JP4977024B2 - プロアントシアニジン含有物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、生理活性が高いOPCを多く含むプロアントシアニジン含有物を、効率よく製造する方法に関する。
プロアントシアニジンは、各種植物中に存在する縮合または重合(以下、縮重合という)したタンニンであり、フラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオールを構成単位として縮重合した化合物群である。これらは、酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジンなどのアントシアニジン類を生成することから、その名称が与えられている。
プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジンは、具体的には、ブドウの種、松の樹皮、ピーナッツの皮、イチョウ葉、ニセアカシアの果実、コケモモの果実などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも、プロアントシアニジンが含まれることが知られている。プロアントシアニジンは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
近年、これらのプロアントシアニジンの中でも、重合度が低いプロアントシアニジン、特に重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)が、優れた生理活性を有することが報告されている。この重合度が2〜4の縮重合体は、一般的に、オリゴメリック・プロアントシアニジン(oligomeric proanthocyanidin:OPC)と呼ばれる。
このようなプロアントシアニジンは、一般的には、植物体から抽出することによって得られる。抽出溶媒としては、一般に、水;メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチルなどの有機溶媒;またはこれらの混合物が用いられる(特開平11−80148号公報)。しかし、単に溶媒による抽出のみでは、プロアントシアニジンの回収量は低く、純度も低い。したがって、健康食品、化粧品および医薬品原料として使用するためには、純度を上げるために、さらなる濃縮、精製などの工程が必要であり、コストおよび時間がかかる。
プロアントシアニジンを含むポリフェノール類を回収する方法としては、以下の方法が提案されている。例えば、特開平5−279264号公報および特開平6−56689号公報には、ポリフェノール類をキチンに吸着させ、ポリフェノール類が吸着したキチンをポリフェノール製品として利用することが記載されている。特開2002−97187号公報には、植物抽出液にアスコルビン酸およびアルカリ金属またはその塩を添加して、pHを6〜11としてポリフェノール類の金属塩を沈殿させ、この沈殿物をイオン交換樹脂などで脱塩することによって遊離ポリフェノールを回収する方法が記載されている。
しかし、上記の方法で回収されるプロアントシアニジンは、重合度が高いものがほとんどであり、優れた効果を有する2〜4量体のOPCの含有量は極めて低い。
植物体からOPCを抽出する方法および/またはOPCを合成する方法としては、特開平4−190774号公報、特開平10−218769号公報、特開2001−131027号公報、およびEberhard Scholzら,Proanthocyanidins from Krameria triandra Root,Planta Medica,55(1989),379−384頁に開示されている。しかし、上記抽出方法においては、植物体の抽出液を吸着体に接触させて、吸着した成分を溶出させ、得られた画分を回収した後、この画分を用いてさらに同じ工程を繰り返さなければ、OPC含有量を高めることができず、効率的ではない。合成方法についても、工程数が多く、コストおよび時間がかかる問題、廃液処理の問題などがある。
さらに、本出願人は、植物体の抽出物または搾汁を、キチン、キトサン、またはその誘導体と接触させ、非吸着物を回収し、この非吸着物を合成樹脂系吸着剤で処理することによってプロアントシアニジン含有物が得られること(国際公開第03/090770号公報)、および松樹皮抽出物を吸着性の樹脂(ダイアイオンHP−20など)で処理することによってプロアントシアニジン含有量が高められた松樹皮抽出物が得られること(特開2005−47818号公報)を開示している。
しかし、これら以外にも、簡便で、OPCを多く含有するプロアントシアニジンの精製方法が求められている。
本発明者らは、優れた生理活性を有するOPCを高い割合で含有するプロアントシアニジン含有物を効率よく得る方法について鋭意検討した。その結果、松樹皮1質量部に対して、50〜80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上の固形物が得られる松樹皮を出発原料として用い、この松樹皮を水および有機溶媒のうちの少なくとも1種で抽出し、そして得られる抽出物を合成樹脂系吸着剤で処理することによって、OPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物が簡便でかつ効率良く得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明は、松樹皮1質量部に対して、50〜80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上の固形物が得られる松樹皮を出発原料とし、該松樹皮を水および有機溶媒のうちの少なくとも1種で抽出する工程、および該抽出物を合成樹脂系吸着剤で処理する工程を包含する、OPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物の製造方法を提供する。
