポリフェノールを得る方法及び溶液を一旦、
非イオン性吸着剤、例えばポリスチレン系樹脂(MCI-ge
l CHP20P,三菱化成(株)社製、XAD-2,XAD-4等、ローム
&ハース社製)、ゲル濾過用充填剤(トヨパールHW-40,
(株)東ソー社製、セファデックスLH-20,ファルマシア
社製)あるいはオクタデシルシラン系樹脂(フジゲルOD
S-G3,富士ゲル販売(株)社製)で処理し、水で樹脂を
洗浄することにより、金属を溶出させ、ついでアルコー
ル、含水アルコールあるいは含水アセトンで樹脂を洗滌
することにより吸着した遊離のポリフェノールを回収す
る方法などが挙げられる。陽イオン交換樹脂及び非イオ
ン性吸着剤への吸着、洗浄あるいは脱着は一つの容器で
行うバッチ方式でも担体を充填したカラム方式でも可能
である。
【0033】溶媒の除去方法は常温加熱濃縮法、減圧濃
縮法、スプレードライ法、凍結乾燥法などを単独あるい
は組み合わせて用いることができる。
【0034】本発明の抽出方法は危険で引火性の強い有
機溶媒、特別の装置及び高価な試薬を必要としない点
で、安全かつ簡便であり、生理活性の高いポリフェノー
ル類を効率良く抽出することができる。また、植物抽出
液中に含まれる他の夾雑物、例えば炭水化物、蛋白質、ア
ミノ酸、ミネラルと、その他、各種の植物に固有の成分
(カフェイン、サポニン、配糖体など)からポリフェノ
ール類のみを選択的に抽出できる方法である。さらに、
この抽出行程で沈殿として得られるポリフェノール金属
塩の中、カルシウム塩は現在、社会的に問題化している
日本人のカルシウム不足を補うものとして食品あるいは
医薬品への応用が可能である。
【0035】以下実施例により、本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明はこれら実施例によりその技術的
範囲が限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
【実施例1】煎茶100gに一旦煮沸し冷却した精製水
1lを加え、80℃で3時間加熱抽出する。冷後、不溶
物を濾過によって除き、860mlの抽出液を得た。こ
の液にアスコルビン酸4gを加え、さらによく撹拌しな
がら水酸化カルシウム4gを少量づつ加えた。この時の
pHは約10であった。生じた黄緑色沈殿を吸引濾過によ
り分取し、水で洗浄後、乾燥を行い、茶ポリフェノール
のカルシウム塩8.5gを得た。本品を3%酢酸水溶液
200mlに溶解し、陽イオン交換樹脂(Dowex 50W-X
8,ダウケミカル社製)を加え、30分間撹拌した。樹脂
を吸引濾過、水洗し、濾液と洗液を合わせ、減圧下溶媒
を留去し、遊離のポリフェノール6.2gを得た。
【0037】
【比較例1】アスコルビン酸を添加しないで、実施例1
と同様な操作を行った。結果は水酸化カルシウムを徐々
に加えることにより、溶液は次第に黒褐色になり、分解
物を含む黒褐色沈殿2gを得た。
【0038】
【実施例2】煎茶100gを実施例1と同様な抽出を行
い、820mlの抽出液を得た。この液にアスコルビン
酸4g、塩化アルミニウム5gを加え、撹拌しつつ炭酸
水素ナトリウムを少量づつ加え、pHを6とした。生じた
黄色ゲル状沈殿を吸引濾過、水洗後、乾燥しポリフェノ
ールのアルミニウム塩8.8gを得た。本品を3%塩酸
150mlに溶解し、ポリスチレン系樹脂(MCI-gel CH
P 20P,三菱化成社製)を充填したカラム(5.0φ×1
8cm)に流し、ポリフェノールを吸着させた。カラム
を精製水200mlで洗浄後、80%エタノール300
mlを流し、溶媒を減圧留去して遊離のポリフェノール
6.4gを得た。
【0039】
【実施例3】新鮮な渋柿未熟果の蔕と種子を取り除いた
果肉250gに水100mlを加え、ジューサーで粉砕
後、不溶部を布漉しする。濾液を一旦沸騰水中に10分
間浸し、酵素を失活させた。この抽出液にアスコルビン
酸8gを加え、撹拌しつつ水酸化カルシウム7gを加え
た。生じた黄褐色沈殿を吸引濾過し、水洗後、乾燥しポ
リフェノールのカルシウム塩18.6gを得た。本品を
5%酢酸水溶液300mlに懸濁し、陽イオン交換樹脂
(Dowex 50-X8,ダウケミカル社製)を加え、1時間撹拌し
た。樹脂を吸引濾過、水洗し、濾液と洗液と合わせ、減
圧下、溶媒を留去して柿ポリフェノール15.3gを得
た。
【0040】
【評価試験1】金属定量試験 実施例1及び比較例1において得た茶ポリフェノールの