ある実施態様においては、上記合成樹脂系吸着剤は、芳香族系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、および(メタ)アクリレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である。
ある実施態様においては、上記抽出物を合成樹脂系吸着剤で処理する工程において、該抽出物と該合成樹脂系吸着剤とを接触させた後に、アルコールを10〜30容量%含有する水溶液で溶出させ、溶出液を回収する。
本発明のプロアントシアニジン含有物の製造方法は、松樹皮1質量部に対して、50〜80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上の固形物が得られる松樹皮を出発原料とし、該松樹皮を水および有機溶媒のうちの少なくとも1種で抽出する工程(以下、抽出工程という)、および該抽出物を合成樹脂系吸着剤で処理する工程(以下、合成樹脂系吸着剤処理工程という)を包含する。本明細書においては、まず、本発明に用いる松樹皮を説明した後、抽出工程および合成樹脂系吸着剤処理工程を説明する。そして得られるプロアントシアニジン含有物について説明する。
(本発明に用いる松樹皮)
本発明に用いる松樹皮は、松樹皮1質量部に対して、50〜80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上、好ましくは13質量%以上、より好ましくは13質量%〜30質量%の固形物(以下、含水エタノール可溶成分という)が得られる。含水エタノール可溶成分を7質量%以上含有する松樹皮を用いることによって、1回のカラム法でOPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物を効率的に得ることが可能となる。エタノール含量が50〜80容量%の範囲を外れる水溶液を用いる場合、可溶成分が7質量%以上であってもOPCを10質量%以上含有する所望のプロアントシアニジン含有物は得られない。本発明においては、上記の抽出条件を用いて、松樹皮を予め選別することによって、OPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物を簡便に得ることができる点を特徴の一つとする。
上記松樹皮中の含水エタノール可溶成分の含有量は、例えば、以下のようにして測定することができる。まず、乾燥質量100gの松樹皮を、例えば、カッター、スライサー、ミルなど、あるいはミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどの破砕機を用いて粉末化し、この粉末100gに、50〜80容量%の含水エタノール1Lを加えて、80〜85℃にて1時間加熱還流抽出する。抽出後、遠心分離、ろ過などの分離操作を行い、不溶成分を除去して、抽出液を得る。抽出残渣に対して、さらに上記抽出操作および分離操作を1回以上繰り返す再抽出工程を行うことが、松樹皮中の含水エタノール可溶成分を正確に測定する観点から好ましい。得られた抽出液を凍結乾燥又は減圧濃縮乾固して、乾燥物とし、乾燥物の質量を測定する。そして、抽出前の松樹皮の乾燥質量に対する上記乾燥物の質量の割合を算出して、含水エタノール可溶成分の含有量が求められる。
(抽出工程)
本発明の方法は、まず、上記含水エタノール可溶成分を7質量%以上含有する松樹皮を水および有機溶媒のうちの少なくとも1種で抽出して松樹皮抽出物を得る。
上記抽出は、必要に応じて所定温度で保持することによって行われる。抽出効率の点から、松樹皮の体積当たりの表面積を大きくすることが好ましく、特に破砕物が好適に用いられる。松樹皮の破砕処理は、特に制限されず、例えば、上述の松樹皮中の含水エタノール可溶成分の含有量を測定する際に採用した破砕機を用いることができる。破砕効率を上げるために、松樹皮に、水、あるいはエタノール、メタノール、酢酸エチルなどの有機溶媒を加えて破砕してもよい。破砕物の大きさは、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.1〜5mmの細片である。
抽出においては、上述のように、水および有機溶媒のうちの少なくとも1種、すなわち水、有機溶媒、または水と有機溶媒との混合溶媒(以下、これらをまとめて抽出溶媒という)が用いられる。抽出効率を高める点から、抽出温度は高い方が好ましい。例えば、水を用いる場合、50〜120℃、好ましくは70〜100℃で熱水抽出することが好ましい。松樹皮に熱水を加えてもよく、松樹皮に水を加えた後、加熱してもよい。抽出時間は、抽出温度により適宜決定され得る。一般的には10分〜24時間である。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、メチルエチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。製造時の廃液処理の観点、あるいは後述する合成樹脂系吸着剤による処理を行う観点からは、水、エタノール、または水とエタノールとの混合溶媒(含水エタノール)が好適に用いられる。水よりも沸点の低いエタノールなどの有機溶媒、あるいはこれらの有機溶媒と水との混合溶媒は、得られる松樹皮抽出物をさらに濃縮する際に濃縮を比較的低温かつ短時間で行うことができる。
最終的に得られるプロアントシアニジン含有物を食品、医薬品などとして用いる場合の安全性を考慮すると、水、エタノールまたは含水エタノールが特に好適である。
抽出溶媒の量は、目的とするプロアントシアニジン濃度および抽出効率を考慮して設定し得る。例えば、水、エタノール、または含水エタノールを抽出溶媒として使用する場合、松樹皮の乾燥質量1質量部に対して、抽出溶媒が好ましくは3〜100質量部、より好ましくは10〜50質量部、あるいは好ましくは3〜100容量部、より好ましくは10〜100容量部となるように設定される。なお、水および/または有機溶媒を添加して破砕した場合は、破砕に使用した溶媒量を考慮し、添加する抽出溶媒の量を調整すればよい。
有機溶媒を用いる抽出方法としては、加温抽出法あるいは超臨界流体抽出法が好適である。
加温抽出法としては、松樹皮に加温した溶媒を加える方法、または松樹皮に溶媒を添加して加温する方法が用いられる。例えば、松樹皮の破砕物に対して、抽出溶媒として、水とエタノールとの比が、質量比で1:1〜1:9である水−エタノール混合溶媒(含水エタノール)を、松樹皮の1倍〜20倍量使用して、70〜85℃で還流させながら、0.5時間〜6時間攪拌する方法が挙げられる。還流しない場合は、例えば、一度上記混合溶媒を用いて、加温抽出し、濾過などにより上清を回収し、残渣について、再度上記混合溶媒を加えて加温することによっても、抽出効率を上げることが可能である。
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて目的成分を抽出する方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、二酸化炭素が好ましく用いられる。
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはケトン類を2〜20W/V%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類(後述)などの目的とする被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、プロアントシアニジンを効率的に抽出する方法である。
抽出には、例えば、回分式、半連続式、または連続式などのいずれの抽出装置を用いてもよい。
上記抽出処理によって得られた抽出物は、必要に応じて、遠心分離や濾過などを行い、固形分あるいは抽出溶媒に不要な成分を除去しておいてもよい。濾過については、濾過の処理を短時間で行うために、ろ過助剤、例えば珪藻土を抽出物に添加してから濾過することが好ましく、この場合、添加するろ過助剤の量は、特に制限はなく、例えば、抽出物中の珪藻土の量として、0.001g/mL〜0.1g/mL程度となるようにして添加される。
このように前処理することによって得られる松樹皮抽出物は、次いで、合成樹脂系吸着剤処理に供される。本発明においては、合成樹脂系吸着剤で処理する工程の前に、松樹皮抽出物を予め濃縮処理しておいても良い。濃縮処理は、松樹皮抽出物に含有される有機溶媒を除去することができるため、有機溶媒によって、合成樹脂系吸着剤処理が阻害される可能性がある場合には、特に好適に用いられる。濃縮処理する場合、予め松樹皮抽出物中の不溶物を濾過などにより除去することが好ましい。これにより、濃縮を均一に行うことができ、濃縮物の濃縮率の調整が容易になる。
濃縮方法としては、加熱濃縮、減圧濃縮、凍結乾燥、限外濾過膜による濃縮、透析膜による濃縮などの当業者が通常用いる方法が挙げられる。プロアントシアニジンおよびOPCの熱変性が少ない点から、好ましくは減圧濃縮、凍結乾燥、および限外濾過膜による濃縮であり、より好ましくは、減圧濃縮である。これらの濃縮方法は、単独で行ってもよいし、複数を組み合わせて行ってもよい。
加熱濃縮を行う場合は、加熱によるプロアントシアニジンおよびOPCの熱変性を防ぐために、通常、40℃〜100℃の温度で行われる。また、減圧濃縮においても、より短時間に濃縮を行うために、上記温度範囲において、加熱しながら減圧濃縮を行っても良い。
得られた濃縮物の濃縮率に特に制限はない。濃縮物の体積が、濃縮前の抽出物等の体積に比べて、好ましくは1/2〜1/100容量、より好ましくは1/5〜1/70容量、さらに好ましくは1/10〜1/50容量となるように濃縮が行われる。特に、松樹皮抽出物中の有機溶媒(例えばエタノール)濃度を10容量%未満となるまで濃縮することが、プロアントシアニジンが高い収量で得られる点で好ましい。
(合成樹脂系吸着剤処理工程)
上記前処理工程で得られた松樹皮抽出物は、さらに合成樹脂系吸着剤で処理することにより、糖類、有機酸などの夾雑物が除去される。具体的には、松樹皮抽出物と合成樹脂系吸着剤とを接触させて、プロアントシアニジンを合成樹脂系吸着剤に吸着させた後、必要に応じて水で洗浄し、そして所定の溶媒で溶出させ、溶出液を回収することにより行われる。なお、松樹皮抽出物中の不溶物を予め除去することが、効率的な合成樹脂系吸着剤処理を行う点から好ましい。