カルシウム塩についてカルシウムの定量試験を行った。
すなはち、それぞれのカルシウム塩の約0.1gを正確
に秤量し、1%塩酸50mlに溶解後、原子吸光光度計
(Z8000型、日立社製)で分析を行った。なお、カルシ
ウムの標準溶液は和光純薬製金属標準溶液を使用した。
【0041】実施例1及び比較例1で得た試料のカルシ
ウム含量はそれぞれ14.8%、17.4%であり、こ
のことは茶カテキン1分子当りカルシウム1〜2個が結合
していることを示している。
【0042】
【評価試験2】ポリフェノール類の高速液体クロマトグ
ラフィーによる分析 実施例1で得た茶ポリフェノールのカルシウム塩につい
て下記の方法でポリフェノール組成の分析を行った。結
果は図1に示す。
【0043】カルシウム塩10mgを2%酢酸2mlに
て室温下30分抽出し、ミリポアフィルターで濾過、高速
液体クロマトグラフ(HPLC)分析に付した。HPLCの条件は
以下の通りである。カラム:TSK-gel ODS-80TS(4.6×25
0mm)、カラム温度:40℃、移動相:A;1mMテトラブチ
ルアンモニウムクロライド(pH2.9,酢酸)、B;アセトニ
トリル、A:B=9:1⇒1:4(30分間)、流速:0.75
ml/min、検出:280nm.
【0044】本発明品である実施例1で得た茶ポリフェ
ノールのカルシウム塩は茶葉を水抽出して得たポリフェ
ノール類と同様の組成を示した。従って、本発明の方法
により製造される金属塩はアルカリ条件下での沈殿形成
であるにもかかわらず、酸化あるいはエステル基の加水
分解が生じていないことを示す。
【0045】
【発明の効果】植物抽出液からポリフェノール類を金属
塩として沈殿させる本発明は危険な有機溶媒並びに高価
なクロマト担体を必要としない点で、従来の方法と異な
り、安全且つ効率的な極めて実用性の高いポリフェノー
ルの大量抽出法である。
【0046】本発明で得られるポリフェノールの金属塩
のなかで、特にカルシウム塩は生体にも安全であり、体
内で容易にポリフェノールとカルシウムとに解離するこ
とから、両者の種々の機能性が期待される。従って、本
発明は人の健康増進に貢献するところ大である。
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における茶ポリフェノールの高速液体
クロマトグラムを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B018 LE03 MD25 MD48 MD52 MD53 MD59 MD61 MD66 ME14 MF01 MF11 4C057 BB03 DD01 KK09 4C062 FF56

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物抽出液中のポリフェノール類を分離
    する方法であって、植物抽出液中にアスコルビン酸を添
    加し、アルカリ金属あるいはアルカリ金属塩を加え、pH
    6−11とし、ポリフェノールの金属塩を沈殿させ、さ
    らに、本金属塩を弱酸性溶液に溶解後、イオン交換樹脂
    あるいは非イオン性吸着剤にて脱塩し、遊離ポリフェノ
    ール類を回収することを特徴とする抽出方法。
  2. 【請求項2】 植物が茶、果物、野菜、ハーブ、スパイ
    ス、木材であることを特徴とする請求項1記載のポリフ
    ェノール類の抽出方法。
  3. 【請求項3】 ポリフェノール類がカテキン,エピカテ
    キン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピ
    ガロカテキンガレート及びこれらを構成ユニットとする
    プロアントシアニジン類あるいはケルセチン、ミリセチ
    ンなどのフラボノイド配糖体である請求項1又は2記載
    のポリフェノールの抽出方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ金属が水酸化カルシウム、塩化
    アルミニウム、塩化マグネシウム、酢酸鉛、塩化バリウ
    ムであるであることを特徴とする請求項1又は2記載の
    ポリフェノールの抽出法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法により製造される
    ポリフェノールの金属塩。
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