上記処理に用いられる合成樹脂系吸着剤としては、有機系樹脂、イオン交換樹脂、シリカゲル、逆相シリカゲルなどが挙げられる。合成樹脂系吸着剤は、単独で用いてもよいし、処理方法に応じて2以上の吸着剤を組み合わせて用いてもよい。
有機系樹脂としては、例えば、芳香族系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂などが挙げられる。好ましくは、芳香族系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、および(メタ)アクリレート系樹脂である。
芳香族系樹脂としては、例えば、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体からなる樹脂が挙げられる。具体的には、このようなスチレンとジビニルベンゼンとの共重合体からなる樹脂としては、ダイアイオン(登録商標)HP20、HP21、HP30、HP40、HP50、セパビーズ(登録商標)SP800、SP825、SP850、SP875、SP70、SP700(以上、三菱化学株式会社製)、アンバーライト(登録商標)XAD−4、XAD−16HP、XAD−1180、XAD−2000(以上、株式会社オルガノ製)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸の重合体からなる樹脂、メタクリル酸の重合体からなる樹脂などが挙げられる。
(メタ)アクリレート系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステルの重合体からなる樹脂、メタクリル酸エステルの重合体からなる樹脂などが挙げられる。アクリル酸エステルの重合体からなる樹脂としては、具体的には、アンバーライト(登録商標)XAD−7HP等が挙げられる。メタクリル酸エステルの重合体からなる樹脂としては、具体的には、ダイアイオン(登録商標)HP−2MG(三菱化学株式会社製)などが挙げられる。
これらの吸着剤の中でも、特にスチレンとジビニルベンゼンとの共重合体からなる樹脂が好ましく、ダイアイオン(登録商標)HP20、XAD−1180、XAD−2000がさらに好ましい。スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体からなる樹脂で処理する場合、予め松樹皮抽出物中の有機溶媒の濃度が10質量%未満となるように濃縮しておくことが好ましい。このような濃縮物を上記共重合体で処理することによって、プロアントシアニジンが高い収率で得られる。
合成樹脂系吸着剤の量は、溶媒の種類、合成樹脂系吸着剤の種類等によって適宜設定すればよい。例えば、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して、0.01〜50倍質量、好ましくは0.1〜20倍質量の合成樹脂系吸着剤を使用することが好ましい。合成樹脂系吸着剤の量が、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して0.01倍質量より少ないと、プロアントシアニジンの回収率が下がる場合があり、好ましくない。
合成樹脂系吸着剤の中でも、プロアントシアニジンの吸着効率が高い合成樹脂系吸着剤、例えば、ダイアイオン(登録商標)、アンバーライト(登録商標)などを用いる場合は、吸着効率がよい点から、上記の松樹皮抽出物の乾燥質量を基準とすることなく、原料の松樹皮の乾燥質量を基準に簡便に量を設定することができる。具体的には、松樹皮の乾燥質量1gあたりの合成樹脂系吸着剤が、水などの溶媒に膨潤させた場合の見かけの膨潤体積量で0.1mL〜5mL、好ましくは0.5〜3mLとなるように設定する。この場合においても、松樹皮抽出物と合成樹脂系吸着剤との接触は十分であり、効率的な吸着が可能である。
松樹皮抽出物と合成樹脂系吸着剤との接触は、いかなる方法で行ってもよい。例えば、簡易な方法としては、合成樹脂系吸着剤をカラムに充填し、松樹皮抽出物を通過させるカラム法、合成樹脂系吸着剤を松樹皮抽出物に加え、一定時間後、合成樹脂系吸着剤を除去するバッチ法などが挙げられる。
カラム法を用いて処理するには、例えば、まず、合成樹脂系吸着剤をカラムに充填し、そのカラムに松樹皮抽出物を通液する。次いで合成樹脂系吸着剤の体積に対して、必要に応じて、0.5〜10倍の体積の水を通液させる。これにより、不純物である糖類および有機酸が除去される。その後、溶媒によりプロアントシアニジンを溶出して、合成樹脂系吸着剤より溶出した液を回収することでOPCをより多く含むプロアントシアニジン含有物を得ることができる。
溶出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。安全性の面から好ましくは水とアルコール(メタノール、エタノールなど)との混合溶媒、より好ましくは水とエタノールとの混合溶媒が用いられる。
上記溶出溶媒として、水とアルコールとの混合溶媒を用いる場合、水とエタノールとの混合比は、用いる合成樹脂系吸着剤に応じて適宜設定され得る。例えば、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体を合成樹脂系吸着剤として用いる場合、好ましくは5〜30容量%、より好ましくは10〜30容量%、さらに好ましくは15〜30容量%、最も好ましくは20〜30容量%のアルコール(特にエタノール)を含有する水溶液が用いられる。このように設定することによって、好ましくは、松樹皮の乾燥質量の0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上の収率でプロアントシアニジン含有物を得ることが可能となる。なお、アルコール濃度が低い場合、例えば、5質量%未満の場合、得られるプロアントシアニジン含有物中のOPCの含有量は高くなるが、カラムから吸着物を十分回収できなくなるため、プロアントシアニジン含有物の収率が低くなる場合がある。アルコール濃度が高い場合、例えば、30容量%を超える場合、プロアントシアニジン含有物の収率は高くなるが、該含有物中のOPC含有量は低くなる場合がある。
バッチ法を用いて処理するには、上記カラム法と同様の質量比の合成樹脂系吸着剤を松樹皮抽出物に加え、攪拌しながら1〜3時間接触させた後に、濾過または遠心分離により吸着剤を回収する。プロアントシアニジンが吸着された合成樹脂系吸着剤を、さらに上記カラム法の場合と同様な組成の溶媒に加えて1時間〜3時間攪拌し、プロアントシアニジンを溶出させ、次いで濾過または遠心分離して上清を回収することにより、OPCをより多く含むプロアントシアニジン含有物を得ることができる。
このように、出発原料を特定し、抽出後、合成樹脂系吸着剤で処理することのみでOPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物が得られる。
(プロアントシアニジン含有物)
このようにして得られたプロアントシアニジン含有物は、プロアントシアニジンを高い割合で含有し、特にOPCを10質量%以上含有する。ここで、プロアントシアニジン含有物には、その後、当業者が通常用いる方法によって得られる濃縮物、希釈物、粉末なども含まれる。
プロアントシアニジンは、生理活性の点から重合度が低いプロアントシアニジンが好ましく、重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。本発明の製造方法によって得られるプロアントシアニジン含有物は、特にこの2〜4量体(オリゴメリック・プロアントシアニジン;OPC)を乾燥質量換算で10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、最も好ましくは40質量%以上含有する。
本発明で得られるプロアントシアニジン含有物は、さらに、乾燥質量換算でカテキン類を好ましくは1〜15質量%含有し得る。
カテキン類は、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートなどが挙げられる。
本発明のプロアントシアニジン含有物は、さらに濃縮して種々の用途に利用することもできる。濃縮には、膜濃縮、加熱濃縮、真空(減圧)濃縮、凍結濃縮などの種々の方法が用いられる。
さらに必要に応じて、これらのプロアントシアニジン含有物を殺菌処理して保存する。殺菌は、高圧殺菌、加熱殺菌、濾過殺菌、マイクロウェーブ殺菌などの当業者が通常用いる方法により行われる。
また、これらのプロアントシアニジン含有物は、殺菌後、さらに濃縮、乾燥、および粉末化してもよい。乾燥は、当業者が通常用いる方法によって行われる。中でも、凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、ドラム式乾燥、棚式乾燥、およびマイクロウェーブによる乾燥が好ましく用いられる。
得られたプロアントシアニジン含有物は、例えば、ドリンク剤およびゲル化した飲食物などとして利用できる。さらに、プロアントシアニジン含有物は、そのまま飲食に供するだけでなく、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、香料、食品添加物、調味料などと混合し、用途に応じて、顆粒、錠剤などの形態に成形することもできる。例えば、ローヤルゼリー、ビタミン類、プロテイン、カルシウム、キトサン、レシチン、カフェインなどと混合し、さらに糖液および調味料により味が整えられる。さらにこれらは、ハードカプセルおよびソフトカプセルなどのカプセル剤、丸剤、またはティーバッグ状などにされる。これらは、これらの形状または好みに応じて、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでもよい。またティーバッグ状などの場合、成分を浸出させてから飲んでもよい。
上述のように、本発明により得られたプロアントシアニジン含有物は、食品、化粧品、および医薬品の原料として広く使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、この実施例は本発明を制限するものではない。実施例に示す単位(V/V)は(容量/容量)を、(W/W)は(質量/質量)を、(W/V)は(質量/容量)を示す。
(参考例:松樹皮の準備)
6種類の松樹皮を用意し、これらを各々松樹皮A、松樹皮B、松樹皮C、松樹皮D、松樹皮E、および松樹皮Fとした。まず、2kgの乾燥した松樹皮Aをミルで1〜5mmの大きさに粉砕して粉砕物とし、この粉砕物から10gを分取してサンプルとした。このサンプルに、100mLの80容量(V/V)%のエタノールを含有する水溶液を加えて、80℃にて1時間還流抽出を行った。次いで、濾過し、濾液1を回収した。濾過残渣については、さらに上記と同様にエタノール水溶液を用いて抽出および濾過を行って濾液を得る操作を2回繰り返した(それぞれ濾液2および3という)。得られた濾液1〜3を合わせて抽出液とし、減圧濃縮乾固して乾燥物を得た(以下、含水エタノール可溶成分という)。この乾燥物の質量を測定したところ、1.32gであった。したがって、この松樹皮Aには、含水エタノール可溶成分が13.2質量%含まれることがわかった。
松樹皮Bおよび松樹皮Cについても上記と同様の操作を行い、サンプル10gから得られる含水エタノール(80容量(V/V)%)可溶成分の質量を測定したところ、松樹皮Bについては0.71g、松樹皮Cについては0.53gであった。したがって、松樹皮Bには含水エタノール可溶成分が7.1質量%含まれ、松樹皮Cには含水エタノール可溶成分が5.3質量%含まれることがわかった。
松樹皮Dについては、サンプル10gから得られる含水エタノール(40容量(V/V)%)可溶成分の質量を上記と同様の操作により測定した。その結果、0.70gであった。なお、松樹皮Dの含水エタノール(80容量(V/V)%)可溶成分の質量は0.66gであった。
松樹皮Eついては、サンプル10gから得られる含水エタノール(30容量(V/V)%)可溶成分の質量を上記と同様の操作により測定した。その結果、0.35gであった。なお、松樹皮Eの含水エタノール(80容量(V/V)%)可溶成分の質量は0.47gであった。
松樹皮Fついては、サンプル10gから得られるエタノール(100容量(V/V)%)可溶成分の質量を上記と同様の操作により測定した。その結果、0.72gであった。なお、松樹皮Fの含水エタノール(80容量(V/V)%)可溶成分の質量は0.67gであった。
[実施例1]
上記の松樹皮Aを用いて、以下のようにしてプロアントシアニジン含有物を得た。
1.抽出工程
まず、松樹皮A100gに、水0.5Lを加えて、95℃以上にて1時間還流抽出を行った。次いで、濾過して0.5Lの濾液を回収し(濾液1とする)、さらに、濾過後の不溶物に対して、上記と同様に、水0.5Lを加えて還流抽出を行い、濾過して0.5Lの濾液を得た(濾液2とする)。濾液1と濾液2とを合わせて、1Lの松樹皮抽出液を得た。
2.合成樹脂系吸着剤処理工程
次いで、水で膨潤させたスチレン−ジビニルベンゼンの共重合体からなる樹脂(ダイアイオン(登録商標)HP−20:三菱化学株式会社製)を膨潤体積量で0.5Lとなるように充填したカラムを準備し、このカラムに、上記の抽出液を通液し、抽出液中のプロアントシアニジンをカラムに吸着させた。このカラムを2Lの精製水で洗浄して、カラムに残存する糖類、有機酸などを除去した。次いで、5%(V/V)のエタノールを含有する水溶液1Lを用いて、カラムからプロアントシアニジンを溶出し、1Lのプロアントシアニジン含有液Aを得た。この含有液Aを凍結乾燥して乾燥質量を測定したところ、11mgであった。
3.含有液中の成分の測定
まず、上記項目1の前処理工程および項目2の合成樹脂系吸着剤処理工程を10回繰り返して含有液Aの乾燥粉末約120mgを得た。得られた乾燥粉末100mgを2mLのエタノールに溶解し、試料とした。
次いで、この試料を、セファデックスLH−20(アマシャムバイオテック株式会社製)を用いて、以下のようにして、OPC画分と、5量体以上のプロアントシアニジン画分と、カテキン類画分と、カテキン類以外の成分の画分とに分画して各成分の含有量を測定した。
まず、水で膨潤させたセファデックスLH−20(アマシャムバイオテック株式会社製)25mLを15mm×300mmのカラムに充填し、50mLのエタノールで洗浄した。このカラムに試料を通液して吸着させた後、100〜80%(V/V)エタノール−水混合溶媒でグラジエント溶出し、10mLずつ分取した。分取すると同時に、2〜4量体のOPCの標品(2量体:プロアントシアニジンB−2(Rf値:0.6)、3量体:プロアントシアニジンC−1(Rf値:0.4)、および4量体:シンナムタンニンA(Rf値:0.2))を指標として、各画分中のOPCの有無をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)により以下の条件で検出した。
TLC:シリカゲルプレート(Merck & CO.,Inc.製)
展開溶媒:ベンゼン/蟻酸エチル/蟻酸(2/7/1)
検出試薬:硫酸およびアニスアルデヒド硫酸
サンプル量:各10μL
TLCによりOPCが含まれることを確認した溶出画分を合わせて、OPC画分を得た。
次いで、OPCが検出されなくなった時点で、300mLの50%(V/V)水−アセトン混合溶媒を通液し、カラムに吸着した残りの吸着物を溶出させた。
回収した吸着物を含む画分について、カテキン(Rf値:0.8)を指標として、TLCを行い、カテキン類を含む画分と5量体以上のプロアントシアニジン画分とに分離した。TLCの展開条件および検出方法は上記と同様に行った。
カテキン類を含む画分については、さらに、以下のようにしてカテキン類とカテキン類以外の成分とに分離した。まず、カテキン類を含む画分を凍結乾燥し、粉末を得た。この粉末を3mLの水に溶解させ、この溶液を水で膨潤させた20mLのMCIゲル(三菱化学株式会社製)を15×300mmのカラムに充填したカラムに通液して吸着させた。このカラムを水で洗浄した後、10〜100%(V/V)エタノール−水混合溶媒でグラジエント溶出し、7mLずつ分取した。溶出終了後、カテキンを指標として、各画分中のカテキン類をTLCにより検出し、カテキン類画分とカテキン類以外の成分の画分とに分離した。
上記のようにして得たOPC画分、5量体以上のプロアントシアニジン画分、カテキン類画分、およびカテキン類以外の成分の画分をそれぞれ凍結乾燥により粉末化し、乾燥質量を測定した。なお、OPC画分、5量体以上のプロアントシアニジン画分、カテキン類画分、カテキン類以外の成分の画分、およびその他の成分の画分の総和は、プロアントシアニジン含有液Aの乾燥粉末100mgに対して99mg以上であり、ほぼ全量回収されていた。表1に、松樹皮A100gから得られるプロアントシアニジン含有液Aの乾燥質量(固形物質量)、そしてプロアントシアニジン含有液Aの乾燥粉末中に含まれるOPCの含有量、5量体以上のプロアントシアニジンの含有量、全プロアントシアニジン(OPCおよび5量体以上のプロアントシアニジンの合計)の含有量、およびカテキン類の含有量、ならびに全プロアントシアニジン中のOPCの割合を示す。
[実施例2]
合成樹脂系吸着剤処理工程において、5%(V/V)のエタノールを含有する水溶液の代わりに、10%(V/V)のエタノールを含有する水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、プロアントシアニジン含有液Bを得た。この含有液Bの乾燥質量は55mgであった。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
[実施例3]
合成樹脂系吸着剤処理工程において、5%(V/V)のエタノールを含有する水溶液の代わりに、20%(V/V)のエタノールを含有する水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、プロアントシアニジン含有液Cを得た。この含有液Cの乾燥質量は131mgであった。実施例1と同様に、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
[実施例4]
合成樹脂系吸着剤処理工程において、5%(V/V)のエタノールを含有する水溶液の代わりに、30%(V/V)のエタノールを含有する水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、プロアントシアニジン含有液Dを得た。この含有液Dの乾燥質量は295mgであった。実施例1と同様に、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
[実施例5]
松樹皮Aの代わりに、松樹皮B(含水エタノール(80容量(V/V)%)可溶成分7.1質量%含有)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、プロアントシアニジン含有液Eを得た。この含有液Eの乾燥質量は82mgであった。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
(比較例1)
松樹皮Aの代わりに、松樹皮C(含水エタノール(80容量(V/V)%)可溶成分5.3質量%含有)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、プロアントシアニジン含有液Fを得た。この含有液Fの乾燥質量は64mgであった。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
(比較例2)
松樹皮Aの代わりに、松樹皮D(含水エタノール(40容量(V/V)%)可溶成分7.0質量%含有)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、プロアントシアニジン含有液Gを得た。この含有液Gの乾燥質量は53mgであった。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
(比較例3)
松樹皮Aの代わりに、松樹皮E(含水エタノール(30容量(V/V)%)可溶成分3.5質量%含有)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、プロアントシアニジン含有液Hを得た。この含有液Hの乾燥質量は45mgであった。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
(比較例4)
松樹皮Aの代わりに、松樹皮F(エタノール(100容量(V/V)%)可溶成分7.2質量%含有)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、プロアントシアニジン含有液1を得た。この含有液1の乾燥質量は50mgであった。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、各成分の含有量を測定した。結果を表1に併せて示す。
(比較例5)
実施例1と同様にして、松樹皮抽出液を得(これをプロアントシアニジン含有液Jとする)、この松樹皮抽出液中に含まれる各成分の量を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に併せて示す。
Figure 0004977024
表1の結果からわかるように、実施例1〜5の松樹皮Aおよび松樹皮Bを熱水抽出処理および合成樹脂系吸着剤処理して得られたプロアントシアニジン含有液A〜Eは、OPCを10質量%以上含有することがわかる。これらのことは、松樹皮1質量部に対して、50〜80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上の固形物が得られる松樹皮を出発原料として用い、さらに抽出処理および合成樹脂系吸着剤処理を行うことによって、OPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物が簡便に得られることを示す。
なお、実施例1〜4から、合成樹脂系吸着剤で処理する工程において、溶出溶媒のエタノール濃度が低くなるほど、OPCの含有量が増加し、収率が低くなる傾向にあることがわかる。逆に、エタノール濃度が高くなると松樹皮から得られる収量が増加する傾向にあることもわかる。
他方、比較例1〜4の松樹皮C〜Fを用いて得られたプロアントシアニジン含有液F〜Iまたは比較例5の松樹皮Aを抽出処理のみ行って得られたプロアントシアニジン含有液Jは、OPC含有量が10質量%未満であった。特に松樹皮Dおよび松樹皮Fについては、OPCを抽出することが可能な溶媒である40容量%エタノール水溶液または100容量%エタノールを用いた場合の可溶成分が7質量%以上であるにもかかわらず、OPC含量が10質量%以上のプロアントシアニジン含有物は得られなかった。
[実施例6]
参考例の松樹皮A100gに1Lの精製水を加え、破砕し、100℃で10分間加熱した。次いで、直ちに濾過し、濾過後の不溶物を精製水200mLで洗浄し、濾液と洗浄液とを合わせて1.2Lの抽出液を得た。
次いで、25℃まで放冷し、100gのダイアイオン(登録商標)HP−20を加え、3時間攪拌した後に濾過し、プロアントシアニジンが吸着した固形分を回収した。この固形分を400mLの精製水で洗浄し、200mLの20%(V/V)エタノール水溶液を加え、1時間攪拌した後に濾過し、濾液を回収して、プロアントシアニジン含有液Kを得た。このプロアントシアニジン含有液Kを減圧濃縮乾固して、0.13gの乾燥粉末を得た。この含有液Hの乾燥粉末100mgを用いて、上記実施例1と同様にしてOPCおよびカテキン類の含有量を測定したところ、乾燥質量換算でOPCが41.1質量%およびカテキン類が10.1質量%であった。
[実施例7]
実施例1の合成樹脂系吸着剤(ダイアイオン(登録商標)HP−20)の代わりに、アンバーライト(登録商標)XAD1180を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、プロアントシアニジン含有液Lを得た。このプロアントシアニジン含有液Lを減圧濃縮乾固して、0.07gの乾燥粉末を得た。実施例1と同様に、100mgの乾燥粉末を確保した後、OPCおよびカテキン類の含有量を測定したところ、乾燥質量換算でOPCが38.2質量%およびカテキン類が9.2質量%であった。
[実施例8]
実施例1の合成樹脂系吸着剤(ダイアイオン(登録商標)HP−20)の代わりに、アンバーライト(登録商標)XAD2000を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、プロアントシアニジン含有液Mを得た。このプロアントシアニジン含有液Mを減圧濃縮乾固して、0.13gの乾燥粉末を得た。この含有液Jの乾燥粉末100mgを用いて、上記実施例1と同様にしてOPCおよびカテキン類の含有量を測定したところ、乾燥質量換算でOPCが40.2質量%およびカテキン類が10.2質量%含有であった。
本発明の方法によれば、松樹皮1質量部に対して、50〜80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上の固形物が得られる松樹皮を出発原料とし、さらに該松樹皮を水および有機溶媒のうちの少なくとも1種で抽出し、該抽出物を合成樹脂系吸着剤で処理することによって、OPCを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物を簡便かつ効率良く得ることができる。この方法は、コストおよび環境保全の面から特に有用である。得られたOPC含量が10質量%以上のプロアントシアニジン含有物中には、カテキン類も含有し得る。これらのプロアントシアニジン含有物は、食品、化粧品、医薬品の製造原料として非常に有用である。

Claims (3)

  1. 松樹皮1質量部に対して、80容量%のエタノール水溶液10容量部を加えて80〜85℃にて1時間抽出したときに、乾燥質量換算で7質量%以上の固形物が得られる松樹皮を選別する工程
    該松樹皮を水および有機溶媒のうちの少なくとも1種で抽出する工程、および
    該抽出物に対して一回の合成樹脂系吸着剤処理でオリゴメリック・プロアントシアニジンを10質量%以上含有するプロアントシアニジン含有物を得る工程
    を包含する、プロアントシアニジン含有物の製造方法。
  2. 前記合成樹脂系吸着剤が、芳香族系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、および(メタ)アクリレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記抽出物を合成樹脂系吸着剤で処理する工程において、該抽出物と該合成樹脂系吸着剤とを接触させた後に、アルコールを10〜30容量%含有する水溶液で溶出させ、溶出液を回収する、請求項1または2に記載の製造方法。
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